(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記基地局の前記送信部からの前記ビーコンの送信は前記通信開始時から定期的に継続して行われるとともに、前記端末の前記端末側送信部からの前記応答信号の送信も前記ビーコンの送信毎に行われることで、前記基地局の前記通信経路決定部による前記通信経路の決定、前記最良経路判定部による最良の通信状況にある前記通信経路の決定、及び前記割合算出部による前記送信経路毎のデータ送受信量の割合の算出が定期的に行われることを特徴とする請求項2記載の無線通信システム。
前記端末の前記受信状況判定部は、前記通信経路毎の前記受信状況を、前記ビーコンの伝搬損失、前記ビーコンの遅延時間、前記ビーコンの遅延スプレッド又は前記ビーコンの受信強度の少なくとも1つに基づき判定することを特徴とする請求項2乃至4の何れか1項記載の無線通信システム。
【背景技術】
【0002】
移動体通信の分野においては、年率約1.7倍のペースでトラヒックが増大している。また、2020年までには4Kや8K解像度の高精細テレビ放送が開始される計画があり、高解像度な動画視聴のニーズが高まり、通信トラヒックの増加傾向は今後も継続していくことが予想されている。
【0003】
一方、従来から用いられている3G及び4Gの通信システムにおいては、今後さらに増大することが予想されるトラヒックを十分に収容することができず、それらの負荷を分散する通信システムとして、主にWiFiが利用されている。しかし、こうした手法によっても将来の高精細映像の通信等を考慮するとトラヒックの収容は十分とは言えず、60GHz帯等のミリ波等を利用した超高速データ通信の実現が望まれていた。
【0004】
ミリ波を用いる通信システムは、世界的に広帯域を利用可能であり、数Gbps以上の通信が可能なシステムである。しかし、一般的に通信距離が短く、また、見通し外通信における通信品質の劣化が課題となっていた。
【0005】
こうしたミリ波を用いる通信システムの例としては、IEEE802.11adに準拠したWiFiシステムが挙げられる。このシステムは部屋内等の限定したエリア内における近距離通信を想定した技術標準とされていて、見通し外通信への応用には課題があった。
【0006】
そのため、従来、広域接続性が要求される場面では、こうしたミリ波を用いる通信システムは利用されておらず、例えば6GHz以下の周波数を利用するIEEE802.11acに代表される他のシステムが用いられていた。
【0007】
また、ミリ波を用いる通信システムについて、無線機に複数のミリ波無線系統を用意し、複数の通信経路を同時に利用することで、10Gbps以上の高速通信を実現する方法も検討されている。
【0008】
しかし、複数の通信経路を同時に利用する場合には、空間的及び周波数的に十分なアイソレーションを取る必要がある。特に空間的なアイソレーションを確保するためには、通信経路を空間的に分割する必要があり、環境によっては見通し外の通信経路となる。
【0009】
この場合、見通し外の通信経路では通信品質が不安定となり、制御信号のやり取りも難しくなる可能性がある。
【0010】
そのため、同期信号やビーコン等の制御信号を安定的にやり取りし、かつ複数の通信経路を効率的に制御する手法の開発が必要であった。
【0011】
ところで、ミリ波を用いる通信システムのように通信距離の短い通信システムを移動通信で利用する場合においては、基地局を移動中に切り替えるハンドオーバーが頻繁に発生するため、スループットの低下が生じ、場合によっては制御信号の喪失が生じることがあった。
【0012】
そこで、通信距離の短い通信機器間における制御信号の喪失を防ぐ技術として、C/U分離が提唱されている(非特許文献1及び2参照)。ここでCはControl Plane(制御信号)を、UはUser Plane(ユーザデータ)を表している。
【0013】
すなわち、C/U分離はユーザデータと制御信号を分けて扱う技術であり、制御信号については広域通信可能なマクロセル基地局から各通信機器に送信することで通信機器間のハンドオーバー時においても安定した通信制御を確保しつつ、ユーザデータの送受信は通信機器間で行い、制御のロスにより生じるスループットの低下を防止するというものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
上述したC/U分離の概念をミリ波等を用いる高速通信システムに応用することで、制御のロスにより生じるスループットの低下を防止し、高速通信を可能にすることが考えられる。
【0016】
すなわち、制御信号については安定したデータの送受信を行える経路を用いて送受信するとともに、データの通信は見通し外などの条件により、安定性が下がるものの高速通信として利用が可能な経路を用いて送受信することが想定される。
【0017】
具体的には、ミリ波を用いる高速通信システムにおいては、制御信号を安定したデータの送受信が行える見通し内の通信経路等で行うことが考えられる。
【0018】
そして、制御信号以外のデータについては、上述したC/U分離においては制御信号用の通信経路以外で送受信を行っていたが、より高速な通信を可能とするため、見通し内の通信経路も含めた複数の通信経路で送受信を行う方が好ましい。
【0019】
また、複数の通信経路を用いる通信システムにおいて更に通信を高速化するためには、各通信経路において送受信されるデータ量の割合を調節可能とすることが好ましい。
【0020】
そこで、本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、安定して通信を行える経路において制御信号を送受信するとともに、当該経路も含めた複数の経路を用いて各経路により送受信されるデータ量の割合を調節しつつデータの送受信を行うことで安定した高速通信が可能な無線通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
第1発明に係る無線通信システムは、複数の通信経路を同時に利用して無線通信を行う基地局及び端末を備えた無線通信システムであって、前記基地局は、前記端末との通信に用いる前記通信経路を決定する通信経路決定部と、前記通信経路決定部が決定した前記通信経路のうち最良の通信状況にある前記通信経路を判定する最良経路判定部と、前記通信経路決定部により決定された前記通信経路毎のデータ送信量の割合を算出する割合算出部と、前記最良経路判定部により判定された最良の通信状況にある前記通信経路を介して前記端末に制御信号の送信を行うとともに、前記最良の通信状況にある通信経路を含む複数の通信経路を介して、前記割合算出部により算出された前記通信経路毎のデータ送信量に基づき前記端末にデータの送信を行う基地局側送信部と、を有し、前記端末は、前記制御信号及び前記データの受信を行う端末側受信部を有することを特徴とする。
【0022】
第2発明に係る無線通信システムは、第1発明において、前記端末は、前記基地局から送信される信号の受信状況を判定する受信状況判定部と、前記基地局に情報を送信する端末側送信部と、を更に備え、前記基地局は、前記端末からの情報を受信する基地局側受信部を更に備え、前記基地局の前記基地局側送信部は通信開始時にビーコンを送信し、前記端末の前記受信部が前記ビーコンを受信するとともに、前記受信状況判定部が前記ビーコンの受信状況を判定し、前記端末側送信部が前記ビーコンの前記受信状況を示す情報を応答信号として前記基地局に送信し、前記基地局の前記通信経路決定部による前記通信経路の決定、前記最良経路判定部による最良の通信状況にある前記通信経路の決定、及び前記割合算出部による前記送信経路毎のデータ送受信量の割合の算出は、前記基地局が受信した前記応答信号に含まれる前記受信状況を示す情報に基づき行われることを特徴とする。
【0023】
第3発明に係る無線通信システムは、第2発明において、前記基地局の前記送信部からの前記ビーコンの送信は前記通信開始時から定期的に継続して行われるとともに、前記端末の前記端末側送信部からの前記応答信号の送信も前記ビーコンの送信毎に行われることで、前記基地局の前記通信経路決定部による前記通信経路の決定、前記最良経路判定部による最良の通信状況にある前記通信経路の決定、及び前記割合算出部による前記送信経路毎のデータ送受信量の割合の算出が定期的に行われることを特徴とする。
【0024】
第4発明に係る無線通信システムは、第1乃至第3発明の何れか1つにおいて、前記基地局は、前記通信経路のそれぞれについての通信の変調方式を決定する変調方式決定部と、前記通信経路のそれぞれについての符号化率を決定する符号化率決定部と、を更に備え、前記変調方式決定部及び前記符号化率決定部は、前記端末から送信される応答信号に含まれる前記受信状況を示す情報に基づきそれぞれ前記変調方式及び前記符号化率を決定することを特徴とする。
【0025】
第5発明に係る無線通信システムは、第2乃至第4発明の何れか1つにおいて、前記端末の前記受信状況判定部は、前記通信経路毎の前記受信状況を、前記ビーコンの伝搬損失、前記ビーコンの遅延時間、前記ビーコンの遅延スプレッド又は前記ビーコンの受信強度の少なくとも1つに基づき判定することを特徴とする。
【0026】
第6発明に係る無線通信システムは、第1乃至第5発明の何れか1つにおいて、前記基地局及び前記端末はミリ波を用いて情報の送受信を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
上述した構成からなる本発明によれば、安定して通信を行える経路において制御信号を送受信するとともに、当該経路も含めた複数の経路を用いて各経路により送受信されるデータ量の割合を調節しつつデータの送受信を行うことで安定した高速通信が可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態としての無線通信システムについて詳細に説明する。
【0030】
図1は、本発明の実施形態に係る無線通信システム1を示す模式図である。
【0031】
本実施形態に係る無線通信システム1は、60GHz帯のミリ波を用いた超高速無線通信を行うシステムであって、空間的又は周波数的に十分にアイソレーションが確保された複数の通信経路を同時に用いて高速通信を行うものである。
【0032】
無線通信システム1は、マスターデバイスである基地局1と、スレイブデバイスである端末2を備えて構成されている。本実施形態に係る無線通信システム1では、この基地局1と端末2との間で同時に複数の通信経路を用いた高速通信が行われる。
【0033】
ここで、
図1に示す、本実施形態において用いられる複数の通信経路のうち、経路Aについては見通しの経路であり、経路Bと経路Cについては見通し外の経路となっている。
【0034】
見通しの経路Aは、基地局2と端末3との間に障害物が無い経路である。
【0035】
一方、見通し外の経路B、Cは、基地局2と端末3との間に反射物や障害物などがあり、見通しの経路Aと比較して伝搬損失や遅延が大きくなる経路である。
【0036】
経路A、経路B及び経路Cは、互いに十分にアイソレーションが確保された状態となっている。アイソレーションの確保の態様としては、空間的なアイソレーション、周波数的なアイソレーション、又はアンテナの指向性を利用したアイソレーションや、パスダイバーシティを利用したアイソレーション等が想定されている。
【0037】
なお、
図1では基地局2と端末3はそれぞれ1台ずつ示されているが、本発明においてはこれに限らず、それぞれ複数台の基地局2及び端末3を備えて構成されていてもよい。また、本実施形態においてはミリ波を用いた無線通信システム1を想定しているが、本発明はこれに限らず、他の周波数帯を利用する無線通信システム1であってもよい。
【0038】
図2は、本発明の実施形態に係る無線通信システム1に用いられる基地局2の機能ブロック図である。
【0039】
基地局2は、端末3との関係においてマスターデバイスとなる通信装置である。
【0040】
基地局2は、機械的構成、又はCPU(不図示)がROM(不図示)に格納されている制御プログラムをRAM(不図示)に展開して実行することにより実現される機能として、基地局側受信部21、通信経路決定部22、最良経路判定部23、割合算出部24、変調方式決定部25、符号化率決定部26及び基地局側送信部27を備えて構成されている。また、基地局2には端末3との情報の送受信に用いられるアンテナ28が設けられている。
【0041】
基地局側受信部21は、端末3からアンテナ28を介して送信した情報を受信する際のインターフェースとして機能する。
【0042】
通信経路決定部22は、端末3との通信に利用可能な1以上の通信経路を所定の基準に基づき決定する。
【0043】
最良経路判定部23は、通信経路決定部22により決定された通信経路のうち、最良の通信状況にあるものを判定する。
【0044】
割合算出部24は、通信経路決定部22により決定された通信経路毎のデータ送信量の割合を算出する。
【0045】
変調方式決定部25は、通信経路のそれぞれについての通信の変調方式を決定する。
【0046】
符号化率決定部26は、通信経路のそれぞれについての符号化率を決定する。
【0047】
基地局側送信部27は、アンテナ28を介して端末3へと情報を送信する際のインターフェースとして機能する。
【0048】
アンテナ28は、単一のアンテナの他、ダイバーシティアンテナであってもよい。通信経路A〜Cのアイソレーションをダイバーシティを利用して確保する場合には、アンテナ28としてダイバーシティアンテナが採用される。
【0049】
図3は、発明の実施形態に係る無線通信システム1に用いられる端末3の機能ブロック図である。
【0050】
端末3は、基地局2との関係においてスレイブデバイスとなる装置であり、狭い範囲で高速通信を行うスモールセルやフェムトセルと呼ばれる通信機器である。
【0051】
端末3は、機械的構成、又はCPU(不図示)がROM(不図示)に格納されている制御プログラムをRAM(不図示)に展開して実行することにより実現される機能として、端末側受信部31、受信状況判定部32及び端末側送信部33を備えて構成されている。また、端末3には、基地局2との情報の送受信に用いられるアンテナ38が設けられている。
【0052】
端末側受信部31は、基地局2からアンテナ38を介して送信された情報を受信する際のインターフェースとして機能する。
【0053】
受信状況判定部32は、基地局から送信される信号の受信状況を所定の基準を用いて判定する。
【0054】
端末側送信部33は、アンテナ38を介して基地局2へと情報を送信する際のインターフェースとして機能する。
【0055】
アンテナ38は、単一のアンテナの他、ダイバーシティアンテナであってもよい。通信経路A〜Cのアイソレーションをダイバーシティを利用して確保する場合には、アンテナ38としてダイバーシティアンテナが採用される。
【0056】
次に、上述した構成を備える無線通信システム1の実際のデータ送受信の動作について説明する。
【0057】
図4は、本発明の実施形態に係る無線通信システムの動作を示すシーケンスフローチャートである。
【0058】
まず、通信開始時に基地局2の基地局側送信部21が、アンテナ28を介し、複数の通信経路A、B、Cによりビーコンをブロードキャストする(ステップS21)。
【0059】
ブロードキャストされたビーコンは、端末3の端末側受信部31がアンテナ38を介して受信する(ステップS31)。
【0060】
次に、端末3の受信状況判定部32が、各通信経路A、B、Cについてそれぞれビーコンの受信状況の判定を行う(ステップS32)。
【0061】
具体的には、受信状況判定部32は、各通信経路A、B、Cについてのビーコンの受信状況を、ビーコンの伝搬損失、ビーコンの遅延時間、ビーコンの遅延スプレッド又はビーコンの受信強度の少なくとも1つを検知するとともに、検知した当該値に基づいて行われる。
【0062】
すなわち、受信状況判定部32は、これらの検出値について、所定の閾値と比較したり、各通信経路A、B、C間で比較したりして判定する。
【0063】
次に、端末3の端末側送信部33は、受信状況判定部32による判定結果を含む応答信号を、アンテナ38を用いて基地局2に送信する(ステップS33)。
【0064】
次に、基地局2の基地局側受信部21は、アンテナ28を介して端末3からの応答信号を受信する(ステップS22)。
【0065】
次に、基地局2の通信経路決定部22は、端末3から送信された応答信号に含まれる通信経路毎の受信状況の判定結果に基づき、基地局2との通信に用いる通信経路の決定を行う(ステップS23)。
【0066】
使用する通信経路の決定は、本実施形態においては上述した所定の項目についての受信状況の判定結果を、対応する項目について予め設定されている所定の閾値と比較し、当該閾値よりも通信状況の良い通信経路を通信経路として採用する手法により行われる。
【0067】
本実施形態においては、
図1に示す通信経路A〜Cは何れも所定の評価項目について所定の閾値を上回るものであるため、実際に通信に用いられる通信経路として採用されている。
【0068】
なお、本実施形態においては3つの通信経路A〜Cが用いられるが、本発明においてはこれに限られず、2つ以上の任意の数の通信経路が用いられることになる。
【0069】
次に、基地局2の最良経路判定部23は、通信経路決定部22により通信に用いることが決定された通信経路の中から、最も良い通信状況にある経路を判定する(ステップS34)。
【0070】
本実施形態においては、見通しの経路である通信経路Aが最も良い通信状況にあるため、最良経路判定部23はこれを最良の通信経路であると判定する。
【0071】
ここで最良の通信経路であると判定された通信経路Aは、後述するように、通常のデータ送受信に用いられる他、制御信号の送受信にも用いられることになる。
【0072】
なお、本実施形態においては最良の通信経路Aは唯一含まれる見通しの経路であったが、本発明においてはこれに限らず、ステップS23において決定された通信経路中最も通信環境の良いものであれば、見通し外の通信経路であっても採用される場合がある。
【0073】
次に、基地局2の割合算出部24は、通信経路決定部22により決定された通信経路A〜C毎のデータ送信量の割合を算出する(ステップS25)。
【0074】
割合算出部24は、通信状況の良い通信経路についてはデータ送信量の割合を多くし、通信状況の悪い通信経路についてはデータ送信量の割合を小さくする。この割合の算出は、端末3から送信された応答信号に含まれている通信状況の判定結果に基づき行われる。
【0075】
また、割合算出部24は、通信状況の良い通信経路であっても、最良の通信状況にあるものについては、制御信号の送受信にも用いるべく、当該制御信号のデータ容量の分だけ当該割合から差し引いて算出を行う。
【0076】
次に、基地局2の変調方式決定部25は、端末3との情報の送受信における変調方式を決定する(ステップS26)。
【0077】
次に、基地局2の符号化率決定部26は、端末3との情報の送受信における符号化率を決定する(ステップS27)。
【0078】
次に、基地局2の基地局側送信部21は、アンテナ28を介して端末3に制御信号を送信する。この制御信号は、最良経路判定部23による判定の結果判明した最良の通信経路Aを用いて送信される(ステップS28)。この制御信号は、本実施形態においてはビーコンとして送信される。
【0079】
制御信号には、同期用の信号、変調方式に関する情報、符号化率に関する情報等が含まれている。
【0080】
次に、端末3の端末側受信部31は、アンテナ38を介して制御信号を受信する(ステップS34)。
【0081】
次に、端末3は、受信した制御信号に基づき、基地局2と制御信号以外のその他のデータの送受信を可能にすべく、基地局2との同期等、自機の制御動作を実行する(ステップS35)。
【0082】
次に、基地局2の基地局側送信部27は、端末3に、アンテナ28を介して制御信号以外のデータを送信する(ステップS29)。そして基地局2は動作を終了する。
【0083】
このデータ送信のタイミングは、例えば先に送信した制御信号に含まれているデータ送信タイミングに従い行われ、端末3は当該タイミングに基づき待受けを行うことでデータの送受信が実行される。
【0084】
また、このデータ送信は、上述したように制御信号の送信が行われる送信経路Aを含む複数の(本実施形態においては3つの)送信経路A〜Cを用いて行われる。
【0085】
また、各通信経路A〜Cについてのデータ送受信量は、上述したように割合算出部24により決定された割合に基づき行われる。
【0086】
また、各通信経路A〜Cについてのデータの変調方式と符号化率についても、上述した変調方式決定部25及び符号化率決定部26により決定されたものが採用されてデータの送受信が行われる。
【0087】
次に、端末3の端末側受信部31は、基地局2から送信されたデータを、アンテナ38を介して受信する(ステップS36)。そして端末3は受信したデータに基づき所定の動作を行った後、動作を終了する。
【0088】
このように、本発明に係る無線通信システム1によると、安定して通信を行える経路において制御信号を送受信するとともに、当該経路も含めた複数の経路を用いて各経路により送受信されるデータ量の割合を調節しつつデータの送受信を行うことで安定した高速通信が可能となる。
【0089】
なお、上述した実施形態においては基地局2からの制御信号ではないビーコンの送信(ステップS21)は1回のみ行われていたが、本発明においてはこれに限らず、所定の間隔で繰り返し行うようにしてもよい。
【0090】
この場合、接続開始時にビーコンが送信される度に上述した基地局2側のステップS22〜28と端末3側のステップS31〜S35を実行することで、用いる通信経路や制御信号を送信する通信経路の決定、変調方式や符号化率の決定等、通信状況をその都度最適なものに更新しつつデータの送受信が行われる。
【0091】
このように、ビーコンの送信を繰り返し行うとともにその都度最良な経路の判定を行うことで、通信状況が不安定となる通信経路では制御信号のやり取りは行われず、より安定的かつ高速なデータの送受信を行うことができるようになる。
【0092】
また、制御信号のビーコンが定期的に受信できない状況が発生した場合には、一定の期間を経て、各通信経路の探索動作(ステップS21〜S22、ステップS31〜S33)を再開する態様であってもよい。
【0093】
また、上述した実施形態においては変調方式決定部25及び符号化率決定部26が設けられていたが、本発明においてはこれらの構成は必須のものではなく、予め定められた変調方式や符号化率で通信を行う態様であってもよい。
【0094】
また、上述した本実施形態に係る無線通信システム1は、60GHz帯のミリ波を用いた超高速無線通信を行うシステムであったが、本発明はこれに限らず、他の周波数帯を用いる通信システムであってもよい。
【0095】
また、ステップS23の通信経路の決定は、上述した実施形態においては通信経路決定部22が、端末3から送信された応答信号に含まれる通信経路毎の受信状況の判定結果に基づき行っていた。
【0096】
しかし、本発明においてはこれに限らず、予め使用者により設定され図示しない記憶部に保存されていた複数の通信経路を通信経路決定部22が読み出すことで決定する態様であってもよい。