(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6472707
(24)【登録日】2019年2月1日
(45)【発行日】2019年2月20日
(54)【発明の名称】エアバッグ装置
(51)【国際特許分類】
B60R 21/239 20060101AFI20190207BHJP
B60R 21/205 20110101ALI20190207BHJP
【FI】
B60R21/239
B60R21/205
【請求項の数】8
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-96002(P2015-96002)
(22)【出願日】2015年5月8日
(65)【公開番号】特開2016-210299(P2016-210299A)
(43)【公開日】2016年12月15日
【審査請求日】2016年12月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】503358097
【氏名又は名称】オートリブ ディベロップメント エービー
(74)【代理人】
【識別番号】503175047
【氏名又は名称】オートリブ株式会社
(74)【復代理人】
【識別番号】100098143
【弁理士】
【氏名又は名称】飯塚 雄二
(72)【発明者】
【氏名】中山 靖久
(72)【発明者】
【氏名】岡本 眞和
【審査官】
野口 絢子
(56)【参考文献】
【文献】
特開2014−201284(JP,A)
【文献】
特開2000−272465(JP,A)
【文献】
特開平11−129859(JP,A)
【文献】
特開2003−137060(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0020989(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 21/16−21/33
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアバッグの膨張・展開によって車両内の乗員を拘束するエアバッグ装置において、
前記エアバッグには、当該エアバッグ内部のガスを排気する第1のベントホールが形成され、
前記第1のベントホールには、チューブ状の排気規制部材の一端が連結され、
前記エアバッグの展開初期の段階では、前記第1のベントホールは前記排気規制部材によって閉鎖されることなく開放された状態に維持可能に構成され、
前記エアバッグが一定以上膨張展開したときに、前記第1のベントホールは前記排気規制部材によって閉じられるように構成され、
前記エアバッグの収容状態において、前記排気規制部材の他端が収容状態の前記エアバッグの外側に突出するとともに、エアバッグ展開方向(以下、上側とする)に向くように配置されることを特徴とするエアバッグ装置。
【請求項2】
前記排気規制部材の他端が、収容状態の前記エアバッグの最上縁部よりも上側まで達する長さに成形されていることを特徴とする請求項1に記載のエアバッグ装置。
【請求項3】
前記エアバッグを収容するハウジングを更に備え、
前記エアバッグの収容状態において、前記排気規制部材の他端は前記ハウジングの上側の縁部を超える長さに成形されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のエアバッグ装置。
【請求項4】
前記ハウジングはインストルメントパネルの内部に配置される構成であり、
前記エアバッグの収容状態において、前記排気規制部材の他端は前記インストルメントパネルの車室側の表面を超える長さに成形されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載のエアバッグ装置。
【請求項5】
前記エアバッグの収容状態において、前記排気規制部材の他端が折り畳まれた前記エアバッグの上側の端面に重なるように折り返されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載のエアバッグ装置。
【請求項6】
一端が前記排気規制部材に連結され、他端が前記エアバッグの内部に連結されたテザーを備え、
前記エアバッグが一定以上展開すると、前記テザーによって前記排気規制部材が前記エアバッグ内側に引き込まれて閉じるように構成されていることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載のエアバッグ装置。
【請求項7】
前記エアバッグには、前記第1のベントホールとは別に、常時開放された第2のベントホールが形成されていることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載のエアバッグ装置。
【請求項8】
前記エアバッグの少なくとも一部は蛇腹状に折り畳まれて折り畳み部を形成し、
前記排気規制部材と前記第1のベントホールとの連結部が前記折り畳み部の谷部に位置することを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載のエアバッグ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両内の乗員を拘束するエアバッグ装置に関する。特に、チューブ状の部材を使用した排気制御機構を有するエアバッグ装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
エアバッグ装置には、ステアリングホイール(ハンドル)中心部に収容される運転席用エアバッグ装置、インストルメントパネル(ダッシュボード)内に収容される助手席用のエアバッグ装置、ルーフレール付近から窓を覆うように展開するカーテンエアバッグ装置、シートに組み込まれたサイドエアバッグ装置等がある。エアバッグ装置は、衝突時の衝撃をエアバッグにより吸収緩和することにより、乗員を衝撃から保護するものである。
【0003】
エアバッグ装置では、インフレータから噴出される高圧ガスによりエアバッグを瞬時に膨張させ、所定の方向へ展開させる構造となっている。ここで、展開初期の段階で乗員がエアバッグに接触(衝突)すると、膨張時の大きな衝撃が乗員に作用し、傷害値が悪化する恐れがある。このため、エアバッグの膨張展開過程に応じてエアバッグ内の膨張圧の調整が必要となる。
【0004】
そこで、エアバッグの膨張展開初期に乗員がエアバッグに近接している場合、このような事態を検知してエアバッグの膨張圧を調整して、乗員に作用する衝撃を緩和する方法が提案されている。例えば、エアバッグに設けられたベントホールの開口面積を電磁的開閉手段で調整する構造である。しかしながら、このような構造では、乗員の存在を検知する検知手段や、電磁開閉機構を必要とするため、装置が複雑かつ高価となる。
【0005】
また、インフレータを複数設置して、膨張展開初期の段階では1個のインフレータを作動させ、遅れて残りのインフレータを作動させる構造が提案されている。しかしながら、インフレータの着火時期の調整が複雑となる他、膨張初期のエアバッグの膨張圧力(内圧)が不足し、十分な乗員拘束性能、衝撃吸収性能が得られない等の問題がある。
【0006】
更に別の方法として、例えば、特許文献1に示すように、柔軟な筒状部材の一端をベントホールに連結し、エアバッグの膨張によって当該筒状部材がエアバッグ内に引き込まれ、これによってベントホールの排気を規制する構造が提案されている。このような構造においては、エアバッグの膨張展開初期においては筒状の制御部材がエアバッグの外側に延出しているために乗員拘束面に乗員等が当接すると、エアバッグ内の高圧ガスの一部がベントホールより外部へ排出されて、エアバッグ内の膨張圧が減少される。このため、車両の衝突時乗員等がエアバッグに近接していて膨張展開初期のエアバッグに乗員等が当接しても、乗員等に作用する反発力を緩和しつつ乗員等を確実に拘束することができる。また、乗員等が膨張展開したエアバッグから離れている通常状態においては、制御部材がエアバッグ内に引き込まれ、ベントホールからの排気を制限することができる。このため、エアバッグがインフレータから噴出されるガス圧を効率よく使用して膨張展開することができ、十分な衝撃吸収力を発揮することができる。しかしながら、エアバッグ及び当該筒状部材の折り畳み方によってベントホールを介した排気性能(排気量)にバラツキが生じるという問題があった。特に、エアバッグの展開初期の段階でベントホールから速やかにガスを排気し難いという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−207579号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記のような状況に鑑みてなされたものであり、エアバッグの展開初期の段階において安定した排気が可能なエアバッグ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明に係るエアバッグ装置において、エアバッグには、当該エアバッグ内部のガスを排気する第1のベントホールが形成され、第1のベントホールには、チューブ状の排気規制部材の一端が連結され、エアバッグが一定以上膨張展開したときに、第1のベントホールは排気規制部材によって閉じられるように構成される。そして、エアバッグの収容状態において、排気規制部材の他端が収容状態のエアバッグの外側に突出するとともに、エアバッグ展開方向(以下、上側とする)に向くように配置される。
【0010】
排気規制部材の他端(開放端)が収容状態のエアバッグの外側に突出するように成形することにより、当該排気規制部材が折り畳まれたエアバッグの内側に入り込んでしまうことを回避できる。このため、エアバッグの展開初期に第1のベントホールと排気規制部材とが速やかに連通し、遅滞なくエアバッグ内部のガスを排気することが可能となる。また、排気規制部材の他端がエアバッグ展開方向(以下、上側とする)に向くように配置することによりエアバッグの展開初期の段階での排気が更に確実なものとなる。
【0011】
排気規制部材の他端は、収容状態のエアバッグの最上縁部よりも上側まで達する長さとしたり、ハウジングの上側の縁部を超える長さとしたり、インストルメントパネルの車室側の表面を超える長さとすることができる。このような構造を採用することにより、第1のベントホールを通してエアバッグ内圧調整をより確実に行うことが可能となる。加えて、排気規制部材の他端が折り畳まれたエアバッグの展開側の上面に重なるように折り返す構成とすることが好ましい。
【0012】
また、一端が前記排気規制部材に連結され、他端が前記エアバッグの内部に連結されたテザーを備え、前記エアバッグが一定以上展開すると、前記テザーによって前記排気規制部材が前記エアバッグ内側に引き込まれて閉じるように構成することができる。このような構成を採用することにより、排気規制部材の開閉制御を簡素な構造で達成することが可能となる。
【0013】
更に、前記エアバッグには、前記第1のベントホールとは別に、常時開放された第2のベントホールを形成することができる。このような構造を採用することにより、エアバッグの内圧制御の調整範囲を広くすることが可能となる。すなわち、乗員が異常接近しているような状況では、展開初期のエアバッグ内圧を更に低くでき、乗員の傷害値を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、本発明の実施例に係るエアバッグ装置の展開状態を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施例に係るエアバッグの折り畳み途中の状態を示す平面図(A)、側面図(B)、断面図(C)である。
【
図3】
図3は、本発明の実施例に係るエアバッグの要部(排気規制部材)の構造を示す斜視図である。
【
図4】
図4(A)、(B)は、本発明の実施例に係るエアバッグの構造の一部を示す概略断面図である。
【
図5】
図5は、本発明の第1実施例に係るエアバッグの構造を示す概略断面図であり、
図2(C)に対応する。
【
図6】
図6は、本発明の第2実施例に係るエアバッグの構造を示す概略断面図である。
【
図7】
図7は、本発明の第3実施例に係るエアバッグの構造を示す概略断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について助手席用エアバッグ装置を例に詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付すことにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0016】
本発明は、エアバッグ10の膨張・展開によって車両内の乗員を拘束するエアバッグ装置に係るものであり、助手席用エアバッグ装置の他にも運転席用エアバッグ装置など、他の形態のエアバッグ装置にも適用可能である。
図1は、本発明の実施例に係るエアバッグ10の展開状態を示す
図2は、エアバッグ10の折り畳み途中の状態を示す平面図(A)、側面図(B)、断面図(C)である。
図3は、本発明の実施例に係るエアバッグ10の要部(排気規制部材14)の構造を示す斜視図である。
【0017】
図1において、エアバッグ10内部のガスを排気する第1のベントホール14が、エアバッグ10の車両内側面に形成されている。なお、第1のベントホール14をエアバッグの左右両側面に設ける場合は乗員側から見てエアバッグの車両外側のベントホールについては、車両内側と対称位置に形成することができる。ここで、「車両外側」とは、例えば、助手席用エアバッグや運転席用エアバッグの場合には、乗員から見てドアに近い側であり、「車両内側」とは、その反対側を意味する。
【0018】
第1のベントホール14は、エアバッグ10の展開状態に応じて開閉可能であり、詳細については後述する。エアバッグ10には、第1のベントホール14に加えて、常時開放された孔としての第2のベントホール12が形成されている。第2のベントホール12は、展開した状態のエアバッグの側面中央付近に形成することができる。また、第1のベントホール14は、第2のベントホール12の前方(インフレータ側)に形成される。
【0019】
図2(B),(C)に示すように、エアバッグ10の内部には膨張ガスを発生するインフレータ20が配置されている。
図1で見ると、インフレータ20は第1のベントホール14の更に前方に配置される。なお、
図1において「前方」とは車両進行方向を示し、「後方」とは車室側(乗員側)を示すものとする。また、以降の説明において、エアバッグ10を含めた位置関係を説明する際には、エアバッグ10の展開方向を上側、その逆方向を下側と言う。
【0020】
図2(C)の折り畳み工程の途中段階において、左右の排気規制部材16a,16bは、折り畳まれたエアバッグの幅方向の側面から外側(図の左右)に突出する長さに成形されている。
【0021】
第1のベントホール14には、チューブ状の排気規制部材16の一端が連結されている。排気規制部材16は、例えば、エアバッグ10と同一のファブリックによって円筒状に成形することができる。エアバッグ10が未展開の状態では、
図3に示すように、排気規制部材16の他端は記エアバッグの外側に延出するように設けられる。
【0022】
図1に戻ると、排気規制部材16にはテザー18が連結されている。テザー18の一端は排気規制部材16に連結され、他端はエアバッグ10の底部付近に連結されている。テザー18とエアバッグ10との連結箇所は、通常展開時にはテザー18に張力が発生し、排気規制がされて第1のベントホール14が閉じ、且つ、正規着座位置に着座していた乗員を拘束中にもテザー18に張力が発生し、排気規制され、第1のベントホール14が閉じる位置とすることが好ましい。これによって、第1のベントホール14の開閉状態を適切にすることが可能となる。
【0023】
再び、
図3を参照すると、排気規制部材16の他端(自由端)は折り返して袋状に縫製22されており、その内部をテザー18の開閉部18bが挿通しており、当該開閉部18bにはエアバッグ10につながる連結部18aが接続されている。エアバッグ10が一定以上展開すると、元々緩んでいた連結部18aが開閉部18bを引っ張り、排気規制部材16がエアバッグ10の内側に引き込まれて巾着状に閉じることになる。
【0024】
袋状の縫製22の一部にはスリット等の開口部が形成され、そこからテザー18の端部(連結部18a)が出るように構成することができる。これは、紐でウエスト部を絞るタイプのズボンの構造と類似している。テザー18は1本で構成することもできるし、複数本を継ぎ合わせて構成することもできる。例えば、テザー18を1本で構成する場合には、伸縮部18bの連結部18aと接続されない側の端部を袋状縫製部22の途中で縫製等によって固定することができる。
【0025】
図4(A)は、エアバッグ10の折り畳み状態を示す。折り畳まれた状態のエアバッグ10を上方から見ると、
図2(A)に示すように、対向する端部に蛇腹状の折り畳み部10a,10bが形成される。排気規制部材16(16a,16b)の根元、すなわち、第1のベントホール14は、エアバッグの折り畳み部10a,10bの谷部に位置する。ここで、折り畳み部10a,10bの谷部とは、
図4(A)に示すような完全な凹部終端に限らず、
図4(B)に示すように、排気規制部材16(16a,16b)が途中で折り曲がらない範囲で若干外側に位置しても良い。また、排気規制部材16(16a,16b)の外側端部は、折り畳み部10a,10bの幅方向の外縁部から外側(図の左右方向)に突出するように配置される。
【0026】
上述したように、排気規制部材16(16a,16b)の外側端部(開放端)17a,17bは、エアバッグ10の収容状態において折り畳み部10aの幅方向の外縁よりも外側に突出するように構成されている。これにより、排気規制部材16(16a,16b)が折り畳まれたエアバッグ10の内側に入り込んで、エアバッグ展開初期の段階で十分な排気をできないという事態を回避可能となる。そして、その結果、エアバッグ10の展開初期に第1のベントホール14と排気規制部材16(16a,16b)とが速やかに連通し、遅滞なくエアバッグ10内部のガスを排気することが可能となる。
【0027】
図5は、本発明の第1実施例に係るエアバッグ10の構造を示す概略断面図であり、断面の位置は
図2(C)に対応する。ただし、
図5に示す状態は、
図2(C)の工程から更に進んで車両搭載時の形態となっている。この実施例においては、左右の排気規制部材16a,16bが上方(展開方向)に向かって折り曲げられている。
図5において、左右の排気規制部材16a,16bは、上方(エアバッグ展開方向)に向かって折り曲げられ、開放端17a,17bの高さL1が折り畳まれたエアバッグの上端10cの高さL0よりも上まで達するようになっている。エアバッグの上端10cは、少なくとも左右の端部(角部)における上端であれば足り、必ずしもそれ以外の部分(中心付近等)の上端である必要はない。すなわち、折り畳まれたエアバッグ10の中心付近が盛り上がっていても、左右の端部の高さが
図4の高さL0となる。
【0028】
図6、
図7は、本発明の第2及び第3実施例に係るエアバッグの構造を示す概略断面図である。
図6(A)に示すように、エアバッグ10及びインフレータ20をハウジング30に収容する場合、排気規制部材16(16a,16b)を上方に引き上げた際の開放端17a,17bの高さL1がハウジング30の上端(開放縁部)30aの高さL2よりも高くなるようにする。また、
図6(B)に示すように、ハウジング30の上方にインストルメントパネル32が存在する場合には、当該インストルメントパネル32の高さL3よりも、排気規制部材16(16a,16b)の開放端17a,17bの高さL1の方が高くなるようにする。
【0029】
図7に示す実施例においては、排気規制部材16(16a,16b)の開放端17a,17b側が、折り畳まれたエアバッグ10の上面10cの上に重なるように折り曲げられた状態となる。このような構造によれば、エアバッグ10の収容状態において、排気規制部材16(16a,16b)の位置及び姿勢を保ちやすくなり、安定した排気性能を発揮することが可能となる。すなわち、排気規制部材16(16a,16b)が何らかの理由で下側(展開方向と反対側:図の下側)に向いてしまうような事態を回避することができる。また、エアバッグ10の展開初期の段階で確実に気道を確保することができ、安定した排気性能を発揮可能となる。
【0030】
本実施例において、インフレータ20が作動すると、
図2(C)、
図5、
図6(A)、(B)又は
図7に示すような状態で折り畳まれていたエアバッグ10が展開を開始する。ここで、乗員がエアバッグ10に対して近接した位置に居る場合には、展開初期の段階で乗員にエアバッグ10が接触する。そうなると、テザー18が延びず、排気規制部材16(16a、16b)がエアバッグ10の外側に延びた状態となり、第1のベントホール14が開放した状態を維持する。このため、エアバッグ10の内圧が低くなり、乗員への衝撃が緩和される。一方、乗員が正常着座の場合には、エアバッグ10は速やかに展開し、テザー18が引っ張られ、排気規制部材16(16a,16b)がエアバッグ10の内側に引き込まれ、第1のベントホール14が速やかに閉じて早期にフル展開の状態となり、素早く乗員を拘束することができる。本実施例においては、排気規制部材16(16a,16b)の収容姿勢を適切にすることにより、第1のベントホール14(14a,14b)の閉口タイミング並びに、ガス排気量が安定することになる。
【0031】
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではなく、特許請求の範囲に示された技術的思想の範疇において変更可能なものである。