【実施例1】
【0016】
本願発明は、例えば、
図6に示すように、検査対象の天井1において、野縁2および野縁受け3とで格子状に仕切られた領域(例えば、300×900mm程度)で構成される構造物の天井内部を、特殊車輪若しくはクローラによって走行するとともに、車台に搭載している撮影手段および投光手段で、前記天井1の内部の状況を撮影する検査ロボットの位置を把握する方法である。
【0017】
前記検査ロボットは、例えば、特殊車輪で全方向に移動できるとともに、車台に検査画像用の撮影手段としての小型カメラ、投光手段としてのLEDライト、通信手段としての無線送受信器(ブルートゥース(Bluetooth(登録商標))、ワイファイ(Wifi)など)、制御装置、車台の傾斜角度を測定する角度センサ、駆動用電源・電池などを備えている。
【0018】
前記特殊斜車輪は、車輪の表面に車軸に対して45°傾けた樽(バレル)によって覆われており、前後左右、回転、斜め45°方向への移動と、全方向移動が可能となっている(メカナムロボット,オムニロボット(市販品)のメカナムホイール、若しくはオムニホイール(登録商標)相当品)。
【0019】
前記小型カメラは、天井1の各領域を対象に検査画像として撮影するものであり、一例としてWebカメラ等を使用する。なお、撮影する画像は、前記領域の連続画像を撮影され、その画像は操作者の検査ロボット用制御装置であるパーソナルコンピュータ,スマートフォン等の表示手段であるディスプレイに表示される。なお、検査ロボットの走行状態を天井の入り口方向から撮影して、検査ロボットの走行状態を把握するための、走行用カメラが設けられる。この走行映像も前記ディスプレイに表示されるものである。
【0020】
前記検査ロボット用の制御装置を使用して、天井1内の検査ロボットの位置を把握する方法について説明する。天井1の入り口に走行用カメラを設置して、検査ロボットを天井1の一つの領域に設置する。検査ロボット側のスイッチをON状態にする。初期状態として、マップの作成のために、例えば、
図2,
図3,
図4中の縦を列として、横を行とすると、N行×M列で、N/2行、M/2列の要素のみが「1」(検査済み)で、他の全ての要素が「0」(ゼロ:未検査)の配列を用意する。前記要素は、領域として検査済みか否かで要素を「1又は0」に区別したが、これに限らず、行と列とのそれぞれに、「1」若しくは「0」としても良い。
【0021】
前記初期状態の初期値は、行番のN/2行、列番号のM/2列とする。操作者側のパーソナルコンピュータ等から、検査画像および走行映像を操作者が見て、移動すべき方向の制御信号が制御装置から検査ロボットに送信される。
【0022】
図1に示すように、ステップ(STと略記、以下同じ)1で例えば、前進して移動する。次に、ST2で、検査ロボットが野縁2、若しくは、野縁受け3を乗越えたかどうか判断する。これには、
図5に示すように、実際に、検査ロボットが乗越えるには、傾斜角度θ(θ1(野縁)<θ2(野縁受け))が生じるので、この角度センサで測定されるθの大きさを制御装置のCPU(中央演算装置)で判定して、野縁2若しくは野縁受け3のいずれかを乗越えた場合には、ST3で、行番号若しくは列番号を更新する。
【0023】
これを、
図2を参照して説明すると、今現在、検査ロボットが存在している初期状態の領域1において、マップ作成用の配列の列番号(例えば配列の列数が全部でM列あるとすれば、初期値は配列の中央とするので、M列の中央の列「M/2」。また列数Mは天井面積から想定される数値よりはるかに大きい数値とする)と、行番号(例えば配列の行数が全部でN行あるとすれば、初期値は配列の中央とするので、N行の中央の行「N/2」。また行数Nは天井面積から想定される数値よりはるかに大きい数値とする)として、その要素が検査済みなので「1」に更新されている。これを、表示の仕方を「行、列、要素」とすると、「N/2,M/2,1」と表示する。
【0024】
前記領域1から、
図2で示すように、一例として横線で示す野縁2を乗越えて、領域2へ検査ロボットが移動した場合、列番号は変わらないので、「M/2」のままであり、行番号は、更新されて一つ増えて、「(N/2)‐1」となる。
【0025】
尚、野縁2若しくは野縁受け3を乗越えていなければ、検査ロボットが移動して壁に衝突した場合であると考えられるので、ST2からST8へ飛び、検査ロボットの移動すべき移動方向を更新する。これは、例えば、
図2の領域12から、
図3に示す領域13へと移動させる場合であったり、同様に、
図2において、領域9から領域10に移動する場合であったりする。
【0026】
次に、ST4で、列と行の要素を確認すると、要素が「0」である。そこで、ST5において、要素が「0」の未検査の領域なので、マップに1列目で、2行目の次の領域に、新規に長方形のマスと参照番号である、「2」を追加する。こうして、領域2が検査済みとして表示される。
【0027】
このように、検査ロボットが野縁2を乗越えていれば、野縁2と垂直方向に新規に長方形のマスと参照番号をマップに追加し、野縁受け3を乗越えていれば、野縁受け3と垂直方向に新規に長方形のマスと参照番号をマップに追加する。尚、乗越えた先の領域において、行番号・列番号のいずれか一つの要素が「1」であれば、検査済みの領域なので、ST7へ飛んで検査ロボットの位置を更新する。
【0028】
そして、ST6で、領域2に移動したので、表示に関して、「(N/2) ‐1,M/2,1」に更新する。そして、ST7で検査ロボットの位置を、領域2に更新する。その位置情報を表示手段であるディスプレイに表示する。
【0029】
次に、ST8で、検査ロボットの移動する方向を、操作者がディスプレイの走行映像を確認して、例えば、前進方向が壁であれれば壁に衝突しないように、左・右方向のいずれかの未検査領域に移動するように、移動方向を指示するものである。
【0030】
このようにして、検査ロボットの移動を繰り返して行い、
図2乃至
図4に示すように、天井1の格子状の領域1、2,3…を検査するものである。
図4に示すように、領域が必ずしも順番に並んでいるわけではないものであり、例えば、領域3へ移動した後、仮に、移動先を自動プログラム化すれば、前方向と右方向へは行かずに、左方向に移動することになる。
【0031】
しかしながら、次の検査する対象の領域4を操作者が決定し、領域1に検査ロボットを一端戻して、それから、位置更新して、野縁受け3を乗越えさせて、未検査の領域4に移動させる。操作者が検査したい領域がある場合には、自動プログラムで走行させないで、移動方向を操作者から直接指示するようにするのが好ましい。
【0032】
各領域内での検査ロボットは、小型カメラを上下方向に回転移動させ、LEDライトで領域内を照らしながら連続して検査画像を撮るとともに、検査ロボットの車台を特殊車輪によって全方向に移動させることで、領域内を隈無く撮影できる。この連続した検査画像から、天井部材5のめくれ等の補修箇所を静止画像で取得し、それを印刷するなどして、天井内部を検査するのである。
【0033】
前記検査ロボットの天井1内での位置が、当該検査ロボットが前記野縁2、若しくは、野縁受け3を乗越えたときに、検査ロボットの位置情報が更新されて、参照すべき領域の番号が把握されて、位置把握できるものである。
【0034】
なお、検査ロボットが更新位置情報を表示手段に表示した後、所定の方向の内から既に来た方向を除いて新しい領域の方向を表示手段に表示して待機すること、若しくは、所定の方向の内から既に来た方向を除くと新しい領域の方向が存在しない場合には、その旨を表示手段に表示して待機するように、プログラムすることができる。それにより、操作者の検査ロボットを移動させるべき方向の判断も迅速にできる。
【0035】
前記検査ロボットは、駆動電源を有して走行するので、約1時間ほど自由に走行させることができ、電源・信号等のワイヤ等を引きずらないので、検査ロボットに対する負担が軽減され、走行性能が向上し検査作業が容易である。