特許第6472736号(P6472736)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6472736
(24)【登録日】2019年2月1日
(45)【発行日】2019年2月20日
(54)【発明の名称】ウインドデフレクタの取付構造
(51)【国際特許分類】
   B60J 7/22 20060101AFI20190207BHJP
【FI】
   B60J7/22
【請求項の数】3
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-191505(P2015-191505)
(22)【出願日】2015年9月29日
(65)【公開番号】特開2017-65367(P2017-65367A)
(43)【公開日】2017年4月6日
【審査請求日】2018年3月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】390026538
【氏名又は名称】ダイキョーニシカワ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小手川 健嗣
【審査官】 高島 壮基
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−071859(JP,A)
【文献】 特開2005−280480(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 7/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オープンカー(3)の車室後端部に車幅方向に互いに間隔を空けて上方に向けて突設された1対のロールバー(5)の車幅方向内側にウインドデフレクタ(1)を取り付けた取付構造であって、
上記各ロールバー(5)は、ロールバー本体(9)と、車体後方に開放する断面凹状の本体部(13a)を有する前側ガーニッシュ(13)と、車体前方に開放する断面凹状の本体部(11a)を有する後側ガーニッシュ(11)とを備え、上記前側ガーニッシュ(13)と上記後側ガーニッシュ(11)の両本体部(11a,13a)が各々の開放側を対向させて内部に空間部(S)を形成した状態で上記ロールバー本体(9)を覆うとともに、上記両本体部(11a,13a)の開放側端縁の間には、車幅方向内側に開口するスリット(37)が形成され、
上記前側ガーニッシュ(13)及び後側ガーニッシュ(11)のいずれか一方のガーニッシュ(11)の本体部(11a)の開放側端部におけるスリット(37)対応箇所には、係止孔(11c)を有する係止片部(11b)が車幅方向外側に向けて一体に突設され、
他方のガーニッシュ(13)の本体部(13a)の開放側端部におけるスリット(37)対応箇所には、挿通片部(13e)が当該他方のガーニッシュ(13)の開放側に向けて上記空間部(S)内に位置するように一体に突設されているとともに、該挿通片部(13e)の先端部には、上記一方のガーニッシュ(11)の係止孔(11c)を挿通可能な爪部(13f)が一体に形成され、
上記ウインドデフレクタ(1)の車幅方向両端部には、上記ウインドデフレクタ(1)の車幅方向端部を車体前後方向両側から挟持する挟持部(21)と、挿通孔(25)を有し、車幅方向外側に向けて突出する突出部(23)とを備えた挟持部材(19)が取り付けられ、
上記他方のガーニッシュ(13)の爪部(13f)が上記一方のガーニッシュ(11)の係止孔(11c)に挿通されて該係止孔(11c)周縁に係止されている一方、上記挟持部材(19)の突出部(23)が上記スリット(37)に挿通されているとともに、上記他方のガーニッシュ(13)の挿通片部(13e)の基端部が上記挟持部材(19)の挿通孔(25)に挿通されていることを特徴とするウインドデフレクタの取付構造。
【請求項2】
請求項1に記載のウインドデフレクタの取付構造において、
上記他方のガーニッシュ(13)の本体部(13a)の内面における上記スリット(37)から車幅方向外側に離間した箇所には、規制片部(13g,35)が当該他方のガーニッシュ(13)の開放側に向けて一体に突設され、該規制片部(13g,35)の先端部と上記挿通片部(13e)の突出方向中途部とは、連結部(13i)により一体に連結され、
上記挟持部材(19)の突出部(23)の先端部には、延出部(27)が上記他方のガーニッシュ(13)の反開放側に向けて一体に延設され、
上記規制片部(13g,35)が上記挿通片部(13e)の基端部と共に上記挟持部材(19)の挿通孔(25)に挿通されているとともに、上記挟持部材(19)の延出部(27)に車幅方向内側から当接又は微小な間隔を空けて対向することで、当該延出部(27)の車幅方向内側への移動を規制していることを特徴とするウインドデフレクタの取付構造。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のウインドデフレクタの取付構造において、
上記挟持部材(19)は、金属製の芯材(31)と、該芯材(31)を覆うゴム製の被覆体(33)とからなることを特徴とするウインドデフレクタの取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オープンカーの車室後端部に車幅方向に互いに間隔を空けて上方に向けて突設された1対のロールバーの車幅方向内側にウインドデフレクタを取り付けた取付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示されたウインドデフレクタの取付構造では、ロールバーが車体後方に開放する断面略凹状の前側ガーニッシュと、車体前方に開放する断面略凹状の後側ガーニッシュとを備え、これら両ガーニッシュが各々の開放側を対向させて内部に空間部を形成した状態で組み付けられている。また、上記両ガーニッシュの開放側端縁の間に、車幅方向内側に開口するスリットが形成されている。一方、ウインドデフレクタの車幅方向両端縁の上端部近傍には、車幅方向外側に突出する突出片部が形成され、これら突出片部を上記ロールバーのスリットに差し込むことで、ロールバーの車幅方向内側にウインドデフレクタが取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−260534号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1では、ロールバーのスリットにウインドデフレクタの突出片部が差し込まれているので、前側ガーニッシュ及び後側ガーニッシュの開放側端部におけるスリット対応箇所には、両ガーニッシュを互いに固定するための固定手段を設けることができず、当該固定手段は上記スリット対応箇所とは異なる箇所に設けられていると考えられる。したがって、ロールバーの間の車体又はトリムに対してウインドデフレクタを脱着する過程等で、ウインドデフレクタに車体前後方向への力が作用すると、前側ガーニッシュ又は後側ガーニッシュの開放側端部におけるスリット対応箇所が車体前後方向に押され、スリットが広がるおそれがある。
【0005】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ロールバーのスリットの広がりを防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、本発明は、挟持部材を介してウインドデフレクタをロールバーに取り付けるようにするとともに、両ガーニッシュを互いに固定する固定手段の一部を挿通させる挿通孔を上記挟持部材に設けたことを特徴とする。
【0007】
具体的には、本発明は、オープンカーの車室後端部に車幅方向に互いに間隔を空けて上方に向けて突設された1対のロールバーの車幅方向内側にウインドデフレクタを取り付けた取付構造を対象とし、次のような解決手段を講じた。
【0008】
すなわち、第1の発明は、上記各ロールバーは、ロールバー本体と、車体後方に開放する断面凹状の本体部を有する前側ガーニッシュと、車体前方に開放する断面凹状の本体部を有する後側ガーニッシュとを備え、上記前側ガーニッシュと上記後側ガーニッシュの両本体部が各々の開放側を対向させて内部に空間部を形成した状態で上記ロールバー本体を覆うとともに、上記両本体部の開放側端縁の間には、車幅方向内側に開口するスリットが形成され、上記前側ガーニッシュ及び後側ガーニッシュのいずれか一方のガーニッシュの本体部の開放側端部におけるスリット対応箇所には、係止孔を有する係止片部が車幅方向外側に向けて一体に突設され、他方のガーニッシュの本体部の開放側端部におけるスリット対応箇所には、挿通片部が当該他方のガーニッシュの開放側に向けて上記空間部内に位置するように一体に突設されているとともに、該挿通片部の先端部には、上記一方のガーニッシュの係止孔を挿通可能な爪部が一体に形成され、上記ウインドデフレクタの車幅方向両端部には、上記ウインドデフレクタの車幅方向端部を車体前後方向両側から挟持する挟持部と、挿通孔を有し、車幅方向外側に向けて突出する突出部とを備えた挟持部材が取り付けられ、上記他方のガーニッシュの爪部が上記一方のガーニッシュの係止孔に挿通されて該係止孔周縁に係止されている一方、上記挟持部材の突出部が上記スリットに挿通されているとともに、上記他方のガーニッシュの挿通片部の基端部が上記挟持部材の挿通孔に挿通されていることを特徴とする。
【0009】
第2の発明は、第1の発明に係るウインドデフレクタの取付構造において、上記他方のガーニッシュの本体部の内面における上記スリットから車幅方向外側に離間した箇所には、規制片部が当該他方のガーニッシュの開放側に向けて一体に突設され、該規制片部の先端部と上記挿通片部の突出方向中途部とは、連結部により一体に連結され、上記挟持部材の突出部の先端部には、延出部が上記他方のガーニッシュの反開放側に向けて一体に延設され、上記規制片部が上記挿通片部の基端部と共に上記挟持部材の挿通孔に挿通されているとともに、上記挟持部材の延出部に車幅方向内側から当接又は微小な間隔を空けて対向することで、当該延出部の車幅方向内側への移動を規制していることを特徴とする。
【0010】
第3の発明は、第1又は第2の発明に係るウインドデフレクタの取付構造において、上記挟持部材は、金属製の芯材と、該芯材を覆うゴム製の被覆体とからなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
第1の発明によれば、前側ガーニッシュ又は後側ガーニッシュの開放側端部におけるスリット対応箇所がウインドデフレクタにより挟持部材を介して車体前後方向に押されても、前側ガーニッシュと後側ガーニッシュとが、両ガーニッシュの本体部の開放側端部におけるスリット対応箇所で爪部と係止孔との係合により固定されているので、スリットが広がりにくい。
【0012】
また、上記他方のガーニッシュの挿通片部を挟持部材の挿通孔に挿通し、他方のガーニッシュの爪部を上記一方のガーニッシュの係止孔に挿通するだけで、両ガーニッシュと挟持部材とを組み付けることができるので、組付け作業が容易である。
【0013】
第2の発明によれば、挟持部材の挟持部に上記他方のガーニッシュの開放方向への力が作用しても、挟持部材の延出部の車幅方向内側への移動が規制されているので、挟持部が突出部を支点として上記他方のガーニッシュの開放方向に回動しにくい。したがって、挟持部材のぐらつきが防止される。
【0014】
また、上記他方のガーニッシュの規制片部の先端部が連結部に支持されているので、当該規制片部に挟持部材の延出部から車幅方向内側への力が作用しても、規制片部が変形しにくい。したがって、挟持部材の延出部の車幅方向内側への移動がより確実に規制され、上記挟持部材のぐらつきがより確実に防止される。
【0015】
第3の発明によれば、挟持部材の外表面の少なくとも一部がゴムで構成されているので、ロールバーのスリット周りが挟持部材との接触で傷付きにくい。また、ロールバーのスリット周りと挟持部材との接触による異音の発生が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態1に係るウインドデフレクタの取付構造を適用したオープンカーの側面図である。
図2】ウインドデフレクタ周りの正面図である。
図3】ウインドデフレクタを取り外した状態を示す図2相当図である。
図4図2のIV−IV線における断面図である。
図5図2のV−V線における断面図である。
図6】挟持部材を車幅方向外側斜め下側から見た斜視図である。
図7】前側ガーニッシュの切欠部周りの図6相当図である。
図8】前側ガーニッシュに挟持部材を取り付けた状態を示す図7相当図である。
図9図8のIX−IX線における断面図である。
図10図8のX−X線における断面図である。
図11】実施形態2の図4相当図である。
図12】実施形態2の図6相当図である。
図13】実施形態2の図7相当図である。
図14】実施形態2の図8相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
【0018】
(実施形態)
図1は、本発明の実施形態1に係るウインドデフレクタ1の取付構造を適用したオープンカー3を示す。該オープンカー3の車室後端部には、フロントフロア(図示せず)の後端に立設されたキックアップ部(図示せず)が車幅方向に連続して配設され、該キックアップ部の上方には、金属製のクロスバー(図示せず)が車体のベルトラインLの高さ付近で車幅方向全体に亘って配設されている。これらキックアップ部及びクロスバーは、樹脂製のトリム4によって車体前方、後方及び上方から覆われている。
【0019】
また、上記クロスバー及びトリム4の上部には、図2及び図3にも示すように、1対の逆U字状のロールバー5が、座席7の後方で車幅方向に互いに間隔を空けて上方に向けて突設されている。
【0020】
各ロールバー5は、図4図5,及び図7図10にも示すように、正面視略U字状に延びる断面円形管状の金属製のロールバー本体9と、正面視略U字状に延び、かつ車体前方に開放する断面略凹状の樹脂からなる後側ガーニッシュ11と、正面視略U字状に延び、かつ車体後方に開放する断面略凹状の樹脂からなる前側ガーニッシュ13とを備え、上記後側ガーニッシュ11と上記前側ガーニッシュ13とが各々の開放側を対向させて内部に空間部Sを形成した状態で上記ロールバー本体9を覆っている。
【0021】
上記ロールバー本体9の車幅方向内側で延びる部分の車幅方向中央部における車体略上下方向中央部の後端部には、車体前後方向に貫通する位置決め孔9aが形成されている。
【0022】
上記後側ガーニッシュ11は、正面視略U字状に延び、かつ車体前方に開放する断面凹状の後側本体部11aを有している。当該後側本体部11aの車幅方向内側の開放側端部における車体上下方向中央部よりも若干上方寄りの箇所には、車体前後方向に貫通する係止孔11cを有する係止片部11bが車幅方向外側に向けて一体に突設されている。上記係止片部11bの係止孔11cの車幅方向外側の外周縁には、突起部11c’が一体に突設されている。また、後側本体部11aの内面における上記ロールバー本体9の位置決め孔9aに対向する箇所には、位置決めピン11dが一体に突設されている。さらに、後側本体部11aの内面には、図5に示す板状の後側補強リブ11eが車体前側に向けて一体に突設され、該後側補強リブ11eの先端縁には、上記ロールバー本体9の外周面との間に微小な間隔を有して該外周面に沿って湾曲する湾曲部11fが形成されている。また、上記後側本体部11aの内周側及び外周側の開放側端部には、車体前後方向に貫通する係合孔(図示せず)を有する複数の係合片部(図示せず)が、互いに間隔を空けて空間部S側に向けて一体に突設されている。
【0023】
一方、上記前側ガーニッシュ13は、車体後方に開放する断面凹状の前側本体部13aを有している。当該前側本体部13aの車幅方向内側の開放側端縁における上記後側ガーニッシュ11の係止片部11bに対応する箇所には、コ字状の切欠部13bが反開放側に凹むように形成されている。当該切欠部13bは、上記前側本体部13aの開放側端縁に沿う底辺部13cと、該底辺部13cの両端から開放側に向けて徐々に車体上下方向に離間するように傾斜して延びる一対の側辺部13dとを有している。切欠部13bの底辺部13cの中央部(前側本体部13aの開放側端縁)には、板面を略車幅方向に向けた略台形板状の挿通片部13eが車体後方(前側ガーニッシュ13の開放側)に向けて徐々に幅を狭めながら車幅方向外側に傾斜するように一体に突設されている。当該挿通片部13eの先端部には、上記後側ガーニッシュ11の係止孔11cを挿通可能な爪部13fが車幅方向外側に向けて一体に膨出形成されている。また、前側本体部13aの内面における上記切欠部13bから車幅方向外側に離間した箇所には、板面を略車幅方向に向けた略台形板状の規制片部としての立壁部13gが車体後側(前側ガーニッシュ13の開放側)に向けて徐々に幅を狭めながら車幅方向内側に傾斜するように一体に突設されている。該立壁部13gの突出方向中途部には、車体上下方向に長い長方形状の貫通孔13hが形成されている。当該立壁部13gの先端部と上記挿通片部13eの突出方向中途部とは、板面を車体前後方向に向けた四角形板状の連結部13iにより一体に連結されている。また、上記連結部13iの車体上側端縁には、板面を車体上下方向に向けた補強板部13jが一体に突設され、該補強板部13jは上記爪部13fよりも基端側の挿通片部13eに車幅方向外側から一体に連結されている。また、前側本体部13aの内面には、図5に示す板状の前側補強リブ13kが車体後方に向けて一体に突設されている。当該前側補強リブ13kの先端縁には、上記ロールバー本体9の外周面との間に微小な間隔を有して該外周面に沿って湾曲する湾曲部13mが形成されている。また、上記前側本体部13aの内周側及び外周側の開放側端部における上記後側ガーニッシュ11の係合片部(図示せず)に対応する箇所には、上記後側ガーニッシュ11の係合孔(図示せず)に挿通係止可能な係合爪部(図示せず)を有する複数の被係合片部(図示せず)が車体後方に向けて一体に突設されている。
【0024】
上記一対のロールバー5の間のトリム4の上面部には、ウインドデフレクタ1が車幅方向に延びるように取り付けられている。このウインドデフレクタ1は、透明なデフレクタ板15と、該デフレクタ板15にその下端部を覆うように取り付けられたカバー部材17とで構成されている。上記カバー部材17には、係合爪17bを有する1対の略板状の取付片部17aが下方に向けて一体に突設され、上記係合爪17bを上記トリム4に固定された取付部材(図示せず)に係止させることで、トリム4の上面部に取り付けられている。
【0025】
また、上記ウインドデフレクタ1のデフレクタ板15の車幅方向両端部の上端部近傍は、上記一対のロールバー5の車幅方向内側に挟持部材19を介して取り付けられている。
【0026】
上記挟持部材19は、図6にも示すように、上記デフレクタ板15の車幅方向両端部の上端部近傍を車体前後方向両側から挟持する一対の挟持板部21aと、該挟持板部21aの車幅方向外側端縁を全体に亘って連結する板状の連結板部21bとを有する挟持部21を備えている。上記挟持板部21aは、平面視で車幅方向内側に向けて徐々に幅狭となる蒲鉾形状をなしている。車体前側の挟持板部21aの車体後側の面には、車体上下方向に延びる1対の突条部21cが車幅方向に間隔を空けて一体に突設されている。上記挟持部21の連結板部21bの車幅方向外側の面には、断面逆への字状に凹む凹部21dが車体上下方向全体に亘って形成されている。また、上記連結板部21bの車幅方向外側の面の車体後側端部の車体上下方向中央部には、その開放側を車幅方向内側に向けた平面視コ字状の略板状の突出部23が車幅方向外側に向けて一体に突設されている。該突出部23は、上記挟持部21との間に、平面視矩形状の挿通孔25を有している。上記突出部23の基端部近傍の車体後側の面には、その先端側が基端側よりも車体前側に位置するように段部23aが形成されている。上記突出部23の先端部には車体上下方向全体に亘って、矩形板状の延出部27が車体前側(前側ガーニッシュ13の反開放側)に向けて車幅方向外側に傾斜するように一体に延設されている。上記延出部27の先端部近傍の車体上下方向中央部には、板状の突出片部29が車幅方向内側に向けて一体に突設されている。
【0027】
上記挟持部材19は、プレス加工によって形成された金属からなる板状の芯材31と、該芯材31を覆うゴム製の被覆体33とからなる。上記芯材31は、車体後側の挟持板部21aに内蔵される平面視矩形状の第1板部31aと、該第1板部31aの車幅方向外側端縁から車体前側に一体に延出して上記連結板部21bに内蔵される矩形板状の第2板部31bと、該第2板部31bの先端縁の両端部から車幅方向外側に一体に突出して上記突出部23に内蔵される平面視略コ字状の第3板部31cと、該第3板部31cの先端縁から車体前側に略垂直に一体に延出して上記延出部27に内蔵される第4板部31dと、上記第4板部31dの先端部の車体上下方向中央部から車幅方向内側に突出して突出片部29を構成する第5板部31eとからなる。上記芯材31の第5板部31eを除く部分は全体に亘って上記被覆体33で覆われている一方、上記芯材31の第5板部31eは露出している。
【0028】
そして、上記後側ガーニッシュ11の後側本体部11aと前側ガーニッシュ13の前側本体部13aとが各々の開放側を対向させて内部に空間部Sを形成した状態で上記ロールバー本体9を覆っている。上記ロールバー本体9の位置決め孔9aに後側ガーニッシュ11の位置決めピン11dが挿入されることで、上記ロールバー本体9に対して後側ガーニッシュ11が車体上下方向及び周方向に位置決めされている。また、上記後側ガーニッシュ11の後側本体部11aの開放側端縁と上記前側ガーニッシュ13の前側本体部13aの切欠部13b(開放側端縁)との間には、車幅方向内側に開口するスリット37が形成されている。したがって、切欠部13bは、前側本体部13aの開放側端部におけるスリット37対応箇所となる。また、前側ガーニッシュ13の挿通片部13eが上記空間部S内に位置し、前側ガーニッシュ13の爪部13fが上記後側ガーニッシュ11の係止孔11cに挿通されて上記後側ガーニッシュ11の突起部11c’の先端面、すなわち係止孔11c周縁に係止されている。一方、上記挟持部材19の突出部23がスリット37に挿通されているとともに、前側ガーニッシュ13の挿通片部13eの基端部と立壁部13gの先端部とが共に挟持部材19の挿通孔25に挿通されている。また、挟持部材19の突出片部29が上記前側ガーニッシュ13の立壁部13gの貫通孔13hに車幅方向外側から挿入されている。これにより、挟持部材19が車体後方に移動して前側ガーニッシュ13から離脱することが防止される。また、挟持部材19の凹部21d内面が上記前側ガーニッシュ13の挿通片部13eの基端部周りに圧接(当接)している。さらに、上記前側ガーニッシュ13の立壁部13gが挟持部材19の延出部27に車幅方向内側から圧接(当接)することで、当該延出部27の車幅方向内側への移動を規制している。また、上記後側ガーニッシュ11の係合孔(図示せず)に、上記前側ガーニッシュ13の係合爪部(図示せず)が挿通係止されている。
【0029】
上述のように構成されたロールバー5を組み付けるには、まず、前側ガーニッシュ13の挿通片部13eを爪部13f及び立壁部13gの先端部と共に挟持部材19の挿通孔25に挿通するとともに、挟持部材19の突出片部29を前側ガーニッシュ13の立壁部13gの貫通孔13hに挿入する。一方、後側ガーニッシュ11の位置決めピン11dをロールバー本体9の位置決め孔9aに挿入することで、ロールバー本体9に対して後側ガーニッシュ11を車体上下方向及び周方向に位置決めする。そして、この状態で、後側ガーニッシュ11の後側本体部11aと前側ガーニッシュ13の前側本体部13aの開放側を対向させ、前側ガーニッシュ13の爪部13fを後側ガーニッシュ11の係止孔11cの内周面に車幅方向内側から押し付ける。また、これと同時に、上記前側ガーニッシュ13の係合爪部(図示せず)を、上記後側ガーニッシュ11の係合孔(図示せず)の周縁に押し付ける。これにより、前側ガーニッシュ13の挿通片部13eが車幅方向内側に撓み、前側ガーニッシュ13の爪部13fが後側ガーニッシュ11の係止孔11cを通過して後側ガーニッシュ11の突起部11c’の先端面に車体後側から当接した状態で係止されるとともに、上記後側ガーニッシュ11の係合孔(図示せず)に、上記前側ガーニッシュ13の係合爪部(図示せず)が挿通係止され、ロールバー5及び挟持部材19の組付けが完了する。このように、前側ガーニッシュ13の挿通片部13eを挟持部材19の挿通孔25に挿通し、前側ガーニッシュ13の爪部13fを後側ガーニッシュ11の係止孔11cに挿通するだけで、両ガーニッシュ11,13と挟持部材19とを組み付けることができるので、組付け作業が容易である。
【0030】
そして、上述のようにロールバー5に組み付けられた挟持部材19の両挟持板部21a間にウインドデフレクタ1の車幅方向両端部を上方から差し込んで下方にスライドさせ、上記取付片部17aの係合爪部17bを上記トリム4に固定された取付部材(図示せず)に係止させることで、ウインドデフレクタ1をロールバー5及びトリム4に取り付ける。
【0031】
したがって、本実施形態1によれば、前側ガーニッシュ13又は後側ガーニッシュ11の開放側端部におけるスリット37対応箇所がウインドデフレクタ1により挟持部材19を介して車体前後方向に押されても、前側ガーニッシュ13と後側ガーニッシュ11とが、前側本体部13aと後側本体部11aの開放側端部におけるスリット37対応箇所で爪部13fと係止孔11cとの係合により固定されているので、スリット37が広がりにくい。
【0032】
また、挟持部材19の挟持部21に車体後方への力が作用しても、挟持部材19の延出部27の車幅方向内側への移動が規制されているので、挟持部21が突出部23を支点として車体後方に回動しにくい。したがって、挟持部材19のぐらつきが防止される。
【0033】
また、前側ガーニッシュ13の立壁部13gの先端部が連結部13iに支持されているので、当該立壁部13gに挟持部材19の延出部27から車幅方向内側への力が作用しても、立壁部13gが変形しにくい。したがって、挟持部材19の延出部27の車幅方向内側への移動がより確実に規制され、挟持部材19のぐらつきがより確実に防止される。
【0034】
さらに、挟持部材19の突出片部29を除く部分の外表面が全体に亘ってゴムで構成されているので、ロールバー5のスリット37周りが挟持部材19との接触で傷付きにくい。また、ロールバー5のスリット37周りと挟持部材19との接触による異音の発生が抑制される。
【0035】
(実施形態2)
図11図14は、本発明の実施形態2に係る取付構造を適用したオープンカー3のウインドデフレクタ1周りを示す。本実施形態2では、前側ガーニッシュ13の前側本体部13aの内面における上記立壁部13g突設箇所に車幅方向外側から隣接する箇所に、板面を車体上下方向に向けた1対の突出板部35が車体上下方向に互いに間隔を空けて一体に突設され、これら突出板部35は、上記立壁部13gの車幅方向外側の面に一体に連結されている。これら突出板部35の先端縁には、突出方向に開放する切欠凹部35aが形成されている。これら突出板部35と上記立壁部13gとで規制片部が構成されている。また、立壁部13gに貫通孔13hが形成されていない。
【0036】
また、上記挟持部材19の突出部23の突出長さが上記実施形態1よりも長く設定されているとともに、延出部27の延出長さも上記実施形態1よりも長く設定され、該延出部27に突出片部29が突設されていない。
【0037】
そして、上記挟持部材19の延出部27の先端部が上記前側ガーニッシュ13の突出板部35の切欠凹部35aに差し込まれている。そして、上記切欠凹部35aの車幅方向内側の内側面が上記挟持部材19の延出部27の先端部に車幅方向内側から当接することで、当該延出部27の車幅方向内側への移動を規制している。さらに、上記切欠凹部35aの車幅方向外側の内側面が上記挟持部材19の延出部27の先端部に車幅方向外側から当接することで、当該延出部27の車幅方向外側への移動を規制している。
【0038】
その他の構成は、実施形態1と同じであるので、同一の構成箇所には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0039】
本実施形態2によれば、実施形態1と同様の効果が得られることに加え、挟持部材19の挟持部21に車体前方への力が作用しても、挟持部材19の延出部27の車幅方向外側への移動が規制されているので、挟持部21が突出部23を支点として車体前方に回動しにくい。したがって、挟持部材19のぐらつきがより確実に防止される。
【0040】
なお、上記実施形態1,2における後側ガーニッシュ11のスリット37周りの構成を前側ガーニッシュ13のスリット37周りに適用し、上記実施形態1,2における前側ガーニッシュ13のスリット37周りの構成を後側ガーニッシュ11のスリット37周りに適用してもよい。例えば、前側ガーニッシュ13に係止片部11bを設けるとともに、後側ガーニッシュ11に挿通片部13e及び爪部13fを設けてもよい。
【0041】
また、上記実施形態1では、前側ガーニッシュ13の立壁部13gを挟持部材19の延出部27に車幅方向内側から当接させたが、微小な間隔を空けて対向させてもよい。
【0042】
同様に、上記実施形態2では、切欠凹部35aの車幅方向内側の内側面を上記挟持部材19の延出部27の先端部に車幅方向内側から当接させたが、微小な間隔を空けて対向させてもよい。
【0043】
さらに、上記実施形態2では、切欠凹部35aの車幅方向外側の内側面を上記挟持部材19の延出部27の先端部に車幅方向外側から当接させたが、微小な間隔を空けて対向させてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、オープンカーの車室後端部に車幅方向に互いに間隔を空けて上方に向けて突設された1対のロールバーの車幅方向内側にウインドデフレクタを取り付けた取付構造として有用である。
【符号の説明】
【0045】
1 ウインドデフレクタ
3 オープンカー
5 ロールバー
9 ロールバー本体
11 後側ガーニッシュ
11a 後側本体部
11b 係止片部
11c 係止孔
13 前側ガーニッシュ
13a 前側本体部
13e 挿通片部
13f 爪部
13g 立壁部(規制片部)
13i 連結部
15 デフレクタ板
19 挟持部材
21 挟持部
23 突出部
25 挿通孔
27 延出部
31 芯材
33 被覆体
35 突出板部(規制片部)
37 スリット
S 空間部
図1
図2
図3
図4
図5
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図14