(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の発光素子は、前記第1の着色光を放射するように構成されており、前記第2の発光素子は、前記第2の着色光を放射するように構成されており、前記コンピュータシステムは、前記エラー信号の生成に応じて、前記第1の着色光を放射させるために、前記第1の発光素子を作動させ、前記エラー信号の生成に応じて、前記第2の着色光の放射を中断させるために、前記第2の発光素子を作動停止させるように構成されている、請求項1に記載のナビゲーションシステム。
前記追跡ヘッドは、前記対象物に取り付けられるように構成された追跡本体を備えており、前記追跡本体は、光リングを備えており、前記第1および第2の発光素子は、前記光リングを照明するために、前記光リングの内側に位置するように前記追跡本体に取り付けられている、請求項2に記載のナビゲーションシステム。
前記第1の発光素子は、前記コンピュータシステムが前記エラー信号を生成したときに前記光リングが前記第1の着色光によって照明され、前記第1の着色光を放射するように構成された発光ダイオードであり、前記第2の発光素子は、前記センサが前記追跡信号を受信したと前記コンピュータシステムが判断したとき、前記光リングが前記第2の着色光によって照明され、前記第2の着色光を放射するように構成された発光ダイオードである、請求項3に記載のナビゲーションシステム。
前記追跡本体は、上面、底面、および側面を備えており、前記追跡本体は、前記側面に画定された光開口を画定しており、前記第1および第2の発光素子の一方から光が前記光開口を通って放射されるようになっている、請求項3に記載のナビゲーションシステム。
前記センサは、視野を有しており、前記追跡素子は、前記少なくとも3つの光学的追跡素子が前記視野内にあるように前記対象物に取付け可能になっている、請求項1に記載のナビゲーションシステム。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1を参照すると、ナビゲーションシステム20が示されている。医療施設の手術室のような外科手術環境におけるナビゲーションシステム20が示されている。ナビゲーションシステム20は、手術室内の種々の対象物の運動を追跡するために設置されている。このような対象物として、例えば、外科用器具22、患者の大腿骨F、および患者の頸骨Tが挙げられる。ナビゲーションシステム20は、外科医に対するこれらの対象物の相対的な位置および方位を表示する目的で、場合によっては、所定の経路または解剖学的境界に対する外科用器具22の運動を制御または拘束する目的で、これらの対象物を追跡するようになっている。
【0016】
ナビゲーションシステム20は、ナビゲーションコンピュータ26を収容するコンピュータカートアセンブリ24を備えている。ナビゲーションインターフェイスが、ナビゲーションコンピュータ26と操作可能に連通している。ナビゲーションインターフェイスの例として、無菌領域の外側に配置されるように構成された第1のディスプレイ28と、無菌領域の内側に配置されるように構成された第2のディスプレイ29が挙げられる。ディスプレイ28,29は、コンピュータカートアセンブリ24に調整可能に取り付けられている。マウスおよびキーボードのような第1および第2の入力装置30,32を用いて、情報をナビゲーションコンピュータ26に入力するかまたはナビゲーションコンピュータ26のいくつかの態様を選択/制御することができる。ディスプレイ28,29上のタッチスクリーン(図示せず)または音声駆動装置を含む他の入力装置も考えられる。
【0017】
定位装置34が、ナビゲーションコンピュータ26と連通している。図示されている実施形態では、定位装置34は、光学的定位装置であり、(検出装置とも呼ばれる)カメラユニット36を備えている。カメラユニット36は、1つまたは複数の位置センサ40を収容する外側ケーシング38を有している。いくつかの実施形態では、少なくとも2つ、好ましくは、3つの光学センサ40が用いられている。これらの光学センサ40は、3つの独立した電荷結合素子(CCD)であるとよい。一実施形態では、3つの一次元CCDが用いられている。他の実施形態では、各々が独立した1つまたは2つ以上のCCDを有する個別のカメラユニットが、手術室の周辺に配置されていてもよいことを理解されたい。CCDは、赤外線(IR)信号を検出するようになっている。
【0018】
理想的には障害物によって遮られることなく、以下に述べるトラッカーの視野内に入るように光学センサ40を位置決めするために、カメラユニット36は、調整可能なアームに取り付けられている。
【0019】
カメラユニット36は、光学センサ40から信号を受信するために、光学センサ40に連通するカメラ制御装置42を備えている。カメラ制御装置42は、有線接続または無線接続(図示せず)のいずれかを介してナビゲーションコンピュータ26に連通している。このような接続の1つは、高速通信およびアイソクロナス実時間データ転送のためのシリアルバスインターフェイス標準であるIEEE1394インターフェイスであるとよい。また、この接続は、個別企業特有のプロトコルを用いることもできる。他の実施形態では、光学センサ40は、ナビゲーションコンピュータ26と直接連通していてもよい。
【0020】
位置および方位に関する信号および/またはデータは、対象物を追跡する目的でナビゲーションコンピュータ26に送信される。コンピュータカートアセンブリ24、ディスプレイ28、およびカメラユニット36は、2010年5月25日にMalackowskiらに刊行された「外科システム」と題する米国特許第7,725,162号に記載されているものと同様であるとよい。この文献は、参照することによって、ここに含まれるものとする。
【0021】
ナビゲーションコンピュータ26は、パーソナルコンピュータであってもよいし、またはラップトップコンピュータであってもよい。ナビゲーションコンピュータ26は、ディスプレイ28,29、中央処理ユニット(CPU)および/または他のプロセッサ、メモリ(図示せず)、および記憶装置(図示せず)を有している。ナビゲーションコンピュータ26には、以下に述べるようなソフトウエアがロードされる。このソフトウエアは、カメラユニット36から受信した信号を追跡されている対象物の位置および方位を表すデータに変換するものである。
【0022】
ナビゲーションシステム20は、ここではトラッカーとも呼ばれる複数の追跡装置44,46,48を備えている。図示されている実施形態では、1つのトラッカー44は、患者の大腿骨Fに固定して取り付けられており、他のトラッカー46は、患者の頸骨Tに固定して取り付けられている。トラッカー44,46は、骨の区域に固定して取り付けられている。トラッカー44,46は、米国特許第7,725,162号に示されているような方法によって大腿骨Fおよび頸骨Tに取り付けられているとよい。この文献は、参照することによって、ここに含まれるものとする。他の取付け方法については、以下にさらに説明する。さらなる実施形態では、トラッカー(図示せず)は、膝蓋骨の位置および方位を追跡するために、膝蓋骨に取り付けられている、さらに他の実施形態では、トラッカー44,46は、他の種類の組織または解剖学的構造の他の部分に取り付けられていてもよい。
【0023】
器具トラッカー48は、外科用器具22に固定して取り付けられている。器具トラッカー48は、製造中に外科用器具22に一体化されていてもよいし、または外科手術手順の準備中に外科用器具22に個別に取付けられてもよい。追跡される外科用器具22のワーク端は、回転バール、電気融除装置、などであるとよい。
【0024】
トラッカー44,46,48は、内部電池によって電力供給されるバッテリであってもよいし、またはカメラユニット36と同様、好ましくは、外部電力を受給するナビゲーションコンピュータ26を介して受電するリード線を有していてもよい。
【0025】
図示されている実施形態では、外科用器具22は、外科用マニピュレータのエンドエフェクタである。このような構成は、2013年8月2日に出願された「外科用器具を多重モードで制御することができる外科用マニュピュレータ」と題する米国特許出願第13/958,070号に示されている。この文献の開示内容は、参照することによって、ここに含まれるものとする。
【0026】
他の実施形態では、外科用器具22は、どのような切断ガイド、ジブ、またはマニピュレータまたはロボットのような他の拘束機構を用いることなく、ユーザーの手のみによって手動で位置決めされてもよい。このような外科用器具は、2012年8月31日に出願された「ハウジング、ハウジングから延在する切断付属具、およびハウジングに対する切断付属具の位置を定めるアクチュエータを備える外科用器具」と題する米国特許出願第13/600,888号に記載されている。この文献の開示内容は、参照することによって、ここに含まれるものとする。
【0027】
定位装置34の光学センサ40は、トラッカー44,46,48から光信号を受信するようになっている。図示されている実施形態では、トラッカー44,46,48は、能動トラッカーである。この実施形態では、各トラッカー44,46,48は、光信号を光学センサ40に送信するための少なくとも3つの能動追跡素子またはマーカー50を有している。能動マーカー50は、例えば、赤外線のような光を送信する発光ダイオード(LED)50とすることができる。光学センサ40は、好ましくは、100Hz以上、さらに好ましくは、300Hz以上、最も好ましくは、500Hz以上のサンプリング周波数を有している。いくつかの実施形態では、光学センサ40は、1000Hzのサンプリング周波数を有している。サンプリング周波数は、光学センサ40が連続的に作動されるLED50から受信する光信号の周波数である。いくつかの実施形態では、LED50からの光信号は、各トラッカー44,46,48に対して異なる周波数で放射されるようになっている。
【0028】
図2を参照すると、LED50の各々は、関連するトラッカー44,46,48のハウジング(図示せず)内に配置されたトラッカー制御装置62に接続されている。トラッカー制御装置62は、ナビゲーションコンピュータ26に対してデータを送信/受信するものである。一実施形態では、トラッカー制御装置62は、有線接続を介して、約数メガバイト/秒のデータをナビゲーションコンピュータ26に送信するようになっている。他の実施形態では、無線接続が用いられてもよい。これらの実施形態では、ナビゲーションコンピュータ26は、トラッカー制御装置62からデータを受信する送受信機(図示せず)を有している。
【0029】
他の実施形態では、トラッカー44,46,48は、カメラユニット36から放射された光を反射する反射器のような受動マーカー(図示せず)を有していてもよい。反射された光は、光学センサ40によって受信される。能動マーカー構成および受動マーカー構成は、当技術分野においてよく知られている。
【0030】
トラッカー44,46,48の各々は、トラッカー44,46,48の角速度を測定する3次元ジャイロセンサ60も備えている。当業者によく知られているように、ジャイロセンサ60は、ジャイロ座標系のx軸、y軸、およびz軸に対する角速度を表す測定値を出力するものである。ジャイロ座標系のx軸、y軸、およびz軸の各々に対する度(°)/秒の測定値を得るために、これらの測定値に対して製造業者によって規定された変換定数が掛けられる。これらの測定値は、ラジアン/秒の単位で表わされる角速度ベクトルに変換することができる。
【0031】
ジャイロセンサ60によって測定された角速度は、トラッカー44,46,48を追跡するための追加的な非光学的運動データをナビゲーションシステム60にもたらすことになる。ジャイロセンサ60は、トラッカー44,46,48の各座標系の軸に沿って配向されているとよい。他の実施形態では、各ジャイロ座標系は、ジャイロデータがトラッカー44,46,48の座標系のx軸、y軸、およびz軸に対する角速度を反映すべく、該当するトラッカー座標系に変換されるようになっている。
【0032】
トラッカー44,46,48の各々は、3軸加速度計70も備えている。加速度計70は、加速度座標系のx軸、y軸、およびz軸の各々に沿った加速度を測定するものである。加速度計70は、トラッカー44,46,48を追跡するための追加的な非光学的データをナビゲーションシステム20にもたらすことになる。
【0033】
加速度計70は、トラッカー44,46,48の各座標系の軸に沿って配向されているとよい。他の実施形態では、各加速度計座標系は、加速度計データがトラッカー44,46,48の座標系のx軸、y軸、およびz軸に対する加速度を反映すべく、該当するトラッカー座標系に変換されるようになっている。
【0034】
ジャイロセンサ60および加速度計70の各々は、関連するトラッカーのハウジング内に配置されたトラッカー制御装置62に連通している。トラッカー制御装置62は、データをナビゲーションコンピュータ26に対して送信/受信するものである。このデータは、有線接続または無線接続のいずれかを介して受信可能になっている。
【0035】
ナビゲーションコンピュータ26は、ナビゲーションプロセッサ52を備えている。カメラユニット36は、トラッカー44,46,48のLED50から光学信号を受信し、定位装置34に対するトラッカー44,46,48のLED50の位置に関する信号および/またはデータをプロセッサ52に出力するものである。ジャイロセンサ60は、ジャイロセンサ60によって測定された3次元角速度に関する非光学信号をプロセッサ52に送信するものである。受信した光学信号および非光学信号に基づいて、ナビゲーションプロセッサ52は、定位装置34に対するトラッカー44,46,48の相対的な位置および方位を表すデータを生成するものである。
【0036】
ナビゲーションプロセッサ52は、ナビゲーションコンピュータ26の操作を制御する1つまたは複数のプロセッサを含むことができることを理解されたい。これらのプロセッサは、どのような種類のマイクロプロセッサまたは多重プロセッサシステムであってもよい。「プロセッサ」という用語は、単一プロセッサに制限されることを意図していない。
【0037】
外科手術手順の開始の前、追加的なデータがナビゲーションプロセッサ52にロードされる。トラッカー44,46,48の位置および方位ならびに予めロードされたデータに基づいて、ナビゲーションプロセッサ52は、外科用器具22のワーク端の位置およびワーク端が押し付けられる組織に対する外科要器具22の方位を決定する。いくつかの実施形態では、ナビゲーションプロセッサ52は、これらのデータをマニピュレータ制御装置54に送信する。マニピュレータ制御装置54は、このデータを用いて、2013年8月2日に出願された「外科用器具を多重モードで制御することができる外科用マニピュレータ」と題する米国特許出願第13/958,070号に記載されているように、ロボットマニピュレータ56を制御することができる。この文献の開示内容は、参照することによって、ここに含まれるものとする。
【0038】
また、ナビゲーションプロセッサ52は、外科部位に対する外科用器具のワーク端の相対位置を示す画像信号も生成する。これらの画像信号は、ディスプレイ28,29に送られる。ディスプレイ28,29は、これらの信号に基づいて、外科医およびスタッフが外科部位に対する外科用器具のワーク端の相対位置を見ることができる画像を生成する。前述したように、ディスプレイ28,29は、指令の入力を可能にするタッチスクリーンまたは他の入力/出力装置を備えているとよい。
【0039】
図3を参照すると、対象物の追跡は、概して、定位装置座標系LCLZに基づいて行なわれる。定位装置座標系は、原点および方位(x軸、y軸、およびz軸の組合せ)を有している。
【0040】
追跡されている各トラッカー44,46,48および対象物も、定位装置座標系LCIZとは別の独自の座標系を有している。ナビゲーションシステム20の独自の座標系を有する構成要素は、骨トラッカー44,46および器具トラッカー48である。これらの座標系は、それぞれ、骨トラッカー座標系BTRK1,BTRK2、および器具トラッカー座標系TLTRとして表わされている。
【0041】
ナビゲーションシステム20は、骨に固定して取り付けられた骨トラッカー44,46の位置を監視することによって、患者の大腿骨Fおよび頸骨Tの位置を監視する。大腿骨座標系は、FBONEであり、頸骨座標系は、TBONEであり、これらは、骨トラッカー44,46が固定して取り付けられた骨の座標系である。
【0042】
手術手順の開始の前に、大腿骨Fおよび頸骨T(他の実施形態では、他の組織)の術前画像が生成される。これらの画像は、患者の解剖学的構造の磁気共鳴撮像(MRI)スキャン、放射線スキャン、またはコンピュータ断層(CT)スキャンに基づいているとよい。これらの画像は、当技術分野においてよく知られている方法によって、大腿骨座標系FBONEおよび頸骨座標系TBONEにマッピングされる。一実施形態では、(参照することによって、ここに含まれる)Malackowskiらに付与された米国特許第7,725,162号に開示されているような独自のトラッカーPTを有するポインター器具P(
図2参照)を用いて、大腿骨座標系FBONEおよび頸骨座標系TBONEを術前画像にマッピングするとよい。これらの画像は、大腿骨座標系FBONEおよび頸骨座標系TBONEに固定されることになる。
【0043】
手術手順の最初の過程において、骨トラッカー44,46は、患者の骨に固定して取付けられる。座標系FBONEおよびTBONEの姿勢(位置および方位)は、それぞれ、座標系BTRK1およびBTRK2にマッピングされる。骨とそれらの骨トラッカー44,46との間のこの固定された関係によって、座標系FBONEおよびTBONEは、それぞれ、手術手順の全体を通して、座標系BTRK1およびBTRK2に対して固定されることになる。姿勢を表すデータは、マニピュレータ制御装置54およびナビゲーションプロセッサ52の両方と一体のメモリに記憶される。
【0044】
(エネルギー付与装置遠位端とも呼ばれる)外科用器具22のワーク端は、独自の座標系EAPPを有している。座標系EAPPの原点は、例えば、外科用切断バールの中心軌跡を表しているとよい。座標系EAPPの姿勢は、手術手順が開始する前に、器具トラッカー座標系TLTRの姿勢に固定される。従って、これらの座標系EAPP,TLTRの互いに対する姿勢が、決定されることになる。姿勢を表すデータは、マニピュレータ制御装置54およびナビゲーションプロセッサ52の両方と一体のメモリに記憶される。
【0045】
図2を参照すると、定位エンジン100は、ナビゲーションシステム20の判断部分であるソフトウエアモジュールである。定位エンジン100の構成要素は、ナビゲーションプロセッサ52上で作動する。いくつかの態様では、定位エンジン100は、マニピュレータ制御装置54上で作動するようになっていてもよい。
【0046】
定位エンジン100は、カメラ制御装置42からの光学的信号およびトラッカー制御装置62からの非光学的信号を入力として受信する。これらの信号に基づき、定位エンジン100は、定位装置座標系LCLZにおける骨トラッカー座標系BTRK1およびBTRK2の姿勢を決定する。器具トラッカー48に対して受信した同じ信号に基づき、定位エンジン100は、定位装置座標系LCLZにおける器具トラッカー座標系TLTRの姿勢を決定する。
【0047】
定位エンジン100は、トラッカー44,46.48の姿勢を表す信号を座標変換装置102に転送する。座標変換装置102は、ナビゲーションプロセッサ52上で作動するナビゲーションシステムソフトウエアモジュールである。座標変換装置102は、患者の術前画像と患者トラッカー44,46との間の関係を定めるデータを参照する。また、座標変換装置102は、器具トラッカー48に対する外科用器具22のワーク端の姿勢を表すデータを記憶している。
【0048】
手術手順中に、座標変換装置102は、定位位置34へのトラッカー44,46,48の相対姿勢を示すデータを受信する。これらのデータおよび予めロードされたデータに基づき、座標変換装置102は、定位装置座標系LCLZに対する座標系EAPPおよび骨座標系FBONEおよびTBONEの両方の相対的な位置および方位を示すデータを生成する。
【0049】
その結果、座標変換装置102は、器具ワーク端が押し付けられる組織(例えば、骨)に対する外科用器具22のワーク端の位置および方位を示すデータを生成することになる。これらのデータを表す画像信号は、ディスプレイ28,29に送信され、外科医およびスタッフは、この情報を見ることができる。いくつかの実施形態では、これらのデータを表す他の信号が、マニピュレータ56および外科用器具22の対応する運動を制御するために、マニピュレータ制御装置54に送信されてもよい。
【0050】
定位装置座標系LCLZにおけるトラッカー座標系BTRK1,BTRK2,TLTRの各々の姿勢を決定するためのステップ、および大腿骨Fおよび頸骨Tに対するトラッカー44,46,48の姿勢および外科用器具22の対応する姿勢を決定するためのシステムおよび方法は、2013年9月24日に出願された「光学センサおよび非光学センサを備えるナビゲーションシステム」と題する米国特許出願第14/035,207号にさらに詳細に記載されている。この文献の開示内容は、参照することによって、ここに含まれるものとする。
【0051】
いくつかの実施形態では、1つのLED50のみが複数の光学センサ40によって一度に読み取られてもよい。カメラ制御装置42は、Malackowskiらに付与された米国特許第7,725,162号に記載されているように、(カメラユニット36およびトラッカー44,46,48上の)1つまたは複数の赤外線または高周波(RF)送受信機を介してまたは有線接続を介して、LED50の作動を制御するようになっているとよい。この文献は、参照することによって、ここに含まれるものとする。代替的に、トラッカー44,46,48は、(例えば、トラッカー44,46,48のスイッチによって)、局所的に作動され、これによって、いったん作動されたなら、カメラ制御装置42からの指令を受けることなく、そのLED50を連続的に作動させるようになっていてもよい。
【0052】
トラッカー44,46の一実施形態が、
図4〜
図6に示されている。トラッカー44,46は、骨に取り付けられかつ骨に対して適所に固定されるように、構成されている。その結果、骨の運動がトラッカー44,46の対応する同様の運動をもたらすことになる。ナビゲーションシステム20のいくつかの態様では、トラッカー44,46の両方が、同一のまたは実質的に同一の構成要素を備えている。他の態様では、トラッカー44,46の1つまたは複数の構成要素が互いに異なっていてもよい。簡単にするために、以下、トラッカー44のみについて説明するが、トラッカー46は、トラッカー44と同一または実質的に同一であるとよいことを理解されたい。
【0053】
図4〜
図6を参照すると、トラッカー44は、患者の解剖学的構造に取り付けるための基部を備えている。基部は、追跡される解剖学的構造に直接または他の組織を介して取付け可能になっている。図示されている実施形態では、基部は、患者の骨、例えば、大腿骨Fに取り付けるための骨プレート200である。複数の固定具が、骨プレート200を適所に固定している。一実施形態では、固定具は、骨ネジ202である。
【0054】
骨プレート200は、骨に係合するための複数の突起を備えている。図示されている実施形態では、突起は、スパイク204である。いったん骨プレート200が1つまたは複数の骨ネジによって適所に固定されたなら、スパイク204が骨に対する骨プレート200の回転を阻止することになる。
【0055】
延長アーム206が、骨プレート200に取り付けられている。延長アーム206は、骨ネジ202の1つによって骨プレート200に固定される基部プレート208を有している。延長アーム206は、基部プレート208から取付端210に向かってC字状に湾曲して延在している。
【0056】
追跡ヘッド212が、延長アーム206の取付端210に連結されている。追跡ヘッド212は、追跡素子を備えている。追跡素子は、図示かつ記載されている実施形態では、LED50、ジャイロセンサ60(図示せず)、および加速度計70(図示せず)である。これらの追跡素子は、前述したように、作用する。さらなる実施形態では、追跡ヘッド212は、他の種類の追跡素子、例えば、高周波受信機および/または高周波送信機、磁場センサおよび/または磁場生成器、受動反射ボール、超音波送信機および/または超音波受信機、などを備えていてもよい。
【0057】
コネクタアセンブリ214が、追跡ヘッド212を延長アーム206に連結している。コネクタアセンブリ214は、追跡ヘッド212を2自由度の運動を可能にするように支持している。図示されている実施形態では、追跡ヘッド212は、コネクタアセンブリ214を介して、支持アーム206の取付端210に回転可能および傾斜可能に取り付けられている。
【0058】
図7〜
図10を参照すると、骨プレート200がさらに詳細に示されている。骨プレート200は、略三角形状であり、各スパイク204(
図9参照)間において凹んでいる。この凹みは、骨プレート200が固定される骨または他の組織の形状と一致しているかまたは適合している。
【0059】
骨プレート200は、3つの測面220,222,224を有する上下面216,218を有している。側面220,222,224は、上下面216,218間に延在している。骨プレート200の凹みは、約5mmから約50mmの範囲内にある上面216の曲率半径R1および約5mmから約50mmの範囲内にある底面218の曲率半径R2によって与えられる(
図9参照)。他の実施形態では、曲率半径R1は、約15mmから約35mmの間であり、曲率半径R2は、約15mmから約35mmの間である。
【0060】
3つのスパイク204は、面218,220,222,224の一体延長部として形成されている。各スパイク204は、鋭利な先端226を有している(
図10参照)。鋭利な先端226は、底面218と2つの隣接側面220,222,224の交差点の近くに形成されている。底面218は、各スパイク204に沿って鋭利な先端226に円弧状に延在し、鋭利な先端226に緩慢なテーパを形成している。底面218は、鋭利な先端226間において略凹状に形作られている。
【0061】
鋭利な先端226は、骨プレート200が骨に固定されるとき、骨膜のような軟組織を切り開いて骨に入り込むように、形成されている。1つまたは複数の鋭利な先端226が骨に入り込むと、これらの鋭利な先端226は、骨ネジ202の1つまたは複数と連係して骨に対する骨プレート200の運動を阻止することになる。
【0062】
また、鋭利な先端226は、骨内に係合したとき、骨プレート200の下方および骨の表面の上方に空間をもたらすように、骨プレート200を支持する。場合によっては、筋肉、靭帯、などの組織が、骨プレート200が固定される骨の上に存在することがある。この組織を、骨への鋭利な先端226の係合に悪影響を与えることなく、この空間内に取り込むことができる。
【0063】
骨ネジ202を受け入れるために、骨プレート200を貫通する3つの開口228が画定されている。これらの3つの開口228は、
図10に示されている断面形状を有している。この形状の一実施形態が、(参照することによって、ここに含まれる)Wolterに付与された米国特許第6,332,562号に示されている。このような形状は、
図11〜
図15に示されている骨ネジ202のネジ付きヘッド205受け入れるためのものである。
【0064】
開口228の各々は、軸Aの周りに画定されている。各開口228は、内面234によって画定された略円筒状の貫通孔230を備えている。貫通孔230は、軸Aを中心とする孔である。
【0065】
一体フランジ232が、貫通孔230内において、半径方向内方、すなわち、軸Aに向かって延在するように、配置されている。フランジ232は、骨プレート200の上下面216,218から離間している。このフランジ232は、軸Aを中心として環状にかつ軸Aと略直交して配置されている。フランジ232の断面には、内面234から端面236に向かってテーパが付されている。端面236は、(部番が付されていない)円筒状の開口を画定している。フランジ232のテーパは、上下面240,242によって対称的に形成されている。上面240は、端面236から内面234に鋭角αで延在している。下面242は、端面236から内面234に(ただし、上面240と反対の方向に)同一の鋭角αで延在している。
【0066】
図7を再び参照すると、凹部244が骨プレート200の上面216に画定されている。凹部244は、延長アーム206の基部プレート208の嵌入を可能にするために、略矩形状になっている。基部プレート208は、いったん凹部244内に配置された延長アーム206が骨プレート200に対して実質的に回転しないように、寸法決めされている。
【0067】
中心開口246が、凹部244内に配置され、骨プレート200を貫通するように画定されている。中心開口246は、開口228と同じように骨ネジ202を受け入れるようになっているが、開口228と異なる断面を有している。中心開口246は、その位置において骨プレート200と実質的に直交する単一直径の略円筒状の貫通孔である。
【0068】
図9に示されているように、軸Cが貫通孔246の中心を画定している。各開口228は、軸Cから等距離で離間している。加えて、これらの開口228は、開口228の各々の軸Aを通るように画定された仮想円の周囲に沿って、互いに周方向に等しく離間している(
図8参照)。
【0069】
図10を参照すると、取り付けられたときに、骨プレート200に対する鉛直方向ベクトルVが、軸Cに沿って患者の解剖学的構造に向かって下方に延在するように、画定されている。鉛直方向ベクトルVに対して鋭角βで配置された傾斜方向ベクトルIが、軸Aに沿って下方に向かうように画定されている。一実施形態では、これらの傾斜方向ベクトルIは、鉛直方向Vの方に略向かって延在し、軸Cに沿った同一点INTにおいて鉛直方向ベクトルVと交差している。この配向は、骨プレート200に作用する力による骨ネジ202の引抜きを阻止するのを助長することになる。
【0070】
骨プレート200は、ステンレス鋼、コバルト基合金、バイオセラミック、チタン合金、チタン、または他の生体適合性材料から形成されているとよい。
【0071】
骨ネジ202が、
図11〜
図15に示されている。一実施形態では、骨ネジは、米国特許第6,322,562号に示されているものと同様である。この文献は、参照することによって、ここに含まれるものとする。骨ネジ202の各々は、骨に係合するための自己タッピングネジ山203を有している。骨ネジ202は、開口228のフランジ232に係合するためのネジ付きヘッド205も備えている。骨ネジ202は、取り付けられる組織に依存して、種々の大きさを有することができる。例えば、もし骨プレート200が膝蓋骨に取り付けられるように構成されているなら、より小さい骨ネジが利用されるとよい。もし骨プレート200が体の他の骨よりも通常硬くなっている頸骨に取り付けられるなら、より小さい骨ネジが用いられるとよい。軟質骨の場合、該骨内により深く埋め込まれるより長い骨ネジが望ましい。
【0072】
図16〜
図20は、延長アーム206をより詳細に示している。延長アーム206の基部プレート208は、プレート開口252を画定している。プレート開口252は、開口228と同一の形状および大きさを有している。プレート開口252は、開口228と同一の特徴を有している。この特徴については、さらに説明しない。プレート開口252は、開口228と同じように、骨ネジ202のような中心固定具を受け入れるようになっている。図示されている実施形態では、骨ネジ202がプレート開口252および中心開口246を通って骨に固定されるとき、基部プレート208は、骨プレート200に対する基部プレート208の圧縮によって、骨プレート200に固定されることになる。
【0073】
円弧状セグメント254が、基部プレート208から取付端210に延在している。リブ256が、基部プレート208上に部分的に配置され、円弧状セグメント254に沿って延在し、取付端210で終端している。リブ256は、延長アーム206の屈曲、座屈、捻れ、または他の変形を防ぐために、延長アーム206に追加的な剛性をもたらすものである。
【0074】
取付面258が、延長アーム206の取付端210に配置されている。取付面258は、コネクタアセンブリ214および追跡ヘッド212を支持するように構成されている。取付面258は、略平坦である。ネジ付き調整固定具261を受け入れるためのネジ付き開口260が、取付端210を貫通するように画定されている(
図4参照)。
【0075】
延長アーム206は、骨プレート200および追跡ヘッド212を相互接続するものである。延長アーム206は、追跡ヘッド212の追跡素子(例えば、LED50)を骨プレート200から離間させている。追跡素子は、このように離間され、解剖学的構造の上方に延在し、これによって、追跡素子とカメラユニット36の光学センサ40との間に見込まれる見通し線を改良することができる。
【0076】
図21を参照すると、延長アーム206は、トラッカーヘッド212と骨プレート200との間に組織受け領域262を画定するように、略C字状に形作られている。組織受け領域262は、骨プレート200が骨に取付けられるとき、骨プレート200の上方に皮膚、脂肪、筋肉、などのような軟組織を受け入れるように、構成されている。
【0077】
組織受け領域262によって、ユーザーは、軟組織を骨から後退させ、骨プレート200を骨に直接取り付け、次いで、軟組織を骨プレート200の上方の位置に戻すことが可能になる。従って、全外科手術手順を通して、軟組織を絶えず後退させておく必要がない。
図21は、骨プレート200が大腿骨Fに取り付けられている間に組織受け領域262内に位置する皮膚、脂肪、筋肉、および筋膜の層を示している。具体的には、鋭利な先端226が、骨膜を通して、大腿骨Fの硬質皮質骨内に入り込むことになる。
【0078】
骨プレート200は、単皮質的に骨内に固定して取り付けられる。「単皮質的」は、骨ネジ202が、外側から皮質骨層に一度しか入り込まないことを意味している。
【0079】
延長アーム206は、ステンレス鋼、コバルト基合金、バイオセラミック、チタン合金、チタン、または他の生体適合性材料から形成されているとよい。
【0080】
図22を参照すると、追跡ヘッド212は、複数のLED50、ジャイロセンサ60(図示せず)、加速度計70(図示せず)、および信号をカメラユニット36とナビゲーションコンピュータ26との間で送受信するための送受信機(図示せず)を備えている。追跡ヘッド212は、前述したように、有線接続を介してナビゲーションコンピュータ26に接続されていてもよい。
【0081】
追跡ヘッド212は、コネクタアセンブリ214に取り付けるための第1のヒンジ部材264を備えている。第1のヒンジ部材264は、ネジなし孔268を画定している。
【0082】
コネクタアセンブリ214は、
図4および
図23〜
図26に示されている。コネクタアセンブリ214は、追跡ヘッド212および延長アーム206を相互接続するためのコネクタ270を備えている。コネクタ270は、1対の第2のヒンジ部材278を備えている。第1のヒンジ部材264を受け入れるための空間280が、第2のヒンジ部材278間に画定されている。第2のヒンジ部材278の一方は、ネジなし孔282を有しており、他方は、ネジ付き孔284を有している。ネジ付き調整固定具286(
図4参照)が、ネジなし孔を通って、ネジ付き孔284内に入るようになっている。
【0083】
調整固定具286を締め付けると、第2のヒンジ部材278が互いに引き寄せられ、第1のヒンジ部材264を圧縮する。これによって、第2のヒンジ部材278に対する第1のヒンジ部材264の運動が阻止される。調整固定具286を緩めると、第2のヒンジ部材278が非圧縮位置に戻り、第1のヒンジ部材264が空間280内において自在に運動可能になる。
【0084】
ヒンジ部材264,278によって形成されたヒンジを介して、追跡ヘッド212を骨プレート200に対して傾斜させることができる。この傾斜は、旋回軸P(
図5参照)を中心とする1自由度の運動である。旋回軸Pは、孔268,282,284の中心によって画定されている。
【0085】
コネクタ270は、回転基部290も有している。回転基部290は、第2のヒンジ部材278と一体になっている。回転基部290は、取付面258と嵌合するための(部番が付されていない)平坦な底面を有している。
【0086】
回転基部290は、開口292を画定している。開口292は、調整固定具261の(個別に部番が付されていない)切頭円錐ヘッドを受け入れるように形作られている(
図4参照)。開口292は、円筒孔294も有している。孔294は、調整固定具261の(個別に部番が付されていない)ネジ付きシャフトが、孔294を通って延長アーム206の取付端210のネジ付き開口260に入るように、形作られている。
【0087】
調整固定具261を締め付けると、回転基部290は、取付面258に対して引き寄せられる。回転基部290の底面と取付面258との間の摩擦によって、取付面258に対するコネクタ270の回転運動が阻止される。調整固定具261を緩めると、コネクタ270は、取付面258に対して自在に回転することができる。従って、追跡ヘッド212は、骨プレート200に対して回転することができる。回転軸Rを中心とする1自由度の回転が生じることになる(
図5および
図6参照)。回転軸Rは、孔294およびネジ付き開口260の中心によって画定されている。
【0088】
追跡素子のいくつか、例えば、LED50は、光学センサ40に対する見通し線に依存して、追跡信号を光学センサ40に送信する。その結果、これらの追跡素子は、見通し線追跡素子とも呼ばれている。これらの追跡素子は、カメラユニット36の視野内に位置し、カメラユニット36への追跡信号の送信が遮られてはならない。場合によっては、1つまたは複数の追跡素子の信号経路が遮られたとき、エラーメッセージが生成されるようになっている。
【0089】
ナビゲーションシステム20の光学センサ40は、LED50からの信号を受信するように構成されている。ナビゲーションシステム20は、前述したように、LED50の作動を制御し、これによって、ナビゲーションシステム20は、信号がいつ受信されるべきかを予期することができる。LED50からの予期された信号が受信されないとき、1つの可能性として、信号経路が遮られ、カメラユニット36への信号の送信が阻止されていることが挙げられる。他の可能性として、LED50が適切に機能していないことが挙げられる。
【0090】
ナビゲーションコンピュータ26は、もし光学センサ40の任意の1つがLED50から信号を受信しなかったなら、仮に他のセンサ40が信号を受信していても、エラーが生じたと判断する。他の実施形態では、ナビゲーションコンピュータ26は、もし光学センサ40のいずれもが信号を受信しなかったなら、エラーが生じたと判断する。いずれの場合も、ナビゲーションシステム20が、1つまたは複数のセンサ40が1つまたは複数のLED50から信号を受信しなかったことに基づいて、エラーが生じたと判断したとき、エラー信号がナビゲーションコンピュータ26によって生成される。次いで、エラーメッセージが、ディスプレイ28,29上に表示される。また、ナビゲーションコンピュータ26は、エラー信号をトラッカー制御装置62に送信する。
【0091】
図27に示されている実施形態において、エラー指示計300が追跡ヘッド312上に配置されている。トラッカー制御装置62は、ユーザーがエラー、例えば、LE50の1つまたは複数からの信号が遮られていることに気づくように、指示計300を作動させるようになっている。ナビゲーションコンピュータ26は、どの特定の1つまたは複数のLED50が信号を1つまたは複数の光学センサ40に満足に送信しなかったかを判断することができるので、いくつかの実施形態では、トラッカー40の各LED50が個別の指示計を有しているとよく、これによって、ユーザーは、具体的にどのLED50が遮られているかを知ることができる。
【0092】
指示計300は、指示用発光ダイオード(LED)302のような指示用発光素子を備えている。指示用LED302は、トラッカー制御装置62がナビゲーションコンピュータ26からエラー信号を受信したとき、第1の着色光、例えば、赤色、黄色、またはオレンジ色の光を放射する。指示用LED302は、エラー信号を受信していないときまたはエラーが取り除かれた後に警報解除信号をナビゲーションコンピュータ26から受信したとき、第2の着色光、例えば、緑色または青色の光を放射する。これは、少なくとも必要な数のLED50と1つまたは複数の光学センサ40との間において、見通し線が遮られておらず、維持されていることを示している。エラーが検出されたとき、光が第2の着色光から第1の着色光に変化する。指示用LED302は、エラー状況に基づいて交互に作動される個別の指示用LED、具体的には、エラーに対する1つまたは複数の第1の着色指示用LEDおよび非エラーに対する1つまたは複数の第2の着色指示用LEDを含んでいてもよい。他の実施形態では、指示計300は、エラーが生じたときにエラーメッセージを表示するLEDまたはLCDディスプレイおよび/または音響警報器を含んでいてもよい。
【0093】
追跡ヘッド312は、LED302を支持する本体306を有している。本体306は、透明窓310によって覆われた(図番が付されていない)開口を画定している。LED302は、LED302からの光が窓310を通って放射され、その光をユーザーが見ることができるように、本体306の内側でかつ窓310の背後に配置されている。窓310は、LED302に対して所望の照明特性をもたらすために、レンズ(図示せず)を備えていてもよい。
【0094】
図28および
図29に示されている他の実施形態では、追跡ヘッド412は、オレンジ色の光を放射する第1の指示用LED402および緑色の光を放射する第2の指示用LED404を支持している。追跡ヘッド412は、LED50を支持する上部414を備えている。サファイアドーム418がLED50を覆っている。追跡ヘッド412は、底部420をさらに備えている。
【0095】
光リング430が、上部414と底部420との間に挟まれている。指示用LED402,404は、
図29に概略的に示されているように、追跡ヘッド412の内側において光リング430内に配置されている。光リング430は、好ましくは、白色アルミニウム材料から形成されており、矩形のリング形状を有している。光リング430は、指示用LED402,404の作動に依存して、オレンジ色の光または緑色の光のいずれかによって照明される。指示用LED402,404は、
図30に示されているように、トラッカー制御装置62と電子的に連通している。溶接リング416が、組立を容易にするために、光リング430と底部420との間に配置されている。
【0096】
光リング430は、トラッカー制御装置62がナビゲーションコンピュータ26からエラー信号を受信すると、第1の指示用LED402からのオレンジ色の光によって照明される。光リング430は、エラー信号が受信されていないときまたはエラーが取り除かれた後に警報解除信号がナビゲーションコンピュータ26から受信されたとき、第2の指示用LED404からの緑色の光によって照明される。エラーが再び検出されたとき、光リング430は、緑色の光で照明される状態からオレンジ色の光で照明される状態に変化する。指示用LED402,404は、エラー状況に基づいて交互に作動される。すなわち、エラー状態に対して1つまたは複数の第1の指示用LED402が作動され、エラー状態が存在しないときに1つまたは複数の第2の指示用LED404が作動されるようになっている。
【0097】
指示用LED402,404の交互作動は、
図31に示されている回路を用いて行なわれる。
図31は、トラッカー制御装置62および指示用LED402,404の電気配線図を示している。この電気配線図は、指示用LED402,404の交互の作動/非作動を容易にする電気部品を示している。
【0098】
指示用LED402,404の各々は、アノード432およびカソード434を備えている。
図31において、指示用LED402,404の各々のアノード432は、第1の基準電圧436に接続されており、指示用LED402,404の各々のカソード434は、第2の基準電圧438に接続されている。一実施形態では、第1の基準電圧436は、+5VDCであり、第2の基準電圧438は、信号用アースである。指示用LED402,404の各々のアノード432は、第1の基準電圧438に個別に接続されていてもよいし、または
図31に示されているように組合せて接続されていてもよい。
【0099】
スイッチ素子M1,M2が、それぞれ、指示用LED402,404のカソード434と第2の基準電圧438との間に接続されている。スイッチ素子M1,M2は、指示用LED402,404を通る電流を制御し、これによって、指示用LED402,404の操作を制御するものである。スイッチ素子M1,M2は、トランジスターとして、さらに具体的には、N−チャネルMOSFETとしてさらに規定されているとよい。MOSFETM1,M2の各々は、ゲート、ソース、およびドレインを備えている。MOSFETM1,M2の各々のゲートは、トラッカー制御装置62に接続されている。各MOSFETM1,M2のソースは、第2の基準電圧438、さらに具体的には、信号用アースに接続されている。各MOSFETM1,M2のドレインは、各指示用LED402,404のカソード434に接続されている。レジスタR1,R2が、それぞれ、指示用LED402,404の各々のカソード434と各MOSFETM1,M2のドレインとの間に接続されている。レジスタR1,R2は、指示用LED402,404を通る電流を適切な操作レベルに制限するものである。
【0100】
トラッカー制御装置62は、指示用LED402,404の作動/非作動を制御する。すなわち、トラッカー制御装置62は、指示用LED402,404を電流が通ることを許容するかまたは阻止するように、スイッチ素子M1,M2を選択的に制御するものである。
【0101】
一実施形態では、トラッカー制御装置62は、第1の指示計制御信号をMOSFETM1のゲートに送信する。トラッカー制御装置62は、ナビゲーションコンピュータ26からのエラー信号を受信したことに応じて、第1の指示計制御信号を送信するとよい。第1の指示計制御信号によって、MOSFETM1は、ソースとドレインとの間に閉回路経路を形成し、これによって、電流が指示用LED402を通って第1および第2の基準電圧間436,438間に自在に流れ、指示用LED402を点灯させる。
【0102】
他の実施形態では、トラッカー制御装置62は、第2の指示計制御信号をMOSFETM2のゲートに送信している。トラッカー制御装置62は、ナビゲーションシステム26から警報解除信号または非エラー信号を受信したことに応じて、第2の指示計制御信号を送信するとよい。この場合、第2の指示計制御信号によって、MOSFETM2は、ソースとドレインとの間に閉回路経路を形成し、これによって、電流が指示用LED404を通って第1および第2の基準電圧436,438間に自在に流れ、指示用LED404を点灯させる。
【0103】
第1および第2の指示計制御信号は、MOSFETM1,M2を制御するための任意の適切な所定の電圧または電流に対応しているとよい。
【0104】
トラッカー制御装置62は、指示用LED402,404の交互の作動/非作動をもたらすようになっているとよい。一実施形態では、トラッカー制御装置62は、指示用LED404を作動停止させる第2の指示計制御信号をMOSFETM2のゲートに送信している。一実施形態によれば、トラッカー制御装置62は、指示用LED402の作動中にこの制御を行うようになっている。指示用LED404を作動停止するために、第2の指示計制御信号によって、MOSFETM2がソースとドレインとの間に開回路を形成し、これによって、電流が指示用LED404を通って第1および第2の基準電圧436,438間に流れるのが阻止される。代替的に、トラッカー制御装置62は、指示用LED404の作動中に、指示用LED402を作動停止させる第1の指示計制御信号をMOSFETM1のゲートに送信してもよい。
【0105】
一実施形態では、指示用LED402,404は、追跡ヘッド412に選択的に取外し可能に取り付けることができるようになっている。追跡ヘッド412は、追跡ヘッド412内に配置された印刷回路基板(PCB)アセンブリ(図示せず)を備えているとよく、指示用LED402,404が、このPCBアセンブリに電気的に接続されるようになっているとよい。
図31において、指示用LED402,404は、PCBアセンブリに取外し可能に取り付けることができるユニット440に連結されている。簡単にするために、
図31では、ユニット440は、指示用LED402,404を取り囲む点線によって示されている。ユニット440は、指示用LED402,404をPCBアセンブリに選択的に接続するための第1,第2,および第3の端子442,444,446を備えている。第1の端子442は、指示用LED402,404の各々のアノード432を第1の基準電圧436に選択的に接続するものである。各指示用LED402,404に対して、第2および第3の端子444,446は、指示用LED402,404の各々のカソード434をMOSFETM1,M2に選択的に接続するものである。
【0106】
LED50の制御は、
図32に示されている回路を用いて行なわれる。
図32は、トラッカー制御装置62に接続されたLED50の電気配線図を示している。この電気配線図は、LED50の制御を容易する電気部品を示している。
【0107】
図32において、LED50の各々は、アノード450およびカソード452を備えている。LED50の各々のアノード450は、第3の基準電圧454に接続されており、LED50の各々のカソード452は、第4の基準電圧456に接続されている。一実施形態では、第3の基準電圧454は、+2VDCであり、第4の基準電圧456は、信号用アースである。LED50の各々のアノード450は、第3の基準電圧454に個別に接続されていてもよいし、または
図32に示されているように組合せて接続されていてもよい。
【0108】
スイッチ素子M3,M4,M5,M6は、それぞれ、LED50のカソード452に接続されている。スイッチ素子M3,M4,M5,M6は、LED50を通る電流を制御し、これによって、LED50の操作を制御するものである。スイッチ素子M3,M4,M5,M6は、トランジスター、さらに具体的には、N−チャネルMOSFETとしてさらに規定されているとよい。MOSFETM3,M4,M5,M6の各々は、ゲート、ソース、およびドレインを備えている。各MOSFETM3,M4,M5,M6のゲートは、トラッカー制御装置62に接続されている。各MOSFETM3,M4,M5,M6のソースは、最終的に第4の基準電圧456、さらに具体的には、信号用アースに接続されている。
図32において、MOSFETM3,M4,M5,M6のソースは、並列の共有ライン458に接続されている。各MOSFETM3,M4,M5,M6のドレインは、LED50の1つのカソード452に接続されている。
【0109】
トラッカー制御装置62は、LED50の作動/作動停止を制御するものである。主に、トラッカー制御装置62は、LED50を電流が通ることを許容または阻止するように、スイッチ素子M3,M4,M5,M6を選択的に制御している。
【0110】
一実施形態では、トラッカー制御装置62は、任意のLED50またはLED50の組合せの制御の形態を示す入力信号を受信している。トラッカー制御装置62は、ナビゲーションコンピュータ26からこの入力信号を受信するとよい。これに応じて、トラッカー制御装置62は、LED制御信号を任意のLED50またはLED50の組合せに接続されたMOSFETまたはMOSFETM3,M4,M5,M6のゲートに送信している。
図32において、トラッカー制御装置62は、4つの個別のLED制御信号を送信し、各LED制御信号は、各MOSFETM3,M4,M5,M6のゲートに送信される。一実施形態では、トラッカー制御装置62は、制御信号をMOSFETM3,M4,M5,M6に連続的に送信し、LED50の作動または作動停止を連続的に制御するようになっている。トラッカー制御装置62は、種々の他の構成、シーケンス、サイクル、またはこれらの組合せに従ってLED50を制御するためのLED制御信号をMOSFETM3,M4,M5,M6に送信してもよい。
【0111】
もしトラッカー制御装置62への入力信号が任意のLED50を作動させるべきであることを指示したなら、トラッカー制御装置62は、LED制御信号を各MOSFETM3,M4,M5,M6のゲートに送信する。これによって、MOSFETM3,M4,M5,M6は、ソースとドレインと間に閉回路経路を形成し、これによって、電流が各LED50を通って第3および第4基準電圧454,456間に自在に流れ、各LED50を点灯させる。
【0112】
もし入力信号がトラッカー制御装置62によって受信されなかったなら、またはトラッカー制御装置62への入力信号が任意のLED50を作動停止させることを指示したなら、トラッカー制御装置62は、任意のLED50を作動停止させるLED制御信号をMOSFETM3,M4,M5,M6のゲートに送信する。主に、このLED制御信号によって、MOSFETM3,M4,M5,M6は、MOSFETのソースとドレインとの間に開回路を形成し、これによって、電流がLED50を通って第3の基準電圧454と信号用アース456との間に流れることが阻止される。
【0113】
LED50は、追跡ヘッド412に取外し可能に取り付けることができるようになっているとよい。
図32において、各LED50は、PCBアセンブリに取外し可能に取り付けることができるユニット460に連結されている。簡単にするために、
図32では、各ユニット460は、LED50の各々を取り囲む点線によって表わされている。一実施形態では、各ユニット460は、各LED50をPCBアセンブリに選択的に接続するための第1および第2の端子462,464を備えている。
図32において、第1の端子462は、各LED50のアノード450を第3の基準電圧454に選択的に接続している。第2の端子464は、各LED50のカソード452を各MOSFETM3,M4,M5,M6のドレインに選択的に接続している。
【0114】
図32において、任意のLED50またはLED50の組合せの操作電圧を測定するための電圧検出回路470が設けられている。電圧検出回路は、直列RC回路として配列されたレジスタR3およびコンデンサC1を備えている。電圧検出回路470は、概して、LED50とトラッカー制御装置62との間に接続されている。レジスタR3は、共有ライン458においてMOSFETM3,M4,M5,M6のソースに接続されており、コンデンサC1は、レジスタR3と第4の基準電圧456との間に接続されている。一実施形態では、電圧検出回路470は、第3および第4の基準電圧454,456間のLED50の操作電圧を測定するようになっている。
【0115】
電圧検出回路470は、LED50の測定された操作電圧を表す電圧検出信号をトラッカー制御装置62に送信するものである。一実施形態では、電圧検出回路470は、不適当な電圧状態からLED50を保護している。トラッカー制御装置62は、電圧検出信号を処理し、それに応じて、電圧検出信号の値に基づきLED制御信号を修正するとよい。例えば、トラッカー制御装置62は、もし電圧検出信号が所定の閾値レベルを超えているとトラッカー制御装置62が判断したなら、LED制御信号の電圧を変化させるとよい。他の実施形態では、トラッカー制御装置62は、LED50が誤作動しているかどうかを判断するために、電圧検出回路470を利用する。トラッカー制御装置62は、LED50の誤作動をナビゲーションシステム20に伝えることができ、これによって、ナビゲーションシステム20は、このような誤作動を予期し、これに対応することができる。電圧検出回路470は、種々の他の形態および方法に従って、用いられてもよい。
【0116】
図32において、任意のLED50またはLED50の組合せの操作電流を測定するための電流検出回路480が設けられている。電流検出回路480は、不適当な電流状態からLED50を保護するものである。電流検出回路480は、直列RC回路として配列されたレジスタR4およびコンデンサC2を備えている。電流検出回路480は、概して、LED50とトラッカー制御装置62との間に接続されている。レジスタR4は、共有ライン458においてMOSFETM3,M4,M5,M6のソースに接続されており、コンデンサC2は、レジスタR4と信号用アース456との間に接続されている。一実施形態では、電流検出回路480は、第3および第4の基準電圧454,456間を通るLEDの全操作電流を測定するようになっている。
【0117】
1つの操作モードでは、電流検出回路480は、トラッカー制御装置62に電流検出信号を供給している。この電流検出信号は、LED50の測定された操作電流から導かれるとよい。トラッカー制御装置62は、この電流検出信号を処理し、この電流検出信号が所定値と一致しているかどうかを決定している。例えば、トラッカー制御装置62は、この電流検出信号が所定の閾値電圧レベルを超えていることを決定するようになっているとよい。
【0118】
図32において、LED50に供給される電流を制限するための電流制限回路482がさらに設けられている。
図32において、電流制限回路482は、LED50を通る電流を調整するための増幅器484を備えている。増幅器484は、第1および第2の入力端子486,488および出力端子490を備えている。電流制限回路482は、LED50を通る電流を制御するためのMOSFETM7を備えている。MOSFETM7は、ゲート、ソース、およびドレインを備えている。
【0119】
増幅器482の第1の入力端子486は、トラッカー制御装置62に接続されている。増幅器482の第2の入力端子488は、MOSFETM7のゲートおよびソースに接続されている。コンデンサC3は、第2の入力端子488とMOSFETM7のゲートとの間に配置されている。レジスタR5が、第2の入力端子488とMOSFETM7のソースとの間に配置されている。レジスタR6が、MOSFETM7のソースと信号用アース456との間に接続されている。増幅器482の出力端子490は、MOSFETM7のゲートに接続されている。レジスタR7が、増幅器484の出力490とMOSFETM7のゲートとの間に接続されている。MOSFETM7のドレインは、共有ライン458においてMOSFETM3,M4,M5,M6のソースに接続されている。
【0120】
1つの操作モードでは、トラッカー制御装置62は、電流制限信号を電流制限回路482に送信している。トラッカー制御装置62は、電流検出回路480によって生じた電流検出信号の値に基づき電流制限信号を送信するとよい。
図32において、トラッカー制御装置62によって送信された電流制限信号は、増幅器482の第1の入力端子486によって受信される。増幅器484は、トラッカー制御装置62から受信した電流制限信号に基づきMOSFETM7を制御する。一例では、増幅器484は、電流制限信号に応じてLED50の各々を作動停止する。具体的には、増幅器484は、信号を出力端子490からMOSFETM7のゲートに送る。これによって、MOSFETM7は、ソースとドレインとの間に開回路を形成する。その結果、電流が第3および第4の基準電圧454,456間に流れるのが阻止され、これによって、LED50の各々を作動停止することができる。他の実施形態では、増幅器は、電流制限信号に応じて、LED50を通る電流を制限するが、LED50を完全に作動停止しないようになっていてもよい。
【0121】
電流検出回路480および電流制限回路482は、種々の他の構成および方法に従って用いられてもよい。
【0122】
いくつかの実施形態では、トラッカー44は、もしLED50の1つからの追跡信号が遮られても、残っているLED50から位置および方位データを得ることができるように、4つ以上の追跡用LED50を備えているとよい。この場合、エラー信号が生成される前に、ナビゲーションコンピュータ26は、まず全追跡サイクルを実施することになる。全追跡サイクルは、追跡サイクルにおいて光学センサ40がLED50の少なくとも3つから追跡信号を受信するかどうかを判断するために、トラッカー44のLED50の全てを連続的に作動させることを含んでいる。次いで、もし追跡サイクルにおいて1つの光学センサ40(いくつかの実施形態では、全ての光学センサ40)が少なくとも3つのLED50から追跡信号を受信しなかったなら、エラー信号が生成される。
【0123】
ナビゲーションシステム20は、外科医または他の医療従事者によるトラッカー44の位置決めを支援するように、構成されている。この支援は、追跡ヘッド212(または追跡ヘッド312,412)をLED50と光学センサ40との間に見通し線をもたらす所望の方位に配置させるのを助長し、かつ外科手術手順中に生じ得る見通し線エラーを低減させるのを助長することになる。
【0124】
骨プレート200が骨、例えば、大腿骨Fに取付けられた時点で、追跡ヘッド212は、コネクタアセンブリ214を介して、骨プレート200に対して移動することができるようになっている。具体的には、追跡ヘッド212は、枢軸Pおよび回転軸R(
図4参照)を中心として移動可能である。コネクタアセンブリ214は、骨プレート200に対する追跡ヘッド212のこれらの2自由度の運動を可能にし、これによって、追跡ヘッド212を所望の方位に配置させることができる。これは、LED50と光学センサ40との間に見通し線をもたらすのを助長することになる。
【0125】
ナビゲーションの開始前に、医療従事者は、追跡ヘッド212を初期方位に配置させるように指示される。初期方位は、外科手術の間中ずっとLED50が光学センサ40の見通し線内にあり、障害物によって遮られないように、追跡ヘッド212が視覚的に配向される方位である。いったんユーザーが追跡ヘッド212を初期方位に配置したなら、ナビゲーションコンピュータ26は、必要に応じて、所望の方位を維持しながらどの程度まで追跡ヘッド212をさらに移動させることができるかの観点からトラッカー44をセットアップするように医療従事者に指示を与える。
【0126】
ナビゲーションコンピュータ26は、最初、追跡ヘッド212の初期方位を決定し、追跡ヘッド212がすでに所望の方位にあるかどうかを判断する。もし追跡ヘッド212が所望の方位にないなら、ナビゲーションシステム20は、ディスプレイ28,29に表示されたソフトウエア指令を介して、所望の方位を得るために追跡ヘッド212を骨プレート200に対して1つまたは複数の自由度で移動させるように、ユーザーに指示することになる。
【0127】
トラッカー44は、
図22に示されているように、方位センサ320を備えている。一実施形態では、方位センサ320は、3軸、すなわち、x軸、y軸、およびz軸に沿って重力(加速度)を測定するように構成された3軸重力センサ320である。
【0128】
重力センサ320は、追跡ヘッド212内に配置されている。重力センサ320は、トラッカー制御装置62に操作可能に接続されている。トラッカー制御装置62は、x軸、y軸、およびz軸に関する重力測定値を重力センサ320から受信する。これらの信号は、重力に対する追跡ヘッド212の現在の方位を決定するために、ナビゲーションシステム20によって解析される。いくつかの実施形態では、加速度計70が重力センサ320として用いられてもよいことを理解されたい。
【0129】
図22を参照すると、x軸およびy軸は、追跡ヘッド212の前面と平行の追跡ヘッド212の面に配向されている。z軸は、x軸およびy軸と直交して配向されている。z軸に沿った重力測定値がゼロのとき、重力は、z軸に沿って作用しておらず、これは、追跡ヘッド212のx−y面が垂直に配向していることを意味している。
【0130】
図33Aおよび
図33Bを参照すると、一実施形態では、所望の方位は、z軸の重力測定値がゼロになる角度に設定された枢軸Pおよび回転軸Rを中心とする傾斜角を含んでいる。
【0131】
図33Aを参照すると、LED50によって送信された信号は、信号放出領域324の中心を画定する中心信号軸322を有する見通し線追跡信号と見なされる。所望の方位は、一実施形態において、LED50の中心信号軸322が重力の方向と直交したときの方位として、例えば、重力の方向に配向されたベクトル326と直交したときの方位としてさらに定義される。
【0132】
この実施形態では、ナビゲーションコンピュータ26は、z軸重力測定値がゼロになるまで、追跡ヘッド212の傾斜角を調整するようにユーザーに指示するように、構成されている。これは、
図33Bに示されているように,追跡ヘッド212のx−y面が重力ベクトル326に対して垂直に配向されたときに生じる。
【0133】
ユーザーに対する傾斜角を調整する指示は、追跡ヘッド212の現在の方位が図表によって表わされているディスプレイ28,29を介して、ナビゲーションシステム20によって行なわれる。現在の方位は、ユーザーが傾斜角を変化させることによって、動的に調整されることになる。追跡ヘッド212の所望の方位も、現在の方位が所望の方位にどの程度近いかをユーザーが視覚的に判断することができるように、図表によって示されている。現在の方位が所望の方位にあるとき、ディスプレイ28,29は、緑色に光るようになっているとよく、または追跡ヘッド212が重力に対して所望の方位にあることを示すいくつかの他の視覚的指示計を有していてもよい。所望の方位は、x−y面が好ましくは重力に対して垂直になる理想的な方位からの所定のずれ、例えば、±10%、±5%、または±2%のずれを含んでいてもよいことを理解されたい。
【0134】
代替的実施形態では、追跡ヘッド212のLEDが、緑色の光を放出するように作動されることによって、現在の方位が所望の方位にあることをユーザーに指示してもよい。代替的に、追跡ヘッド212が所望の方位にあることを示す聴覚的指示計が、トラッカー44上に設けられていてもよい。
【0135】
いったん追跡ヘッド212が重力に対して所望の方位にあるように傾斜角が設定されたなら(例えば、
図33B参照)、追跡ヘッド212が骨プレート200に対して傾斜することができないように、コネクタアセンブリ214の調整固定具286が締付けられることになる。場合によっては、追跡ヘッド212を所望の方位に配置するために、追跡ヘッド212の傾斜調整しか必要とされないこともある。
【0136】
他の場合、追跡ヘッド212を所望の方位に配置する傾斜調整の後、回転軸Rを中心とする回転調整が必要である。これらの場合、所望の方位への配向は、z軸に沿った重力測定値が略ゼロから非ゼロに移行する追加的な回転調整を含んでいてもよい。具体的には、最初、追跡ヘッド212を垂直に配置するために傾斜調整を行い、次いで、(z軸に沿った重力測定値が非ゼロになる)回転調整を行い、次いで、z軸を略ゼロに戻すためにさらなる傾斜調整を行う(すなわち、追跡ヘッド212を垂直に戻す)ように、調整が反復されるとよい。
【0137】
回転調整中に、LED50は、光学センサ40によって追跡されている。具体的には、ナビゲーションコンピュータ26は、光学センサ40によって受信される信号に基づき、追跡ヘッド212のどの回転方位がLED50に対して最良の見通し線をもたらすかを判断するように、構成されている。
【0138】
所望の回転方位は、追跡ヘッド212を運動の最大範囲、例えば、360°にわたって一回以上回転させるようにユーザーに指示することによって、決定することができる。追跡ヘッド212が回転している間、ナビゲーションコンピュータ26は、軸Rを中心とするどの回転位置(例えば、どの回転角度)において各LED50に対する見通し線が存在し、かつどの回転位置において各LED50に対する見通し線が存在しないかを判断する。これは、追跡ヘッド212を膝関節の種々の位置において、すなわち、膝関節の拡縮位置において、その運動の最大範囲にわたって追跡ヘッド212を回転することを含んでいるとよい。これによって、各LED50に対する軸Rを中心とする見通し位置の範囲が決定される。次いで、最適適合アルゴリズムを用いて、LED50の全てに対する見通し位置の範囲内において最も適する軸Rを中心とする位置を決定することができる。
【0139】
ナビゲーションコンピュータ26は、現在の回転位置がナビゲーションコンピュータ26によって決定された所望の回転位置と一致するまで追跡ヘッド212を回転させるように、ディスプレイ28,29を通してユーザーに指示する。例えば、
図34Aに示されている現在の回転位置に対する
図34Bに示されている所望の回転位置を参照されたい。ユーザーに対する指示は、ディスプレイ28,29上の現在の回転位置および所望の回転位置を表す画像を示し、ユーザーが所望の回転位置に向かって調整を行うにつれて現在の回転位置を動的に変化させることによって、達成されるとよい。
【0140】
傾斜角の調整と同じように、追跡ヘッド212上のLEDが、緑色の光を放射するように作動されることによって、回転位置が所望の回転位置になったときをユーザーに指示するようになっているとよい。代替的に、現在の回転位置が所望の回転位置にあることを示すために、聴覚的指示計がトラッカー44に設けられてもよい。所望の回転位置は、理想の回転位置からの所定のずれ、例えば、±10%、±5%、または±2%のずれを含んでいてもよいことを理解されたい。
【0141】
所望の回転方位が得られたとき、追跡ヘッド212が骨プレート200に対して回転することができないように、コネクタアセンブリ214の調整固定具261が締付けられることになる。従って、追跡ヘッド212は、骨プレート200および骨に対して移動できないように固定されたことになる。
【0142】
いくつかの実施形態では、LED50は、傾斜角および回転角の両方の調整中、光学センサ40によって追跡されている。具体的には、ナビゲーションコンピュータ26は、光学センサ40によって受信された信号に基づき、追跡ヘッド212のどの傾斜および回転方位がLED50から光学センサ40への最良の見通し線をもたらすかを判断するように、構成されている。
【0143】
これらの実施形態では、所望の方位は、追跡ヘッド212をそれらの運動の最大範囲にわたって一回以上連続的または間欠的に傾斜および回転させるように、ユーザーに指示することによって、決定されてもよい。追跡ヘッド212が傾斜および回転している間、ナビゲーションシステム26は、軸Pおよび軸Rを中心とするどの傾斜位置および回転位置(例えば、どの傾斜角および回転角)において各LED50に対する見通し線が存在し、かつどの傾斜位置および回転位置において各LED50に対する見通し線が存在しないかを判断する。これによって、各LED50に対する軸Pおよび軸Rを中心とする見通し位置の範囲が決定される。次いで、最適適合アルゴリズムを用いて、LED50の全てに対する見通し位置の範囲内において最も適合する軸Pおよび軸Rを中心とする位置を決定することができる。
【0144】
このプロセスは、反復されるとよく、追跡ヘッド212に対する適切な位置を見出すために軸Pおよび軸Rを中心とするユーザーによるいくつかの調整を含んでいてもよい。場合によっては、ナビゲーションコンピュータ26は、ユーザーによって設定された不十分な初期方位によって、LED50の全てに対して見通し線が維持される方位を識別することができないことがある。この場合、ナビゲーションコンピュータ26は、最初、LED50が視覚的に光学センサ40に面するように追跡ヘッド212を再配向するようにユーザーを指示し、次いで、種々の運動による追跡ヘッド212の方位の測定を継続し、これによって、LED50の全てに対して見通し線を維持する最適適合を見出すようになっていてもよい。
【0145】
場合によっては、傾斜調整は、まず、追跡ヘッド212をその傾斜運動の全範囲にわたって、可能であれば、拡縮位置を含む多数の膝位置において、一回以上移動させることによって行なわれてもよい。次いで、最適適合傾斜角が決定され、傾斜角がこの最適適合傾斜角に固定されることになる。その後、追跡ヘッド212は、その回転運動の全範囲にわたって、可能であれば、拡縮位置を含む多数の膝位置において、一回以上移動されるとよい。次いで、最適適合回転角が決定され、回転角がこの最適適合回転角に固定されることになる。
【0146】
いくつかの実施形態では、第3の自由度の運動が、所望の位置、例えば、トラッカー44の高さに対して調整されてもよい。図示されている実施形態では、外科医が膝関節を曲げるときにトラッカー44が上下に移動するという事実から、2自由度の運動しか調整されていない。この場合、追跡ヘッド212のLED50は、LED50とセンサ40との間の見通し線を損なうことなく、光学センサ40に対して上下されるとよい。
【0147】
スクリュードライバー500が、
図35〜
図51に示されている。スクリュードライバー500は、骨ネジ202を適所に配置するために用いられるものである。
【0148】
図36を参照すると、スクリュードライバー500は、ねじ込みの前に各骨ネジ202を骨内に打ち込む一体式衝撃具502を備えている。スクリュードライバー500が骨ネジに202に対して押し込まれると、衝撃具502が後バネ504内にエネルギーを蓄える。このエネルギーは、最終的に、骨ネジ20を骨内に押し込む力として解放される。衝撃具502は、エネルギーが蓄えられていない静止状態において始動され、蓄えられたエネルギーを徐々に増大させるように作動され、次いで、エネルギーを解放するように作動される。
【0149】
スクリュードライバー500は、本体を備えている。本体は、ノーズチューブ508、中間チューブ510、および後キャップ512を備えている。ノーズチューブ508、中間チューブ510、および後キャップ510は、内部構成要素を組み立てる目的で互いに離脱可能に接続される個別の部品である。他の実施形態では、ノーズチューブ508、中間チューブ510、および後キャップ512は、互いに恒久的に固定されていてもよいことを理解されたい。
【0150】
ノーズチューブ508は、略円錐の遠位端514を有している。ノーズチューブ508は、その遠位端514から雄ネジ付き近位端516まで延在している。ノーズチューブ508は、中空である。ノーズチューブ508は、近位孔518および遠位孔520を画定している。近位孔518は、遠位孔520よりも大きい断面積を有している。近位孔518は、円形断面を有しており、遠位孔520は、六角形断面を有している。
【0151】
中間チューブ510は、略円筒状である。中間チューブ510は、雌ネジ付き遠位端522および雄ネジ付き近位端524を有している。雌ネジ付き遠位端522は、ノーズチューブ508の雄ネジ付き近位端516に螺合されている。
【0152】
後キャップ512は、上部526を有している。後キャップ512は、上部526から遠位方向に雌ネジ付き区域528まで延在している。雌ネジ付き区域528は、中間チューブ510の雄ネジ付き近位端524に螺合されている。
【0153】
衝撃具502は、中間チューブ510内に配置されたハンマー530を備えている。ハンマー530は、略円筒形状を有している。後バネ504は、後キャップ512とハンマー530との間に配置されている。後バネ504は、ハンマー530を遠位側に付勢している。後バネ504の圧縮は、後キャプ512を緩めるかまたは締め付けてハンマー530の蓄えられたエネルギーを増減することによって、調整することができる。
【0154】
受入れ孔532が、ハンマー530に形成されている。受入れ孔532は、ハンマー530の中心軸を中心として配置されている。受入れ孔532は、円筒状である。交差孔534が、受入れ532と直交する方向に形成されている(
図46参照)。
【0155】
衝撃具502は、交差孔534内に配置されたトリガー536を備えている。トリガー536は、半円筒状である。トリガー536は、平坦な底面538を有している(
図47参照)。貫通孔540が、トリガー536に画定されている。衝撃具502が静止状態にあるとき、板バネ542がトリガー536を、貫通孔540が受入れ孔532に対して外れた位置、すなわち、位置ずれした位置に付勢することになる。
【0156】
駆動ロッド544が、最終的に、骨ネジ202に押し込まれる衝撃具502内に蓄えられたエネルギーを受けることになる。駆動ロッド544は、近位端548を有する円筒シャフト546を有している。近位端548は、ハンマー530の受入れ孔532内に嵌入されるように形作られている。
【0157】
ボス550が、駆動ロッド544の近位端548に配置され、肩552を形成している(
図50参照)。衝撃具502の静止状態では、肩552は、トリガー536の平坦な底面538に係合している。この状態では、ボス550は、トリガー536に画定された貫通孔540内に突出しているが、肩552は、円筒シャフト546が貫通孔540に入るのを阻止している。
【0158】
駆動ロッド544は、遠位端556を有する六角形シャフト554を有している。六角形シャフト554は、ノーズチューブ508の六角形状の遠位孔520と嵌合し、これによって、ユーザーによる本体の回転が六角形シャフト554を回転させることになる。遠位端556は、骨ネジ202のヘッドに係合するように構成された特徴部を有し、スクリュードライバー500の本体が回転したときに骨ネジ202を回転させて骨内に押し込むようになっている。
【0159】
カラー558が、六角形シャフト554に固定されている。カラー558は、駆動ロッド544がノーズチューブ508から落下するのを阻止している。カラー558は、ノーズチューブ508の近位孔518と嵌合するために円筒形状を有している。
【0160】
バネキャップ560が、中間チューブ510の内側おいてノーズチューブ508とハンマー530との間の中心に配置されている。バネキャップ560は、中間チューブ510の内側に圧入されている。
【0161】
ロッドバネ562が、駆動ロッド544の円筒シャフト546の周りに配置されている。ロッドバネ562は、バネキャップ560と駆動ロッド544のカラー558との間において、ハンマー530が作動した後にスクリュードライバー500を静止状態に戻すように作用する。バネキャップ560は、駆動ロッド544の円筒シャフト546を受入れ、中間チューブ510の内側に円筒シャフト546を心出しするための(部番が付されていない)貫通孔を画定している。
【0162】
スクリュードライバー500は、後キャップ512および/または中間チューブ510を把持し、それらを遠位側に付勢することによって、骨ネジ202に対して押圧されている。従って、骨ネジ202は、骨に押し付けられる。同時に、駆動ロッド544は、中間チューブ510内において近位側に移動する。肩552は、トリガー536を近位側に押し付け、板バネ542は、トリガー536をハンマー530の受入れ孔532から位置ずれした貫通孔540内に維持している。
【0163】
中間チューブ510は、傾斜した内面566を備えている。トリガー536が傾斜した内面566に達したとき、傾斜した内面566は、トリガーに係合する。これが行なわれると、傾斜した内面566がカムとして作用し、トリガー536は、トリガー536の貫通孔540が心出しされ、ハンマー530の受入れ孔532と真っ直ぐに並ぶように、押し出される。同様に、駆動ロッド544の近位端548は、貫通孔540内に嵌合するように位置合わせされ、これによって、トリガー536は、駆動ロッド544に沿って摺動し、ハンマー530を解放する。次いで、ハンマー530は、後バネ504による推進力によって、前方に移動する。
【0164】
ハンマー530の受入れ孔532が所定の深さを有しているので、駆動ロッド544の近位端548のボス550は、最終的に、受入れ孔532に底付きし、ハンマー530の力が駆動ロッド544および骨ネジ202に伝達され、骨ネジ202を骨内に押し込むことになる。
【0165】
[他の実施形態]
一実施形態では、トラッカー44,46,48の各々が能動的に追跡されているとき、LEDの作動は、以下のように行なわれる。すなわち、トラッカー44の1つのLED50が作動され、トラッカー46の1つのLED50が作動され、トラッカー48の1つのLED50が作動され、次いで、トラッカー44の第2のLED50が作動され、トラッカー46の第2のLED50が作動され、以後、全てのLED50が作動されるまで、これが継続され、次いで、このシーケンスが繰り返される。この作動の順序は、カメラユニット36の送受信機(図示せず)からトラッカー44,46,48の送受信機(図示せず)に送信される指示信号またはナビゲーションコンピュータ26からトラッカー44,46,38の各々のトラッカー制御装置62への有線接続を介して送信される指示信号によって行なわれる。
【0166】
閉ループにあるナビゲーションシステム20を用いて、外科用切断器具によって行なわれる外科手術手順を制御することができる。トラッカー50が器具22および切断される解剖学的構造に装着され、これによって、ナビゲーションシステム20は、器具22および切断される解剖学的構造、例えば、骨の位置および方位を追跡することができる。
【0167】
一実施形態では、ナビゲーションシステム20は、組織を治療するためのロボット外科用システムの一部である。いくつかの態様では、ロボット外科用システムは、患者の解剖学的構造、例えば、骨または軟組織から材料を切除するためのロボット外科切断システムである。この切断システムは、単踝膝移植片、双踝膝移植片、または全膝移植片を含む股関節移植片および膝移植片のような外科用移植片のために骨を前処理するために用いられてもよい。これらの形式の移植片のいくつかは、「人工移植片および移植の方法」と題する米国特許出願第13/530,527号に示されている。この文献の開示内容は、参照することによって、ここに含まれるものとする。
【0168】
一実施形態では、ナビゲーションシステム20は、(マニピュレータ制御装置54を備えることができる)ロボット制御システムと連通している。ナビゲーションシステム20は、位置および/または方位データをロボット制御システムに伝送する。位置および/または方位データは、解剖学的構造に対する器具22の位置および/または方位を表している。この通信によって、切断が所定の境界内で行なわれるように解剖学的構造の切断を制限する閉ループ制御がもたらされる。
【0169】
一実施形態では、大腿骨Fおよび頸骨Tの各々は、外科用器具22のワーク端によって取り除かれる目標とする材料体積を有している。この目標とする体積は、1つまたは複数の境界によって画定されている。境界は、手術手順のあとに残されるべき骨の表面を画定している。いくつかの実施形態では、ナビゲーションシステム20は、2013年8月2日に出願された「外科用器具を多重モードで制御することができる外科用マニピュレータ」と題する米国特許出願第13/958,070号に開示されているように、ワーク端、例えば、バールが目標とする材料体積のみを除去し、境界を超えて延長しないことを確実にするように、外科用器具22を追跡および制御する。この出願の開示内容は、参照することによって、ここに含まれるものとする。
【0170】
前述の記載において、いくつかの実施形態について説明してきた。しかし、本明細書において検討した実施形態は、本発明をどのような特定の形態にも排他または制限することを意図していない。用いられた技術用語は、制限のための用語ではなく説明のための用語であることが意図されている。上記の示唆に照らして、多くの修正および変更が可能であり、本発明は、具体的に記載されている以外の形態で実施されてもよい。