(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6472761
(24)【登録日】2019年2月1日
(45)【発行日】2019年2月20日
(54)【発明の名称】ローターおよびマルチコプター
(51)【国際特許分類】
B64C 11/28 20060101AFI20190207BHJP
B64C 27/08 20060101ALI20190207BHJP
B64C 39/02 20060101ALI20190207BHJP
【FI】
B64C11/28
B64C27/08
B64C39/02
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-9669(P2016-9669)
(22)【出願日】2016年1月21日
(65)【公開番号】特開2017-128258(P2017-128258A)
(43)【公開日】2017年7月27日
【審査請求日】2017年9月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】512080011
【氏名又は名称】株式会社松田康利事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100095267
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 高城郎
(74)【代理人】
【識別番号】100124176
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 典子
(74)【代理人】
【識別番号】100146950
【弁理士】
【氏名又は名称】南 俊宏
(72)【発明者】
【氏名】松田 康利
【審査官】
諸星 圭祐
(56)【参考文献】
【文献】
中国特許出願公開第104071329(CN,A)
【文献】
特開平10−216366(JP,A)
【文献】
実開昭48−088255(JP,U)
【文献】
中国特許出願公開第105083533(CN,A)
【文献】
米国特許出願公開第2016/0001879(US,A1)
【文献】
特開平10−100996(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2014/0339355(US,A1)
【文献】
特開2014−227155(JP,A)
【文献】
米国特許第08899513(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64C 11/28
B64C 27/00−27/82
B64C 39/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフトと、
前記シャフトの先端に位置し、前記シャフトとともに回転するハブと、
一端が前記ハブに取り付けられており、前記ハブから放射状に延び、衝撃が加わると、当該一端の近傍を中心として所定の角度まで回転することができる複数のブレードと、
円柱状の貫通部を有する複数の留め具と、
を備え、
前記ハブが、ハブ本体と、当該ハブ本体から放射状に突き出しており、前記留め具の貫通部が貫通する孔を有する複数の挿入部とを有し、
前記各ブレードが、前記ハブの挿入部が挿入されて嵌合される嵌合部であって前記留め具の貫通部が貫通する孔を有する嵌合部を前記一端に有し、
前記各ブレードに衝撃が加わるとき、当該各ブレードが前記留め具の貫通部が貫通している孔を中心として回転することができるように前記ハブに固定される、
ことを特徴とするローター。
【請求項2】
前記ブレードに加わる衝撃を検出するセンサと、
前記シャフトを回転駆動し、前記センサが衝撃を検出するとき、前記シャフトの回転駆動を中止する回転駆動部と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載のローター。
【請求項3】
請求項1または2に記載のローターを複数備えることを特徴とするマルチコプター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ローターおよびマルチコプターに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、機体の外周に放射状に配設された複数のアームの長手方向の途中にそれぞれローターが取り付けられたマルチコプターを開示する。各アームは各ローターのブレード(羽根)の先端外周位置を超えて延設された延設部を有する。このマルチコプターでは、アームの先端が回転するブレードよりも突出しており、アームの延設部より先にブレードが木の枝、送電線、建物等の障害物に接触することがない。このため、このマルチコプターは、耐久性、取扱い性、安全性に優れる。
このマルチコプターは、隣接するアーム同士を連結するフレームを各アームの先端に配設することにより、更に耐久性、取扱い性、安全性が向上する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−46355号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載のマルチコプターでは、アームの先端の内側やフレームの内側に障害物が入り込み、ブレードと接触する可能性を排除できない。特に、離着陸するときや低空を低速で飛行しているときには、人が近づいて手や指でブレードに触れるおそれがある。
回転しているブレードと障害物とが接触すると、ローターに突然衝撃が加わるため、マルチコプターの飛行の安定性が損なわれ、最悪の場合墜落する可能性がある。更に、障害物が大きく損傷するおそれがある。例えば、回転しているブレードに人の手や指が触れた場合には大怪我をするおそれがある。
【0005】
本発明の目的は、ブレードと障害物とが接触したときに、飛行の安定性を保ち、かつ障害物の損傷の程度を小さくすることができるローターおよびマルチコプターを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明のローターは、
シャフトと、
前記シャフトの先端に位置し、前記シャフトとともに回転するハブと、
一端が前記ハブに取り付けられており、前記ハブから放射状に延び、衝撃が加わると、当該一端の近傍を中心として所定の角度まで回転することができる複数のブレードと、
円柱状の貫通部を有する複数の留め具と、
を備え、
前記ハブが、ハブ本体と、当該ハブ本体から放射状に突き出しており、前記留め具の貫通部が貫通する孔を有する複数の挿入部とを有し、
前記各ブレードが、前記ハブの挿入部が挿入されて嵌合される嵌合部であって前記留め具の貫通部が貫通する孔を有する嵌合部を前記一端に有し、
前記各ブレードに衝撃が加わるとき、当該各ブレードが前記留め具の貫通部が貫通している孔を中心として回転することができるように前記ハブに固定される、
ことを特徴とする。
【0008】
好ましくは、本発明のローターは、
円柱状の貫通部を有する留め具と、
前記ハブが、ハブ本体と、当該ハブ本体から放射状に突き出しており、前記留め具の貫通部が貫通する孔を有する複数の挿入部とを有し、
前記各ブレードが、前記ハブの挿入部が挿入されて嵌合される嵌合部であって前記留め具の貫通部が貫通する孔を有する嵌合部を前記一端に有し、当該留め具の貫通部が貫通している孔を中心として回転することができる、
ことを特徴とする。
【0009】
好ましくは、本発明のローターは、
前記ブレードに加わる衝撃を検出するセンサと、
前記シャフトを回転駆動し、前記センサが衝撃を検出するとき、前記シャフトの回転駆動を中止する回転駆動部と、
を備えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明のマルチコプターは、
上述したローターを複数備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ブレードと障害物とが接触したときに、マルチコプターの飛行の安定性を保ち、かつ障害物の損傷の程度を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図2】正常に回転しているローターにおけるハブとブレードの配置の一例を示す上面図である。
【
図3】ブレードの1つに指が接触したときのハブとブレードの配置の一例を示す上面図である。
【
図4】ハブの一例を示す図である。
図4(A)は、ハブの一例の上面図である。
図4(B)は、
図4(A)のA−A線断面図である。
【
図5】ブレードの一例を示す図である。
図5(A)は、ブレードの一例の上面図である。
図5(B)は、ブレードの一例の正面図である。
【
図6】留め具の一例の斜視図である。
図6(A)は、留め具の一例の雌側を示す。
図6(B)は、留め具の一例の雄側を示す。
【
図7】
図6の留め具の一例の断面図である。
図7(A)は、
図6(A)のB−B線断面図である。
図7(B)は、
図6(B)のC−C線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態に係るローターおよびマルチコプターについて図面を参照しながら詳細に説明する。なお、実施形態を説明する全図において、共通の構成要素には同一の符号を付し、繰り返しの説明を省略する。
【0014】
図1は、マルチコプター100の一例の上面図である。
マルチコプター100は、本体110と、制御部111と、8本のアーム120と、8個のローター200とを有する。
本体110は、例えば半球状や円柱状であり、制御部111やバッテリー等を内蔵する。8本のアームは本体110の外周から半径方向に放射状に配置されている。8個のローター200は、例えば、8本のアームの先端に取り付けられている。制御部111は、8個のローター200を含め、マルチコプター100全体を制御する。
【0015】
図2は、正常に動作しているローター200におけるハブ210とブレード220の配置の一例を示す。また、
図3は、ブレード220の1枚に指240が接触したときのハブ210とブレード220の配置の一例を示す。
本発明の実施形態に係るローター200は、図示しない回転駆動部と、図示しないシャフトと、図示しないセンサと、ハブ210と、3枚のブレード220と、留め具230とを有する。
回転駆動部は、例えば電動モーターを内蔵しており、シャフトを回転させる。ハブ210は、シャフトの先端に固定されているか、またはシャフトと一体として形成されており、シャフトとともに回転する。ブレード220の一端はハブ210の側面に取り付けられている。ハブ210とブレード220が離れることを防ぐために留め具230がブレード220の一端の近傍に配設されている。ブレード220は、衝撃が加わると、留め具230(すなわち、ブレード220の一端の近傍)を中心として所定の角度(例えば90度)まで回転することができる。
【0016】
ローター200が正常に動作しているとき、
図2に示すように、3つのブレード220は、それぞれハブ210の側面から放射状に延びる。一方、ブレード220に障害物が接触すると、ブレード220にシャフトの回転方向と反対向きに急激に衝撃力が加わる。このとき、ブレード220は留め具230の周りをそれまでのシャフトの回転方向と反対向きに回転する。
センサは、例えば、シャフトの回転速度の急激な低下を検知したり、電動モーターに流れる電流の急激な増加を検知したりすることによって、ブレード220に加わる衝撃を検出する。センサが衝撃を検出すると、回転駆動部はシャフトの回転駆動を中止する。なお、このとき同時に、回転駆動部はシャフトを切り離す構成としてもよい。
例えば、ブレード220の1枚に指240が接触してそのブレード220が指240に押され、衝撃が加わると、シャフト(すなわち、そのシャフトを有するローター)は回転駆動されなくなる。同時に、そのブレード220は留め具230を中心として回転する。これにより、衝撃による力は緩和され、マルチコプター100の飛行姿勢の乱れが減少するとともに、指の怪我の程度を小さくすることができる。このとき、制御部111は、回転駆動されていないローターを除く他の7個のローター200の回転を制御してマルチコプター100の飛行姿勢を安定させる。
【0017】
図4は、ハブ210の一例を示す。また、
図5は、ブレード220の一例を示す。
ハブ210は、ハブ本体211と、3つの挿入部212とで構成される。ハブ本体211は、例えば円筒状や角柱状であり、その底面はシャフトの先端に固定されている。挿入部212は、ハブ本体211の側面から放射状に突き出す。挿入部212には、留め具230によって貫通される円形の孔213が垂直方向に開いている。
ブレード220は、ハブ210の挿入部212が挿入される嵌合部221を一端に有する。ブレード220の嵌合部221の上側部分と下側部分には、それぞれ留め具230によって貫通される円形の孔222Aと孔222Bとが垂直方向に開いている。
挿入部212の表面212Aと嵌合部221の上面221A、および裏面212Bと下面221Bはそれぞれぴったりと重なり合う形状である。例えば、
図4(B)に示すように挿入部212の表面121Aは波状に凸凹しており、裏面212Bは滑らかな曲面をなしている。また、
図5(B)に示すように、嵌合部221の上面221Aも波状に凸凹しており、下面221Bも滑らかな曲面をなしている。表面121Aと上面221Aの波部分の形状が大きいとき、ブレード220はハブ本体211から外れにくくなり、一方、波部分の形状が小さいとき、ブレード220はハブ本体211から外れやすくなる。なお、凸凹の形状は、挿入部212の表面212Aと嵌合部221の上面221A、および裏面212Bと下面221Bがそれぞれぴったりと重なり合う形状であれば、波状に限らない。
【0018】
図6と
図7は、留め具230の一例を示す。留め具230は、例えば雌部230Aと雄部230Bで構成される。雌部230は貫通部231Aを有する。ブレード220をハブ210に取り付けるとき、まず、挿入部212が嵌合部221に嵌め込まれる。次に、孔222Aと孔213と孔222Bに留め具230の貫通部231Aが挿入される。そして、雌部230Aの貫通部231Aの孔232に雄部230Bの突起部231Bが挿入される。これにより、ブレード220は、衝撃が加わったとき孔222Aと孔222Bを中心として回転できるようにハブ本体211に固定される。
【0019】
ハブ210とブレード220の素材として、硬度、強度、熱膨張性等の点から、例えば、液晶ポリマー(液晶ポリエステル、LCP)を用いることが適切である。ただし、ハブ210とブレード220の素材として他のものを用いてもよい。
また、例えば、ハブ210の挿入部212の中に電磁石を配設するとともに、ブレード220の嵌合部221の上側部分および/または下側部分を鉄のような磁性体で構成したり、嵌合部221の上面221Aおよび/または下面221Bに鉄のような磁性体でできた薄板を張り付けたりしてもよい。この構成の場合、回転駆動部は、シャフトを回転駆動しているとき(ローター200が回転しているとき)電磁石に通電して挿入部212に嵌合部221の上側部分および/または下側部分を引き付けて固定する。一方、回転駆動部は、シャフトを回転駆動しないとき、電磁石の電流を止めてハブ210の挿入部212とブレード220の嵌合部221とが外れやすくする。
【0020】
なお、上述した実施形態ではマルチコプター100は8個のローター200を有するとしたが、これに限らず、マルチコプターは2個以上のローターを有していればよい。
また、上述した実施形態ではマルチコプター100の例を示したが、これに限らず、例えば、特許文献1に記載のマルチコプターを本発明を適用することができる。すなわち、例えば、マルチコプターは、機体の外周に放射状に配設された複数のアームの長手方向の途中にそれぞれローターが取り付けられており、各アームが各ローターのブレードの先端外周位置を超えて延設された延設部を有するものであってもよい。更に、マルチコプターは、隣接するアーム同士を連結するフレームが各アームの先端に配設されていてもよい。
【0021】
以上説明したように、本発明によれば、ブレードと障害物とが接触したときに、マルチコプターの飛行の安定性を保ち、かつ障害物の損傷の程度を小さくすることができる。
【0022】
以上、本発明の実施形態について説明したが、設計上の都合やその他の要因によって必要となる様々な修正や組み合わせは、請求項に記載されている発明や発明の実施形態に記載されている具体例に対応する発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0023】
100…マルチコプター、110…本体、111…制御部、120…アーム、200…ローター、210…ハブ、211…ハブ本体、212…挿入部、212A…挿入部の表面、212B…挿入部の裏面、213…孔、220…ブレード、221…嵌合部、221A…上面、221B…下面、222A…孔、222B…孔、230…留め具、230A…留め具の雌部、230B…留め具の雄部、231A…雌部の貫通部、231B…雄部の突起部、232…雌部底部の孔