特許第6472786号(P6472786)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6472786
(24)【登録日】2019年2月1日
(45)【発行日】2019年2月20日
(54)【発明の名称】抗体の精製及び純度のモニタリング
(51)【国際特許分類】
   C12P 21/08 20060101AFI20190207BHJP
   C07K 1/16 20060101ALI20190207BHJP
   C07K 1/20 20060101ALI20190207BHJP
   C07K 1/22 20060101ALI20190207BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20190207BHJP
   C12N 15/09 20060101ALN20190207BHJP
【FI】
   C12P21/08
   C07K1/16
   C07K1/20
   C07K1/22
   C12N1/19
   !C12N15/09 Z
【請求項の数】13
【全頁数】68
(21)【出願番号】特願2016-503420(P2016-503420)
(86)(22)【出願日】2014年3月17日
(65)【公表番号】特表2016-512848(P2016-512848A)
(43)【公表日】2016年5月9日
(86)【国際出願番号】US2014030558
(87)【国際公開番号】WO2014145744
(87)【国際公開日】20140918
【審査請求日】2017年3月15日
(31)【優先権主張番号】61/792,935
(32)【優先日】2013年3月15日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508343375
【氏名又は名称】アルダー・バイオファーマシューティカルズ・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100128750
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 しのぶ
(72)【発明者】
【氏名】ラザム,ジョン・エイ
(72)【発明者】
【氏名】ガルシア−マルティネス,レオン・エフ
(72)【発明者】
【氏名】アリスン,ダニエル・エス
(72)【発明者】
【氏名】ダヴィン,スティーブン・ディー
(72)【発明者】
【氏名】トゥ,ホア・ビン
(72)【発明者】
【氏名】リー,ジェフリー・エフ
(72)【発明者】
【氏名】オーハラ,イーサン・ダブリュー
(72)【発明者】
【氏名】ヤング,マーク
【審査官】 伊藤 良子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/028635(WO,A1)
【文献】 国際公開第2004/090549(WO,A1)
【文献】 特表2010−536355(JP,A)
【文献】 Journal of Biological Standardization,1989年,Vol.17,p.65-74
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12P 21/00−21/08
C12N 15/00−15/90
C07K 1/00−19/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発酵培地から所望の組み換えポリペプチドを産生する及び所望の組み換えポリペプチドを精製する発酵プロセスであって、
(i)前記組み換えポリペプチド及び1つ以上の不純物の発現及び分泌を前記発酵培地にもたらす条件下で宿主細胞または微生物を培養すること;
(ii)前記発酵プロセスが進行しているとき、または異なる発酵作用が実施された後に、前記発酵培地の1つ以上の試料を周期的に得ること;
(iii)前記試料中の糖化不純物の量及び/または種類を、前記糖化不純物に結合するレクチンを使用して検出すること;並びに
(iv)前記試料中に検出された前記糖化不純物の量に基づいて、前記発酵プロセスの1つ以上の作動パラメーターまたは条件を改変すること
を含み、
前記宿主細胞または微生物は、酵母菌または糸状菌であり、
前記組み換えポリペプチドは、抗体または抗体フラグメントであり、
検出された前記糖化不純物の量に基づいて、前記発酵プロセスの以下の1つ以上のパラメーターまたは条件:温度、pH、ガス構成要素、供給材料構成要素、撹拌、通気、消泡及び持続時間が変更され、
前記組み換えポリペプチドを前記発酵培地から回収または精製することを更に含み、
前記精製プロセスは、前記所望の組み換えポリペプチドを含有する異なる試料または溶出液もしくはその画分を、前記所望の組み換えポリペプチドの量と比べた検出された前記糖化不純物の量及び/または種類に基づいてプールすることを更に含む、前記プロセス。
【請求項2】
(a)請求項1(iii)の前記糖化不純物が、O−結合糖鎖付加よりもたらされる、
(b)請求項1(iii)の前記レクチンが、ConA、LCH、GNAもしくはGNL、RCA、DC−SIGN、L−SIGN、PNA、AIL、VVL、WGA、SNA、MAL、MAH、UEA及びAAL、並びに/またはPNA、SBA、PWM、PEA、PTA、ML−I−III、LEA、UDA、WGA、PHA、LTA、BSI−B4、MPA、RCA、LCA、ECA、AAA、DBA、GSL−I、PSA、SJA、DSL、ECL、GSL−II、AIA/Jacalin、LEL、STL、HHL、LCA、NPL、ACL、ECL、EEL、MAL−I、AAL、LTL、BPL、MPL、PTL、SNA、DGL、SJA、VVA、LEA、STA、DSA、MMR、DEC−205、Dectin 1、Dectin 2、LangerinもしくはBDCA−2から選択される少なくとも1つのレクチンから選択される
(c)請求項1(iii)の前記検出工程が、タンパク質間相互作用モニタリングプロセスを使用することを含む、あるいは
(d))〜()の任意の組み合わせである
請求項に記載のプロセス
【請求項3】
記糖化不純物が、前記組み換えポリペプチドの糖鎖変異体である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項4】
前記酵母菌または糸状菌、アルキシオジマ(Arxiozyma)、アスコボトリオジマ(Ascobotryozyma)、シテロマイセス(Citeromyces)、デバリオマイセス(Debaryomyces)、デッケラ(Dekkera)、エレモテシウム(Eremothecium)、イサトケンキア(Issatchenkia)、カザクスタニア(Kazachstania)、クリベロマイセス(Kluyveromyces)、コダマエア(Kodamaea)、ロッデロマイセス(Lodderomyces)、パキソレン(Pachysolen)、ピキア(Pichia)、サッカロマイセス(Saccharomyces)、サツルニスポラ(Saturnispora)、テトラピシスポラ(Tetrapisispora)、トルラスポラ(Torulaspora)、ウィリオプシス(Williopsis)、ザイゴサッカロマイセス(Zygosaccharomyces)、ヤロウイア(Yarrowia)、ロドスポリジウム(Rhodosporidium)、カンジダ(Candida)、ハンゼヌラ(Hansenula)、フィロバシウム(Filobasium)、スポリジオボルス(Sporidiobolus)、ブレラ(Bullera)、ロイコスポリジウム(Leucosporidium)及びフィロバシデラ(Filobasidella)から選択される酵母菌宿主細胞、またはアスペルギルス(Aspergillus)、トリコデルマ(Trichoderma)、ペニシリウム(Penicillium)、リゾプス(Rhizopus)、ペシロマイセス(Paecilomyces)、フサリウム(Fusarium)、ニューロスポラ(Neurospora)及びクラビセプス(Claviceps)から選択される糸状菌宿主細胞である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項5】
前記酵母菌宿主細胞が、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)、ピキア・アングスタ(Pichia angusta)、ピキア・グイレルモルジイ(Pichia guillermordii)、ピキア・メタノリカ(Pichia methanolica)及びピキア・イノシトベラ(Pichia inositovera)から選択される、請求項4に記載のプロセス。
【請求項6】
前記酵母菌宿主細胞が、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)である、請求項4に記載のプロセス。
【請求項7】
精製プロセスにより前記組み換えポリペプチドを前記発酵培地から回収または精製することを更に含み、前記精製プロセスが、
記試料を少なくとも1つのクロマトグラフィー支持体と接触させ、前記所望の組み換えポリペプチドを選択的に溶出することを含む、
請求項に記載のプロセス。
【請求項8】
イズ排除クロマトグラフィーを使用して前記試料または画分中の凝集及び/または非凝集不純物の量を検出することを更に含み、検出された凝集及び/または非凝集不純物の量に基づいて、前記発酵プロセスの以下の1つ以上のパラメーターまたは条件:温度、pH、ガス構成要素、供給材料構成要素、撹拌、通気、消泡及び持続時間、が変更される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項9】
記組み換えポリペプチドが、ヒト抗体もしくはヒト化抗体またはそのフラグメントであり、前記抗体または抗体フラグメントが、一価、二価または多価抗体を含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項10】
記組み換えポリペプチドが、IL−2、IL−4、IL−6、IL−10、IL−12、IL−13、IL−17、IL−18、IFN−アルファ、IFN−ガンマ、BAFF、CXCL13、IP−10、CBP、アンギオテンシン、Nav1.7、Nav1.8、VEGF、PDGF、EPO、EGF、FSH、TSH、hCG、CGRP、NGF、TNF、HGF、BMP2、BMP7、PCSK9またはHRGに特異的に結合する抗体または抗体フラグメントである、請求項に記載のプロセス。
【請求項11】
前記レクチンが、支持体に結合している、請求項2に記載のプロセス。
【請求項12】
前記タンパク質間相互作用モニタリングプロセスが、光干渉法、二重偏光干渉法、静的光散乱法、動的光散乱法、多角度光散乱法、表面プラスモン共鳴、ELISA、化学発光ELISA、ファーウエスタンまたは電気化学発光を使用する、請求項2に記載のプロセス。
【請求項13】
前記抗体または抗体フラグメントが、ウサギ、マウス、ラット、ヤギ、ヒツジまたはウシ由来のヒト化抗体または抗体フラグメントである、請求項1に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の開示】
【0001】
本出願は、米国特許仮出願第61/792,935号、2013年3月15日出願の利益を主張し、その全体が参照として本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本開示は、一般に、組み換えポリペプチドを産生及び精製するプロセスに関する。特に、本開示は、レクチン結合アッセイを使用して糖化不純物をモニターする、酵母菌または糸状菌細胞に発現させたホモポリマーまたはヘテロポリマーポリペプチドを産生及び精製するプロセスを提供する。その結果、発酵プロセス及び/または精製方法を調整して、所望の組み換えタンパク質の量を最大限にすること、並びに糖化不純物及び他の望ましくない産物関連不純物、例えば凝集物及び核酸を最小限にすることができる。例示的な実施形態において、組み換えタンパク質は、抗体のような多サブユニットタンパク質であり、宿主細胞は、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)のような酵母菌であり、糖化不純物は、N−結合及び/またはO−結合糖鎖変異体(glycovariant)のような所望の組み換えポリペプチドの糖鎖変異体である。
【背景技術】
【0003】
大規模で経済的なタンパク質の精製は、バイオテクノロジー産業においてますます重要な問題になっている。一般に、タンパク質は、タンパク質の遺伝子を含む組み換えプラスミドの挿入により目的のタンパク質を産生するように操作された、原核生物、例えば細菌または真核生物、例えば哺乳類もしくは真菌の細胞系を使用した細胞培養によって産生される。使用される細胞系が生存生物体であるので、糖、アミノ酸及び増殖因子を含み、時には動物血清の調製物から供給される複合増殖培地が与えられなければならない。細胞に与えられた化合物の混合物から及び細胞自体により生成された副生成物から所望の組み換えタンパク質を分離して、ヒトの治療用として使用するのに十分な純度にすることは、大変な難題である。
【0004】
多量体、例えばホモポリマー及びヘテロポリマータンパク質は、生体分子における最も複雑なレベルの構造組織の1つを表す。構成ポリペプチド鎖は(二次構造及び三次ドメインに)折り畳まれる必要があるのみならず、安定したサブユニット相互作用を可能にする相補界面も形成しなければならない。これらの相互作用は、高度に特異的であり、同一のサブユニット間または異なるサブユニット間のものでありうる。
【0005】
特に、従来の抗体は、2つの同一の軽鎖と2つの同一の重鎖から構成される四量体である。特定の種類の純粋なヒト抗体は、多くの目的のために十分な量で天然供給源から精製することが困難でありうる。その結果、バイオテクノロジー及び製薬会社は、大規模に抗体を調製する組み換えDNAに基づいた方法を頼りにした。数百の治療用モノクローナル抗体(mAb)が現在市販されているか、または開発中である。機能性抗体(抗原特異性を保持し、多くの場合、改善された機能性及び物理化学的特性を示す抗体フラグメントを含む)は、一般に、2つのポリペプチドの合成、並びにN末端分泌シグナル配列のタンパク質分解プロセッシング、ポリペプチドの四量体への適正な折り畳み及び組み立て、ジスルフィド結合の形成を含む多数の翻訳後事象に関与し、典型的には特定のN結合糖鎖付加を含む。
【0006】
加えて、免疫及び造血系の繁殖、分化及び他の細胞機能を制御する多面発現調節物質としてのサイトカインは、広範囲の感染性及び自己免疫性の疾患における治療上の使用に潜在性を有する。抗体と同じように、組み換え発現方法は、多くの場合、後の研究及び薬学的用途に使用される組み換えサイトカインを発現するために使用される。
【0007】
そのようなタンパク質の組み換え合成は、典型的には、生物学的に活性な材料を産生するため高等真核生物細胞の培養に依存しており、培養哺乳類細胞が極めて一般的に使用されている。しかし、哺乳類組織培養に基づいた産生系は、有意な追加費用及び微生物発酵方法と比べて複雑さを招く。加えて、哺乳類細胞培養物から誘導される産物は、培養細胞または血清のような培養に使用される動物由来産物に存在しうる哺乳類病原体(ウイルスを含む)が無含有であることを確実にするため、追加の安全性試験を必要とすることがある。
【0008】
以前の研究は、研究、診断及び治療上の使用に潜在的に適している機能性抗体を産生する費用効率の高いプラットフォームとして、酵母菌のピキア・パストリス(Pichia pastoris)を確立することを助けた。共有米国特許第7,935,340号、同第7,927,863号及び同第8,268,582号(それぞれその全体が参照として組み込まれる)を参照すること。方法は、組み換えタンパク質の発現のためのP.パストリス(pastoris)の発酵の設計が文献によっても知られており、最適化が、細胞密度、ブロス量、基質供給量及び反応各相の長さを含むパラメーターに関して記載されている。Zhang et al.,“Rational Design and Optimization of Fed−Batch and Continuous Fermentations”in Cregg,J.M.,Ed.,2007,Pichia Protocols(2nd edition),Methods in Molecular Biology,vol.389,Humana Press,Totowa,N.J.,pgs 43−63を参照すること。また、US20130045888,表題 MULTI−COPY STRATEGY FOR HIGH−TITER AND HIGH−PURITY PRODUCTION OF MULTI−SUBUNIT PROTEINS SUCH AS ANTIBODIES IN TRANSFORMED MICROBES SUCH AS PICHIA PASTORIS及びUS20120277408,entitledHIGH−PURITY PRODUCTION OF MULTI−SUBUNIT PROTEINS SUCH AS ANTIBODIES IN TRANSFORMED MICROBES SUCH AS PICHIA PASTORISを参照すること。
【0009】
組み換えタンパク質は、培養細胞から産生されうるが、望ましくない副産物を産生することもある。例えば、培養細胞は、所望のタンパク質を、望ましくない、または異常な糖鎖付加を有するタンパク質と共に産生しうる。加えて、培養細胞は、多サブユニットタンパク質を、遊離モノマー及び不正確な化学量論を有する複合体と共に産生しうる。所望の多サブユニットタンパク質の精製は、生産費用を増加する可能性があり、精製に関与する工程は、所望の複合体の総収率を減少することがある。更に、精製した後であっても、望ましくない副産物が、問題を引き起こす量で存在することがある。例えば、糖化副産物は、投与後に免疫反応の危険性を増加する量で存在することがあり、安定性、半減期及び特定の活性のような特性に有害な影響を与えることがあり、一方、異常な複合体または凝集体は、特定の活性を減少することがあり、潜在的に免疫原性になることもある。
【発明の概要】
【0010】
本発明は、組み換えポリペプチド及び1つ以上の不純物の発現及び分泌を発酵培地にもたらす条件下で所望の細胞または微生物を培養することを含む発酵プロセスによりもたらされる1つ以上の試料から、所望の組み換えポリペプチドを精製するプロセスを提供し、精製プロセスは、試料中の糖化不純物の量及び/または種類を、例えばO−結合糖鎖付加及び/またはN−結合糖鎖付加によりもたらされる所望の組み換えポリペプチドの糖鎖変異体のような、前記糖化不純物に結合するレクチンを使用して検出することを含む。
【0011】
1つの実施形態において、精製プロセスは、場合により、試料を少なくとも1つのクロマトグラフィー支持体と接触させること、所望の組み換えポリペプチドを選択的に溶出すること、並びに糖化不純物の量及び/または種類を、前記糖化不純物に結合するレクチンを使用して溶出液またはその画分において検出することを更に含む。検出工程は、ConA、LCH、GNAまたはGNL、RCA、DC−SIGN、L−SIGN、PNA、AIL、VVL、WGA、SNA、MAL、MAH、UEA及びAALから選択される少なくとも1つのレクチンを使用して実施することができる。表3を参照すること。検出工程は、PNA、SBA、PWM、PEA、PTA、ML−I−III、LEA、UDA、WGA、PHA、LTA、BSI−B4、MPA、RCA、LCA、ECA、AAA、DBA、GSL−I、PSA、SJA、DSL、ECL、GSL−II、AIA/Jacalin、LEL、STL、HHL、LCA、NPL、ACL、ECL、EEL、MAL−I、AAL、LTL、BPL、MPL、PTL、SNA、DGL、SJA、VVA、LEA、STAまたはDSAから選択されるレクチンのような、少なくとも1つの植物レクチンを使用して実施することができる。Rodas et al.,“Separation between toxin−producing and non−toxic clones of Microcystis aeruginosa using lectins,”Anales De La Real Academia Nacional De Farmacia,2012;78(1):123;Bies et al.,“Lectin−mediated drug targeting:history and applications,”Advanced Drug Delivery Reviews,Volume 56,Issue 4,3 March 2004,Pages 425−435;Farias et al.,“”,Farias et al.,“Expression pattern of glycoconjugates in the Bidderian and ovarian follicles of the Brazilian toad Bufo ictericus analyzed by lectin histochemistry”Braz.J.Biol.[online].2006,vol.66,n.1a,pp.45−51;Vector Laboratories On−Line Catalog,“Specificity Guide for Lectins”および“Biotinylated Lectin Kits”;Afrough et al.,“Identification and elimination of false−positives in an ELISA−based system for qualitative assessment of glycoconjugate binding using a selection of plant lectins”,BioTechniques,Vol.43,No.4,October 2007,pp.458−464(それぞれその全体が参照として本明細書に組み込まれる)を参照すること。検出工程は、MMR、DEC−205、Dectin 1、Dectin 2、LangerinまたはBDCA−2のような少なくとも1つの樹状細胞のレクチンを使用して実施することができる。Figdor et al.,“C−type lectin receptors on dendritic cells and langerhans cells”,Nature Reviews Immunology 2,77−84(February 2002)(その全体が参照として本明細書に組み込まれる)を参照すること。マンノース型糖鎖付加のような糖鎖付加の特定の種類に対する前記植物及び樹状細胞のレクチンの親和性は、本明細書に開示されている技術または当該技術において既知の他の技術を使用して容易に測定し、所定のレクチンを所定の糖化タンパク質の結合に使用できるかを決定することができる。
【0012】
好ましくは、レクチンは支持体に結合されている。1つの実施形態において、検出工程は、例えば、光干渉法(ForteBio Octet(登録商標))、二重偏光干渉法(Farfield AnaLight(登録商標))、静的光散乱法(Wyatt DynaPro NanoStar(商標))、動的光散乱法(Wyatt DynaPro NanoStar(商標))、多角度光散乱法(Wyatt Calypso II)、表面プラスモン共鳴(ProteOn XPR36 またはBiacore T100)、ELISA、化学発光ELISA、ファーウエスタン、電気化学発光(例えば、MesoScale Discoveryを使用して行われるもの)または他のレクチン動力学結合アッセイであるが、これらに限定されないようなタンパク質間相互作用モニタリングプロセスを使用する。
【0013】
1つの実施形態において、所望の組み換えポリペプチドは、ホモポリマーまたはヘテロポリマーポリペプチドである。そのようなホモポリマーまたはヘテロポリマー組み換えポリペプチドには、ホルモン、増殖因子、受容体(例えば、GPCRおよび免疫細胞受容体)、抗体、サイトカイン、受容体リガンド、転写因子、毒素または酵素が含まれるが、これらに限定されない。非限定的に例示的な抗体または抗体フラグメントには、IL−2、IL−4、IL−6、IL−10、IL−12、IL−13、IL−17、IL−18、IFN−アルファ、IFN−ガンマ、BAFF、CXCL13、IP−10、CBP、アンギオテンシン(アンギオテンシンI及びアンギオテンシンII)、Nav1.7、Nav1.8、VEGF、PDGF、EPO、EGF、FSH、TSH、hCG、CGRP、NGF、TNF、HGF、BMP2、BMP7、PCSK9またはHRGに特異的に結合するものが含まれる。好ましくは、所望の組み換えポリペプチドは、抗体または抗体フラグメントである。別の実施形態において、抗体または抗体フラグメントは、ヒト抗体もしくはヒト化抗体またはそれらのフラグメントである。ヒト化抗体は、マウス、ラット、ウサギ、ヤギ、ヒツジまたはウシ由来のものでありうる。好ましくは、ヒト化抗体は、ウサギ由来のものである。なお別の実施形態において、抗体または抗体フラグメントは、一価、二価または多価抗体を含む。
【0014】
1つの実施形態において、所望の組み換えポリペプチドは、酵母菌または糸状菌である宿主細胞に発現する。酵母菌は、アルキシオジマ(Arxiozyma)、アスコボトリオジマ(Ascobotryozyma)、シテロマイセス(Citeromyces)、デバリオマイセス(Debaryomyces)、デッケラ(Dekkera)、エレモテシウム(Eremothecium)、イサトケンキア(Issatchenkia)、カザクスタニア(Kazachstania)、クリベロマイセス(Kluyveromyces)、コダマエア(Kodamaea)、ロッデロマイセス(Lodderomyces)、パキソレン(Pachysolen)、ピキア(Pichia)、サッカロマイセス(Saccharomyces)、サツルニスポラ(Saturnispora)、テトラピシスポラ(Tetrapisispora)、トルラスポラ(Torulaspora)、ウィリオプシス(Williopsis)、ザイゴサッカロマイセス(Zygosaccharomyces)、ヤロウイア(Yarrowia)、ロドスポリジウム(Rhodosporidium)、カンジダ(Candida)、ハンゼヌラ(Hansenula)、フィロバシウム(Filobasium)、スポリジオボルス(Sporidiobolus)、ブレラ(Bullera)、ロイコスポリジウム(Leucosporidium)及びフィロバシデラ(Filobasidella)から選択されうる。好ましくは、酵母菌は、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)、ピキア・アングスタ(Pichia angusta)、ピキア・グイレルモルジイ(Pichia guillermordii)、ピキア・メタノリカ(Pichia methanolica)またはピキア・イノシトベラ(Pichia inositovera)である。より好ましくは、酵母菌は、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)である。好ましい実施形態において、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)は、抗体または抗体フラグメントを発現する。糸状菌は、アスペルギルス(Aspergillus)、トリコデルマ(Trichoderma)、ペニシリウム(Penicillium)、リゾプス(Rhizopus)、ペシロマイセス(Paecilomyces)、フサリウム(Fusarium)、ニューロスポラ(Neurospora)及びクラビセプス(Claviceps)から選択されうる。
【0015】
1つの実施形態において、精製プロセスは、(a)試料をアフィニティークロマトグラフィー支持体と接触させ、所望の組み換えポリペプチドを支持体から分離すること、(b)工程(a)の溶出液またはその画分を混合モードクロマトグラフィー支持体と接触させ、所望の組み換えポリペプチドを支持体から選択的に溶出させること、並びに(c)工程(b)の溶出液またはその画分を疎水性相互作用クロマトグラフィー支持体と接触させ、所望の組み換えポリペプチドを支持体から選択的に溶出することを含み、工程(c)の溶出液またはその画分が、実質的に精製された所望の組み換えポリペプチドを含む、所望の組み換えポリペプチドのクロマトグラフィー精製を含む。1つの実施形態において、アフィニティークロマトグラフィー支持体は、プロテインA、例えばMabSelect SuReまたはレクチン、例えばGNLもしくはDC−SIGNのような免疫親和性リガンドを含む。約1Mのアルギニン、pH4.0を含む緩衝液をクロマトグラフィー支持体に適用して、所望の多サブユニット複合体を溶出することができる。別の実施形態において、混合モードクロマトグラフィー支持体は、セラミックヒドロキシアパタイトである。約5mMのリン酸ナトリウム、pH6.5を含む緩衝液及び約0M〜約1.5Mの塩化ナトリウムを、クロマトグラフィー支持体に適用して、所望の組み換えポリペプチドを溶出することができる。あるいは、約5mM〜約0.25Mのリン酸ナトリウム、pH6.5を含む緩衝液をクロマトグラフィー支持体に適用して、所望の組み換えポリペプチドを溶出することができる。
【0016】
なお別の実施形態において、疎水性相互作用クロマトグラフィー支持体は、ポリプロピレングリコール(PPG)600Mである。約20mMのリン酸ナトリウム、pH7.0中に約0.7M〜約0Mの硫酸酸ナトリウムを含む緩衝液をクロマトグラフィー支持体に適用して、所望の組み換えポリペプチドを溶出することができる。
【0017】
好ましくは、工程(a)、工程(b)及び工程(c)のうちの少なくとも1つの溶出液またはその画分をレクチンと接触させて、溶出液またはその画分における糖化不純物の量及び/または種類を検出する。所望の組み換えポリペプチドを含有する異なる試料または溶出液もしくはその画分を、検出された糖化不純物の量及び/または種類に基づいてプールすることができる。例えば、所望の組み換えポリペプチドを含有する異なる試料または溶出液もしくはその画分は、組み換えポリペプチドの量と比べた検出された糖化不純物の量及び/または種類に基づいてプールされる。1つの実施形態において、10%未満の糖鎖変異体、5%未満の糖鎖変異体、1%未満の糖鎖変異体または0.5%未満の糖鎖変異体を含む試料または溶出液もしくはその画分がプールされる。加えて、異なる試料または溶出液もしくはその画分を、所望の組み換えポリペプチドの純度に基づいてプールすることができる。例えば、91%を超える純度、97%を超える純度または99%を超える純度含む試料または溶出液もしくはその画分がプールされる。1つの実施形態において、純度は、糖化重鎖ポリペプチド及び/または糖化軽鎖ポリペプチドの質量を、重鎖ポリペプチド及び/または軽鎖ポリペプチドの合計質量の百分率として測定することによって決定される。好ましい実施形態において、工程(c)の溶出液は、50ng/mg未満の糖鎖変異体を含み、より好ましくは、工程(c)の溶出液は25ng/mg未満の糖鎖変異体を含み、最も好ましくは、工程(c)の溶出液は10ng/mg未満の糖鎖変異体を含む。別の好ましい実施形態において、工程(c)の溶出液は、レクチン結合動力学アッセイにより測定して約0.2〜約2相対単位(RU)の範囲のレクチン活性を含み、より好ましくは、工程(c)の溶出液は10ng/mg未満の真菌細胞タンパク質を含む。なお別の好ましい実施形態において、工程(c)の溶出液は、5ng/mg未満の真菌細胞タンパク質を含み、より好ましくは、工程(c)の溶出液は2ng/mg未満の真菌細胞タンパク質を含む。なお別の好ましい実施形態において、工程(c)の溶出液は、10ng/mg未満の核酸を含み、より好ましくは、工程(c)の溶出液は5ng/mg未満の核酸を含む。
【0018】
別の実施形態において、特定の試料または溶出液もしくはその画分は、検出された糖化不純物の量及び/または種類に応じて廃棄される。なお別の実施形態において、特定の試料または画分は、検出された糖化不純物の量及び/または種類に応じて、糖化不純物を低減及び/または除去するように処理される。例示的な処理には、以下の1つ以上が含まれる。(i)糖鎖付加を除去する酵素または他の化学部分を付加すること、(ii)1つ以上のレクチン結合工程を実施して、糖化不純物を除去すること、(iii)サイズ排除クロマトグラフィーを実施して、糖化不純物を除去すること。
【0019】
特に、本発明は、所望のポリペプチド及び少なくとも1つの糖化不純物を含む混合物から、真菌細胞、好ましくはピキア・パストリス(Pichia pastoris)に発現させた所望の組み換えポリペプチドを精製するプロセスであって、(a)混合物をアフィニティークロマトグラフィー支持体と接触させ、多サブユニットタンパク質を支持体から分離すること、(b)工程(a)の溶出液またはその画分を混合モードクロマトグラフィー支持体と接触させ、多サブユニットタンパク質を支持体から選択的に溶出させること、並びに(c)工程(b)の溶出液またはその画分を疎水性相互作用クロマトグラフィー支持体と接触させ、多サブユニットタンパク質を支持体から選択的に溶出することを含み、工程(c)の溶出液またはその画分が、実質的に精製された所望の組み換えポリペプチドを含む、精製プロセスを提供する。工程(b)及び/または工程(c)の溶出液またはその画分における糖化不純物の量及び/または種類は、前記糖化不純物に結合するレクチンを使用して検出され、工程(b)及び/または工程(c)の溶出液の1つ以上の画分が、検出された糖化不純物の量及び/または種類に基づいた更なるプロセッシングのために選択される。好ましくは、アフィニティークロマトグラフィー支持体は、プロテインAカラムであり、及び/または混合モードクロマトグラフィー支持体は、ヒドロキシアパタイトカラムであり、及び/または疎水性相互作用クロマトグラフィー支持体は、PPG−600Mカラムである。あるいは、アフィニティークロマトグラフィー支持体は、レクチンカラムである。
【0020】
1つの実施形態において、所望の組み換えポリペプチドは、多サブユニットタンパク質、好ましくは抗体である。別の実施形態において、検出工程は、光干渉法(ForteBio Octet(登録商標))、二重偏光干渉法(Farfield AnaLight(登録商標))、静的光散乱法(Wyatt DynaPro NanoStar(商標))、動的光散乱法(Wyatt DynaPro NanoStar(商標))、多角度光散乱法(Wyatt Calypso II)、表面プラスモン共鳴(ProteOn XPR36 or Biacore T100)、ELISA、化学発光ELISA、ファーウエスタン、電気化学発光(例えば、MesoScale Discoveryを使用して行われるもの)または他のレクチン動力学結合アッセイから選択されるタンパク質間相互作用モニタリングプロセスにおいて、ConA、LCH、GNA、RCA、DC−SIGN、L−SIGN、PNA、AIL、VVL、WGA、SNA、MAL、MAH、UEA及びAALから選択される少なくとも1つのレクチンを使用して実施される。好ましくは、検出工程は、光干渉法(ForteBio Octet(登録商標))アッセイにGNA(もしくはGNL)及び/またはDC−SIGNレクチンを使用して実施される。
【0021】
本発明は、所望の組み換えポリペプチドを産生する及び所望のポリペプチドを発酵培地から精製する発酵プロセスを更に提供する。方法は、(i)組み換えポリペプチド及び1つ以上の不純物の発現及び分泌を発酵培地にもたらす条件下で宿主細胞または微生物を外用すること、(ii)発酵プロセスが進行しているとき、または異なる発酵作用が実施された後に、発酵培地の1つ以上の試料を周期的に得ること、(iii)前記糖化不純物に結合するレクチンを使用して試料中の糖化不純物の量及び/または種類を検出すること、並びに(iv)試料中に検出された糖化不純物の量に基づいて、発酵プロセスの1つ以上の作動パラメーターまたは条件を改変することを含む。糖化不純物は、好ましくはO−結合糖鎖付加及び/またはN−結合糖鎖付加によりもたらされる、組み換えポリペプチドの糖鎖変異体でありうる。
【0022】
1つの実施形態において、検出工程は、ConA、LCH、GNA、RCA、DC−SIGN、L−SIGN、PNA、AIL、VVL、WGA、SNA、MAL、MAH、UEA及びAALから選択される少なくとも1つのレクチン、好ましくは支持体に結合しているレクチンを使用して実施される。別の実施形態において、検出工程は、例えば、光干渉法(ForteBio Octet(登録商標))、二重偏光干渉法(Farfield AnaLight(登録商標))、静的光散乱法(Wyatt DynaPro NanoStar(商標))、動的光散乱法(Wyatt DynaPro NanoStar(商標))、多角度光散乱法(Wyatt Calypso II)、表面プラスモン共鳴(ProteOn XPR36 or Biacore T100)、ELISA、化学発光ELISA、ファーウエスタン、電気化学発光(例えば、MesoScale Discoveryを使用して行われるもの)または他のレクチン動力学結合アッセイのような、タンパク質間相互作用モニタリングプロセスを使用する。
【0023】
1つの実施形態において、検出された糖化不純物の量に基づいて、発酵プロセスの以下の1つ以上のパラメーターまたは条件が変更される。温度、pH、ガス構成要素、供給材料構成要素、撹拌、通気、消泡及び持続時間。
【0024】
別の実施形態において、組み換えポリペプチドは、ホモポリマーまたはヘテロポリマーポリペプチドである。例示的な組み換え多量体ポリペプチドには、ホルモン、増殖因子、受容体、抗体、サイトカイン、受容体リガンド、転写因子または酵素が含まれる。好ましくは、組み換えポリペプチドは、抗体または抗体フラグメントである。例示的な抗体及び抗体フラグメントには、IL−2、IL−4、IL−6、IL−10、IL−12、IL−13、IL−17、IL−18、IFN−アルファ、IFN−ガンマ、BAFF、CXCL13、IP−10、CBP、アンギオテンシン(アンギオテンシンI及びアンギオテンシンII)、Nav1.7、Nav1.8、VEGF、PDGF、EPO、EGF、FSH、TSH、hCG、CGRP、NGF、TNF、HGF、BMP2、BMP7、PCSK9またはHRGに特異的に結合するものが含まれる。1つの実施形態において、抗体または抗体フラグメントは、ヒト抗体もしくはヒト化抗体またはそれらのフラグメントである。ヒト化抗体は、マウス、ラット、ウサギ、ヤギ、ヒツジまたはウシ由来のものでありうる。好ましくは、ヒト化抗体は、ウサギ由来のものである。1つの実施形態において、抗体または抗体フラグメントは、一価、二価または多価抗体を含む。
【0025】
1つの実施形態において、宿主細胞は、酵母菌または糸状菌である。好ましくは、酵母菌宿主細胞は、アルキシオジマ(Arxiozyma)、アスコボトリオジマ(Ascobotryozyma)、シテロマイセス(Citeromyces)、デバリオマイセス(Debaryomyces)、デッケラ(Dekkera)、エレモテシウム(Eremothecium)、イサトケンキア(Issatchenkia)、カザクスタニア(Kazachstania)、クリベロマイセス(Kluyveromyces)、コダマエア(Kodamaea)、ロッデロマイセス(Lodderomyces)、パキソレン(Pachysolen)、ピキア(Pichia)、サッカロマイセス(Saccharomyces)、サツルニスポラ(Saturnispora)、テトラピシスポラ(Tetrapisispora)、トルラスポラ(Torulaspora)、ウィリオプシス(Williopsis)、ザイゴサッカロマイセス(Zygosaccharomyces)、ヤロウイア(Yarrowia)、ロドスポリジウム(Rhodosporidium)、カンジダ(Candida)、ハンゼヌラ(Hansenula)、フィロバシウム(Filobasium)、スポリジオボルス(Sporidiobolus)、ブレラ(Bullera)、ロイコスポリジウム(Leucosporidium)及びフィロバシデラ(Filobasidella)から選択される。より好ましくは、酵母菌宿主細胞は、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)、ピキア・アングスタ(Pichia angusta)、ピキア・グイレルモルジイ(Pichia guillermordii)、ピキア・メタノリカ(Pichia methanolica)またはピキア・イノシトベラ(Pichia inositovera)である。最も好ましくは、酵母菌宿主は、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)である。好ましい実施形態において、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)は、抗体または抗体フラグメントを発現する。代替的な実施形態において、糸状菌宿主細胞は、アスペルギルス(Aspergillus)、トリコデルマ(Trichoderma)、ペニシリウム(Penicillium)、リゾプス(Rhizopus)、ペシロマイセス(Paecilomyces)、フサリウム(Fusarium)、ニューロスポラ(Neurospora)及びクラビセプス(Claviceps)から選択される。
【0026】
別の実施形態において、プロセスは、発酵培地から組み換えポリペプチドを回収または精製することを更に含む。好ましくは、精製プロセスは、試料を少なくとも1つのクロマトグラフィー支持体と接触させ、所望の組み換えポリペプチドを選択的に溶出することを更に含む。1つの実施形態において、精製プロセスは、所望の組み換えポリペプチドを含有する異なる試料または溶出液もしくはその画分を、検出された糖化不純物の量及び/または種類に基づいてプールすることを更に含む。例えば、所望の組み換えポリペプチドを含有する異なる試料または溶出液もしくはその画分は、組み換えポリペプチドの量と比べた、検出された糖化不純物の量及び/または種類に基づいてプールされうる。
【0027】
1つの実施形態において、プロセスは、サイズ排除クロマトグラフィーを使用して試料または画分中の凝集及び/または非凝集不純物の量を検出することを更に含む。好ましくは、検出された凝集及び/または非凝集不純物の量に基づいて、発酵プロセスの以下の1つ以上のパラメーターまたは条件が変更される。温度、pH、ガス構成要素、供給材料構成要素、撹拌、通気、消泡及び持続時間。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】精製プロセス全体にわたって不純物の存在をモニターすることを含む、ピキア(Pichia)のような形質転換細胞に発現されたモノクローナル抗体を産物関連不純物から精製する例示的な方法論の概要を提供する。
【0029】
図2】糖化タンパク質へのレクチン結合を図示する。レクチン動力学結合アッセイ(例えば、光干渉法)が、糖化不純物からの主要産物、例えば抗体の精製をモニターする分析技術における使用のために例示されている。
【0030】
図3】ピキア(Pichia)におけるタンパク質の産生に関連する、O−結合糖化産物を含む糖鎖変異体の存在を図示する。ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー分離によるAb−Aの画分を、Octet instrumentにより固定化レクチン(GNA,Snowdrop)を使用して、存在する糖化産物の量について分析した。
【0031】
図4A】レクチン動力学結合アッセイにより決定された糖化不純物のレベルが、サイズ排除クロマトグラフィーにより決定された糖化不純物のレベルと相関することを図示する。略語GVは、糖鎖変異体を意味する。Ab−Aのヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー画分(画分1〜画分21)におけるGNA、DC−SIGNのためのOctetアッセイによるレクチン結合応答データ(RU)が、同じ画分のサイズ排除(SE)−HPLCにより決定された糖鎖変異体の率によりグラフで表されている。図4Aを参照すること。SE−HPLCクロマトグラフィーの試料は、IgGからの糖鎖変異体の分離を示す。室温で15.9分に溶出されたGVピークが矢印で示されている。IgGピークは、室温で17.2分に溶出した。
図4B】レクチン動力学結合アッセイにより決定された糖化不純物のレベルが、サイズ排除クロマトグラフィーにより決定された糖化不純物のレベルと相関することを図示する。略語GVは、糖鎖変異体を意味する。Ab−Aのヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー画分(画分1〜画分21)におけるGNA、DC−SIGNのためのOctetアッセイによるレクチン結合応答データ(RU)が、同じ画分のサイズ排除(SE)−HPLCにより決定された糖鎖変異体の率によりグラフで表されている。図4Aを参照すること。SE−HPLCクロマトグラフィーの試料は、IgGからの糖鎖変異体の分離を示す。室温で15.9分に溶出されたGVピークが矢印で示されている。IgGピークは、室温で17.2分に溶出した。
【0032】
図5A】ピキア(Pichia)に産生されたAb−Aのヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー画分の糖化不純物含有量を示し、これを使用して、どの画分を更なる精製のためにプールするかを決定した。例えば、2つのプールを異なる厳密性に基づいて描写した。ベースラインプール基準−≧91%の純度及び≦5.0%の変異体を有するプール画分(画分1〜画分13)、厳密プール基準≦1.0%の変異体を有するプール画分(画分1〜画分10)。図5Aを参照すること。略語GVは、糖鎖変異体を意味する。SE−HPLCデータは、ベースラインプール(画分1〜画分13)が0.4%のGVを有し、一方、厳密プール(画分1〜画分10)が0.1%のGVを有することを示す。プールのO−グリコ分析(mol糖/mol mAb)は、ベースラインプールと比較して低減されたモノマンノース及びマンノトリオースを厳密プールにおいて示す(すなわち、ベースラインプールにおける1.60molのモノマンノース/mol Ab−Aと比較した厳密プールにおける1.55molのモノマンノース/mol Ab−A及びベースラインプールにおける0.28molのマンノトリオース/mol Ab−Aと比較した厳密プールにおける0.22molのマンノトリオース/mol Ab−A)。GNA−Octet応答データ(RU)は、ベースラインプールと比較して低減されたレベルの糖鎖変異体を厳密プールにおいて確認した(すなわち、それぞれ2.3RUに対して1.9RU)。図5Bを参照すること。
図5B】ピキア(Pichia)に産生されたAb−Aのヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー画分の糖化不純物含有量を示し、これを使用して、どの画分を更なる精製のためにプールするかを決定した。例えば、2つのプールを異なる厳密性に基づいて描写した。ベースラインプール基準−≧91%の純度及び≦5.0%の変異体を有するプール画分(画分1〜画分13)、厳密プール基準≦1.0%の変異体を有するプール画分(画分1〜画分10)。図5Aを参照すること。略語GVは、糖鎖変異体を意味する。SE−HPLCデータは、ベースラインプール(画分1〜画分13)が0.4%のGVを有し、一方、厳密プール(画分1〜画分10)が0.1%のGVを有することを示す。プールのO−グリコ分析(mol糖/mol mAb)は、ベースラインプールと比較して低減されたモノマンノース及びマンノトリオースを厳密プールにおいて示す(すなわち、ベースラインプールにおける1.60molのモノマンノース/mol Ab−Aと比較した厳密プールにおける1.55molのモノマンノース/mol Ab−A及びベースラインプールにおける0.28molのマンノトリオース/mol Ab−Aと比較した厳密プールにおける0.22molのマンノトリオース/mol Ab−A)。GNA−Octet応答データ(RU)は、ベースラインプールと比較して低減されたレベルの糖鎖変異体を厳密プールにおいて確認した(すなわち、それぞれ2.3RUに対して1.9RU)。図5Bを参照すること。
【0033】
図6A】ピキア(Pichia)に産生されたAb−Aの疎水性相互作用クロマトグラフィー画分の糖化不純物含有量を示し、これを使用して、どの画分を更なる精製のためにプールするかを決定した。例えば、2つの可能なプールを異なる厳密性に基づいて描写した。ベースラインプール基準−前隣接で≧97%の純度を有する最初の画分から後隣接で≧99%の純度を有する最後の画分までのプール(画分4〜画分23)及び厳密プール基準−前隣接で≦10RUのGNA活性を有する最初の画分から後隣接で≧99%のSE−HPLC純度を有する最後の画分までのプール(画分8〜画分23)。図6Aを参照すること。略語GVは、糖鎖変異体を意味する。略語LMWは、低分子量不純物を意味する。SE−HPLCデータは、ベースラインプール(画分4〜画分23)が0.4%のGVを有し、一方、厳密プール(画分8〜画分23)が0.3%のGVを有することを示す。プールのO−グリコ分析(mol糖/mol mAb)は、ベースラインプールと比較して低減されたモノマンノース、マンノビオース及びマンノトリオースを厳密プールにおいて示す(すなわち、ベースラインプールにおける1.48molのモノマンノース/mol Ab−Aと比較した厳密プールにおける1.57molのモノマンノース/mol Ab−A、ベースラインプールにおける0.14molのマンノビオース/mol Ab−A molと比較した厳密プールにおける0.52molのマンノビオース/mol Ab−A及びベースラインプールにおける0.07molのマンノトリオース/mol Ab−Aと比較した厳密プールにおける0.32molのマンノトリオース/mol Ab−A)。GNA−Octetデータは、ベースラインプールと比較して低減されたレベルの糖鎖変異体を厳密プールにおいて確認した(すなわち、それぞれ1.4RUに対して1.1RU)。図6Bを参照すること。
図6B】ピキア(Pichia)に産生されたAb−Aの疎水性相互作用クロマトグラフィー画分の糖化不純物含有量を示し、これを使用して、どの画分を更なる精製のためにプールするかを決定した。例えば、2つの可能なプールを異なる厳密性に基づいて描写した。ベースラインプール基準−前隣接で≧97%の純度を有する最初の画分から後隣接で≧99%の純度を有する最後の画分までのプール(画分4〜画分23)及び厳密プール基準−前隣接で≦10RUのGNA活性を有する最初の画分から後隣接で≧99%のSE−HPLC純度を有する最後の画分までのプール(画分8〜画分23)。図6Aを参照すること。略語GVは、糖鎖変異体を意味する。略語LMWは、低分子量不純物を意味する。SE−HPLCデータは、ベースラインプール(画分4〜画分23)が0.4%のGVを有し、一方、厳密プール(画分8〜画分23)が0.3%のGVを有することを示す。プールのO−グリコ分析(mol糖/mol mAb)は、ベースラインプールと比較して低減されたモノマンノース、マンノビオース及びマンノトリオースを厳密プールにおいて示す(すなわち、ベースラインプールにおける1.48molのモノマンノース/mol Ab−Aと比較した厳密プールにおける1.57molのモノマンノース/mol Ab−A、ベースラインプールにおける0.14molのマンノビオース/mol Ab−A molと比較した厳密プールにおける0.52molのマンノビオース/mol Ab−A及びベースラインプールにおける0.07molのマンノトリオース/mol Ab−Aと比較した厳密プールにおける0.32molのマンノトリオース/mol Ab−A)。GNA−Octetデータは、ベースラインプールと比較して低減されたレベルの糖鎖変異体を厳密プールにおいて確認した(すなわち、それぞれ1.4RUに対して1.1RU)。図6Bを参照すること。
【0034】
図7】ピキア(Pichia)に産生されたAb−Aの非還元及び還元条件下で実施された染色SDS−PAGEゲル(それぞれ、図7のパネルA及びパネルB)を示す。プロテインA溶出液からCHTプールとPPG HICプールへのプロセッシング中に産物関連不純物のレベルが低減したので、精製が観察される。両方のパネルにおいて、レーン1及び12は、対照レーン(1X試料緩衝液)であり、レーン2、6及び11は、分子量マーカーであり、レーン3〜5は、プロテインAアフィニティーカラムに装填された全試料であり、レーン7は、プロテインAアフィニティークロマトグラフィー後のAb−A抗体調製物であり、レーン8は、CHTクロマトグラフィー後のAb−A抗体調製物であり、レーン9は、HICクロマトグラフィー後のAb−A抗体調製物であり、レーン10は、バルク濾過(BDS)後のAb−A抗体調製物である。
【0035】
図8】GNAレクチンアッセイを使用してモニターした、Ab−Bの下流精製の際の糖鎖変異体(GV)不純物の低減を示す。
【0036】
図9】Ab−BのHIC精製の際の糖鎖変異体(GV)不純物の分離を示す。HIC溶出による画分のプールを、GNAレクチンアッセイを使用してGV含有量について試験した。溶出ピークの前の画分(画分1〜画分ん5)及び溶出ピークの後の画分(画分26〜画分32)は、ピークの中間の画分(画分6〜画分25)より高いレクチン活性を有する。また、画分6〜画分25は、所望の精製Ab−B産物を含有した。
【0037】
図10】ピキア(Pichia)に産生されたAb−Bの非還元及び還元条件下で実施された染色SDS−PAGEゲル(それぞれ、図10のパネルA及びパネルB)を示す。 プロテインA溶出液からCHTプールとフェニルHP HICプールへのプロセッシング中に産物関連不純物のレベルが低減したので、精製が観察される。両方のパネルにおいて、レーン1、2及び6は、分子量マーカーを含有し、レーン3は、プロテインA溶出液を含有し、レーン4は、CHTプールを含有し、レーン5は、HICプールを含有する。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本開示は、宿主細胞または微生物により発現された組み換えポリペプチドを産生及び精製するプロセスを提供する。特に、本開示は、酵母菌または糸状菌細胞に発現させた抗体のようなホモポリマーまたはヘテロポリマーポリペプチドを、産生及び精製するプロセスを提供する。本方法は、糖化不純物の定量的指標としてレクチン結合を組み込み、これにより産生及び/または精製プロセスを改変して、所望のタンパク質の収率を最大限にすること及び糖化不純物の存在を減少することができる。
【0039】
加えて、本プロセスは、糖化不純物(例えば、糖鎖変異体)、核酸及び凝集体/非凝集体のような望ましくない産物関連不純物から所望の組み換えポリペプチドを実質的に精製するため、発酵プロセスからの試料のクロマトグラフィー分離を含む精製プロセスを包含する。幾つかの実施形態において、異なるクロマトグラフィー工程からの溶出液またはその画分は、糖化不純物の種類及び/または量を検出するため、レクチン結合活性についてモニターされる。検出された糖化不純物の量及び/または種類に基づいて、発酵プロセスからの特定の試料及び/またはクロマトグラフィー精製からの画分は、廃棄される、処理される、及び/または更なる精製のために選択的にプールされる。
【0040】
例示的な実施形態において、組み換えタンパク質は、抗体または抗体結合フラグメントであり、酵母菌細胞は、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)であり、糖化不純物は、N−結合及び/またはO−結合糖鎖変異体のような所望の組み換えポリペプチドの糖鎖変異体である。
【0041】
好ましい実施形態において、組み換えタンパク質は、2つの重鎖サブユニット及び2つの軽鎖サブユニットから構成される、ヒト化またはヒト抗体のような抗体または抗体フラグメントである。好ましい真菌細胞には、酵母菌が含まれ、特に好ましい酵母菌には、メチルトローフ酵母菌株、例えば、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)、ハンゼヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha)(ピキア・アングスタ(Pichia angusta))、ピキア・グイレルモルジイ(Pichia guillermordii)、ピキア・メタノリカ(Pichia methanolica)、ピキア・イノシトベラ(Pichia inositovera)及び他が含まれる(例えば米国特許第4,812,405号、同第4,818,700号、同第4,929,555号、同第5,736,383号、同第5,955,349号、同第5,888,768号及び同第6,258,559号(それぞれその全体が参照として本明細書組み込まれる)を参照すること)。酵母菌細胞は、当該技術において既知の方法により産生することができる。例えば、異なる遺伝子コピー数の組み合わせを含有する二倍体または四倍体酵母菌細胞のパネルは、個別のサブユニット遺伝子(コピー数が、好ましくは、接合する前に知られている)の多様なコピー数を含有する接合細胞により生成することができる。
【0042】
出願者たちは、最小限の不純物を有する所望のタンパク質を高収率でもたらす、酵母菌または糸状菌細胞に産生されたタンパク質の産生及び精製の新規プロセスを発見した。特に、本明細書に開示されているプロセスは、純度モニタリング工程をタンパク質産生及び/または精製スキームに組み込み、目的の主要タンパク質産物からの産物関連不純物、例えば糖化不純物の除去を、例えば、組み換えポリペプチドの量に対して検出された糖化不純物の量及び/又は種類に基づいて、産生及び/または精製スキームから特定の画分を選択的に廃棄、処理、及び/または精製することにより改善する。実施例は、そのような産生及び精製モニタリング方法を用いることによって、高レベルの産物精製(例えば、少なくとも97%の純度)をもたらし、同時に、高収率の所望のタンパク質産物を維持することを実証している。
【0043】
1つの実施形態において、方法は、発酵培地から所望の組み換えポリペプチドを産生する及び所望のポリペプチドを精製する発酵プロセスを含む。一般に、酵母菌細胞または微生物は、発酵培地に組み換えポリペプチドのみならず1つ以上の不純物の発現及び分泌をもたらす条件下で培養され、試料は、例えば発酵作用の間または後で回収され、試料中の糖化不純物の量及び/または種類は、レクチンを使用してモニターされ、これによって、発酵プロセスのパラメーター、例えば、温度、pH、ガス構成要素(例えば、酸素レベル、圧力、流量)、供給材料構成要素(例えば、グルコースレベルまたは率)、撹拌、通気、消泡(例えば、種類または濃度)及び持続時間が、検出された糖化不純物に基づいて改変されうる。
【0044】
別の実施形態において、方法は、試料中の糖化不純物の量及び/または種類を検出するレクチン結合を使用することによって、発酵培地に組み換えポリペプチド及び1つ以上の不純物の発現及び分泌をもたらす条件下で所望の細胞または微生物を培養することを含む発酵プロセスによりもたらされる1つ以上の試料から、所望の組み換えポリペプチドを精製するプロセスを含む。発明者たちは、レクチン動力学結合アッセイが、糖化不純物の定量的測度を提供し、これにより精製プロセスを、検出された不純物レベル及び種類に応じて調整できることを決定した。
【0045】
特定の実施形態において、精製プロセスは、発酵プロセスからの1つ以上の試料、例えば、宿主酵母菌または糸状菌細胞に発現させた所望の組み換えタンパク質、例えば抗体を含有する発酵培地を、少なくとも1つのクロマトグラフィー支持体と接触させ、次に所望の組み換えポリペプチドを選択的に溶出することを更に含む。例えば、発酵プロセスの試料を、動力学レクチン結合アッセイの使用により糖化不純物について試験し、検出された糖化不純物の種類及び/または量に応じて、アフィニティークロマトグラフィー支持体(例えば、プロテインAまたはレクチン)、混合モードクロマトグラフィー支持体(例えば、セラミックヒドロキシアパタイト)及び疎水性相互作用クロマトグラフィー支持体(例えば、ポリプロピレングリコール(PPG)600M)と接触させることができる。所望のタンパク質は、後に続くクロマトグラフィー支持体と接触させる前にそれぞれのクロマトグラフィー支持体から分離、例えば選択的に溶出され、実質的に精製された所望の組み換えタンパク質を含む、疎水性相互作用クロマトグラフィー支持体からの溶出液または画分がもたらされる。
【0046】
所望のタンパク質または多サブユニットタンパク質に関して「実質的に精製された」とは、試料が、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも98.5%の所望の組み換えタンパク質を、3%未満、2.5%未満、2%未満、1.5%未満または1%未満の不純物、すなわち、凝集体、変異体及び低分子量産物を伴って含むことを意味する。1つの実施形態において、実質的に精製されたタンパク質は、50ng/mg未満、好ましくは25ng/mg未満もしくはより好ましくは10ng/mg未満の糖鎖変異体、10ng/mg未満、好ましくは5ng/mg未満もしくはより好ましくは2ng/mg未満の真菌細胞タンパク質及び/または10ng/mg未満もしくは好ましくは5ng/mg未満の核酸を含む。
【0047】
方法は、発酵プロセスの試料、並びに/またはアフィニティークロマトグラフィー支持体、混合モードクロマトグラフィー支持体及び疎水性相互作用クロマトグラフィー支持体の少なくとも1つからの溶出液の一部もしくは画分を、真菌細胞タンパク質、真菌細胞核酸、外来性ウイルス、内在性ウイルス、内毒素、凝集体、非凝集体または所望の組み換えタンパク質に対して少なくとも1つの修飾(例えば、アミノ酸置換、N末端修飾、C末端修飾、不適正S−S結合、折り畳み、切り詰め、凝集、多量体解離、変性、アセチル化、脂肪アセチル化、脱アミド化、酸化、カルバミル化、カルボキシル化、ホルミル化、ガンマ−カルボキシグルタミル化、糖鎖付加、メチル化、リン酸化、硫酸化、PEG化及びユビキチン化)を含む望ましくないタンパク質のような少なくとも1つの産物関連不純物の存在についてモニターすることを場合により更に含む。特に、産生及び精製プロセスは、サイズ排除クロマトグラフィーを使用して試料または画分中の凝集及び/または非凝集不純物の量を検出することを含むことができる。
【0048】
本開示の多くが抗体の産生を記載しているが、本明細書に記載されている方法は、他の多サブユニット複合体のみならず単一サブユニットタンパク質にも容易に適応される。本明細書に記載されている方法は、2つ以上の異なるサブユニットを含む任意の組み換え多サブユニット複合体の収率及び/または純度を改善するために容易に利用することができる。加えて、本方法は、多タンパク質複合体の産生に限定されず、テロメラーゼ、hnRNP、リボソーム、snRNP、シグナル認識粒子、原核生物及び真核生物RNアーゼP複合体を含有するリボ核酸タンパク質、並びに複数の別々のタンパク質及び/またはRNAサブユニットを含有する任意の他の複合体を用いる使用にも容易に適用されうる。多サブユニット複合体を発現する真菌細胞は、当該技術において既知の方法により産生することができる。例えば、異なる遺伝子コピー数の組み合わせを含有する二倍体または四倍体酵母菌細胞のパネルは、個別のサブユニット遺伝子(コピー数が、好ましくは、接合する前に知られている)の多様なコピー数を含有する接合細胞により生成することができる。
【0049】
組み換えタンパク質の発現
ホモポリマーまたはヘテロポリマーポリペプチド、例えば抗体または抗体フラグメントを含む組み換えタンパク質を、酵母菌及び糸状菌細胞に発現させることができる。1つの実施形態において、所望のタンパク質は、酵母菌に組み換え的に発現され、特に好ましい酵母菌には、メチルトローフ酵母菌株、例えば、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)、ハンゼヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha)(ピキア・アングスタ(Pichia angusta))、ピキア・グイレルモルジイ(Pichia guillermordii)、ピキア・メタノリカ(Pichia methanolica)、ピキア・イノシトベラ(Pichia inositovera)及び他が含まれる(例えば米国特許第4,812,405号、同第4,818,700号、同第4,929,555号、同第5,736,383号、同第5,955,349号、同第5,888,768号及び同第6,258,559号(それぞれその全体が参照として本明細書組み込まれる)を参照すること)。他の例示的な酵母菌には、アルキシオジマ(Arxiozyma)、アスコボトリオジマ(Ascobotryozyma)、シテロマイセス(Citeromyces)、デバリオマイセス(Debaryomyces)、デッケラ(Dekkera)、エレモテシウム(Eremothecium)、イサトケンキア(Issatchenkia)、カザクスタニア(Kazachstania)、クリベロマイセス(Kluyveromyces)、コダマエア(Kodamaea)、ロッデロマイセス(Lodderomyces)、パキソレン(Pachysolen)、ピキア(Pichia)、サッカロマイセス(Saccharomyces)、サツルニスポラ(Saturnispora)、テトラピシスポラ(Tetrapisispora)、トルラスポラ(Torulaspora)、ウィリオプシス(Williopsis)、ザイゴサッカロマイセス(Zygosaccharomyces)、ヤロウイア(Yarrowia)、ロドスポリジウム(Rhodosporidium)、カンジダ(Candida)、ハンゼヌラ(Hansenula)、フィロバシウム(Filobasium)、スポリジオボルス(Sporidiobolus)、ブレラ(Bullera)、ロイコスポリジウム(Leucosporidium)及びフィロバシデラ(Filobasidella)が含まれる。
【0050】
酵母菌細胞は、当該技術において既知の方法により産生することができる。例えば、異なる遺伝子コピー数の組み合わせを含有する二倍体または四倍体酵母菌細胞のパネルは、個別のサブユニット遺伝子(コピー数が、好ましくは、接合する前に知られている)の多様なコピー数を含有する接合細胞により生成することができる。
【0051】
1つの実施形態において、酵母菌細胞は、組み換えタンパク質または所望の多サブユニットタンパク質のサブユニットをコード化する1つ以上の遺伝子の1個以上のコピーを含む。例えば、サブユニット遺伝子の複数のコピーを、1つ以上の染色体座に縦列で組み込むことができる。縦列組み込み遺伝子コピーは、好ましくは、所望のタンパク質または多サブユニット複合体を産生する培養の際に安定したコピー数で保持される。例えば、本出願者により記載されている従来の研究では、遺伝子のコピー数は、軽及び重鎖抗体遺伝子の3〜4個の縦列組み込みコピーを含有するP.パストリス(pastris)菌株において一般に安定していた(US20130045888を参照すること)。
【0052】
組み換えタンパク質サブユニットをコード化する1つ以上の遺伝子は、好ましくは、真菌細胞の1つ以上の染色体座に組み込まれる。遺伝子間配列、プロモーター配列、コード配列、終止配列、調節配列などを含む任意の適切な染色体座を、組み込みに利用することができる。P.パストリス(pastris)に使用することができる例示的な染色体座には、PpURA5、OCH1、AOX1、HIS4及びGAPが含まれる。コード化遺伝子を、標的にするのではなく、1つ以上の無作為の染色体座に組み込むこともできる。好ましい実施形態において、染色体座は、pGAP座、3’AOX TT座及びHIS4 TT座からなる群から選択される。追加的な例示的実施形態において、異種タンパク質サブユニットをコード化する遺伝子は、1つ以上の染色体外要素、例えば1つ以上のプラスミドまたは人工染色体に含有されうる。
【0053】
例示的な実施形態において、タンパク質は、例えば、2、3、4、5、6つ、またはそれ以上の同一及び/または非同一のサブユニットを含む多サブユニットタンパク質でありうる。加えて、それぞれのサブユニットは、それぞれの多サブユニットタンパク質に1回以上存在することができる。例えば、多サブユニットタンパク質は、2つの非同一軽鎖及び2つの非同一重鎖を含む二重特異性抗体のような多重特異性抗体でありうる。異なる遺伝子コピー数の組み合わせを含有する二倍体または四倍体酵母菌細胞のパネルは、個別のサブユニット遺伝子の多様なコピー数を含有する接合細胞により素早く生成されうる。次にパネルのそれぞれの菌株からの抗体産生を評価して、望ましくない副産物に対する所望の多サブユニットタンパク質の収率または所望の多サブユニットタンパク質の純度のような特徴に基づいて、更なる使用のために菌株を同定することができる。
【0054】
多サブユニットのサブユニットを、単シストロン性遺伝子、多シストロン性遺伝子またはこれらの任意の組み合わせから発現させることができる。それぞれの多シストロン性遺伝子は、同じサブユニットの複数のコピーを含むことができる、またはそれぞれ異なるサブユニットの1個以上のコピーを含むことができる。
【0055】
ピキア・パストリス(Pichia pastoris)の操作に使用することができる例示的な方法(培養、形質転換及び接合の方法を含む)は、U.S.20080003643、U.S.20070298500及びU.S.20060270045を含む公開出願、並びにHiggins,D.R.,and Cregg,J.M.,Eds.1998.Pichia Protocols.Methods in Molecular Biology.Humana Press,Totowa,N.J.及びCregg,J.M.,Ed.,2007,Pichia Protocols(2nd edition),Methods in Molecular Biology.Humana Press,Totowa,N.J.(それぞれのその全体が参照として組み込まれる)に開示されている。
【0056】
利用することができる例示的な発現カセットは、分泌シグナルをコード化する配列に縮合されているグリセルアルデヒドデヒドロゲナーゼ遺伝子(GAP遺伝子)プロモーター、その後に、発現される遺伝子の配列が続き、その後にP.パストリス(pastoris)アルコールオキシダーゼI遺伝子(AOX1)のP.パストリス(pastoris)転写終止シグナルをコード化する配列が続くように構成される。Zeocin抵抗性マーカー遺伝子は、高レベルのZeocinに抵抗性がある形質転換体を選択することにより、発現ベクターの複数の組み込みコピーを菌株内に含有する菌株を濃縮する手段を提供することができる。同様に、G418またはカナマイシン抵抗性マーカー遺伝子は、高レベルのジェネテシンまたはカナマイシンに抵抗性がある形質転換体を選択することにより、発現ベクターの複数の組み込みコピーを菌株内に含有する菌株を濃縮する手段を提供するために使用することができる。
【0057】
使用することができる酵母菌株には、栄養素要求性P.パストリス(pastoris)または他のピキア(Pichia)菌株、例えば、met1、lys3、ura3及びade1に突然変異を有する菌株または他の栄養素要求性関連遺伝子を有する菌株が含まれる。好ましい突然変異は、あらゆる測定可能な頻度で復帰突然変異体を生じることができず、好ましくは部分的、またはさらにより好ましくは完全な欠失突然変異体である。好ましくは、原栄養二倍体または四倍体菌株は、栄養素要求性菌株の相補セットの接合により産生される。
【0058】
形質転換の前に、それぞれの発現ベクターを、標的ゲノム座(例えば、GAPプロモーター配列)に相同性の領域内において制限酵素切断により直線化して、ベクターの組み込みを真菌細胞内の標的座に向けることができる。次にそれぞれのベクターの試料を、電気穿孔または他の方法により所望の菌株の培養物に個別に形質転換することができ、成功した形質転換体を、選択マーカー、例えば栄養素要求性への抗生物質抵抗性または相補性により選択することができる。単離菌を選び、選択的条件下で単一コロニーに画線し、次にそれぞれの菌株から抽出されたゲノムDNAをサザンブロットまたはPCRアッセイにより検査して、多サブユニット複合体の所望のタンパク質またはサブユニット(例えば、所望の抗体)をコード化する遺伝子のコピー数を確認することができる。場合により、予想されるサブユニット遺伝子産物の発現は、例えば、FACS、ウエスタンブロット、コロニーリフト(colony lift)及び免疫ブロット、並びに当該技術において既知の他の方法により確認することができる。場合により、一倍体単離菌を追加の回数形質転換して、追加の異種遺伝子、例えば、異なる座に組み込まれている同じサブユニットの追加のコピー及び/または異なるサブユニットのコピーを導入する。次に一倍体菌株を接合させて、多タンパク質複合体を合成することができる二倍体菌株(または高倍数性の菌株)を生成する。それぞれの予想されるサブユニット遺伝子の存在は、サザンブロット、PCR及び当該技術において既知の他の検出方法により確認することができる。所望の多タンパク質複合体が抗体である場合、その発現も、コロニーリフト/免疫ブロット法(Wung et al.Biotechniques 21 808−812(1996))及び/またはFACSにより確認することができる。
【0059】
この形質転換プロトコールを場合により繰り返して、異種遺伝子の標的を、第1の座にするのではなく、同じ遺伝子または異なる遺伝子でありうる第2の座にする。第2の座に組み込まれる構築物が、第1の座によりコード化された配列と同じ、またはより高い類似性があるタンパク質をコード化する場合、その配列は、第1の座への望ましくない組み込みの可能性が減少するように変わりうる。例えば、第2の座に組み込まれる配列は、第1の座に組み込まれた配列と比べて、プロモーター配列、終止配列、コドン使用及び/または他の耐容可能な配列の相違において、相違を有しうる。
【0060】
一倍体P.パストリス(pastoris)菌株の形質転換及びP.パストリス(pastoris)の生殖周期の遺伝子操作は、Pichia Protocols(1998,2007)前掲に記載されているように実施することができる。
【0061】
本発明に使用される発現ベクターは、更に、形質転換された酵母菌株を同定する選択栄養素要求性または薬剤マーカーを含む酵母菌特異的配列を含むことができる。薬剤マーカーは、更に、例えば細胞の個体群を高濃度の薬剤で培養し、それによって、高レベルの抵抗性遺伝子を発現する形質転換体を選択することにより、酵母菌細胞におけるベクターのコピー数を増幅するために使用することができる。
【0062】
目的のポリペプチドコード配列は、典型的には、酵母菌細胞にポリペプチドの発現をもたらす転写及び翻訳調節配列に作動可能に連結している。これらのベクター成分には、以下の1つ以上が含まれうるが、これらに限定されない。エンハンサー要素、プロモーター及び転写終止配列。ポリペプチドの分泌のための配列には、例えばシグナル内列なども含まれうる。酵母菌由来の複製は、発現ベクターが多くの場合に酵母菌ゲノムに組み込まれているので、任意である。
【0063】
例示的な実施形態において、異種タンパク質またはそのサブユニットをコード化する1つ以上の遺伝子は、誘導性プロモーターに結合している。適切な例示的プロモーターには、アルコールオキシダーゼ1遺伝子プロモーター、ホルムアルデヒドデヒドロゲナーゼ遺伝子(FLD、米国公開公報第2007/0298500号を参照すること)及び当該技術において既知の他の誘導性プロモーターが含まれる。アルコールオキシダーゼ1遺伝子プロモーターは、グルコース、グリセロールまたはエタノールのような最も一般的な炭素供給源における酵母菌の増殖の際に厳重に抑制されるが、メタノールにおける増殖の際には高度に誘発される(Tschopp et al.,1987;Stroman,D.W.,et alの米国特許第4,855,231号)。異質タンパク質の産生では、菌株は、最初に抑制性炭素供給源において増殖されてバイオマスを生成し、次に単独(または主要)炭素及びエネルギー供給源としてのメタノールに移され、外来性遺伝子の発現を誘発することができる。この調節系の1つの利点は、発現産物が細胞に毒性である異質遺伝子により形質転換されたP.パストリス(pastoris)菌株を、抑制条件下での増殖により維持できることである。
【0064】
別の例示的な実施形態において、1つ以上の異種遺伝子を、発現レベルが適切な条件下で上方制御されうる調節プロモーターに結合することができる。ピキア(Pichia)の適切なプロモーターの例には、CUP1(培地中の銅のレベルにより誘発される)、テトラサイクリン誘導性プロモーター、チアミン誘導性プロモーター、AOX1プロモーター(Cregg et al.(1989)Mol.Cell.Biol.9:1316−1323)、ICL1プロモーター(Menendez et al.(2003)Yeast20(13):1097−108)、グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼプロモーター(GAP)(Waterham et al.(1997)Gene 186(1):37−44)及びFLD1プロモーター(Shen et al.(1998)Gene 216(1):93−102)が含まれる。GAPプロモーターは、強力な構成プロモーターであり、CUP1、AOX及びFLD1プロモーターは、誘導性である。それぞれの前述の参考文献は、その全体が参照として本明細書に組み込まれる。
【0065】
他の酵母菌プロモーターには、ADH1、アルコールデヒドロゲナーゼII、GAL4、PHO3、PH05、Pyk及びこれらから誘導されるキメラプロモーターが含まれる。加えて、哺乳類、昆虫、植物、爬虫類、両生類、ウイルス及び鳥類のプロモーターのような、非酵母菌プロモーターを本発明に使用することができる。最も典型的には、プロモーターは、哺乳類プロモーター(潜在的には、発現された遺伝子には内在性である)を含む、または酵母菌系に効率的な転写をもたらす酵母菌もしくはウイルスプロモーターを含む。
【0066】
目的のポリペプチドは、直接的のみならず、異種ポリペプチド、例えばシグナル配列または成熟タンパク質もしくはポリペプチドのN末端に特定の切断部位を有する他のポリペプチドとの縮合ポリペプチドとしても、組み換え的に産生することができる。一般に、シグナル配列は、ベクターの成分でありうる、またはベクターに挿入されたポリペプチドコード配列の一部でありうる。選択された異種シグナル配列は、好ましくは、認識されており、かつ真菌細胞内の利用可能な標準的な経路の1つを介してプロセスされるものである。S.セレビシエ(cerevisiae)アルファ因子プレ−プロシグナルは、P.パストリス(pastoris)からの多様な組み換えタンパク質の分泌に有効であることを証明している。他の酵母菌シグナル配列には、アルファ接合因子シグナル配列、インベルターゼシグナル配列及び他の分泌酵母菌ポリペプチドから誘導されたシグナル配列が含まれる。加えて、これらのシグナルペプチド配列を操作して、増強された分泌を二倍体酵母菌発現系にもたらすことができる。目的の他の分泌シグナルには、哺乳類シグナル配列も含まれ、これは分泌されるタンパク質に異種でありうる、または分泌されるタンパク質の天然配列でありうる。シグナル配列には、プレペプチド配列が含まれ、幾つかの場合では、プロペプチド配列が含まれうる。免疫グロブリン鎖において見出されるシグナル配列、例えば、K28プレプロトキシン配列、PHA−E、FACE、ヒトMCP−1、ヒト血清アルブミンシグナル配列、ヒトIg重鎖、ヒトIg軽鎖などを含む多くのそのようなシグナル配列が、当該技術において知られている。例えば、Hashimoto et.al.Protein Eng 11(2)75(1998)及びKobayashi et.al.Therapeutic Apheresis 2(4)257(1998)(それぞれその全体が参照として本明細書に組み込まれる)を参照すること。
【0067】
転写は、転写アクチベーター配列をベクターに挿入することにより増加されうる。これらのアクチベーターは、DNAのシス作用要素であり、通常約10〜300bpであり、プロモーターに作用してその転写を増加する。転写エンハンサーは、相対的に配向及び位置非依存性であり、イントロン内ならびにコード配列それ自体の範囲内の転写単位の5’及び3’に見出される。エンハンサーを、コード配列の5’または3’位置であるが、好ましくはプロモーターから5’の部位に位置する発現ベクターにスプライスすることができる。
【0068】
任意であるが、1つの実施形態において、所望のタンパク質または多サブユニット複合体の1つ以上のサブユニットは、培養培地に発現ポリペプチドの分泌をもたらす分泌配列に作動可能に連結、または縮合しており、このことは異種タンパク質または多サブユニット複合体の採取及び精製を推進することができる。さらにより好ましくは、分泌配列は、例えば好ましいコドンを選択することにより及び/またはコドン選択によりAT塩基対の率を変更することにより、真菌細胞(例えば、酵母菌二倍体細胞)からの最適化されたポリペプチド分泌をもたらす。分泌効率及び/または安定性は、分泌配列の選択により影響をうける可能性があること、並びに最適な分泌配列は、異なるタンパク質の間で変わる可能性があることが、当該技術において知られている(例えば、Koganesawa et al.,Protein Eng.2001 Sep;14(9):705−10(その全体が参照として本明細書に組み込まれる)を参照すること)。多くの潜在的に適した分泌シグナルは当該技術において知られており、特定の異種タンパク質または多サブユニット複合体の収率及び/または純度に対する効果について容易に試験することができる。酵母菌及び他の種の分泌タンパク質に存在するもの、並びに操作された分泌配列を含む、任意の分泌配列を潜在的に使用することができる。Hashimoto et al.,Protein Engineering vol.11 no.2 pp.75−77,1998;Oka et al.,Biosci Biotechnol Biochem.1999 Nov;63(11):1977−83;Gellissen et al.,FEMS Yeast Research 5(2005)1079−1096;Ma et al.,Hepatology.2005 Dec;42(6):1355−63;Raemaekers et al.,Eur J Biochem.1999 Oct 1;265(1):394−403;Koganesawa et al.,Protein Eng.(2001)14(9):705−710;Daly et al.,Protein Expr Purif.2006 Apr;46(2):456−67;Damasceno et al.,Appl Microbiol Biotechnol(2007)74:381−389;及びFelgenhauer et al.,Nucleic Acids Res.1990 Aug 25;18(16):4927(それぞれその全体が参照として本明細書に組み込まれる)を参照すること。
【0069】
核酸は、別の核酸配列と機能的な関係で配置されたとき、「作動可能に連結」している。例えば、シグナル配列のDNAは、ポリペプチドの分泌に参加しているプレタンパク質として発現されている場合、ポリペプチドのDNAに作動可能に連結しており、プロモーターまたはエンハンサーは、配列の転写に影響を与える場合、コード配列に作動可能に連結している。一般に、「作動可能に連結している」は、連結されたDNA配列が近接しており、分泌リーダーの場合では、近接してリーディングフレームの中にある。しかし、エンハンサーは近接している必要はない。連結は、都合の良い制限部位での連結により、または代替的には当業者に周知のPCR/組み換え方法(Gateway(登録商標)Technology;Invitorogen,Carlsbad Calif.)を介して、達成することができる。そのような部位が存在しない場合、合成オリゴヌクレオチドアダプターまたはリンカーを、従来の実施に従って使用することができる。望ましい核酸(作動可能に連結した配列を含む核酸を含む)も、化学合成により産生することができる。
【0070】
タンパク質も、分泌シグナルに作動可能に連結する、または縮合することなく培養培地に分泌されうる。例えば、幾つかの異種ポリペプチドは、分泌シグナルに連結または縮合することがなくても、P.パストリス(pastoris)に発現されたとき、培養培地に分泌されることが実証されている。加えて、タンパク質は、当該技術において既知の方法を使用して、真菌細胞から精製されうる(これは、例えば、タンパク質が不十分に分泌されている場合に好ましいことがある)。
【0071】
本発明は、特定の方法論、プロトコール、細胞系、動物種または属及び記載されている試薬に限定されず、それらは変わりうることが理解されるべきである。本明細書に使用される用語法は、特定の実施形態を記載さする目的のためだけであり、本発明の範囲を限定することを意図せず、これらは添付の特許請求の範囲によってのみ限定されることも、理解されるべきである。
【0072】
本明細書で使用されるとき、単数形「a」、「and」及び「the」には、特に文脈により明確に指示されない限り、複数対象を含む。したがって、例えば、「細胞」への参照は、複数のそのような細胞を含み、「タンパク質」への参照は、1つ以上のタンパク質及び当業者に既知のその同等物を含む。本明細書に使用される全ての技術及び科学用語は、特に明確に示されない限り、本発明が属する当業者に一般的に理解されるものと同じ意味を有する。
【0073】
本明細書で使用されるとき、「糸状菌細胞」及び「糸状菌宿主細胞」は、交換可能に使用され、アスペルギルス(Aspergillus)、トリコデルマ(Trichoderma)、ペニシリウム(Penicillium)、リゾプス(Rhizopus)、ペシロマイセス(Paecilomyces)、フサリウム(Fusarium)、ニューロスポラ(Neurospora)及びクラビセプス(Claviceps)属の任意の種からの任意の細胞を意味することが意図される。本発明において、これは、培養により増殖されうる任意の糸状菌細胞を広く包含することが意図される。
【0074】
本明細書で使用されるとき、用語「酵母菌細胞」は、アルキシオジマ(Arxiozyma)、アスコボトリオジマ(Ascobotryozyma)、シテロマイセス(Citeromyces)、デバリオマイセス(Debaryomyces)、デッケラ(Dekkera)、エレモテシウム(Eremothecium)、イサトケンキア(Issatchenkia)、カザクスタニア(Kazachstania)、クリベロマイセス(Kluyveromyces)、コダマエア(Kodamaea)、ロッデロマイセス(Lodderomyces)、パキソレン(Pachysolen)、ピキア(Pichia)、サッカロマイセス(Saccharomyces)、サツルニスポラ(Saturnispora)、テトラピシスポラ(Tetrapisispora)、トルラスポラ(Torulaspora)、ウィリオプシス(Williopsis)、ザイゴサッカロマイセス(Zygosaccharomyces)、ヤロウイア(Yarrowia)、ロドスポリジウム(Rhodosporidium)、カンジダ(Candida)、ハンゼヌラ(Hansenula)、フィロバシウム(Filobasium)、スポリジオボルス(Sporidiobolus)、ブレラ(Bullera)、ロイコスポリジウム(Leucosporidium)及びフィロバシデラ(Filobasidella)属からの任意の種の任意の細胞を意味する。本発明において、これは、培養により増殖されうる任意の酵母菌細胞を広く包含することが意図される。
【0075】
本発明の好ましい実施形態において、酵母菌細胞は、ピキア(Pichia)属のメンバーである、または別のメチロトローフである。本発明の更に好ましい実施形態において、真菌細胞は、ピキア(Pichia)属のものであり、以下の種のうちの1つである。ピキア・パストリス(Pichia pastoris)、ピキア・メタノリカ(Pichia methanolica)及びハンゼヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha)(ピキア・アングスタ(Pichia angusta))。本発明の特に好ましい実施形態において、ピキア(Pichia)属の真菌細胞は、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)種である。
【0076】
そのような種は、一倍体、二倍体または他の多倍数体形態で存在することができる。所定の高倍数性の細胞は、適切な条件下、その形態で不定数の世代に繁殖することができる。二倍体細胞は胞子形成して、一倍体細胞を形成することもできる。連続的な接合は、二倍体菌株の更なる接合または縮合を介して四倍体菌株をもたらすことができる。本発明は、一倍体酵母菌のみならず、例えば接合または縮合(例えば、スフェロプラスト縮合)により産生される二倍体または他の多倍数体酵母菌細胞の使用も考慮する。
【0077】
本明細書で使用されるとき、「一倍体酵母菌細胞」は、正常なゲノム(染色体)補体のそれぞれの遺伝子の単一コピーを有する細胞を意味する。
【0078】
本明細書で使用されるとき、「多倍数体酵母菌細胞」は、正常なゲノム(染色体)補体の1個を超えるコピーを有する細胞を意味する。
【0079】
本明細書で使用されるとき、「二倍体酵母菌細胞」は、2つの一倍体細胞の縮合(接合)のプロセスにより典型的に形成される、正常なゲノム補体の本質的にあらゆる遺伝子の2個のコピー(対立遺伝子)を有する細胞を意味する。
【0080】
本明細書で使用されるとき、「四倍体酵母菌細胞」は、2つの二倍体細胞の縮合(接合)のプロセスにより典型的に形成される、正常なゲノム補体の本質的にあらゆる遺伝子の4個のコピー(対立遺伝子)を有する細胞を意味する。四倍体は、2、3、4つ、またはそれ以上の異なる発現カセットを担持することができる。そのような四倍体は、ホモ接合性雌雄異型a/a及びアルファ/アルファ二倍体の選択的接合によりS.セレビシエ(cerevisiae)において、並びに一倍体の連続接合により栄養素要求性二倍体を得ることによりピキア(Pichia)において得ることができる。例えば、[met his]一倍体を、[ade his]一倍体と接合させて、二倍体[his]を得ることができ、[met arg]一倍体を[ade arg]一倍体と接合させて、二倍体[arg]を得ることができ、次に二倍体[his]を二倍体[arg]と接合させて、四倍体原栄養体を得ることができる。二倍体細胞の利益及び使用に対する参照を四倍体細胞にも適用できることが、当業者に理解される。
【0081】
本明細書で使用されるとき、「酵母菌接合」は、2つの酵母菌細胞が縮合して、単一の酵母菌細胞を形成するプロセスを意味する。縮合細胞は、一倍体細胞または高倍数性の(例えば、2つの二倍体細胞を接合させて、四倍体細胞を生成する)細胞でありうる。
【0082】
本明細書で使用されるとき、「減数分裂」は、二倍体酵母菌細胞が還元的分化を受けて、4つの一倍体胞子産物を形成するプロセスを意味する。次にそれぞれの胞子を出芽させ、二倍体栄養増殖細胞系を形成する。
【0083】
本明細書で使用されるとき、「折り畳み」は、ポリペプチド及びタンパク質の三次元構造を意味し、ここでアミノ酸残基の間の相互作用は、構造を安定化するように作用する。非共有相互作用は構造を決定するのに重要であるが、通常、目的のタンパク質は、2つのシステイン残基により形成される分子内及び/または分子間共有ジスルフィド結合を有する。天然に生じるタンパク質及びポリペプチドまたはその誘導体及び変異体では、適正な折り畳みは、典型的には、最適な生物学的活性をもたらす配置であり、活性、例えばリガンド結合、酵素活性などについてのアッセイにより都合良くモニターすることができる。
【0084】
幾つかの実施形態において、例えば、所望の産物が合成由来のものである場合、生物学的活性に基づいたアッセイは、あまり意味がない。そのような分子の適正な折り畳みは、物理的特性、エネルギー的考察、モデル化研究などに基づいて決定することができる。
【0085】
発現宿主は、折り畳み及びジスルフィド結合形成を増強する1つ以上の酵素、すなわちホルダーゼ(foldase)、シャペロニンなどをコード化する配列の導入により更に修飾されうる。そのような配列は、ベクター、マーカーなどを使用して酵母菌宿主細胞に構成的または誘導的に発現することができ、当該技術において知られている。好ましくは、所望の発現パターンに十分な転写調節要素を含む配列は、標的化方法論によって酵母菌ゲノムに安定的に組み込まれる。
【0086】
例えば、真核生物のタンパク質ジスルフィドイソメラーゼ(PDI)は、タンパク質システインの酸化及びジスルフィド結合の異性化の効率的な触媒であるのみならず、シャペロン活性も示す。PDIの同時発現は、複数のジスルフィド結合を有する活性タンパク質の産生を推進することができる。また興味深いものは、BIP(免疫グロブリン重鎖結合タンパク質)、シクロフィリンなどの発現である。本発明の1つの実施形態において、所望のタンパク質または多サブユニット複合体は、接合により産生される酵母菌株から発現させることができ、それぞれの一倍体親菌株は別々の折り畳み酵素を発現し、例えば、一方の菌株はBIPを発現することができ、他方の菌株はPDIを発現することができ、またはこれらの組み合わせである。
【0087】
用語「所望のタンパク質」及び「所望の組み換えタンパク質」は交換可能に使用され、翻訳後及び/または他の修飾の特定のパターンを有する特定の一次、二次、三次及び/または四次構造を含む宿主酵母菌または糸状菌細胞に発現させた異種タンパク質を一般に意味する。1つの態様において、所望のタンパク質は、ホモポリマーまたはヘテロポリマー多サブユニットタンパク質である。例示的な多量体組み換えタンパク質には、多量体ホルモン(例えば、インスリンファミリー、リラキシンファミリー及び他のペプチドホルモン)、増殖因子、受容体、抗体、サイトカイン、受容体リガンド、転写因子または酵素が含まれるが、これらに限定されない。
【0088】
好ましくは、所望の組み換えタンパク質は、ヒト化もしくはヒト抗体またはこれらの結合部分のような、抗体または抗体フラグメントである。1つの態様において、ヒト化抗体は、マウス、ラット、ウサギ、ヤギ、ヒツジまたはウシ由来のものである。好ましくは、ヒト化抗体は、ウサギ由来のものである。別の態様において、抗体または抗体フラグメントは、一価、二価または多価抗体を含む。なお別の態様において、抗体または抗体フラグメントは、IL−2、IL−4、IL−6、IL−10、IL−12、IL−13、IL−17、IL−18、IFN−アルファ、IFN−ガンマ、BAFF、CXCL13、IP−10、CBP、アンギオテンシン(アンギオテンシンI及びアンギオテンシンII)、Nav1.7、Nav1.8、VEGF、PDGF、EPO、EGF、FSH、TSH、hCG、CGRP、NGF、TNF、HGF、BMP2、BMP7、PCSK9またはHRGに特異的に結合する。
【0089】
用語「抗体」には、エピトープに適合し、それを認識する特定の形状を有する任意のポリペプチド鎖含有分子構造が含まれ、1つ以上の非共有相互作用が、分子構造とエピトープとの間の複合体を安定化する。原型抗体分子は免疫グロブリンであり、全ての供給源、例えば、ヒト、齧歯類、ウサギ、ウシ、ヒツジ、ブタ、イヌ、他の哺乳動物、ニワトリ、他の鳥類などからのIgG、IgM、IgA、IgE、IgDなどの全ての種類の免疫グロブリンが、「抗体」と考慮される。本発明の出発材料として有用な抗体を産生するのに好ましい供給源は、ウサギである。多数の抗体コード配列が記載されており、他のものは、当該技術において周知の方法により生じることができる。これらの例には、キメラ抗体、ヒト抗体および他の非ヒト哺乳類抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、scFvsのような単鎖抗体、ラクダ抗体(camelbody)、ナノボディ(nanobody)、IgNAR(サメから誘導された単鎖抗体)、小型モジュール免疫医薬品(small modular immunopharmaceutical)(SMIP)、並びにFab、Fab’、F(ab’)などのような抗体フラグメントが含まれる。Streltsov V A,et al.,Structure of a shark IgNAR antibody variable domain and modeling of an early−developmental isotype,Protein Sci.2005 November;14(11):2901−9.Epub 2005 Sep.30;Greenberg A S,et al.,A new antigen receptor gene family that undergoes rearrangement and extensive somatic diversification in sharks,Nature.1995 Mar.9;374(6518):168−73;Nuttall S D,et al.,Isolation of the new antigen receptor from wobbegong sharks,and use as a scaffold for the display of protein loop libraries,Mol Immunol.2001 August;38(4):313−26;Hamers−Casterman C,et al.,Naturally occurring antibodies devoid of light chains,Nature.1993 Jun.3;363(6428):446−8;Gill D S,et al.,Biopharmaceutical drug discovery using novel protein scaffolds,Curr Opin Biotechnol.2006 December;17(6):653−8.Epub 2006 Oct.19を参照すること。それぞれの前述の参考文献は、その全体が参照として本明細書に組み込まれる。
【0090】
例えば、抗体または抗原結合フラグメントは、遺伝子操作により産生されうる。この技術では、他の方法と同様に、抗体産生細胞が所望の抗原または免疫原に対して感作される。抗体産生細胞から単離されたメッセンジャーRNAを、PCR増幅の使用によりcDNAを作製するためのテンプレートとして使用する。それぞれ1つの重鎖遺伝子及び1つの軽鎖遺伝子を含有し、初期の抗原特異性を保持している、ベクターのライブラリーは、増幅免疫グロブリンcDNAの適切な部分を発現ベクターに挿入することにより産生される。組み合わせライブラリーは、重鎖遺伝子ライブラリーを軽鎖遺伝子ライブラリーと組み合わせることにより構築される。これは、重及び軽鎖を同時発現する(抗体分子のFabフラグメントまたは抗原結合フラグメントに似ている)クローンのライブラリーをもたらす。これらの遺伝子を担持するベクターは宿主細胞に同時形質移入される。抗体遺伝子合成が形質移入宿主に誘発されるとき、重及び軽鎖タンパク質は自己組み立てし、抗原または免疫原によるスクリーニングよって検出されうる活性抗体を産生する。
【0091】
目的の抗体コード配列は、天然配列によりコード化されたもの、並びに遺伝子コードの宿重により、開示された核酸と配列が同一ではない核酸及びその変異体を含む。変異体ポリペプチドは、アミノ酸(aa)置換、付加または欠失を含みうる。アミノ酸置換は、保存的アミノ酸置換、または糖鎖付加部位を変更するため、もしくは機能に必要ではない1つ以上のシステイン残基の置換もしくは欠失による誤った折り畳みを最小限にするためのような、非必須アミノ酸を排除するための置換でありうる。変異体は、タンパク質の特定の領域(例えば機能ドメイン、触媒アミノ酸残基など)の生物学的活性を保持または増強するように設計されうる。変異体は、本明細書に開示されているポリペプチドのフラグメント、特に生物学的に活性なフラグメント及び/または機能ドメインに対応するフラグメントも含む。クローン化遺伝子のインビトロ突然変異誘発の技術は、知られている。また主題発明に含まれるものは、タンパク質分解に対する抵抗性を改善するため、または溶解特性を最適化するため、または治療剤としてより適したものになるため、通常の分子生物学的技術を使用して修飾されたポリペプチドである。
【0092】
キメラ抗体は、一方の種の細胞を産生する抗体から得た可変軽及び重鎖領域(V及びV)と、他方からの定常軽及び重鎖領域とを組み合わせる組み換え手段により作成することができる。典型的には、キメラ抗体は、ヒトドメインを主に有する抗体を産生するため、齧歯類またはウサギ可変領域及びヒト定常領域を利用する。そのようなキメラ抗体の産生は、当該技術において良く知られており、標準的な手段により(例えば、米国特許第5,624,659号(その全体が参照として本明細書に組み込まれる)に記載されているように)達成することができる。本発明のキメラ抗体のヒト定常領域は、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4定常領域から選択されうることが、更に考慮される。
【0093】
ヒト化抗体は、さらによりヒト様の免疫グロブリンドメインを含有するため及び動物誘導性抗体の相補性決定領域のみを組み込むために操作される。これは、モノクローナル抗体の可変領域の超可変ループの配列を注意深く検査し、ヒト抗体鎖の構造に適合させることによって達成される。表面的には複雑であるが、プロセスは実施するには単純明快である。例えば、米国特許第6,187,287号(参照として本明細書に完全に組み込まれる)を参照すること。抗体をヒト化する方法は、交付済み米国特許第7935340号(その全体が参照として本明細書に組み込まれる)に既に記載されている。幾つかの場合において、追加のウサギフレームワーク残基が活性を維持するために必要であるかを決定することが、必要である。幾つかの場合において、ヒト化抗体は、依然として、幾つかの重要なウサギフレームワーク残基が親和性または活性の損失を最小限にするため保持されることを必要とする。これらの場合において、ヒト生殖配列からの単一または複数のフレームワークアミノ酸を、所望の活性を有するために元のウサギアミノ酸に戻すことが必要である。これらの交換は、どのウサギ残基が親和性及び活性を保存するために必要であるかを同定するため、実験的に決定される。
【0094】
免疫グロブリン全体(またはこれらの組み換え対応物)に加えて、エピトープ結合部位(例えば、Fab’、F(ab’)または他のフラグメント)を含む免疫グロブリンフラグメントを合成することができる。「フラグメント」または最小免疫グロブリンは、組み換え免疫グロブリン技術を利用して設計することができる。例えば、本発明に使用される「Fv」免疫グロブリンは、縮合可変軽鎖領域及び可変重鎖領域を合成することにより産生することができる。抗体の組み合わせも興味深く、例えば2つの別々のFv特異性を含む二特異性抗体(diabody)である。本発明の別の実施形態において、SMIP(小分子免疫医薬品)、ラクダ抗体、ナノボディ及びIgNARが免疫グロブリンフラグメントに包含される。
【0095】
免疫グロブリン及びそのフラグメントを、翻訳後に、例えば、化学リンカーのようなエフェクター部分、蛍光色素、酵素、毒素、基質、生物発光材料、放射性材料、化学発光材料などのような検出部分の付加により修飾することができる、またはストレプトアビジン、アビジンもしくはビオチンなどのような特異的結合部分を、本発明の方法及び組成物に利用することができる。追加のエフェクター分子の例が以下に提示されている。
【0096】
本明細書で使用されるとき、「半抗体」、「半抗体種」または「H1L1」は、単一の重及び単一の軽抗体鎖を含むが、第2の重及び軽抗体鎖との共有結合を欠いているタンパク質複合体を意味する。2つの半抗体は、幾つかの条件下で非共有的に関連したままでありうる(このことは、完全抗体と類似した挙動、例えばサイズ排除クロマトグラフィーにより決定された見掛け分子量を与えうる)。同様に、H2L1は、2つの重抗体鎖及び単一の軽抗体鎖を含むが、第2の軽抗体鎖との共有結合を欠いているタンパク質複合体を意味し、これらの複合体は、別の軽抗体鎖とも非共有的に関連することができる(また同様に、完全抗体と類似した挙動を与える)。完全抗体と同様に、半抗体種及びH2L1種は、還元条件下で解離して、個別の重及び軽鎖になりうる。半抗体種及びH2L1種は、種が完全抗体よりも低い見掛け分子量で移動するので、例えば、H1L1が完全抗体の見掛け分子量のおよそ半分(例えば、約75kDa)で移動するので非還元型SDS−PAGEゲルにより検出することができる。
【0097】
本明細書で使用されるとき、「所望の分泌異種ポリペプチドを安定して発現する、または長期間発現する多倍数体酵母菌」は、前記ポリペプチドを少なくとも数日間から1週間、より好ましくは少なくとも1か月間、なおより好ましくは1〜6か月間、さらにより好ましくは1年間を超えて、閾値発現レベルで、典型的には少なくとも50〜500mg/リットル(培養物中に約90時間後)、好ましくはそれを大きく超えて分泌する酵母菌培養物を意味する。
【0098】
本明細書で使用されるとき、「組み換えポリペプチドの所望の量を分泌する多倍数体酵母菌培養物」は、少なくとも50〜500mg/リットル、最も好ましくは500〜1000mg/リットルまたはそれ以上を安定して、または長時間分泌する培養物を意味する。
【0099】
ポリヌクレオチド配列は、遺伝子コードに従ったポリヌクレオチド配列の翻訳が、ポリペプチド配列を生じる(すなわち、ポリヌクレオチド配列がポリペプチド配列を「コード化」する)場合、ポリペプチド配列に「対応」し、1つのポリヌクレオチド配列は、2つの配列が同じポリペプチド配列をコード化する場合、別のポリヌクレオチド配列に「対応」する。
【0100】
DNA構築物の「異種」領域またはドメインは、天然の大型分子と関連することが見出されない大型DNA分子内の同定可能なセグメントである。したがって、異種領域が哺乳類遺伝子をコード化するとき、遺伝子は、通常、供給源生物体のゲノムにおける哺乳類ゲノムDNAに隣接しないDNAにより隣接される。異種領域の別の例は、コード配列それ自体が天然に見出されない構築物(例えば、ゲノムコード配列がイントロン、または天然遺伝子と異なるコドンを有する合成配列を含有するcDNA)である。対立遺伝子変異体または天然に生じる突然変異事象は、本明細書に定義されているDNAの異種領域を生じない。
【0101】
「コード」配列は、(遺伝子コードを考慮すると)タンパク質またはペプチド配列に対応する、またはそれをコード化するコドンのインフレーム配列である。2つのコード配列は、配列またはそれらの相補配列が同じアミノ酸配列をコード化する場合、互いに対応する。適切な調節配列に関連するコード配列は、ポリペプチドに転写及び翻訳されうる。ポリアデニル化シグナル及び転写終止配列は、通常、コード配列の3’に位置する。「プロモーター配列」は、細胞中のRNAポリメラーゼに結合すること及び下流(3’方向)のコード配列の転写を開始することができるDNA調節領域である。プロモーター配列は、典型的には、コード配列の転写に影響を与える調節分子(例えば、転写因子)を結合する追加の部位を含有する。コード配列は、RNAポリメラーゼが細胞中のプロモーター配列に結合し、コード配列をmRNAに転写し、次にコード配列によりコード化されたタンパク質に翻訳されるとき、プロモーター配列の「制御下」にある、またはプロモーターに「作動可能に連結」している。
【0102】
ベクターは、DNA、RNAまたはタンパク質のような異物を生物体または宿主細胞に導入するために使用される。典型的なベクターには、組み換えウイルス(ポリヌクレオチド用)及びリポソーム(ポリペプチド用)が含まれる。「DNAベクター」は、プラスミド、ファージまたはコスミドのようなレプリコンであり、これに、別のポリヌクレオチドセグメントを、結合セグメントの複製を生じるために結合することができる。「発現ベクター」は、適切な宿主細胞によるポリペプチド合成を指示する調節配列を含有するDNAベクターである。これは、通常、RNAポリメラーゼに結合し、mRNAの転写を開始するプロモーター、並びにポリペプチドへのmRNAの翻訳を指示するリボソーム結合部位及び開始シグナルを意味する。適正な部位及び正確なリーディングフレームにおける発現ベクターへのポリヌクレオチド配列の組み込み、続くベクターによる適切な宿主細胞の形質転換は、前記ポリヌクレオチド配列によりコード化されたポリペプチドの産生を可能にする。
【0103】
ポリヌクレオチド配列の「増幅」は、特定の核酸配列の複数のコピーのインビトロ産生である。増幅された配列は、通常DNAの形態である。そのような増幅を実施する多様な技術は、以下の総説(それぞれその全体が参照として本明細書に組み込まれる)に記載されている。Van Brunt 1990,Bio/Technol.,8(4):291−294及びGill and Ghaemi,Nucleosides Nucleotides Nucleic Acids.2008 Mar;27(3):224−43。 ポリメラーゼ連鎖反応またはPCRは、核酸増幅の原型であり、ここでのPCRの使用は、他の適切な増幅技術の例示と考慮されるべきである。
【0104】
大部分の脊椎動物(哺乳動物を含む)の抗体の一般的な構造は、現在十分に理解されている(Edelman,G.M.,Ann.N.Y.Acad.Sci.,190:5(1971))。従来の抗体は、分子量がおよそ23,000ダルトンの2つの同一の軽ポリペプチド鎖(「軽鎖」)及び分子量が53,000〜70,000の2つの同一の重鎖(「重鎖」)から構成される。4つの鎖は、ジスルフィド結合により「Y」立体配置に接合されており、軽鎖は、「Y」立体配置の口部から出発する重鎖を挟む。「Y」立体配置の「分枝」部分は、Fab領域と呼ばれ、「Y」立体配置の幹部分は、F領域と呼ばれる。アミノ酸配列配向は、「Y」立体配置の最上部のN末端部から、それぞれの鎖の底部のC末端部までである。N末端部は、特異性を、それを誘発した抗原に対して有する可変領域を有し、およそ100個のアミノ酸長さであり、軽と重鎖の間及び抗体の間で僅かな差がある。
【0105】
可変領域は、それぞれの鎖において、鎖の残りの長さにわたって延長しており、かつ特定の部類の抗体の範囲内で抗体の特異性(すなわち、それを誘発する抗体)により変わらない定常領域に結合する。免疫グロブリン分子の部類を決定する5つの既知の主な部類の定常領域がある(ガンマ、ミュー、アルファ、デルタおよびイプシロン重鎖定常領域に対応するIgG、IgM、IgA、IgD及びIgE)。定常領域または部類は、補体の活性化(Kabat,E.A.,Structural Concepts in Immunology and Immunochemistry,2nd Ed.,p.413−436,Holt,Rinehart,Winston(1976))及び他の細胞応答(Andrews,D.W.,et al.,Clinical Immunobiology,pp 1−18,W.B.Sanders(1980);Kohl,S.,et al.,Immunology,48:187(1983))を含む、抗体の後のエフェクター機能を決定し、一方、可変領域は、それが反応する抗原を決定する。軽鎖は、カッパまたはラムダのいずれかに分類される。それぞれの重鎖部類をカッパまたはラムダ軽鎖のいずれかと対にすることができる。軽及び重鎖は、互いに共有結合しており、2つの重鎖の「尾」部分は、免疫グロブリンがハイブリドーマまたはB細胞のいずれかにより生成される場合、共有ジスルフィド結合により互いに結合される。
【0106】
表現「可変領域」または[VR」は、抗体を抗原に結合させることに直接関与する、抗体内の軽及び重鎖のそれぞれの対内のドメインを意味する。それぞれの重鎖は、一方の端部に可変ドメイン(V)、その後に多数の定常ドメインを有する。それぞれの軽鎖は、一方の端部に可変ドメイン(V)、他方の端部に定常ドメインを有し、軽鎖の定常ドメインは、重鎖の最初の定常ドメインと整列しており、軽鎖可変ドメインは、重鎖の可変ドメインと整列している。
【0107】
表現「相補性決定領域」、「超可変領域」または「CDR」は、抗体の軽または重鎖の可変領域に見出される1つ以上の超可変または相補性決定領域(CDR)を意味する(Kabat,E.A.et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,National Institutes of Health,Bethesda,Md.,(1987)を参照すること)。これらの表現には、Kabat et alにより定義された超可変領域(“Sequences of Proteins of Immunological Interest,”Kabat E.,etal.,US Dept.of Health and Human Services, 1983)または抗体の3次元構造における超可変ループ(Chothia and Lesk,J Mol.Biol.196 901−917(1987))が含まれる。それぞれの鎖におけるCDRは、フレームワーク領域により、近接して保持され、他の鎖のCDRを伴って、抗原結合部位の形成に寄与する。CDR内に、抗体抗原相互作用においてCDRにより使用される重要な接触残基を表す、選択性決定領域(SDR)と記載されている選択アミノ酸が存在する(Kashmiri,S.,Methods,36:25−34(2005))。
【0108】
表現「フレームワーク領域」または「FR」は、抗体の軽及び重鎖の可変領域内の1つ以上のフレームワーク領域を意味する(Kabat,E.A.et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,National Institutes of Health,Bethesda,Md.,(1987)を参照すること)。これらの表現には、抗体の軽及び重鎖の可変領域内のCDRの間に介在するアミノ酸配列領域が含まれる。
【0109】
表現「安定したコピー数」は、長期間(例えば、少なくとも1日間、少なくとも1週間もしくは少なくとも1か月間またはそれ以上)にわたって、あるいは長期間の繁殖世代数(例えば、少なくとも30、40、50、75、100、200、500もしくは1000世代またはそれ以上)にわたって、遺伝子(例えば、抗体鎖遺伝子)のコピー数を実質的に維持する宿主細胞を意味する。例えば、所定の時点または世代数において、培養物中の少なくとも50%、好ましくは少なくとも70%、75%、85%、90%、95%またはそれ以上の細胞は、出発細胞と同じコピー数の遺伝子を維持することができる。好ましい実施形態において、宿主細胞は、所望のタンパク質をコード化する、または所望の多サブユニット複合体(例えば、抗体)のそれぞれのサブユニットをコード化する遺伝子の安定したコピー数を含有する。
【0110】
表現「安定して発現する」は、長期間(例えば、少なくとも1日間、少なくとも1週間もしくは少なくとも1か月間またはそれ以上)にわたって、あるいは長期間の繁殖世代数(例えば、少なくとも30、40、50、75、100、200、500もしくは1000世代またはそれ以上)にわたって、遺伝子またはタンパク質(例えば、抗体)の類似した発現レベルを維持する宿主細胞を意味する。例えば、所定の時点または世代数において、遺伝子またはタンパク質の産生率または収率は、初期の産生率の少なくとも50%、好ましくは少なくとも70%、75%、85%、90%、95%またはそれ以上でありうる。好ましい実施形態において、宿主細胞は、所望のタンパク質または多サブユニット複合体(例えば、抗体)を安定して発現する。
【0111】
組み換えタンパク質の回収及び精製
モノクローナル抗体は、卓越した治療剤になってきたが、これらの精製プロセスは、ヒトに適した産物を信頼性及び予測性をもって産生することを要する。宿主細胞タンパク質、DNA、外来性及び内在性ウイルス、内毒素、凝集体、並びに他の種、例えば糖鎖変異体のような不純物は、制御されなければならず、同時に、所望の抗体産物の許容可能な収率を維持しなければならない。加えて、精製プロセスの際に導入された不純物(例えば、浸出プロテインA、樹脂及びフィルターからの抽出物、プロセス緩衝液及び洗剤のような作用物質)も、抗体が治療剤として使用できる前に除去されなければならない。
【0112】
一次回収プロセス
細胞培養物から抗体を回収する最初の工程は、採取である。細胞及び細胞細片は、クロマトグラフィーに適した清澄な濾過された流体、すなわち採取細胞培養物流体(HCCF)を生じるために除去される。一次回収の例示的な方法には、規模及び施設容量に応じて、遠心分離、深層濾過(depth filtration)及び滅菌濾過、凝結、沈殿及び/または他の適用可能な手法が含まれる。
【0113】
遠心分離
1つの実施形態において、細胞及び凝結細片は、遠心分離によりブロスから除去される。遠心分離をパイロット及び商業規模の製造に使用することができる。好ましくは、遠心分離を大規模製造に使用して、>3%の固形分率を有する(すなわち、ミクロン未満の細片のレベルが増加した)採取細胞培養物流体を、細胞培養物から提供する。
【0114】
標準的な非気密性ディスク積み重ね遠心分離機は、完全気密性遠心分離機と同様に、細胞及び大型細胞細片を除去することができるが、完全気密性遠心分離機は、この単位操作の際に被った細胞溶解の量を、例えば溢流を防止する及び剪断を最小限にすることによって少なくとも50%、有意に低減することができる。
【0115】
遠心分離プロセスの清澄化効率は、遠心分離機供給量、G力、ボウル形状、操作圧力、排出頻度及び細胞培養物流体を遠心分離機に移すために使用される補助機器のような採取パラメーターにより影響を受ける。培養プロセス及び採取の際のピーク細胞密度、総細胞密度及び培養生存力のような細胞培養プロセスの特徴も、分離性能に影響を与えうる。遠心分離プロセスは、供給量(Q)及び遠心分離機の等価設定域(Σ)の換算係数の使用により供給量及びボウル回転速度を選択して、最適化することができる。最適化プロセスは、細胞溶解及び細片生成を最小限し、同時にミクロン未満の粒子の沈降及び産物収率を最大限にすることができる。
【0116】
濾過
接線流精密濾過を細胞採取に使用することもできる。特に、細胞培養物流体は、微多孔膜に対して接線方向に流れ、圧力駆動濾液流は、可溶性産物を大型不溶性細胞から分離する。膜の汚れは、膜表面のわたる乱流により生じる慣性揚力及び剪断誘発拡散により制限される。
【0117】
高収率の採取は、一連の濃縮及び透析濾過(diafiltration)工程により達成することができる。前者では、細胞培養物流体の体積は低減され、固体質量の濃縮をもたらす。次に透析濾過工程は、産物を、濃縮された細胞培養物流体混合物から洗い出す。
【0118】
例として、更なる清澄化を必要とすることなく、標的品質の採取細胞培養物流体(クロマトグラフィーに適したもの)を産生するので、0.22μmの孔径をTFF膜に用いることができる。あるいは、より開放された孔径をTFFバリヤに使用して、汚れをより良好に管理することができるが、より開放された孔径は、TFF系の下流に追加の清澄化工程(例えば、通常流深層濾過)を必要とする場合がある。好ましくは、TFFは、固形分率が<3%の細胞培養物に使用される。
【0119】
深層フィルターを細胞培養ブロスの清澄化に使用して、膜フィルターの容量を維持すること、またはクロマトグラフィーカラムもしくはウイルスフィルターを保護することもできる。深層フィルターは、例えば、セルロース、珪藻土のような多孔質フィルター助剤、イオン荷電樹脂結合剤及び結合樹脂(少ない重量パーセントで存在し、非類似構成材料を一緒に共有結合して、得られた媒体に湿潤強さを与え、陽電荷を媒体表面に付与する)から構成されうる。深層フィルターは、分離を実施するため、サイズ排除及び吸着結合の両方に依存している。例示的な深層フィルターは、およそ2〜4mmの厚さである。
【0120】
採取用途では、深層フィルターを、細胞ブロス全体に直接、または一次分離機、例えばTFFもしくは遠心分離と共に適用することができる。例えば、全細胞ブロス深層フィルター採取に使用される場合、濾過系統は、三段階のフィルターを含有し、(1)全細胞及び大型粒子を除去するために10μmまでの孔径を有する粗または開放深層フィルターを用いる第一段階、(2)コロイド及びミクロン未満の粒子を取り除くためにより緊密な深層フィルターを用いる第二段階、並びに(3)0.2μmの孔径の膜フィルターを用いる第三段階である。濾過プロセスは、一般に、直線的に計るが、1.5X〜>3Xの安全係数をそれぞれの段階で用いて、適切なフィルター容量を確実にすることができる。
【0121】
1つの実施形態において、深層フィルターは、例えば遠心分離により除去されうる粒径に事実上の下限があるので、採取されたブロスを更に清澄するため、遠心分離の後に用いられる。例えば、深層フィルターは、2つの別々の層(上流区域は下流と比較して粗い粒度である)から構成することができ、0.1〜4μmの孔径範囲を有することができる。大型粒子は、粗粒度フィルター媒体に捕捉され、小粒子は、緊密媒体に捕捉され、早期の詰まりを低減させ、濾過容量を増加させる。
【0122】
フィルターの種類、孔径、表面積及び流束の最適化は、研究室の実験台規模で行うことができ、次に、例えば遠心分離液(centrate)濁度及び粒径分布に基づいてパイロット規模に規模拡大することができる。深層フィルターサイズ分類実験は、一般に、濾過段階のいずれか1つ、または組み合わせの圧力終点を使用して、一定流束で実施される。好ましくは、0.22μmの粒度のフィルターを使用して、採取プロセスの終了時に上澄みを濾過して、生物汚染を制御する。0.22μm濾過上澄みを、抗体産物関連変異体プロファイルを変えることなく、2〜8℃で数日間またはそれ以上にわたって保存することができる。
【0123】
理論に束縛されることなく、深層フィルターの吸着機構は、広範囲のプロセス汚染物質及び不純物を除去する精製ツールとしての広範な使用を可能にすると考えられる。特に、深層フィルター及びDNA分子の陽電荷間の静電相互作用、並びに深層フィルター媒体及びDNA分子の疎水性相互作用は、DNAの吸着性の低減において重要な役割を果たしうる。例えば、荷電深層フィルターは、DNAを除去するために使用されており、ZetaPlus(Cuno)90SPの電荷レベルは、DNAを除去するその能力と相関している。加えて、例として、陽性荷電深層フィルターは、フィルターの平均孔径より何倍も小さいエシェリキア・コリ(Escherichia coli)誘導性及び他の内在性の内毒素及びウイルスを除去するために使用されており、ZetaPlus(登録商標)(Cuno)VRシリーズの深層フィルターは、エンベロープ型レトロウイルス及び非エンベロープ型レトロウイルスを吸着により結合することが見出された。また深層濾過は、免疫グロブリン溶液から添加プリオンを除去するために用いられた。更に、プロテインAアフィニティークロマトグラフィーカラムの前に深層濾過により宿主細胞タンパク質を除去することは、プロテインAプールのpH調整の際に沈殿を有意に低減することが示されている。
【0124】
凝結及び沈殿
【0125】
1つの実施形態において、沈殿/凝結に基づいた前処理工程は、現存の濾過系統機器の能力を超える可能性がある、細胞培養物流体中の細胞細片及びコロイドの量を低減するために使用される。凝結は、細胞汚染物質を取り除いて、改善された清澄化効率及び高い回収率をもたらす、例えばカチオン性、中性及びアニオン性ポリマーによる細胞及び細胞細片に対するポリマー吸着、例えば静電引力を伴う。例えば、非常に低レベルの塩化カルシウム及びリン酸カリウム、例えば20〜60mMの塩化カルシウムが、添加された等モル量のリン酸塩とリン酸カルシウムを形成する凝結試薬は、リン酸カルシウムと細胞、細胞細片及び不純物の同時沈殿に寄与すると考えられる。
【0126】
1つの実施形態において、開示されている精製プロセスは、3mMの最終濃度にするエチレンジアミン四酢酸(EDTA)及び凝結剤により全細胞ブロスを処理すること、続く遠心分離により細胞及び凝結細片を除去すること、続いて深層および0.2μmフィルターにより清澄化することを含む。
【0127】
クロマトグラフィー
バイオ医薬品産業において、クロマトグラフィーは、その高い分解能に起因して、重要であり、広く使用されている分離及び精製技術である。クロマトグラフィーは、分離するために生体分子間の物理的及び化学的な差を利用する。例えば、プロテインAクロマトグラフィーは、採取の後に続いて、少ない割合のプロセス及び産物関連不純物のみの除去を必要とする相対的に純粋な産物を生じることができる。1または2つの追加のクロマトグラフィー工程を、例えば、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、混合モードクロマトグラフィー及び/またはヒドロキシアパタイトクロマトグラフィーを組み込むことにより、洗練工程として用いることができる。これらの工程は、追加的なウイルス、宿主細胞タンパク質及びDNAのクリアランス、並びに凝集体、不要な産物変異体種及び他の微量汚染物質の除去を提供することができる。最後に、精製産物を濃縮及び透析濾過して、最終処方緩衝液にすることができる。
【0128】
抗体精製は、血清(ポリクローナル抗体)、腹水または細胞系の細胞培養物上澄(モノクローナル抗体)から抗体を選択的に豊富化すること、または特異的に単離することを伴う。精製方法は、極粗から高特異的までの範囲であり、以下のように分類することができる。
【0129】
物理化学的分画−典型的な試料中の抗体のサイズ、電荷または他の共有される化学的特徴に基づいた免疫グロブリンの示差沈殿、サイズ排除または固相結合。これは、免疫グロブリンを含む試料タンパク質のサブセットを単離する。
【0130】
親和性分画−免疫グロブリンに特異的な親和性を有する固定化生物学的リガンド(例えば、タンパク質)による特定の部類の抗体(例えば、IgG)の結合(これは、抗原特異性に関わりなく標的の部類の全ての抗体を精製する)または特異的な抗原結合ドメインを介して特定の抗原分子に結合する、試料中の抗体のみの親和性精製(これは、抗体の部類もしくはアイソタイプに関わりなく抗原に結合する全ての抗体を精製する)。
【0131】
主要な部類の血清免疫グロブリン(例えば、IgG及びIgM)は、全体的なアミノ酸組成及び溶解特徴を含む同じ一般的構造を共有する。これらの一般的な特性は、血清中の他の豊富なタンパク質、例えばアルブミン及びトランスフェリンの大部分において十分に異なり、免疫グロブリンを、これらの異なる物理化学的特性に基づいて選択及び豊富化することができる。
【0132】
物理化学的分画抗体精製
硫酸アンモニウム沈殿
【0133】
硫酸アンモニウム沈殿は、血清、腹水または細胞培養物上澄みから抗体を豊富化及び濃縮するために頻繁に使用される。離液塩の濃度が試料中で増加するので、タンパク質及び他の巨大分子は、沈殿するまで進行的に溶解度が小さくなり、すなわち離液効果は、「塩析」と呼ばれる。抗体は、大部分の他のタンパク質及び血清成分より低い濃度の硫酸アンモニウムで沈殿する。
【0134】
約40〜約50%の硫酸アンモニウム飽和度(100%の飽和は4.32Mに等しい)では、免疫グロブリンが沈殿し、一方、他のタンパク質は溶液中に留まる。例えば、Harlow,E.and Lane,D.(1988).Antibodies:A Laboratory Manual.Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,New York.Gagnon,P.(1996)を参照すること。例として、等体積の飽和硫酸アンモニウム溶液を、中和抗体試料にゆっくりと加え、続いて室温または4℃で数時間インキュベートする。遠心分離及び上澄みを除去した後、抗体ペレットは、リン酸緩衝食塩水(PBS)のような緩衝液に溶解させる。
【0135】
沈殿の選択性、収率、純度及び再現性は、時間、温度、pHおよび塩添加の速度が含まれるが、これらに限定されない幾つかの要因に応じて決まる。例えば、Gagnon,P.S.(1996).Purification Tools for Monoclonal Antibodies.Validated Biosystems.Tuscon,AZを参照すること。硫酸アンモニウム沈殿は、幾つかの抗体用途にとって十分な精製を提供することができるが、多くの場合、カラムクロマトグラフィーまた他の精製方法の前の予備工程として実施される。部分精製抗体試料を使用することは、アフィニティーカラムの性能を改善し、寿命を延長することができる。
【0136】
抗体精製の状況に適した硫酸アンモニウム以外の抗体沈殿試薬には、例として、オクトン酸(octonic acid)、ポリエチレングリコール及びエタクリジンが含まれる。
【0137】
多数の化学に基づいた固相クロマトグラフィー法が、特定の状況で抗体精製を達成するために適応及び最適化されている。
【0138】
イオン交換クロマトグラフィー(IEC)
【0139】
イオン交換クロマトグラフィー(IEC)は、陽性または陰性荷電樹脂を使用して、タンパク質を実効電荷に基づいて所定の緩衝系(pH)において結合させる。高度の特異性により標的抗体を結合及び放出するIECの条件を決定することができ、これらは、モノクローナル抗体の産生を伴う商業的な稼働にはとりわけ重要でありうる。逆に、抗体を除いてほぼ全ての他の試料成分に結合する条件を見出すことができる。いったん最適化されると、IECは、抗体精製の費用効率が高く、穏やかで信頼性のある方法である。
【0140】
アニオン交換クロマトグラフィーは、樹脂に固定化された陽性荷電基を使用する。例えば、ジエチルアミノエチル(DEAE)もしくはジメチルアミノエチル(DMAE)のような弱塩基性基、または第四級アミノエチル(Q)もしくはトリメチルアンモニウムエチル(TMAE)もしくは第四級アミノエチル(QAE)のような強塩基性基を、アニオン交換に使用することができる。アニオン交換媒体の例には、GE Healthcare Q−Sepharose FF、Q−Sepharose BB、Q−Sepharose XL、Q−Sepharose HP、Mini Q、Mono Q、Mono P、DEAE Sepharose FF、Source 15Q、Source 30Q、Capto Q、Streamline DEAE、Streamline QXL;Applied Biosystems Poros HQ 10及び20umセルフパック、Poros HQ 20及び50um、Poros PI 20及び50um、Poros D 50um;Tosohaas Toyopearl DEAE 650S M及びC、Super Q650、QAE550C;Pall Corporation DEAE Hyper D、Q Ceramic Hyper D、Mustang Q膜吸収体;Merck KG2A Fractogel DMAE、FractoPrep DEAE、Fractoprep TMAE、Fractogel EMD DEAE、Fractogel EMD TMAE;Sartorious Sartobind Q膜吸収体が含まれるが、これらに限定されない。
【0141】
アニオン交換は、プロセス関連不純物(例えば、宿主タンパク質、内在性レトロウイルス及びパルボウイルスまたは偽性狂犬病ウイルスのような外来性ウイルス、DNA、内毒素及び浸出プロテインA)、並びに産物関連不純物(例えば、二量体/凝集体)の除去に特に有用である。除去される抗体及び不純物のpIに応じて、フロースルーモードまたは結合及び溶出モードのいずれかを使用することができる。例えば、フロースルーモードは、不純物が樹脂に結合し、目的の産物がその中を流れるので、7.5を超えるpIを有する抗体から、たとえば大部分のヒト化またはヒトIgG1及びIgG2抗体から不純物を除去するために好ましく使用される。カラム装填容量、すなわち、樹脂の質量に対する抗体の質量は、樹脂の結合部位が不純物のみにより占められるので、極めて高くなる可能性がある。フロースルーモードのアニオン交換クロマトグラフィーを、宿主細胞タンパク質、DNA、浸出プロテインA及び多様なウイルスのような残留不純物を除去する2または3単位操作により設計されたモノクローナル抗体精製プロセスに、洗練工程として使用することができる。例として、操作pHは、約8〜約8.2であり、産物装填物、並びに平衡及び洗浄緩衝液における伝導率は10mS/cmまでである。
【0142】
あるいは、結合及び溶出モードは、酸性から中性の範囲のpIを有する抗体、例えば大部分のヒト化またはヒトIgG4から、プロセス関連及び産物関連不純物を除去するために、好ましく使用される。結合及び溶出モードでは、抗体産物プールがアニオン交換カラムに最初に装填され、次に目的の産物が高塩濃度で段階または直線勾配で溶出され、大部分の不純物がカラムに結合して残る。不純物は、清浄または再生工程の際にカラムから溶出される。一般に、操作pHは、実効陰電荷または高い陰電荷数を抗体分子の表面に得るため、したがってクロマトグラフィー工程の際に高い結合能を達成するため、産物のpIを超える、またはそれに近似しているべきである。同様に、装填物のイオン強度は、好ましくは低い範囲内にあり、pHは、好ましくはpH9未満である。
【0143】
加えて、弱分配クロマトグラフィー(WPC)を使用して、プロテインA及びアニオン交換を含む2つのクロマトグラフィー回復プロセスを可能にすることができる。一般に、プロセスは(フロースルークロマトグラフィーのように)均一濃度で実施されるが、伝導率及びpHは、産物及び不純物の両方の結合が増強され(フロースルーモードと対照的に)、0.1〜20、好ましくは1〜3の分配係数(Kp)を得るように選択される。抗体及び不純物の両方は、アニオン交換樹脂に結合するが、不純物は、フロースルーモードよりはるかに緊密に結合し、このことは不純物除去に増加をもたらすことができる。弱分配モードの産物収率は、装填の終了時に短時間の洗浄を含めることにより最大化され、例えば、臨床的産生では平均して90%でありうる。
【0144】
カチオン交換クロマトグラフィーは、陰性荷電官能基で改質された樹脂を使用する。例えば、強酸性リガンド(例えば、スルホプロピル、スルホエチル及びスルホイソブチル基)または弱酸性リガンド(例えば、カルボキシル基)をカチオン交換に使用することができる。例示的なカチオン交換樹脂には、GE Healthcare SP−Sepharose FF、SP−Sepharose BB、SP−Sepharose XL、SP−Sepharose HP、Mini S、Mono S、CM Sepharose FF、Source 15S、Source 30S、Capto S、MacroCap SP、Streamline SP−XL、Streamline CST−1;Tosohaas Resins Toyopearl Mega Cap TI SP−550 EC、Toyopearl Giga Cap S−650M、Toyopearl 650S、M及びC、Toyopeal SP650S、M及びC、Toyopeal SP550C;JT Baker Resins Carboxy−Sulphon−5、15及び40um、Sulfonic−5、15及び40um;YMC BioPro S;Applied Biosystems Poros HS 20及び50um、Poros S 10及び20um;Pall Corp S Ceramic Hyper D、CM Ceramic Hyper D;Merck KGgA Resins Fractogel EMD SO、Fractogel EMD COO−、Fractogel EMD SE Hicap、Fracto Prep SO3;Eshmuno S;Biorad Resin Unosphere S;Sartorius Membrane Sartobind S膜吸収体が含まれるが、これらに限定されない。
【0145】
カチオン交換クロマトグラフィーは、中性から塩基性の範囲のpI値を有する多くのモノクローナル抗体、例えば、ヒトまたはヒト化IgG1及びIgG2サブクラスの精製プロセスに特に適している。一般に、抗体は、装填工程の際に樹脂に結合し、溶出緩衝液の伝導率を増加すること、またはpHを増加することによって溶出される。DNA、幾つかの宿主細胞タンパク質、浸出プロテインA及び内毒素のような大部分の陰性荷電プロセス関連不純物は、装填及び洗浄画分に除去される。カチオン交換クロマトグラフィーは、脱アミド化産物、酸化種及びN末端切り詰め形態、並びに高分子量種のような標的抗体産物から抗体変異体を低減することもできる。
【0146】
得られる最大結合能は、装填条件、樹脂リガンド及び密度に応じて樹脂体積の>100g/Lまでの高さでありうるが、不純物の除去は、装填密度に高く依存している。溶出プログラムの開発に関するアニオン交換クロマトグラフィーについて記載されたものと同じ原理が、カチオン交換クロマトグラフィーにも当てはまる。
【0147】
溶出条件の開発は、続く単位操作により容易にプロセスされうる産物プールの不純物除去及び特徴と関連する。一般に、直線塩またはpH勾配溶出プログラムを実施して、最良の溶出条件を決定することができる。例えば、直線勾配溶出条件は、pH6で5mM〜250mMのNaClの範囲であり、直線pH勾配溶出の実施は、pH6〜pH8の範囲でありうる。
【0148】
固定化金属キレートクロマトグラフィー(IMAC)
【0149】
固定化金属キレートクロマトグラフィー(IMAC)は、キレート固定化二価金属イオン(例えば、ニッケルNi2+)を使用して、3つ以上の連続ヒスチジン残基の集団を含有するタンパク質またはペプチドに結合する。この戦略は、末端6xHis縮合タグを含有するように操作された組み換えタンパク質の精製に特に有用でありうる。哺乳類IgGは、固定化ニッケルに結合されうるヒスチジン集団を有する血清(またはモノクローナル細胞培養物上澄み)中の、数少ない豊富なタンパク質のうちの1つである。IECと同じ様に、結合及び溶出のIMAC条件を特定の試料のために最適化して、穏やかで信頼性の高い抗体精製を提供することができる。例えば、IMACを使用して、標識化手順の後に過剰量の非抱合型酵素からAP−またはHRP−標識(酵素抱合)抗体を分離することができる。
【0150】
疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)
【0151】
疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)は、タンパク質をそれらの疎水性に基づいて分離し、タンパク質を電荷、サイズまたは親和性に基づいて分離する他の技術と相補的である。例えば、溶液中のタンパク質分子の溶媒和を低減する高塩緩衝液中のHICカラムに装填された試料、それにより、試料タンパク質分子の疎水性領域を曝露し、したがって、HIC樹脂に結合する。一般に、分子の疎水性が多いほど、少ない塩が、結合を促進するために必要である。次に塩濃度減少の勾配を、HICカラムからの試料の溶出に使用することができる。特に、イオン強度が減少すると、分子の疎水性領域の曝露が増加し、分子が、疎水性の増加のためにカラムから溶出する。
【0152】
フロースルーモードのHICは、大きな割合の凝集体を比較的高い収率で除去するのに効率的でありうる。結合及び溶出モードのHICは、抗体産物からのプロセス関連及び産物関連不純物の有効な分離を提供することができる。特に、大部分の宿主細胞タンパク質、DNA及び凝集体を、溶出緩衝液の適切な塩濃度の選択または勾配溶出法の使用によって抗体産物から除去することができる。
【0153】
例示的なHIC樹脂には、GE Healthcare HIC Resins(Butyl Sepharose 4 FF、Butyl−S Sepharose FF、Octyl Sepharose 4 FF、Phenyl Sepharose BB、Phenyl Sepharose HP、Phenyl Sepharose 6 FF High Sub、Phenyl Sepharose 6 FF Low Sub、Source 15ETH、Source 15ISO、Source 15PHE、Capto Phenyl、Capto Butyl、Sreamline Phenyl);Tosohaas HIC Resins(TSK Ether 5PW(20um及び30um)、TSK Phenyl 5PW(20um及び30um)、Phenyl 650S、M及びC、Butyl 650S、M及びC、Hexyl−650M及びC、Ether−650S及びM、Butyl−600M、Super Butyl−550C、Phenyl−600M;PPG−600M);Waters HIC Resins(孔径が120、200、300AのYMC−Pack Octyl Columns−3、5、10P、15及び25um、孔径が120、200、300AのYMC−Pack Phenyl Columns−3、5、10P、15及び25um、孔径が120、200、300AのYMC−Pack Butyl Columns−3、5、10P、15及び25um);CHISSO Corporation HIC Resins(Cellufine Butyl、Cellufine Octyl、Cellufine Phenyl);JT Baker HIC Resin(WP HI−Propyl(C3));Biorad HIC Resins(Macroprep t−Butyl、Macroprep methyl);並びにApplied Biosystems HIC Resin(High Density Phenyl-HP2 20um)が含まれるがこれらに限定されない。例えば、PPG600−Mは、およそ8×10ダルトンの排除限界分子量、ポリプロピレングリコールPPGリガンド、45〜90μmの粒径、エーテル>PPG>フェニルの関係により与えられる疎水性及び38mg/mL−ゲルの動的結合能(MAb:Anti LH)により特徴決定される。
【0154】
1つの実施形態において、開示されている精製プロセスは、疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)を、アフィニティークロマトグラフィー(例えば、プロテインA)及び混合モードクロマトグラフィー(例えば、ヒドロキシアパタイト)の後の洗練工程として用いる。図1を参照すること。好ましくは、プロピレングリコール(PPG−600M)またはフェニル−600MがHIC樹脂である。1つの実施形態において、溶出は、20mMのリン酸ナトリウム、pH7緩衝液中の約0.7M〜0Mの硫酸ナトリウムの直線勾配(0〜100%)として実施される。場合により、流出液のOD280がモニターされ、一連の画分、例えば収集体積の約三分の一が、更なる純度分析のために収集される。好ましくは、収集された画分は、前隣接の0.1ODから後隣接の0.1ODまでを含む。
【0155】
疎水性電荷誘導クロマトグラフィー(HCIC)
【0156】
疎水性電荷誘導クロマトグラフィー(HCIC)は、低いpHでイオン化するリガンドのpH依存性挙動に基づいている。この技術は、吸着が、高濃度の離液塩を必要とすることなく疎水性相互作用によって生じうるように、複素環リガンドを高密度で用いる。HCICによる脱着は、pHを低下させてイオン化リガンドと結合タンパク質の間に電荷反発を生じることによって、推進される。例示的な市販のHCIC樹脂は、MEP−Hypercel(Pall Corporation)であり、これは、4−メルカプトエチルピリジンを官能基として有するセルロースに基づいた媒体である。リガンドは、低pHで陽電荷を取得する、N−複素環を有する疎水性部分である。
【0157】
親硫黄性(thiophilic)吸着
【0158】
親硫黄性吸着は、疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)と硫酸アンモニウム沈殿(すなわち、離液効果)の特性を組み合わせた高度に選択的な種類のタンパク質リガンド相互作用であり、チオエーテルに近接しているスルホン基へのタンパク質の結合を伴う。厳密なHICと対照的に、親硫黄性吸着は、高濃度の離液塩(例えば、塩化ナトリウムに対して硫酸カリウム)に依存する。例えば、結合は、硫酸カリウムにより平衡化された典型的な抗体試料に対して極めて特異的である。非結合成分が洗い流された後、抗体は、穏やかな溶出条件(例えば、50mMのリン酸ナトリウム緩衝液、pH7〜8)によって容易に回収される。親硫黄性吸着剤(T−Gelとも呼ばれる)は、スルホンチオエーテルリガンドを含有するように改質された6%ビーズアガロースであり、これは、多様な動物種の免疫グロブリンに対して高い結合能及び広い特異性を有する。
【0159】
抗体の親和性精製
アフィニティークロマトグラフィー(親和性精製とも呼ばれる)は、分子間の特異的結合相互作用を使用する。一般に、特定のリガンドは、複合体混合物がカラムを通過したとき、リガンドに対して特異的な結合親和性を有する分子が結合するように、固体支持体に化学的に固定化または「結合」されている。他の試料成分が洗い流された後、結合分子は、支持体からストリップされ、元の試料からの精製をもたらす。
【0160】
支持体
【0161】
親和性精製は、溶液(移動相)中の分子を、固定材料(固相)に固定化されているリガンドとの結合相互作用の差に基づいて分離することを伴う。親和性精製における支持体またはマトリックスは、生体特異性リガンドが共有結合する任意の材料である。典型的には、親和性マトリックスとして使用される材料は、標的分子が見出される系において不溶性である。通常、不溶性マトリックスは固体であるが、必ずしもそうであるとは限らない。
【0162】
有用な親和性支持体は、高い表面積対体積比、リガンドの共有結合のために容易に修飾される化学基、最小限の非特異的結合特性、良好な流動性、並びに機械的及び化学的安定性を有するものである。
【0163】
固定化リガンドまたは活性化親和性支持体の化学的性質は、例えば、架橋ビーズアガロースまたはポリアクリルアミド樹脂及びポリスチレンマイクロプレートを含む幾つかの異なるフォーマットに使用可能である。
【0164】
多孔質ゲル支持体は、試料分子が高表面積の固定化リガンドを自由に通過することができる緩いマトリックスであり、タンパク質の親和性精製にも有用である。これらの種類の支持体は、通常、直径が50〜150μmのビーズとして溶液中に生成された(すなわち、水和された)糖またはアクリルアミドに基づいたポリマー樹脂である。ビーズフォーマットは、これらの樹脂が、任意のサイズの樹脂床を有するカラムに容易に分配されて、充填し、「詰める」ことができる湿潤スラリーとして提供されることを可能にする。ビーズは、生体分子(タンパク質など)が自由にビーズの表面の間及び周りを流動できるのと同じように、自由にビーズに流入し通過できるほど極めて多孔質であり、十分に大きい。リガンドは、多様な手段によりビーズポリマー(外面及び内面)に共有結合している
【0165】
例えば、架橋ビーズアガロースは、典型的には4%及び6%の密度で入手可能である(すなわち、1mlの樹脂床は、体積の90%超が水である)。ビーズアガロースは、重力流低速度遠心分離及び低圧力手順に適切でありうる。あるいは、ポリアクリルアミドに基づいたビーズ樹脂は、一般に圧縮せず、蠕動ポンプまたは他の液体クロマトグラフィー系を用いる中圧用途で使用することができる。両方の種類の多孔質支持体は、一般に低い非特異的結合性を有する。これらのアフィニティークロマトグラフィー樹脂の物理的特性のまとめが、下記の表1に提示されている。
表1.アフィニティークロマトグラフィー樹脂の物理的特性
【表1】
【0166】
磁気粒子も別の種類の固体親和性支持体である。これらははるかに小さく(典型的には、直径1〜4μm)、有効なリガンド固定化及び親和性精製のために必要とされる十分な表面積対体積比を提供する。磁気粒子を用いる親和性精製は、バッチで実施され、例えば、数マイクロリットルのビーズが数百マイクロリットルの試料と緩いスラリーとして混合される。混合の際、ビーズは、試料溶液中に懸濁されたままであり、親和性相互作用が固定化リガンドと生じることを可能にする。結合のために十分な時間が与えられた後、ビーズは、強力な磁石の使用により試料から収集及び分離される。典型的には、簡単な実験台手順が微小遠心分離管において行われ、ピペット操作または傾瀉を使用して、試料(または洗浄溶液など)を除去し、その間、磁気ビーズを適切な磁石により管の底部または側面にそのまま保持する。
【0167】
磁気粒子は、ハイスループット自動化に特に良好に適しており、多孔質樹脂と異なり、細胞分離手順の代わりに使用することができる。
【0168】
それぞれ特定の親和性系は、それ自体の条件セットを必要とし、所定の研究目的にそれ自体特有の課題を生じる。しかし、親和性精製は、一般に以下の工程を伴う。
1.粗試料を親和性支持体と共にインキュベートして、試料中の標的分子が固定化リガンドと結合することを可能にする工程。
2.非結合試料成分を支持体から洗い流す工程。
3.結合相互作用がもはや生じないように緩衝液の条件を変更することにより、固定化リガンドから標的分子を溶出(解離及び回収)する工程。
【0169】
一般的な部類のタンパク質(例えば、抗体)または一般的に使用される縮合タンパク質タグ(例えば、6xHis)に結合するリガンドは、親和性精製に容易に使用される固定化前形態で市販されている。あるいは、目的の特異的抗体または抗原のようなより特別仕様のリガンドは、幾つかの市販の活性化親和性支持体の1つを使用して固定化することができ、例えば、ペプチド抗原を支持体に固定化し、ペプチドを認識する抗体を精製するために使用することができる。
【0170】
最も一般的に、リガンドは、リガンドの特定の官能基(例えば、第一級アミン、スルフヒドリル、カルボン酸、アルデヒド)と、支持体の反応性基(共有固定化の関連記事を参照すること)との共有化学結合の形成により、固体支持体材料に直接固定化または「結合」される。しかし、間接カップリング手法も可能である。例えば、GSTタグ化縮合タンパク質を、最初に、グルタチオン−GST親和性相互作用を介してグルタチオン支持体に捕獲させ、次に、二次的に化学架橋して固定化することができる。次に固定化されたGSTタグ化縮合タンパク質を使用して、縮合タンパク質の結合パートナーを親和的に精製することができる。
【0171】
親和性精製の結合及び溶出緩衝液
【0172】
タンパク質:リガンド相互作用を伴う大部分の親和性精製手順は、特に、抗体:抗原または未変性たんぱく質:タンパク質相互作用が親和性精製の基礎である場合、リン酸緩衝食塩水(PBS)のような結合緩衝液を生理学的pH及びイオン強度で使用する。結合相互作用が生じると、支持体を追加の緩衝液で洗浄して、試料の非結合成分を除去する。非特異的(例えば、単純なイオン性)結合相互作用は、低レベルの洗剤の添加により、または結合及び/もしくは洗浄緩衝液における塩濃度の中程度の調整によって、最小限にすることができる。最後に、溶出緩衝液(例えば0.1Mのグリシン・HCl、pH2.5〜3.0)を加えて、結合相互作用を(タンパク質構造に永久的な影響を与えることなく)壊し、標的分子を放出し、次にこれを精製形態で収集する。溶出緩衝液は、極限pH(低または高)、高塩濃度(イオン強度)、分子の一方もしくは両方を変性する洗剤もしくはカオトロピック剤の使用、結合因子の除去、または対リガンドとの競合により、結合パートナーを解離することができる。幾つかの場合において、続く透析または脱塩は、精製タンパク質を、溶出緩衝液から保存または下流プロセッシングにより適した緩衝液に代えるために必要となりうる。
【0173】
加えて、幾つかの抗体及びタンパク質は、低pHで損傷を受けるので、溶出タンパク質画分は、1/10の体積のアルカリ緩衝液、例えば1MのTris・HCl、pH8.5の添加により、直ちに中和されるべきである。タンパク質の親和性精製のための他の例示的な溶出緩衝液が、下記の表2に提示される。
表2.タンパク質親和性精製のための例示的な溶出緩衝液系
【表2】
【0174】
抗体精製の幾つかの方法は、親和性精製技術を伴う。親和性精製の例示的な手法には、硫酸アンモニウムを用いる沈殿(他の血清タンパク質からの総免疫グロブリンの粗精製)、結合及び溶出モードにおけるプロテインA、G、A/GもしくはL(IgGの大部分の種及びサブクラスに結合する)または組み換えプロテインA、G、A/GもしくはL誘導体を用いる親和性精製、並びに結合及び溶出モードにおける固定化抗原(粗試料から特定の抗体を単離するために親和性支持体に共有的に固定化された精製抗原)を用いる親和性精製が含まれる。
【0175】
プロテインA、プロテインG及びプロテインLは、抗体結合特性が十分に特徴決定されている3つの細菌タンパク質である。これらのタンパク質は、組み換え的に産生されており、多様な種の主な抗体型の親和性精製に日常的に使用されている。これらのタンパク質の市販の組み換え型の大部分は、不必要な配列(例えば、プロテインGからHSA結合ドメイン)が除去されており、したがってこれらの未変性対応物よりも小さい。プロテインA/Gと呼ばれる、プロテインA及びプロテインGの遺伝子操作組み換え形態も入手可能である。4つ全ての組み換えIg結合タンパク質は、多数の免疫検出及び免疫親和性用途において研究者により日常的に使用されている。
【0176】
抗体精製を達成するため、プロテインA、プロテインG、プロテインA/Gは、支持体、例えば多孔質樹脂(例えば、ビーズアガロース)または磁気ビーズに共有的に固定化される。これらのタンパク質は幾つかの抗体結合ドメインを含有するので、ほぼ全ての個別に固定化された分子は、どのような配向であるとしても、少なくとも1つの機能性及び非障害性結合ドメインを維持する。更に、タンパク質が抗原結合ドメイン以外の部位で抗体に結合するので、これらのタンパク質の固定化形態を、抗原に結合している間に抗体に結合することにより試料から抗原を精製するために抗体結合タンパク質が使用される免疫沈降のような、精製スキームに使用することができる。
【0177】
IgG型抗体のFc領域へのプロテインAの高い親和性が、IgG、IgGフラグメント及びサブクラスの精製の基礎である。一般に、プロテインAクロマトグラフィーは、抗体が結合し、不要な成分、例えば、宿主細胞タンパク質、細胞培養媒体成分及び推定ウイルスがカラムの中を流れるように、清澄化細胞培養物上澄みをpH約6.0〜約8.0でカラムを通過させることを伴う。任意の中間体洗浄工程を実施して、非特異的結合不純物をカラムから除去し、続いて産物をpH約2.5〜pH約4.0で溶出することができる。溶出工程は、直線勾配もしくは段階法または勾配と段階の組み合わせとして実施することができる。1つの実施形態において、溶出液は、中和緩衝液(例えば、1MのTris、pH8)により直ちに中和され、次に例えば5%の塩酸または1Mの水酸化ナトリウムを使用して最終的にpH6.5に調整される。好ましくは、中和溶出液は、続くクロマトグラフィーの前に濾過される。1つの実施形態において、中和溶出液は、続くヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー工程の前に0.2μmフィルターを通過する。
【0178】
高い選択性、高い流量及び費用効果が高い結合能、並びに宿主細胞タンパク質、DNA、細胞培養媒体成分及び内在性と外来性のウイルス粒子のようなプロセス関連不純物の広範囲の除去能力のため、プロテインAクロマトグラフィーは、抗体精製プロセスの最初の工程として典型的に使用される。この工程の後、抗体産物は、高度に純粋であり、分解を引き起こしうるプロテアーゼ及び他の媒体成分の排除に起因して、より安定している。
【0179】
現在、樹脂骨格組成物に基づいて分類された3つの主な種類のプロテインA樹脂が存在し、ガラスまたはシリカに基づいたもの、例えば、AbSolute HiCap(NovaSep)、Prosep vA、Prosep vA Ultra(Millipore)、アガロースに基づいたもの、例えば、Protein A Sepharose Fast Flow、MabSelect及びMabSelect SuRe(GE Healthcare)、並びに有機ポリマーに基づいたもの、例えば、ポリスチレン−ジビニルベンゼンPoros A MabCapure(Applied Biosystems)である。好ましくは、プロテインA樹脂は、アガロースに基づいた樹脂、例えばMabSelect SuRe樹脂である。3種類の樹脂は、全て、高濃度のグアニジン塩酸塩、尿素、還元剤及び低pHに対して抵抗性がある。
【0180】
大きな規模で用いられるカラム床の高さは、孔径、粒径及び圧縮性のような樹脂粒子の特性に応じて10〜30cmである。好ましくは、カラム床高さは約25cmである。流量及びカラム直径が、カラムの抗体滞留時間を決定する。1つの実施形態において、プロテインAに用いられる線速度は、約150〜約500cm/時間、好ましくは約200cm/時間〜約400cm/時間、より好ましくは約200cm/時間〜約300cm/時間、最も好ましくは約250cm/時間である。動的結合能は、樹脂1リットルあたり15〜50gの抗体の範囲であり、流量、精製される特定の抗体、ならびに使用されるプロテインAマトリックスに応じて決まる。好ましくは、カラムには、樹脂1リットルあたり45g以下の抗体が装填される。プロテインA樹脂の動的結合能を決定する方法は、Fahrner et al.Biotechnol Appl BioChem.30:121-128(1999)により記載されている。低い装填流量は、抗体滞留時間を増加し、高い結合能を促進することができる。1サイクルあたり長いプロセシング時間ももたらし、少ないサイクルを要し、採取細胞培養物流体の1バッチあたり少ない緩衝液を消費する。
【0181】
親和性精製の他の例示的な手法には、レクチン親和性クロマトグラフィーが含まれ、これは、フロースルーモード(望ましくない糖鎖付加を有する生成物が支持体に結合し、一方、望ましくない糖鎖付加を有さない生成物が支持体を通過する)または結合及び溶出モード(所望の糖鎖付加を有する生成物が支持体に結合し、一方、所望の糖鎖付加を有さない生成物が支持体を通過する)によって実施することができる。
【0182】
下等真核生物、例えばP.パストリス(pastoris)に発現されたタンパク質を、O−オリゴ糖のみにより修飾することができる、または主にマンノース(Man)残基から構成することができる。加えて、下等真核生物、例えばP.パストリス(pastoris)に発現されたタンパク質をN−オリゴ糖により修飾することができる。P.パストリス(pastoris)及び他の真菌のN−糖鎖付加は、高等真核生物におけるものと異なる。真菌においても、N−糖鎖付加は異なる。特に、P.パストリス(pastoris)におけるN−結合糖鎖付加経路は、S.セレビシエ(cerevisiae)において見出されるものと実質的に異なっており、コアMan8GN2への短いMan(アルファ1,6)延長及び有意なMan(アルファ1,3)付加の明確な欠如は、P.パストリス(pastoris)におけるN−結合グルカンの主なプロセッシング様式を表す。幾つかの態様において、P.パストリス(pastoris)は、典型的な哺乳類高マンノース糖鎖付加パターンにより近いものでありうる。更に、ピキア(Pichia)及び他の真菌を操作して、「ヒト化糖タンパク質」を産生することができる(すなわち、ガラクトシル化のような、哺乳動物に見出される必須糖鎖付加経路を複製することができるように酵母菌株を遺伝子修飾する)。
【0183】
タンパク質産物の所望の、または望ましくないO−結合及び/またはN−結合糖鎖付加修飾に基づいて、1つ以上のレクチンを、フロースルーモードまたは結合及び溶出モードのアフィニティークロマトグラフィーのために選択することができる。例えば、所望の組み換えタンパク質が特定のO−結合及び/またはN−結合マンノース修飾を欠いている(すなわち、所望のタンパク質が未修飾である)場合、マンノース部分に結合するレクチン、例えば、Con A、LCH、GNA、DC−SIGN及びL−SIGNは、所望の未修飾産物が支持体を通過し、更なる精製またはプロセッシングに利用可能になるように、フロースルーモードの親和性精製のために選択されうる。逆に、所望の組み換えタンパク質が特定のO−結合及び/またはN−結合マンノース修飾を含有する(すなわち、所望のタンパク質が未修飾である)場合、マンノース部分に結合するレクチン、例えば、Con A、LCH、GNA、DC−SIGN及びL−SIGNは、所望の修飾産物が支持体に結合し、望ましくない未修飾が通過するように、結合及び溶出モードの親和性精製のために選択されうる。後者の例では、フロースルーしたものを廃棄することができ、一方、所望の修飾産物は、更なる精製またはプロセッシングのために支持体から溶出される。同じ原理が、真菌発現系により導入された他の糖鎖付加修飾を含有する組み換えタンパク質産物に当てはまる。
【0184】
別の偽性親和性精製ツールは、「混合モード」クロマトグラフィーである。本明細書で使用されるとき、用語「混合モードクロマトグラフィー」は、分離を達成するため、固相と分析物との相互作用の1つを超える形態を利用するクロマトグラフィー法を意味し、例えば、混合モードクロマトグラフィーにおける二次相互作用は、溶質の保持に寄与する。混合モードクロマトグラフィーの利点には、高い選択性が含まれ、例えば、陽性、陰性及び中性物質は、単回の実施により、高い装填容量で分離されうる。
【0185】
混合モードクロマトグラフィーは、ヒドロキシアパタイト(HA)クロマトグラフィー及びフルオロアパタイト(FA)クロマトグラフィーのように、セラミックまたは結晶アパタイト媒体により実施することができる。他の混合モード樹脂には、CaptoAdhere、Capto MMC(GE Healthcare);HEA Hypercel及びPPA Hypercel(Pall);並びにToyopearl MX−Trp−650M(Tosoh BioScience)が含まれるが、これらに限定されない。これらのクロマトグラフィー樹脂は、より伝統的なイオン交換または疎水性相互作用技術と相補的な生体分子選択性を提供する。
【0186】
セラミックヒドロキシアパタイト((Ca(PO4)OH)は、タンパク質、酵素、核酸、ウイルス及び他の巨大分子の分離及び精製に使用することができるリン酸カルシウムの形態である。ヒドロキシアパタイトは、独自の分離特性、優れた選択性及び分解能を有する。例えば、多くの場合に、他のクロマトグラフィー及び電気泳動技術により同種であると思われるタンパク質を分離する。塩化ナトリウムまたはリン酸ナトリウム勾配溶出を用いるセラミックヒドロキシアパタイト(CHT)クロマトグラフィーは、二量体、凝集体及び浸出プロテインAを除去するため、モノクローナル抗体精製プロセスの洗練工程として使用することができる。
【0187】
例示的なヒドロキシアパタイト(HA)吸収体のI型及びII型は、セラミック及び結晶性材料から選択される。HA吸収体は、異なる粒径で利用可能である(例えば、1型、Bio−Rad Laboratories)。例示的な実施形態において、HA吸収体の粒径は、約10μm〜約200μm、約20μm〜約100μmまたは約30μm〜約50μmである。特定の例において、HA吸収体の粒径は、約40μmである(例えば、CHT、I型)。
【0188】
例示的なI型及びII型フルオロアパタイト(FA)吸収体は、セラミック(例えば、ビーズ様粒子)及び結晶性材料から選択される。セラミックFA吸収体は、異なる粒径で利用可能である(例えば、1型及び2型、Bio−Rad Laboratories)。例示的な実施形態において、セラミックFA吸収体の粒径は、約20μm〜約180μm、好ましくは約20μm〜約100μm、より好ましくは約20μm〜約80μmである。1つの例において、セラミックFA媒体体の粒径は、約40μmである(例えば、1型、セラミックFA)。別の例において、FA媒体には、FAに加えてHAが含まれる。
【0189】
ヒドロコキシアパタイトまたはフルオロアパタイトカラムへ試料の装填に使用される流速、ならびに溶出流速の選択は、ヒドロコキシアパタイトまたはフルオロアパタイト吸収体の種類及びカラムの形状に応じて決まる。1つの例示的な実施形態において、プロセスの規模において、装填流速は、約50〜約900cm/時間、約100〜約500cm/時間、好ましくは約150〜約300cm/時間、より好ましくは約200cm/時間から選択される。例示的な実施形態において、溶出緩衝液のpHは、約pH5〜約pH9、好ましくは約pH6〜約pH8、より好ましくは約pH6.5から選択される。
【0190】
1つの実施形態において、開示されている精製プロセスは、プロテインAクロマトグラフィーの後にCHT樹脂のヒドロキシアパタイト(HA)クロマトグラフィーを用いる。好ましくは、溶出は、pH6.5の5mMのリン酸ナトリウム緩衝液中の約0M〜1.5Mの塩化ナトリウムの直線勾配(0〜100%)として実施される。流出液のOD280をモニターすることができる。1つの実施形態において、溶出の際に、前隣接の0.1ODから最大ピークまでの単一画分を収集し、つぎに一連の画分、例えば、カラム体積の約三分の一を、最大ピークから後隣接の0.1ODまでから収集し、更なる純度分析のために収集した。別の好ましい実施形態において、溶出は、pH6.5の約5mM〜0.25Mのリン酸ナトリウム緩衝液の直線勾配(0〜100%)として実施される。流出液のOD280をモニターすることができる。溶出の際に、約1/2のCVの画分を、更なる純度分析のために前隣接の0.1ODから後隣接の0.1ODまで収集することができる。
【0191】
ポリクローナル抗体(例えば、血清試料)は、非特異的免疫グロブリンの同時精製を防止するため、抗原特異的親和性精製を必要とする。例えば、一般に、マウス血清において僅か2−5%の総IgGが、動物を免疫化するために使用される抗原に対して特異性がある。有用な抗体を得るために必要な精製の種類及び程度は、抗体の意図される用途に応じて決まる。しかし、細胞系を使用して開発されたモノクローナル抗体、例えば、ハイブリドーマまたは組み換え発現系及び腹水または細胞培養物上澄みとして産生されたモノクローナル抗体を、標的抗体が(大部分の実質的な目的において)産生試料中の唯一の免疫グロブリンであるので、抗原特異的親和性精製方法を使用することなく完全に精製することができる。
【0192】
不純物のモニタリング
バイオ医薬品製品中の不純物、並びに関連する中間体及び賦形剤のプロファイリングは、規制期待値である。例えば、米国食品医薬品局の原薬及び薬品における遺伝毒性及び発癌性不純物:推奨される手法(US Food and Drug Administration Genotoxic and Carcinogenic Impurities in Drug Substances and Products:Recommended Approaches)を参照すること。この指針は、これらの不純物及び曝露閾値の安全性をどのように評価するかについての推奨基準を提供する。欧州医薬品庁(EMEA)のヒト使用の医薬品(Medicinal Products for Human Use(CHMP)委員会も、遺伝毒性不純物の限界についての指針(Guideline on the Limits of Genotoxic Impurities)を公表し、これは、新たな薬品及び幾つかの場合には薬剤開発中の原薬にも欧州当局により適用されている。これらの指針は、産業の調和のための国際会議(ICH)指針(International Conference on Harmonization (ICH) guidances for industry):Q3A(R2)新たな原薬における不純物(Impurities in New Drug Substances)、Q3B(R2)新たな薬品における不純物(Impurities in New Drug Products)及びQ3C(R3)不純物:より一般的な手法で不純物に対処する残留溶媒(Impurities: Residual Solvents that address impurities in a more general approach)を強化する。
【0193】
幾つかの不純物は、薬品に関連する(すなわち、産物関連変異体である)が、他は、合成、プロセッシング及び製造の際に添加されたものである。これらの不純分は、幾つかの広範な部類に入り、産物関連変異体、上流で導入されたプロセス関連物質、プロセス全体にわたる残留不純物、下流で導入されたプロセス関連残留不純物及び使い捨て用品から導入された残留不純物である。
【0194】
本明細書で使用されるとき、「産物関連変異体」は、所望の産物に存在し、所望の産物に関連する、所望の産物(例えば、所望の多サブユニット複合体)以外の産物を意味する。例示的な産物関連変異体には、切り詰められた、もしくは延長されたペプチド、所望の糖鎖付加と異なる糖鎖付加を有する産物(例えば、非糖鎖付加(aglycosylated)産物が望ましい場合、任意の糖鎖付加産物が産物関連変異体と考慮される)、異常な化学量論を有する複合体、不正確な組み立て、異常なジスルフィド結合、異常もしくは不完全な折り畳み、凝集、プロテアーゼ切断または他の異常が含まれる。例示的な産物関連変異体は、分子質量(例えば、サイズ排除クロマトグラフィーにより検出される)、等電点(例えば、等電点電気泳動により検出される)、電気泳動移動度(例えば、ゲル電気泳動により検出される)、リン酸化状態(例えば、質量分析により検出される)、質量比の変化(例えば、質量分析により検出される)、タンパク質分解フラグメントの質量または実体(例えば、質量分析またはゲル電気泳動により検出される)、疎水性(例えば、HPLCにより検出される)、電荷(例えば、イオン交換クロマトグラフィーにより検出される)、親和性(例えば、抗体の場合では、所望の抗体が結合するプロテインA,プロテインG及び/またはエピトープへの結合により検出される)、並びに糖鎖付加状態(例えば、レクチン結合親和性により検出される)の1つ以上に変更を示すことがある。所望のタンパク質が抗体である場合、産物関連変異体という用語には、グリコ重変異体及び/または半抗体種(下記に記載される)が含まれうる。
【0195】
例示的な産物関連変異体には、異常ジスルフィド結合を含有する変異体形態が含まれる。例えば、大部分のIgG1抗体分子は、IgGドメインの折り畳みを重及び軽鎖の両方において安定化する合計で16個の鎖内及び鎖間ジスルフィド架橋により安定化されており、一方、鎖間ジスルフィド架橋は、重及び軽鎖の会合を安定化する。他の抗体の種類も同様に、鎖内及び鎖間ジスルフィド結合を安定化する特徴を含有する。更に、幾つかの抗体(本明細書に開示されているAb−Aを含む)は、非標準ジスルフィド結合と呼ばれる追加のジスルフィド結合を含有する。したがって、異常鎖間ジスルフィド結合は、追加のサブユニットへの安定化共有結合及び/またはジスルフィド結合の不在に起因して、異常な複合体化学量論をもたらすことがある。加えて、異常ジスルフィド結合(鎖間または鎖内のいずれか)は、抗体の構造安定性を低下することがあり、これは、活性の低下、安定性の低下、凝集体を形成する傾向の増加及び/または免疫原性の増加をもたらすことがある。異常ジスルフィド結合を含有する産物関連変異体は、非還元型変性SDS−PAGE、細管電気泳動、cIEX、質量分析(場合により、遊離システインに質量シフトを生じるために化学修飾を有する)、サイズ排除クロマトグラフィー、HPLC、光散乱の変化及び当該技術において既知の任意の他の方法を含む、多様な方法により検出することができる。例えば、The Protein Protocols Handbook 2002,Part V,581−583,DOI:10.1385/1−59259−169−8:581を参照すること。
【0196】
一般に、透析、脱塩及び透析濾過を使用して、抗体を特定の緩衝液に代え、望ましくない低分子量(MW)成分を除去することができる。特に、高分子量カットオフ(MWCO)を特徴とする透析膜、サイズ排除樹脂及び透析濾過装置を使用して、免疫グロブリン(>140kDa)を小さいタンパク質及びペプチドから分離することができる。例えば、Grodzki,A.C.and Berenstein,E.(2010).Antibody purification:ammonium sulfate fractionation or gel filtration.In:C.Oliver and M.C.Jamur(eds.),Immunocytochemical Methods and Protocols,Methods in Molecular Biology,Vol.588:15−26.Humana Pressを参照すること。
【0197】
サイズ排除クロマトグラフィーを使用して、抗体凝集体、モノマー及びフラグメントを検出することができる。加えて、質量分析と連結させたサイズ排除クロマトグラフィーを使用して、抗体、抗体抱合体、並びに抗体軽鎖及び重鎖の分子量を測定することができる。
【0198】
精製及び純度モニタリング方法に使用される例示的なサイズ排除樹脂には、Tosoh Biosciences(Montgomeryville,PA,USA)からのTSKgel G3000SW及びTSKgel G3000SWxl;Waters (Milford,MA,USA)からのShodex KW−804、Protein−Pak 300SW及びBioSuite 250;Thermo Scientific(Sunnyvale,California,USA)からのMAbPac(商標)SEC−1及びMAbPac TM SCX−10が含まれる。
【0199】
1つの実施形態において、サイズ排除クロマトグラフィーは、精製プロセスの際に不純物の分離をモニターするために使用される。例として、Tosoh Bioscience(King of Prussia,PA)のTSKgel Guard SW × 16×40mmを接続した平衡TSKgel GS3000SW 17.8×300mmカラムに、100mMのリン酸ナトリウム、200mMの塩化ナトリウムを含有したpH6.5のSE−HPLC緩衝液を移動相として0.5mL/分の流量で均一濃度モードにより使用して、試料を装填することができる。UV検出器具を備えたAgilent(Santa Clara,CA)1200 SeriesのHPLCを使用して、UV215nmでの吸光度をモニターすることができる。次に試料を収集し、所望の濃度、例えば1mg/mLに希釈することができる。次に、希釈された試料の画分、例えば30μLをSE−HPLCカラムに装填することができる。好ましくは、カラム性能は、ゲル濾過標準(例えば、BioRad)を使用してモニターされる。
【0200】
産物関連変異体には、糖鎖変異体が含まれる。本明細書で使用されるとき、「糖鎖変異体」は、時々抗体調製物に存在し、かつ少なくとも部分Fc配列を含有する糖鎖付加産物関連変異体を意味する。糖鎖変異体は、所望のタンパク質のポリペプチド側鎖に共有結合しているグルカンを含有する。糖鎖変異体は、所望のタンパク質産物と比較して、「グリコ重」または「グリコ軽」であり、すなわち、それぞれ、所望のタンパク質と比較して追加の糖鎖付加修飾を含有する、または所望のタンパク質よりも少ない糖鎖付加修飾を含有することがある。例示的な糖鎖付加修飾には、N−結合糖鎖付加、O−結合糖鎖付加、C−糖鎖付加及びリン酸糖鎖付加(phosphoglycosylation)が含まれるが、これらに限定されない。
【0201】
糖鎖付加は、SDS−PAGE(正常なポリペプチド鎖に対して)によって観察される電気泳動移動性の増加または減少、レクチン結合親和性、抗Fc抗体への結合及びサイズ排除クロマトグラフィーにより決定される、糖鎖変異体を含有する抗体複合体の見掛け高または低分子量によって特徴決定される。米国特許仮出願第61/525,307号、2011年8月31日出願(その全体が参照として本明細書に組み込まれる)を参照すること。
【0202】
本明細書で使用されるとき、「糖鎖付加不純物」は、所望の組み換えタンパク質と異なる糖鎖付加パターンを有する材料を意味する。糖鎖付加不純物は、所望の組み換えタンパク質と同じ、または異なる一次、二次、三次及び/または四次構造を含有することがある。したがって、糖鎖変異体は、糖鎖付加不純物の一種である。
【0203】
mAbの糖鎖付加をモニターする分析方法は、バイオプロセスの条件が、例えば高マンノース型、切り詰め形態、四本側鎖(tetra−antennary)構造の低減、三本及び二本側鎖(tri− and biantennary)構造の増加、シアル酸付加グルカンの減少、並びに糖鎖付加の減少を引き起こす可能性があるので重要である。試料中の糖鎖変異体の存在は、グルカン染色または標識化、質量分析によるグリコプロテオーム及びグリコーム分析、並びに/または糖タンパク質精製もしくは豊富化のような、当該技術において既知の分析手段を使用してモニターすることができる。1つの実施形態において、糖鎖変異体は、レクチン動力学動結合アッセイ、例えば、光干渉法(ForteBio Octet(登録商標)を使用して実施することができる)、二重偏光干渉法(Farfield AnaLight(登録商標)を使用して実施することができる)、静的光散乱法(Wyatt DynaPro NanoStar(商標)を使用して実施することができる)、動的光散乱法(Wyatt DynaPro NanoStar(商標)を使用して実施することができる)、多角度光散乱法(Wyatt Calypso IIを使用して実施することができる)、表面プラスモン共鳴(ProteOn XPR36もしくはBiacore T100を使用して実施することができる)、ELISA、電気化学発光ELISA、ファーウエスタン分析、化学発光(MesoScale Discoveryを使用して実施することができる)または他のレクチン動力学結合アッセイを使用して分析される。
【0204】
1つの実施形態では、グルカン染色または標識化を使用して、糖鎖変異体を検出する。例えば、グルカン糖基を過ヨウ素酸により化学的に再構築して、糖の近接ヒドロキシルを、これらが色素、例えば、過ヨウ素酸−Schiff(PAS)染色に反応性になるようにアルデヒドまたはケトンに酸化して、所定の試料中の糖タンパク質を検出及び定量化することができる。過ヨウ素酸を使用して、糖を架橋剤に対して反応性にすることができ、検出また精製のために標識化分子(例えば、ビオチン)または固定化支持体(例えば、ストレプトアビジン)と共有結合することができる。
【0205】
別の実施形態では、質量分析を使用して、試料中の糖鎖変異体を同定及び定量化する。例えば、酵素消化を使用して、免疫糖タンパク質(immunoglycoprotein)からオリゴ糖を放出することができ、次にオリゴ糖を蛍光修飾因子により誘導体化し、蛍光検出が連結された順相クロマトグラフィーにより分解し、質量分析(例えば、MALDI−TOF)により分析する。グリコプロテオーム分析の基本原理には、糖タンパク質または糖ペプチドの豊富化、液体クロマトグラフィー(LC)による多次元分離、タンデム質量分析及び生物情報学によるデータ分析が含まれる。
【0206】
分光分析は、実験に応じて、例えばエンドグリカナーゼH(エンドH)またはペプチド−N4−(N−アセチル−ベータ−グルコサミニル)アスパラギンアミダーゼ(PNGアーゼ)によるグリカンの酵素切断の前または後に実施することができる。加えて、グリコプロテオームの定量比較分析は、細胞培養物中のアミノ酸により標識化された安定した同位体アイソトープ(SILAC)試薬を用いる異なる標識化により実施することができる。更に、選択された反応モニタリング(SRM)による絶対定量化は、同位体標識「重」参照ペプチドを使用して、標的糖タンパク質において実施することができる。
【0207】
1つの実施形態において、レクチンを使用して、精製プロセスの際の所望の組み換えタンパク質の糖鎖変異体を検出及び分析する。レクチンは、別々の糖部分に高い特異性を有するグルカン結合タンパク質である。市販のレクチンの非限定リストを下記の表3に提示する。
表3.例示的な市販のレクチン
【表3-1】
【表3-2】
【表3-3】
【0208】
1つの実施形態において、発酵プロセスから、例えば実施の最中または実施が完了した後に得た試料は、レクチン結合アッセイに付されて、試料中の糖化不純物の量及び/または種類が検出される。同様に、他の実施形態において、精製プロセスには、所望の組み換えタンパク質が精製される試料中の、糖化不純物の量及び/または種類を検出することが含まれる。例えば、特定の実施形態において、精製工程の少なくとも1つからの溶出液またはその画分の一部を、レクチンと接触させる。
【0209】
レクチン結合のレベルは、溶出液の1つ以上の画分が糖鎖変異体不純物の含有量に基づいて更なる精製及びプロセッシングのために選択されうるように、例えば10%未満の糖鎖変異体を有する溶出液の画分を更なるクロマトグラフィー精製のために選択できるように、溶出液またはその画分の存在する(従来のサイズ排除クロマトグラフィー法に基づいた)産物関連糖鎖変異体不純物のレベルと多くの場合に相関する。幾つかの実施形態において、複数のレクチン(すなわち、2つ以上のレクチン)を使用して、産物関連糖鎖変異体不純物の純度をモニターすることができる。
【0210】
代替的な実施形態において、特定の試料または溶出液もしくはその画分は、検出された糖化不純物の量及び/または種類に応じて廃棄される。なお別の実施形態において、特定の試料またはその画分は、検出された糖化不純物の量及び/または種類に応じて、糖化不純物を低減及び/または除去するように処理される。例示的な処理には、以下の1つ以上が含まれる。(i)糖鎖付加を除去する酵素または他の化学部分を添加すること、(ii)1つ以上のレクチン結合工程を実施して、糖化不純物を除去すること、(iii)サイズ排除クロマトグラフィーを実施して、糖化不純物を除去すること。
【0211】
特定の実施形態において、レクチンは、プローブと抱合され、次に支持体に固定化される。図2を参照すること。支持体は、バッチでありうる、またはカラム、例えばHPLCに詰められうる。例示的なプローブには、ビオチン、アルカリホスファターゼ(AP)、ホースラデッシュペルオキシダーゼ(HRP)、ルシフェラーゼ、フルオレセイン(フルオレセインイソチオシアネート、FITC)、ロダミン(テトラメチルロダミンイソチオシアネート、TRITC)、緑色蛍光タンパク質(GFP)及びフィコビリンタンパク質(例えば、アロフィコシアニン、フィコシアニン、フィコエリトリン及びフィコエリトロシアニン)が含まれる。例示的な支持体には、アビジン、ストレプトアビジン、NeutrAvidin(脱グリコシル化アビジン)及び磁気ビーズが含まれる。本発明は、カップリング化学に限定されないことに留意するべきである。好ましくは、レクチンはビオチン化され、ストレプトアビジンセンサーに固定化される。
【0212】
標準的なタンパク質間相互作用モニタリングプロセスを使用して、精製プロセスの多様な工程からの試料におけるレクチンと糖鎖付加不純物との相互作用を分析することができる。例示的なタンパク質間相互作用モニタリングプロセスには光干渉法(ForteBio Octet(登録商標)を使用して実施することができる)、二重偏光干渉法(Farfield AnaLight(登録商標)を使用して実施することができる)、静的光散乱法(Wyatt DynaPro NanoStar(商標)を使用して実施することができる)、動的光散乱法(Wyatt DynaPro NanoStar(商標)を使用して実施することができる)、多角度光散乱法(Wyatt Calypso IIを使用して実施することができる)、表面プラスモン共鳴(ProteOn XPR36もしくはBiacore T100を使用して実施することができる)、ELISA、電気化学発光ELISA、ファーウエスタン分析、化学発光(MesoScale Discoveryを使用して実施することができる)または他のレクチン動力学結合アッセイが含まれるが、これらに限定されない。
【0213】
光干渉法は、2つの表面(バイオセンサーチップ上に固定化されたタンパク質の層及び内部基準層)から反射された白色光の干渉パターンを分析して、干渉パターンのシフト(すなわち、バイオセンサーチップに結合した分子の数の変化により引き起こされたもの)に基づいたリアルタイムの生体分子相互作用を測定し、それによって結合特異性、会合及び解離の率または濃度についての情報を提供する光学分析技術である。
【0214】
二重偏光干渉法は、交互直交偏光レーザービームを発光する、上側感知導波路と下側感知導波路を有する二重スラブ導波路センサーチップに基づいている。2つの異なる導波モードが作り出されており、とりわけ、横磁場(TM)モード及び横電場(TE)モードである。両方のモードは、上側感知導波路表面にエバネッセント場を生成し、この表面に接触する材料を精査する。材料がセンサー表面と相互作用すると、干渉縞に相変化をもたらす。次に、各モードの干渉縞パターンは、RI及び厚さ値に数学的に分解される。したがって、センサーは、センサー表面の極めて微妙な分子変化を測定することができる。
【0215】
静的光散乱法(SLS)は、非侵襲的技術であり、これによって、溶液中のタンパク質試料の絶対分子質量を、低強度レーザー光(690nm)への曝露により5%超の精度で実験的に決定することができる。散乱光の強度は、角度の関数として測定され、分析して、モル質量、二乗平均平方根半径及び第2ビリアル係数(A)を生じることができる。SLS実験の結果を、溶液オリゴマー状態(モノマー/二量体など)の決定に加えて、タンパク質調製物の(例えば、構造研究のための)品質管理に使用することができる。SLS実験は、バッチまたはクロマトグラフィーモードのいずれかによって実施することができる。
【0216】
動的光散乱法(準弾性光散乱法、QELSまたは光子相関分光法、PCSとしても知られている)は、(静的光散乱法により測定された時間平均強度と比較して)リアルタイム強度に基づいた分子及びミクロン未満粒子の流体力学的サイズを測定する技術である。媒体中の粒子からの散乱光のゆらぎ(典型的にはμからmの時間尺度の一時的な変動)が、相互遅延時間領域において記録及び分析される。粒子は、懸濁液中の固体粒子(例えば、金属酸化物、鉱物細片及びラテックス粒子)もしくは軟質粒子(たとえば、ベシクル及びミセル)、または溶液中の巨大分子鎖(例えば、合成ポリマーまたは生体材料)でありうる。粒子の拡散速度は、所定の環境内のこれらのサイズによって決定されるので、サイズに関する情報は、散乱光のゆらぎの速度に含まれる。
【0217】
小分子の散乱強度は、分子量の二乗と正比例する。このように、動的及び静的光散乱技術は、条件における微妙な変化によって生じるタンパク質凝集及びタンパク質構造における他の変化の開始に非常に感受性がある。
【0218】
多角度光散乱法(CG−MALS)は、タンパク質の可逆的自己及び異種会合、非可逆的凝集の反応速度及び親和性またはビリアル係数のような巨大分子相互作用を特徴決定するため、異なる組成または濃度の一連の未分画試料を用いる。そのような測定は、特異的な可逆的複合体結合(例えば、K、化学量論、自己及び/または異種会合)、非特異的相互作用(例えば、自己及び横断的ビリアル係数)、凝集及び他の時間依存性反応(例えば、流れ停止動力学及びt)、並びにジムプトット(例えば、M、A、A(第2及び第3ビリアル係数)またはrを決定する濃度勾配)についての情報を提供する。
【0219】
表面プラスモン共鳴(SPR)現象は、偏光が、内部全反射の条件下で、異なる屈折率の媒体(すなわち、センサー表面のガラス(高屈折率)と緩衝材(低屈折率))の間の電導性(例えば、金)層に衝突するときに起こる。入射角を包含する偏光のウエッジは、センサー表面のガラス面に向けられている。光がガラスに衝突したときに生じる電子電場強度(すなわち、エバネッセント波)は、金層の自由電子雲と相互作用し、それらに吸収され、プラズモンと呼ばれる電子電荷密度を生成し、反射光の強度に低下をもたらす。この強度最小化が起こる共鳴角は、センサー表面の反対面のある金層に近接する溶液の屈折率の関数である。反射光は、モニタリング装置、例えばProteOn XPR36またはBiacore系内で検出される。動力学(すなわち、複合体形成(k)及び解離(k))、親和性(例えばK)及び濃度情報は、プラズモン読み取りに基づいて決定することができる。
【0220】
これら及び他のタンパク質間相互作用モニタリングプロセスにより得られる情報を、例えば、酵素/阻害剤または抗体/抗原相互作用または糖タンパク質/レクチン相互作用の結合親和性及び化学量論を定量化するため;タンパク質間相互作用に対する小分子の影響を研究するため;緩衝液パラメーターを調整して配合物の安定及び粘度を改善するため;抗体精製を最適化する及び配合物への大型賦形剤の効果を理解するため;重合またはタンパク質会合への溶媒イオン強度、pHまたは賦形剤の影響を定量化するため;自己組み立て及び凝集の動力学を測定するため、並びに広範囲の緩衝液組成、時間及び温度規模にわたる巨大分子結合親和性及び関連する複合体化学量論を特徴決定するために使用することができる。
【0221】
好ましい実施形態において、レクチン結合のレベル(糖鎖変異体不純物の量と相関する)は、光散乱法、例えばOctet分析機器(ForteBIO)を使用して決定される。
【0222】
上流に導入された例示的なプロセス関連不純物には、細胞溶解の後に目的のタンパク質と共に見出される不要な細胞成分である、核酸(例えば、DNA及びRNA)、並びに宿主細胞タンパク質(HCP)が含まれる。これらのプロセス関連不純物も、宿主生物体において細菌感染を制御し、選択的圧力を維持するために、細胞培養培地の上流に添加された抗生物質も含まれる。例示的な抗生物質には、カナマイシン、アンピシリン、ペニシリン、アンホテリシンB、テトラサイクリン、硫酸ゲンタマイシン、ハイグロマイシンB及びプラスモシン(plasmocin)が含まれる。
【0223】
プロセスの全体にわたって被る例示的な残留不純物には、プロセス増強剤または触媒が含まれ、これらはプロセスの全体を通して添加されて、幾つかの工程をより効率的にし、産物の収率を増加する。例えば、グアニジン及び尿素は、発酵産出物の可溶化のために添加され、グルタチオン及びジチオトレイトール(DTT)は、タンパク質の還元及び再折りたたみの際に使用される。
【0224】
下流に導入される例示的なプロセス関連不純物には、プロセスから取り除かれなければならない、標的タンパク質のクロマトグラフィー精製に必要な化学薬品及び試薬(例えば、アルコール及びグリコール)、並びに液−液界面に吸着して界面張力を低下することによりプロセス流からのタンパク質、ペプチド及び核酸の分離を助けるために、下流プロセッシングの際に添加される界面活性剤(例えば、Triton−X、Pluronic、Antifoam−A、B、C、TweenまたはPolysorbate)が含まれる。
【0225】
使い捨て用品から導入される例示的な残留不純物には、過大な条件下(例えば、過酷な溶媒または高温)で化合物から抽出され、かつ薬品を汚染する潜在性を有しうる化合物である「抽出物」、並びに通常の精製条件下または時には加速された条件下で配合物と直接接触することにより成分から薬品配合物に浸出する化合物である「浸出物」が含まれる。浸出物は、抽出物のサブセットでありうる。抽出物は、使用される成分が適切である程度に制御されなければならない。浸出物は、薬品が不良にならないように制御されなければならない。
【0226】
上記に記載された発明を更に明瞭に表現するため、本発明者たちは、以下の非限定実施例を提示する。
【実施例】
【0227】
以下の実施例は、主題の発明をどのように作製し、使用するかについて完全な開示及び記載を、当業者に提供するために記載されており、何が本発明と考慮されるかの範囲を限定することを意図しない。使用される数値(例えば、量、温度、濃度など)に関する正確さを確実にするために努力がなされているが、幾らかの実験誤差及び偏差は許容されるべきである。特に示されない限り、部は重量部であり、分子量は平均分子量であり、温度は摂氏であり、圧力は大気圧または近大気圧である。
【0228】
実施例1:Ab−Aの精製及び回収
【0229】
この実施例は、P.パストリス(pastoris)に生成された組み換え抗体の純度が一連の一次回収及びクロマトグラフィー精製プロセスにより改善されたことを例示する。精製方法の概要を図1に示す。これらの方法を使用して、異なる系に発現された多様な抗原特異的抗体を精製及び回収することができる。
【0230】
分泌シグナルに結合されたAb−A重及び軽鎖(US20120294797(その全体が参照として組み込まれる)に列挙されている配列番号54及び配列番号52に対応する)をコード化する安定して組み込まれた配列を含有するP.パストリス(pastoris)を培養し、抗体発現を誘発した。
【0231】
発酵ブロス全体を、3mMの最終濃度にするエチレンジアミン四酢酸(EDTA)及び凝結剤により処理した。細胞及び凝結細片を、遠心分離により、続く深層及び0.2μmフィルターを介した清澄化により、採取ブロスから除去した。
【0232】
次に清澄化されたブロスを、MabSelect SuRe(GE Healthcare Life Sciences)樹脂のカラムに適用して、プロテインAアフィニティークロマトグラフィーによりAb−Aを捕獲した。クロマトグラフィーは、周囲温度で実施した。25cmの床高さのカラムを0.1Mの水酸化ナトリウムで消毒し、次に20mMのリン酸ナトリウム、150mMの塩化ナトリウム、pH6.0の緩衝液(「PrA平衡緩衝液」)により、装填前に平衡にした。カラムに、Ab−AをL樹脂あたり45g以下の容量で250cm/時間の線速度により装填し、次に同じ線速度で全体を通して稼働させた。装填物を適用した後、カラムを、平衡緩衝液による5カラム耐性(CV)ですすぎ、次に、20mMリン酸ナトリウム、10mMのEDTA、1Mの塩化ナトリウム、pH6.0により5CVで洗浄して、緩く結合している材料を除去した。カラムを別の5CV平衡緩衝液ですすいで、洗浄成分を除去し、次に結合Ab−Aを1Mのアルギニン、pH4.0(「PrA溶出緩衝液」)により脱着させた。 溶出工程を、3CVで0〜100%溶出緩衝液の直線勾配、続いて別の3CVで100%溶出緩衝液により実施した。流出液のOD280をモニターし、溶出液を前隣接の1ODから後隣接の1ODまで収集した。溶出液を、0.15CVの1M Tris、pH8.0(「PrA中和緩衝液」)を前装填した容器に収集した。収集した後、容器の内容物を、必要に応じて5%塩酸又は1Mの水酸化ナトリウムのいずれかを使用してpH6.5に最終調整する前に、混合し、pH値を決定した。中和された溶出液を0.2μmで濾過し、次にヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー工程に進めた。産物溶出の後、捕獲カラムを、20%エタノールに保存する前に、20mM酢酸ナトリウム、pH3.6により3CVでストリップし、0.2Mの水酸化ナトリウムにより3CVで清浄し、平衡緩衝液により3CVですすいだ。
【0233】
Ab−Aの中間体精製は、セラミックヒドロキシアパタイト(CHT、I型、40μm)樹脂の混合モードクロマトグラフィーを使用した。この工程は、全体を通して、周囲温度及び200cm/時間以下の線速度で実施した。それぞれ稼働させる前に、カラムを、1Mの水酸化ナトリウムの3CVを使用して消毒し、500mMのリン酸ナトリウム、pH6.5(「ストリップ緩衝液」)の3CVでストリップし、少なくとも3CVの5mMリン酸ナトリウム、pH6.5(「CHT平衡緩衝液」)で平衡にした。CHT装填物を、濾過し、中和した捕獲溶出液をCHT平衡緩衝液で希釈して、4mS/cm以下の伝導率にすることによって調製した。次に、CHT装填物を、カラムの先頭に配置された0.2μmフィルターを通過させた後に、平衡カラムに適用した。装填した後、カラムを5CVのCHT平衡緩衝液で洗浄し、次に0〜100%の5mMリン酸ナトリウム、1.5M塩化ナトリウム、pH6.5(「CHT溶出緩衝液」)の20CVの直線勾配により溶出した。流出液のOD280をモニターし、前隣接の0.1ODから最大ピークまでの単一画分を収集した。したがって、約1/3のCVの一連の画分を、最大ピークから後隣接の0.1ODまで収集した。画分を純度について分析し(図3を参照すること)、隣接画分のセット(最初の大型画分を含む)を合わせて、所望の純度及び低減された糖鎖変異体含有量のCHTプールを得た(図4及び図5を参照すること)。溶出した後、CHTカラムを3CVの500mMリン酸ナトリウム、pH6.5(「CHTストリップ緩衝液」)でストリップし、その場で5CVの1M水酸化ナトリウムで清浄し、3CVの0.1M水酸化ナトリウム貯蔵溶液ですすいだ。
【0234】
Ab−Aの洗練精製は、ポリプロピレングリコール(PPG−)600M樹脂の疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)を使用した。この工程は、全体を通して、周囲温度及び200cm/時間以下の線速度で実施した。それぞれ稼働させる前に、カラムを、0.5Mの水酸化ナトリウムの3CVを使用して消毒し、3CVの水でストリップし、少なくとも3CVの20mMリン酸ナトリウム、0.7M硫酸ナトリウム、pH7.0(「HIC平衡緩衝液」)で平衡にした。HIC装填物を、20mMのリン酸ナトリウム、1.1Mの硫酸ナトリウム、pH7.0(「HIC希釈緩衝液」)の使用により0.2μm濾過CHTプールを少なくとも77.5mS/cmの伝導率になるように調整することにより調製した。次に、HIC装填物を、カラムの先頭に配置された0.2μmフィルターを通過させた後に、平衡カラムに適用した。装填した後、カラムを5CVのHIC平衡緩衝液で洗浄し、次に0〜100%の20mMリン酸ナトリウム、pH7.0(「HIC溶出緩衝液」)の20CVの直線勾配により溶出した。流出液のOD280をモニターし、約1/3のCVの一連の画分を、前隣接の0.1ODから後隣接の0.1ODまで収集した。画分を純度について分析し(図6を参照すること)、隣接画分のセットを合わせて、所望の純度及び低減された糖鎖変異体含有量のHICプールを形成した。溶出した後、HICカラムを3CVの水でストリップし、その場で6CVの0.5M水酸化ナトリウムで清浄し(最初の3及び最後の3CVの間に60〜120分の間隔を置いた)、3CVの水ですすぎ、0.1Mの水酸化ナトリウム貯蔵溶液に移した。
【0235】
HICプール中のAb−Aを、30kDaの分子量のカットオフ膜を備えた接線流濾過(TFF)系による限外濾過及び透析濾過(UFDF)により配合した。系を水ですすぎ、膜完全性について試験し、消毒し、0.2μ濾過HICプールを装填する準備のため、配合緩衝液で平衡にした。装填した後、溶液を、限外濾過により濃縮し、次に、配合緩衝液の6〜8交代体積に対する透析濾過により、配合緩衝液に代えた。タンパク質溶液を2回目の限外濾過により更に濃縮し、次に保持液(retentate)をTFF系から排出させた。系を配合緩衝液でフラッシュして、残留タンパク質を回収した。保持液及びフラッシュのタンパク質濃度を決定し、次にそれぞれの適切な部分を混合し、配合緩衝液で更に調整して、所望の最終Ab−A濃度を達成した。TFF産物を0.2μmで濾過して、生物学的安全キャビネット中の滅菌瓶に入れ、≦−20℃で保存した。
【0236】
Ab−A調製物中の産物変異体を、タンパク質ゲルにより可視化した(図7を参照すること)。レーン1及び12は、対照レーン(1X試料緩衝液)であり、レーン2、6及び11は、分子量マーカーであり、レーン3〜5は、プロテインAアフィニティーカラムに装填された全試料であり、レーン7は、プロテインAアフィニティークロマトグラフィー後のAb−A抗体調製物であり、レーン8は、CHTクロマトグラフィー後のAb−A抗体調製物であり、レーン9は、HICクロマトグラフィー後のAb−A抗体調製物であり、レーン10は、バルク濾過(BDS)後のAb−A抗体調製物である。試料が変性及び還元状態(それぞれ、図7、パネルA及びパネルB)に付されたので、この方法は、個別の抗体鎖の構成に影響を与える異常を検出することができるが、他の種類の異常(例えば、不正確な化学量論、凝集、不正確なジスルフィド結合または他の組み立ての誤り)を検出することは予想されない。抗体を、上記に記載されたプロテインAアフィニティークロマトグラフィー、CHTヒドロキシアパタイト混合モードクロマトグラフィー及びPPG−600M疎水性相互作用クロマトグラフィーにより精製し、精製スキームの異なる工程の試料を、SDS−PAGEにより分解し、クマシーブルーにより染色した。主なバンドは、非還元型ゲルの無傷の抗体の予測された分子量に、並びに還元型ゲルの重及び軽鎖に対応した。幾つかの種の産物関連変異体は、それぞれの試料において容易に観察することができ、最も顕著なものは低移動度変異体であった(図7、矢印が「低移動度産物関連変異体」を示している)。低移動度産物関連変異体は、重鎖と比べて電気泳動移動度が減少していた。この産物関連変異体の量は、プロテインAアフィニティークロマトグラフィー、CHTヒドロキシアパタイト混合モードクロマトグラフィー及びPPG−600M疎水性相互作用クロマトグラフィーを使用した精製の後、抗体調製物において視覚的に低減された(図7を参照し、レーン3〜5をレーン7〜10と比較すること)。
【0237】
抗体純度も、サイズ排除クロマトグラフィーを使用してモニターした。UV検出器具を有するAgilent(Santa Clara,CA)1200 Series HPLCを使用する(SE−HPLC)。試料の分離には、Tosoh Bioscience(King of Prussia,PA)のTSKgel Guard SWx1 6×40mmに接続したTSKgel GS3000SWx1 7.8×300mmカラムを使用した。100mMのリン酸ナトリウム、200mMの塩化ナトリウム、pH6.5を、均一濃度モードにより0.5mL/分の流量で移動相として使用し、UV215nmで吸光度をモニターした。試料を注入する前、カラムを、安定したベースラインが達成されるまで平衡にした。試料を、移動相の使用により1mg/mLの濃度に希釈し、30μLの体積を注入した。カラム性能をモニターするため、BioRad(Hercules,CA)ゲル濾過標準を使用した。
【0238】
精製の結果を表4に表す。特に、Ab−A産物、並びに低分子量(LMW)凝集体及び糖鎖変異体(GV)不純物を、プロテインAアフィニティークロマトグラフィー、CHTヒドロキシアパタイト混合モードクロマトグラフィー、PPG−600M疎水性相互作用クロマトグラフィー、並びにUF/DF 30kDaフィルター配合及び充填の後にモニターした。精製プロセスのあらゆる段階において、モニターされたそれぞれの不純物のレベル(%)の低下が進み、少なくとも98%の純度のAb−A産物をもたらした。
表4.精製方法全体を通したAb−A純度の定量的評価。プロテインAアフィニティークロマトグラフィー、CHTヒドロキシアパタイト混合モードクロマトグラフィー、PPG−600M疎水性相互作用クロマトグラフィー、並びにUF/DFフィルター配合及び充填後の、凝集体、変異体、Ab−A及び低移動度産物関連変異体の百分率を、Ab−Aの3つの異なる精製調製物について示す。
【表4】
【0239】
追加のプロセス関連不純物モニタリングを、レクチン結合モニタリング工程を含む精製方法の結果として、宿主細胞タンパク質、残留プロテインA、dsDNA及びグリカン(例えば、β−D−グルカン)の定量的クリアランスに対して実施した。表5を参照すること。全体として、精製スキームは、精製された抗体試料において不純物のレベルの低減をもたらした。
表5.精製方法により提供されるプロセス関連不純物クリアランスの定量的評価。プロテインAアフィニティークロマトグラフィー、CHTヒドロキシアパタイト混合モードクロマトグラフィー及びPPG−600M疎水性相互作用クロマトグラフィーの後のP.パストリス(pastoris)宿主細胞タンパク質(HCP)、S.セレビシエ(cerevisiae)宿主細胞タンパク質(HCP)、残留プロテインA、dsDNA及びβ−D−グルカンの濃度(抗体と比べた)を、Ab−Aの例示的な精製調製物について示す。
【表5】
【0240】
このように、不純物のクロマトグラフィー及びレクチンモニタリングを含む精製方法は、改善された抗体純度を実証した。特に、最終産物は、プロテインAアフィニティークロマトグラフィー、CHTヒドロキシアパタイト混合モードクロマトグラフィー及びPPG−600M疎水性相互作用クロマトグラフィーの後では、98%を超える純度を有した。
【0241】
実施例2:糖タンパク質の定量化
【0242】
この実施例は、タンパク質試料中の糖タンパク質の迅速で正確な定量化を推進する結合アッセイを記載する。これらの方法を使用して、タンパク質発現及びタンパク質精製系の性能をモニター及び評価することができる。これらの方法により達成される速度及び再現性は、ほぼリアルタイムで発生するもののモニタリングを可能にする。タンパク質精製の際に、これらの方法を、収集し、場合によりプールするべき画分を同定すること、精製性能をモニターすること及び所望の純度レベルが達成されたか、あるいは追加または改変された精製工程が、所望の純度レベルを達成するために実施されるべきかを決定することを含む複数の方法に使用することができる。同様に、遺伝子発現系の性能をモニターするために使用されるとき、これらの方法は、所望(例えば、低い)糖タンパク質レベルを達成するため、発現系パラメーターのフィードバック制御を可能にする。
【0243】
ビオチン化ガランツス・ニヴァリス(Galanthus nivalis)アグルチニンを有するStrapavidin Biosenserを使用して、標準と比べた、溶液中の糖鎖変異体の濃度を決定した。特に、ビオチン化ガランツス・ニヴァリス(Galanthus nivalis)レクチン(GNL[GNAとも呼ばれる]、Cat B−1245,Vector Labs,Burlingame,CA)により機能化されたStraptavidin Biosenser(ForteBio)を有するOctet干渉計(ForteBio,Menlo Park,CA)を使用して、標準と比べた、溶液中の生体分子の活性レベルを決定した。簡潔には、センサーを、1×動力学的緩衝液(Fortebio,Part No:18−5032の10×動力学的緩衝液のダルベッコーリン酸緩衝食塩水による1:10の希釈)により前湿潤し、次にビオチン化GNLレクチンの希釈液に浸漬し、振とうプラットフォームに所定の時間にわたって配置することによって、機能化した。
【0244】
測定の標準、未知試料及び対照を、1X動力学的緩衝液で希釈し、ブラックマイクロタイタイープレートに並べ、必要に応じて繰り返した。試料希釈液を有するプレートを、GNL機能化センサー及び標準的な定量化アッセイ法(例えば、プロテインAセンサー)を製造会社(ForteBio)に記載されたように使用するOctetにより読み取った。
【0245】
データ分析をForteBio Analysisソフトウエアモジュールにより実施した。既知試料の標準曲線の直線性及び再現性を評価した。ウエルの活性レベルを試料濃度/希釈係数に適切に調整して、相対単位(RU)と呼ばれる質量正規化特異的活性レベルを決定した。
【0246】
試料の保存及び取り扱い:試料及び標準を、現存する安定性データに応じた4℃または−20℃で保存した。アッセイを準備する間、試料を氷上に保持した。動力学的緩衝液(Forte Bioカタログ番号18−5032,10×及び1×、PBS+0.1%BSA、0.02%Tween20及び0.05%アジ化ナトリウムを含有)を4℃で保存した。GNLは4℃で保存される。
【0247】
センサーの機能化:Strepavidinセンサー(Forte Bioカタログ番号18−5019、ストレプアビジンで被覆された96個のバイオセンサーのトレイ)を1×動力学的緩衝液に少なくとも5分間浸けた。ビオチン化GNLを1/1000で1×動力学的緩衝液に希釈して、下記の工程により計算される体積を得た。1×動力学的緩衝液は、10×動力学的緩衝液及びHyclone DPBS+Ca+Mgから調製した。120ulの動力学的緩衝液を、ハーフエリアブラックプレート、例えば96−Well Black Half Area Plates Medium & High Binding(Greiner Bio−One Cat 675076又はVWR Cat 82050−044)に必要とされるそれぞれのセンサーのためにウエル毎にアリコートした。センサーをビオチン化GNLによりプレートに移し、プレートを振とうしながら少なくとも30分間インキュベートした。
【0248】
センサー及び試料の準備:センサーは、先端への損傷(例えば、削れ)がアッセイの結果に影響を与えうるので、センサーの先端に特に注意を払って、多チャンネルピペッターにより取り扱った。培地結合ブラックプレートを、センサートレイを有するセンサーに使用した。別個のブラックプレートを試料及び標準に使用した。150μlを、未知試料、対照及び標準のウエル毎に加えた。培地ブランクまたは既知の糖鎖変異体濃度を含有する溶液が、場合により対照試料として含まれうる。新たなセンサーを、アッセイのそれぞれの標準ウエルに使用した。それぞれのセンサーを、使用前に1×動力学的緩衝液ですすいだ。二重3倍希釈系列の8ポイントが、標準曲線にとって十分であった。希釈は、1×動力学的緩衝液を使用して行った。1×動力学的緩衝液を、ブランク試料としても使用した。
【0249】
Octet条件は以下であった。定量化時間250秒、振とう速度1000rpm。プレートは、試料ウエル及びセンサーを指定することによって確定した。特に、試料ウエルは、試料に対応するウエルを選択し、識別、例えば「未知試料」を付けて希釈係数を入力する、または「標準」を付けて既知の濃度を入力することによって指定した。センサーは、このアッセイでは再使用しなかった。プログラムは、場合により、試料をプロセシングする前に遅れ及び/または振とうを含んだ(例えば、プレートは、200RPMで300秒間振とうしている間、30℃に平衡された)。
【0250】
異なるレクチンのDC−SIGN(R&D Systems cat #161−DC−050)を、LC−LCビオチン(Pierce cat #21338)によりビオチン化し、上記に記載されたものと類似したアッセイに用いられたストレプトアビジンセンサーを機能化するために使用した。
【0251】
上記に記載されたOctetレクチン結合アッセイを使用して、ヒドロキシアパタイト混合モードクロマトグラフィーの後及び疎水性相互作用クロマトグラフィーの後に収集された溶出液の画分に存在する糖鎖付加タンパク質の量を定量化した。特に、GNA及びDC−SIGNに結合するOctet活性(RU)値を、CHTヒドロキシアパタイト混合モードクロマトグラフィーの後に収集された溶出液の21個の画分のそれぞれ及びPPG−600M疎水性相互作用クロマトグラフィーの後に収集された溶出液の25個の画分のそれぞれについて決定した。図5、パネルA及び図6、パネルAをそれぞれ参照すること。分析したそれぞれの画分について、Octet活性(RU)値を同じ画分中のAb−Aの濃度に対してプロットした。CHT画分では、GNA Octet値とDC−SIGN Octet値の両方は、関連する糖鎖変異体濃度と十分に相関した。図4を参照すること。
【0252】
カラム溶出液の画分を、ベースラインプール基準または実施例1において考察された厳密なプーリング基準にいずれかを使用するOctetアッセイを使用して決定された、試料に含有された糖鎖変異体不純物のレベルに基づいて、更なるプロセッシングのために選択した。特に、厳密なプーリング基準に従って、CHTヒドロキシアパタイト混合モードカラムの画分1から画分10を更なるプロセッシングのために選択し、画分1から画分13を、ベースラインプーリング基準に従って更なるプロセッシングのために選択した。厳密なプール画分は、GNA−Octetアッセイにより決定すると、ベースラインプール画分の2.3RUと比較して、1.9RUを有した。Octetアッセイにより測定した糖鎖変異体不純物含有量は、厳密基準プールと比較して、ベースライン基準プール中の増加したモノマンノース、マンノビオース及びマンノトリオースのレベルと相関した(すなわち、ベースラインプールにおける1.60molのモノマンノース/mol Ab−Aと比較した厳密プールにおける1.55molのモノマンノース/mol Ab−A及びベースラインプールにおける0.28molのマンノトリオース/mol Ab−Aと比較した厳密プールにおける0.22molのマンノトリオース/mol Ab−A)。図5、パネルBを参照すること。
【0253】
同様に、厳密なプーリング基準に従って、PPG−600M疎水性相互作用カラムの画分8から画分23を更なるプロセッシングのために選択し、画分4から画分23を、ベースラインプーリング基準に従って更なるプロセッシングのために選択した。厳密なプール画分は、GNA−Octetアッセイにより決定すると、ベースラインプール画分の1.4RUと比較して、1.1RUを有した。Octetアッセイにより測定した糖鎖変異体不純物含有は、厳密基準プールと比較し、ベースライン基準プール中の増加したモノマンノース、マンノビオース及びマンノトリオースのレベルと相関した(すなわち、ベースラインプールにおける1.48molのモノマンノース/mol Ab−Aと比較した厳密プールにおける1.57molのモノマンノース/mol Ab−A、ベースラインプールにおける0.14molのマンノビオース/mol Ab−Aと比較した厳密プールにおける0.52molのマンノビオース/mol Ab−A及びベースラインプールにおける0.07molのマンノトリオース/mol Ab−Aと比較した厳密プールにおける0.32molのマンノトリオース/mol Ab−A)。図6、パネルBを参照すること。
【0254】
このように、定量的レクチン結合アッセイは、クロマトグラフィー精製方法と組み合わせて使用したとき、抗体産物の純度を改善する。レクチン結合活性のレベルに基づいて、異なるクロマトグラフィー工程の後の溶出液の特定の画分を、更なるプロセッシングのために選択して、所望の抗体産物の収率を増加し、不要不純物の存在を最小限にすることができる。
【0255】
実施例3:Ab−Bの精製及び回収
【0256】
この実施例は、P.パストリス(pastoris)に生成された組み換え抗体の純度が一連の一次回収及びクロマトグラフィー精製プロセスにより改善されたことを例示する。精製方法の概要を図1に示す。これらの方法を使用して、異なる系に発現された多様な抗原特異的抗体を精製及び回収することができる。
【0257】
Ab−B重及び軽鎖(US20120294797(その全体が参照として組み込まれる)に列挙されている配列番号681及び配列番号701に対応する)をコード化する安定して組み込まれた配列を含有するP.パストリス(pastoris)を培養し、抗体発現を誘発した。
【0258】
ブロス全体を、3mMの最終濃度にするエチレンジアミン四酢酸(EDTA)及び凝結剤により処理した。細胞及び凝結細片を、遠心分離により、続く深層及び0.2μmフィルターを介した清澄化により、採取ブロスから除去した。
【0259】
清澄化されたブロスを、MabSelect SuRe樹脂のカラムに適用して、プロテインAアフィニティークロマトグラフィーによりAb−Bを捕獲した。クロマトグラフィーは、周囲温度で実施した。23cmの床高さのカラムを0.1Mの水酸化ナトリウムで消毒し、次に20mMのリン酸ナトリウム、150mMの塩化ナトリウム、pH6.0の緩衝液(「PrA平衡緩衝液」)により、装填前に平衡にした。カラムに、Ab−BをL樹脂あたり25g以下の標的容量で250cm/時間の線速度により装填し、次に同じ線速度で全体を通して稼働させた。装填物の適用に続いて、カラムを≧3カラム体積(CV)で捕獲平衡緩衝液によりすすいで、緩く結合した材料を除去した。次に、結合したAb−Bを≧3CVの1Mアルギニン、pH4.0溶出緩衝液(「PrA溶出緩衝液」)により脱着した。流出液のOD280をモニターし、溶出液を前隣接の1ODから後隣接の1ODまで収集した。溶出液を、0.15CVの1M Tris、pH8.0中和緩衝液(「PrA中和緩衝液」)を前装填した容器に収集した。収集した後、容器の内容物を、必要に応じて5%塩酸又は1Mの水酸化ナトリウムのいずれかを使用してpH6.5に最終調整する前に、混合し、pH値を決定した。中和された溶出液を0.2μmで濾過し、次にヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー工程に進めた。産物溶出の後、プロテインAカラムを、20%エタノールに保存する前に、0.2Mの水酸化ナトリウムにより3CVで清浄し、平衡緩衝液により3CVですすいだ。
【0260】
Ab−Bの中間体精製は、セラミックヒドロキシアパタイト(CHT、I型、40μm)樹脂の混合モードクロマトグラフィーを使用する。この工程は、全体を通して、周囲温度及び200cm/時間の線速度で実施した。稼働させる前に、カラムを、3CVの1M水酸化ナトリウムを使用して消毒し、少なくとも3CVの5mMリン酸ナトリウム、pH6.5平衡緩衝液(「CHT平衡緩衝液」)で平衡にした。CHT装填物を、濾過し、中和した捕獲溶出液をCHT平衡緩衝液で希釈して、4mS/cm以下の伝導率にすることによって調製した。次に、CHT装填物を、0.2μmフィルターを通過させた後に、平衡カラムに適用した。装填した後、カラムを5CVの平衡緩衝液で洗浄し、次に5mM〜0.25Mのリン酸ナトリウム、pH6.5(「CHT溶出緩衝液2」)の20CVの直線勾配により溶出した。流出液のOD280をモニターし、約1/2のCVの一連の画分を、前隣接の0.1ODから後隣接の0.1ODまで収集した。画分を純度について分析し、隣接画分のセットを合わせて、所望の純度及び低減された糖鎖変異体含有量のCHTプールを得た(図8を参照すること)。溶出した後、CHTカラムを5CVの500mMリン酸ナトリウム、pH6.5ストリップ緩衝液(「CHTストリップ緩衝液」)でストリップし、その場で5CVの1M水酸化ナトリウムで清浄し、5CVの20%エタノール貯蔵溶液ですすいだ。
【0261】
Ab−Bの洗練精製は、Phenyl High Performance(GE Healthcare)樹脂の疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)を使用した。この工程は、全体を通して、周囲温度及び200cm/時間以下の線速度で実施した。稼働させる前に、カラムを、3CVの1M水酸化ナトリウムを使用して消毒し、5CVの20mMリン酸ナトリウム、0.7M硫酸ナトリウム、pH7.0平衡緩衝液(「HIC平衡緩衝液」)で平衡にした。HIC装填物を、20mMのリン酸ナトリウム、1.1Mの硫酸ナトリウム、pH7.0 HIC希釈緩衝液の使用により0.2μm濾過CHTプールを≧77.5mS/cmの伝導率調整することにより調製した。次に、HIC装填物を、0.2μmフィルターを通過させた後に、平衡カラムに適用した。装填した後、カラムを5CVのHIC平衡緩衝液で洗浄し、次に0〜100%の20mMリン酸ナトリウム、pH7.0(「HIC溶出緩衝液」)の20CVの直線勾配により溶出した。流出液のOD280をモニターし、約1/3のCVの一連の画分を、前隣接の0.1ODから後隣接の0.1ODまで収集した。画分を純度について分析し(図9を参照すること)、隣接画分のセットを合わせて、所望の純度及び低減された糖鎖変異体含有量のHICプールを形成した(図8及び図9を参照すること)。溶出した後、HICカラムを4CVのHIC溶出緩衝液でストリップし、その場で≧3CVの1M水酸化ナトリウムで清浄し、0.1Mの水酸化ナトリウム貯蔵溶液に移した。
【0262】
Ab−B調製物中の産物変異体を、タンパク質ゲルにより可視化した(図10を参照すること)。両方のゲルにおいて、レーン1、2及び6は、分子量マーカーを含有し、レーン3は、プロテインA溶出液を含有し、レーン4は、CHTプールを含有し、レーン5は、HICプールを含有する。試料が変性及び還元状態(それぞれ、図10、パネルA及びパネルB)に付されたので、この方法は、個別の抗体鎖の構成に影響を与える異常を検出することができるが、他の種類の異常(例えば、不正確な化学量論、凝集、不正確なジスルフィド結合または他の組み立ての誤り)を検出することは予想されない。抗体を、上記に記載されたプロテインAアフィニティークロマトグラフィー、CHTヒドロキシアパタイト混合モードクロマトグラフィー及びPhenyl−Sepharose High Performance(HP)疎水性相互作用クロマトグラフィーにより精製し、精製スキームの異なる工程の試料を、SDS−PAGEにより分解し、クマシーブルーにより染色した。主なバンドは、非還元型ゲルの無傷の抗体の予測された分子量に、並びに還元型ゲルの重及び軽鎖に対応した。幾つかの種の産物関連変異体は、それぞれの試料において容易に観察することができ、最も顕著なものは低移動度変異体であった(図10、矢印が「低移動度産物関連変異体」を示している)。低移動度産物関連変異体は、重鎖と比べて電気泳動移動度が減少していた。この産物関連変異体の量は、プロテインAアフィニティークロマトグラフィー、CHTヒドロキシアパタイト混合モードクロマトグラフィー及びPhenyl HP疎水性相互作用クロマトグラフィーによる精製の後、抗体調製物において視覚的に低減された(図10を参照し、レーン3をレーン4〜5と比較すること)。
【0263】
抗体純度も、サイズ排除クロマトグラフィーを使用してモニターした。UV検出器具を有するAgilent(Santa Clara,CA)1200 Series HPLCを使用する(SE−HPLC)。試料の分離には、Tosoh Bioscience(King of Prussia,PA)のTSKgel Guard SWx1 6×40mmに接続したTSKgel GS3000SWx1 7.8×300mmカラムを使用した。100mMのリン酸ナトリウム、200mMの塩化ナトリウム、pH6.5を、均一濃度モードにより0.5mL/分の流量で移動相として使用し、UV215nmで吸光度をモニターした。試料を注入する前、カラムを、安定したベースラインが達成されるまで平衡にした。試料を、移動相の使用により1mg/mLの濃度に希釈し、30μLの体積を注入した。カラム性能をモニターするため、BioRad(Hercules,Ca)ゲル濾過標準を使用した。
【0264】
精製の結果を表6に表す。特に、Ab−B産物、並びに低分子量(LMW)凝集体及び糖鎖変異体(GV)不純物を、プロテインAアフィニティークロマトグラフィー、CHTヒドロキシアパタイト混合モードクロマトグラフィー、Phenyl HP疎水性相互作用クロマトグラフィーの後にモニターした。精製プロセスのあらゆる段階において、モニターされたそれぞれの不純物のレベル(%)の低下が進み、少なくとも95%の純度のAb−B産物をもたらした。
表6.精製方法全体を通したAb−B純度の定量的評価。プロテインAアフィニティークロマトグラフィー、CHTヒドロキシアパタイト混合モードクロマトグラフィー及びPhenyl HP疎水性相互作用クロマトグラフィー後の、凝集体、変異体、Ab−B及び低移動度産物関連変異体の百分率を、Ab−Bの例示的な精製調製物について示す。
【表6】
【0265】
追加のプロセス関連不純物モニタリングを、レクチン結合モニタリング工程を含む精製方法の結果として、宿主細胞タンパク質、残留プロテインA、dsDNA及びグリカン(例えば、β−D−グルカン)の定量的クリアランスに対して実施した。表7を参照すること。全体として、精製スキームは、精製された抗体試料において不純物のレベルの低減をもたらした。
表7.精製方法により提供されるプロセス関連不純物クリアランスの定量的評価。プロテインAアフィニティークロマトグラフィー、CHTヒドロキシアパタイト混合モードクロマトグラフィー及びPhenyl HP疎水性相互作用クロマトグラフィーの後のP.パストリス(pastoris)宿主細胞タンパク質(HCP)、S.セレビシエ(cerevisiae)宿主細胞タンパク質(HCP)、残留プロテインA、dsDNA及びβ−D−グルカンの濃度(抗体と比べた)を、Ab−Bについて示す。
【表7】
【0266】
このように、クロマトグラフィー精製方法は、改善された抗体純度を実証した。特に、最終産物は、プロテインAアフィニティークロマトグラフィー、CHTヒドロキシアパタイト混合モードクロマトグラフィー及びPhenyl HP疎水性相互作用クロマトグラフィーの後では、95%を超える純度を有した。加えて、プロセス中間体に対して実施されたレクチン結合アッセイは、記載された精製プロセスが、低減されたGNA結合活性を有する精製されたAb−Bをもたらしたことを実証した(図8を参照すること)。HIC画分に実施されたレクチン結合アッセイは、組み合わせに適した適切なHIC溶出画分の選択が、高いGNA結合活性を有する他の画分を排除することにより、低減されたGNA結合活性を有するHICプールをもたらしうることを実証した(図9を参照すること)。
【0267】
実施例4:Ab−Cの精製及び回収
【0268】
この実施例は、本明細書に開示されているレクチン結合アッセイを使用して、P.パストリス(pastoris)に生成された組み換え抗体フラグメントの糖化不純物を検出できることを実証する。
【0269】
Ab−C Fabをコード化する安定して組み込まれた配列を含有するP.パストリス(pastoris)細胞を培養し、抗体フラグメントの発現を誘発した。あるいは、Ab−C Fabを、完全長Ab−C発現抗体のタンパク質分解により、化学的産生することができる。
【0270】
簡潔に、清澄化された培養上澄みを、低pH及び低伝導率で混合モード樹脂と接触させ、洗浄し、次にpH及び伝導率の同時上昇を用いる勾配戦略により溶出した。溶出された画分を、品質に関してモニターし、適切な画分をプールし、緩衝液を最終緩衝液に代えた。特に、画分を、上記に記載されたGNAレクチンアッセイを使用して糖鎖付加不純物(RU)についてモニターした。
【0271】
抗体フラグメントの純度も、サイズ排除クロマトグラフィーを使用してモニターした。UV検出器具を有するAgilent(Santa Clara,CA)1200 Series HPLCを使用する(SE−HPLC)。試料の分離には、Tosoh Bioscience(King of Prussia,PA)のTSKgel Guard SWx1 6×40mmに接続したTSKgel GS3000SWx1 7.8×300mmカラムを使用した。100mMのリン酸ナトリウム、200mMの塩化ナトリウム、pH6.5を、均一濃度モードにより0.5mL/分の流量で移動相として使用し、UV215nmで吸光度をモニターした。試料を注入する前、カラムを、安定したベースラインが達成されるまで平衡にした。試料を、移動相の使用により1mg/mLの濃度に希釈し、30μLの体積を注入した。カラム性能をモニターするため、BioRad(Hercules,Ca)ゲル濾過標準を使用した。
【0272】
精製の結果を表8に表す。特に、Ab−C Fab産物、並びに低分子量(LMW)凝集体及び糖鎖変異体(GV)不純物を、サイズ排除クロマトグラフィーを使用する混合モードクロマトグラフィーの後にモニターした。加えて、糖化不純物を、GNAレクチンアッセイの使用により検出した。精製は、約90%の純度を有するAb−C Fab産物をもたらした。
表8.精製方法全体を通したAb−C Fab純度の定量的評価。混合モードクロマトグラフィー後の凝集体、変異体、Ab−C Fab及び低移動度産物関連変異体の百分率を、Ab−C Fabの精製調製物について示す。
表8.
【表8】
【0273】
このように、不純物のクロマトグラフィー及びレクチンモニタリングを含む精製方法は、Fab抗体フラグメント純度を実証した。特に、最終産物は、混合モードクロマトグラフィーの後に90%を超える純度を有した。
【0274】
本発明の多様な例示的な実施形態の上記記載は、網羅的であること、または開示されている精密な形態に本発明を限定することを意図しない。本発明の特定の実施形態及び実施例が例示の目的で本明細書に記載されているが、当業者に認識されているように、多様な同等の修正が本発明の範囲内で可能である。本発明の、本明細書に提供されている教示を、上記に記載された実施例以外の他の目的に適用することができる。
【0275】
本発明は、前述の記載及び実施例に特定的に記載されたもの以外の方法により実施することができる。本発明の多様な修正及び変更が、上記の教示を鑑みて可能であり、したがって添付の特許請求の範囲の範囲内である。
【0276】
これら及び他の変化を、上記の詳細な記載を鑑みて本発明に行うことができる。一般に、以下の特許請求の範囲において、使用される用語は、明細書及び特許請求の範囲に開示されている特定の実施形態に本発明を限定すると解釈されるべきではない。したがって、本発明は、開示によって制限されるのではなく、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲により完全に決定されるべきである。
【0277】
抗原特異的B細胞のクローン個体群を得る方法に関する特定の教示は、米国特許仮出願第60/801、412号、2006年5月19日出願及び米国特許出願公開第2012/0141982号(その全体が参照として本明細書に組み込まれる)に開示されていた。
【0278】
ウサギ由来モノクローナル抗体のヒト化及び抗原結合親和性を維持する好ましい配列修飾に関する特定の教示は、国際公開第WO/2008/144757号、表題「新規ウサギ抗体ヒト化方法及びヒト化ウサギ抗体」(“Novel Rabbit Antibody Humanization Methods and Humanized Rabbit Antibodies”)2008年5月21日出願に対応する国際出願PCT/US2008/064421(その全体が参照として本明細書に組み込まれる)に開示されていた。
【0279】
接合能のある酵母菌を使用する抗体またはそのフラグメントを産生すること及び対応する方法に関する特定の教示は、米国特許出願第11/429、053号、2006年5月8日出願(米国特許出願公開第US2006/0270045号)(その全体が参照として本明細書に組み込まれる)に開示されていた。
【0280】
背景技術、発明の概要、発明を実施するための形態及び実施例に引用された各文書を含む、本明細書に引用されている各文書の全開示(特許、特許出願、雑誌記事、要約、マニュアル、書籍または他の開示を含む)は、その全体が参照として本明細書に組み込まれる。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10