特許第6472795号(P6472795)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6472795無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)内のデバイス間のタイミングを同期させるための方法及び装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6472795
(24)【登録日】2019年2月1日
(45)【発行日】2019年2月20日
(54)【発明の名称】無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)内のデバイス間のタイミングを同期させるための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   H04W 56/00 20090101AFI20190207BHJP
   H04W 28/06 20090101ALI20190207BHJP
   H04W 84/12 20090101ALI20190207BHJP
【FI】
   H04W56/00 130
   H04W28/06 110
   H04W84/12
【請求項の数】18
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2016-525542(P2016-525542)
(86)(22)【出願日】2014年11月12日
(65)【公表番号】特表2017-502540(P2017-502540A)
(43)【公表日】2017年1月19日
(86)【国際出願番号】US2014065228
(87)【国際公開番号】WO2015073543
(87)【国際公開日】20150521
【審査請求日】2017年11月8日
(31)【優先権主張番号】61/902,963
(32)【優先日】2013年11月12日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/928,728
(32)【優先日】2014年1月17日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/974,940
(32)【優先日】2014年4月3日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/539,130
(32)【優先日】2014年11月12日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502188642
【氏名又は名称】マーベル ワールド トレード リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】チュ、リウェン
(72)【発明者】
【氏名】ロウ、ヒュイ−リン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン、ホンユアン
【審査官】 古市 徹
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/009771(WO,A2)
【文献】 Minyoung Park,TGah-SFD-D14.x, IEEE 802.11-13/0599r0,IEEE, インターネット<URL:https://mentor.ieee.org/802.11/dcn/13/11-13-0599-00-00ah-tgah-sfd-d14-x.docx>,2013年 5月15日,p.46-48
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24 − 7/26
H04W 4/00 − 99/00IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信デバイスであって、
(i)第1の長さを有する第1のタイムスタンプ、及び(ii)第2の長さを有する第2のタイムスタンプを選択的に生成し、前記第1の長さと前記第2の長さは異なり、前記第1のタイムスタンプは前記無線通信デバイスの第1の同期時間を示し、前記第2のタイムスタンプは前記第1の同期時間における第1の部分のみを示し、前記第1の同期時間はクライアント局により、前記無線通信デバイスと、前記クライアント局との間のタイミングを同期すべく使用され、
(i)前記第1の長さを有する前記第1のタイムスタンプを含むフルビーコンに対応する第1のビーコンタイプと、(ii)タイムスタンプフィールドにおいて、前記第1の長さを有する前記第1のタイムスタンプを含む第1の構成を有するショートビーコンに対応する第2のビーコンタイプと(iii)前記タイムスタンプフィールドにおいて、前記第2の長さを有する前記第2のタイムスタンプを含む第2の構成を有するショートビーコンに対応する第3のビーコンタイプと、を有するビーコンを選択的に生成する第1のメディアアクセス制御デバイスであって
前記第2のビーコンタイプ及び前記第3のビーコンタイプのショートビーコンを生成すべく、
前記第1の長さを有する前記第1のタイムスタンプを含む前記第1の構成を有する前記ショートビーコンに対応する前記第2のビーコンタイプを選択的に生成し、
前記第2の長さを有する前記第2のタイムスタンプを含む前記第2の構成を有する前記ショートビーコンに対応する前記第3のビーコンタイプを選択的に生成する、第1のメディアアクセス制御デバイスと、
前記無線通信デバイスから前記クライアント局へ前記ショートビーコンを送信する第1の送受信機とを備え、
前記第2のビーコンタイプと前記第3のビーコンタイプのそれぞれにおいて、前記ショートビーコンは、前記タイムスタンプフィールドが前記第1の長さを有する前記第1のタイムスタンプ、又は、前記第2の長さを有する前記第2のタイムスタンプのいずれを含むかの指標を含むタイムスタンプ指標フィールドを含む、無線通信デバイス。
【請求項2】
前記無線通信デバイスは、アクセスポイントと対応する、請求項1に記載の無線通信デバイス。
【請求項3】
前記第1の長さは、前記第2の長さより長い、請求項1又は2に記載の無線通信デバイス。
【請求項4】
前記第1の長さは8バイトであり、前記第2の長さは4バイトである、請求項1から3のいずれか1項に記載の無線通信デバイス。
【請求項5】
前記第1のメディアアクセス制御デバイスは、ターゲットビーコン送信時間での前記第1のタイムスタンプを含む前記ショートビーコンを生成する、請求項1から4のいずれか1項に記載の無線通信デバイス。
【請求項6】
前記第1のメディアアクセス制御デバイスは、ターゲットショートビーコン送信時間での前記第2のタイムスタンプを含む前記ショートビーコンを生成する、請求項1から5のいずれか1項に記載の無線通信デバイス。
【請求項7】
(i)請求項1から6のいずれか一項に記載の前記無線通信デバイスと、(ii)前記クライアント局とを備えるシステムであって、
前記クライアント局は、
前記無線通信デバイスから前記クライアント局へ送信された前記ショートビーコンを受信する、第2の送受信機と、
前記指標に基づいて、前記ショートビーコンは前記第1のタイムスタンプ、又は前記第2のタイムスタンプのいずれを含むかを判断し、
前記ショートビーコンが前記第1のタイムスタンプを含む場合には、前記クライアント局の第2の同期時間を前記第1のタイムスタンプに設定し、
前記ショートビーコンが前記第2のタイムスタンプを含む場合には、(i)前記第2の同期時間の第1の部分のみを前記第2のタイムスタンプに対応する前記第1の同期時間の前記第1の部分設定し、(ii)前記第2のタイムスタンプと、前記第2の同期時間の前記第1の部分との間の比較に基づいて、前記第2の同期時間の第2の部分を選択的にインクリメント又はデクリメントする、第2のメディアアクセス制御デバイスとを、有する、システム。
【請求項8】
無線通信デバイスと、クライアント局とを備えるシステムであって、
前記無線通信デバイスは、
(i)第1の長さを有する第1のタイムスタンプ、及び(ii)第2の長さを有する第2のタイムスタンプを選択的に生成し、前記第1のタイムスタンプは前記無線通信デバイスの第1の同期時間を示し、前記第2のタイムスタンプは前記第1の同期時間における第1の部分のみを示し、前記第1の同期時間はクライアント局により、前記無線通信デバイスと、前記クライアント局との間のタイミングを同期すべく使用され、
(i)前記第1のタイムスタンプ、又は、前記第2のタイムスタンプのいずれか、及び(ii)ビーコンが前記第1のタイムスタンプ、又は前記第2のタイムスタンプのいずれを含むかを示す、指標を含む前記ビーコンを生成する第1のメディアアクセス制御デバイスと、
前記無線通信デバイスから前記クライアント局へ前記ビーコンを送信する第1の送受信機とを備え、
前記ビーコンが前記第1のタイムスタンプ、又は、第2のタイムスタンプのいずれを含むかの指標は、前記ビーコンのフレーム制御フィールドにおけるタイムスタンプ表示ビットに対応し、
前記クライアント局は、
前記無線通信デバイスから前記クライアント局へ送信された前記ビーコンを受信する、第2の送受信機と、
前記指標に基づいて、前記ビーコンは前記第1のタイムスタンプ、又は前記第2のタイムスタンプのいずれを含むかを判断し、
前記ビーコンが前記第1のタイムスタンプを含む場合には、前記クライアント局の第2の同期時間を前記第1のタイムスタンプに設定し、
前記ビーコンが前記第2のタイムスタンプを含む場合には、(i)前記第2の同期時間の第1の部分のみを前記第2のタイムスタンプに対応する前記第1の同期時間の前記第1の部分に設定し、(ii)前記第2のタイムスタンプと、前記第2の同期時間の前記第1の部分との間の比較に基づいて、前記第2の同期時間の第2の部分を選択的にインクリメント又はデクリメントする、第2のメディアアクセス制御デバイスとを、有する、システム。
【請求項9】
(i)前記第2の同期時間の前記第1の部分は、前記第2の同期時間の最下位4バイトに対応し、(ii)前記第2の同期時間の前記第2の部分は、前記第2の同期時間の最上位4バイトに対応し、(iii)前記第1の同期時間の前記第1の部分は、前記第1の同期時間の最下位4バイトに対応する、請求項7または8に記載のシステム。
【請求項10】
前記第2の同期時間の前記第2の部分を選択的にインクリメントするか、又はデクリメントするかを判断すべく、前記第2のメディアアクセス制御デバイスは、(i)前記第2の同期時間の前記第1の部分の最上位ビットと、前記第2のタイムスタンプの最上位ビットとが異なるかを判断し、(ii)前記第2のタイムスタンプが、前記第2の同期時間の前記第1の部分より大きいか、小さいかを判断し、(iii)前記第2のタイムスタンプと、前記第2の同期時間の前記第1の部分との間の差が、予め定められた閾値より大きいかを判断する、請求項7からのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
無線通信デバイスを動作させる方法であって、
(i)第1の長さを有する第1のタイムスタンプと、(ii)第2の長さを有する第2のタイムスタンプとを、選択的に生成する段階であって、前記第1の長さと前記第2の長さは異なり、前記第1のタイムスタンプは前記無線通信デバイスの第1の同期時間を示し、前記第2のタイムスタンプは、前記第1の同期時間の第1の部分のみを示し、前記第1の同期時間はクライアント局により、前記無線通信デバイスと、前記クライアント局との間のタイミングを同期すべく使用される段階と、
(i)前記第1の長さを有する前記第1のタイムスタンプを含むフルビーコンに対応する第1のビーコンタイプと、(ii)タイムスタンプフィールドにおいて、前記第1の長さを有する前記第1のタイムスタンプを含む第1の構成を有するショートビーコンに対応する第2のビーコンタイプと(iii)前記タイムスタンプフィールドにおいて、前記第2の長さを有する前記第2のタイムスタンプを含む第2の構成を有するショートビーコンに対応する第3のビーコンタイプと、を有するビーコンを選択的に生成する段階
前記ビーコンを前記無線通信デバイスから前記クライアント局へ送信する段階とを備え、
前記第2のビーコンタイプ及び前記第3のビーコンタイプのショートビーコンを選択的に生成する段階は、
前記第1の長さを有する前記第1のタイムスタンプを含む前記第1の構成を有する前記ショートビーコンに対応する前記第2のビーコンタイプを選択的に生成する段階と、
前記第2の長さを有する前記第2のタイムスタンプを含む前記第2の構成を有する前記ショートビーコンに対応する前記第3のビーコンタイプを選択的に生成する段階とを含み、
前記第2のビーコンタイプと前記第3のビーコンタイプのそれぞれにおいて、前記ショートビーコンは、前記タイムスタンプフィールドが前記第1の長さを有する前記第1のタイムスタンプ、又は、前記第2の長さを有する前記第2のタイムスタンプのいずれを含むかという指標を含むタイムスタンプ指標フィールドを含む、
方法。
【請求項12】
前記無線通信デバイスは、アクセスポイントに対応する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の長さは、前記第2の長さより長い、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の長さは8バイトであって、前記第2の長さは4バイトである、請求項11から13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記ショートビーコンを生成する段階は、ターゲットビーコン送信時間における前記第1のタイムスタンプを含む前記ショートビーコンを生成する段階を有する、請求項11から14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記ショートビーコンを生成する段階は、ターゲットショートビーコン送信時間における前記第2のタイムスタンプを含む前記ショートビーコンを生成する段階を有する、請求項11から15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記クライアント局を使用して、
前記無線通信デバイスから前記クライアント局へ送信された前記ショートビーコンを受信する段階と、
前記指標に基づいて、前記ショートビーコンが前記第1のタイムスタンプ、又は前記第2のタイムスタンプのいずれを含むかを判断する段階と、
前記ショートビーコンが前記第1のタイムスタンプを有する場合に、前記クライアント局の第2の同期時間を前記第1のタイムスタンプに設定する段階と、
前記ショートビーコンが前記第2のタイムスタンプを有する場合に、
前記第2の同期時間の第1の部分のみを、前記第2のタイムスタンプに対応する前記第1の同期時間の前記第1の部分に設定し、
前記第2のタイムスタンプと、前記第2の同期時間の前記第1の部分との間の比較に基づいて、前記第2の同期時間の第2の部分を選択的にインクリメント又はデクリメントする段階とを更に備える、請求項11から16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
無線通信デバイスを動作させる方法であって、
(i)第1の長さを有する第1のタイムスタンプと、(ii)第2の長さを有する第2のタイムスタンプとを、選択的に生成する段階であって、前記第1のタイムスタンプは前記無線通信デバイスの第1の同期時間を示し、前記第2のタイムスタンプは、前記第1の同期時間の第1の部分のみを示し、前記第1の同期時間はクライアント局により、前記無線通信デバイスと、前記クライアント局との間のタイミングを同期すべく使用される段階と、
(i)前記第1のタイムスタンプ、又は、前記第2のタイムスタンプのいずれかと、(ii)ビーコンが、前記第1のタイムスタンプ、又は前記第2のタイムスタンプのいずれを含むかの指標とを有する、前記ビーコンを生成する段階であって、前記ビーコンが前記第1のタイムスタンプ、又は、前記第2のタイムスタンプのいずれを含むかという指標は、前記ビーコンのフレーム制御フィールドにおけるタイムスタンプ表示ビットに対応する段階と、
前記ビーコンを前記無線通信デバイスから前記クライアント局へ送信する段階とを備え、更に、
前記クライアント局を使用して、
前記無線通信デバイスから前記クライアント局へ送信された前記ビーコンを受信する段階と、
前記指標に基づいて、前記ビーコンが前記第1のタイムスタンプ、又は前記第2のタイムスタンプのいずれを含むかを判断する段階と、
前記ビーコンが前記第1のタイムスタンプを有する場合に、前記クライアント局の第2の同期時間を前記第1のタイムスタンプに設定する段階と、
前記ビーコンが前記第2のタイムスタンプを有する場合に、
前記第2の同期時間の第1の部分のみを、前記第2のタイムスタンプに対応する前記第1の同期時間の前記第1の部分に設定し、
前記第2のタイムスタンプと、前記第2の同期時間の前記第1の部分との間の比較に基づいて、前記第2の同期時間の第2の部分を選択的にインクリメント又はデクリメントする段階とを備える、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照] 本願は、2014年11月12日に出願された米国特許出願第14/539,130号に対する優先権を主張し、また2013年11月12日に出願された米国仮特許出願第61/902,963号、2014年1月17日に出願された米国仮特許出願第61/928,728号、及び、2014年4月3日に出願された米国仮特許出願第61/974,940号の利益を主張する。上記において参照される出願の開示全体が、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、複数の無線ローカルエリアネットワークにおけるタイミングの同期に関する。
【背景技術】
【0003】
複数の無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)は、アクセスポイント(AP)及び1又は複数のクライアント局を含み得る。複数のWLANの様々な動作規格として、限定はされないが、Institute for Electrical and Electronics Engineers(IEEE)802.11a、802.11ac、802.11af、802.11ah、802.11b、802.11g、及び802.11nが含まれる。
【0004】
アクセスポイントはターゲットビーコン送信時間(TBTT)におけるビーコンフレーム、及び/又は、幾つかの802.11動作規格において、ターゲットショートビーコン送信時間(TSBTT)におけるショートビーコンフレームを周期的に送信する。ビーコンフレーム及びショートビーコンフレームの各々は、タイミング同期機能(TSF)に使用されるタイムスタンプを含み得る。例えば、WLANの基本サービスセット(BSS)における各クライアント局は、APとクライアント局との間のタイミングを同期させるべく、ビーコンフレームにおけるタイムスタンプを使用し得る。図1Aは、例示のビーコンフレーム100を示す。図1Bは、例示のショートビーコンフレーム104を示す。図1Cは、TBTT110におけるビーコンフレーム100、及びTSBTT112におけるショートビーコンフレーム104の送信の例示のタイミングダイアグラム108を示す。
【0005】
ビーコンフレーム100は、メディアアクセス制御(MAC)ヘッダ部分116を含み、これは、例示に過ぎないが、フレーム制御フィールド120、持続時間フィールド124、(例えば、ソースアドレス、宛先アドレス等)アドレスフィールド128、シーケンス制御フィールド132、及びいくつかの規格(例えば、802.11n)における、高スループット(HT)制御フィールド136を含む。ビーコンフレーム100は、また、フレームボディフィールド140、及び、フレームチェックシーケンス(FCS)フィールド144を含む。フレームボディフィールド140は、例示に過ぎないが、8バイトタイムスタンプフィールド148、ビーコン間隔フィールド152、能力フィールド156、サービスセット識別子(SSID)フィールド160、サポート率フィールド164、及び、周波数ホッピング(FH)パラメータセットフィールド168、及び、BSS動作に関連した他の情報要素を含む。
【0006】
ショートビーコンフレーム104は、フレーム制御フィールド172、持続時間フィールド176、ソースアドレスフィールド180、4バイトタイムスタンプフィールド184、変更シーケンスフィールド188、次のTBTTフィールド192、圧縮されたSSIDフィールド196、複数のアクセスネットワークオプションフィールド200、複数のオプション情報要素(IE)204、及びFCSフィールド208を含む。オプションIE204は、ショートビーコン互換性要素212を有し、これは、例示に過ぎないが、要素IDフィールド216、長さフィールド220、能力フィールド224、ビーコン間隔フィールド228、TSF完了フィールド232を含む。
【発明の概要】
【0007】
無線通信デバイスは、第1のメディアアクセス制御デバイス及び第1の送受信機を備える。第1のメディアアクセス制御デバイスは、第1の長さを有する第1のタイムスタンプ、及び、第2の長さを有する第2のタイムスタンプを選択的に生成すべく構成される。第1のタイムスタンプは、無線通信デバイスの第1の同期時間を示し、第2のタイムスタンプは、第1の同期時間の第1の部分のみを示し、第1の同期時間は、クライアント局によって、無線通信デバイスとクライアント局との間のタイミングを同期するために使用される。第1のメディアアクセス制御デバイスは、第1のタイムスタンプ又は第2のタイムスタンプのいずれかを含むビーコンと、ビーコンが第1のタイムスタンプ又は第2のタイムスタンプを含むかの指標とを生成するように、更に構成される。第1の送受信機は、無線通信デバイスからクライアント局へビーコンを送信するよう構成される。
【0008】
無線通信デバイスの動作方法は、第1の長さを有する第1のタイムスタンプ、及び、第2の長さを有する第2のタイムスタンプを選択的に生成する段階を備える。第1のタイムスタンプは、無線通信デバイスの第1の同期時間を示し、第2のタイムスタンプは、第1の同期時間の第1の部分のみを示す。第1の同期時間は、クライアント局によって、無線通信デバイスと、クライアント局との間のタイミングを同期するのに使用される。方法は、第1のタイムスタンプか又は第2のタイムスタンプのいずれか、及び、ビーコンが第1のタイムスタンプ又は第2のタイムスタンプを含むかどうかの指標を有するビーコンを生成する段階と、無線通信デバイスからクライアント局へビーコンを送信する段階とを更に備える。
【0009】
本開示の適用可能性に係る複数の更なる領域は、詳細な説明、特許請求の範囲、及び複数の図面から明らかとなるであろう。詳細な説明、及び複数の具体例は、例示の目的のみを意図しており、本開示の範囲を限定することを意図していない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1A】例示のビーコンフレームである。
【0011】
図1B】例示のショートビーコンフレームである。
【0012】
図1C】ビーコンフレーム及びショートビーコンフレームの送信の例示のタイミングダイアグラムである。
【0013】
図2】例示の無線ローカルエリアネットワークである。
【0014】
図3】例示のクライアント局のメディアアクセスデバイスである。
【0015】
図4】例示のショートビーコンフレーム400である。
【0016】
図5】例示のタイミング同期機能の方法である。
【0017】
複数の図面において、複数の参照番号は、類似及び/又は同一の複数の要素を識別すべく再利用され得る。
【発明を実施するための形態】
【0018】
ビーコンフレームのフレームボディにおける8バイトタイムスタンプフィールドは、8バイトタイムスタンプフィールドの第1のビットの、アクセスポイント(AP)から送信される際の送信時間を示す。送信時間は、タイミング同期機能(TSF)時間に対応する。8バイトタイムスタンプフィールドは、非情報埋め込み(IE)フィールド(non−information embedding field)に対応する。例えば、ビーコンフレームを送信するAPのメディアアクセス制御(MAC)層は、8バイトタイムスタンプフィールドを設定し得る。逆に、ビーコンフレームを受信するクライアント局は、(例えば、クライアント局のMAC層において)8バイトタイムスタンプフィールドに基づくTSFを実行すべく構成される。例えば、クライアント局は、8バイトタイムスタンプフィールドに基づくタイマを設定すべく構成される。
【0019】
いくつかのIEEE802.11規格(例えば、802.11ah)において、APは、ビーコンフレーム(即ち、フルビーコンフレーム)及び/又はショートビーコンフレームを選択的に送信し得る。ショートビーコンフレームは、4バイトタイムスタンプのみを含み得る。例示に過ぎないが、APは、ショートビーコンフレームをターゲットショートビーコン送信時間(TSBTT)のみにおいて、又は、TSBTTとターゲットビーコン送信時間(TBTT)との両方において、送信し得る。
【0020】
例えば、TBTTで送信されるとき、ショートビーコンフレームにおける4バイトタイムスタンプは、実際の8バイトTSF時間の最下位4バイトに対応する。4バイトタイムスタンプは、ショートビーコンフレームの非IE部分に含まれ得る。逆に、8バイトTSF時間の最上位4バイトは、ショートビーコンフレームのショートビーコン互換性要素におけるTSF完了フィールドに(送信APによって設定されるように)含まれる。ショートビーコン互換性要素は、ショートビーコンフレームのIE部分に含まれる。従って、ショートビーコンフレームの4バイトタイムスタンプフィールドと、TSF完了フィールドとの両方が受信されるまで、クライアント局のMAC層は、TSFを実行できない。逆に、TSBTTで送信されたとき、ショートビーコンフレームは、ショートビーコンフレームの非IE部分において、実際の8バイトTSF時間の最下位4バイトに対応する4バイトタイムスタンプフィールドのみを含む。
【0021】
TSF時間の最下位4バイトがクライアント局のMAC層によって最初に受信され、処理されるとき、対応するタイマ値が最下位4バイトの値によって設定される。しかしながら、タイマ値は、TSF完了フィールドにおけるTSF時間の最上位4バイトが受信されるまで、インクリメントを続行する。いくつかの状況において、タイマ値は、最上位4バイトが受信される前にFFFFFFFFから00000000にインクリメントする(即ち、タイマ値はロールオーバーするか、又は、ラップ(wrap)する)。従って、8バイトTSF時間の別々に受信される最下位4バイト及び最上位4バイトを使用して、実際の8バイトTSF時間を計算することは複雑であり得る。
【0022】
本開示の原理によるシステムおよび方法は、(例えば、ショートビーコンフレームのフレーム制御又は他の非IEフィールドにおいて)タイムスタンプ表示ビットを提供する。タイムスタンプ表示ビットは、タイムスタンプフィールドのフォーマットを識別する。例えば、タイムスタンプ表示ビットは、タイムスタンプフィールドが8バイトTSF時間の全体を含むか、又はTSF時間の最下位4バイトのみを含むかを識別する。TBTTで、ショートビーコンフレームは、タイムスタンプフィールドにおいて8バイトTSF時間を含む。逆に、TSBTTで、ショートビーコンフレームは、TSF時間の最下位4バイトを含み、クライアント局は、最下位4バイトのみを使用して、実際のTSF時間を判断するよう構成される。従って、TSF完了フィールドは、除かれる(即ち、ショートビーコン互換性要素から取り除かれる)ことができる。
【0023】
図2は、本開示の一実施形態による複数のTSF時間システムおよび方法を実装するよう構成された、1又は複数の無線通信デバイスを含む、例示の無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)236を示す。WLAN236は、ネットワークインタフェース248と通信するホストプロセッサ244を有するアクセスポイント(AP)240を含む。ネットワークインタフェース248は、メディアアクセス制御(MAC)デバイス252及び物理層(PHY)デバイス256を含む。PHYデバイス256は、1又は複数の送受信機260−1、260−2、…、及び260−nを含み、複数の送受信機260としてまとめて呼ばれる。送受信機260は、それぞれのアンテナ264−1、264−2、…、及び264−nと通信し、複数のアンテナ264としてまとめて呼ばれる。
【0024】
AP240は、複数のクライアント局268−1、268−2、268−3、…、及び268−nと通信し、複数のクライアント局268としてまとめて呼ばれる。クライアント局268−1は、ネットワークインタフェース276と通信するホストプロセッサ272を含む。ネットワークインタフェース276は、MACデバイス280及びPHYデバイス284を含む。PHYデバイス284は、1又は複数の送受信機288−1、288−2、…、及び288−nを含み、複数の送受信機288としてまとめて呼ばれる。複数の送受信機288は、それぞれのアンテナ292−1、292−2、…、292−nと通信し、複数のアンテナ292としてまとめて呼ばれる。複数のクライアント局268のうちの1又は複数は、クライアント局268−1と同一又は類似の構造を有してよい。例示に過ぎないが、複数のクライアント局268の各々は、同一又は異なる数の送受信機288及びアンテナ292を有してよい。
【0025】
AP240のホストプロセッサ244、MACデバイス252、及び/又は、PHYデバイス256は、(例えば、送受信機260、及び、それぞれのアンテナ264を介しての)それぞれのクライアント局268への送信のためのビーコンフレーム及びショートビーコンフレームを生成すべく構成され得る。例えば、AP240のMACデバイス252は、ショートビーコンフレームのタイムスタンプフィールドにおいて4バイトタイムスタンプ(例えば、TBTTにおいて送信するためのショートビーコンフレームの中に)又は8バイトタイムスタンプ(例えば、TSBTTにおいて送信するためのショートビーコンフレームの中に)のいずれかを生成及び挿入し、タイムスタンプフィールドが4バイトタイムスタンプを含むか、又は8バイトタイムスタンプを含むかを示す、タイムスタンプ表示ビットを選択的に設定する。実施形態において、MACデバイス252は、ハードウェア(即ち、ソフトウェアでなく)コンポーネントのみを使用してタイムスタンプフィールドにおけるタイムスタンプを生成及び挿入する。複数の実施形態において、MACデバイス252以外のデバイス、コントローラ等は、タイムスタンプを生成及び挿入し得る。
【0026】
複数のクライアント局268は、AP240から受信されたショートビーコンフレームにおける4バイト又は8バイトタイムスタンプフィールドに基づいて、それらのそれぞれのTSF時間を各々設定する。例えば、MACデバイス280は、タイムスタンプ表示ビット及びタイムスタンプフィールドに従って、TSF時間を設定する。複数の実施形態において、MACデバイス280以外のデバイスコントローラその他は、タイムスタンプ表示ビット及びタイムスタンプフィールドに従ってTSF時間を設定し得る。
【0027】
図3は、実施形態によるクライアント局の例示のMACデバイス300を示す。例えば、MACデバイス300は、クライアント局268−1のMACデバイス280に対応する。MACデバイス300は、パケット受信モジュール304、MAC制御モジュール308、及びTSFモジュール312を含む。パケット受信モジュール304は、PHYデバイス(例えば、PHYデバイス284)を介して、APからクライアント局へ送信された複数のパケットを受信する。例えば、パケットは、本開示の実施形態によるショートビーコンフレーム等のビーコンを含み得る。パケット受信モジュール304は、ショートビーコンフレームを処理し、ショートビーコンフレームについての及び/又はそこに含まれる情報をMAC制御モジュール308に提供する。例えば、MAC制御モジュール308は、特に、タイムスタンプ表示ビット、及び、タイムスタンプフィールドを受信する。
【0028】
MAC制御モジュール308は、タイムスタンプ表示ビット及びタイムスタンプフィールドに従って、クライアント局のTSF時間を設定する。例えば、タイムスタンプ表示ビットが、タイムスタンプフィールドが8バイトタイムスタンプを含むことを示す場合、MAC制御モジュール308は、クライアント局のTSF時間を8バイトタイムスタンプに単に設定し得る。例示に過ぎないが、TSFモジュール312は、クライアント局のTSF時間に対応する8バイト値を格納及びインクリメントするタイマを含み得る。従って、MAC制御モジュール308は、タイマの8バイト値をタイムスタンプフィールドにおける8バイトタイムスタンプに設定し得る。
【0029】
逆にタイムスタンプ表示ビットが、タイムスタンプフィールドが4バイトタイムスタンプを含むことを示す場合、MAC制御モジュール308は、タイマの8バイト値の最下位4バイトのみを4バイトタイムスタンプに設定し得る。また、MAC制御モジュール308は、以下にさらに詳細に説明されるように、ショートビーコンフレームにおいて受信された4バイトタイムスタンプと、タイマの8バイト値の最下位4バイトとの間の比較に基づいて、8バイト値の最上位4バイトを選択的にインクリメント又はデクリメントもする。
【0030】
図4は、実施形態による例示のショートビーコンフレーム400を示す。ショートビーコンフレーム400は、フレーム制御フィールド404、持続時間フィールド408、ソースアドレスフィールド412、4又は8バイトタイムスタンプフィールド416、変更シーケンスフィールド420、次のTBTTフィールド424、圧縮されたSSIDフィールド428、アクセスネットワークオプションフィールド432、オプション情報埋め込み(IE)フィールド436、及びFCSフィールド440を有する。オプションIEフィールド436は、1又は複数のショートビーコン互換性要素444を有するが、これに限定されない。ショートビーコン互換性要素444は、例示に過ぎないが、要素IDフィールド448、長さフィールド452、能力フィールド456、及び、ビーコン間隔フィールド460を含む。ショートビーコン互換性要素は、TSF完了フィールドを含まない。
【0031】
フレーム制御フィールド404は、プロトコルバージョンフィールド464、タイプフィールド468、サブタイプフィールド472、次のTBTT存在フィールド476、SSID存在フィールド480、インターワーキング存在フィールド484、BSS BW(帯域幅)フィールド488、セキュリティフィールド492、及びタイムスタンプ表示フィールド(即ち、タイムスタンプ表示ビット)496を含む。実施形態において、タイムスタンプ表示フィールド496は、タイムスタンプフィールド416が4バイトタイムスタンプを含むか、又は、8バイトタイムスタンプを含むかを示す単一のビットを有する。従って、受信クライアント局268−1のMACデバイス280がタイムスタンプ表示フィールド496を受信するとき、MACデバイス280は、タイムスタンプフィールド416が4バイトタイムスタンプを含むか、又は8バイトタイムスタンプを含むかを判断し得る。例示に過ぎないが、タイムスタンプ表示フィールド496における「0」は、タイムスタンプフィールド416が4バイトタイムスタンプを含むことを示し得て、一方、タイムスタンプ表示フィールド496における「1」は、タイムスタンプフィールド416が8バイトタイムスタンプを含むことを示し得る。
【0032】
例示に過ぎないが、タイムスタンプ表示フィールド496は、フレーム制御フィールド404のビット15に対応する。もっとも、ショートビーコンフレーム400の他の複数のビットも使用され得る。いくつかのプロトコルにおいて、フレーム制御フィールド404のビット15は、1MHzの一次チャネル位置を示す。しかしながら、別のフィールドが既に1MHzの一次チャネル位置の指標を含み得て、フレーム制御フィールド404のビット15がタイムスタンプ表示フィールド496のために使用するのを可能とし得る。
【0033】
ショートビーコンフレーム400が、8バイトタイムスタンプを含むとき(即ち、TBTTにおいて受信される時)、8バイトタイムスタンプは、直接的に、AP240のTSF時間に対応するので、受信クライアント局268−1のMACデバイス280は、なんらの追加の計算を実行する必要はない。従って、MACデバイス280は、受信クライアント局268−1のTSF時間(例えば、8バイトタイマ値を格納及びインクリメントするTSFタイマ)をショートビーコンフレーム400における8バイトタイムスタンプに設定する。
【0034】
逆に、AP240が、4バイトタイムスタンプを含むショートビーコンフレーム400を作成する場合(即ち、TSBTTにおいて受信される時)、AP240のTSF時間は、ショートビーコンフレーム400に含まれる最上位4バイト、及び4バイトタイムスタンプに対応する。従って、ショートビーコンフレーム400における4バイトタイムスタンプは、AP240の8バイトTSF時間の全体の最下位4バイトのみに対応する。MACデバイス280が4バイトタイムスタンプを含むショートビーコンフレーム400を受信するとき、MACデバイス280は、受信クライアント局268−1のTSF時間の最下位4バイトを4バイトタイムスタンプに設定する。受信クライアント局268−1のアップデートされたTSF時間は、4バイトタイムスタンプを介して受信されたTSF時間の最下位4バイトと組み合わせられた(例えば、受信クライアント局268−1のクロックによる)TSFタイマによって維持された、TSF時間の最上位4バイトに対応する。
【0035】
従って、ショートビーコンフレーム400が、4バイトタイムスタンプのみを含む場合、受信クライアント局268−1のTSF時間は、それぞれのTSF時間の最上位4バイトが同一の場合、AP240のTSF時間に適合する(即ち、同一となる)。しかしながら、いくつかの状況において、受信クライアント局268−1のTSF時間の最上位4バイトは、AP240のTSF時間の最上位4バイトと異なる値へインクリメントし得る。本開示の一実施形態によるシステムおよび方法は、受信クライアント局268−1、及びAP240のそれぞれのTSF時間の間の任意の不一致を修正する。
【0036】
例えば、受信クライアント局268−1及びAP240のそれぞれのクロックは、わずかに異なり得る。従って、MACデバイス280が、8バイトタイムスタンプを使用して、受信クライアント局268−1のTSF時間を設定するとき(即ち、TBTTにおいてショートビーコンフレーム400を受信する時)、受信クライアント局268−1のタイムスタンプは、AP240のタイムスタンプと一致する。しかしながら、受信クライアント局268−1及びAP240の複数のクロックの間の差は、TSF時間の最上位4バイトのそれぞれに、後続のTSBTTにおいて(即ち、4バイトタイムスタンプを含むショートビーコンフレームが、AP240から、受信クライアント局268−1に送信されるとき)差異を引き起こし得る。しかしながら、受信クライアント局268−1及びAP240のTSF時間の間の差の絶対値は、FFFFFFFF/2未満となってよい。
【0037】
従って、例示に過ぎないが、ショートビーコンフレーム400に含まれる4バイトタイムスタンプが000000FF(即ち、AP240のTSF時間の最下位4バイト)であり、受信クライアント局268−1のTSF時間のその時点の最下位4バイトがFFFFFF00である場合、AP240のクロック(及びTSF時間)は、受信クライアント局268−1のクロック(及びTSF時間)より速く、従って、AP240のTSF時間の最上位4バイトは、受信クライアント局268−1のTSF時間の最上位4バイトより1大きくなる。
【0038】
言い換えると、000000FFの4バイトタイムスタンプは、4バイトタイムスタンプの最下位4バイトが"ロールオーバー"して(即ち、FFFFFFFFから00000001…000000FF等にインクリメントして)、AP240のTSF時間の最上位4バイトに1だけインクリメントさせることを示す。従って、ショートビーコンフレーム400において受信された4バイトタイムスタンプは、AP240のTSF時間の最下位4バイトが、直近にロールオーバーしたことを示す場合、MAC280は、受信クライアント局268−1のTSF時間の最下位4バイトを4バイトタイムスタンプに設定し、受信クライアント局268−1のTSF時間の最上位4バイトを1だけインクリメントする。
【0039】
より具体的には、4バイトタイムスタンプが受信されるとき、MAC280は、(i)4バイトタイムスタンプにおける最上位ビットが、受信クライアント局268−1のTSF時間の最下位4バイトの最上位ビットと異なるか、(ii)4バイトタイムスタンプが、受信クライアント局268−1のTSF時間の最下位4バイトより小さいか、及び(iii)4バイトタイムスタンプと、受信クライアント局268−1のTSF時間の最下位4バイトとの間の差が、予め定められた閾値よりも大きいか、を判断する。例示に過ぎないが、予め定められた閾値は、受信クライアント局268−1のTSF時間と、AP240のTSF時間との間の予期される最大の差に対応する(例えば、FFFFFFFF/2、又は231)。(i)、(ii)、及び(iii)が真である場合、MAC280は、受信クライアント局268−1のTSF時間の最上位4バイトを1だけインクリメントする。
【0040】
例えば、上で説明されたように、ショートビーコンにおける000000FFの4バイトタイムスタンプ及びFFFFFFF0の受信クライアント局268−1のTSF時間の最下位4バイトは、(i)、(ii)、及び(iii)の各々を満たす。従って、MAC280は、受信クライアント局268−1のTSF時間の最上位4バイトを1だけインクリメントする。逆に、ショートビーコンにおけるFFFFFFFFの4バイトタイムスタンプ、及び、FFFFFF00の受信クライアント局268−1のTSF時間の最下位4バイトは(i)、(ii)、及び(iii)の各々を満たさない。従って、MAC280は、受信クライアント局268−1のTSF時間の最上位4バイトを1だけインクリメントしないであろう。代わりに、MAC280は受信クライアント局268−1のTSF時間の最下位4バイトをFFFFFFFFに設定するのみであろう。
【0041】
逆に、例示に過ぎないが、ショートビーコンフレーム400に含まれる4バイトタイムスタンプがFFFFFF00(即ち、AP240のTSF時間の最下位4バイト)であり、受信クライアント局268−1のTSF時間のその時点の最下位4バイトが0000000Fである場合、AP240のクロック(及びTSF時間)は、受信クライアント局268−1のクロック(及びTSF時間)より遅く、従って、AP240のTSF時間の最上位4バイトは、受信クライアント局268−1のTSF時間の最上位4バイトより1少なくなる。
【0042】
言い換えると、0000000Fの受信クライアント局268−1のTSF時間の最下位4バイトは、最下位4バイトがロールオーバーして、受信クライアント局268−1のTSF時間の最上位4バイトを1だけインクリメントさせることを示す。従って、AP240のTSF時間の最下位4バイトがロールオーバーせず、クライアント局268−1受信TSF時間の最下位4バイトがロールオーバーをしたことを、ショートビーコンフレーム400で受信された4バイトタイムスタンプが示す場合には、MAC280は受信クライアント局268−1のTSF時間の最下位4バイトを4バイトタイムスタンプに設定し、受信クライアント局268−1のTSF時間の最上位4バイトを1だけデクリメントする。
【0043】
より具体的には、4バイトタイムスタンプが受信されるとき、MAC280は、上で説明されたような(i)、(ii)、及び(iii)に加えて、(iv)ショートビーコンにおける4バイトタイムスタンプが受信クライアント局268−1のTSF時間の最下位4バイトより大きいかどうか、及び、(v)4バイトタイムスタンプと、受信クライアント局268−1のTSF時間の最下位4バイトとの間の差が予め定められた閾値よりも大きいかどうかを判断する。(i)、(iv)、及び(v)が真の場合、MAC280は、受信クライアント局268−1のTSF時間の最上位4バイトを1だけデクリメントする。
【0044】
例えば、上で説明されたように、FFFFFF00の4バイトタイムスタンプ及び0000000Fの受信クライアント局268−1のTSF時間の最下位4バイトは、(i)、(iv)、及び(v)の各々を満たし、従って、MAC280は、受信クライアント局268−1のTSF時間の最上位4バイトを1だけデクリメントする。逆に、FFFFFF00の4バイトタイムスタンプ及びFFFFFFFFの受信クライアント局268−1のTSF時間の最下位4バイトは、(i)、(iv)、及び(v)の各々を満たさないので、従って、MAC280は、受信クライアント局268−1のTSF時間の最上位4バイトを1だけデクリメントしないであろう。代わりに、MAC280は、受信クライアント局268−1のTSF時間の最下位4バイトをFFFFFF00に設定するのみであろう。
【0045】
図5は、本開示の一実施形態による例示のTSF方法500を示す。方法500は、504において開始する。508で、クライアント局は、TBTT又はTSBTTにおいて、8バイトタイムスタンプ又は4バイトタイムスタンプを含むショートビーコンフレームを受信する。例えば、受信クライアント局268−1は、AP240からショートビーコンフレーム400を受信する。512において、クライアント局は、ショートビーコンフレームが8バイトタイムスタンプを含むかどうかを判断する。例えば、MAC(例えば、MAC280)は、ショートビーコンフレームにおけるタイムスタンプ表示ビットが設定されているかどうかを判断する(例えば、ビットが設定されていれば、8バイトタイムスタンプを示し、ビットが設定されていなければ、4バイトタイムスタンプを示す)。真の場合、方法500は516に続行する。偽の場合、方法500は520に続行する。516で、クライアント局のMACは、そのTSF時間を8バイトタイムスタンプに設定し、方法500は508へ続行する。
【0046】
520で、クライアント局のMACは、4バイトタイムスタンプの最上位ビット、及びクライアント局のTSF時間の最下位4バイトの最上位ビットが異なるかどうかを判断する。真の場合、方法500は524に続行する。偽の場合、方法500は528に続行する。528で、クライアント局のMACは、そのTSF時間の最下位4バイトを4バイトタイムスタンプに設定し、方法500は508に続行する。
【0047】
524で、クライアント局のMACは、4バイトタイムスタンプがクライアント局のTSF時間の最下位4バイトより小さいかどうかを判断する。真の場合、方法500は532に続行する。偽の場合、方法500は536に続行する。532で、クライアント局のMACは、クライアント局のTSF時間の最下位4バイトと、4バイトタイムスタンプとの間の差が、予め定められた閾値(例えば、231)よりも大きいかどうかを判断する。真の場合、方法500は540に続行する。偽の場合、方法500は544に続行する。540で、クライアント局のMACは、クライアント局のTSF時間の最上位4バイトを1だけインクリメントし、方法500は544に続行する。544で、クライアント局のMACは、クライアント局のTSF時間の最下位4バイトを4バイトタイムスタンプに設定し、方法500は508に続行する。
【0048】
536で、クライアント局のMACは、4バイトタイムスタンプと、クライアント局のTSF時間の最下位4バイトとの間の差が、予め定められた閾値よりも大きいかどうかを判断する。真の場合、方法500は548に続行する。偽の場合、方法500は528に続行する。548で、クライアント局のMACは、クライアント局のTSF時間の最上位4バイトを1だけデクリメントし、方法500は528に続行する。528で、クライアント局のMACは、クライアント局のTSF時間の最下位4バイトを4バイトタイムスタンプに設定し、方法500は508に続行する。
【0049】
本開示において説明される無線通信は、IEEE規格802.11−2012、IEEE規格802.16−2009、IEEE規格802.20−2008、及び/又はBluetooth(登録商標)Core仕様書v4.0に全体的に又は部分的に準拠して実行され得る。様々な実装において、Bluetooth(登録商標)Core仕様書v4.0は、Bluetooth(登録商標)Core仕様書補遺2、3、又は4のうちの1又は複数により修正され得る。様々な実装において、IEEE802.11−2012は、ドラフトIEEE規格802.11ac、ドラフトIEEE規格802.11ad、及び/又はドラフトIEEE規格802.11ahにより補足され得る。
【0050】
前述の説明は、本質的に単に例示的であり、本開示、その適用、又は使用を限定することを全く意図しない。本開示の広範な教示が、様々な形態で実装され得る。従って、複数の図面、明細書、及び以下の特許請求の範囲を検討すれば他の複数の変更形態が明らかとなるので、本開示は複数の具体例を含むが、本開示の真の範囲はそのように限定されるべきではない。本明細書において使用されるように、A、B、及びCのうちの少なくとも1つという句は、非排他論理ORを使用する論理(A又はB又はC)を意味すると解釈されるべきであり、「Aの少なくとも1つ、Bの少なくとも1つ、Cの少なくとも1つ」を意味するものと解釈されるべきではない。方法の中の1又は複数の段階が、本開示の原理を変更することなく、異なる順序で(又は同時に)実行されてよいことを理解されたい。
【0051】
本願において説明される複数の装置及び複数の方法は、複数のコンピュータプログラムにおいて具現された1又は複数の特定の機能を実行するよう、一般的な目的のコンピュータを構成することによって作成される、特別な目的のコンピュータによって部分的又は完全に実装され得る。複数のコンピュータプログラムは、少なくとも1つの非一時的な、有形のコンピュータ可読媒体上に格納される複数のプロセッサ実行可能な命令を含む。複数のコンピュータプログラムはまた、格納されたデータを含み、又は使用してよい。複数のコンピュータプログラムは、特別な目的のコンピュータのハードウェアと相互作用する基本入出力システム(BIOS)、特別な目的のコンピュータの複数の特定のデバイスと相互作用する複数のデバイスドライバ、1又は複数のオペレーティングシステム、複数のユーザアプリケーション、複数のバックグラウンドサービス及びアプリケーション等を含み得る。
【0052】
複数のコンピュータプログラムは、(i)アセンブリコード、(ii)コンパイラによってソースコードから生成されたオブジェクトコード、(iii)インタプリタによって実行するためのソースコード、(iv)実行時コンパイラによって、コンパイル及び実行するためのソースコード、(v)HTML(hyper text markup language)又はXML(extensible markup language)等の構文解析するための記述テキストを含み得る。例示に過ぎないが、ソースコードは、C、C++、C#、Objective−C、Haskell、Go、SQL、Lisp、Java(登録商標)、ASP、Perl、Javascript(登録商標)、HTML5、Ada、ASP(active server pages)、Perl、Scala、Erlang、Ruby、Flash(登録商標)、Visual Basic(登録商標)、Lua、又は、Python(登録商標)で書かれ得る。
【0053】
特許請求の範囲に記載された要素は、要素が明示的に"のための手段"という句を使用して記載されているか、又は、方法の請求項が、"のための処理"若しくは"のための段階"という句を使用して記載されている場合を除いて、35 U.S.C.§112(f)の意味でのミーンズプラスファンクションの要素であることが意図されていない。[項目1] 無線通信デバイスであって、
(i)第1の長さを有する第1のタイムスタンプ、及び(ii)第2の長さを有する第2のタイムスタンプとを選択的に生成し、上記第1のタイムスタンプは上記無線通信デバイスの第1の同期時間を示し、上記第2のタイムスタンプは上記第1の同期時間における第1の部分のみを示し、上記第1の同期時間はクライアント局により、上記無線通信デバイスと、上記クライアント局との間のタイミングを同期すべく使用され、
(i)上記第1のタイムスタンプ、又は、上記第2のタイムスタンプのいずれか、及び(ii)ビーコンが上記第1のタイムスタンプ、又は上記第2のタイムスタンプのいずれを含むかを示す、指標を含む上記ビーコンを生成するよう構成された第1のメディアアクセス制御デバイスと、上記無線通信デバイスから上記クライアント局へ上記ビーコンを送信するよう構成された第1の送受信機とを備える、無線通信デバイス。[項目2] 上記無線通信デバイスは、アクセスポイントと対応する、項目1に記載の無線通信デバイス。[項目3] 上記第1の長さは、上記第2の長さより長い、項目1に記載の無線通信デバイス。[項目4] 上記第1の長さは8バイトであり、上記第2の長さは4バイトである、項目1に記載の無線通信デバイス。[項目5] 上記ビーコンは、上記第1のタイムスタンプ、又は上記第2のタイムスタンプのいずれを含むかを示す、上記指標は、上記ビーコンのフレーム制御フィールドにおけるタイムスタンプ表示ビットに対応する、項目1に記載の無線通信デバイス。[項目6] 上記第1のメディアアクセス制御デバイスは、ターゲットビーコン送信時間での上記第1のタイムスタンプを含む上記ビーコンを生成するよう構成された、項目1に記載の無線通信デバイス。[項目7] 上記第1のメディアアクセス制御デバイスは、ターゲットショートビーコン送信時間での上記第2のタイムスタンプを含む上記ビーコンを生成するよう構成された、項目1に記載の無線通信デバイス。[項目8] 上記ビーコンは、ショートビーコンフレームに対応する、項目1に記載の無線通信デバイス。[項目9] (i)項目1に記載の上記無線通信デバイスと、(ii)上記クライアント局とを備えるシステムであって、
上記クライアント局は、
上記無線通信デバイスから上記クライアント局へ送信された上記ビーコンを受信するよう構成された、第2の送受信機と、
上記指標に基づいて、上記ビーコンは上記第1のタイムスタンプ、又は上記第2のタイムスタンプのいずれを含むかを判断し、
上記ビーコンが上記第1のタイムスタンプを含む場合には、上記クライアント局の第2の同期時間を上記第1のタイムスタンプに設定し、
上記ビーコンが上記第2のタイムスタンプを含む場合には、(i)上記第2の同期時間の第1の部分のみを上記第2のタイムスタンプに対応する上記第1の同期時間の上記第1の部分を設定し、(ii)上記第2のタイムスタンプと、上記第2の同期時間の上記第1の部分との間の比較に基づいて、上記第2の同期時間の第2の部分を選択的にインクリメント又はデクリメントするよう構成された、第2のメディアアクセス制御デバイスとを、有する、システム。[項目10] (i)上記第2の同期時間の上記第1の部分は、上記第2の同期時間の最下位4バイトに対応し、(ii)上記第2の同期時間の上記第2の部分は、上記第2の同期時間の最上位4バイトに対応し、(iii)上記第1の同期時間の上記第1の部分は、上記第1の同期時間の最下位4バイトに対応する、項目9に記載のシステム。[項目11] 上記第2の同期時間の上記第2の部分を選択的にインクリメントするか、又はデクリメントするかのいずれかを判断すべく、上記第2のメディアアクセス制御デバイスは、(i)上記第2の同期時間の上記第1の部分の最上位ビットと、上記第2のタイムスタンプの最上位ビットとが異なるかを判断し、(ii)上記第2のタイムスタンプが、上記第2の同期時間の上記第1の部分より大きいか、小さいかを判断し、(iii)上記第2のタイムスタンプと、上記第2の同期時間の上記第1の部分との間の差が、予め定められた閾値より大きいかを判断するよう構成された、項目9に記載のシステム。[項目12] 無線通信デバイスを動作させる方法であって、
(i)第1の長さを有する第1のタイムスタンプと、(ii)第2の長さを有する第2のタイムスタンプとを、選択的に生成する段階であって、上記第1のタイムスタンプは上記無線通信デバイスの第1の同期時間を示し、上記第2のタイムスタンプは、上記第1の同期時間の第1の部分のみを示し、上記第1の同期時間はクライアント局により、上記無線通信デバイスと、上記クライアント局との間のタイミングを同期すべく使用される段階と、
(i)上記第1のタイムスタンプ、又は、上記第2のタイムスタンプのいずれかと、(ii)ビーコンが、上記第1のタイムスタンプ、又は上記第2のタイムスタンプのいずれを含むかの指標とを有する、上記ビーコンを生成する段階と、
上記ビーコンを上記無線通信デバイスから上記クライアント局へ送信する段階とを備える、方法。[項目13] 上記無線通信デバイスは、アクセスポイントに対応する、項目12に記載の方法。[項目14] 上記第1の長さは、上記第2の長さより長い、項目12に記載の方法。[項目15] 上記第1の長さは8バイトであって、上記第2の長さは4バイトである、項目12に記載の方法。[項目16] 上記ビーコンは、上記第1のタイムスタンプか、上記第2のタイムスタンプのいずれを含むかの上記指標は、上記ビーコンのフレーム制御フィールドにおけるタイムスタンプ表示ビットに対応する、項目12に記載の方法。[項目17] 上記ビーコンを生成する段階は、ターゲットビーコン送信時間における上記第1のタイムスタンプを含む上記ビーコンを生成する段階を有する、項目12に記載の方法。[項目18] 上記ビーコンを生成する段階は、ターゲットショートビーコン送信時間における上記第2のタイムスタンプを含む上記ビーコンを生成する段階を有する、項目12に記載の方法。[項目19] 上記ビーコンは、ショートビーコンフレームに対応する、項目12に記載の方法。[項目20] 上記クライアント局を使用して、
上記無線通信デバイスから上記クライアント局へ送信された上記ビーコンを受信する段階と、
上記指標に基づいて、上記ビーコンが上記第1のタイムスタンプ、又は上記第2のタイムスタンプのいずれを含むかを判断する段階と、
上記ビーコンが上記第1のタイムスタンプを有する場合に、上記クライアント局の第2の同期時間を上記第1のタイムスタンプに設定する段階と、
上記ビーコンが上記第2のタイムスタンプを有する場合に、
上記第2の同期時間の第1の部分のみを、上記第2のタイムスタンプに対応する上記第1の同期時間の上記第1の部分に設定し、
上記第2のタイムスタンプと、上記第2の同期時間の上記第1の部分との間の比較に基づいて、上記第2の同期時間の第2の部分を選択的にインクリメント又はデクリメントする段階とを更に備える、項目12に記載の方法。
図1A
図1B
図1C
図2
図3
図4
図5