【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 展示日 平成26年1月30日、31日 展示会名、開催場所 第22回全国救急隊員シンポジウム 西日本総合展示場 新館(北九州市小倉北区浅野3−8−1) 北九州国際会議場(北九州市小倉北区浅野3−9−30)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
患者に呼吸用ガスを吹き込む第1ガス吹込みユニットと、患者の胸部を圧迫する胸骨圧迫ユニットと、前記第1ガス吹込みユニット及び前記胸骨圧迫ユニットを制御する第1制御部と、前記胸骨圧迫ユニットが胸骨圧迫を実行することを指示するリモートコントロール信号を含む外部信号を入力する外部信号入力部と、を有する心肺蘇生器と、
患者に呼吸用ガスを吹き込む第2ガス吹込みユニットと、該第2ガス吹込みユニットを制御し、かつ、前記外部信号を生成する第2制御部と、該第2制御部が生成した外部信号を外部に出力する外部信号出力部と、患者の気道内圧を検知する気道内圧センサと、を有する人工呼吸器と、
前記外部信号出力部から前記外部信号入力部に前記外部信号を伝達する信号伝達手段と、を備え、
前記第1ガス吹込みユニット及び前記胸骨圧迫ユニットが作動可能状態であり、かつ、前記第2ガス吹込みユニットが停止状態であるローカルモードと、
前記胸骨圧迫ユニット及び前記第2ガス吹込みユニットが作動可能状態であり、かつ、前記第1ガス吹込みユニットが停止状態であるリモートモードとを有し、
該リモートモードでは、前記心肺蘇生器と前記人工呼吸器とが前記信号伝達手段によって前記外部信号の伝達が可能な状態とされて、前記第2制御部が前記胸骨圧迫ユニットを制御することを特徴とする心肺蘇生システム。
前記リモートモードでは、前記気道内圧センサが陰圧を検知したタイミングで、前記第2ガス吹込みユニットが呼吸用ガスの吹き込みを実行することを特徴とする請求項1又は2に記載の心肺蘇生システム。
患者に呼吸用ガスを吹き込む第1ガス吹込みユニットと、患者の胸部を圧迫する胸骨圧迫ユニットと、前記第1ガス吹込みユニット及び前記胸骨圧迫ユニットを制御する第1制御部と、前記胸骨圧迫ユニットが胸骨圧迫を実行することを指示するリモートコントロール信号を含む外部信号を入力する外部信号入力部と、を有する心肺蘇生器であって、
該心肺蘇生器が、前記第1ガス吹込みユニット及び前記胸骨圧迫ユニットが作動可能状態であり、かつ、人工呼吸器の第2ガス吹込みユニットが停止状態であるローカルモードと、前記胸骨圧迫ユニット及び前記第2ガス吹込みユニットが作動可能状態であり、かつ、前記第1ガス吹込みユニットが停止状態であるリモートモードと、を切り替えるモード切替ボタンを有するか、及び/又は、
前記外部信号が、前記ローカルモードと前記リモートモードとを切り替えるモード切替信号を含むことを特徴とする心肺蘇生器。
患者に呼吸用ガスを吹き込む第2ガス吹込みユニットと、該第2ガス吹込みユニットを制御し、かつ、心肺蘇生器へのリモートコントロール信号を含む外部信号を生成する第2制御部と、該第2制御部が生成した外部信号を外部に出力する外部信号出力部と、患者の気道内圧を検知する気道内圧センサと、を有し、
前記外部信号が、前記心肺蘇生器の第1ガス吹込みユニット及び前記心肺蘇生器の胸骨圧迫ユニットが作動可能状態であり、かつ、前記第2ガス吹込みユニットが停止状態であるローカルモードと、前記胸骨圧迫ユニット及び前記第2ガス吹込みユニットが作動可能状態であり、かつ、前記第1ガス吹込みユニットが停止状態であるリモートモードと、を切り替えるモード切替信号を含むことを特徴とする人工呼吸器。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明について実施形態を示して詳細に説明するが本発明はこれらの記載に限定して解釈されない。本発明の効果を奏する限り、実施形態は種々の変形をしてもよい。
【0014】
(心肺蘇生器)
図5は、本実施形態に係る心肺蘇生器の一例を示す斜視図である。心肺蘇生器100は、
図5に示すように、アーチ部10と、バーチカルロッド20と、背板30とを備える。
【0015】
アーチ部10は、天面部11と、左右側面部12とを有し、患者の胸部上方にまたがって配置される。アーチ部10は、天面部11から下方に突出し、天面部11に上下方向に移動可能に支持される衝撃槌121と衝撃槌121を上下に往復運動させる昇降手段122とを有する。衝撃槌121は、昇降手段122に連結する衝撃槌ロッド121aと、衝撃槌ロッド121aの下端部に取り付けられ、患者の胸部に当てられる衝撃頭パッド121bとを有する。衝撃槌ロッド121a及び衝撃頭パッド121bにおいて、衝撃頭パッド121bは、常にパッド面が患者の胸骨と平行になるように、衝撃槌ロッド121aの先端部に衝撃頭パッド121bの角度調整機能を設けることが好ましい。すなわち、衝撃槌121が、衝撃槌ロッド121aの先端部に衝撃頭パッド121bの角度が自由になるような構造体となっていることが好ましい。衝撃頭パッド121bは、例えば、シリコーン樹脂などの軟質弾性体材料からなる。また、衝撃頭パッド121bにおける患者の胸部に当てられる部分の直径は、5cm以上8cm以下であることが好ましい。
【0016】
また、衝撃頭パッド121bの硬さは、特に限定されないが、柔らかいことが好ましい。例えば、衝撃頭パッド121bがシリコーンゴムであるとき、硬度は20程度であることが好ましい。衝撃頭パッド121bの直径を大きくすると、肋軟骨を骨折する頻度が高くなるおそれがあるところ、衝撃頭パッド121bの硬さを柔らかくすることで、肋軟骨にかかる負荷を吸収し、衝撃頭パッド121bの直径を大きくしても骨折の頻度を低減することができる。また、衝撃頭パッド121bが、常にパッド面が患者の胸骨と平行になるように、衝撃槌ロッド121aの先端部に衝撃頭パッド121bの角度が自由になるような構造体とすることで、圧迫パッドの押し当て位置のずれに起因する胸骨骨折(助軟骨骨折)を防止できる。
【0017】
また、衝撃槌ロッド121aの先端部に衝撃頭パッド121bの角度調整機能を設けることによって、衝撃頭パッド121bがフレキシブルに動く構造となり、衝撃頭パッド121bのパッド面の角度が常に胸骨と平行になった状態で胸骨圧迫ができる。このため、胸骨の凸凹に対し、押し当て負荷の具合を点から面へと分散させることができ、胸骨骨折防止に貢献できる。
【0018】
衝撃槌121は、その中央部に、衝撃槌121の上下往復運動方向に沿ってレーザー光を照射するレーザー照射部(不図示)を有することが好ましい。レーザー光を患者に照射することで、圧迫位置をより容易に確認することができる。また、レーザー光を患者の胸部へ向けて照射し、その反射光を受光することで、患者の胸厚を測定する構成としてもよい。衝撃頭パッド121bが、その中央部に、衝撃槌121の上下往復運動方向に貫通させて設けられた貫通孔(不図示)を有し、レーザー照射部は、衝撃頭パッド121bの貫通孔内に配置されることが好ましい。レーザー照射部は、例えば、緑色レーザーポインターである。
【0019】
患者の心臓の圧迫位置と衝撃頭パット121bの位置とを合わせる作業は、次のように手動で行うことが好ましい。衝撃槌121の中央部から患者へ照射されるレーザーポイントで目視確認して、レーザーポイントの位置と患者の圧迫部位の最適ポイントとを一致させる。このとき、レーザーポイントの位置が患者の圧迫部位の最適ポイントからずれる場合は、患者の背中を少し浮き上がらせ患者の胸に照射されたレーザーポイントを視認しながら、心肺蘇生器100を動かしてレーザーポイントが患者の圧迫部位の最適ポイントに当たるようにする。この作業によって、衝撃頭パット121bを患者の圧迫部位の最適ポイントにより確実に当てることができる。もし、患者搬送時の揺れ又は患者搬送時の担架の傾斜などによって、患者の圧迫部位の最適ポイントが上下左右に多少ずれたとしても、衝撃槌ロッド121aの先端部に衝撃頭パッド121bの角度調整機能を設けることによって、衝撃頭パッド121bのパッド面の角度が常に患者の胸骨と平行になった状態で圧迫するので、パッドの負荷が点から面に分散することができ、胸骨圧迫を防止できる。
【0020】
バーチカルロッド20は、左右に一対設けられ、アーチ部の左右側面部12の下端に設けられた固定部13にそれぞれ固定される。バーチカルロッド20は、例えば固定部13のラチェットに係合して、アーチ部10を上下方向に移動可能に支持する。バーチカルロッド20は、
図5に示すように、目盛り21が表示されていることが好ましい。アーチ部10を患者にセットした状態で、アーチ部10を患者の胸部に向かって押し下げて行き、衝撃頭パッド121bが患者の胸部に接した時点で目盛りを読み取り、患者の胸厚として記録することが好ましい。この読み取った胸厚を基に、衝撃槌121の圧迫深さを設定することができる。このように、患者の一人ひとりに適した圧迫深さのより細かな調整が可能となる。
【0021】
本実施形態に係る心肺蘇生器100では、アーチ部10を患者の上方に設置するとき、バーチカルロッド20によって、アーチ部10を患者の胸厚に合わせて下げることができる。これによって、心肺蘇生器100の重心を下げることができるため、患者に心肺蘇生器100を装着した状態で担架に載せて搬送するとき、例えば階段などによって担架が傾いたとしても、安定して胸骨圧迫を継続させることができる。また、圧迫部位のずれによる胸骨又は肋骨の骨折を防ぐことができる。
【0022】
背板30は、患者の胸部下面を支持する板である。背板30は、例えば、背板30に設けた溝又は孔などの係合部(不図示)を、バーチカルロッド20の下端に設けた突起(不図示)に係合させることで、アーチ部10に着脱自在に固定される。
【0023】
心肺蘇生器100は、表示部14を有することが好ましい。表示部14は、例えば、レーザー光の照射によって測定した患者の胸厚、圧迫深さ又は患者の胸骨圧迫時の負荷を表示する。表示部14は、少なくとも圧迫深さ及び患者の胸骨圧迫時の負荷の両方を表示することが好ましい。圧迫時の深さ又は負荷が大きすぎると、胸骨又は肋骨を骨折するおそれがある。胸骨又は肋骨の骨折は社会復帰への影響が大きいだけでなく、患者が胸骨又は肋骨を骨折すると、衝撃頭パッド121bが初期設定の位置まで戻らなくなる。そうすると、心臓に血液が戻りにくくなるため、血液の循環を妨げるおそれがあり、胸骨及び肋骨骨折の防止が望まれている。また、ガイドラインによれば、圧迫深さ及び負荷について、50kgの負荷を掛けて5cm押すことが推奨されているが、胸骨及び肋骨の硬軟には個人差があり、患者の一人ひとりに合わせた調整が求められる。圧迫深さ及び圧迫時の負荷を表示部14に表示して確認することで、患者の胸骨及び肋骨の硬軟を知ることができる。その結果、胸骨及び肋骨の骨折を防止することができ、安全性をより高めることができる。
【0024】
表示部14は、すべての表示項目を一つの表示部に表示するか、又は表示項目毎に別個の表示部を設けてもよい。また、表示部14は、
図5ではアーチ部10に設けた例を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば背板30に設けてもよい。
【0025】
図1は、本実施形態に係る心肺蘇生器のブロック図の一例である。
図1を参照して心肺蘇生器100を説明する。本実施形態に係る心肺蘇生器100は、患者に呼吸用ガスを吹き込む第1ガス吹込みユニット110と、患者の胸部を圧迫する胸骨圧迫ユニット120と、第1ガス吹込みユニット110及び胸骨圧迫ユニット120を制御する第1制御部130と、胸骨圧迫ユニット120が胸骨圧迫を実行することを指示するリモートコントロール信号を含む外部信号を入力する外部信号入力部140と、を有する。
【0026】
心肺蘇生器100は、第1制御部130、第1ガス吹込みユニット110の駆動系統及び胸骨圧迫ユニット120の駆動系統などを収容する筐体101を有する。筐体101を設ける位置は特に限定されず、例えば、患者の胸部上方にまたがって配置されるアーチ部10(
図5に図示)の一部として設けられるか、アーチ部10(
図5に図示)に外付けされるか、患者の胸部下面を支持する背板30(
図5に図示)の一部として設けられるか、又は背板30(
図5に図示)に外付けされてもよい。
【0027】
第1ガス吹込みユニット110は、患者に呼吸用ガスを吹き込むためのホース111を有する。ホース111の一方の端部は、心肺蘇生器100の筐体101に設けられたホース差込口112に連結される。ホース111の他方の端部は、患者に装着するマスク(不図示)又は気管挿管のチューブ(不図示)に連結される。
【0028】
第1ガス吹込みユニット110の駆動系統は、例えば、駆動ガス供給源102と、駆動ガス圧センサ103と、換気用減圧器113と、換気用電磁弁114と、陽圧安全弁115と、気道内圧センサ116と、それらを結ぶ配管151〜156とを含む。駆動ガス供給源102に接続された配管151は駆動ガス圧センサ103に接続される。駆動ガス圧センサ103に接続された配管152は換気用減圧器113に接続される。換気用減圧器113に接続された配管153は換気用電磁弁114に接続される。換気用電磁弁114に接続された配管154はホース差込口112に接続される。陽圧安全弁115は、配管155で配管154に接続される。気道内圧センサ116は、配管156で配管154に接続される。
【0029】
駆動ガス供給源102は、例えばガスボンベ又はエアタンクである。駆動ガス供給源102は、携帯性に優れる点で、携行型ガスボンベであることが好ましい。駆動ガスの種類は、例えば、純酸素、酸素富化空気又は空気である。駆動ガス供給源102から供給された駆動ガスは、レギュレータ(不図示)で所定の圧力に減圧されて駆動ガス圧センサ103に送られる。所定の圧力は、胸骨圧迫ユニット120を駆動するのに適した圧力であることが好ましく、例えば0.35〜0.45MPaに調整することが好ましい。駆動ガス圧センサ103は、駆動ガス供給源102から供給されたガスの圧力を検知して、第1制御部130に圧力信号を出力する。第1制御部130は、入力した圧力信号に基づいて、圧力が設定値よりも高い又は低いときは、圧電ブザーを鳴らす。駆動ガス圧センサ103を通過した駆動ガスは、換気用減圧器113に送られる。換気用減圧器113は、駆動ガスの圧力を呼吸用に適した圧力まで減圧して呼吸用ガスを生成する。呼吸用ガスは、換気用電磁弁114に送られる。換気用電磁弁114は第1制御部130によって開閉が制御され、ホース差込口112から排出されるガスのオン−オフを行う。陽圧安全弁115は、患者の気道が閉塞された場合などのように、換気用電磁弁114とホース差込口112との間の配管154内の圧力が異常圧力(例えば70hPa以上)に達したときに開放されるリリーフ弁である。気道内圧センサ116は、換気用電磁弁114とホース差込口112との間の配管154内の圧力を検知する。配管154内の圧力が患者の気道内圧とみなされる。気道内圧センサ116は、少なくとも陽圧を検知できればよい。気道内圧センサ116は、第1制御部130に圧力信号を出力する。第1制御部130は、入力した圧力信号に基づいて、圧力が設定値よりも高いときは、圧電ブザーを鳴らす。また、第1制御部130は、気道内圧センサ116の検知した圧力が所定の圧力値以上に達したとき(例えば40hPaを超えたとき)、換気用電磁弁114を閉にする信号を換気用電磁弁114に出力する。その結果、患者に高圧のガスが注入されることを防止することができる。
【0030】
第1ガス吹込みユニット110の駆動ガスは、純酸素であることが好ましい。純酸素をリコイル時に患者に吹き込むことで、胸腔内圧を上昇させることなく、血液の循環を維持し、より効率のよい酸素化が可能である。大気を吹き込む場合と比較して約5倍の酸素を吹き込むことができるため、脳及び臓器の壊死を防止して、脳機能カテゴリー(cerebral performance category、CPC)及び全身機能カテゴリー(Overall Performance Category、OPC)の向上に有効である。
【0031】
第1ガス吹込みユニット110による呼吸用ガスの換気量は、例えば、換気用減圧器113が備えるダイヤフラム又はニードルバルブを制御することで調整される。また、第1ガス吹込みユニット110による呼吸用ガスの吸気時間は、例えば、換気用電磁弁114を開放する時間が第1制御部130によって制御されることで調整される。第1ガス吹込みユニット110による呼吸用ガスの換気量は、例えば200〜1200ml/回で調整され、吸気時間は、例えば1.0秒、1.5秒又は2.0秒のように段階的に調整される。その結果、第1ガス吹込みユニット110による呼吸用ガスの流速は、例えば12〜36リットル/分の範囲で調整可能となる。本実施形態に係る心肺蘇生システムでは、呼吸用ガスの流速及び吹き込みタイミングをより厳密に調整した人工呼吸は人工呼吸器によって行うことができるため、第1ガス吹込みユニット110による呼吸用ガスの流速及び吹き込みのタイミングは、換気用減圧器が備えるダイヤフラム又はニードルバルブ及び電磁弁の開閉などのような比較的簡易な方法で調整すればよい。その結果、心肺蘇生器100を小型、かつ、軽量にすることができる。
【0032】
胸骨圧迫ユニット120は、患者の胸部に衝撃を付加する衝撃槌121と衝撃槌121を上下に往復運動させる昇降機構122とを有する。昇降機構122は、シリンダ123を有する。シリンダ123は、容器状であり、ガス供給口(不図示)及びガス排気口(不図示)とを有する。シリンダ123の内部空間には、ピストン124と排気時にピストン124を押し戻すスプリング125とが配置される。
【0033】
胸骨圧迫ユニット120の駆動系統は、例えば、駆動ガス供給源102と、駆動ガス圧センサ103と、圧迫深度調整器126と、圧迫用電磁弁127と、それらを結ぶ配管151、152、157〜159とを含む。駆動ガス供給源102に接続された配管151は駆動ガス圧センサ103に接続される。駆動ガス圧センサ103に接続された配管152は配管157に接続され、配管157は圧迫深度調整器126に接続される。圧迫深度調整器126に接続された配管158は圧迫用電磁弁127に接続される。圧迫用電磁弁127に接続された配管159は昇降機構122に接続される。
【0034】
駆動ガス供給源102及び駆動ガス圧センサ103は、第1ガス吹込みユニット110の駆動系統の駆動ガス供給源102及び駆動ガス圧センサ103と兼用であることが好ましい。圧迫深度調整器126は、昇降機構122の上下往復運動のストローク幅を調整する。上下往復運動のストローク幅は、患者に応じて適宜調整されるが、「AHA 心肺蘇生と救急心血管治療のためのガイドライン 2010(2010 AHA Guidelines for CPR and ECC)」(以降、ガイドラインということもある。)では、成人で5cm以上と推奨されている。圧迫用電磁弁127は、例えば三方電磁弁である。あるいは、圧迫用電磁弁127として三方電磁弁の代わりに、ガス入力用とガス排気用とで別個の弁を用いてもよい。圧迫用電磁弁127は第1制御部130によって開閉が制御される。シリンダ123内に駆動ガスが供給されるとピストン124がスプリング125の反発力に抗いながら押し下げられ、衝撃槌121は下方に移動する。シリンダ123内から駆動ガスが排気されるとスプリング125が伸びてピストン124が押し上げられ、衝撃槌121は上方に移動する。これらが繰り返されることで、衝撃槌121が上下に往復運動する。
【0035】
図1では、胸骨圧迫ユニット120の駆動系統の駆動ガス供給源102及び駆動ガス圧センサ103が、第1ガス吹込みユニット110の駆動系統の駆動ガス供給源102及び駆動ガス圧センサ103と兼用である形態を示したが、第1ガス吹込みユニット110の駆動系統とは駆動ガス供給源102及び駆動ガス圧センサ103を別個にしてもよい。また、胸骨圧迫ユニット120がガス駆動である形態を示したが、本発明はこれに限定されない。胸骨圧迫ユニット120は、例えば電気駆動であってもよい。
【0036】
本実施形態に係る心肺蘇生器100では、胸骨圧迫ユニット120で使用されたガスを、第1ガス吹込みユニット110で再利用することが好ましい。ガスの使用量を節約することができる。また、ガスボンベを小型化することができる。胸骨圧迫ユニット120で使用されたガスを、第1ガス吹込みユニット110で再利用するとき、胸骨圧迫ユニット120の駆動ガスは、純酸素であることが好ましい。純酸素をリコイル時に患者に吹き込むことで、胸腔内圧を上昇させることなく、血液の循環を維持し、より効率のよい酸素化が可能である。大気を吹き込む場合と比較して約5倍の酸素を吹き込むことができるため、脳及び臓器の壊死を防止して、脳機能カテゴリー(cerebral performance category、CPC)及び全身機能カテゴリー(Overall Performance Category、OPC)の向上に有効である。
【0037】
胸骨圧迫ユニット120で使用されたガスは、コンプレッサーで患者への吹き込みに適した圧力に調整された状態で、第1ガス吹込みユニット110に供給されることが好ましい。コンプレッサーは、例えばオイルレスコンプレッサーである。コンプレッサーを配置するとき、胸骨圧迫ユニット120のシリンダ123の排気口と第1ガス吹込みユニット110のホース差込口112との間のガス経路のうち、コンプレッサーの下流に、エアータンクを配置することが好ましい。コンプレッサーから吐出された空気圧力の脈動を抑制することができる。
【0038】
第1制御部130(130a,130b)は、例えば、プリント基板である。
図1では、第1制御部130の一例としてメイン基板130a及びサブ基板130bを設けたが、本発明はこれに限定されない。第1制御部130は、第1ガス吹込みユニット110及び胸骨圧迫ユニット120の制御を行う。また、第1制御部130は、外部信号に基づいて、外部制御されることができる。
【0039】
外部信号入力部140は、例えばケーブルの接続端子(不図示)又は無線信号などの受信部である。外部信号入力部140から入力された外部信号は、第1制御部130に送られる。
【0040】
心肺蘇生器100は、モード切替ボタン(不図示)を有することが好ましい。モード切替ボタン(不図示)は、例えば、心肺蘇生器100の筐体101に設けられたボタン、心肺蘇生器100のタッチパネル(不図示)に表示されるアイコンである。また、モード切替ボタン(不図示)は、信号伝達手段(不図示)としての接続ケーブルを、外部信号入力部140としての接続端子に差し込むと、その差し込みによって押される構造であってもよい。
【0041】
(人工呼吸器)
図2は、本実施形態に係る人工呼吸器のブロック図の一例である。
図2を参照して人工呼吸器200を説明する。本実施形態に係る人工呼吸器200は、患者に呼吸用ガスを吹き込む第2ガス吹込みユニット210と、第2ガス吹込みユニット210を制御し、かつ、心肺蘇生器へのリモートコントロール信号を含む外部信号を生成する第2制御部230と、第2制御部230が生成した外部信号を外部に出力する外部信号出力部240と、患者の気道内圧を検知する気道内圧センサ250と、を有する。
【0042】
人工呼吸器200は、第2制御部230及び第2ガス吹込みユニット210の駆動系統などを収容する筐体201を有する。
【0043】
第2ガス吹込みユニット210は、患者に呼吸用ガスを吹き込むための吸気用ホース211aを有する。呼吸用ガスは、例えば、純酸素、酸素富化空気又は空気である。呼吸用ガスは純酸素であることがより好ましい。吸気用ホース211aの一方の端部は、人工呼吸器200の筐体201に設けられたホース差込口212に接続される。吸気用ホース211aの他方の端部は、患者に装着するマスク(不図示)又は気管挿管のチューブ(不図示)に連結される。第2ガス吹込みユニット210は、吸気用ホース211aに加えて、呼気用ホース211bを更に有することが好ましい。患者の呼気中の二酸化炭素を系外に効率的に排除することができる。呼気用ホース211bの一方の端部は、呼気弁213に接続される。呼気用ホース211bの他方の端部は、吸気用ホース211aの先端部に配置された呼気弁214に連結される。
【0044】
第2ガス吹込みユニット210の駆動系統215は、第1ガス吹込みユニット110の駆動系統と基本的な構成を同じくする。ここでは、共通する構成については説明を省略し、異なる構成について説明する。第2ガス吹込みユニット210の駆動ガス供給源202は、携行型ガスボンベであるか、又は救急車若しくは病院に据え置きされたガスボンベであってもよい。第2ガス吹込みユニット210の駆動系統215では、換気用減圧器113を省略して、駆動ガス供給源202から供給された駆動ガスを、レギュレータ(不図示)で呼吸用に適したガス圧まで減圧してもよい。また、第1ガス吹込みユニット110では換気用電磁弁114を用いていたが、第2ガス吹込みユニット210では、流量調整弁(不図示)などの流量制御が可能な弁を用いることが好ましい。第1ガス吹込みユニット110による呼吸用ガスの吸気時間は、段階的にしか調整できなかったのに対して、第2ガス吹込みユニット210による呼吸用ガスの吸気時間は、例えば0.3〜3.0秒の範囲で連続的に調整できる。さらに、第2ガス吹込みユニット210による呼吸用ガスの換気量は、第1ガス吹込みユニット110による呼吸用ガスの換気量の範囲よりも広範囲での調整が可能であり、例えば50〜3000ml/回である。このため、第2ガス吹込みユニット210の駆動系統215は、第1ガス吹込みユニット110の駆動系統よりもきめ細かい流速の調整が可能である。流量調整弁(不図示)は、第2制御部230によって制御される。
【0045】
第2制御部230は、例えば、プリント基板である。第2制御部230は、第2ガス吹込みユニット210の駆動系統215の制御を行う。また、第2制御部230は、外部信号を生成する。
【0046】
外部信号出力部240は、例えばケーブルの接続端子(不図示)又は無線信号などの送信部であり、第2制御部230から送られてきた外部信号を出力する。
【0047】
気道内圧センサ250は、陰圧から陽圧まで検知できるセンサであり、患者の気道内圧を検知して、第2制御部230に圧力信号を出力する。気道内圧センサ250は、例えば、ホース差込口212又は吸気用ホース211aに接続される配管251内の圧力を検知し、配管251内の圧力を患者の気道内圧とみなしている。
【0048】
(心肺蘇生システム)
図3は、本実施形態に係る心肺蘇生システムの概念図の一例である。本実施形態に係る心肺蘇生システム1は、心肺蘇生器100と、人工呼吸器200と、外部信号出力部240から外部信号入力部140に外部信号を伝達する信号伝達手段300と、を備え、第1ガス吹込みユニット110及び胸骨圧迫ユニット120が作動可能状態であり、かつ、第2ガス吹込みユニット210が停止状態であるローカルモードと、胸骨圧迫ユニット120及び第2ガス吹込みユニット210が作動可能状態であり、かつ、第1ガス吹込みユニット110が停止状態であるリモートモードとを有し、リモートモードでは、心肺蘇生器100と人工呼吸器200とが信号伝達手段300によって外部信号の伝達が可能な状態とされて、第2制御部230が胸骨圧迫ユニット120を制御する。
【0049】
心肺蘇生器100は、例えば
図1に示す心肺蘇生器である。
【0050】
人工呼吸器200は、例えば
図2に示す人工呼吸器である。
【0051】
信号伝達手段300は、例えば、接続ケーブル又は無線通信である。
【0052】
ローカルモードは、心肺蘇生器100だけで胸骨圧迫及び人工呼吸を実施するモードである。ローカルモードを有することで、救命救急現場で、迅速に心肺蘇生を開始することができる。ローカルモードでは、第1制御部130が第1ガス吹込みユニット110と胸骨圧迫ユニット120とを制御している。ローカルモードは、心肺蘇生器100は、胸骨圧迫ユニット120が所定回数の胸骨圧迫と、所定回数の胸骨圧迫後、胸骨圧迫ユニット120を一時停止させる待機とを繰り返し、胸骨圧迫ユニット120が待機状態にあるとき、第1ガス吹込みユニット110が呼吸用ガスの吹き込みを所定回数行う同期モードを有することが好ましい。同期モードにおける胸骨圧迫と人工呼吸との比率は、特に限定されないが、例えばガイドラインでは、胸骨圧迫と人工呼吸とを30:2の比で行うことが推奨されている。ローカルモードにおける同期モードでは、第1制御部130は、胸骨圧迫ユニット120が胸骨圧迫を実施している間、第1ガス吹込みユニット110による呼吸用ガスの吹き込みを停止させる制御を行う。その結果、1回の胸骨圧迫後リコイルする毎に「受動的な換気」が起こる。さらに、第1制御部130は、胸骨圧迫ユニット120が待機状態にあるとき、第1ガス吹込みユニット110による呼吸用ガスの吹き込みを実施させる制御を行う。その結果、「押し込み」が行われる。第1ガス吹込みユニット110の呼吸用ガスの吹き込みを停止させる制御は、例えば、
図1に示す換気用電磁弁114を閉とする制御である。第1ガス吹込みユニット110の呼吸用ガスの吹き込みを実施させる制御は、例えば、
図1に示す換気用電磁弁114を開とする制御である。また、ローカルモードは、胸骨圧迫ユニット120が胸骨圧迫を連続して行いながら、第1ガス吹込みユニット110が呼吸用ガスの吹き込みを所定の時間毎に所定回数行う非同期モードを有していてもよい。非同期モードにおける呼吸用ガスの吹き込み間隔は、特に限定されないが、例えば6秒ごとに1回である。ローカルモードにおける非同期モードでは、第1制御部130は、6秒に1回などの所定のタイミングで、第1ガス吹込みユニット110による呼吸用ガスの吹き込みを実施させる制御を行う。その結果、「押し込み」が行われる。さらに、第1制御部130は、所定のタイミング以外は、第1ガス吹込みユニット110による呼吸用ガスの吹き込みを停止させる制御を行う。その結果、1回の胸骨圧迫後リコイルする毎に「受動的な換気」が起こる。ローカルモードにおける同期モードと非同期モードとの切り替えは、例えば心肺蘇生器100の筐体101に設けられた調整ノブ(不図示)又はタッチパネル(不図示)で行われる。また、同期モードにおける胸骨圧迫と人工呼吸との比率又は非同期モードにおける呼吸用ガスの吹き込み間隔は、操作者が、例えば心肺蘇生器100の筐体101に設けられた調整ノブ(不図示)又はタッチパネル(不図示)で設定する。ローカルモードでは、同期モード又は非同期モードのいずれであっても、1回の胸骨圧迫後リコイルする毎に「受動的な換気」が起こる。
【0053】
リモートモードは、心肺蘇生器100は胸骨圧迫だけを実施し、人工呼吸器200が人工呼吸を実施するモードである。このとき、信号伝達手段300によって人工呼吸器200から心肺蘇生器100へ外部信号の伝達が可能な状態とされる。そして、リモートモードでは、第2制御部230は、第2吹込みユニット210と胸骨圧迫ユニット120とを制御する。リモートモードは、胸骨圧迫ユニット120が所定回数の胸骨圧迫と、所定回数の胸骨圧迫後、胸骨圧迫ユニット120を一時停止させる待機とを繰り返し、気道内圧センサ250が陰圧を検知したタイミングで、第2ガス吹込みユニット210が患者に呼吸用ガスを吹き込む同期モードを有することが好ましい。リモートモードにおける同期モードでは、第2制御部230は、胸骨圧迫ユニット120が胸骨圧迫を実施している間、気道内圧センサ250からの陰圧の圧力信号を受けた時、第2ガス吹込みユニット210による呼吸用ガスの吹き込みを実施させ、気道内圧センサ250からの陽圧又は0の圧力信号を受けた時、第2ガス吹込みユニット210による呼吸用ガスの吹き込みを停止させる制御を行う。その結果、1回の胸骨圧迫後リコイルする毎に「能動的な換気」が起こる。さらに、第2制御部230は、胸骨圧迫ユニット120が待機状態にあるとき、第2ガス吹込みユニット210による呼吸用ガスの吹き込みを実施させる制御を行う。第2制御部230は、例えば、胸骨圧迫ユニット120の圧迫回数を計測して、圧迫回数が所定回数に達したときに「押し込み」を実施するか、又は胸骨圧迫ユニット120による所定回数の胸骨圧迫が終了したことを検知したときに「押し込み」を実施する。その結果、「押し込み」が行われる。第2ガス吹込みユニット210の呼吸用ガスの吹き込みを実施させる制御は、例えば、流量調整弁(不図示)を開とする制御である。第2ガス吹込みユニット210の呼吸用ガスの吹き込みを停止させる制御は、例えば、流量調整弁(不図示)を閉とする制御である。また、リモートモードは、胸骨圧迫ユニット120が胸骨圧迫を連続して行い、気道内圧センサ250が陰圧を検知したタイミングで、第2ガス吹込みユニット210が患者に呼吸用ガスを吹き込む非同期モードを有していてもよい。リモートモードにおける非同期モードでは、第2制御部230は、胸骨圧迫ユニット120が胸骨圧迫を実施している間、気道内圧センサ250からの陰圧の圧力信号を受けた時、第2ガス吹込みユニット210による呼吸用ガスの吹き込みを実施させ、気道内圧センサ250からの陽圧又は0の圧力信号を受けた時、第2ガス吹込みユニット210による呼吸用ガスの吹き込みを停止させる制御を行う。その結果、1回の胸骨圧迫後リコイルする毎に「能動的な換気」が起こる。さらに、第2制御部230は、6秒に1回などの所定のタイミングで、第1ガス吹込みユニット110による呼吸用ガスの吹き込みを実施させる制御を行う。その結果、「押し込み」が行われる。リモートモードにおける同期モードと非同期モードとの切り替え方法は、ローカルモードと同様である。同期モードにおける胸骨圧迫と人工呼吸との比率又は非同期モードにおける呼吸用ガスの吹き込み間隔の設定も、ローカルモードと同様である。気道内圧センサ250が陰圧を検知したことは、胸骨圧迫によって押された患者の胸壁がリコイルするときに胸腔内圧が下がったことを示している。リモートモードでは、同期モード又は非同期モードのいずれであっても、1回の胸骨圧迫後リコイルする毎に「能動的な換気」が起こる。このため、心肺蘇生率をより高めることができる。能動的な換気は、呼吸用ガスとして純酸素ガスを用いて、純酸素による換気であることがより好ましい。
【0054】
第2制御部230は、例えば胸骨圧迫ユニット120が胸骨圧迫を実行することを指示するリモートコントロール信号を含む外部信号を生成する。リモートコントロール信号を含む外部信号は、外部信号出力部240から出力されて、信号伝達手段300によって外部信号入力部140に入力される。外部信号入力部140が入力したリモートコントロール信号を含む外部信号は、第1制御部130に送られる。第1制御部130はリモートコントロール信号を入力すると、胸骨圧迫ユニット120を駆動させる。このようにして、第2制御部230は胸骨圧迫ユニット120をリモートコントロールする。また、第2制御部230は、気道内圧センサ250が検知した圧力が陰圧であるとき、流量調整弁(不図示)を開とする信号を流量調整弁(不図示)に出力する。
【0055】
本実施形態に係る心肺蘇生システム1では、心肺蘇生器100が、ローカルモードとリモートモードとを切り替えるモード切替ボタン(不図示)を有するか、又は、外部信号が、ローカルモードとリモートモードとを切り替えるモード切替信号を含むことが好ましい。ローカルモードからリモートモードへの切り替えを容易、かつ、迅速に行うことができる。
【0056】
モード切替信号は、例えば、接続ケーブルが外部信号入力部140としての接続端子に差し込まれた時に発生する電気信号、又は第2制御部230が生成する外部信号である。また、モード切替信号は、リモートコントロール信号が兼ねていてもよい。
【0057】
図4は、本実施形態に係る心肺蘇生システムの使用を説明するための図である。
図4を参照しながら、救命救急現場での心肺蘇生システムの使用の一例を説明する。まず、患者900に心肺蘇生器100を装着し、ローカルモードで心肺蘇生を実施する。すなわち、胸骨圧迫ユニット(不図示)が患者900の胸部を圧迫し、かつ、第1ガス吹込みユニット110が患者900に呼吸用ガスを吹き込む。次いで、適当なタイミングで、ローカルモードからリモートモードに切り替え、リモートモードで心肺蘇生を実施する。すなわち、胸骨圧迫ユニット(不図示)が患者900の胸骨を圧迫し、かつ、第2ガス吹込みユニット210が患者900に呼吸用ガスを吹き込む。このように、本実施形態に係る心肺蘇生器は、救命救急の初期ではローカルモードで迅速に心肺蘇生を開始でき、リモートモードに切り替えることで、より高精度な心肺蘇生を実施することができる。その結果、心肺蘇生率の向上が期待される。
図4では、信号伝達手段300としての接続ケーブルが、心肺蘇生器100と人工呼吸器200とを接続している形態を示したが、ローカルモードでは、接続ケーブルは、心肺蘇生器100だけに連結されるか、人工呼吸器200だけに連結されるか、又は心肺蘇生器100及び人工呼吸器200のいずれにも連結されていなくてもよい。ローカルモードにおいて、接続ケーブルが、心肺蘇生器100だけに連結される形態、人工呼吸器200だけに連結される形態、又は心肺蘇生器100及び人工呼吸器200のいずれにも連結されていない形態であるとき、ローカルモードからリモートモードに切り替えるタイミングで、接続ケーブルによって、心肺蘇生器100と人工呼吸器200とが接続される。
【0058】
ローカルモードからリモートモードに切り替える時、第1ガス吹込みユニット110から第2ガス吹込みユニット210への切り替えも同時に行われる。第1ガス吹込みユニット110から第2ガス吹込みユニット210への切り替えは、特に限定されないが、例えば第1ガス吹込みユニット110のマスクを患者900から外して、代わりに第2ガス吹込みユニット210のマスクを患者900に連結する形態、第1ガス吹込みユニット110のホースを気管挿管のチューブから外して、代わりに第2ガス吹込みユニット210のホースを気管挿管のチューブに連結する形態、第1ガス吹込みユニット110のホースを心肺蘇生器100のホース差込口から外して、代わりに人工呼吸器200のホース差込口に差し込む形態である。
【0059】
本実施形態に係る心肺蘇生システム1は、脳酸素飽和度測定モニタ(不図示)を更に備えることが好ましい。脳酸素飽和度測定モニタは、患者の脳酸素飽和度(rSO
2(regional Saturation of Oxygen))を、近赤外線を用いてモニタする。脳酸素飽和度測定モニタは、患者900に心肺蘇生器100を装着する前、又は心肺蘇生器100を装着した直後など救命救急の初期段階で患者900に装着することが好ましい。医師又は救急救命士が、脳酸素飽和度測定モニタがモニタした脳酸素飽和度に応じて、ローカルモードでの同期モードにおける胸骨圧迫と人工呼吸との比率若しくは非同期モードにおける呼吸用ガスの吹き込み間隔の設定、ローカルモードからリモートモードへの切り替え、又はリモートモードにおける同期モードにおける胸骨圧迫と人工呼吸との比率若しくは非同期モードにおける呼吸用ガスの吹き込み間隔の設定などをより適切に行うことができる。その結果、患者の救急救命率向上、心肺蘇生率向上、及び救命後の患者の社会復帰率向上に大いに貢献できる。