(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記クロージャシステムが、前記アンビルフレームの近位端と摺動可能に相互作用して前記アンビルを前記開位置から前記閉位置へと遷移させるように構成された近位端摺動部を備える、請求項1に記載のシャフトレスエンドエフェクタ。
前記クロージャシステムが、前記アンビルフレームの遠位端と摺動可能に相互作用して前記アンビルを前記開位置から前記閉位置へと遷移させるように構成された遠位端摺動部を備える、請求項2に記載のシャフトレスエンドエフェクタ。
前記近位端摺動部及び前記遠位端摺動部が、把持具と相互作用するように構成されており、かつ前記アクチュエータが把持具を備える、請求項4に記載のシャフトレスエンドエフェクタ。
前記近位端摺動部及び前記遠位端摺動部に連結された回転可能なシャフトを更に備え、前記回転可能なシャフトが第1の方向に回転すると前記近位端摺動部及び前記遠位端摺動部が前記アンビルフレームの中心に向かって移動し、前記回転可能なシャフトが反対方向に回転すると前記近位端摺動部及び前記遠位端摺動部が前記アンビルフレームの前記中心から離れる向きに移動する、請求項3に記載のシャフトレスエンドエフェクタ。
切断用器具を更に備え、前記切断用器具は、前記アンビルが前記閉位置に遷移したときに前記アンビルと前記ステープルカートリッジチャネルとの間に位置する組織切片を切断するように構成されている、請求項1に記載のシャフトレスエンドエフェクタ。
前記切断用器具がI形梁を備え、前記I形梁が、前記アンビルフレームの内部で遠位に前進したときに前記ステープルカートリッジに格納されている複数のステープルを配備するように構成されている、請求項8に記載のシャフトレスエンドエフェクタ。
前記アンビルの複数の高さに対応する複数の切欠きを更に備え、前記複数の切欠きが、前記アンビルフレームに対する前記アンビルの現在の高さの示度を提供するように構成されている、請求項1に記載のシャフトレスエンドエフェクタ。
前記シャフトレスクロージャシステムが、前記アンビルアセンブリの近位端に回転可能に連結された回転可能なカラーを備え、前記回転可能なカラーが、前記アンビルアセンブリに螺合して前記アンビルアセンブリを前記閉位置に移動させるように構成されている、請求項1に記載のシャフトレスエンドエフェクタ。
前記アンビルが第1のベベルと第2のベベルとを備え、前記第1のカムが第1の傾斜面を備え、前記第2のカムが第2の傾斜面を備え、前記アンビルを平行運動で閉じるように、前記第1の傾斜面が前記第1のベベルと相互作用するように構成され、かつ前記第2の傾斜面が前記第2のベベルと相互作用するように構成されている、請求項12に記載のエンドエフェクタ。
前記フレームにより回転可能に支持された回転可能なシャフトを更に備え、前記回転可能なシャフトが前記第1のカム及び前記第2のカムと動作可能に係合し、前記回転可能なシャフトが回転すると、前記第1のカム及び前記第2のカムが互いに向かって移動し、かつ前記アンビルが前記開位置と前記閉位置との間で遷移するようになっている、請求項13に記載のエンドエフェクタ。
前記回転可能なシャフトに連結された切断用器具を更に備え、前記回転可能なシャフトが回転すると、前記切断用器具が前記フレームの前記第1の端部から前記第2の端部に向かって前進するようになっている、請求項14に記載のエンドエフェクタ。
前記第1のカムが第1の押圧表面を備え、前記第2のカムが第2の押圧表面を備え、かつ前記第1の押圧表面及び前記第2の押圧表面が把持具と相互作用するように構成されている、請求項12に記載のエンドエフェクタ。
切断用器具を更に備え、前記切断用器具は、前記アンビルが閉位置に遷移したときに前記アンビルと前記ステープルカートリッジチャネルとの間に位置する組織切片を切断するように構成されている、請求項12に記載のエンドエフェクタ。
切断用器具を更に備え、前記切断用器具は、前記アンビルが閉位置に遷移した後で前記アンビルと前記ステープルカートリッジチャネルとの間に位置する組織切片を切断するように構成されている、請求項12に記載のエンドエフェクタ。
前記第1のカム及び前記第2のカムがそれぞれ、調整可能なクロージャを備え、前記調整可能なクロージャがそれぞれ、前記アンビルの閉鎖量を示すように構成された複数の較正用の刻み目を含み、前記第1のカム及び前記第2のカムが独立に移動可能であり、前記閉鎖量が調整されるようになっている、請求項12に記載のエンドエフェクタ。
【発明を実施するための形態】
【0003】
本出願の出願人は、それぞれの内容全体が参照により本明細書に組み込まれる以下に示す米国特許出願も所有する。
「SURGICAL INSTRUMENTS WITH RECONFIGURABLE SHAFT SEGMENTS」と題する米国特許出願第12/894,311号(現在、米国特許出願公開第2012/0080496号)、
「SURGICAL STAPLE CARTRIDGES SUPPORTING NON−LINEARLY ARRANGED STAPLES AND SURGICAL STAPLING INSTRUMENTS WITH COMMON STAPLE−FORMING POCKETS」と題する米国特許出願第12/894,340号(現在、米国特許出願公開第2012/0080482号)、
「JAW CLOSURE ARRANGEMENTS FOR SURGICAL INSTRUMENTS」と題する米国特許出願第12/894,327号(現在、米国特許出願公開第2012/0080499号)、
「SURGICAL CUTTING AND FASTENING INSTRUMENTS WITH SEPARATE AND DISTINCT FASTENER DEPLOYMENT AND TISSUE CUTTING SYSTEMS」と題する米国特許出願第12/894,351号(現在、米国特許出願公開第2012/0080502号)、
「IMPLANTABLE FASTENER CARTRIDGE HAVING A NON−UNIFORM ARRANGEMENT」と題する米国特許出願第12/894,338号(現在、米国特許出願公開第2012/0080481号)、
「IMPLANTABLE FASTENER CARTRIDGE COMPRISING A SUPPORT RETAINER」と題する米国特許出願第12/894,369号(現在、米国特許出願公開第2012/0080344号)、
「IMPLANTABLE FASTENER CARTRIDGE COMPRISING MULTIPLE LAYERS」と題する米国特許出願第12/894,312号(現在、米国特許出願公開第2012/0080479号)、
「SELECTIVELY ORIENTABLE IMPLANTABLE FASTENER CARTRIDGE」と題する米国特許出願第12/894,377号(現在、米国特許第8,393,514号)、
「SURGICAL STAPLING INSTRUMENT WITH COMPACT ARTICULATION CONTROL ARRANGEMENT」と題する米国特許出願第12/894,339号(現在、米国特許出願公開第2012/0080500号)、
「SURGICAL STAPLING INSTRUMENT WITH A VARIABLE STAPLE FORMING SYSTEM」と題する米国特許出願第12/894,360号(現在、米国特許出願公開第2012/0080484号)、
「SURGICAL STAPLING INSTRUMENT WITH INTERCHANGEABLE STAPLE CARTRIDGE ARRANGEMENTS」と題する米国特許出願第12/894,322号(現在、米国特許出願公開第2012/0080501号)、
「SURGICAL STAPLE CARTRIDGES WITH DETACHABLE SUPPORT STRUCTURES」と題する米国特許出願第12/894,350号(現在、米国特許出願公開第2012/0080478号)、
「IMPLANTABLE FASTENER CARTRIDGE COMPRISING BIOABSORBABLE LAYERS」と題する米国特許出願第12/894,383号(現在、米国特許出願公開第2012/0080345号)、
「COMPRESSIBLE FASTENER CARTRIDGE」と題する米国特許出願第12/894,389号(現在、米国特許出願公開第2012/0080335号)、
「FASTENERS SUPPORTED BY A FASTENER CARTRIDGE SUPPORT」と題する米国特許出願第12/894,345号(現在、米国特許出願公開第2012/0080483号)、
「COLLAPSIBLE FASTENER CARTRIDGE」と題する米国特許出願第12/894,306号(現在、米国特許出願公開第2012/0080332号)、
「FASTENER SYSTEM COMPRISING A PLURALITY OF CONNECTED RETENTION MATRIX ELEMENTS」と題する米国特許出願第12/894,318号(現在、米国特許出願公開第2012/0080480号)、
「FASTENER SYSTEM COMPRISING A RETENTION MATRIX AND AN ALIGNMENT MATRIX」と題する米国特許出願第12/894,330号(現在、米国特許出願公開第2012/0080503号)、
「FASTENER SYSTEM COMPRISING A RETENTION MATRIX」と題する米国特許出願第12/894,361号(現在、米国特許第8,529,600号)、
「FASTENING INSTRUMENT FOR DEPLOYING A FASTENER SYSTEM COMPRISING A RETENTION MATRIX」と題する米国特許出願第12/894,367号(現在、米国特許出願公開第2012/0080485号)、
「FASTENER SYSTEM COMPRISING A RETENTION MATRIX AND A COVER」と題する米国特許出願第12/894,388号(現在、米国特許第8,474,677号)、
「FASTENER SYSTEM COMPRISING A PLURALITY OF FASTENER CARTRIDGES」と題する米国特許出願第12/894,376号(現在、米国特許出願公開第2012/0080486号)、
「SURGICAL STAPLER ANVIL COMPRISING A PLURALITY OF FORMING POCKETS」と題する米国特許出願第13/097,865号(現在、米国特許出願公開第2012/0080488号)、
「TISSUE THICKNESS COMPENSATOR FOR A SURGICAL STAPLER」と題する米国特許出願第13/097,936号(現在、米国特許出願公開第2012/0080339号)、
「STAPLE CARTRIDGE COMPRISING A VARIABLE THICKNESS COMPRESSIBLE PORTION」と題する米国特許出願第13/097,954号(現在、米国特許出願公開第2012/0080340号)、
「STAPLE CARTRIDGE COMPRISING STAPLES POSITIONED WITHIN A COMPRESSIBLE PORTION THEREOF」と題する米国特許出願第13/097,856号(現在、米国特許出願公開第2012/0080336号)、
「TISSUE THICKNESS COMPENSATOR COMPRISING DETACHABLE PORTIONS」と題する米国特許出願第13/097,928号(現在、米国特許出願公開第2012/0080490号)、
「TISSUE THICKNESS COMPENSATOR FOR A SURGICAL STAPLER COMPRISING AN ADJUSTABLE ANVIL」と題する米国特許出願第13/097,891号(現在、米国特許出願公開第2012/0080489号)、
「STAPLE CARTRIDGE COMPRISING AN ADJUSTABLE DISTAL PORTION」と題する米国特許出願第13/097,948号(現在、米国特許出願公開第2012/0083836号)、
「COMPRESSIBLE STAPLE CARTRIDGE ASSEMBLY」と題する米国特許出願第13/097,907号(現在、米国特許出願公開第2012/0080338号)、
「TISSUE THICKNESS COMPENSATOR COMPRISING PORTIONS HAVING DIFFERENT PROPERTIES」と題する米国特許出願第13/097,861号(現在、米国特許出願公開第2012/0080337号)、
「STAPLE CARTRIDGE LOADING ASSEMBLY」と題する米国特許出願第13/097,869号(現在、米国特許出願公開第2012/0160721号)、
「COMPRESSIBLE STAPLE CARTRIDGE COMPRISING ALIGNMENT MEMBERS」と題する米国特許出願第13/097,917号(現在、米国特許出願公開第2012/0083834号)、
「STAPLE CARTRIDGE COMPRISING A RELEASABLE PORTION」と題する米国特許出願第13/097,873号(現在、米国特許出願公開第2012/0083833号)、
「STAPLE CARTRIDGE COMPRISING COMPRESSIBLE DISTORTION RESISTANT COMPONENTS」と題する米国特許出願第13/097,938号(現在、米国特許出願公開第2012/0080491号)、
「STAPLE CARTRIDGE COMPRISING A TISSUE THICKNESS COMPENSATOR」と題する米国特許出願第13/097,924号(現在、米国特許出願公開第2012/0083835号)、
「SURGICAL STAPLER WITH FLOATING ANVIL」と題する米国特許出願第13/242,029号(現在、米国特許出願公開第2012/0080493号)、
「CURVED END EFFECTOR FOR A STAPLING INSTRUMENT」と題する米国特許出願第13/242,066号(現在、米国特許出願公開第2012/0080498号)、
「STAPLE CARTRIDGE INCLUDING COLLAPSIBLE DECK」と題する米国特許出願第13/242,086号(現在、米国特許出願公開第2013/0075450号)、
「STAPLE CARTRIDGE INCLUDING COLLAPSIBLE DECK ARRANGEMENT」と題する米国特許出願第13/241,912号(現在、米国特許出願公開第2013/0075448号)、
「SURGICAL STAPLER WITH STATIONARY STAPLE DRIVERS」と題する米国特許出願第13/241,922号(現在、米国特許出願公開第2013/0075449)、
「SURGICAL INSTRUMENT WITH TRIGGER ASSEMBLY FOR GENERATING MULTIPLE ACTUATION MOTIONS」と題する米国特許出願第13/241,637号(現在、米国特許出願公開第2012/0074201号)、
「SURGICAL INSTRUMENT WITH SELECTIVELY ARTICULATABLE END EFFECTOR」と題する米国特許出願第13/241,629号(現在、米国特許出願公開第2012/0074200号)、
「TISSUE THICKNESS COMPENSATOR COMPRISING A PLURALITY OF CAPSULES」と題する米国特許出願第13/433,096号(現在、米国特許出願公開第2012/0241496号)、
「TISSUE THICKNESS COMPENSATOR COMPRISING A PLURALITY OF LAYERS」と題する米国特許出願第13/433,103号(現在、米国特許出願公開第2012/0241498号)、
「EXPANDABLE TISSUE THICKNESS COMPENSATOR」と題する米国特許出願第13/433,098号(現在、米国特許出願公開第2012/0241491号)、
「TISSUE THICKNESS COMPENSATOR COMPRISING A RESERVOIR」と題する米国特許出願第13/433,102号(現在、米国特許出願公開第2012/0241497号)、
「RETAINER ASSEMBLY INCLUDING A TISSUE THICKNESS COMPENSATOR」と題する米国特許出願第13/433,114号(現在、米国特許出願公開第2012/0241499号)、
「TISSUE THICKNESS COMPENSATOR COMPRISING AT LEAST ONE MEDICAMENT」と題する米国特許出願第13/433,136号(現在、米国特許出願公開第2012/0241492号)、
「TISSUE THICKNESS COMPENSATOR COMPRISING CONTROLLED RELEASE AND EXPANSION」と題する米国特許出願第13/433,141号(現在、米国特許出願公開第2012/0241493号)、
「TISSUE THICKNESS COMPENSATOR COMPRISING FIBERS TO PRODUCE A RESILIENT LOAD」と題する米国特許出願第13/433,144号(現在、米国特許出願公開第2012/0241500号)、
「TISSUE THICKNESS COMPENSATOR COMPRISING STRUCTURE TO PRODUCE A RESILIENT LOAD」と題する米国特許出願第13/433,148号(現在、米国特許出願公開第2012/0241501号)、
「TISSUE THICKNESS COMPENSATOR COMPRISING RESILIENT MEMBERS」と題する米国特許出願第13/433,155号(現在、米国特許出願公開第2012/0241502号)、
「METHODS FOR FORMING TISSUE THICKNESS COMPENSATOR ARRANGEMENTS FOR SURGICAL STAPLERS」と題する米国特許出願第13/433,163号(現在、米国特許出願公開第2012/0248169号)、
「TISSUE THICKNESS COMPENSATORS」と題する米国特許出願第13/433,167号(現在、米国特許出願公開第2012/0241503号)、
「LAYERED TISSUE THICKNESS COMPENSATOR」と題する米国特許出願第13/433,175号(現在、米国特許出願公開第2012/0253298号)、
「TISSUE THICKNESS COMPENSATORS FOR CIRCULAR SURGICAL STAPLERS」と題する米国特許出願第13/433,179号(現在、米国特許出願公開第2012/0241505号)、
「ADHESIVE FILM LAMINATE」と題する米国特許出願第13/763,028号(現在、米国特許出願公開第2013/0146643号)、
「TISSUE THICKNESS COMPENSATOR COMPRISING CAPSULES DEFINING A LOW PRESSURE ENVIRONMENT」と題する米国特許出願第13/433,115号(現在、米国特許出願公開第2013/0256372号)、
「TISSUE THICKNESS COMPENSATOR COMPRISED OF A PLURALITY OF MATERIALS」と題する米国特許出願第13/433,118号(現在、米国特許出願公開第2013/0256365号)、
「MOVABLE MEMBER FOR USE WITH A TISSUE THICKNESS COMPENSATOR」と題する米国特許出願第13/433,135号(現在、米国特許出願公開第2013/0256382号)、
「TISSUE THICKNESS COMPENSATOR AND METHOD FOR MAKING THE SAME」と題する米国特許出願第13/433,140号(現在、米国特許出願公開第2013/0256368号)、
「TISSUE THICKNESS COMPENSATOR COMPRISING A PLURALITY OF MEDICAMENTS」と題する米国特許出願第13/433,129号(現在、米国特許出願公開第2013/0256367号)、
「STAPLE CARTRIDGES FOR FORMING STAPLES HAVING DIFFERING FORMED STAPLE HEIGHTS」と題する米国特許出願第11/216,562号(現在、米国特許第7,669,746号)、
「SURGICAL STAPLING DEVICE WITH ANVIL HAVING STAPLE FORMING POCKETS OF VARYING DEPTHS」と題する米国特許出願第11/714,049号(現在、米国特許出願公開第2007/0194082号)、
「SURGICAL STAPLING DEVICES THAT PRODUCE FORMED STAPLES HAVING DIFFERENT LENGTHS」と題する米国特許出願第11/711,979号(現在、米国特許第8,317,070号)、
「SURGICAL STAPLING DEVICE WITH STAPLE DRIVERS OF DIFFERENT HEIGHT」と題する米国特許出願第11/711,975号(現在、米国特許出願公開第2007/0194079号)、
「SURGICAL STAPLING DEVICE WITH STAPLE DRIVER THAT SUPPORTS MULTIPLE WIRE DIAMETER STAPLES」と題する米国特許出願第11/711,977号(現在、米国特許第7,673,781号)、
「SURGICAL STAPLING DEVICE WITH MULTIPLE STACKED ACTUATOR WEDGE CAMS FOR DRIVING STAPLE DRIVERS」と題する米国特許出願第11/712,315号(現在、米国特許第7,500,979号)、
「STAPLE CARTRIDGES FOR FORMING STAPLES HAVING DIFFERING FORMED STAPLE HEIGHTS」と題する米国特許出願第12/038,939号(現在、米国特許第7,934,630号)、
「SURGICAL STAPLING SYSTEMS THAT PRODUCE FORMED STAPLES HAVING DIFFERENT LENGTHS」と題する米国特許出願第13/020,263号(現在、米国特許出願公開第2011/0147434号)、
「ROBOTICALLY−CONTROLLED SURGICAL STAPLING DEVICES THAT PRODUCE FORMED STAPLES HAVING DIFFERENT LENGTHS」と題する米国特許出願第13/118,278号(現在、米国特許出願公開第2011/0290851号)、
「ROBOTICALLY−CONTROLLED CABLE−BASED SURGICAL END EFFECTORS」と題する米国特許出願第13/369,629号(現在、米国特許出願公開第2012/0138660号)、
「SURGICAL STAPLING DEVICES FOR FORMING STAPLES WITH DIFFERENT FORMED HEIGHTS」と題する米国特許出願第12/695,359号(現在、米国特許第8,464,923号)、
「STAPLE CARTRIDGES FOR FORMING STAPLES HAVING DIFFERING FORMED STAPLE HEIGHTS」と題する米国特許出願第13/072,923号(現在、米国特許第8,567,656号)、
「LAYER OF MATERIAL FOR A SURGICAL END EFFECTOR」と題する米国特許出願第13/766,325号(現在、米国特許出願公開第2013/0256380号)、
「ANVIL LAYER ATTACHED TO A PROXIMAL END OF AN END EFFECTOR」と題する米国特許出願第13/763,078号(現在、米国特許出願公開第2013/0256383号)、
「LAYER COMPRISING DEPLOYABLE ATTACHMENT MEMBERS」と題する米国特許出願第13/763,094号(現在、米国特許出願公開第2013/0256377号)、
「END EFFECTOR COMPRISING A DISTAL TISSUE ABUTMENT MEMBER」と題する米国特許出願第13/763,106号(現在、米国特許出願公開第2013/0256378号)、
「TISSUE THICKNESS COMPENSATOR COMPRISING CHANNELS」と題する米国特許出願第13/433,147号(現在、米国特許出願公開第2013/0256369号)、
「SURGICAL STAPLING CARTRIDGE WITH LAYER RETENTION FEATURES」と題する米国特許出願第13/763,112号(現在、米国特許出願公開第2013/0256379号)、
「ACTUATOR FOR RELEASING A TISSUE THICKNESS COMPENSATOR FROM A FASTENER CARTRIDGE」と題する米国特許出願第13/763,035号(現在、米国特許出願公開第2013/0214030号)、
「RELEASABLE TISSUE THICKNESS COMPENSATOR AND FASTENER CARTRIDGE HAVING THE SAME」と題する米国特許出願第13/763,042号(現在、米国特許出願公開第2013/0221063号)、
「FASTENER CARTRIDGE COMPRISING A RELEASABLE TISSUE THICKNESS COMPENSATOR」と題する米国特許出願第13/763,048号(現在、米国特許出願公開第2013/0221064号)、
「FASTENER CARTRIDGE COMPRISING A CUTTING MEMBER FOR RELEASING A TISSUE THICKNESS COMPENSATOR」と題する米国特許出願第13/763,054号、
「FASTENER CARTRIDGE COMPRISING A RELEASABLY ATTACHED TISSUE THICKNESS COMPENSATOR」と題する米国特許出願第13/763,065号(現在、米国特許出願公開第2013/0221065号)、
「STAPLE CARTRIDGE COMPRISING A RELEASABLE COVER」と題する米国特許出願第13/763,021号、
「ANVIL LAYER ATTACHED TO A PROXIMAL END OF AN END EFFECTOR」と題する米国特許出願第13/763,078号(現在、米国特許出願公開第2013/0256383号)、
「LAYER ARRANGEMENTS FOR SURGICAL STAPLE CARTRIDGES」と題する米国特許出願第13/763,095号(現在、米国特許出願公開第2013/0161374号)、
「IMPLANTABLE ARRANGEMENTS FOR SURGICAL STAPLE CARTRIDGES」と題する米国特許出願第13/463,147号(現在、米国特許出願公開第2013/0292398号)、
「MULTIPLE THICKNESS IMPLANTABLE LAYERS FOR SURGICAL STAPLING DEVICES」と題する米国特許出願第13/763,192号(現在、米国特許出願公開第2013/0146642号)、
「RELEASABLE LAYER OF MATERIAL AND SURGICAL END EFFECTOR HAVING THE SAME」と題する米国特許出願第13/763,161号(現在、米国特許出願公開第2013/0153641号)、
「ACTUATOR FOR RELEASING A LAYER OF MATERIAL FROM A SURGICAL END EFFECTOR」と題する米国特許出願第13/763,177号(現在、米国特許出願公開第2013/0146641号)、
「STAPLE CARTRIDGE COMPRISING A COMPRESSIBLE PORTION」と題する米国特許出願第13/763,037号、
「TISSUE THICKNESS COMPENSATOR COMPRISING TISSUE INGROWTH FEATURES」と題する米国特許出願第13/433,126号(現在、米国特許出願公開第2013/0256366号)、
「DEVICES AND METHODS FOR ATTACHING TISSUE THICKNESS COMPENSATING MATERIALS TO SURGICAL STAPLING INSTRUMENTS」と題する米国特許出願第13/433,132号(現在、米国特許出願公開第2013/0256373号)、
「FASTENER CARTRIDGE COMPRISING A TISSUE THICKNESS COMPENSATOR INCLUDING OPENINGS THEREIN」と題する米国特許出願第13/851,703号、
「TISSUE THICKNESS COMPENSATOR COMPRISING A CUTTING MEMBER PATH」と題する米国特許出願第13/851,676号、
「FASTENER CARTRIDGE ASSEMBLIES」と題する米国特許出願第13/851,693号、及び
「FASTENER CARTRIDGE COMPRISING A TISSUE THICKNESS COMPENSATOR AND A GAP SETTING ELEMENT」と題する米国特許出願第13/851,684号。
【0004】
本明細書において開示されている装置並びに方法の構造、機能、製造、及び使用の原理を総合的に理解できるよう、特定の例示的実施形態について以下に説明する。これらの実施形態の1つ又は2つ以上の実施例が、添付の図面に例示されている。当業者は、本明細書で具体的に説明され、添付図面に示される装置及び方法は、非限定的な例示的実施形態であること、並びに、本発明の様々な実施形態の範囲は、特許請求の範囲によってのみ定義されることを理解するであろう。1つの例示的な実施形態との関連において例示又は記載される特徴は、他の実施形態の特徴と組み合わされる場合がある。このような改変及び変形は、本発明の範囲内に含まれることが意図される。
【0005】
本明細書の全体を通じて、「様々な実施形態」、「いくつかの実施形態」、「一実施形態」、又は「実施形態」などへの参照は、その実施形態との関連において述べられる特定の特徴、構造、又は特性が、少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書の全体を通じて適所において、「様々な実施形態において」、「いくつかの実施形態において」、「一実施形態において」、又は「実施形態において」などの語句が出現するが、これらは必ずしも全てが同じ実施形態を指すわけではない。更に、特定の特徴、構造、又は特性は、1つ又は2つ以上の実施形態において任意の好適な方法で組み合わされてもよい。故に、一実施形態に関して例示又は説明される特定の特徴、構造、又は特性は、1つ若しくは2つ以上の他の実施形態の特徴、構造、又は特性と、全体として又は部分的に、制限なしに組み合わされてもよい。このような改変及び変形は、本発明の範囲内に含まれることが意図される。
【0006】
本明細書において用語「近位」及び「遠位」は、外科用器具を操作する臨床医に対して用いられている。「近位」なる用語は、臨床医に最も近い部分を指し、「遠位」という用語は、臨床医から離れた位置にある部分を指す。便宜上及び明確性のために、「垂直」、「水平」、「上」、「下」など空間的用語は、本明細書において図面に対して使用される場合があることは更に理解されるであろう。しかしながら、外科用器具は、多くの配向及び位置で使用されるものであり、これらの用語は、限定的及び/又は絶対的であることを意図するものではない。
【0007】
腹腔鏡下及び低侵襲性の外科手技を行うための、様々な代表的な装置及び方法が提供される。しかしながら、本明細書に開示される様々な方法及び装置が、例えば、開腹外科手技に伴い多数の外科手技及び用途で用いられ得ることは、当業者に容易に理解されるであろう。本明細書の「発明を実施するための最良の形態」を読み進めていくうちに、本明細書において開示されている様々な器具を、例えば、天然オリフィスを貫通させる、組織内に形成された切開穴又は穿刺穴を貫通させるなどの任意の方法で、身体に挿入できることが、当業者に更に理解されるであろう。器具の実用的な部分(すなわち、エンドエフェクタ部分)を、患者の身体に直接挿入することも可能であるし、又はエンドエフェクタ及び細長い外科用器具のシャフトを通して前進させ得る実用的なチャネルを有するアクセス装置を介して挿入することも可能である。
【0008】
図面に関しては、いくつかの図面にわたって、同様のコンポーネントが同様の数字で表記されている。
図1は、シャフトレス外科用システム2を示す。シャフトレス外科用システム2は、トロカール4と、シャフトレスエンドエフェクタ6とを備える。使用中には、患者内に形成された1つ又は2つ以上の開口部(例えば、天然オリフィス開口部、経管腔開口部、外科開口部、及び/又は他の任意の好適な開口部など)を通してトロカール4が挿入される。いくつかの実施形態において、トロカール4は、内視鏡及び/又は腹腔鏡器具を備える。トロカール4が外科部位に導入されたときに、エンドエフェクタ6はトロカール4の内部に位置し得る。ある実施形態では、トロカール4が外科部位に導入された後、エンドエフェクタ6をトロカール4に挿入することが可能である。いくつかの実施形態では、アクチュエータをトロカール4の近位端に導入することで、トロカール4からエンドエフェクタ6が押し出される。他の実施形態では、アクチュエータをトロカールの遠位端に導入することで、トロカール4からエンドエフェクタ6が引き出される。
【0009】
様々な実施形態において、シャフトレスエンドエフェクタ6は、第1のジョー部材8aと第2のジョー部材8bとを備える。第1のジョー部材8aは、ステープル形成表面を有するアンビル10を備える。ステープル形成表面内には、複数のステープル形成ポケットが含まれ得る。第1のジョー部材8aは、第2のジョー部材8bに対し移動可能に連結されている。第2のジョー部材8bは、ステープルカートリッジ12を受容するように構成された長手方向チャネル42を備える。ステープルカートリッジ12の内部には、複数のステープル14が配設されている。第1のジョー部材8aから延在するピン15は、第2のジョー部材8b上に形成されたスロット16の内部に受容される。第2のジョー部材8bに対して第1のジョー部材8aを旋回(回転)及び/又は垂直移動(並進)させ得るように、ピン15及びスロット16が構成される。様々な実施形態では、第2のジョー部材8bを、例えば、300 & 400 Series,17−4 & 17−7ステンレス鋼、チタン等から作製することも可能であるし、側壁を離間させて形成することも可能である。第1のジョー部材8aは、例えば、300 & 400 Series,17−4 & 17−7ステンレス鋼、チタン等から作製することも可能であり、面内に複数のステープル形成ポケットを含んだステープル形成下面を有し得る。
【0010】
本明細書において開示されているエンドエフェクタ6の様々な実施形態と共に、様々な形態のステープルカートリッジを使用できる。いくつかの実施形態では、インプラント可能なステープルカートリッジ12を使用することができる。少なくとも1つの実施形態において、ステープルカートリッジ12は本体部分18を備え、この本体部分は、圧縮性材料(例えば、止血材、酸化再生セルロース(「ORC」)、及び/又は例えば未形成金属ステープル14のラインが内部で支持されている生体吸収性発泡体等)を備える。少なくともいくつかの実施形態では、エンドエフェクタ6を外科部位内に導入し位置決めする際に、カートリッジ本体18の内部にあるステープル14のアラインメントが影響を被りかつ/又は止血材が活性化するのを防ぐ目的で、ステープルカートリッジ12全体を、生分解性フィルム(例えば、PDS(登録商標)という商標で販売されているポリジオキサノンフィルム、ポリグリセロールセベケート(PGS)フィルム)、PGA(Vicrylという商標で市場投入されているポリグリコール酸)、PCL(ポリカプロラクトン)、PLA若しくはPLLA(ポリ乳酸)、PHA(ポリヒドロキシアルカノエート)、PGCL(Monocrylという商標で販売されているポリグレカプロン25)から形成される生分解性フィルム;並びに/又は破裂するまで不浸透性のPGA、PCL、PLA及び/若しくはPDSの複合物等でコーティングするか又はラップすることが可能である。ステープルカートリッジ12の本体部分18は、下側ジョー部材8bの長手方向チャネル42の内部に支持されるようにサイズ調整され、それにより、アンビル10をステープルカートリッジ12に接触するように駆動したときに、各ステープル14が、アンビル10内の対応するステープル形成ポケットに整列されるようになっている。様々な実例では、ステープルカートリッジ12をエンドエフェクタ6から取り外すことが可能である一方、他の実例では、ステープルカートリッジ12をエンドエフェクタ6から取り外せないようになっている。
【0011】
使用中には、エンドエフェクタ6が標的組織に隣接して位置決めされる。エンドエフェクタ6の操作によって、アンビル10とステープルカートリッジ12との間にある標的組織を捕捉するか又は締めつける。
図7を参照すると、開位置にあるアンビル10が例示されている。
図8に例示されているように、アンビル10が、組織Tに向かって下方へ回転し、閉位置又は締めつけ位置を取る場合もある。アンビル10を閉位置に移動させるように構成されたクロージャシステムについては、以下に更に詳述する。アンビル10をステープルカートリッジ12に対して平行な又は少なくとも実質的に平行な配向に維持しながら、アンビル10をステープルカートリッジ12に向かって垂直に又は下方へ移動させてステープル14を形成し、それにより、
図9に例示するように、アンビル10のステープル形成表面及びステープル形成ポケットをステープルカートリッジ12に接触させる。ここで
図10を参照し、例えば、アンビル10を引き続きステープルカートリッジ12に移動させると、ステープル14の脚部がアンビル10内の対応するステープル形成ポケットに接触し、これは、ステープル14の脚部を屈曲させる役目を果たし、ステープル14が、例えば、「B形状」に形成される。アンビル10をステープルカートリッジ12に向かって更に移動させると、ステープル14が更に圧縮されて、所望の最終的な形成高さに形成される。
【0012】
上記を更に詳述すると、エンドエフェクタ6は、アンビル10を閉じるように構成されたクロージャシステムを備え得る。
図1には、近位端摺動部22a及び遠位端摺動部22を備えるクロージャシステム20が例示されている。近位端摺動部22a及び遠位端摺動部22bはそれぞれ、空洞24を備え、この空洞内に、第1のジョー部材8aの一部分及び第2のジョー部材8bの一部分を受容するようになっている。近位摺動部22aは、その近位摺動部から長手方向に延在する摺動部分26aを備え、遠位摺動部22bは、この遠位摺動部から長手方向に延在する摺動部分26bを備える。摺動部分26a、26bは、下側ジョー部材8b内に形成された縦孔28の内部に摺動可能に受容され得る。
図2〜
図6には、
図1に例示されているシャフトレス外科用システム2の様々な断面図が例示されている。
図2には、トロカール4及び遠位摺動部22bを表示する、シャフトレス外科用システム2の断面図が例示されている。
図3には、遠位摺動部22b、及び第1のジョー部材8aの遠位端と第2のジョー部材8bの遠位端とを受容するためそこに画定された空洞24を表示する、シャフトレス外科用システム2の断面図が例示されている。以下に更に詳述されるように、
図4には、遠位摺動部22bの一部分を受容するように構成された凹部を備える第1のジョー部材8aを表示する、シャフトレス外科用システム2の断面図が例示されている。いくつかの実施形態において、凹部は、複数の保持部及び/又は深さゲージ機能38を備える。この機能についてはまた、以下に更に詳述される。遠位摺動部22bの摺動部分26bは、
図4に更に例示されており、第2のジョー部材8b内に画定された縦孔28の内部に位置決めされる。
図5には、近位摺動部22a及び遠位摺動部22bの中間にある箇所に第1のジョー部材8a及び第2のジョー部材8bを表示する、シャフトレス外科用システム2の断面図が例示されている。
図6には、第1のジョー部材8aと第2のジョー部材8bとを連結するピン15及びスロット16を表示する、シャフトレス外科用システム2の断面図が例示されている。
図6には、近位摺動部22a及び近位摺動部分26aが更に例示されている。近位摺動部分26aは、第2のジョー8b内に画定された縦孔28の内部に摺動可能に受容される。様々な実例では、摺動部分26a及び/又は摺動部分26bが第2のジョー8bを支持して、第1のジョー8aを第2のジョー8bに向かって押圧すると、ステープルが上記のように変形され得る。
【0013】
図7には、配備位置(すなわち、患者の内部にある位置)にあるエンドエフェクタ6が例示されている。先に概説したように、例えば、プッシュロッドをトロカール4内に挿入して、トロカール4からシャフトレスエンドエフェクタ6を押し出すことによって、トロカール4からエンドエフェクタ6が配備され得る。トロカール4から配備されたときに、第1のジョー部材8a及び第2のジョー部材8bは、開位置を取ることも可能であるし、かつ/又は開位置を取るように操作することも可能である。少なくとも1つの実施形態では、アンビルばね(不図示)及び/又は別の付勢用機構により、アンビル10が開位置に付勢される。アンビルばねによって、第1のジョー部材8a及び第2のジョー部材8bが開位置に付勢され、その結果、シャフトレスエンドエフェクタ6がトロカール4から配備され、シャフトレスエンドエフェクタ6が、
図7に例示されている開位置を取る。
【0014】
図7〜
図10には、組織の締めつけ及びステープル形成プロセスが例示されている。
図7において、標的組織「T」は、アンビル10とステープルカートリッジ12との間に位置決めされる。アンビル10は、
図8に例示されている初期締めつけ位置又は部分的に閉じた位置へと、下側ジョー部材8bに対して旋回される。いくつかの実施形態では、把持具及び/又は別の器具を、トロカール4を介して及び/又は別のトロカールを介して挿入し、例えば、近位摺動部22a及び遠位摺動部22bを互いに向かって(すなわち、エンドエフェクタ6の中心に向かって)押圧させ、この器具を使用して、アンビル10を部分的に閉じた位置へと遷移させることが可能である。様々な実例では、近位摺動部22aを、第1のジョー8aに接触させ、かつ第1のジョー8aをその開位置から部分的に閉じた位置へと移動させるように構成できる。いったん第1のジョー8aが、部分的に閉じた位置に達した後は、遠位摺動部22bを移動させて第1のジョー8aに接触させることが可能である。その後、摺動部22a及び22bは、同時に及び/又は逐次的に互いに向かって押圧され、それにより、アンビル10が標的組織「T」上に圧縮され、この標的組織「T」がアンビル10とステープルカートリッジ12との間で締めつけられる。
図9には、アンビル10がステープルカートリッジ12にちょうど接触した初期ステープル編成が例示されている。
図10には、最終的な形成位置にあるステープル14が例示されている。
【0015】
上記を更に詳述すると、端摺動部22a、22bにそれぞれ、第1のジョー部材8a及び第2のジョー部材8bを内部に受容するための空洞24を画定し得る。端摺動部22a、22bの各々に画定された空洞24の内面は、例えば、カム表面30のようなカム表面を備え得る。様々な実例において、例えば、各カム表面30は角度付き表面を備え得る。ある実例において、角度付き表面は、第1のジョー8a上の角度付き表面に係合するように構成され得る。例えば、第1のジョー8aの近位端は、近位端摺動部22aが遠位端摺動部22bに向かって遠位に移動したときに近位端摺動部22a上に画定されたカム表面30により係合され得る、従動部表面32を含む場合がある。同様に、第1のジョー8aの遠位端は、遠位端摺動部22bが遠位端摺動部22aに向かって近位に移動したときに遠位端摺動部22b上に画定されたカム表面30により係合され得る、従動部表面32を含む場合がある。様々な実例においてカム表面30の角度が従動部表面32の角度と一致する場合がある一方、他の実例においてカム表面30の角度が従動部表面32の角度と異なる場合もある。ある実例では、一方の一連の表面30、32(例えば、近位の一連の表面)が第1の一致角度により画定される場合もあれば、他方の一連の表面30、32(例えば、遠位の一連の表面)が、第1の一致角度とは異なる第2の一致角度により画定される場合もある。様々な実施形態では、アンビル10がステープルカートリッジ12に対して少なくとも実質的に平行な配向を維持させて全てのステープル14が一斉に形成され得るように、カム表面30及び従動部表面32の構成を選択することができる。
【0016】
いくつかの実施形態において、エンドエフェクタ6は、ステープルの形成高さを示すように構成された少なくとも1つのゲージを備え得る。様々な実例では、エンドエフェクタ6の近位端に、形成高さゲージ31が設けられる場合もあれば、かつ/又はエンドエフェクタ6の遠位端に、例えば形成高さゲージ31が設けられる場合もある。ある実例において、近位端摺動部22a及び/又は遠位端摺動部22bは、ステープル14の形成高さを示すように構成されたゲージ要素を備える。様々な実例において、ゲージは、第2のジョー8aの遠位端上に画定された一続きの又は配列状の分画だけでなく、遠位端摺動部22bから延在するゲージ要素も備え得る。そのような実施形態の少なくとも1つでは、ゲージ要素がヘッド36を含むアーム34を備える場合もあれば、配列状の分画が複数の歯38を備える場合もあり、歯38に対するヘッド36の位置によりアンビル10が下方へ押圧された距離が示され得る。同様に、ゲージは、第2のジョー8aの近位端上に画定された一続きの又は配列状の分画と、近位端摺動部22aから延在しているゲージ要素と、を含み得る。また、上記と同様に、ゲージ要素がヘッド36を含むアーム34を備える場合もあれば、配列状の分画が複数の歯38を備える場合もあり、歯38に対するヘッド36の位置によりアンビル10が下方へ押圧された距離が示され得る。
図9を再び参照すると、アンビル10はステープルカートリッジ12に対して位置決めされており、そのような位置では、近位端摺動部22aから延在しているゲージ要素のヘッド36が、歯38の近位配列の中で最も外側の歯38の上を摺動し、遠位端摺動部22bから延在しているゲージ要素のヘッド36が、歯38の遠位配列の中で最も外側の歯38の上を摺動している。このように歯38の配列に対してゲージヘッド36を相対的に位置決めすることによって、臨床医は、アンビル10によりステープル14がまだ変形されていないことを知ることができる。近位端摺動部22aを内向きに移動させると、近位端摺動部22aが第1のジョー8aの近位端を下方へ駆動し得ると共に、その近位端摺動部から延在するヘッド36が1つ又は2つ以上の追加の歯38の上を摺動し得る。同様に、遠位端摺動部22bを内向きに移動させると、遠位端摺動部22bが第1のジョー8aの遠位端を下方へ駆動させ得ると共に、その遠位端摺動部から延在するヘッド36が1つ又は2つ以上の追加の歯38の上を摺動し得る。
図10に例示するように、ヘッド36が全ての歯38の上を摺動し終えたときに、臨床医は、ステープル14が完全に形成されたと見なすことができる。
【0017】
本明細書において開示されている様々な実施形態は、実質的に固定された位置にてステープルを支持する圧縮性ステープルカートリッジ12を用いて、アンビル10による接触を生ずるようになっている。様々な実施形態では、アンビル10が未形成ステープル14へと駆動され、そのような実施形態の少なくとも1つでは、アンビル10をステープル内に駆動させる距離に応じて、ステープル形成の達成度が決定される。そのような機構によって、外科医は、ステープルに加えられる形成圧力又は発射圧力の量を調整することができ、それにより、ステープルの最終的な形成高さが変更される。
【0018】
上記を更に詳述すると、端摺動部22a及び22bから延在するゲージ要素は、端摺動部22a及び22bを所定位置に保持しかつ/又は係止するように構成できる保持部材を備え得る。様々な実例では、ゲージ要素のヘッド36及び/又は歯38は、(1)端摺動部22a及び22bを内向きに移動させ、(2)端摺動部22a及び22bの外向きの移動に抵抗するように構成された係止ショルダーを備え得る。様々な実施形態では、ゲージは、一方向の移動を許可するが反対方向の移動を禁止するラチェットシステムを備え得る。ゲージ要素の係止効果を克服する目的で、ゲージ要素のヘッド36を持ち上げ、かつ/又は歯38の配列から離れる向きに偏向させることが可能である。いったんゲージ要素が第1のジョー8aから係合解除されたら、端摺動部22a、22bを外向きに移動させて第1のジョー8aを開くことができる。上述したように、ばねにより第1のジョー8aをその開位置に移動させることも可能であるし、かつ/又は、例えば、把持具154(
図11)のような把持具により牽引して開放させることも可能である。
【0019】
以前のエンドエフェクタは外科用器具のシャフトから延在しており、それらのエンドエフェクタを動作させる場合には、シャフトを貫通して延在する1つ又は2つ以上の駆動部材を使用していた。読者に理解されるように、エンドエフェクタ6は外科用器具のシャフトに取り付けないため、シャフトレスである。様々な実例では、上述したように、例えば把持具を用いることによって、エンドエフェクタ6の端摺動部22a、22bを内向きに押圧できる。端摺動部22a、22bを一度に1つ又は一斉に移動させるように、把持具を構成してもよい。様々な実例において、例えば、把持具(不図示)のようなクロージャ機序は、シャフトレスクロージャシステム20に連結されている。ある実例では、把持具を開いて、シャフトレスエンドエフェクタ6を、把持具の2つのアーム間に位置決めする。把持具を開位置から閉位置へと遷移させると、近位摺動部22a及び遠位摺動部22bが、シャフトレスエンドエフェクタ6の中間地点に向かって摺動する。近位摺動部22a及び遠位摺動部22bのカム表面30が、アンビル10上に画定された従動部表面32と相互作用すると、アンビル10が、ステープルカートリッジ12に向かって圧縮される。上述したように、アンビル10で標的組織「T」を圧縮させてから、ステープル14を標的組織「T」内に配備できる。上記を更に詳述すると、いったんステープル14が形成されて標的組織「T」を締めつけたら、外科医は、把持具を開いて、把持具を外科部位から取り除くことができる。次いで、アンビル10を開き、ステープル留めされた組織「T」を解放して、エンドエフェクタ6を外科部位から取り除くことができる。読者に理解されるように、ステープル14により圧壊されて捕捉されたステープル本体18は、残存又はインプラントされ得る。残りの「圧壊された」ステープル本体18は、止血材、ステープルライン補強材、及び/又は組織厚さの変動に対する補填素子として機能し得る。本明細書において用いられている用語「インプラント可能」は、ステープル14だけでなく、ステープル14によって捕捉されたステープルカートリッジ本体18の少なくとも一部分もまた患者内に留まることを意味する。インプラントされたカートリッジ本体18は、最終的に患者の身体に吸収される場合もあれば又は吸収されない場合もある。本明細書には、インプラント可能なステープルカートリッジに関して様々な実施形態が記述されているが、インプラント可能ではないカートリッジ(すなわち、発射後のシャフトレスエンドエフェクタの内部にステープルカートリッジが位置決めされたままになるカートリッジ)もまた使用できることは、当業者に認識されるであろう。様々な実例において、そのような外科用ステープル留め機構で、ステープルをアンビルに向かって持ち上げることができるステープル駆動要素を用いてもよい。
【0020】
近位摺動部22a及び遠位摺動部22bを備えるシャフトレスエンドエフェクタ6が例示されているが、近位摺動部22a及び/又は遠位摺動部22bのいずれか一方を省略しても差し支えないことは、読者に認識されるであろう。いくつかの実施形態では、ステープルが標的組織内に形成又は発射された後、例えば、解放機序を作動することによって、シャフトレスエンドエフェクタ6を解放できる。解放機序により、近位摺動部22a及び/又は遠位摺動部22bを解放することで、アンビル10に開位置を取らせることが可能になる。
【0021】
ある実施形態では、シャフトレスエンドエフェクタ6を、組織ステープル留め装置として単独で使用できる。しかしながら、様々な実施形態において、シャフトレスエンドエフェクタ6は、切断部材40を備える。切断部材40は、エンドエフェクタ6の長手方向軸に沿って標的組織「T」を切断するように構成されている。いくつかの実施形態において、切断部材40は固定刃を備える。少なくとも1つの実施形態において、下側ジョー部材8bは、アンビル10上に形成された嵌合部材と相互作用するように構成された、鋭い切断部材40を備える。アンビル10をステープルカートリッジ12に向かって圧縮すると、アンビル10が組織Tを切断部材40に押し付け、それにより、標的組織Tが切断される。他の実施形態では、切断部材は、例えば、シャフトレスエンドエフェクタ6の近位端に隣接した非作動位置から遠位端の隣の作動位置へと配備できる摺動可能な切断部材を備え得る。そのような実例の少なくとも1つにおいては、アンビル10内のスロット、及びステープルカートリッジ12内の中央に配設されたスロットを通って摺動可能に延在するように、切断部材を構成できる。摺動可能な切断部材は、例えば、回転可能なシャフトにより配備できる。更なる詳細は後述する。いくつかの実施形態において、摺動可能な切断部材は、ステープル14を配備するためのそりを備えている。
【0022】
図11には、シャフトレスエンドエフェクタ106の実施形態が例示されている。シャフトレスエンドエフェクタ106は、
図1〜
図10に例示されているシャフトレスエンドエフェクタ6に類似している。シャフトレスエンドエフェクタ106は、第1のジョー部材108aと第2のジョー部材108bとを備える。第1のジョー部材108aは、内部に複数のステープル形成ポケットを有するアンビル110を備える。第2のジョー部材108bは、例えば、インプラント可能なステープルカートリッジのようなステープルカートリッジを受容するように構成されたチャネル142を備える。シャフトレスクロージャシステム120は、エンドエフェクタ106を開位置から閉位置へと遷移させてチャネル142の内部に位置するステープルカートリッジのステープルを配備するように構成されている。シャフトレスクロージャシステムは、近位摺動部122a及び遠位摺動部122bを備える。近位摺動部122a及び遠位摺動部122bは、第1のジョー部材108a及び第2のジョー部材108bと摺動可能に相互作用し、アンビル110をステープルカートリッジに接触させるように駆動して、このステープルカートリッジの内部にステープルが形成されるように構成される。近位摺動部122aは、エンドエフェクタ106の長手方向軸に対して直角な方向に延在する角度付き把持部分を備える。様々な実例において、角度付き把持部分はスキーチップ150を含み得る。スキーチップ150は、ある組織に対して又はその組織の下部にエンドエフェクタ106が挿入されるのを容易にするように構成できる。スキーチップ150は、把持具154と相互作用するように構成された把持区間152を備える。把持具154は、例えば、トロカール4を介して挿入されるように構成された、把持用装置などの任意の好適な把持具を備え得る。スキーチップ150は、例えば、ベッセル又は標的組織の下位への、シャフトレスエンドエフェクタ106の配置を容易にし得る。いくつかの実施形態では、シャフトレスエンドエフェクタ106を標的組織の下位に位置決めした後、把持具154を使用して、シャフトレスエンドエフェクタ106を、
図11に例示されている開位置から部分的に閉じた位置へと遷移させる。摺動部122a及び122bを互いに向かって押圧すると、把持具154及び/又は追加の機械的アクチュエータが、シャフトレスクロージャシステム120と相互作用し、シャフトレスエンドエフェクタ106が部分的に閉じた位置から発射済み位置へと遷移する。スキーチップ150が近位摺動部122aに連結されているようすが例示されているが、スキーチップ150は、遠位摺動部122bから延在している場合もある。
【0023】
図12及び
図13には、シャフトレスエンドエフェクタ206の一実施形態が例示されている。シャフトレスエンドエフェクタ206は、第1のジョー部材208aと第2のジョー部材208bとを備える。第1のジョー部材208aは、内部に複数のステープル形成ポケットを有するアンビル210を備える。第2のジョー部材208bは、例えば、インプラント可能なステープルカートリッジのようなステープルカートリッジを受容するように構成された長手方向チャネル242を備える。第1のジョー部材208a及び第2のジョー部材208bは、ピン215及びスロット216により連結されている。ピン215を用いることにより、アンビル210が第2のジョー部材208bに対して枢動移動及び垂直移動することが可能になる。シャフトレスクロージャシステム220は、シャフトレスエンドエフェクタ206を開位置から閉位置へと遷移させるように構成されている。シャフトレスクロージャシステムは、近位摺動部222aと遠位摺動部222bとを備える。近位摺動部222a及び遠位摺動部222bはそれぞれ、そこに形成されたカムを備え、このカムは、アンビル210上に形成されたベベルと相互作用するように構成されている。近位摺動部222a及び遠位摺動部222bのカムと、第1のジョー208aのベベルとの間の相互作用によって、アンビル210を第2のジョー部材208bに対して実質的に平行な構成に維持しながら、アンビル210がステープルカートリッジに接触するように駆動できる。近位摺動部222aは、着脱可能なガイドテザー256をシャフトレスエンドエフェクタ206に連結させるように構成された連結機序258を含み得る。いくつかの実施形態において、ガイドテザー256は、角度付き平面260を備える。角度付き平面260は、第2のジョー部材208bの縦平面に対してある角度をなして延在する。角度付き平面260は、例えば、スキーチップを含み得る。外科医はガイドテザー256を操作することにより、シャフトレスエンドエフェクタ206を治療部位に位置決めすることができる。例えば、一実施形態では、着脱可能なガイドテザー256は、トロカールを介して患者から外部に近位に延在する。外科医は、このガイドテザーを引くことによってシャフトレスエンドエフェクタ206を位置決めすることができる。いったんシャフトレスエンドエフェクタ206が位置決めされたら、
図13に例示するように、このシャフトレスエンドエフェクタ206からガイドテザー256を分離させることができる。ガイドテザー256が近位摺動部222aに取り付けられているようすが例示されているが、連結機序258を遠位摺動部222b上に形成することも可能であるし、ガイドテザー256を遠位摺動部222bに連結することも可能であることは、読者に認識されるであろう。いかなる場合も、摺動部222a及び/又は摺動部222bを内向きに押圧することによって、ガイドテザー256をアクチュエータとして用い、アンビル210を部分的に閉じた位置に回転させることができる。
【0024】
図14には、断裂可能なガイドテザー356を備えるシャフトレスエンドエフェクタ306の実施形態が例示されている。シャフトレスエンドエフェクタ306は、第1のジョー部材308aと第2のジョー部材308bとを備える。第1のジョー部材308aは、内部に複数のステープル形成ポケットを有するアンビル310を備える。第2のジョー部材308bは、例えば、インプラント可能なステープルカートリッジのようなステープルカートリッジを受容するように構成された長手方向チャネル342を備える。第1のジョー部材308a及び第2のジョー部材308bは、ピン315及びスロット316により連結されている。ピン315を用いることにより、アンビル310が第2のジョー部材308bに対して枢動移動及び垂直移動することが可能となる。シャフトレスクロージャシステム320は、シャフトレスエンドエフェクタ306を開位置から閉位置へと遷移させるように構成されている。シャフトレスクロージャシステムは、近位摺動部322aと遠位摺動部322bとを備える。近位摺動部322a及び遠位摺動部322bはそれぞれ、それらの摺動部上に形成されたカムを備え、アンビル310上に形成されたベベルと相互作用するように構成されている。近位摺動部322a及び遠位摺動部322bのカムとアンビル310上のベベルとの間の相互作用によって、アンビル310を第2のジョー部材308bに対して実質的に平行な構成に維持しながら、アンビル310がステープルカートリッジに接触するように駆動される。近位摺動部322aは、断裂可能な区間358によりガイドテザー356に連結されている。ガイドテザー356は、トロカール4を介して近位に延在し、外科医が標的部位にシャフトレスエンドエフェクタ306を位置決めする目的でガイドテザーを操作することもできる。シャフトレスエンドエフェクタ306が位置決めされた後、ガイドテザー356を、断裂可能な区間358を断裂させて、シャフトレスエンドエフェクタ306から解放させることができる。
図15には、シャフトレスエンドエフェクタ306に連結されたガイドテザー356の断裂可能な区間358が例示されている。
図16には、テザー356がシャフトレスエンドエフェクタ306から分離された後の、断裂可能な区間358が例示されている。
【0025】
図17には、駆動システム420を備えるシャフトレスエンドエフェクタ406の実施形態が例示されている。シャフトレスエンドエフェクタ406は、第1のジョー部材408aと第2のジョー部材408bとを備える。第1のジョー部材408aは、内部に複数のステープル形成ポケットを有するアンビル410を備える。第2のジョー部材408bは、ステープルカートリッジ412を内部に受容するように構成された長手方向チャネル442を含む。ステープルカートリッジ412は、複数のステープル14を備える。第1のジョー部材408a及び第2のジョー部材408bは、枢動的に連結されている。第1のジョー部材408aに連結されたピン415は、第2のジョー部材408b内に形成されたスロット416の内部で、摺動可能に保持される。ピン415及びスロット416を用いることで、アンビル410を、第2のジョー部材408bに対して旋回させ、第2のジョー部材408bに向かって垂直に移動させることが可能となる。
【0026】
回転可能なシャフト464は、第2のジョー部材408bを貫通して長手方向に延在する。回転可能なシャフト464は、駆動システム420の近位摺動部422a及び遠位摺動部422bと動作可能に係合する。近位摺動部422a及び遠位摺動部422bはそれぞれ、カム430を備え得る。一方及び/又は両方のカム430が、アンビル410に係合し、アンビル410を閉位置へと回転させて、かつアンビル410をカートリッジ412に向かって下方へ並進させるように構成されている。シャフト464は、近位摺動部422aから延在している近位駆動端466を備える。様々な実例では、例えば、回転機序468のような回転可能な入力部を近位駆動端466に連結させることによって、回転可能なシャフト464を回転させることが可能になる。シャフト464が、第1の螺設部分465a、第2の螺設部分465b、及び第3の螺設部分465cを更に備える場合もある。第1の螺設部分465aは、近位摺動部422a内に画定された螺設された縦孔に対し螺合し得る。シャフト464を第1の方向へ回転させると、第1の螺設部分465aが、近位摺動部422aを遠位摺動部422bに向かって変位させる場合がある。第2の螺設部分465bは、遠位摺動部422b内に画定された螺設された縦孔に対し螺合し得る。シャフト464を第1の方向へ回転させると、第2の螺設部分465bが、遠位摺動部422bを近位摺動部422aに向かって変位させる場合がある。様々な実施形態では、そのような相対モーションを達成するため、例えば、第1の螺設部分465aが右手ねじ山を含み得る一方、第2の螺設部分465bが左手ねじ山を含み得る。近位摺動部422a及び遠位摺動部422bを互いに向かって移動させると、摺動部422a及び422bの一方及び/又は両方が、アンビル410を回転させて閉位置に入れ、このアンビル410を下方へ押圧してステープル14を圧壊し得る。
【0027】
図17、
図19及び
図21には、開状態から発射済み状態へと遷移するシャフトレスエンドエフェクタ406の動作が例示されている。
図17に示すように、アンビル410が開位置にあるときに、アンビル410とステープルカートリッジ412との間に標的組織「T」が位置決めされる。アンビル410を第2のジョー部材408bに対して旋回させることによって、シャフトレスエンドエフェクタ406が部分的に閉じた位置へと遷移する。いくつかの実例では、例えば、トロカール4を介して挿入した把持具でアンビル410に力を加えることにより、アンビル410を旋回させることができる。他の実例では、近位摺動部422aにより、アンビル410を少なくとも部分的に閉じた位置に移動させることが可能である。いかなる場合も、回転可能なシャフト464を回転させれば、シャフトレスエンドエフェクタ406の中心点に向かって近位摺動部422a及び遠位摺動部422bが長手方向に移動する。
図19に例示するように、近位摺動部422a及び遠位摺動部422bがアンビル410をカートリッジ412に対して完全に圧縮してシャフトレスエンドエフェクタ406を発射済み状態に構成することによって、シャフト464を回転させることができる。他の状況では、シャフト464を回転させることによって、カートリッジ412を部分的に圧縮してステープル14を部分的に形成できる。様々な実例では、近位摺動部422a及び遠位摺動部422bが、同時に又は異なる時点で第1のジョー408aに接触する場合がある。少なくとも1つの実例では、近位摺動部422aが第1のジョー408aに接触した後で、この第1のジョー408aに遠位摺動部422bが接触し得る。
【0028】
図17を再び参照すると、エンドエフェクタ406は、例えば、切断部材440のような切断部材を更に備えてもよい。エンドエフェクタ406が開状態にあるとき、
図17に例示するように、切断部材440は、近位の非前進位置に位置決めされ得る。
図18に例示するように、切断部材440内に、螺設された縦孔470が画定されている場合があり、この縦孔470を通ってシャフト464が延在し得る。切断部材440における近位の未前進位置では、螺設孔470がシャフト464に対し螺合しない場合がある。より具体的には、シャフト464に、第1の螺設部分465aと第3の螺設部分465との間に延在する非螺設部分467が含まれる場合があり、切断部材440がその近位の非前進位置にあるときに、シャフト464の非螺設部分467を螺設孔470の内部に位置決めできるようになっている。そのような状況では、シャフト464を回転させたときに、シャフト464が切断部材440を直接には移動させない場合がある。しかしながら、
図17及び
図19を参照すると、少なくとも初期には、近位摺動部422aにより、切断部材440を遠位に前進させ得る。他の言い方をすれば、上述したように、近位摺動部422aが内向きに移動したときに、シャフト464の回転によって、近位摺動部422aが切断部材440をカートリッジ412に向かって押圧し得る。様々な実例では、近位摺動部422aが、切断部材440を予備段階位置(すなわち、切断部材440がカートリッジ412及び/又はカートリッジ412とアンビル410との間に捕捉された組織Tを切除しようとしているがまだ切除していない位置)に移動させ得る。
図19に例示するように、様々な実例において、近位摺動部422aがその閉位置に達したときに、近位摺動部422aは、切断部材440をその予備段階位置に移動させ得る。他の実例では、近位摺動部422aがその閉位置に達する前に、近位摺動部422aは、切断部材440をその予備段階位置に移動させ得る。いずれにしても、切断部材440がその予備段階位置に達したときに、切断部材440が、シャフト464と動作可能に係合するようになり得る。より具体的には、切断部材440内に画定された螺設孔470が螺設位置465cに螺合するようになるまで、近位摺動部422aが、切断部材440を遠位に押圧し得る。
図21に例示するように、いったん切断部材440がシャフト464に螺合した後、シャフト464が第1の方向に更に回転して、切断部材440を遠位に前進させ得る。
【0029】
先に概説したように、第1の螺設部分465aは、近位摺動部422aをその非作動位置(
図17)からその完全に作動した位置(
図19)へと前進させ得る。シャフト464を回転させると、近位摺動部422aは、第1の螺設部分465aの長さに沿って前進する。いったん近位摺動部422aがその完全に作動した位置に移動すると、近位摺動部422aがシャフト464にもはや係合しなくなる場合があり、シャフト464を第1の方向に更に回転させても、近位摺動部422aが更に前進しない場合がある。他の言い方をすれば、第1の螺設部分465aが近位摺動部422aを、第1の螺設部分465aが近位摺動部422a内に画定された螺設孔に対しもはや螺合しなくなる地点へと押圧し得る。そのような地点では、シャフト464の非螺設部分467が螺設孔の内部に位置決めされ得る。同様に、第2の螺設部分465bは、遠位摺動部422bをその非作動位置(
図17)からその完全に作動した位置(
図19)へと前進させ得る。シャフト464を回転させると、遠位摺動部422bが、第2の螺設部分465bの長さに沿って前進する。いったん遠位摺動部422bが、その完全に作動した位置に移動した後、遠位摺動部422bがシャフト464にもはや係合しなくなる場合があり、シャフト464を第1の方向に更に回転させても、遠位摺動部422bが更に前進しない場合がある。他の言い方をすれば、第2の螺設部分465bが遠位摺動部422bを、第2の螺設部分465bが遠位摺動部422b内に画定された螺設孔に対しもはや螺合しなくなる地点へと押圧し得る。そのような地点では、シャフト464の非螺設部分467が螺設孔470の内部に位置決めされ得る。様々な実例では、第2の螺設部分465bから遠位摺動部422bが係合解除されるのと同時に、又は少なくとも実質的に同時に、第1の螺設部分465aから近位摺動部422aを係合解除できるようになる。いくつかの実例では、遠位摺動部422bが第2の螺設部分465bから係合解除される前又は係合解除された後に、第1の螺設部分465aから近位摺動部422aを係合解除できるようになる。様々な実例では、切断部材440が第3の螺設部分465cに係合するのと同時に又は実質的に同時に、第1の螺設部分465aから近位摺動部422aを係合解除できるようになる。他の実例では、切断部材440が第3の螺設部分465cに係合する前又は係合した後に、第1の螺設部分465aから近位摺動部422aを係合解除できるようになる。
【0030】
シャフト464によりナイフ440を十分に前進させた後、組織Tを切開し、かつ/又はカートリッジ412を切り込んで、シャフト464を第2の(すなわち反対)方向に回転させることにより、ナイフ440を後退させることができる。そのような実例では、ナイフ440が、その予備段階位置(すなわち、第3の螺設部分465cにもはや螺合しなくなる位置)に戻るまで、第3の螺設部分465cに沿って逆行する場合がある。同様に、シャフト464を第2の方向に回転させると、近位摺動部422a及び遠位摺動部422bがその非作動位置に戻る場合があり、アンビル410を再度開くことが可能になる。ある実例では、切断部材440が後退していくにつれて、その切断部材440が近位摺動部422aに接触し、それにより、位摺動部422aが後押しされて第1の螺設部分465aに戻るようになる。様々な実例では、エンドエフェクタ406は、シャフト464上に載置されると共に遠位摺動部422bが後押しされて第2の螺設部分465bに戻るように構成された螺設部材を更に備えてもよい。いずれの場合も、シャフト464の螺設部分は同じねじ山ピッチを有し得る。そのような実例では、シャフト464により変位したエンドエフェクタ406の部分は、同じ速度で移動し得る。他の実例では、シャフト464の螺設部分の1つ又は2つ以上が、異なるねじ山ピッチを有する場合があり、結果として、エンドエフェクタ406のコンポーネントの1つ又は2つ以上が、シャフト464の所与の回転速度とは異なる速度で移動し得る。
【0031】
読者に理解されるように、エンドエフェクタ406は、第1の段階でアンビル410を閉じ、第2の段階でステープル14を変形させ、かつ第3の段階でナイフ440を前進させ得る、単一の回転式駆動入力部を備える。ある実例では、これらの段階の1つ又は2つ以上が連続的に起こり得る。少なくとも1つの実例では、これらの段階の1つ又は2つ以上が互いに重複しないこともあり得る。様々な実例では、これらの段階の1つ又は2つ以上が一斉に起こり得る。少なくとも1つの実例では、これらの段階の1つ又は2つ以上が、1つ又は2つ以上の他の段階と少なくとも部分的に重複する場合がある。いくつかの実例では、切断段階前にステープル形成段階が少なくとも部分的に起こることが所望される場合がある。他の実例では、切断段階の開始前にステープル形成段階が完了することが所望される場合がある。そのような実施形態では、組織Tがステープル留めさる前に切断されてしまうのを防ぐことが、所望される場合がある。以下に詳述されるように、ある実施形態ではエンドエフェクタの様々な動作段階を実行する2つ以上の駆動システムを含むことが可能である。
【0032】
図22には、シャフトレスクロージャ機序及びシャフトレス発射機序を備えるシャフトレスエンドエフェクタ506の実施形態が例示されている。シャフトレスエンドエフェクタ506は、第1のジョー部材508aと第2のジョー部材508bとを備える。第1のジョー部材508aは、ステープル形成表面を有するアンビル510を備え、そのステープル形成表面内には、複数のステープル形成ポケットが含まれている。第2のジョー部材508bは、ステープルカートリッジ512を内部に受容するように構成された長手方向チャネル542を含む。第1のジョー部材508a及び第2のジョー部材508bは、枢動的に連結されている。第1のジョー部材508aはピン515を備え、このピンは、下側ジョー部材508b内に形成されたスロット516に連結されている。ピン515を用いることにより、第1のジョー部材508aを、第2のジョー部材508bに対して枢動的に及び垂直に移動させることが可能になる。
【0033】
回転可能なシャフト564は、下側ジョー部材508bを貫通して長手方向に延在する。回転可能なシャフト564は、クロージャ機序520の近位摺動部522a及び遠位摺動部522bに連結されている。近位摺動部522a及び遠位摺動部522bはそれぞれ、カム530を備え得る。各カム530は、第1のジョー8a上に形成された1つ又は2つ以上のベベル付き表面と相互作用するように構成された角度を含み得る。回転可能なシャフト564は、例えば、回転可能な駆動入力部568のような回転可能な駆動入力部に取り付けることができる駆動端566を備える。上記と同様に、回転可能な駆動入力部568が、シャフト564を回転させることができ、それにより、近位摺動部522a及び遠位摺動部522bをエンドエフェクタ506の中心点に向かって長手方向に移動させることができる。近位摺動部522a及び遠位摺動部522bがシャフトレスエンドエフェクタ506の中心点に向かって長手方向に移動すると、カム530が第1のジョー8aに接触し、それにより、アンビル510を、ステープルカートリッジ512に接触するように駆動させる。
図25に例示するように、アンビル510が、ステープルカートリッジ512を圧縮させ、標的組織「T」を貫通してステープル14を配備させ得る。そのようなシステムは、アンビル510を閉じてエンドエフェクタ506内のステープル14を発射させるように構成されたエンドエフェクタ506の第1の駆動システムを備え得る。
【0034】
上記を更に詳述すると、エンドエフェクタ506は、組織Tを切開し、かつ/又はステープルカートリッジ512を切るように構成された第2の駆動システムを備え得る。主に
図23及び
図26を参照すると、シャフトレスエンドエフェクタ506は、例えば、切断部材540のような切断部材を備え得る。切断部材540は、第2のジョー部材508b及び/又はステープルカートリッジ512内に形成されたチャネルの内部で長手方向に配備可能である。様々な実例において、切断部材540は縦孔又は間隙孔570を含む場合があり、これらの孔は、その切断部材を貫通して延在している。駆動シャフト564は、間隙孔570を貫通して延在し得る。また、この駆動シャフト564は、切断部材540と動作可能に係合しない場合がある。様々な実例では、近位摺動部522aは、この近位摺動部から延在する駆動コネクタ576を備え得る。駆動接続部576内に、孔571が画定されている場合があり、この孔は、ロッド580を受容するように構成され得る。ロッド580を駆動入力部578の内部に位置決めすることもできるし、この駆動入力部578を駆動コネクタ576に取り付けることもできる。いったん駆動入力部578が駆動コネクタ576にアセンブルされたら、ロッド580をエンドエフェクタ506内に前進させ、切断部材540及び/又はプッシャー部材541に係合させて、ロッド580及び切断部材540の中間に位置決めできる。様々な実例では、ロッド580及び/又はプッシャー部材541が、切断部材540に当接し、この切断部材540を遠位に前進させ、カートリッジ512及び/又はカートリッジ512とアンビル510との間に捕捉されている組織Tを切開することができる。ある実例では、ロッド580を後退させる場合もあれば、切断部材540をその前進位置に置いたままにしておく場合もある。他の実例では、ロッド580に、遠位取付部分を含めることができ、この遠位取付部分を、例えば、切断部材540に係合させ、切断部材540を遠位に駆動させて、切断部材540を近位にその未発射位置へと引っ張るように構成することが可能である。少なくとも1つのそのような実施形態では、切断部材540内に、ロッド580の取付部分を受容するように構成されたソケットが画定されている場合がある。切断部材540を後退させた後、十分な力を加えることによって、切断部材540からロッド580を分離することができる。
【0035】
読者に理解され得るように、エンドエフェクタ506の第1の駆動システムを、アンビル510を閉じてステープル14を発射させるように構成してもよいし、一方、エンドエフェクタ506の第2の駆動システムを、エンドエフェクタ506の内部に捕捉された組織Tが切開されるように構成してもよい。第1の駆動システム及び第2の駆動システムは、互いに独立に動作できる。例えば、臨床医は、第1の駆動システムを動作させることができると共に、第2の駆動システムを動作させるかどうか及び/又はいつ動作させるかの決定を下すこともできる。
図22、
図25、及び
図26には、開位置と発射済み位置との間で遷移するシャフトレスエンドエフェクタ506が例示されている。
図22には、開位置にあるシャフトレスエンドエフェクタ506が例示されている。標的組織「T」は、アンビル510とステープルカートリッジ512との間に位置決めされている。アンビル510は、例えば把持具でアンビル510を移動させることによって、開位置から部分的に閉じた位置へと旋回する。外科用器具を使用中の任意の適当な時点で、駆動入力部568がシャフト564の駆動端566に取り付けられる場合もあれば、駆動入力部578が駆動コネクタ576に取り付けられる場合もある。いくつかの実例では、エンドエフェクタ506が外科部位内に位置決めされる前に、駆動入力部568及び駆動入力部578の一方又は両方を、エンドエフェクタ506に取り付けることができる。様々な実例では、エンドエフェクタ506が外科部位内に位置決めされた後で、駆動入力部568及び駆動入力部578の一方又は両方を、エンドエフェクタ506に取り付けることができる。ある実例では、駆動端576にアセンブルされる駆動入力部578とは独立に、駆動入力部568を駆動端566にアセンブルすることが可能である。他の実例では、駆動入力部568及び駆動入力部578は、駆動入力部568及び駆動入力部578を同時にエンドエフェクタ506にアセンブルするのを可能にするアクチュエータアセンブリを備え得る。使用中には、駆動入力部568を作動させることによって、回転可能なシャフト564を回転させ、近位摺動部522a及び遠位摺動部522bを、エンドエフェクタ506の中心点に向かって長手方向に駆動する。上述したように、近位摺動部522a及び遠位摺動部522b上のカム530は第1のジョー8aに接触して、アンビル510をステープルカートリッジ512に向かって移動させ、それにより、
図25に例示するようなステープルが形成され得る。また、使用中には、駆動入力部578を作動させることによって、発射部材540を前進させる。ある実例では、駆動入力部568及び駆動入力部578を、逐次的に動作させる場合がある。少なくとも1つの実例では、駆動入力部568を動作させることができ、次いで駆動入力部578を動作させることができる。ある実例では、駆動入力部568が動作し終えるまでは、駆動入力部578が動作しない場合がある。少なくとも1つのそのような実例では、駆動入力部568を動作させて、ステープル14を完全に形成するか又は好適に形成することができ、その後で、駆動入力部578を動作させてナイフ540を前進させる。様々な実例では、駆動入力部568及び駆動入力部578の動作が、少なくとも部分的に重複する場合がある。そのような実例の少なくとも1つにおいては、駆動入力部568を動作させることができ、駆動入力部568の動作中に、駆動入力部578を動作させることができる。
【0036】
図27には、
図28に例示されているシャフトレスエンドエフェクタ606のクロージャシステム620と相互作用するための一体化されたクロージャ及び発射機序680の実施形態が例示されている。エンドエフェクタ606は、第1のジョー部材608aと第2のジョー部材608bとフレーム694とを備える。第1のジョー部材608aは、アンビル610を備える。第2のジョー部材608bは、ステープルカートリッジ612を内部に受容するように構成された長手方向チャネル642を含む。
図28、
図30、及び
図32を参照すると、第1のジョー部材608a及び第2のジョー部材608bは、ピボットピン615によって、枢動的に連結されている。主に
図32を参照すると、フレーム694からピン615が延在し、このピン615により第1のジョー部材608a及び第2のジョー部材608bがフレーム694に回転可能に連結されている。第1のジョー部材608a及び第2のジョー部材608bは、中心軸「A」に対して枢動的に移動可能である。シャフトレスクロージャシステム620は、シャフトレスエンドエフェクタ606の近位端に位置している。シャフトレスクロージャシステム620は、1つ又は2つ以上のねじ山698を備える回転可能なカラー690を備え、そのねじ山は、第1のジョー部材608a及び第2のジョー部材608b上に形成された1つ又は2つ以上のねじ山696と回転可能に相互作用するように構成されている。少なくとも1つの実例では、ねじ山696は、第1のジョー部材608a及び第2のジョー部材608bにより画定された周辺部に延在する連続的な一連のねじ山を含み得る。
図30に例示するように、回転可能なカラー690を第1の方向に回転させると、第1のジョー部材608a及び/又は第2のジョー部材608bが中心軸「A」に向かって旋回する。
図30に例示するように、カラー690を第2の(すなわち反対)方向に回転させると、第1のジョー部材608a及び/又は第2のジョー部材608bが軸「A」から離れる向きに旋回する。以下に詳述されるように、カラー690が、駆動入力部に動作可能に取り付けられ得る接続部分を備える場合もある。エンドエフェクタ606は、ステープルカートリッジ612を切り、かつ/又はこのカートリッジ612とアンビル610との間に捕捉された組織を切開するように構成された切断部材640を更に備えてもよい。切断部材640は、例えば、切断部材640の切断部分672から近位に延在する接続部材643のような接続部分を備え得る。以下に詳述されるように、接続部材643を、駆動入力部に動作可能に取り付けることが可能である。様々な実例において、フレーム694内に縦孔693が画定される場合があり、この孔693の内部に接続部材643を摺動可能に受容できる。
【0037】
主に
図27を参照すると、発射機序680は、フレーム682、回転可能な外側駆動部686、及び並進可能な内側駆動部688を備え得る。
図28〜
図30を参照すると、回転可能なカラー690内に、発射機序680のフレーム682を受容するように構成できる開口部695が画定されている場合がある。様々な実例では、開口部695の内部にフレーム682を緊密に受容できる。ある実例において、フレーム682内に、エンドエフェクタ604のフレーム694の少なくとも一部分を受容するように構成できる縦孔681が画定されている場合がある。上記と同様に、フレーム682の孔681の内部に、フレーム694を緊密に受容できる。様々な実例では、フレーム694及びフレーム682を一体に圧入させることができる。ある実例では、フレーム694とカラー690との間に、フレーム682を圧入できる。いくつかの実例では、フレーム682とフレーム694との間に、差し込み接続を形成できる。少なくとも1つの実施形態では、フレーム694内に、1つ又は2つ以上の差し込みスロット692が画定されている場合があり、この各差し込みスロットは、フレーム682から内向きに延在するポスト699を受容するように構成できる。フレーム682をフレーム694にアセンブルする目的で、ポスト699をスロット692内に位置決めして、スロット692内の旋回部又は湾曲部に達するまで、遠位に押圧することができる。そのような時点で、フレーム682を回転させるか又は捻って、ポスト699をスロット692内に係止することができる。フレーム694からフレーム682を取り外す目的で、フレーム682を反対方向に回転させてポスト699を非係止位置に移動させ、フレーム682を近位に引っ張ってフレーム694から離すことができる。
【0038】
上述したように、カラー690が接続部分を含む場合がある。様々な実例において、カラー690内に、1つ又は2つ以上の駆動スロット691が画定されている場合があり、この駆動スロットは、発射機序680の回転可能な外側駆動部686の少なくとも一部分を受容するように構成され得る。ある実例では、回転可能な外側駆動部686は、駆動スロット691の内部に位置決め可能な1つ又は2つ以上の駆動タブ687を備え得る。少なくとも1つの実例では、カラー690は、カラー690の第1の側に位置する第1の駆動スロット691、及び第2の(すなわちカラー690の反対)側に位置する第2の駆動スロット691を備えることができ、これに対応して、回転可能な外側駆動部686は、第1の駆動スロット691内に位置決め可能な第1の駆動タブ687、及び第2の駆動スロット691内に位置決め可能な第2の駆動タブ687を備えることができる。使用中には、駆動タブ687は、回転可能な外側駆動部686から回転可能なカラー690へと回転モーションを伝達し得る。様々な実例では、駆動タブ687を駆動スロット691の内部に緊密に受容でき、それにより、駆動タブ687を、駆動スロット691の側壁に係合させ、駆動スロットの内部に位置決めできる。使用中には、外側駆動部686を第1の方向に回転させることで、カラー690を第1の方向に回転させて、エンドエフェクタ606を閉じることができる。先に概説したように、外側駆動部686を用い、エンドエフェクタ606を閉じ、カートリッジ612圧縮して、ステープル14を変形させることができる。エンドエフェクタ606使用中の任意の適当な時点で、外側駆動部686を第2の方向に回転させることで、カラーを第2の(すなわち反対)方向に回転させて、エンドエフェクタ606を開くことができる。
【0039】
上述したように、切断部材640は接続部材643を備え得る。様々な実例において、接続部材643は、内部に画定された接続スロット644を含み得る。この接続スロットは、発射機序680の並進可能な内側駆動部688の少なくとも一部分を受容するように構成され得る。ある実施形態では、内側駆動部688は、接続スロット644内に解放可能に保持できる駆動端684を備え得る。
図29及び
図30に例示するように、内側駆動部688をフレーム孔693に挿入し、駆動端684を切断部材640に接続できる。使用中には、内側駆動部688を遠位に押圧することで、切断部材640を遠位に押圧し、ステープルカートリッジ612及び/又はステープルカートリッジ612とアンビル610との間に位置決めされた組織を切除することができる。様々な実例では、外側駆動部686が動作した後で、内側駆動部688が動作し得る。そのような実例の少なくとも1つにおいては、ステープル14が完全に形成された後で、切断部材640を前進させることができる。他の実例では、内側駆動部688及び外側駆動部686を、同時に動作させ得る。
【0040】
使用中には、回転可能なカラー690で、ジョー608a及び608bをそれらの完全に閉じた位置へと旋回させることが可能な場合も不可能な場合もある。そのような実例は、一般的に、ジョー608aと608bとの間に捕捉された組織が厚い場合に生じ得る。様々な実施形態において、切断部材640は、ジョー608a及び608bの閉鎖を容易にし得る1つ又は2つ以上のギャップ設定用フランジ(例えば、フランジ641a及び641bなど)を備え得る。より具体的には、切断部材640は、切断部材640が遠位に前進するにつれて第1のジョー608aに係合するように構成できる第1のギャップ設定用フランジ641aを備え得る。様々な実例において、第1のフランジ641a、第2のフランジ641b、及び切断部分は、例えば、I形又はI梁構成を含み得る。主に
図31を参照すると、第1のフランジ641aは、第1のジョー608aの上面内に画定されたスロットの内部を摺動し得る。同様に、切断部材640は、切断部材640が遠位に前進するにつれて第2のジョー608bに係合するように構成できる第2のギャップ設定用フランジ641bを備え得る。主に
図31を参照すると、第2のフランジ641bは、第2のジョー608bの上面内に画定されたスロットの内部を摺動し得る。切断部材640を遠位に前進させると、フランジ641a及び641bが、第1のジョー608aと第2のジョー608bとの間の距離を制御又は設定できる。様々な実例において、エンドエフェクタ606内に捕捉された組織、ステープルカートリッジ612、及び/又はエンドエフェクタ606の付勢用ばねが、ジョー608a及び608bを、それぞれフランジ641a及び641bに対して外向きに付勢し得る。そのような実例では、切断部材640が、ジョー608a及び608bをそれらの完全に閉じた位置に移動させ得る。例えば、切断部材640を前進させるだけで、ジョー608a及び608bを閉じてステープル14を発射し組織Tを切開するのに十分であり得る、いくつかの実施形態が想到される。
【0041】
本明細書に開示されている装置は、1回の使用後に処分できる設計としてもよいし、又は複数回使用できる設計としてもよい。しかしながら、いずれの場合も、装置は、少なくとも1回の使用の後に再使用に備えて再調整することができる。再調整としては、装置の分解工程、それに続く洗浄工程又は特定の部品の交換工程、及びその後の再アセンブル工程の任意の組み合わせを挙げることができる。詳細には、装置は分解可能であり、装置の任意の数の特定の部品又は部分を、任意の組み合わせで選択的に交換又は取り外すことができる。特定の部分を洗浄及び/又は交換した際、装置を以後の使用に備えて、再調整施設で又は外科手技の直前に外科チームによって、再アセンブルし得る。当業者に認識されるように、装置の再調整では分解、洗浄/交換、及び再アセンブルのための様々な技術を利用できる。このような技術の使用、及びその結果として得られる再調整された装置は、全て本出願の範囲内にある。
【0042】
好ましくは、本明細書に記載される本発明は、手術の前に処理される。最初に、新品又は中古の器具を入手し、必要に応じて洗浄する。次いで器具を滅菌してもよい。1つの滅菌技術において、器具は、プラスチックバッグ又はTYVEKバッグなどの密閉容器に入れられる。次に、容器及び器具は、γ線、X線、又は高エネルギー電子などの、容器を貫通できる放射線の場に置かれる。放射線は、器具上又は容器内の細菌を死滅させる。次に、滅菌された器具を滅菌容器内に格納することができる。密封容器は、医療施設において開封されるまで器具を滅菌状態に保つ。
【0043】
その全体又は一部が、本明細書において参照により援用されるとされる任意の特許、刊行物又は他の開示資料は、援用される資料が本開示に記載されている既存の定義、記述、又は他の開示資料と矛盾しない程度においてのみ、本明細書に援用されている。このように、また必要な範囲で、本明細書に明瞭に記載されている開示は、参照により本明細書に援用されたあらゆる矛盾する内容に優先されるものとする。本明細書に参照により援用するものとされているが既存の定義、見解、又は本明細書に記載された他の開示内容と矛盾する全ての内容若しくはそれらの部分は、援用された内容と既存の開示内容との間にあくまで矛盾が生じない範囲でのみ援用される。
【0044】
本発明を例示的な意匠を有するものとして説明してきたが、本発明は本開示の趣旨及び範囲内で更に改変することができる。したがって、本出願はその一般的原理を利用した本発明のあらゆる変形、使用又は適応を網羅するものとする。更に、本出願は、本発明の関連する技術分野において公知の又は従来の実施の範囲内にある本開示からの逸脱を包含することを意図したものである。
【0045】
〔実施の態様〕
(1) シャフトレスエンドエフェクタであって、
アンビルアセンブリであって、
ステープルカートリッジを内部に受容するように構成されたステープルカートリッジチャネルを備えるアンビルフレームと、
アンビルであって、
前記アンビルフレームに回転可能に連結されたピボット端と、
移動可能な第2の端部と、
ステープル形成表面と、
を備える、アンビルと、
を備える、アンビルアセンブリと、
前記アンビルの前記第2の端部に係合するように構成されたクロージャシステムと、
入力コネクタを備える駆動システムであって、前記駆動システムが、前記クロージャシステムを動作させて前記アンビルを開位置から閉位置へと遷移させるように構成されており、前記エンドエフェクタが治療箇所に挿入された後でアクチュエータを前記駆動システムに連結できるようになっている、駆動システムと、を備える、シャフトレスエンドエフェクタ。
(2) 前記クロージャシステムが、前記アンビルフレームの近位端と摺動可能に相互作用して前記アンビルを前記開位置から前記閉位置へと遷移させるように構成された近位端摺動部を備える、実施態様1に記載のシャフトレスエンドエフェクタ。
(3) 前記クロージャシステムが、前記アンビルフレームの遠位端と摺動可能に相互作用して前記アンビルを前記開位置から前記閉位置へと遷移させるように構成された遠位端摺動部を備える、実施態様2に記載のシャフトレスエンドエフェクタ。
(4) 前記アンビルフレームの前記近位端に摺動可能に連結された近位シャフトであって、前記近位端摺動部が前記近位シャフトに連結されている、近位シャフトと、
前記アンビルフレームの前記遠位端に摺動可能に連結された遠位シャフトであって、前記遠位端摺動部が前記遠位シャフトに連結されている、遠位シャフトと、
を更に備え、前記クロージャシステムが、前記近位端摺動部及び前記遠位端摺動部を互いに向かって摺動させて前記アンビルを前記開位置から前記閉位置へと遷移させるように構成されている、実施態様3に記載のシャフトレスエンドエフェクタ。
(5) 前記近位端摺動部及び前記遠位端摺動部が、把持具と相互作用するように構成されており、かつ前記アクチュエータが把持具を備える、実施態様4に記載のシャフトレスエンドエフェクタ。
【0046】
(6) 前記近位端摺動部及び前記遠位端摺動部に連結された回転可能なシャフトを更に備え、前記回転可能なシャフトが第1の方向に回転すると前記近位端摺動部及び前記遠位端摺動部が前記アンビルフレームの中心に向かって移動し、前記回転可能なシャフトが反対方向に回転すると前記近位端摺動部及び前記遠位端摺動部が前記アンビルフレームの前記中心から離れる向きに移動する、実施態様3に記載のシャフトレスエンドエフェクタ。
(7) 切断用器具を更に備え、前記切断用器具は、前記アンビルが前記閉位置に遷移したときに前記アンビルと前記ステープルカートリッジチャネルとの間に位置する組織切片を切断するように構成されている、実施態様1に記載のシャフトレスエンドエフェクタ。
(8) 前記アンビルフレームの内部に位置する回転可能なシャフトと、
前記回転可能なシャフトと動作可能に係合する切断用器具と、
を更に備え、前記回転可能なシャフトの回転が、前記切断用器具を前記アンビルの前記ピボット端と前記第2の端部との間で移動させるように構成されている、実施態様1に記載のシャフトレスエンドエフェクタ。
(9) 前記切断用器具がI形梁を備え、前記I形梁が、前記アンビルフレームの内部で遠位に前進したときに前記ステープルカートリッジに格納されている複数のステープルを配備するように構成されている、実施態様8に記載のシャフトレスエンドエフェクタ。
(10) 前記アンビルの複数の高さに対応する複数の切欠きを更に備え、前記複数の切欠きが、前記アンビルフレームに対する前記アンビルの現在の高さの示度を提供するように構成されている、実施態様1に記載のシャフトレスエンドエフェクタ。
【0047】
(11) 前記シャフトレスクロージャシステムが、前記アンビルアセンブリの近位端に回転可能に連結された回転可能なカラーを備え、前記回転可能なカラーが、前記アンビルアセンブリに螺合して前記アンビルアセンブリを前記閉位置に移動させるように構成されている、実施態様1に記載のシャフトレスエンドエフェクタ。
(12) エンドエフェクタであって、
第1の端部と第2の端部とを備えるフレームと、
ステープル形成表面を備えるアンビルであって、前記フレームに開位置と閉位置との間で移動可能に連結されている、アンビルと、
ステープルカートリッジであって、
複数のステープル空洞を備えるカートリッジ本体と、
前記ステープル空洞内に取り外し可能に位置決めされた複数のステープルと、
を備える、ステープルカートリッジと、
前記第1の端部に対して移動可能な第1のカムと、
前記第2の端部に対して移動可能な第2のカムと、
を備え、前記第1のカムが前記第1の端部に対して移動し、かつ前記第2のカムが前記第2の端部に対して移動することによって、前記アンビルが前記開位置と前記閉位置との間で遷移する、エンドエフェクタ。
(13) 前記アンビルが第1のベベルと第2のベベルとを備え、前記第1のカムが第1の傾斜面を備え、前記第2のカムが第2の傾斜面を備え、前記アンビルを平行運動で閉じるように、前記第1の傾斜面が前記第1のベベルと相互作用するように構成され、かつ前記第2の傾斜面が前記第2のベベルと相互作用するように構成されている、実施態様12に記載のエンドエフェクタ。
(14) 前記フレームにより回転可能に支持された回転可能なシャフトを更に備え、前記回転可能なシャフトが前記第1のカム及び前記第2のカムと動作可能に係合し、前記回転可能なシャフトが回転すると、前記第1のカム及び前記第2のカムが互いに向かって移動し、かつ前記アンビルが前記開位置と前記閉位置との間で遷移するようになっている、実施態様13に記載のエンドエフェクタ。
(15) 前記回転可能なシャフトに連結された切断用器具を更に備え、前記回転可能なシャフトが回転すると、前記切断用器具が前記フレームの前記第1の端部から前記第2の端部に向かって前進するようになっている、実施態様14に記載のエンドエフェクタ。
【0048】
(16) 前記第1のカムが第1の押圧表面を備え、前記第2のカムが第2の押圧表面を備え、かつ前記第1の押圧表面及び前記第2の押圧表面が把持具と相互作用するように構成されている、実施態様12に記載のエンドエフェクタ。
(17) 切断用器具を更に備え、前記切断用器具は、前記アンビルが閉位置に遷移したときに前記アンビルと前記ステープルカートリッジチャネルとの間に位置する組織切片を切断するように構成されている、実施態様12に記載のエンドエフェクタ。
(18) 切断用器具を更に備え、前記切断用器具は、前記アンビルが閉位置に遷移した後で前記アンビルと前記ステープルカートリッジチャネルとの間に位置する組織切片を切断するように構成されている、実施態様12に記載のエンドエフェクタ。
(19) 前記第1のカム及び前記第2のカムがそれぞれ、調整可能なクロージャを備え、前記調整可能なクロージャがそれぞれ、前記アンビルの閉鎖量を示すように構成された複数の較正用の刻み目を含み、前記第1のカム及び前記第2のカムが独立に移動可能であり、前記閉鎖量が調整されるようになっている、実施態様12に記載のエンドエフェクタ。
(20) 外科用システムであって、
アンビルを備える第1のジョーと、
圧縮性締め具カートリッジを備える第2のジョーであって、前記圧縮性締め具カートリッジがその内部に取り外し可能に格納されている複数の締め具を備える、第2のジョーと、
第1の駆動入力部を備えるクロージャシステムであって、前記クロージャシステムが、前記第1のジョー及び前記第2のジョーのうちの少なくとも1つを閉位置に移動させ、前記第1のジョーと前記第2のジョーとの間の組織を捕捉して、前記締め具を前記組織に係合させるようになっており、前記第1の駆動入力部が第1のアクチュエータに対し動作可能に係合可能である、クロージャシステムと、
第2の駆動入力部を備える切断用システムであって、前記切断用システムが、前記組織を切開するように構成され、前記第2の駆動入力部が第2のアクチュエータに対し動作可能に係合可能であり、前記切断用システムが前記クロージャシステムとは独立に動作可能である、切断用システムと、を備える、外科用システム。