(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら一実施形態について説明する。以下の説明中の前後、左右、及び上下の方向は、図中の矢印の方向を基準としている。以下では、一例として、複数の電池セル10の積層方向を上下方向として説明するが、これに限定されない。複数の電池セル10の積層方向は、他の任意の方向と一致してもよい。
【0010】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る組電池1の外観を示す上面視による斜視図である。
図2は、
図1に示す組電池1の一部を分解した上面視による分解斜視図である。
図3は、
図2に示す組電池1の本体1aの部品ごとの分解斜視図である。組電池1は、大きな構成要素として、本体1aと、バスバ40と、絶縁シート50と、拘束板60と、電圧検出部70とを有する。本体1aは、6つの電池セル10と、第1ケース20と、第2ケース30と、絶縁部材35と、を備える。
【0011】
図3に示すように、6つの電池セル10は、上下方向に積層される。以下では、積層された6つの電池セル10を、下方から上方に向けて、それぞれ電池セル10a、10b、10c、10d、10e及び10fとして表記する。各電池セルを区別しない場合には、まとめて電池セル10と記載する。各電池セル10は、上下方向に略平行な前面及び後面によりそれぞれ構成される2つの第1外面11を有する。各電池セル10は、積層方向に略垂直な方向、特に前後方向に沿って、2つの第1外面11から互いに反対方向に突出する1対の電極タブ12p及び12nを有する。各電池セル10は、1組の電極タブ12p及び12nが前後方向に沿って配置された状態で積層される。
【0012】
電池セル10は、第1外面11と交差し、2つの左右方向の側面によりそれぞれ構成される2つの第2外面13を有する。電池セル10は、第1外面11及び第2外面13と交差する2つの第3外面14を有する。2つの第3外面14は、電池セル10の上面及び下面によってそれぞれ構成され、積層方向に延びる軸、すなわち上下軸と交差する。
【0013】
第1ケース20及び第2ケース30は、任意の剛性の高い材料により構成されればよく、例えば、表面にPET樹脂などの電気絶縁性素材が付与された金属材、または樹脂材によって構成される。
【0014】
第1ケース20及び第2ケース30は、電池セル10の積層方向に延びる軸、すなわち上下軸と交差する面Sによって分割される。第1ケース20及び第2ケース30は、互いに係合した状態で、電池セル10の第1外面11を覆い、積層された電池セル10を内部で支持する。すなわち、積層された電池セル10は、第1ケース20の底面20aに載置される。係合した第1ケース20及び第2ケース30は、底面及び上面に構成された開口O1及びO2をそれぞれ有する。第1ケース20及び第2ケース30同士の接続面、すなわち面Sは、電池セル10の第3外面14と略平行である。このように、第1ケース20及び第2ケース30は、上下方向に係合又は分離する。
【0015】
第1ケース20及び第2ケース30は、一方の側面に係合爪E1が形成され、他方の対応する側面に係合孔E2が形成された状態で、互いに係合されてもよい。すなわち、第1ケース20及び第2ケース30の係合時に、係合爪E1が係合孔E2に係合する。組電池1は、爪と孔との係合による構成に限定されない。例えば、第1ケース20及び第2ケース30は、それぞれの側面から突設された任意の凸部がクリップなどの弾性部材によって挟持されることで、係合されてもよい。また、第1ケース20及び第2ケース30は、ねじ止めなどによる任意の締結構造によって係合されてもよい。このように、組電池1は、第1ケース20及び第2ケース30を確実に係合可能であれば、任意の係合構造を有してもよい。これにより、組電池1は、良好な組立性を実現でき、結果として、製品の信頼性向上に寄与できる。
【0016】
絶縁部材35は、樹脂材又は表面にPET樹脂などの電気絶縁性素材が付与された金属材によって構成される。絶縁部材35は、略コ字状に形成される。絶縁部材35は、第1ケース20及び第2ケース30に収容された複数の電池セル10のうち、隣接する電池セル10の電極タブ12p及び12n同士を絶縁する。絶縁部材35は、例えば第1ケース20に対して係合する係合部36を備える。一例として、係合部36は、互いに対向する端部にそれぞれ形成された係合孔36aによって構成されてもよい。また、絶縁部材35は、その中央部に形成され、電池セル10の電極タブ12p及び12nと当接する当接部37を有する。
【0017】
図2に示すように、バスバ40は、総プラスバスバ40a及び総マイナスバスバ40bを有する。バスバ40は、アルミニウム、銅などの金属によって
図2に示すような形状で形成される。総プラスバスバ40aは、電池セル10aの電極タブ12pと接続される。総マイナスバスバ40bは、電池セル10fの電極タブ12nと接続される。
【0018】
絶縁シート50は、ポリエチレン(PE:polyethylene)又はポリプロピレン(PP:polypropylene)樹脂などの電気絶縁性素材により略平板状に形成される。絶縁シート50は、積層された電池セル10のうち上端に位置する電池セル10fの上面に当接するように配置される。同様に、絶縁シート50は、積層された電池セル10のうち下端に位置する電池セル10aの下面に当接するように配置される。絶縁シート50は、組電池1の上面及び下面に固定される拘束板60と、組電池1内部の電池セル10との電気的な絶縁を確保するために設けられる。
【0019】
拘束板60は、任意の剛性の高い材料により構成されるのが好適である。例えば、拘束板60は、金属材のみによって構成されるのが好適である。これに限定されず、拘束板60は、表面にPET樹脂などの電気絶縁性素材が付与された金属材又は樹脂材によって構成されてもよい。拘束板60は、略平板状に形成される。
【0020】
拘束板60は、組電池1の上面及び下面において、絶縁シート50の上面及び下面に当接するようにそれぞれ配置される。拘束板60は、係合した第1ケース20及び第2ケース30の上面及び下面にねじ止めなどの適宜な方法により固定される。例えば、拘束板60の四隅に貫設された孔部61は、第1ケース20の側面の前後両端部に設けられた4つのねじ孔21及び第2ケース30の上面の四隅に設けられた4つのねじ孔31に合わせてねじ止めされる。これにより、拘束板60は、係合した第1ケース20及び第2ケース30の上面及び下面に固定される。拘束板60は、各電池セル10の上面及び下面によってそれぞれ構成され積層方向に延びる軸と交差する2つの第3外面14を拘束した状態で、電池セル10を第1ケース20及び第2ケース30に挟持させる。同時に、拘束板60は、電池セル10を支持する。
【0021】
電圧検出部70は、電池セル10の電圧を検出するための端子板71及び検出した電圧信号を伝送するためのワイヤ72によって構成される。電圧検出部70は、電池セル10の対応する電極タブに接続される。
【0022】
図4は、
図3の電池セル10単体を示す図である。
図4(a)は、電池セル10の上面図である。
図4(b)は、電池セル10の側面図である。
図4は、一例として、
図3のように配置された電池セル10bを示す。他の電池セル10についても、
図4に示す電池セル10bと同様に構成される。
【0023】
電池セル10は、上面視において略平板状に形成される。電池セル10の外装部材16は、ラミネートフィルムによって構成される。外装部材16の最外層は、電気絶縁性を確保するために樹脂によって構成される。外装部材16の上下両面は、第3外面14をそれぞれ構成する。第1外面11は、中央部において、左右両端部よりも一段外方に突出する。すなわち、第1外面11は、上面視において凸状に形成される。第1外面11のうち一段外方に突出した部分から、電極タブ12p又は12nが突設される。電極タブ12p及び12nは、前後方向に略平行に突出し、その突出方向に沿った側面17を有する。電極タブ12p及び12nは、
図4に示すとおり、通常は平板状に突設される。しかしながら、後述する組電池1の組み立て工程において、上下方向に隣接する他の電池セル10の電極タブ12p若しくは12n又はバスバ40と接触させるために、外方に向けて、側面視において略L字状となるように互いに対称的に曲げ加工される。例えば、電極タブ12pは、前後方向に沿って外方に直線状に突出した後、下方に屈曲する。電極タブ12nは、前後方向に沿って外方に直線状に突出した後、上方に屈曲する。以下では、一例として、下方に屈曲する電極タブ12pを正極端子、上方に屈曲する電極タブ12nを負極端子として説明するが、これに限定されない。電極タブ12p及び12nは、正極及び負極の役割が逆になるように構成されてもよい。
【0024】
電池セル10は、2つの第3外面14に設けられ、隣接する電池セル10を互いに接着する接着層15を有してもよい。接着層15は、上下2つの第3外面14のうち一方にのみ設けられてもよい。接着層15は、接着剤又は両面テープなどの粘着剤によって構成されてもよい。例えば、各電池セル10の上面及び下面に接着剤を塗布するなどの任意の方法により、互いに隣接する電池セル10同士を接着固定してもよい。同様に、電池セル10及び絶縁シート50同士を粘着剤によって接着固定してもよい。さらに、絶縁シート50及び拘束板60同士も同様に、粘着剤によって接着固定してもよい。
【0025】
図5は、
図3の第1ケース20単体を上面視により示した斜視図である。
【0026】
第1ケース20は、底面20aから上方に突設された前壁22a、後壁22b及び側壁22cを有する。第1ケース20は、前壁22a、後壁22b及び側壁22cによって囲まれた収容部23を有する。第1ケース20は、前壁22a及び後壁22bにそれぞれ形成された第1開口24を有する。第1開口24は、前壁22a及び後壁22bの略中央部を底面20aまで切欠いた状態で形成される。第1ケース20は、第1開口24の内面24aによって構成される当接部25を有する。第1ケース20は、第1開口24の外面24bに形成される係合部26を有する。
【0027】
第1ケース20への電池セル10の挿入の際に、各電池セル10の電極タブ12p及び12nは、第1開口24に沿った状態で第1ケース20の内部へと誘い込まれる。収容部23は、第1ケース20への電池セル10の挿入の際に、積層された電池セル10を収容する。このとき、電池セル10の電極タブ12p及び12nは、第1開口24から外方に突出する。当接部25は、電池セル10の電極タブ12p及び12nと当接する。特に、当接部25は、電極タブ12p及び12nの突出方向、すなわち前後方向に沿った側面17が対向する内面24aにより構成され、電池セル10を挿入する際に、側面17と当接する。当接部25は、電極タブ12p及び12nの少なくとも一方と当接してもよい。また、当接部25は、電極タブ12p又は12nの左右両側の側面17と同時に当接してもよいし、いずれか一方のみと当接してもよい。
【0028】
当接部25は、電池セル10を挿入する際に、当該電池セル10の第2外面13とさらに当接してもよい。すなわち、当接部25は、電池セル10の挿入の際に第2外面13が対向する側壁22cにより構成されてもよい。この場合、電池セル10が第1ケース20に挿入されると、電池セル10の第2外面13は、第1ケース20の当接部25、特に側壁22cと当接する。当接部25は、左右両側の第2外面13と同時に当接してもよいし、いずれか一方のみと当接してもよい。
【0029】
このように、各電池セル10の左右方向の位置決めは、電極タブ12p又は12nを基準にして、対応する部分を第1ケース20の当接部25と当接させることで行われる。当接部25は、第1ケース20のうち、電極タブ12p又は12nが収容される第1開口24の一部を構成する。当接部25が電極タブ12p又は12nの側面17と当接することで、組電池1は、隣接する電池セル10の電極タブ12p及び12n同士を溶着する場合に、これらの左右方向の位置決めを精度よく行うことができる。なお、上述のとおり、各電池セル10の左右方向の位置決めは、電極タブ12p及び12nの少なくとも一方の側面17を基準にして行われてもよい。
【0030】
一方で、当接部25は、電池セル10の挿入の際に、当該電池セル10の第1外面11とさらに当接してもよい。すなわち、当接部25は、電池セル10の挿入の際に第1外面11が対向する前壁22a又は後壁22bにより構成されてもよい。この場合、電池セル10が第1ケース20に挿入されると、電池セル10の第1外面11は、第1ケース20の当接部25、特に前壁22a又は後壁22bと当接する。当接部25は、前後両側の第1外面11と同時に当接してもよいし、いずれか一方のみと当接してもよい。
【0031】
各電池セル10の前後方向の位置決めは、例えば、第1外面11の対応する部分が第1ケース20の前壁22a又は後壁22bと当接することで行われてもよい。すなわち、第1外面11と、第1ケース20の前壁22a又は後壁22bとが当接することで、各電池セル10の前後方向位置が決定されてもよい。
【0032】
第1開口24の外面24bに形成される係合部26は、絶縁部材35が第1ケース20の第1開口24と嵌合する際に、係合部36と係合する。一例として、係合部26は、第1開口24の外面24bから突出するように形成された係合爪26aによって構成されてもよい。係合部26は、絶縁部材35の数に対応させて、第1開口24の左右両側の外面24bに沿って、上下方向に5組配列される。
【0033】
第1ケース20と係合する第2ケース30は、
図3に示すとおり、第1ケース20と対応する形状により構成される。すなわち、第2ケース30は、全体として略L字状に形成される。第2ケース30は、前壁32において、第1ケース20の第1開口24全体を内部に配置する第2開口32aを有する。
【0034】
図6は、
図1に示す組電池1を組み立てるための工程を示す模式図である。
図6(a)乃至(i)は、組電池1を組み立てるための各工程をそれぞれ示した模式図である。
【0035】
図6(a)に示す第1工程では、積層する6つの電池セル10のうち、最下層に収容される電池セル10aを、第1ケース20に挿入する。一例として、電池セル10aの電極タブ12pは前方に配置され、電極タブ12nは後方に配置される。電池セル10aは、第1開口24の内面24a又は側壁22cに沿って収容部23の内部へと誘い込まれる。電池セル10aが第1ケース20に挿入されると、電池セル10aの電極タブ12p及び12nの側面17は、第1ケース20の内面24aと当接する。また、電池セル10aの第1外面11が第1ケース20の前壁22a又は後壁22bと当接する。同様に、電池セル10aの第2外面13が第1ケース20の側壁22cと当接してもよい。
【0036】
図6(b)及び(c)に示す第2工程では、電池セル10aの電極タブ12p及び12nの直上で当接部37が当接するように、絶縁部材35が前後両方向から第1ケース20に挿入される。絶縁部材35が挿入されると、当接部37は、第1ケース20に収容された電池セル10のうち電極タブ12p及び12nのみと当接する。また、絶縁部材35が挿入されると、絶縁部材35の係合孔36aが第1ケース20の係合爪26aに係合する。組電池1は、このような爪と孔との係合による構成に限定されない。例えば、第1ケース20及び絶縁部材35は、それぞれの側面から突設された任意の凸部がクリップなどの弾性部材によって挟持されることで、係合されてもよい。また、第1ケース20及び絶縁部材35は、ねじ止めなどによる任意の締結構造によって係合されてもよい。このように、組電池1は、第1ケース20及び絶縁部材35を確実に係合可能であれば、任意の係合構造を有してもよい。これにより、組電池1は、良好な組立性を実現でき、結果として、製品の信頼性向上に寄与できる。
【0037】
図6(d)に示す第3工程では、さらに、電池セル10b乃至10f及び絶縁部材35を1つずつ下方から交互に第1ケース20に挿入する。このとき、各電池セル10は、電極タブ12p及び12nの向きが、隣接する電池セル10の向きと逆になるように配置される。すなわち、電池セル10bの電極タブ12pは後方に配置され、電極タブ12nは前方に配置される。同様の配置を繰り返すと、最上層に位置する電池セル10fの電極タブ12pは後方に配置され、電極タブ12nは前方に配置される。また、電池セル10b乃至10fは、電池セル10aと同様に、第1ケース20の対応する部分と当接することで位置決めされる。
【0038】
図6(e)に示す第4工程では、第1ケース20に挿入された電池セル10の反対側を覆うように、第2ケース30を第1ケース20に係合させる。より具体的には、第1ケース20の側面に設けられた係合爪E1と、第2ケース30の側面に設けられた係合孔E2とを係合させることで、互いを係合させる。
【0039】
以上により、組電池1の本体1aの組み立てが完了する。
【0040】
続いて、
図6(f)に示す第5工程では、本体1aの前面にバスバ40を取り付ける。より具体的には、総プラスバスバ40aの差込部41aが最下層に配置される電池セル10aの電極タブ12pの直下に位置するように、本体1aの前面における総プラスバスバ40aの位置を調整する。同様に、総マイナスバスバ40bの差込部41bが最上層に配置される電池セル10fの電極タブ12nの直上に位置するように、本体1aの前面における総マイナスバスバ40bの位置を調整する。その後、略水平方向に突出している電極タブ12p及び12nを所定の方向に折り曲げる。例えば、電極タブ12pを下方へと折り曲げ、電極タブ12nを上方へと折り曲げる。
【0041】
図6(g)及び(h)に示す第6工程では、本体1aの前面に電圧検出部70を取り付ける。より具体的には、折り曲げられた電極タブ12p及び12n同士、折り曲げられた電極タブ12p又は12n及びバスバ40同士が重畳した状態で、その前方からさらに端子板71を重畳させる。この状態で、組電池1の本体1aの前面に配置されている各構成部同士をレーザ溶接などの適宜な方法により溶接する。すなわち、電極タブ同士、電極タブ及びバスバ40同士、並びに電極タブ及び端子板71同士をそれぞれ溶接する。組電池1の本体1aの後面に配置されている各構成部同士についても同様である。
【0042】
以上により、
図6(i)に示すような組電池1の組み立てが完了する。この場合、本体1aの前面において、総プラスバスバ40aの差込部41aと電池セル10aの電極タブ12pとが電気的に接続される。同様に、電池セル10bの電極タブ12n及び電池セル10cの電極タブ12pとが電気的に接続される。電池セル10dの電極タブ12n及び電池セル10eの電極タブ12pとが電気的に接続される。さらに、総マイナスバスバ40bの差込部41bと電池セル10fの電極タブ12nとが電気的に接続される。
【0043】
一方で、本体1aの後面において、電池セル10aの電極タブ12nと電池セル10bの電極タブ12pとが電気的に接続される。同様に、電池セル10cの電極タブ12nと電池セル10dの電極タブ12pとが電気的に接続される。電池セル10eの電極タブ12nと電池セル10fの電極タブ12pとが電気的に接続される。
【0044】
以上のように、各電池セル10の電極タブ12p及び12nは、互いに上下逆方向に屈曲することで、隣接する電池セル10の反対の極性を有する電極タブとそれぞれ接続される。最終的に、6つの電池セル10は、互いに直列に接続される。
【0045】
図7は、
図1に示す組電池1の本体1aに絶縁シート50及び拘束板60を組み付ける工程を示した模式図である。
【0046】
図6に示す各工程の中の適宜なタイミングにおいて、本体1aに絶縁シート50及び拘束板60を組み付ける。特に、絶縁シート50及び拘束板60は、本体1aの上下両面それぞれに対して組み付けられる。より具体的には、2つの絶縁シート50は、電池セル10fの上面及び電池セル10aの下面に当接するようにそれぞれ配置される。2つの拘束板60は、上下両側に配置される絶縁シート50の上面及び下面に当接するようにそれぞれ配置される。以上により、
図1に示すような組電池1の組み立てが完了する。
【0047】
以上のような第1実施形態に係る組電池1は、組立性を向上できる。すなわち、組電池1が第1開口24を有することで、電極タブ12p及び12nが折り曲げられたり、溶着されたりすることなく、電池セル10は1つずつ第1ケース20に挿入される。これにより、第1ケース20に電池セル10を位置決めして、第1開口24を介して電極タブ12p及び12nの位置をさらに調整することで、隣接する電極タブ12p及び12n同士を溶着する際の位置決めが容易になる。結果として、このような位置決めの精度が向上する。加えて、第1ケース20への電池セル10の収容も簡便になる。
【0048】
組電池1では、電極タブ12p又は12nの側面17が位置決めの基準となるので、隣接する電池セル10の電極タブ12p及び12n同士を精度よく位置決めした状態でそれぞれを溶着できる。このように、組電池1は、位置決めの基準と溶着する部分とが電池セルの異なる方向の外面に配置される場合と比較して、溶着時の電極タブ12p及び12nの位置決め精度を向上できる。
【0049】
特に、組電池1は、当接部25を第1ケース20の第1開口24の内面24aとすることで、位置決めの基準となる電極タブ12p又は12nの側面17全体を受け止めて、電池セル10を安定して配置することができる。これにより、溶着時の電極タブ12p及び12nの位置決め精度がさらに向上する。このように、組電池1は、電極タブ12p及び12nの溶着工程を簡素化して、溶着作業を容易化できる。これにより、組電池1は、製品としての信頼性の向上にも寄与できる。
【0050】
組電池1は、当接部25が電池セル10の第1外面11と当接することで、電極タブ12p及び12nの位置決め精度をさらに向上できる。特に、組電池1は、前後方向に沿った位置決めをより精度良く行うことができる。
【0051】
特に、組電池1は、当接部25が第1ケース20の前壁22a又は後壁22bにより構成されることで、電極タブ12p及び12nの位置決め精度をさらに向上できる。すなわち、組電池1は、電池セル10を挿入する際に、当接部25の一部である前壁22a又は後壁22bに第1外面11を確実に突き当てることができる。特に、電池セル10の左右方向に沿った第1外面11の略全領域にわたって前壁22a又は後壁22bと当接するので、組電池1は、広範な領域にわたって位置決めの基準を提供できる。これにより、組電池1は、各電池セル10の寸法が同一であれば、電極タブ12p及び12nの位置を異なる電池セル10間で確実に合わせることができる。
【0052】
組電池1は、絶縁部材35を設けることで、隣接する電池セル10の積層方向に対する電気的な絶縁を確保できる。すなわち、初期状態はもとより、経時劣化により電池セル10が膨張して電極タブ12p及び12nの上下位置が変化しようとしても、絶縁性を維持できる。また、組電池1は、組み付け時の短絡を防止して、安全に組み付けを行うことができる。
【0053】
組電池1は、当接部37を有することで、電極タブ12p及び12nのみをより確実に絶縁できる。すなわち、組電池1は、当接部37が電池セル10の電極タブ12p及び12nのみと当接するので、その他の構成要素の影響を受けることなく、電極タブ12p及び12nの絶縁を確保できる。
【0054】
組電池1は、第1ケース20の係合部26及び絶縁部材35の係合部36による係合構造によって、良好な組立性を実現できる。組電池1は、結果として、製品の信頼性向上に寄与できる。特に、組電池1は、係合爪26aと係合孔36aとの組合せを設けることで、これらの効果をより顕著に奏する。
【0055】
組電池1は、絶縁部材35を樹脂材又は表面に電気絶縁性素材が付与された金属材によって構成することで、電極タブ同士の電気的な絶縁を確保できる。
【0056】
組電池1は、電池セル10同士、電池セル10及び絶縁シート50同士、並びに絶縁シート50及び拘束板60同士を粘着剤により固着することで、組電池1の振動又は衝撃に対する耐性を向上できる。例えば、組電池1は、車両に搭載される場合、走行時の振動又は衝撃などによる部品同士の相対的な変位を防止できる。このように、組電池1は、内部の各部品同士を互いに強固に固定して、振動又は衝撃に伴う内部の部品の破損を防止することもできる。
【0057】
組電池1は、第1ケース20及び第2ケース30を樹脂材又は表面に電気絶縁性素材が付与された金属材によって構成することで、外部に配置される電気部品などの部品と、組電池1内部の電池セル10との電気的な絶縁を確保できる。
【0058】
組電池1は、任意の係合構造、特に係合爪E1と係合孔E2との組合せを設けることで、良好な組立性を実現できる。組電池1は、結果として、製品の信頼性向上に寄与できる。
【0059】
組電池1は、電池セル10の積層方向に略垂直な第3外面14を拘束板60により拘束することで、組電池1の使用時、充放電時又は経時劣化後に内部ガスが発生したとしても、電池セル10の積層方向への膨張を抑制できる。組電池1は、拘束板60を金属材により形成することで、その剛性を向上させ、効果的に電池セル10の膨張を抑制できる。一方で、組電池1は、第1ケース20及び第2ケース30と同様に、拘束板60を電気絶縁性素材が付与された金属材又は樹脂材によって形成することで、電気的な絶縁性をさらに向上できる。また、このような場合、組電池1は、拘束板60を軽量化して安価に製造可能であるので、組電池1自体の軽量化及び低コスト化に貢献できる。
【0060】
組電池1は、上下両側から拘束板60によって電池セル10を拘束することで、上下両方向から電池セル10が強固に拘束される。すなわち、上下両方向から剛性の高い拘束板60が積層された電池セル10を狭持するので、加圧保持性が向上する。したがって、組電池1は、電池セル10の積層方向の膨張をさらに抑制できる。同様に、組電池1は、積層された電池セル10の支持性を向上できる。すなわち、組電池1は、各電池セル10の上下方向位置を規制できる。さらに、上下方向からの拘束により、第1ケース20及び第2ケース30は、積層された電池セル10を支持した状態であっても、撓みにくくなる。換言すると、上下の拘束板60によって、第1ケース20及び第2ケース30の撓みが規制される。
【0061】
組電池1は、当接部25が電池セル10の第2外面13とさらに当接することで、電極タブ12p及び12nの位置決め精度をさらに向上できる。特に、組電池1は、左右方向に沿った位置決めをより精度良く行うことができる。
【0062】
特に、組電池1は、当接部25が第1ケース20の側壁22cにより構成されることで、電極タブ12p及び12nの位置決め精度をさらに向上できる。すなわち、組電池1は、電池セル10を挿入する際に、当接部25の一部である側壁22cに第2外面13を確実に突き当てることができる。特に、電池セル10の前後方向に沿った第2外面13の略全領域にわたって側壁22cと当接するので、組電池1は、広範な領域にわたって位置決めの基準を提供できる。これにより、組電池1は、各電池セル10の寸法が同一であれば、電極タブ12p及び12nの位置を異なる電池セル10間で確実に合わせることができる。
【0063】
組電池1は、第1ケース20のみが収容部23及び第1開口24を有することで、これらの構造を一方のケースに集中させて、生産効率を向上できる。すなわち、組電池1は、第1ケース20に対してまとめて収容部23及び第1開口24を形成できるので、製造工程を削減でき、生産性の向上に寄与できる。
【0064】
組電池1は、第1開口24を有することで、第1ケース20への電池セル10の挿入性を向上できる。すなわち、組電池1は、挿入時に電極タブ12p及び12nが第1ケース20に接触して変形することを防止して、電極タブ12p及び12nを確実に第1開口24に収容可能である。このように組電池1は、電極タブ12p及び12nを損傷させることなく、安全かつ確実に組み付けを行うことができる。
【0065】
組電池1は、開口O1及びO2を設けることで、第1ケース20及び第2ケース30の劣化を抑制できる。例えば、開口O1及びO2が設けられずに、拘束板60を直接第1ケース20及び第2ケース30の上面及び下面に配置すると、拘束板60がこれらのケースを直接加圧することになるので、ケースが変形し、劣化が促進される。したがって、組電池1は、このような経時劣化に伴うケースの破損を防止できる。
【0066】
組電池1は、絶縁シート50の配置により、拘束板60と、内部の電池セル10との電気的な絶縁を確保できる。
【0067】
組電池1は、電池セル10の電極タブ12p及び12nが前後方向に沿ってそれぞれ反対に突出することで、対称的な形状となり、第1ケース20の対称性を向上させる。すなわち、組電池1は、第1ケース20をバランスよく形成できる。
【0068】
(第2実施形態)
図8は、本発明の第2実施形態に係る組電池1の外観を示す上面視による斜視図である。第2実施形態に係る組電池1は、
図8に示すとおり、第1実施形態に係る組電池1の構成に加えて、電池セル10の内部で発生したガスを外部に排出するための排出部80を備える。以下では、第1実施形態と同じ構成部については同一の符号を付す。また、その説明を省略し、第1実施形態と異なる排出部80に着目して主に説明する。
【0069】
排出部80は、例えば、第1ケース20の側面に1つ設けられる。排出部80は、当該側面から外部に向かって延びる排出チューブ81を有する。排出部80は、内部ガスを効率的に外部に排出可能であれば、第1ケース20及び第2ケース30の外面のうち、任意の外面に設けられてもよい。排出部80は、1つに限定されず、複数設けられてもよい。
【0070】
経時劣化に伴って、電池セル10の内部ではガスが発生する。内部ガスの圧力が所定値を上回ると、内部ガスは、電池セル10の周囲端部から外部へと放出される。排出部80は、排出チューブ81を通じて、電池セル10から放出された内部ガスを、組電池1の外部へと誘導する。
【0071】
以上のような第2実施形態に係る組電池1は、第1実施形態において説明した上記の効果と同様の効果を奏する。加えて、第2実施形態に係る組電池1は、排出部80によって内部ガスを外部へと誘導することで、安全性を向上できる。換言すると、組電池1は、製品としての信頼性を向上できる。
【0072】
本発明は、その精神又はその本質的な特徴から離れることなく、上述した実施形態以外の他の所定の形態で実現できることは当業者にとって明白である。したがって、先の記述は例示的なものであり、これに限定されるものではない。発明の範囲は、先の記述によってではなく、付加した請求項によって定義される。あらゆる変更のうちその均等の範囲内にあるいくつかの変更は、その中に包含されるものとする。
【0073】
上記では、電池セル10の電極タブ12p及び12nは、前後方向に沿ってそれぞれ反対に突出するものとして説明したが、これに限定されない。電極タブ12p及び12nは、同一面上に形成されてもよい。
図9は、変形例に係る組電池1の電池セル10単体を示す図である。
【0074】
例えば、
図9に示すとおり、電池セル10の前面は、左右方向に沿った2つの半部のそれぞれの中央部において、左右両端部よりも一段外方に突出する。すなわち、前方の第1外面11は、上面視において2つの凸形状が左右方向に連なるように形成される。第1外面11のうち一段外方に突出した2つの部分から、電極タブ12p及び12nがそれぞれ前方に突設される。
【0075】
第1ケース20及び第2ケース30は、
図9に示すような電池セル10を積層した状態で収容できる任意の構成を有してもよい。特に、6つの電池セル10は、隣接する電池セル10同士で電極タブ12p及び12nの左右方向位置が互い違いになるように積層される。したがって、第1ケース20及び第2ケース30は、このように積層された6つの電池セル10を適切に収容できる形状で構成されるのが好適である。
【0076】
一例として、第1ケース20では、1対の電極タブ12p及び12nを収容する第1開口24は、1つの前壁22aに集中して形成される。これにより、組電池1は、組み立ての工数を削減できる。組電池1は、生産性の向上に寄与できる。さらに、電池セル10の電極タブ12p及び12nが前方の第1外面11にのみ形成され、電池セル10の後部は平坦となることで、電池セル10の前後幅が、電極タブ12p又は12nの分だけ短くなる。これに伴って、ケースの前後幅も短くなり、組電池1は、全体として小型化に寄与できる。
【0077】
上記では、第1ケース20にのみ第1開口24が設けられる構成を説明したが、これに限定されない。第1開口24は、第1ケース20及び第2ケース30のうち少なくとも一方に設けられていればよい。第1開口24が両方に設けられる場合、例えば、第1ケース20及び第2ケース30を分割する面Sが組電池1の略中央部に配置された状態で、上下両側から第1ケース20の開口及び第2ケース30の開口が組み合わさることで、積層された電池セル10全体に及ぶ第1開口24が形成されてもよい。
【0078】
上記では、第1ケース20にのみ当接部25が設けられる構成を説明したが、これに限定されない。例えば、第2ケース30が当接部を有してもよく、この場合、当接部は、電池セル10の電極タブ12p及び12nの側面17に対応する内面により構成されてもよい。また、第1ケース20及び第2ケース30の双方が当接部を有してもよい。
【0079】
同様に、絶縁部材35は、第1ケース20のみと嵌合する構成を説明したが、これに限定されない。例えば、絶縁部材35は、第1ケース20及び第2ケース30のうち少なくとも一方に対して嵌合してもよい。この場合、第1ケース20及び第2ケース30のうち少なくとも一方が、絶縁部材35の係合部36に対応する係合部を有してもよい。
【0080】
電池セル10の枚数及び絶縁部材35の数は、上記の構成に限定されない。電池セル10の枚数は、任意の数でよい。絶縁部材35は、電池セル10の枚数に応じた最適な態様で設けられてもよい。
【0081】
組電池1は、第1ケース20及び第2ケース30の上下方向の一端にのみ絶縁シート50及び拘束板60を設けてもよい。これにより、組電池1は、部品点数を削減して、生産性を向上できる。
【解決手段】本発明に係る組電池1は、各々が第1外面11より突出した電極タブ12p及び12nを有する積層された複数の電池セル10と、電池セル10の積層方向に延びる軸と交差する面Sによって分割され、互いに係合した状態で第1外面11を覆い、複数の電池セル10を内部で支持する第1ケース20及び第2ケース30と、第1ケース20及び第2ケース30のうち少なくとも一方に設けられ、電池セル10を挿入する際に電極タブ12p及び12nが突出する開口24と、を備えることを特徴とする。