(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記造形領域プラットフォーム、及び前記補助材料噴射装置のうちの一方を前記造形領域プラットフォーム、及び前記補助材料噴射装置のうちの他方に対して移動させ、それによって前記造形領域プラットフォームと前記補助材料噴射装置との間の間隔が変更され、前記三次元物体の複数の層を形成することが可能となるようにするアクチュエータ
をさらに含む、請求項1〜7の何れか一項に記載の装置。
【発明を実施するための形態】
【0004】
詳細な説明
単純化及び例示の目的で、本開示は主として例を参照して説明される。下記の説明では、本開示を完全に理解してもらうために、多数の具体的詳細が説明される。ただし、直ぐに明らかになるように、本開示は、そうした具体的詳細なしに実施されることもできる。事例によっては、本開示を不必要に曖昧にしないために、一部の方法及び構造は、詳細には説明されていない。本明細書において、「含む(include)」という語は、含むがそれに限定されないことを意味し、「含んでいる(including)」という語は、含んでいるがそれに限定されないことを意味し、「基づく(based on)」という語は、少なくも部分的に基づくことを意味することを意図している。
【0005】
本明細書には、複数タイプの材料を含むように三次元物体を生成するための装置が開示される。例えば、この装置は、造形材料を供給するための造形材料供給器と、補助材料を付与するための補助材料噴射装置とを含む。一例によれば、補助材料が付与される場合があり、造形材料の層は、付与された補助材料の周りに供給される場合がある。造形材料は、付与された補助材料の周りに、付与された補助材料と同じ、又は実質的に同じ高さとなるように供給される場合がある。さらに、造形材料並びに補助材料の種々の選択された部分の上に、合体剤(合体助剤とも呼ばれる。以下同じ。)が噴射される場合がある。さらに、単一パス又は複数パスの間に、噴射された合体剤、付与された補助材料、及び造形材料の上にエネルギーが印
加される場合がある。印
加されたエネルギーは、補助材料を一つに融合させる場合があり、造形材料を一つに合体及び融合させる場合がある。したがって、この点に関し、補助材料と造形材料は、単一の融合処理の間に、融合される場合がある。後で詳細に説明されるように、エネルギーの印
加中に、合体剤は、造形材料を合体させるとともに、補助材料を合体させるのに十分なだけ加熱される場合があり、したがって、これらの材料の合体を強化することができる。
【0006】
一つの具体例によれば、造形材料は、熱可塑性プラスチック材料であり、補助材料は、はんだ材のような導電性材料である。この例では、導電性トレース(すなわち、導電性ワイヤー)のような三次元物体の一部を形成するために、融合処理を実施することにより、補助材料を融解させる場合がある。さらに、熱可塑性プラスック粉末材料の中に導電性トレースを埋め込むために、融合処理は、熱可塑性プラスチック粉末材料の種々の部分を固化させる場合がある。このようにして、非導電性材料である熱可塑性プラスチック材料の中に、導電性トレースを埋め込むことができる。
【0007】
図1をまず参照すると、一例による、三次元物体を生成するための装置100の略等角図が示されている。
図1に示した装置100はさらに別の構成要素を含む場合があり、また、本明細書に開示される装置の範囲から外れることなく、本明細書において説明される構成要素の一部は取り除かれ、及び/又は変更される場合があるものと理解すべきである。また、
図1に示した装置100は、実寸どおりに示されていない場合があり、したがって、装置100は、図示されたものとは異なるサイズ、及び/又は構成を有する場合があるものと理解すべきである。例えば、装置100は、3以上の異なるタイプの材料を用いて三次元物体を生成するために、さらに別の材料噴射装置を有する場合がある。
【0008】
図1に示されるように、装置100は、その上で造形材料104から三次元物体が生成されることになる造形領域表面を有する造形領域プラットフォーム102を含む。造形材料104は、ホッパー、すなわち造形材料保管手段(図示せず)に格納されている場合があり、造形材料供給器106によって、要望にしたがって造形領域プラットフォーム102の上に付与される場合がある。例えば、造形材料104は、造形領域プラットフォーム102に比べて僅かに高い場所に保管されている場合があり、造形材料供給器106は、矢印108で示されるようにy方向に動くことができ、造形材料104の層を造形領域プラットフォーム102の上に付与し、又は形成することができる。一例によれば、造形領域プラットフォーム102は、矢印110で示されるように下方向に動かされる場合があり、三次元物体の種々の層が生成されるにしたがって、造形材料104のさらに別の層が形成される場合がある。
【0009】
一例によれば、造形材料104は、粉末造形材料である。本明細書において、粉末造形材料という語は、乾燥した粉末材料、濡れた粉末材料、粒子材料、粒状体材料などを包含することを意図している。他の例において、造形材料104は、もし適当であれば適当な変更を加えて、他の適当な造形材料とともに使用される場合がある。さらに別の例において、造形材料104は、任意の他の適当な形態の造形材料である場合がある。具体例として、造形材料104は、平均約50マイクロメートル(ミクロン)の粒子サイズを有するナイロンプラスチックである。
【0010】
一つの具体例によれば、造形材料104は、粉状の熱可塑性プラスチック材料である。一つの適当な材料としては、例えば、Sigma-Aldrich CO, LLCから市販されているナイロン12がある。別の適当な材料としては、Electro Optical Systems (EOS) から市販されているPA2200がある。他の例として、造形材料104には、例えば、粉末金属材料、粉末複合材料、粉末セラミック材料、粉末ガラス材料、粉末樹脂材料、及び粉末ポリマー材料などが含まれ得る。
【0011】
さらに別の例として、造形材料104は、液体、ペースト、又はゲルであってもよい。造形材料104の例には、5℃よりも大きい広い処理ウィンドウ(すなわち、融点と再結晶温度との間の温度範囲)を有する種々の半結晶ポリマープラスチック材料が含まれる。一例として、処理ウィンドウは、15℃から約30℃までの範囲を有する。
【0012】
適当な造形材料104の例としては、ポリアミド、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、及びそれらの材料の非晶質変化物が挙げられる。適当な造形材料のさらに他の例としては、ポリスチレン、ポリアセタール、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリウレタン、他のエンジニアリングプラスチック、及び、ここに列挙したポリマーの任意の2以上の混合物が挙げられる。これらの材料のコアシェルポリマー粒子も、使用される場合がある。
【0013】
造形材料104は、約55℃から約450℃までの範囲の融点を有する場合がある。この範囲内の融点を有する造形材料104の幾つかの具体例としては、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6、ナイロン8、ナイロン9、ナイロン66、ナイロン612、ナイロン812、ナイロン912等のようなポリアミドが挙げられる。例えば、ポリアミド12は約180℃の融点を有し、ポリアミド6は約220℃の融点を有し、ポリアミド11は約200℃の融点を有している。
【0014】
造形材料104は、変性ポリアミドであってもよい。一例において、変性ポリアミド材料は、ナイロン12よりも低い温度で融解する弾性変性ポリアミドである。
【0015】
造形材料104が粉末形態である場合、造形材料104は、似たようなサイズの粒子から構成されていてもよいし、異なるサイズの粒子から構成されていてもよい。一例において、造形材料104は、3つの異なるサイズの粒子を含む。この例では、第1の粒子の平均サイズは、第2の粒子の平均サイズよりも大きく、第2のポリマー粒子の平均サイズは、第3のポリマー粒子のサイズよりも大きい場合がある。本明細書において、「サイズ」という語は、球形粒子の直径、又は非球形粒子の平均径(すなわち、複数の非球形粒子を横切る複数の径の平均)を意味している。一般に、造形材料104の粒子の平均サイズは、約10μmから約100μmまでの範囲内である場合がある。一部の例において、造形材料104の粒子の平均サイズは、約40μmから約50μmまでの範囲内である場合がある。粒子の各々についての異なるサイズの一例として、第1の粒子の平均サイズは、50μmよりも大きい場合があり、第2の粒子の平均サイズは、10μmから30μmまでの間にある場合があり、第3の粒子の平均サイズは、10μm以下である場合がある。一例において、第1のポリアミド粒子は、約70重量%から約95重量%までの範囲の量だけ存在し、第2のポリアミド粒子は、約0.5重量%から約21重量%までの範囲の量だけ存在し、第3のポリアミド粒子は、0よりも大きい重量%から最大で約21重量%までの範囲の量だけ存在する。
【0016】
図1に示されるように、造形材料供給器106は、ドクターブレードである場合がある。ただし、造形材料供給器106は、造形材料104を造形領域プラットフォーム102の上に塗布するための任意の適当な他の装置であってよい。例えば、造形材料供給器106は、逆回転ローラーである場合がある。
【0017】
装置100は、矢印114で示されるようなx方向及びy方向のうちの何れか一方、又は両方に移動可能なキャリッジ112をさらに含む場合がある。図示されていないが、キャリッジ112は、棒、又は他の構造物の上に支持されている場合があり、それによってキャリッジ112は、矢印114で示される方向に動かされることが可能である場合がある。
【0018】
図示のように、キャリッジ112は、補助材料噴射装置120、合体剤噴射装置122、合体変性剤噴射装置124、及びエネルギー源126を支持している場合がある。したがって、キャリッジ112は、これらの要素の位置を変化させ、造形領域プラットフォーム102に対する補助材料、合体剤、及び事例によっては合体変性剤の配置の選択的制御を可能にする。これらの要素120〜126については、以下で詳しく説明される。また、
図1に示した種々の構成要素の動作を制御するためのコントローラ130についても、以下で詳しく説明される。明確にするために図示されていないが、コントローラ130は、造形材料供給器106、キャリッジ112、補助材料噴射装置120、合体剤噴射装置122、合体変性剤噴射装置124、及びエネルギー源126の各々と通信可能である場合がある。他の例では、要素120〜126は、x方向及びy方向において、造形領域プラットフォーム102に対して相対的に静止した状態に維持される場合があり、造形領域プラットフォーム102は、x方向及びy方向に移動可能である場合がある。
【0019】
他の例によれば、要素120〜126の一部は、キャリッジ112上に配置されない場合がある。例えば、装置100は、もう一つのキャリッジ(図示せず)を含む場合があり、補助材料噴射装置120は、他方のキャリッジ上に配置される場合がある。さらに、エネルギー源126は、他方のキャリッジ、すなわち別個のキャリッジ(図示せず)上に配置されてもよいし、造形材料供給器106と一緒に動くように結合されてもよい。このように、エネルギー源126は、補助材料噴射装置120、及び/又は合体剤供給装置122とは別々に移動可能であってもよい。
【0020】
さらに別の例として、キャリッジ112は、ページ幅アレイである場合があり、合体剤噴射装置122、及び合体変性剤噴射装置124は各々、造形領域プラットフォーム102の実質的に全幅にわたって延在している場合がある。この例では、キャリッジ112は、一つの次元(例えば、y軸)に沿って移動可能である場合があり、キャリッジ112をもう一つの次元(例えば、x軸)に沿って走査させることなく、合体剤噴射装置122、及び合体変性剤噴射装置124を選択的に駆動することにより、合体剤、及び/又は合体変性剤を、造形領域プラットフォーム102の幅を実質的に横切る種々の所望の場所に付与する場合がある。さらに、補助材料噴射装置120は、複数の次元に沿って移動可能な別のキャリッジ上に配置される場合があり、それによって、補助材料の選択的配置が可能である場合がある。また、この例では、エネルギー源126は、上で説明した種々の要素の何れの上に配置されてもよく、したがって、キャリッジ112上に配置されることに限定されない。
【0021】
次に
図2に移ると、一例による、
図1に示したコントローラ130の略ブロック図が示されている。
図2に示したコントローラ130は、さらに別の要素を含む場合があり、事例によっては、
図2に示された要素の一部は、コントローラ130の範囲を外れることなく取り除かれ、及び/又は変更される場合があるものと理解すべきである。コントローラ130は、
図1に示した装置100の一部であってもよいし、装置100のために計算サービスを提供するエンティティのような
図1に示した装置100とは別個の他のエンティティの一部であってもよい。
【0022】
コントローラ130は、制御装置200、プロセッサ202、インタフェース204、及びデータ記憶装置206を含むものとして示されている。さらに、制御装置200は、データアクセスモジュール210、補助材料噴射装置制御モジュール212、造形材料供給器制御モジュール214、合体剤噴射装置制御モジュール216、合体変性剤噴射装置制御モジュール218、エネルギー源制御モジュール220、キャリッジ制御モジュール222、及び造形領域プラットフォーム制御モジュール224を含むものとして示されている。
【0023】
プロセッサ202は、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、又は特定用途向け集積回路(ASIC)等であってよく、コントローラ130の種々の処理機能を実施する。処理機能としては、例えば、後で詳しく説明されるように、制御装置200に含まれるモジュール210〜224を呼び出し、又は実施することが挙げられる。一例によれば、制御装置200は、機械読み取り可能命令の種々の組が記憶されたハードウェアデバイスである。制御装置200は、例えば、ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリ(DRAM)、電気的消去可能なプログラマブル・リードオンリー・メモリ(EEPROM)、磁気抵抗ランダム・アクセス・メモリ(MRAM)、メモリスタ、フラッシュ・メモリ、フロッピー(登録商標)・ディスク、コンパクト・ディスク・リード・オンリー・メモリ(CD−ROM)、デジタル・ビデオ・ディスク・リード・オンリー・メモリ(DVD−ROM)、又はその上にソフトウェアを記憶することができる他の光学的媒体若しくは磁気的媒体等のような揮発性メモリ、又は不揮発性メモリであってよい。この例では、モジュール210〜224は、制御装置200に記憶された、例えば機械読み取り可能命令の種々の組のような、ソフトウェア・モジュールである場合がある。
【0024】
他の例において、制御装置200は、チップ、集積回路等のようなハードウェア構成要素であってもよく、モジュール210〜224は、ハードウェア構成要素上のハードウェア・モジュールであってもよい。さらに別の例において、モジュール210〜224は、ソフトウェア・モジュールとハードウェア・モジュールの組み合わせを含む場合がある。さらに別の例において、プロセッサ202は、モジュール210〜224の種々の機能を実施するASICである場合がある。この例では、プロセッサ202及び制御装置200は、単一の処理装置である場合がある。
【0025】
プロセッサ202は、データをデータ記憶装置206に記憶する場合があり、当該データを使用して、モジュール210〜224を実施する場合がある。例えばプロセッサ202は、装置100によって生成されるべき三次元物体に関する三次元モデルのようなデータを受け取る場合がある。例として、プロセッサ202は、三次元モデルを処理することにより、三次元モデルの平行平面の種々のスライスを生成する場合がある。各スライスは、積層造形処理の間に固化されるべき造形材料104の各層の部分、並びに、補助材料を各層に提供すべきか否か、及び補助材料を各層のどこに提供すべきかを定義している場合がある。三次元モデルから生成されるスライスの数は、装置100によって生成、又は処理される各層の厚みに関連する場合がある。この例では、プロセッサ202は、各スライスに関連する情報をデータ記憶装置206に記憶する場合がある。さらに、プロセッサ202は、データ記憶装置206に格納された情報を取得し、モジュール210〜224の各々をどのように制御すべきかを決定する場合がある。他の例では、スライスは、他の計算装置によって生成される場合があり、プロセッサ202は、生成されたスライスを受け取る場合がある。
【0026】
いずれにしても、データ記憶装置206は、DRAM、EEPROM、MRAM、相変化RAM(PCRAM)、メモリスタ、及びフラッシュ・メモリ等のような、揮発性メモリ及び/又は不揮発性メモリであってよい。追加又は代替として、データ記憶装置206は、フロッピー・ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、又は他の光学的媒体若しくは磁気的媒体のようなリムーバブルメディアに対する読み出し及び書き込みが可能な装置であってもよい。
【0027】
インタフェース204は、プロセッサ202が種々の制御命令230を装置100の種々の構成要素に伝送することを可能にするハードウェア及び/又はソフトウェアを含む場合がある。インタフェース204は、種々の装置構成要素との有線又は無線による接続を可能にする場合がある。
【0028】
一般的にプロセッサ202を、及び具体的にモジュール210〜224を実施することができる種々の態様について、
図3及び
図6にそれぞれ示された方法300及び600に関連して、さらに詳しく説明する。具体的には、
図3及び
図6は、2つの例による、三次元物体を生成するための方法300及び600を示すフロー図である。当業者には明らかなはずであるが、方法300及び600は、一般化された例を示している場合があり、方法300及び600の範囲を外れることなく、他の処理が追加される場合もあれば、既存の処理が取り除かれ、変更され、又は再配置される場合がある。一般的に言えば、
図2に示したプロセッサ202は、モジュール210〜224の少なくとも一部を実施することにより、方法300及び600を実施することができる。
【0029】
方法300及び600の説明は、例示のために
図1に示した装置100を参照して行われる。ただし、当然ながら、方法300及び600の範囲を外れることなく、他の構成を有する装置もまた、方法300及び600を実施するために実施される場合があるものと理解すべきである。方法300及び600は、例示のために
図4A〜
図4D、及び
図5A〜
図5Dに示される図に関しても説明されるが、それらは、開示した例をそれらの図面に示された特徴に限定するものではない。
【0030】
まず、
図3に示した方法300を参照すると、ブロック302では、補助材料が、所定の構成を成すように付与される場合がある。具体的には、例えば、プロセッサ202は、データ・アクセス・モジュール210を実施することにより、装置100によって生成される三次元物体に関するデータを取得する場合がある。データ・アクセス・モジュール210は、三次元物体の三次元モデルを取得し、三次元モデルの種々の平行平面のスライスを生成することができる。生成されたスライスの一つは、補助材料配置の所定の構成に関する情報を含む場合がある。さらに、補助材料が三次元物体の複数の層にわたって付与される事例では、生成されたスライスのうちの別のものが、補助材料配置の所定の構成に関する情報を含む場合がある。
【0031】
さらに、ブロック302において、プロセッサ202は、補助材料配置の所定の構成に関する情報を含む生成されたスライスに示された形で補助材料を付与するために、補助材料噴射装置制御モジュール212を実施することにより、補助材料噴射装置120をどのように動作させるべきかに関する種々の命令を生成する場合がある。また、プロセッサ202は、補助材料噴射装置120によって補助材料を所定の種々の場所に付与するために、補助材料噴射装置120だけでなくキャリッジ112に対しても種々の制御命令112を出力する場合がある。プロセッサ202は、キャリッジ制御モジュール222を実施することにより、キャリッジ112に対する制御命令230を決定する場合がある。
【0032】
補助材料噴射装置120は、内蔵消耗品の補助材料又は外部消耗品の補助材料の何れかから補助材料を堆積させるための任意の適当なタイプの装置であってよい。例えば、補助材料噴射装置120は、補助材料を比較的高い精度で堆積させるための注射器のような装置である場合があり、例えば、制御された量の補助材料の供給を可能にする比較的小さな開口部を有する装置である場合がある。別の例として、補助材料噴射装置120は、補助材料を補助材料噴射装置120から制御された態様で流出させるための振動ピストンを含む場合がある。
【0033】
さらに別の例として、補助材料は、熱を加えている間は液体又はゲルの形態に維持され、十分に冷えると固化する場合がある。この例では、補助材料噴射装置120は、補助材料を液体又はゲルの形態に維持するための発熱素子を含み、補助材料を液体又はゲルとして堆積させる場合がある。さらに、堆積された補助材料は、冷えると固化する場合がある。
【0034】
装置100を使用して補助材料及び造形材料を含むように三次元物体400を生成する際のプロセスの一例が、
図4A〜
図4Dに示されている。
図4Aを参照すると、補助材料404は、基板402上に所定の構成を成すように付与されるものとして示されている。基板402は、その上に補助材料404を付与することができる任意の適当な構造を表している場合がある。例えば、基板402は、造形領域プラットフォーム102である場合があり、あるいは、その上に補助材料402を付与することができる他のベース部材である場合もある。別の例として、基板402は、先に形成され、その種々の部分が固化された造形材料104の層である場合がある。当然ながら、
図4A〜
図4Dは、三次元物体400の簡略化された種々の例を示すものであり、したがって、三次元物体400は、種々の他の形状を有する場合があるものと理解すべきである。例えば、付与された補助材料404は、矩形断面を有するように示されているが、補助材料404は、他の形状、例えば、本明細書で説明される補助材料噴射装置120を利用した補助材料404の堆積によってより高い確率で発生し得る種々の形状を有する場合がある。そのような形状の例が、
図5A〜
図5Dに示されている。
【0035】
補助材料404は、造形材料104とは異なる任意の適当な材料であってよい。例えば、補助材料404は、造形材料104とは異なる乾燥した粉末材料、濡れた粉末材料、粒子材料、又は粒状体材料などである場合がある。具体例として、造形材料104は、粉状の熱可塑性プラスチック材料であり、補助材料404は、導電性金属のような粉状の導電性材料である。この例では、補助材料404は、例えば導電性ワイヤのような導電性トレースを形成するように付与される場合があり、造形材料104は、導電性トレースの周りに保護的な電気的に絶縁性のカバーを形成するように付与される場合がある。さらに、粉状の導電性材料は、例えば約20マイクロメートル(ミクロン)の平均粒子サイズを有するはんだ粒子を含む場合がある。例えば、補助材料は、粉状の金属はんだを含むはんだペーストである場合がある。さらに、補助材料には、錫、銀、銅、アンチモン等の金属、及びそれらの金属から形成された種々の合金が含まれ得る。上で述べたように、補助材料は、液体、ゲル、又はペースト材料である場合がある。
【0036】
ブロック304において、造形材料104の層は、付与された補助材料の周りに付与される場合がある。プロセッサ202は、造形材料供給器制御モジュール214を実施することにより、造形材料供給器106の動作を制御するための種々の命令を生成する場合がある。さらに、プロセッサ202は、種々の制御命令230を造形材料供給器106に出力することにより、造形材料供給器106によって造形材料106を付与された補助材料の周りに供給する場合がある。例えば、造形材料供給器106は、造形材料104の層を造形領域プラットフォーム102、又は先に形成された造形材料104の層の上にかき落とし、形成されるべき造形材料104の次の層を生成する場合がある。
【0037】
造形材料104を補助材料404の周りに付与することができる種々の態様の例は、
図5A〜
図5Dに示されている。具体的には、
図5A〜
図5Cは、造形材料104を補助材料404の周りに付与する際の単純化されたプロセスの種々の部分を示しており、
図5Dは、補助材料404の周りへの造形材料104の付与の代替例を示している。当然ながら、
図5A〜
図5Dに示した例は、実寸通りに示されていない場合があり、むしろ例示のためのものと理解すべきである。
【0038】
始めに
図5Aを参照すると、基板402上への補助材料404の付与の後、造形材料104の層が、基板402の一部の上に堆積される場合がある。造形材料104の層は、付与された補助材料404の高さよりも実質的に高い高さを有するように堆積される場合がある。さらに、造形材料104の層を所望の高さに形成するために、造形材料供給器106は、基板404上の所定の高さに配置される場合がある。具体的には、例えば、造形材料供給器106が矢印502で示されるように前進すると、造形材料104は、付与された補助材料404の周りの場所に流れ込む。この時点で、造形材料104は、重力と、造形材料供給器106の上向き/横向きの運動(矢印504)の力との拮抗によって、雪崩のような動きをする場合がある。造形材料104がこの種の動きをすることから、補助材料404と造形材料104の境界には、比較的小さな力しか存在しない場合がある。例えば、造形材料104と補助材料404は両方とも、造形材料供給器106によって無圧縮状態にされる場合がある。
【0039】
次に
図5Bに移ると、造形材料104の一部が、付与された補助材料404を超えて雪崩れ込む際のプロセスの一部が示されている。この時点で、造形材料供給器106と補助材料404との間の相対運動は、ほぼ純粋に横方向である場合があり、これによって、造形材料供給器106の下にある造形材料104及び付与された補助材料404は、両方とも圧縮される場合がある。
図5Cにおいて、付与された補助材料404を通り過ぎる造形材料供給器106の運動の後、造形材料供給器106は、付与された補助材料404の上部を除去する場合がある。さらに、付与された補助材料404を通り越す造形材料供給器106の運動の間、付与された補助材料404は、付与された補助材料104に接触している造形材料104の種々の部分によって支持されている場合がある。したがって、付与された補助材料404に接触している造形材料104の種々の部分は、付与された補助材料404の著しい変形を防止することができる。
【0040】
一例によれば、三次元物体400の種々の特性を変化させるために、付与された補助材料404の厚みは、調節される場合がある。例えば、
図5Cにおいて、付与された補助材料404を通り越す造形材料供給器106の運動の後、付与された補助材料404は、付与された補助材料404の上部を露出させる高さを有する場合がある。
図5Dに示されるように、他の例において、付与された補助材料404は、付与された補助材料404が造形材料104に包み込まれるような比較的低い高さを有する場合がある。したがって、例えば導電性トレースは、三次元物体400の複数の層に形成される場合があり、導電性トレースは、互いに電気的に連絡した状態にある場合もあれば、互いに電気的に絶縁されている場合もある。三次元物体400の特性は、他の処理によって変更されてもよい。例えば、補助材料404の周りに付与される造形材料104の高さは、造形材料供給器106と付与される補助材料404との間の相対距離を変化させることによって変更される場合がある。
【0041】
他の例によれば、付与された補助材料の周りへの造形材料104の付与よりも前に、付与された補助材料は、部分的又は完全に固化される場合がある。例えば、付与された補助材料の上に合体剤が堆積され、合体剤に対してエネルギーを印
加することによって、付与された補助材料は固化される場合がある。補助材料が液体又はゲルであって、例えば室温又はその付近のような特定温度に維持されたときに固化されるような他の例においては、造形材料104の付与よりも前に、付与された補助材料を冷却することが可能である場合がある。
【0042】
図4Bに示されるように、造形材料104は、造形材料104の種々の部分が補助材料404と接触するような形で、補助材料404の周りに供給される。さらに、一例によれば、造形材料供給器106は、造形材料104が補助材料404と同じ又は略同じ高さを有するものとなるように、造形材料104を補助材料404の周りに塗布する場合がある。
【0043】
一例によれば、造形材料とともに付与すべき補助材料は、造形材料及び補助材料の融解温度に基づいて選択される場合がある。例えば、選択される補助材料は、造形材料の融解温度を約20℃を超えて上回らない融解温度を有する場合がある。造形材料と補助材料の適当な組み合わせの種々の例を、次の表1に示す。
【0045】
表1において、Arkema Rilsan Invent PA-11
TMは、フランス国コロンブのArkemaから市販されているポリアミド11材料を指している。Evonik X1556PA-12
TMは、ドイツ国エッセンのEvonik Industriesから市販されているポリアミド12を指している。SAC305は、カナダ国ケベック州モントリオールのAIM Solderから市販されている95.5%の錫、3%の銀、及び0.5%の銅を含む合金を指している。Sn91Zn09は、91%の錫、及び9%の亜鉛を含む合金を指している。Pb88Sn10Ag02は、88%の鉛、10%の錫、及び2%の銀を含む合金を指している。Pb94.5Ag5.5は、94.5%の鉛、及び5.5%の銀を含む合金を指している。
【0046】
ブロック306において、合体剤は、造形材料104の層の上に選択的に堆積される場合がある。プロセッサ202は、生成されたスライスに示された形で合体剤を付与するために、合体剤噴射装置制御モジュール216を実施することにより、合体剤噴射装置122をどのように動作させるべきかに関する種々の命令を生成する場合がある。例えば、生成されたスライスは、合体剤を選択的に堆積させるべき付与された造形材料104の層上の種々の場所を特定する情報を含む場合がある。さらに、プロセッサ202は、合体剤噴射装置122によって合体剤を所定の種々の場所に付与するために、合体剤噴射装置122だけでなくキャリッジ112に対しても、種々の制御命令230を出力する場合がある。
【0047】
図4Cに示されるように、合体剤噴射装置122は、造形材料104を横切って走査される場合があり、合体剤を造形材料104の選択された種々の部分の上に選択的に堆積させる場合がある。例えば、プロセッサ202は、合体剤噴射装置122を制御することにより、補助材料404に隣接している造形材料104の種々の部分の全ての上に、合体剤410を堆積させる場合がある。さらに、プロセッサ202は、合体剤噴射装置122を制御することにより、合体剤410が補助材料404の上に堆積されることを実質的に防止する場合がある。
【0048】
一例によれば、合体剤は、液体材料であり、合体剤噴射装置122は、例えばサーマル・インクジェット・プリントヘッド又は圧電インクジェット・プリントヘッドのようなプリントヘッドである。いずれに関しても、合体剤噴射装置122は、消耗品の合体剤を含む場合があり、又は独立した消耗品の合体剤に接続される場合がある。
【0049】
一般的に言えば、合体剤410は、造形材料104に完全に又は部分的に浸透し、十分なエネルギーが合体剤410及び造形材料104に対して印
加されたときに、合体剤410と接触している造形材料104の種々の部分を固化させるためのものである。例えば、合体剤410は、例えば合体剤410に対して放射される電磁放射線の形で十分なエネルギーが印
加されたときに加熱され、粉末形態である場合がある造形材料104をその融点に到達させ、一つに融合させる電磁放射線吸収体である場合があり、造形材料104は、その後冷却される。この点に関し、合体剤410の選択的付与によれば、造形材料104の種々の部分を選択的に固化させることができ、それによって造形材料104は、所望の形状を獲得する。
【0050】
ブロック306において、プロセッサ202は、合体剤噴射装置制御モジュール216をさらに実施することにより、合体剤噴射装置122を制御し、付与された補助材料の上に合体剤を付与する場合がある。造形材料104と同様に、合体剤は、十分なエネルギーが印
加されたときに加熱され、補助材料をその融点に到達させ、一つに融合させる場合があり、補助材料は、その後冷却される。
【0051】
一つの非限定的例によれば、適当な合体剤は、例えば、Hewlett-Packard Companyから市販されている商業的にCM991Aと呼ばれているインク組成物のような、カーボンブラックを含むインク組成物である場合がある。一例において、そのようなインクは、赤外光吸収体をさらに含む場合がある。他の例において、そのようなインクは、近赤外光吸収体をさらに含む場合がある。さらに別の例において、そのようなインクは、可視光吸収体をさらに含む場合がある。可視電磁放射線増強体を含むインクの例としては、染料系カラーインク、及び顔料系カラーインクが挙げられる。
【0052】
ブロック308では、供給された造形材料104、及び堆積された合体剤に対してエネルギーが印
加される場合があり、それによって、合体剤が供給され、又は浸透した造形材料104の種々の部分は、造形材料104の融点を超えて加熱され、合体される。さらに、補助材料、及び合体剤に対してエネルギーが印
加される場合があり、それによって、合体剤が供給され、又は合体剤が浸透した補助材料の種々の部分は、補助材料の融点を超えて加熱され、合体される。冷却されると、合体された造形材料の種々の部分、及び補助材料の種々の部分は固体になり、生成中の三次元物体の一部を形成する場合がある。プロセッサ202は、エネルギー源制御モジュール220を実施することにより、エネルギー源126の動作を制御するための種々の命令を生成する場合がある。さらに、プロセッサ202は、種々の制御命令をエネルギー源126に出力することにより、エネルギー源126によって、供給された造形材料104及び堆積された合体剤に対してエネルギーを印
加する場合がある。エネルギー源126が、供給された造形材料104、及び堆積された合体剤に対してエネルギーを印
加する際、エネルギー源126は、付与された補助材料に対してもエネルギーを印
加する場合がある。この点に関し、エネルギー源126はさらに、粉末金属材料である場合がある付与された補助材料の粒子を融解させ、冷却時に一つに融合させる場合がある。この融合の結果、付与された補助材料の導電性は向上される場合があり、それによって、付与された補助材料を導電性トレースとして実施することが可能になる場合がある。
【0053】
一例によれば、エネルギー源126は、赤外線(IR)光源、又は近赤外線光源である。他の例において、エネルギー源126は、約800nmから10マイクロメートル(ミクロン)までの波長の光を放射する。エネルギー源126は、堆積された造形材料に対してエネルギーを均一に印
加するための単一のエネルギー源である場合がある。他の例において、エネルギー源126は、エネルギー源のアレイを含む場合がある。一部の例において、エネルギー源126は、造形材料104の層の表面全体に対して実質的に均一な形でエネルギーを印
加する。これらの例において、エネルギー源126は、非集束エネルギー源であると言われることがあり、造形材料104の層全体に対して同時にエネルギーを印
加する場合があり、このことは、三次元物体を生成することができる速度を向上させるのに役立つ場合がある。
【0054】
他の例において、エネルギー源126は、造形材料104の層の表面全体の一部に対して実質的に均一な形でエネルギーを印
加する。例えば、エネルギー源126は、造形材料104の層のストリップ(細長い一片)に対してエネルギーを印
加する場合がある。こうした例では、造形材料の層の表面全体にわたって実質的に等量のエネルギーが最終的に印
加されるように、エネルギー源126は、造形材料の層を横切って移動、すなわち走査される場合がある。
【0055】
他の例において、例えば
図1に示されるように、エネルギー源126は、可動式キャリッジ112の上に取り付けられる。この例では、エネルギー源126は、造形材料104及び補助材料404の種々の部分上への合体剤の付与の直後に、造形材料104及び補助材料404のそれらの部分に対してエネルギーを印
加する場合がある。他の例では、エネルギー源126は、独立したキャリッジ(図示せず)の上に取り付けられ、造形材料供給器106と共に移動し、あるいは、可動式キャリッジ112とは別個に移動可能になっている。
【0056】
さらに別の例において、エネルギー源126は、造形材料104の層を横切って移動する際に、例えば所定のエネルギー印
加処理にしたがって、可変量のエネルギーを印
加する場合がある。例えば、プロセッサ202は、エネルギー源126を制御することにより、合体剤が付与された造形材料104の種々の部分に対してのみエネルギーを印
加する場合がある。他の例において、プロセッサ202は、エネルギー源126を制御することにより、堆積された補助材料に対してもエネルギーを印
加する場合がある。
【0057】
さらに別の例において、エネルギー源126は、レーザービームのような集束エネルギー源である場合がある。この例では、レーザービームは、造形材料104の層の全部又は一部を横切って走査するように制御される場合がある。さらに、レーザービームは、所定のパターンにしたがって、造形材料104の層を横切って走査するように制御される場合がある。例えば、レーザービームは、合体剤が供給された造形材料104の層の種々の部分に対してエネルギーを印
加するように制御される場合がある。さらに、プロセッサ202は、エネルギー源126を制御することにより、堆積された補助材料に対してエネルギーを印
加する場合がある。
【0058】
他の例によれば、装置100は、第2のエネルギー源(図示せず)を含む場合がある。この例では、コントローラ130は、第2のエネルギー源を制御することにより、補助材料に対してエネルギーを印
加する場合がある。例えばエネルギー源126によって補助材料を融解させるだけの十分なエネルギーを印
加することができないほど補助材料が造形材料とは十分に異なる融点を有している種々の例においては、第2エネルギー源を使用して、より高レベルのエネルギーを補助材料に印
加することにより、補助材料を融解させる場合がある。あるいは、第2のエネルギー源は、エネルギー源126と同じか、又はそれよりも少量のエネルギーを印
加する場合がある。いずれにしても、第2のエネルギー源は、キャリッジ112上に設けられる場合があり、又はキャリッジ112とは独立に移動可能である場合がある。
【0059】
図4Cに示されるように、エネルギー源126は、造形材料104、及び補助材料404に対してエネルギー420を印
加する場合がある。例えば、プロセッサ202は、合体剤噴射装置122による合体剤410の付与の後、エネルギー源126を制御することにより、エネルギー420を印
加する場合がある。一例によれば、プロセッサ202は、キャリッジ112を造形材料104を横切って走査するように制御する場合がある。キャリッジ112が走査されている間に、プロセッサ202は、合体剤噴射装置122を制御することにより、造形材料104の上に合体剤410を選択的に堆積させる場合がある。さらに、プロセッサ202は、エネルギー源126を制御することにより、合体剤410を受け取った造形材料104の種々の部分に対してエネルギー420を印
加する場合がある。プロセッサ202はさらに、補助材料404上への合体剤410の付与の後、エネルギー源126を制御することにより、補助材料404に対してエネルギー420を印
加する場合がある。さらに、エネルギーを印
加する時間の長さ、すなわち、エネルギー露出時間は、例えば、エネルギー源の特性、造形材料の特性、合体剤の特性等のうちの何れかに応じて決まる場合がある。
【0060】
図4Cに示した例によれば、プロセッサ202は、合体剤噴射装置122を制御することにより、露出された造形材料404の全体の上に合体剤410を堆積させる場合がある。したがって、三次元物体400の種々の部分に対するエネルギー420の印
加の後、
図4Dに示されるように、造形材料104の層の大半又は全部は合体され、固化される場合がある。さらに、補助材料404上の合体剤に対するエネルギー420の印
加によって、補助材料404の粒子は融解され、一つに融合され、導電性トレースのような三次元物体400の一部を形成する場合がある。したがって、一例において、三次元物体400は、プラスチック構造に埋め込まれた導電性トレースを含む場合がある。図示されてはいないが、合体剤410が付与されなかった造形材料104の種々の部分は、固化されない場合がある。固化されなかった造形材料104のそうした部分は、固化された部分から分離され、その後、再使用され、又は破棄される場合がある。
【0061】
図示されてはいないが、補助材料404及び造形材料104の種々の層を構築するために、方法300は、任意の適当な回数だけ繰り返される場合がある。方法300の反復の間に、三次元物体400の新たなレベルを作成することができるように、造形領域プラットフォーム102が降下され、及び/又はキャリッジ112が上昇される場合がある。造形領域プラットフォーム102、及び/又はキャリッジ112は、アクチュエータ(図示せず)の動作によって移動される場合があり、アクチュエータは、プロセッサ202によって制御される場合がある。
【0062】
次に
図6に移ると、方法600は、
図3の方法300に関して上で説明したものと同じ特徴の多くを含んでいる。したがって、方法600に関して、それらの同じ特徴は再度説明されない。例えば、方法600は、ブロック302〜306を含んでいる。
【0063】
図6において、ブロック306の後、ブロック602において、合体変性剤が、造形材料104の層の上に選択的に堆積される場合がある。プロセッサ202は、合体変性剤を、生成されたスライスに示されるような形で付与するために、合体変性剤噴射装置制御モジュール218を実施することにより、合体変性剤噴射装置124をどのように動作させるべきかに関する種々の命令を生成する場合がある。例えば、生成されたスライスは、合体変性剤を選択的に堆積させるべき付与された造形材料104の層上の種々の場所を特定する情報を含む場合がある。さらに、プロセッサ202は、合体変性剤噴射装置124によって合体変性剤を所定の種々の場所に付与するために、合体変性剤噴射装置124だけでなくキャリッジ112に対しても、制御命令230を出力する場合がある。
【0064】
一例によれば、合体変性剤噴射装置124は、造形材料104を横切って走査される場合があり、合体変性剤を造形材料104の種々の選択された部分の上に選択的に堆積させる場合がある。例えば、プロセッサ202は、合体変性剤噴射装置124を制御することにより、補助材料に隣接している造形材料104の種々の部分の全ての上に合体変性剤を堆積させる場合がある。さらに、プロセッサ202は、合体変性剤噴射装置124を制御することにより、合体変性剤が補助材料の上に堆積されることを実質的に防止する場合がある。具体例として、プロセッサ202は、合体変性剤噴射装置124を制御することにより、先に堆積された合体剤の種々の部分、又は全体の上に合体変性剤を付与する場合がある。
【0065】
一例によれば、合体変性剤は液体材料であり、合体変性剤噴射装置124は、プリントヘッドであり、例えばサーマル・インクジェット・プリントヘッド又は圧電インクジェット・プリントヘッドである。いずれにしても、合体変性剤噴射装置124は、消耗品の合体変性剤を含む場合があり、又は独立した消耗品の合体変性剤に接続される場合がある。
【0066】
一般的に言えば、合体変性剤(合体調整剤、又は合体改質剤とも呼ばれる。)は、造形材料104に浸透し、合体剤の作用を変化させる働きをする。例えば、合体変性剤は、合体剤に対し、異なる物理的及び/又は化学的作用を与える場合がある。例えば、如何なる理論によっても束縛されることなく、一例において、合体変性剤は、造形材料の個々の粒子の間の物理的分離を生成する働きをする場合があり、これによって、例えば、それらの粒子が一つに結合することを防止し、したがって、それらの粒子が固化し、生成される三次元物体の一部を形成することを防止する。合体変性剤の一例は、固形物を含む液体である。そのような薬剤は、例えば、コロイド状インク、染料系インク、又はポリマー系インクである場合がある。
【0067】
合体変性剤は、造形材料の層に供給された後、例えば何らかのキャリア液体の蒸発の後に、造形材料を覆う、又は部分的に覆う固形物の薄層を生成するため、本明細書に記載されるような合体変性剤としての働きをする場合がある。一例によれば、合体変性剤は、合体変性剤がその上に供給されることになる造形材料の粒子の平均サイズよりも小さい平均サイズの固体粒子を含む場合がある。さらに、合体変性剤の分子量、及びその表面張力は、その分子量において、合体変性剤が造形材料に十分に浸透することが可能となるような大きさである場合がある。一例において、合体変性剤は、高い溶解度を有する場合があり、したがって、合体変性剤の各液滴は高い割合で固形物を含む場合がある。
【0068】
一例において、食塩水が、合体変性剤として使用される場合がある。他の例において、Hewlett-Packard Companyから市販されている商業的にCM996Aインクと呼ばれているインクが、合体変性剤として使用される場合がある。さらに別の例において、Hewlett-Packard Companyから市販されている商業的にCN673Aインクと呼ばれているインクが、合体変性剤として使用される場合がある。
【0069】
別の例においては、如何なる理論によっても束縛されることなく、合体変性剤は、造形材料が当該造形材料の融点を上回る温度に達することを防止することによって、合体剤の作用を変化させる働きをする場合がある。例えば、合体変性剤は、造形材料104に対する適当な冷却作用を示す流体である場合がある。例えば、そのような薬剤が造形材料に供給されると、造形材料に印
加されたエネルギーは、合体変性剤によって吸収される場合があり、それによって、合体変性剤の蒸発が発生する。合体変性剤の蒸発は、合体変性剤が供給され、又は浸透した造形材料が、その造形材料の融点に到達することを防止することに役立つ場合がある。
【0070】
一例において、合体変性剤は、高い気化熱を有する溶媒であって、造形材料の融点よりも低い沸点、及び/又は特定の高い熱容量を有する溶媒を高い割合で含む場合がある。合体の度合いを向上させることができる合体変性剤の例としては、例えば、可塑剤が挙げられる。合体の度合いを向上させることができる合体変性剤の他の例としては、例えば、造形材料の粒子の濡れ性(親水性)を向上させるための界面活性剤が挙げられる。
【0071】
別の例として、ブロック
608において、合体変性剤は、付与された補助材料の上に選択的に堆積される場合がある。この例では、合体変性剤は、補助材料の粒子間の導電性を向上させる種々の粒子を含む場合がある。例えば、合体変性剤は、補助材料の粒子に比べて相対的に小さいサイズを有し、補助材料の粒子間に配置されることが可能な、金属粒子を含む場合がある。さらに、この合体変性剤は、造形材料の上に選択的に堆積された合体変性剤と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0072】
合体剤と合体変性剤の両方が供給され、又は浸透した造形材料104及び/又は補助材料の種々の部分は、変更された度合いで合体される場合がある。変更の度合いは、例えば、造形材料及び/又は補助材料の任意の部分における合体剤と合体変性剤の割合;合体剤が造形材料及び/又は補助材料に供給される際のパターン;合体変性剤が造形材料及び/又は補助材料に供給される際のパターン;合体剤の化学的性質;合体変性剤の化学的特性;造形材料及び/又は補助材料の化学的性質;造形材料及び/又は補助材料と、それらの薬剤との間の化学相互作用;並びに、エネルギーが印
加されている間における造形材料及び/又は補助材料と、薬剤との間の化学相互作用、のうちの任意の一以上のものによって決まる場合がある。
【0073】
合体剤及び合体変性剤の選択的供給は、本明細書においては、合体剤及び合体変性剤が、造形材料及び/又は補助材料の表面層の選択された種々の部分に、それぞれ独立したパターンを成すように供給されることを意味するものとして定義される場合がある。パターンは、作成すべき三次元物体のモデルから導出されたデータによって定義される場合がある。一部の例において、合体剤は、第1のパターンにしたがって造形材料104の一部に選択的に供給される場合があり、合体変性剤は、第2のパターンにしたがって造形材料104の一部に選択的に供給される場合がある。この点に関し、生成される三次元物体の一部の物体的性質は、合体剤及び合体変性剤が造形材料104に供給される際のパターンに応じて変更制御可能である場合がある。
【0074】
図6に戻ると、ブロック
610において、供給された造形材料104、堆積された合体剤、堆積された合体変性剤、及び補助材料に対し、エネルギーが印
加される場合がある。プロセッサ202は、エネルギー源制御モジュール220を実施することにより、エネルギー源126を制御するための種々の命令を生成する場合がある。さらに、プロセッサ202は、種々の制御命令230をエネルギー源126に出力することにより、供給された造形材料104、堆積された合体剤、堆積された合体変性剤、及び補助材料に対し、エネルギー源126によってエネルギーを印
加する場合がある。エネルギー源126が、供給された造形材料104、堆積された合体剤、及び堆積された合体変性剤に対してエネルギーを印
加する際に、エネルギー源126は、付与された補助材料に対してもエネルギーを印
加する場合がある。この点に関し、エネルギー源126はさらに、粉末導電性材料である場合がある付与された補助材料の粒子を融解させ、一つに融合させる場合がある。融合の結果、付与された補助材料の導電性は向上される場合があり、したがって、付与された補助材料を導電性トレースとして実施することが可能になる場合がある。
【0075】
合体変性剤よりも先に合体剤が堆積される方法600を具体的に参照したが、本開示の範囲を外れることなく、合体剤よりも先に合体変性剤が堆積される場合もあるものと理解すべきである。
【0076】
方法300に関する上記の説明と同様に、補助材料及び造形材料104の種々の層を構築するために、方法600は、任意の適当な回数だけ繰り返される場合がある。方法600の反復の間に、三次元物体の新たなレベルを作成することができるように、造形領域プラットフォーム102が降下され、及び/又はキャリッジ112が上昇される場合がある。
【0077】
方法300及び600において説明した処理の一部又は全部は、任意の所望のコンピュータアクセス可能媒体に、ユーティリティ、プログラム、又はサブプログラムとして格納される場合がある。さらに、方法300及び600は、種々のコンピュータ・プログラムによって具現化される場合があり、コンピュータ・プログラムは、アクティブと非アクティブの両方を含む様々な形態で存在する場合がある。例えば、コンピュータ・プログラムは、ソース・コード、オブジェクト・コード、実行可能コード、又は他のフォーマットを含む種々の機械読み取り可能命令として存在する場合がある。上記はいずれも、非一時的コンピュータ読み取り可能記憶媒体上に具現化される場合がある。
【0078】
非一時的コンピュータ読み取り可能記憶媒体の例としては、コンピュータシステムRAM、ROM、EPROM、EEPROM、及び、磁気的又は光学的ディスク又はテープが挙げられる。したがって、上記の機能を実行することが可能な如何なる電子装置が、上に列挙した機能を実施してもよいものと理解すべきである。
【0079】
次に
図7に移ると、
図1及び
図2に示したコンピュータ130の様々な機能を実施するために使用されることがある、一例による計算装置700の概略図が示されている。計算装置700は、プロセッサ702;モニタのような表示装置704;ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)、無線LAN 802.11x、3GモバイルWAN、若しくはWiMax WANのようなネットワーク・インタフェース708;及びコンピュータ読み取り可能媒体710を含む場合がある。これらの構成要素は各々、バス712に動作可能に結合されている場合がある。バス712は、例えば、EISA、PCI、USB、ファイヤーワイヤー(FireWire)、ニューバス(NuBus)、又はPDSである場合がある。
【0080】
コンピュータ読み取り可能媒体710は、実行のために種々の命令をプロセッサ702に提供することに関与する任意の適当な媒体であってよい。例えば、コンピュータ読み取り可能媒体710は、光学ディスクや磁気ディスクのような不揮発性媒体である場合があり、メモリのような揮発性媒体である場合がある。また、コンピュータ読み取り可能媒体710は、種々の表処理マシン読み取り可能命令(table processing machine readable instructions)714を記憶している場合がある。表処理マシン読み取り可能命令714は、方法300及び/又は600を実施することができ、
図2に示した制御装置200のモジュール210〜224を含む場合がある。この点に関し、マシン読み取り可能命令714は、データ・アクセス・モジュール210、補助材料噴射装置制御モジュール212、造形材料供給器制御モジュール214、合体剤噴射装置制御モジュール216、合体変性剤噴射装置制御モジュール218、エネルギー源制御モジュール220、キャリッジ制御モジュール222、及び造形領域プラットフォーム制御モジュール224を含む場合がある。
【0081】
本開示の全体を通じて具体的に説明をしたが、本開示の種々の代表的な例は、広範囲の応用形態を上回る有用性を有しており、上記の説明は、制限を意図するものでもなければ、制限として解釈されるべきものでもなく、むしろ、本開示の種々の態様の例示的説明として提供されている。
【0082】
本明細書に記載され、例示されているものは、多少の変形を伴う開示の例である。本明細書で使用される用語、説明、及び図は、例示のためにのみ説明されたものであり、それらに制限の意味はない。本開示の範囲内で多数の変形が可能であり、本開示の範囲は、下記の特許請求の範囲及びそれらの均等によって定義されることが意図されている。特許請求の範囲において、全ての用語は、特に断りがない限り、その最も広い妥当な意味を有することが意図されている。