(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6472895
(24)【登録日】2019年2月1日
(45)【発行日】2019年2月20日
(54)【発明の名称】環境に優しい交通手段を促進するための方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/005 20060101AFI20190207BHJP
G01C 21/26 20060101ALI20190207BHJP
G01C 21/36 20060101ALI20190207BHJP
【FI】
G08G1/005
G01C21/26 P
G01C21/36
【請求項の数】19
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-542031(P2017-542031)
(86)(22)【出願日】2015年10月26日
(65)【公表番号】特表2018-508890(P2018-508890A)
(43)【公表日】2018年3月29日
(86)【国際出願番号】EP2015074749
(87)【国際公開番号】WO2016128078
(87)【国際公開日】20160818
【審査請求日】2018年4月25日
(31)【優先権主張番号】102015202578.0
(32)【優先日】2015年2月12日
(33)【優先権主張国】DE
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390039413
【氏名又は名称】シーメンス アクチエンゲゼルシヤフト
【氏名又は名称原語表記】Siemens Aktiengesellschaft
(74)【代理人】
【識別番号】100075166
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 巖
(74)【代理人】
【識別番号】100133167
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 浩
(72)【発明者】
【氏名】ケラーマン、アストリート
(72)【発明者】
【氏名】シュヴィンゲンシュレーグル、クリスティアン
【審査官】
武内 俊之
(56)【参考文献】
【文献】
特開2002−277270(JP,A)
【文献】
特開2002−230385(JP,A)
【文献】
国際公開第2011/135661(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/005
G01C 21/26
G01C 21/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路使用者(VT)の挙動の評価を改善するための交通管制方法であって、次のステップを有する方法:
a)複数の異なる交通手段(VM)を含む計算された複数の交通ルート案(VRV)をルート作成ユニット(RE、2)により、照会中の道路使用者(VT)に伝達するステップ(S1);
b)前記伝達された複数の交通ルート案(VRV)の中から、前記照会中の道路使用者(VT)が、1つの交通ルート(VR)を選択し、さらに、前記選択された交通ルート(VRA)を前記ルート作成ユニット(RE、2)に伝達し、前記ルート作成ユニットが前記道路使用者(VT)に、道路使用者により選択された前記交通ルート(VR)の交通ルートデータ(VRD)を提供する交通ルートの選択ステップ(S2)、この場合、前記交通ルート(VR;VRA)に対して前記道路使用者(VT)が使用するための多種類の交通手段(VS1、VS2、VS3)が用意されている;
c)前記道路使用者(VT)によりそのとき使用された交通手段(VM)を確認するために、前記道路使用者(VT)により採用された交通ルート(VR)に沿って前記道路使用者(VT)の位置データ(PD)を伝送するステップ(S3);
d)前記道路使用者(VT)の採用した交通ルート(VR)での道路使用者の挙動を、前記道路使用者(VT)により使用された交通手段(VM)に基づいて評価するステップ(S4)、この場合、前記道路使用者(VT)の挙動には少なくとも道路使用者が使用した交通手段(VM)の種類が含まれる;
において、
前記道路使用者(VT)が、自分の採用した交通ルート(VR)に沿って、場所が特定され観察された交通関連事象を交通管制センター(VMZ、5)、又は、前記ルート作成ユニット(RE、2)に事象通報(EM)の形で伝達することとし、
ここで、前記道路使用者(VT)の挙動は、エミッション値の低い交通手段(VM)の使用の場合に、エミッション値の高い交通手段(VM)の使用の場合よりも高く評価され、さらに、伝達された事象通報(EM)の量又は質に応じて評価、即ち、事象通報(EM)の情報量が多い場合か又は事象通報(EM)の情報が詳細な場合に高く評価されることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記道路使用者(VT)からの交通ルート照会(RANF)を受領後、多種交通手段包括型のルート作成ユニット、または、1つの交通手段に特化したルート作成ユニット(RE、2)により、複数の交通ルート案(VRV)が計算される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ルート作成ユニット(RE、2)が道路使用者(VT)のための複数の交通ルート案(VRV)を、多数の道路使用者(VT)から伝達された複数の交通関連事象に応じて計算する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
同一観察場所で様々な道路使用者(VT)から発せられる、通報された、場所が特定された複数の交通関連事象が、観察された交通関連事象を検証、又は、特定するために、相互に比較される、請求項1または3に記載の方法。
【請求項5】
前記道路使用者(VT)の端末機器(8)から交通ルート照会を受領後、前記ルート作成ユニット(RE、2)が、ナビゲーションデータ又は実際の交通データに基づいて、複数の交通ルート(VR)のための様々な交通ルート案(VRV)を計算し、1つの交通ルート(VR)を選択するために、前記道路使用者(VT)の前記端末機器(8)にそれらを送信する、請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記道路使用者(VT)の端末機器(8)から1つの交通ルート(VR)選択のための交通ルート選択通知(VRA)を受領後、前記ルート作成ユニット(RE、2)が、これに応じて計算された、前記選択された交通ルート(VR)のための交通ルートデータ(VRD)を前記道路使用者(VT)の端末機器(8)に伝送し、この交通ルートデータ(VRD)が、前記選択された交通ルートを前記道路使用者(VT)のマップ上で視認できるように、前記端末機器(8)の表示ユニットに表示される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記道路使用者(VT)の端末機器(8)から、前記交通ルート選択通知(VRA)がさらに評価ユニット(BE、3)に伝達され、この評価ユニットが、前記交通ルート(VR)に沿って使用された交通手段(VM)に基づいて、前記道路使用者(VT)の挙動を評価する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記評価ユニット(BE、3)が、前記道路使用者(VT)の挙動に対して、前記採用された交通ルート(VR)に沿って前記道路使用者(VT)の使用した交通手段(VM)のエミッション値に基づいて、前記道路使用者(VT)の挙動に対する交通挙動値(VAZ)を計算する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記評価ユニット(BE、3)によって、エミッション値の低い交通手段(VM)の使用は、エミッション値の高い交通手段(VM)の使用よりも高く評価される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記評価ユニット(BE、3)が、道路使用者(VT)の交通挙動の評価を、さらに、それぞれの道路使用者(VT)から前記ルート作成ユニット(RE、2)又は交通管制センター(VMZ、5)に伝達された事象通報(EM)の量又は質に応じて行なうべく設計されており、この場合、前記質は事象通報の詳細度を表す、請求項7から9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記評価ユニット(BE、3)が、受領した当該道路使用者(VT)の位置データ(PD)に基づいて、採用された交通ルート(VR)に沿ってこの道路使用者(VT)により使用された交通手段(VM)の確認を行う、請求項7から10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
1人の道路使用者(VT)または、複数の道路使用者(VT)から成る1グループ(VTG)がその交通挙動を評価するために前記評価ユニット(BE、3)に登録する、請求項7から11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
1人の道路使用者(VT)または、複数の道路使用者から成る1グループ(VTG)が加入者シンボルとして、それぞれの道路使用者(VT)の1つまたは多数のモバイル端末機器(8)の表示ユニット上に、前記交通ルート(VR)に沿った実際の位置で表示される、請求項1から12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記評価ユニット(BE、3)が、前記表示された加入者シンボルを当該道路使用者(VT)の評価された挙動に応じて動的に変更する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記評価ユニット(BE、3)が、前記道路使用者(VT)の評価された挙動に基づき、当該道路使用者(VT)もしくは、複数の道路使用者から成る1グループを直接的に報奨する、または、当該道路使用者(VT)もしくは、複数の道路使用者から成る1グループ(VTG)の評価された挙動に基づき、当該道路使用者(VT)が推奨により間接的に報奨されるようにする、請求項1から14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
道路使用者(VT)の挙動の評価を改善するための交通管制システム(1)であって、この交通管制システムが、
a)ルート作成ユニット(RE、2)にルート照会(RANF)を伝送する道路使用者(VT)のモバイル端末機器(8)を備えており、
b)前記ルート作成ユニット(RE、2)が、受領したルート照会(RANF)それぞれに対して複数の異なる交通手段(VM)を含む複数の交通ルート案(VRV)を計算し、照会中の道路使用者(VT)に伝達し、
c)前記道路使用者(VT)が1つの交通ルート(VR)を選択し、その交通ルートデータ(VRD)が前記ルート作成ユニット(RE、2)により前記道路使用者(VT)に伝送され、この場合、前記交通ルート(VR;VRA)に対して前記道路使用者(VT)が使用するための多種類の交通手段(VS1、VS2、VS3)が用意されており、
d)当該道路使用者(VT)が採用した交通ルート(VR)で道路使用者により使用された交通手段(VM)を確認するために、前記ルート作成ユニット(RE、2)が、当該道路使用者(VT)により採用された交通ルート(VR)に沿ってその道路使用者(VT)の位置データ(PD)を分析し、当該道路使用者(VT)により使用された交通手段(VM)に基づいて当該道路使用者(VT)の挙動が評価され、この場合、前記道路使用者(VT)の挙動には少なくとも道路使用者が使用した交通手段(VM)の種類が含まれる、交通管制システムにおいて、
前記交通管制システム(1)の評価ユニット(BE、3)が、当該道路使用者(VT)により使用された交通手段(VM)の環境に対する優しさ、即ち、使用された交通手段(VM)のエミッション値の低さ、及び、当該道路使用者(VT)から発せられた場所が特定された事象通報(EM)の量又は質、に応じて当該道路使用者(VT)の挙動を評価すべく設計されており、この場合、前記質は事象通報の詳細度を表す、ことを特徴とする交通管制システム。
【請求項17】
前記評価ユニット(BE、3)により評価された多数の道路使用者(VT)の挙動に応じて、複数の交通制御手段又は複数の交通手段(VM)を制御すべく設計された制御ユニットを備えた、請求項16に記載の交通管制システム。
【請求項18】
前記道路使用者(VT)の挙動には、道路使用者から提供された事象通報(EM)の量及び質も含まれる、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記道路使用者(VT)の挙動には、道路使用者から提供された事象通報(EM)の量及び質も含まれる、請求項16に記載の交通管制システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、環境に優しい交通手段、特に、エミッションの少ない交通手段を促進するための方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
交通網は特に都市部においてその負荷限界に益々近付いている。特に、モータリゼーション化の進んだ道路交通により、大気の質、騒音負荷および交通安全に関するマイナスの結果が生じている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
そこで、本発明の課題は、環境に優しい交通手段を促進するための方法およびシステムを得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この課題は本発明により、請求項1に記載された特徴を有する交通管制方法によって解決される。
【0005】
これによれば本発明により、環境に優しい交通手段を促進するための、次のステップを有する交通管制方法が得られる:
複数の異なる交通手段を含む計算された複数の交通ルート案をルート作成ユニットにより、照会している道路使用者へ伝達するステップ、
照会中の道路使用者が伝達された複数の交通ルート案の中から1つの交通ルートを選択し、この選択された交通ルートをルート作成ユニットに伝達し、ルート作成ユニットが照会中の道路使用者に、前記道路使用者により選択された交通ルートの交通ルートデータを供給するステップ、
当該道路使用者によりその時に使用された交通手段を確認するために、この道路使用者により採用された交通ルートに沿って前記道路使用者の位置データを伝送するステップ、および、
当該道路使用者により使用された交通手段に基づいて、この道路使用者の挙動を評価するステップ。
【0006】
本発明による方法の可能な1実施形態では、道路使用者からのルート照会を受領後、多種交通手段包括型のルート作成ユニット、または、1つの交通手段に特化したルート作成ユニットにより、複数の交通ルート案が計算される。
【0007】
本発明による方法の別の可能な実施形態では、道路使用者が自分の採用した交通ルートに沿って、場所が特定され観察された交通関連事象を交通管制センター及び/又はルート作成ユニットに事象通報の形で伝達する。
【0008】
本発明による方法の別の可能な実施形態では、多数の道路使用者から伝達される複数の交通関連事象に応じて、ルート作成ユニットが道路使用者のための複数の交通ルート案を計算する。
【0009】
本発明による方法の別の可能な実施形態では、同一観測場所で様々な道路使用者から発せられ通報された、現場が特定された複数の交通関連事象が、その観察された交通関連事象を検証及び/又は特定するために、相互に比較される。
【0010】
本発明による方法の別の可能な実施形態では、道路使用者の端末機器からのルート照会を受領後、ルート作成ユニットがナビゲーションデータ及び/又は実際の交通データに基づき交通ルートのための様々な交通ルート案を計算し、これらの交通ルート案を、1つの交通ルートを選択するために、当該道路使用者の端末機器に送る。
【0011】
本発明による方法の別の可能な実施形態では、1つの交通ルートを選択するためのルート選択通知を道路使用者の端末機器から受領後、ルート作成ユニットが、選択された交通ルートのための交通ルートデータを当該道路使用者の端末機器に伝送する。この場合、これらの交通ルートデータは、選択された交通ルートを道路使用者のマップ上で可視化するために、端末機器の表示ユニットに表示される。
【0012】
本発明による方法の別の可能な実施形態では、道路使用者の端末機器から、前記ルート選択通知は、さらに評価ユニットに伝送され、この評価ユニットが前記交通ルートに沿って使用された交通手段に基づいて当該道路使用者の挙動を評価する。
【0013】
本発明による方法の別の可能な実施形態では、前記評価ユニットが当該道路使用者の挙動に対して、採用された交通ルートに沿ってこの道路使用者が使用した交通手段のエミッション値に基づいて交通挙動値を計算する。
【0014】
本発明による方法の別の可能な実施形態では、前記評価ユニットによって、エミッション値の低い交通手段の使用は、エミッション値の高い交通手段の使用よりも高い評価を受ける。
【0015】
本発明による方法の別の可能な実施形態では、前記評価ユニットが道路使用者の挙動の評価を、さらに、それぞれの道路使用者がルート作成ユニット及び/又は交通管制センターに伝達した事象通報の量及び/又は質に応じて行う。
【0016】
本発明による方法の別の可能な実施形態では、前記評価ユニットが、受信した道路使用者の位置データに基づいて、当該交通ルートに沿って当該道路使用者により使用された交通手段の確認を行う。
【0017】
本発明による方法の別の可能な実施形態では、1人の道路使用者、または、複数の道路使用者から成る1グループが、その挙動の評価のために前記評価ユニットに登録する。
【0018】
本発明による方法の別の可能な実施形態では、1人の道路使用者、または、複数の道路使用者から成る1グループが、各道路使用者の1つまたは多数の表示ユニット上で交通ルートに沿った現在位置で、属性付きの加入者シンボルとして表示される。
【0019】
本発明による方法の別の可能な実施形態では、前記評価ユニットが、当該道路使用者の評価された挙動に応じて、表示された加入者シンボル及び/又はその属性を動的に変える。
【0020】
本発明による方法の別の可能な実施形態では、道路使用者が評価ユニットにより、当該道路使用者の評価された挙動に基づいて報奨される、または、道路使用者が前記評価ユニットの推奨により報奨される。
【0021】
本発明はさらに、請求項17に記載された特徴を有する交通管制システムを提供する。
【0022】
これに従えば本発明は、環境に優しい交通手段を促進するための交通管制システムを提供し、この交通手段は、交通管制システムのルート作成ユニットにルート照会を伝達する道路使用者のモバイル端末機器を備えている。この場合、このルート作成ユニットは受領したルート照会それぞれに対して、異なる交通手段を含む複数の交通ルート案を計算し、照会中の道路使用者に伝達し、当該照会者は1つの交通ルートを選択し、その交通ルートデータがルート作成ユニットにより当該道路使用者に伝送される。
この場合、当該道路使用者によりそのとき使用された交通手段を確認するために、前記ルート作成ユニットは、当該道路使用者により採用された交通ルートに沿ってその道路使用者の位置データを分析し、当該道路使用者により使用された交通手段に基づいて当該道路使用者の挙動が評価される。
【0023】
本発明による交通管制システムの可能な1実施形態では、前記評価ユニットが、当該道路使用者により使用された交通手段の環境に対する優しさ、及び/又は、当該道路使用者から発せられた、場所が特定された事象通報の量及び/又は質、に応じて当該道路使用者の挙動を評価する。
【0024】
本発明による交通管制システムの別の可能な実施形態では、交通制御手段及び/又は交通手段が、この交通管制システムの制御ユニットにより、前記評価ユニットによって評価された多数の道路使用者の挙動に応じて、制御される。
【0025】
以下において、環境に優しい交通手段を促進するための本発明による方法および本発明によるシステムの可能な諸実施形態を添付図面に基づき詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明による交通管制システムの1実施例を示すダイアグラム
【
図2】本発明による交通管制方法の1実施例を示すフローチャート
【
図3】本発明による交通管制システムおよび本発明による交通管制方法の前記実施例を説明するための信号ダイアグラム
【
図4】本発明による交通管制方法および本発明による交通管制システムの可能な実施例を示すダイアグラム
【
図5】本発明による交通管制方法および本発明による交通管制システムの
図4とは異なる可能な実施例を示すダイアグラム
【
図6】本発明による交通管制方法および本発明による交通管制システムの機序を説明するための模式図
【
図7】本発明による交通管制方法および本発明による交通管制システムの機序を説明するための
図6とは異なる模式図
【
図8】本発明による交通管制方法および本発明による交通管制システムの機序を説明するための
図6、7とは異なる模式図
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1から判るように、本発明による交通管制システム1は、ここに示された実施例では、ルート作成ユニット2を有し、このルート作成ユニットは評価ユニット3と接続されている。前記ルート作成ユニット2および評価ユニット3は、
図1に示された実施例のように、1つの装置4の中に統合することができる。別の実施形態では、前記ルート作成ユニット2および評価ユニット3は、互いにインターフェースまたはローカルネットワークを介して接続された異なる装置内に設置することもできる。
図1に示された実施例では、前記ルート作成ユニット2および評価ユニット3は、さらに交通管制センター5と接続されている。
図1に示されているように、前記装置4はさらに、1つのデータネットワーク6および複数のアクセスポイント7を介して、多数のモバイル端末機器8と交信することができる。1つのモバイル端末機器8は、1つの交通ルートに沿って1つの交通手段9を使用する1人の道路使用者VTが携帯することができる。この場合、この道路使用者は歩行者であっても良い。前記モバイル端末機器8は携帯型のモバイル端末機器、例えば、道路使用者VTの携帯電話とすることができる。実施形態の代案では、このモバイル端末機器8は交通手段9に組込むこともできる。この交通手段9に関しては、徒歩であっても良いし、個人的な交通手段または公共の交通手段であっても良い。例えば、この交通手段9は当該道路使用者VTにより使用される交通手段、例えば、自転車または乗用車、である。代案として、この交通手段9は当該道路使用者VTが他の複数の道路使用者と共同で使用する交通手段、例えば、列車またはバスとすることもできる。
【0028】
道路使用者すなわち利用者VTは、そのモバイル端末機器8からアクセスポイント7およびデータネットワーク9を介して、交通管制システム1のルート作成ユニット2にルート照会を伝送することができる。ルート作成ユニット2は受領したそれぞれのルート照会RANFに対して、異なる交通手段VMを含む複数の交通ルート案VRVを計算し、計算した複数の交通ルート案VRVを照会中の道路使用者VTに伝達する。次にこの道路使用者VTが1つの交通ルートを選択し、その交通ルートデータVRDがルート作成ユニット2により当該道路使用者VTに伝送される。当該道路使用者VTによりそのとき使用された交通手段VMを確認するために、当該道路使用者VTにより採用された交通ルートに沿ってこの道路使用者VTの位置データPD、特にGPSデータをルート作成ユニット2が分析する。さらに、当該道路使用者VTにより使用された交通手段VMに基づいて、この道路使用者VTの挙動が評価ユニット3によって評価される。評価ユニット3は当該道路使用者VTの挙動を評価するが、その場合、この評価は、当該道路使用者VTにより使用された交通手段VMの環境に対する優しさ、ならびに、当該道路使用者VTから発せられる、場所が特定された事象通報の量及び/又は質、に応じて行われる。本発明による交通管制システム1の可能な1実施形態では、
図1に示されているように、さらに、データを評価ユニット3およびルート作成ユニット2を通して交通管制センター5に伝送することができる。可能な1実施形態では、交通管制システム1が制御ユニットを有し、この制御ユニットが交通手段及び/又は交通制御手段を制御する。可能な1実施形態では、例えば交通管制センター5内に設置することができる前記制御ユニットにより、前記評価ユニット3によって評価された多数の道路使用者の挙動に応じて、交通手段VM及び/又は交通制御手段が制御される。
【0029】
図2は、環境に優しい交通手段を促進するための本発明による交通管制方法の1実施例を示すフローチャートである。
【0030】
第1ステップS1では、ルート作成ユニット2により計算された、異なる交通手段VMを含む複数の交通ルート案VRVが照会中の道路使用者VTに伝達される。
【0031】
次に、この照会中の道路使用者VTにより、伝達された複数の交通ルート案VRVの中から1つの交通ルートVRが選択され、この選択された交通ルートVRがルート作成ユニット2に伝送され、次いで、ルート作成ユニット2はこの道路使用者VTに、前記道路使用者が選択した交通ルートVRのための交通ルートデータVRDを提供する。
【0032】
その次のステップS3では、この道路使用者VTによってそのとき使用された交通手段VMを確認するために、当該道路使用者VTにより採用された交通ルートVRに沿ってこの道路使用者VTの位置データPDが伝送される。その確認に際しては、この道路使用者VTが当該交通手段VMを実際に使用するか、ないし、使用したか、がチェックされる。
【0033】
その次のステップS4では、当該道路使用者VTにより使用された交通手段VMに基づいてこの道路使用者VTの挙動が評価される。この挙動評価は評価ユニット3により、一方では当該道路使用者VTによって使用された交通手段VMに応じて、他方では当該道路使用者VTから送信される事象通報EMに応じて行われる。道路使用者VTは自分が採用した交通ルートVRに沿って、場所が特定され観察された交通関連事象を交通管制センター5、及び/又は、ルート作成ユニット2に事象通報EMの形で伝達することができる。当該道路使用者VTは自分が走行中に観察した事象を場所情報を付けて交通管制センター5に提供することができる。例えば、道路使用者VTは自分が観察した交通渋滞および他の事故を交通管制システム1に通報することができる。例えば、道路使用者VTは交通関連事象を、文字の、または、口頭の情報テキストの形で交通管制センター5又はルート作成ユニット2に事象通報EMとして伝送することができる。これらの伝達された事象通報EMはテキストデータのほかに他のデータ、例えば音声データまたはビデオデータを含むことができる。例えば、車に乗っている道路使用者VTが、走行中に或る交通事象に関する口頭の通報、例えば、自分が観察した対向車線における交通渋滞に関する通報、をマイクロホンに吹き込むことができる。このとき、通過走行中のこの道路使用者VTはそこで生じたこの交通事象に関する追加通報、例えば、自分が推定した渋滞の長さならびに自分が観察した渋滞の原因に関する通報、を行うことができる。観察された交通事象に関する情報量が多ければ多いほど、そして、詳しければ詳しいほど、この道路使用者VTから交通管制システム1に伝達された事象通報の品質は高くなる。可能な1実施形態では、ルート作成ユニット2が、伝達され、受領した複数の交通関連事象に応じて、他の道路使用者VTのために複数の交通ルート案VRVを計算する。可能な1実施形態では、道路使用者VTから伝達された交通関連事象通報EMのデータ処理は部分的にまたは完全に自動的に行われる。伝達された事象通報EMは、交通関連事象を構造化された、または、構造化されていない形態で記述することができる。受領されたテキスト情報または音声情報は複数の特定のキーワードに基づいて分析することができる。さらに、受領された、交通関連事象を示す画像データは、対象認識アルゴリズムを用いて自動的に分析することができる。同一の観察場所、例えば交差点またはこれと同様な場所で様々な道路使用者VTから発せられ通報された、場所が特定された交通関連事象が、これらの観察された交通関連事象を検証し、及び/又は、特定するために、互いに比較されると好適である。二人の異なる道路使用者VT1、VT2が、例えば同じ交差点で1つの交通事故を見て、これを互いに独立に2つの異なる事象通報EM1、EM2として交通管制システム1に通報すると、これによってシステム側では、発生した交通事故が実際に起こったことを非常に高い確率で検証することができる。さらに、異なる道路使用者から発せられた複数の情報は互いに補完し合うことができるので、事象通報のより正確な記載が可能となる。異なる道路使用者からの情報が矛盾している場合には、その事象のできるだけ正しい記載を可能とすべく、これらの情報を別の基準で分析することができる。
【0034】
可能な1実施形態では、異なる複数の道路使用者VT、または、複数の道路使用者から成る1グループが、その挙動評価のために共同で評価ユニット3ないし評価プラットホームに登録することができる。道路使用者VTの挙動には、一方では当該道路使用者の使用した交通手段VMの種類が、他方では当該道路使用者から提供された事象通報EMの量および質が、含まれる。
【0035】
図3は本発明による交通管制方法の1実施例を信号ダイアグラムで模式的に示す。まず最初に、道路使用者VTは、本発明による交通管制方法に加入するために、登録プロセスANMで評価ユニット3に登録することができる。代案として、多数の道路使用者VTが共同で評価ユニット3の道路使用者グループVTGに登録することもできる。登録済の道路使用者VTからのルート照会RANFを受領すると、ルート作成ユニット2によって複数の交通ルート案VRVが計算される。可能な1実施形態では、このルート作成ユニット2は、様々なタイプの交通手段VMを考慮した多種交通手段包括型のルート作成ユニットとすることができる。代案として、このルート作成ユニット2は、1つの交通手段、例えば自転車、のみに特化したルート作成ユニットとすることもできる。このルート作成ユニット2は、
図3に示されているように、照会中の道路使用者VTへの様々な交通ルート推奨案すなわち交通ルート案VRVを探し出す。道路使用者VTのモバイル端末機器8からルート照会RANFを受領すると、ルート作成ユニット2は、ナビゲーションデータ及び/又は実際の交通データに基づき、交通ルートVRのための様々な交通ルート案VRVを計算する。選択された交通ルートVRがルート作成ユニット2から当該道路使用者VTのモバイル端末機器8に交通ルート推奨案VRVの形で伝達される。加入している道路使用者VTは伝達された様々な交通ルート推奨案すなわち交通ルート案VRVの中から1つの交通ルートVRを選択し、自分の選択した交通ルートを交通ルート指示通知VRAの形で、ルート作成ユニット2にも、評価ユニット3にも伝達する。このことが
図3に示されている。交通ルートVR選択のためのルート選択通知を受領すると、ルート作成ユニット2は選択された交通ルートVRのためのこれに対応した交通ルートデータVRDを当該道路使用者VTのモバイル端末機器8に伝送する。選択された交通ルートの交通ルートデータVRDは、次に、この道路使用者に対してマップ上で、モバイル端末機器8の表示ユニットまたは表示画面に表示される。
【0036】
1つの交通ルートVRは通常、様々な交通ポイント間の多数の交通区間を含んでおり、
図6、7に示されているように、これらの交通区間は大抵は異なる交通手段VMによって到達できる。ルート選択通知が道路使用者VTの端末機器8から評価ユニット3に伝達され、この評価ユニットが、交通ルートVRに沿ってこの道路使用者VTが使用した交通手段VMに基づいて、この道路使用者の挙動を評価する。可能な1実施形態では、評価ユニット3が、当該道路使用者VTの挙動に対して、採用された交通ルートVRに沿って前記道路使用者が使用した交通手段VMに基づいて、交通挙動値VAZを計算する。このとき、評価ユニット3によって、エミッション値の低い交通手段は、エミッション値の高い交通手段よりも高く評価される。異なる交通手段すなわち異なる交通手段の種類に対してデータメモリー内にCO
2負荷及び/又は騒音負荷に関する異なったエミッション値を格納することができる。評価ユニット3は、好適に、異なる交通手段VMのメモリーされたエミッション値に基づいて、当該道路使用者VTの交通挙動に対して交通挙動値VAZを計算する。可能な1実施形態では、道路使用者VTの交通挙動の評価は、これに加えて、それぞれの道路使用者VTからルート作成ユニット2または交通管制センター5に伝達された事象通報EMの量及び/又は質に応じて行われる。高品質の、すなわち、詳細度の高い、多くの事象通報を交通管制システム1に伝達する道路使用者VTは、事象通報EMを提供しない、ないし、少ししか提供しない道路使用者VTよりも、その挙動を、良く、すなわち、高く評価される。
【0037】
道路使用者VTが推奨交通ルートの選択を完了し、走行を開始するとすぐに、この道路使用者VTの位置データPD、特にGPSデータが記録される。これらは連続的に、周期的に、または、事象に基づいて、すなわち、例えば、各走行の終わりに、特定の場所に到達した時に、もしくは、特定の時刻に、または、手動で(例えば、メールで)ルート作成ユニット2及び/又は評価ユニット3に伝達される。評価ユニット3は受信した当該道路使用者VTの位置データPDに基づき自動的に、採用された交通ルートVRに沿ってこの道路使用者VTにより使用された交通手段VMの確認を行うことができる。位置データPDに基づいて評価ユニット3は、一方で当該道路使用者VTが推奨された交通ルートVRに沿って実際に走行しているか、または、走行したか、をチェックすることができ、他方で当該道路使用者VTが、推奨された、環境に最も優しい交通手段VMを実際に使用しているかをチェックすることができる。可能な1実施形態では、評価ユニット3は、位置データPDの時間的な変化に基づき、当該道路使用者VTがその交通ルートVRに沿って、その交通手段VMにとって典型的な移動特性で移動しているか否かを確認することができる。例えば、道路使用者VTが選択された交通ルートVR内の1つの交通区間VSに沿って50km/hを超える速度で移動していれば、この道路使用者VTは、例えば、徒歩でまたは自転車では移動していないと考えることができる。可能な1実施形態では、道路使用者VTのモバイル端末機器8で実行されたアプリケーションソフトが、走行中に交通ルートVRに沿って複数の位置ポイントPiを記録し、これらの位置ポイントPiを当該道路使用者VTの認識IDと共に規則的な間隔で、例えば2分毎に、交通管制システム1の評価ユニット3に送る。確度チェック(Plausibilitaetspruefung)を用いて、選択された交通ルートVRにおいてそれぞれの交通区間VS用に予定された交通手段VMを当該道路使用者VTが実際に使用するか否か、を確認することができる。この分析、ないし、確認は、伝達された複数の位置ポイントPi、および、これらから導かれた移動速度Vに基づき、ならびに、複数の停止ポイント、ないし、停止時間に基づいて行われる。
【0038】
可能な1実施形態では、1人の道路使用者VT、ないし、共同で登録した複数の道路使用者から成る1グループVTGに対して1つの属性付き加入者シンボルが、各道路使用者ないし複数の道路使用者それぞれに、モバイル端末機器8の表示ユニット上で、選択された交通ルートVRに沿った実際の位置で表示される。可能な1実施形態では、評価ユニット3が、表示された加入者シンボル及び/又はその属性を当該道路使用者VTの評価された挙動に基づいて動的に変更することができる。加入者シンボルの属性は、例えば、交通に特有な衣服を含んでいる。加入者シンボルは例えば、道路使用者ないし使用者グループを示すイメージキャラクター(Avatar)である。この道路使用者シンボルVT−SYMBは道路使用者の挙動、特に交通挙動に応じて時間とともに変化することができる。道路使用者の評価された交通挙動すなわち挙動に応じて、表示されたイメージキャラクターすなわち表示された加入者シンボルの外観は変化することができる。例えば、交通手段としてしばしば、そして、長時間、自転車を使用する道路使用者VTは、評価ユニット3からシンボル的に表示された改良型自転車を割り当てられ、この改良型自転車が、その道路使用者に対して、前記道路使用者のモバイル端末機器8のディスプレイに表示される。例えば都市の或る区画内の複数の道路使用者VTから成る1つのチームないし1つのグループVTGを形成している様々な道路使用者は、前記道路使用者らのチーム所属を示す1つの共通のトリコー(Trikot)を貰うことができる。この変更された加入者シンボルにより、及び/又は、属性の変更により、個々の道路使用者VTまたは使用者グループVTGを特定の交通手段VMを使用するようにさらに動機づけることができる。
【0039】
可能な1実施形態では、評価ユニット3の推奨により、道路使用者VTまたは道路使用者グループVTGの評価された挙動に基づき、当該道路使用者VTに報奨が与えられる。例えば、ある道路使用者VTは、特に公共近距離交通機関の範囲内で、歩行者または自転車使用者として、特定の交通手段に対するボーナスポイントないしボーナスマイルを貰うという、報奨を受けることができる。例えば、環境に優しい挙動をする道路使用者VTは評価ユニット3から、バーチャルなボーナス、例えば、動的な属性、または、実質的なボーナス、例えば、無料の又は値段割引きの列車旅行、という報奨を受けることができる。別の報奨の可能性は、例えば、環境に優しい挙動をする道路使用者VTは、他の道路使用者VTが通行を禁止されている特定の交通ルートを前記道路使用者の交通手段VMで利用することを許可される、というものである。例えば、通常、環境に優しく自転車で移動している道路使用者VTは、評価ユニット3から、代わりの交通手段VMとして市内交通区域内の優先走行車線で自家用車を使用してよいという報奨を得る。
【0040】
可能な1実施形態では、評価ユニット3が多数の道路使用者についての利用統計を創出することができる。ここでは、例えば、使用者数、複数の交通手段VMの使用頻度、当該の交通ルートVRなどが分析される。これらのデータは、交通管制の他に交通計画にも利用することができる。
【0041】
可能な1実施形態では、評価ユニット3が各道路使用者VT用のために交通挙動値VAZを計算することができ、道路使用者からの照会があれば、
図3に示されているように、これを前記道路使用者に伝達することができる。交通挙動値VAZを計算するために、当該道路使用者VTが実際に使用した交通手段VMだけでなく、評価ユニット3が当該道路使用者のモバイル端末機器8から受領する、当該道路使用者VTから伝達された複数の事象通報EMも考慮される。これらの事象通報EMは評価ユニット3によって、さらに交通管制センター5へ転送することができる。様々な交通事象通報EM´に基づいて、交通管制センター5は、交通流を良くするために、さらに、交通制御手段、または、交通手段を直接に、制御することができる。例えば、同一交差点に居る異なった道路使用者VTから交通事故が通報されると、交通管制センター5ないしその中に組み込まれている制御装置が、交通流が当該交差点を迂回するように交通制御手段、例えば交通信号を制御する。こうして、特定の交通事象に起因する交通渋滞を大幅に避けることができるので、CO
2エミッションをさらに防止することができる。
【0042】
図6は本発明による交通管制方法の機序を示すための図である。
図6はスタートポイントP0から目的ポイントP3までの交通ルートを示している。この交通ルートVRは多数の交通区間VS1、VS2、VS3を含んでいる。
図7に示すように、各交通区間VS
iに対して、異なる交通手段VMを予定することができる。例えば、交通ルートポイントP
iとP
i+1の間で、第1の交通手段VM1、第2の交通手段VM2、または、他の交通手段VMxを使用する可能性がある。例えば、特定の交通区間VSに対して、これを徒歩で、車で、または、自転車で移動する可能性がある。
【0043】
図8は、並行している自転車道と歩道とを有する道路を例示している。従って、道路使用者VTは、交通ルートVR内のこの交通区間VSを、交通手段VM1である乗用車で、交通手段VM2である自転車で、または、徒歩(VM3)で移動する可能性がある。選択された交通手段VMに応じてこの道路使用者VTはその交通手段VMにとって典型的な速度V1、V2、V3でこの交通区間VSに沿って位置ポイントP
iから位置ポイントP
i+1へ移動する。ここに示された例では、交通手段VM1である乗用車の交通速度V1は交通手段VM2である自転車の交通速度V2より速く、自転車の交通速度V2は歩行者VM3の交通速度V3よりも速い。複数の区間ポイント間で得られる移動速度V1、V2、V3に基づき、可能な1実施形態では、評価ユニット3が当該道路使用者VTにより採用された交通手段VMを確認することができる。道路使用者VTが例えば、その部分区間を交通手段VMとして自転車で移動するような交通ルートVRを選択し、しかし実際には乗用車を使用した場合には、このことは、可能な1実施形態では、評価ユニット3により突き止められ、この道路使用者VTの挙動評価にマイナスの影響を及ぼす。こうして、道路使用者VTにとってその評価を加点することは困難になる。道路使用者VTがその挙動を何度も意図的に改竄しようとする場合には、可能な1実施形態では、前記道路使用者をこの交通管制方法から除名することができる。
【0044】
図4は本発明による交通管制システム1の1実施例を示している。ここに示された実施例では、複合的な、すなわち、多種交通手段包括型のルート作成がルート作成ユニット2により行われる。まず最初に、利用者すなわち道路使用者VTはこのプラットホームすなわち評価ユニット3に登録する。この利用者は次に前記利用者のモバイル端末機器8から前記の複合的ルート作成ユニット2にルート照会を行う。ルート作成ユニット2は、様々なデータソースからの実際の交通データないしナビゲーションデータを考慮して複数のルート推奨案すなわち交通ルート推奨案を計算する。次に、この利用者によりルート選択が行われ、選択されたルートがルート作成ユニット2および評価ユニット3に伝送される。その次のステップで、前記ルートが、マップ上で可視化するために、ルート作成ユニット2により、モバイル端末機器8上で走っているアプリケーションソフトに伝送される。この利用者すなわち道路使用者VTは、場所と結合された関連事象すなわち前記利用者が観察している交通関連事象をユーザーインターフェースを介して前記利用者のモバイル端末機器8にインプットすることができ、この場合、インプットされたその場所と結合された関連事象は事象通報の形で当該アプリケーションにより評価ユニット3に、さらに、場合によってはルート作成ユニット2にも伝送される。評価ユニット3は様々な道路使用者VTからの様々な事象通報EMを受け取り、分析することができる。こうして、通報された交通関連事象を検証し、さらに、場合によっては特定することもできる。次に、これらの分析された事象が交通管制センター5に転送される。評価ユニット3は、伝達された事象および道路使用者が採用した交通手段VMに基づき、当該道路使用者VTの挙動を評価し、さらに、可能な1実施形態では、利用者から照会を受けることがある交通挙動値VAZを計算する。
【0045】
本発明による交通管制システム1の
図4に示された実施例では、複合的ルート作成ユニット2は異なるデータソースにアクセスすることができる。例えば、ルート作成ユニット2は個人的交通IVに関する交通通報及び/又は公共交通のデータにアクセスすることができる。
【0046】
図5は本発明による交通管制システム1の別の実施例を示している。ここに示された実施例では、ルート作成ユニット2は、特定の交通手段のための、例えば自転車のみのための、1つの交通手段に特化したルート作成ユニットである。
【0047】
本発明による交通管制システム1のメリットは、道路使用者VTが交通ルートの始点と終点間でできるだけ環境に優しい交通手段VMを使用するインセンティブを得るという点にある。これによって、CO
2および窒素エミッションを、特に都市部において、低減することができる。さらに、これにより、騒音発生および騒音負荷を減少することができる。道路使用者VTが交通観察に組み込まれるので、当該区域内の交通流がさらに最適化される。交通流のこの改善により、次に、当該区域内のエミッション負荷がさらに低減される。本発明による交通管制システム1の別の副次的効果は、道路使用者の健康も増進されることにある。というのは、道路使用者が、環境に優しいと同時に健康を増進する交通手段VMを使用するというインセンティブを得るからである。多数の道路使用者から得られた交通データは、さらに、ある区域内における交通手段VMの交通計画に供給することができる。
【符号の説明】
【0048】
1 交通管制システム
2(RE) ルート作成ユニット
3(BE) 評価ユニット
4 装置
5(VMZ) 交通管制センター
6(DNW) データネットワーク
7(AP) アクセスポイント
8(mE) モバイル端末機器
9(VM) 交通手段
VT 道路使用者
EM 事象通報
DQ データソース
ANM 登録プロセス
PD 位置データ
VR 交通ルート
VS 交通区間
VRA 交通ルート表示通知
VRV 交通ルート案
VRD 交通ルートデータ
VAZ 交通挙動表示値
RANF ルート照会
S1〜S4 ステップ