(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記半導体不純物液体ソース全体に対する前記無機粉末の質量濃度は、前記半導体不純物液体ソース全体に対する前記増粘剤の質量濃度よりも低いことを特徴とする請求項1に記載の半導体不純物液体ソース。
前記半導体不純物液体ソース全体に対する前記無機粉末の質量濃度は、前記半導体不純物液体ソース全体に対する前記有機溶剤の質量濃度よりも低いことを特徴とする請求項1に記載の半導体不純物液体ソース。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、不純物の拡散の均一性を確保しつつ半導体基板の剥離の所要時間を短縮して半導体装置の製造効率を向上させることができる半導体不純物液体ソース、半導体不純物液体ソースの製造方法および半導体製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る半導体不純物液体ソースは、
積層された複数の半導体基板間に塗布された状態で加熱されることで、前記複数の半導体基板に不純物を拡散させる半導体不純物液体ソースであって、
前記不純物を含む化合物と、
前記化合物を溶解する有機溶剤と、
前記有機溶剤に溶解し、前記半導体不純物液体ソースに粘性を付与する増粘剤と、
前記不純物よりも大きい直径を有する無機粉末と、が混合して含有され、
前記増粘剤は、
前記半導体不純物液体ソースを前記半導体基板の塗布面に塗布する際に、前記半導体不純物液体ソースに付与する前記粘性によって、前記塗布面に沿った面方向において隣り合う前記無機粉末同士の間隔を調整して前記塗布面上への前記不純物の分布を調整し、
前記半導体不純物液体ソースを乾燥させる第1の温度に加熱されることで、前記有機溶剤の蒸発にともなって前記隣り合う無機粉末同士の間に析出して前記塗布面上への前記不純物の分布を維持する特性を有し、
前記無機粉末は、
前記複数の半導体基板を積層する際に、前記増粘剤によって前記面方向において隣り合う無機粉末同士の間隔が調整されていることで、前記複数の半導体基板同士の間隔の前記面方向における分布を調整し、
前記不純物を前記第1の温度よりも高い温度である前記不純物の拡散供給源が生成される第2の温度に加熱した後、前記第2の温度での加熱によって接合された前記複数の半導体基板を剥離液に晒す際に、前記複数の半導体基板同士の間隔を維持していることで、前記複数の半導体基板間に前記剥離液を浸透させる特性を有する。
【0007】
また、前記半導体不純物液体ソースにおいて、
前記半導体不純物液体ソース全体に対する前記無機粉末の質量濃度は、前記半導体不純物液体ソース全体に対する前記増粘剤の質量濃度よりも低くてもよい。
【0008】
また、前記半導体不純物液体ソースにおいて、
前記半導体不純物液体ソース全体に対する前記無機粉末の質量濃度は、前記半導体不純物液体ソース全体に対する前記有機溶剤の質量濃度よりも低くてもよい。
【0009】
また、前記半導体不純物液体ソースにおいて、
前記剥離液は、フッ酸であってもよい。
【0010】
また、前記半導体不純物液体ソースにおいて、
前記無機粉末は、主成分として、Si、SiO
2、SiCおよびSi
3N
4からなる群から選択される少なくとも1つの物質を含有してもよい。
【0011】
また、前記半導体不純物液体ソースにおいて、
前記増粘剤は、主成分として、セルロースまたはその誘導体を含有してもよい。
【0012】
また、前記半導体不純物液体ソースにおいて、
前記増粘剤は、主成分として、ヒドロキシプロピルセルロースを含有してもよい。
【0013】
また、前記半導体不純物液体ソースにおいて、
前記有機溶剤は、主成分として、エタノール、アセトン、又はプロパノールを含有してもよい。
【0014】
また、前記半導体不純物液体ソースにおいて、
前記化合物は、ほう酸および乳酸アルミニウムであってもよい。
【0015】
また、前記半導体不純物液体ソースにおいて、
前記化合物は、ピロりん酸であってもよい。
【0016】
また、前記半導体不純物液体ソースにおいて、
更に、水を含有してもよい。
【0017】
本発明の一態様に係る半導体不純物液体ソースの製造方法は、
前記不純物を含む化合物と、前記化合物を溶解する有機溶剤と、前記有機溶剤に溶解し、前記半導体不純物液体ソースに粘性を付与する増粘剤と、を混合した混合液を生成する工程と、
前記混合液の粘性を安定させるために前記混合液を予め決められた時間所定の雰囲気下で保持する工程と、
前記保持の後に、前記混合液に、前記不純物よりも大きい直径を有する無機粉末を混合する工程と、を備える。
【0018】
前記半導体不純物ソースの製造方法において、
前記保持の前に前記混合液を撹拌する工程を更に備えてもよい。
【0019】
本発明の一態様に係る半導体装置の製造方法は、
複数の半導体基板に、請求項1に記載の半導体不純物液体ソースを塗布する工程と、
前記塗布された半導体不純物液体ソースを第1の温度に加熱することで、前記塗布された半導体不純物液体ソースを乾燥させる工程と、
前記複数の半導体基板を積層させる工程と、
前記複数の半導体基板を積層させる際に、前記無機粉末によって前記複数の半導体基板同士の間隔の分布を調整する工程と、
前記不純物を第2の温度に加熱することで、前記不純物の拡散供給源を生成する工程と、 前記複数の半導体基板を剥離液に浸漬させて、前記第2の温度での加熱によって接合された前記複数の半導体基板同士を剥離する工程と、を備える。
【発明の効果】
【0020】
本発明の一態様に係る半導体不純物液体ソースは、積層された複数の半導体基板間に塗布された状態で加熱されることで、複数の半導体基板に不純物を拡散させる半導体不純物液体ソースであって、不純物を含む化合物と、化合物を溶解する有機溶剤と、有機溶剤に溶解し、半導体不純物液体ソースに粘性を付与する増粘剤と、不純物よりも大きい直径を有する無機粉末と、が混合して含有され、増粘剤は、半導体不純物液体ソースを半導体基板の塗布面に塗布する際に、半導体不純物液体ソースに付与する粘性によって、塗布面に沿った面方向において隣り合う無機粉末同士の間隔を調整して塗布面上への不純物の分布を調整し、半導体不純物液体ソースを乾燥させる第1の温度に加熱されることで、有機溶剤の蒸発にともなって隣り合う無機粉末同士の間に析出して塗布面上への不純物の分布を維持する特性を有し、無機粉末は、複数の半導体基板を積層する際に、増粘剤によって面方向において隣り合う無機粉末同士の間隔が調整されていることで、複数の半導体基板同士の間隔の面方向における分布を調整し、不純物を第1の温度よりも高い温度である不純物の拡散供給源が生成される第2の温度に加熱した後、第2の温度での加熱によって接合された複数の半導体基板を剥離液に晒す際に、複数の半導体基板同士の間隔を維持していることで、複数の半導体基板間に剥離液を浸透させる特性を有する。
【0021】
このように、本発明によれば、半導体不純物液体ソースを塗布する際に、増粘剤の粘性によって塗布面上への不純物の分布を調整し、半導体不純物液体ソースを第1の温度で乾燥させる際に、増粘剤が隣り合う無機粉末同士の間に析出して塗布面上への不純物の分布を維持し、複数の半導体基板を積層する際に、増粘剤の粘性で面方向の間隔が調整されている無機粉末によって、半導体基板同士の間隔の面方向における分布を調整し、複数の半導体基板を剥離液に晒す際に、無機粉末で維持された半導体基板同士の間隔を介して剥離液を浸透させることができる。
【0022】
これにより、不純物の拡散の均一性を確保しつつ半導体基板の剥離の所要時間を短縮して半導体装置の製造効率を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して本発明に係る実施形態を説明する。なお、以下に示す実施形態は、本発明を限定するものではない。また、実施形態で参照する図面において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号または類似の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0025】
(半導体不純物液体ソース)
まず、本実施形態に係る半導体不純物液体ソースについて説明する。
【0026】
本実施形態に係る半導体不純物液体ソースは、積層された複数の半導体基板間に塗布された状態で加熱されることで、複数の半導体基板に不純物を拡散させるものである。このように、積層状態の複数の半導体基板に不純物を拡散させることで、複数の半導体基板に対して不純物を同時に拡散させることができるので、不純物の拡散を効率的に行うことができる。
【0027】
半導体不純物液体ソースは、不純物を含む化合物と、化合物を溶解する有機溶剤と、有機溶剤に溶解し、半導体不純物液体ソースに粘性を付与する増粘剤と、不純物よりも大きい直径を有する無機粉末と、が混合して含有されている。半導体不純物液体ソースは、更に水を含有していてもよい。
【0028】
半導体基板にP型の不純物を拡散させるP型の半導体不純物液体ソースの場合、不純物の含む化合物としては、例えば、ほう酸、乳酸アルミニウム等を好適に用いることができる。
【0029】
半導体基板にN型の不純物を拡散させるN型の半導体不純物液体ソースの場合、不純物の含む化合物としては、例えば、ピロりん酸等を好適に用いることができる。
【0030】
有機溶剤は、不純物を含む化合物を溶解する特性を有する。このような特性を有する有機溶剤としては、例えば、主成分として、エタノール、アセトン又はプロパノール等を含有する有機溶剤を好適に用いることができる。
【0031】
増粘剤は、有機溶剤に溶解し、半導体不純物液体ソースに粘性を付与する特性を有する。また、増粘剤は、半導体不純物液体ソースを半導体基板の塗布面に塗布する際に、半導体不純物液体ソースに付与する粘性によって、塗布面に沿った面方向において隣り合う無機粉末同士の間隔を調整して塗布面上への不純物の分布を調整する特性を有する。さらに、増粘剤は、半導体不純物液体ソースを乾燥させる第1の温度に加熱されることで、有機溶剤の蒸発にともなって隣り合う無機粉末同士の間に析出して塗布面上への不純物の分布を維持する特性を有する。
【0032】
このような特性を有する増粘剤としては、例えば、主成分として、セルロースまたはその誘導体を含有する増粘剤を好適に用いることができる。増粘剤は、より好ましくは、ヒドロキシプロピルセルロースを含有する。
【0033】
無機粉末は、複数の半導体基板を積層する際に、増粘剤によって面方向において隣り合う無機粉末同士の間隔が調整されていることで、複数の半導体基板同士の間隔の面方向における分布を調整する特性を有する。
【0034】
また、無機粉末は、不純物を第1の温度よりも高い温度である不純物の拡散供給源が生成される第2の温度に加熱した後、第2の温度での加熱によって接合された複数の半導体基板を剥離液に晒す際に、複数の半導体基板同士の間隔を維持していることで、複数の半導体基板間に剥離液を浸透させる特性を有する。
【0035】
このような特性を有する無機粉末としては、例えば、主成分として、Si、SiO
2、SiCおよびSi
3N
4からなる群から選択される少なくとも1つの物質を含有する無機粉末を好適に用いることができる。
【0036】
また、無機粉末を介して接合された半導体基板同士を剥離する特性を有する剥離液としては、例えば、フッ酸等を好適に用いることができる。
【0037】
(半導体不純物液体ソースの製造方法)
次に、既述した半導体不純物液体ソースを製造するための製造方法について説明する。
図1は、本実施形態に係る半導体不純物液体ソースの製造方法を示すフローチャートである。
【0038】
図1に示すように、先ず、不純物を含む化合物と、化合物を溶解する有機溶剤と、有機溶剤に溶解し、半導体不純物液体ソースに粘性を付与する増粘剤と、を混合した混合液を生成する(ステップS1)。
【0039】
図2は、本実施形態に係る半導体不純物液体ソースの製造方法において、P型の半導体不純物液体ソースの製造方法を説明するための説明図である。
【0040】
図2に示すように、P型の半導体不純物液体ソースの混合液を生成する場合、例えば、粉末の乳酸アルミニウムを水に混合させ、乳酸アルミニウムが水に溶解するまで湯煎することで、乳酸アルミニウム液を生成する。このとき、
図2に示すように、撹拌しながら湯煎することで、乳酸アルミニウムの溶解時間を短縮させることができる。乳酸アルミニウムは、有機溶剤よりも水に溶解し易い。溶解し易い水に乳酸アルミニウムを溶解させた後に有機溶剤と混合することで、混合液を適切に生成することができる。
【0041】
また、
図2に示すように、粉末のほう酸をエタノールに混合させ、ほう酸がエタノールに溶解するまで湯煎することで、ほう酸液を生成する。このとき、
図2に示すように、撹拌しながら湯煎することで、ほう酸の溶解時間を短縮させることができる。
【0042】
そして、
図2に示すように、乳酸アルミニウム液と、ほう酸液と、有機溶剤と、増粘剤とを混合することで、混合液を生成する。
【0043】
図3は、本実施形態に係る半導体不純物液体ソースの製造方法において、N型の半導体不純物液体ソースの製造方法を説明するための説明図である。
【0044】
図3に示すように、N型の半導体不純物液体ソースの混合液を生成する場合、例えば、ピロりん酸と、有機溶剤と、増粘剤とを混合することで、混合液を生成する。
【0045】
混合液を生成した後、
図1に示すように、混合液の粘性を安定させるために混合液を予め決められた時間所定の雰囲気下で保持する(ステップS2)。
【0046】
混合液を保持した後、混合液に、不純物よりも大きい直径を有する無機粉末を混合する(ステップS3)。以上のようにして、半導体不純物液体ソースを得ることができる。
【0047】
(半導体装置の製造方法)
次に、既述した半導体不純物液体ソースを用いた半導体装置の製造方法について説明する。
【0048】
図4は、本実施形態に係る半導体装置の製造方法を示すフローチャートである。
図5は、本実施形態に係る半導体装置の製造方法において、滴下工程を示す概略断面図である。
【0049】
先ず、
図4に示すように、半導体基板上に半導体不純物液体ソースを滴下する(ステップS11)。例えば、
図5に示すように、塗布コータヘッド3上に半導体基板2を載置し、載置された半導体基板2に対して、上方からノズル4によって半導体基板2の塗布面2a上にP型半導体不純物液体ソース1−Pを滴下する。
図5に示すように、P型半導体不純物液体ソース1−Pは、P型不純物11−Pと、有機溶剤12と、増粘剤13と、無機粉末14とが混合して含有されている。なお、P型半導体不純物液体ソース1−Pは、更に、水やエタノールも含有していてもよい。半導体基板2は、例えば、シリコン単結晶基板である。半導体基板2は、不純物が拡散されていてもよい。
【0050】
半導体不純物液体ソースを滴下した後、
図4に示すように、滴下された半導体不純物液体ソースを半導体基板に塗布する(ステップS12)。これにより、半導体基板上に拡散源皮膜を形成する。
図6は、本実施形態に係る半導体装置の製造方法において、
図5に続く塗布工程を示す概略断面図である。半導体不純物液体ソースを塗布する際には、例えば、
図6に示すように、塗布コータヘッド3を回転方向rに回転させることで、塗布コータヘッド3上に載置された半導体基板2とともに、半導体基板2の塗布面2a上のP型半導体不純物液体ソース1−Pを回転させる。回転によってP型半導体不純物液体ソース1−Pに遠心力が作用することで、P型半導体不純物液体ソース1−Pは、塗布面2aの中心側から周辺側に向かって流動して、塗布面2a全体に塗布される。
【0051】
このとき、増粘剤13によってP型半導体不純物液体ソース1−Pに付与されている粘性によって、半導体基板2の周辺側への無機粉末14の移動速度を調整することができる。これにより、塗布面2aに沿った面方向dにおいて隣り合う無機粉末14同士の間隔iを調整することができる。無機粉末14同士の間隔iを調整することで、塗布面2a上へのP型不純物11−Pの分布を調整することができる。例えば、隣り合う無機粉末14同士の間隔iを均一に調整することで、塗布面2a上へのP型不純物11−Pの分布を均一に調整することができる。
【0052】
半導体不純物液体ソースを塗布した後、
図4に示すように、半導体基板に塗布された半導体不純物液体ソースを乾燥させる(ステップS13)。
図7は、本実施形態に係る半導体装置の製造方法において、
図6に続く乾燥工程を示す概略断面図である。半導体不純物液体ソースを乾燥する際には、例えば、
図7に示すように、発熱体が内蔵されたベーク板5上に、P型半導体不純物液体ソース1−Pが塗布された半導体基板2を載置し、ベーク板5を乾燥温度(第1の温度)まで加熱する。これにより、有機溶剤および水は概ね蒸発する。一方、
図7に示すように、増粘剤13は、析出(すなわち、固化)して残存している。増粘剤13が析出していることで、隣り合う無機粉末14間の間隔iを増粘剤13によって安定的に維持することができる。これにより、塗布面2a上へのP型不純物11−Pの分布を維持することができる。
【0053】
半導体不純物液体ソースを乾燥させた後、同様の工程(ステップS11〜S13)を、半導体基板2の塗布面2aの反対側の表面を新たな塗布面として、不純物の導電型が異なる半導体不純物液体ソースを用いて行う。
【0054】
半導体基板の表裏の塗布面の半導体不純物液体ソースを乾燥させた後、
図4に示すように、複数の半導体基板を積層する(ステップS14)。
図8は、本実施形態に係る半導体装置の製造方法において、
図7に続く積層工程を示す概略断面図である。半導体基板を積層する際には、例えば、
図8に示すように、複数の半導体基板2を、同じ導電型の半導体不純物液体ソースの塗布面同士を向かい合わせるように積層させる。なお、
図8において、符号11−Nは、N型不純物である。
【0055】
ここで、もし、隣り合う無機粉末14同士の間隔が調整されていない場合、無機粉末14の分布が偏ることで、局所的に半導体基板2間に無機粉末14が存在しない箇所が生じ得る。この場合、無機粉末14が局所的に存在しない箇所では、積層される半導体基板2の重力によって半導体基板2間の間隔が狭められてしまう。これにより、半導体基板2同士の間隔が面方向において不均一となり、半導体基板2間の不純物の配置状態も面方向において不均一となる。この結果、不純物の拡散の均一性を維持することが困難となる。 これに対して、本実施形態では、増粘剤13によって面方向dにおいて隣り合う無機粉末14同士の間隔が調整されていることで、無機粉末14は、複数の半導体基板2同士の間隔の面方向における分布を調整することができる。例えば、無機粉末14は、半導体基板2同士の間隔の面方向dにおける分布を均一になるように調整することができる。
【0056】
このように、半導体基板2同士の間隔の面方向における均一性を高めることができるので、半導体基板2間の不純物の配置状態の面方向における均一性を高めることができる。この結果、不純物の拡散の均一性を高めることができる。
【0057】
半導体基板を積層させた後、
図4に示すように、不要な物質を除去する焼成工程を実施する(ステップS15)。
図9は、本実施形態に係る半導体装置の製造方法において、
図8に続く焼成工程を示す概略断面図である。
図10は、本実施形態に係る半導体装置の製造方法において、拡散プロセスでの温度遷移を示すグラフである。焼成工程においては、例えば、
図9に示すように、積層された半導体基板2を焼成温度で加熱して増粘剤13を除去する。より詳しくは、
図10に示すように、積層された半導体基板2を、一定の焼成温度Taで一定時間t1加熱して増粘剤13を除去する。このとき、P型半導体不純物液体ソース1−Pの塗布の際に増粘剤13によって無機粉末14間の間隔iが調整されているので、半導体基板2の表面上にP型不純物11−Pをできるだけ均一に配置することができる。
【0058】
焼成の後、
図4に示すように、不純物をガラス化して拡散供給源を生成するデポジション工程を実施する(ステップS16)。
【0059】
図11は、本実施形態に係る半導体装置の製造方法において、
図9に続くデポジション工程を示す概略断面図である。デポジション工程においては、例えば、
図11に示すように、P型不純物11−Pをデポジション温度(第2の温度)に加熱することで、P型不純物11−Pをガラス化して拡散供給源にする。より詳しくは、
図10に示すように、P型不純物11−Pを、焼成温度Taよりも高温の一定のデポジション温度Tbで、焼成時間t1よりも長い時間t2加熱することで、P型不純物11−Pを拡散供給源にする。このとき、P型不純物11−Pは、浅い位置までは拡散される。
【0060】
ここで、P型半導体不純物液体ソース1−Pの塗布の際に、増粘剤13によって隣り合う無機粉末14間の間隔iが調整されているので、半導体基板2の表面上にP型不純物11−Pをできるだけ均一に配置することができる。これにより、P型不純物11−Pをできるだけ均一に拡散させることができる。このことは、N型不純物11−Nについても同様である。
【0061】
また、このとき、上下の半導体基板2同士がブロック状態となって接合される。
【0062】
デポジション工程を実施した後、
図4に示すように、所望の深さまで不純物を拡散させる拡散工程を実施する(ステップS17)。
図12は、本実施形態に係る半導体装置の製造方法において、
図11に続く拡散工程を示す概略断面図である。拡散工程においては、例えば、
図12に示すように、P型不純物11−Pを拡散温度に加熱することで、P型不純物11−Pを所望の深さまで拡散させる。より詳しくは、
図10に示すように、P型不純物11−Pを、デポジション温度Tbよりも高温の一定の拡散温度Tcで、デポジション時間t2よりも長い時間t3加熱することで、P型不純物11−Pを所望の深さまで拡散させる。N型不純物11−Nについても同様に拡散が行われる。
【0063】
拡散工程を実施した後、
図4に示すように、積層された半導体基板2を剥離液6に浸漬させる(ステップS18)。
図13は、本実施形態に係る半導体装置の製造方法において、
図12に続く浸漬工程を示す概略断面図である。浸漬の際には、
図13に示すように、無機粉末14によって半導体基板2同士の間隔が維持されているため、剥離液6は、最外周の無機粉末14の箇所から中心側に向かって容易に浸透することができる。
【0064】
これにより、半導体基板2同士の剥離が促進されて剥離時間を短縮することができる。
【0065】
剥離液への浸漬の後、
図4に示すように、半導体基板2を洗浄、乾燥させて積層状態から剥離する(ステップS19)。
【0066】
以下、本実施形態によってもたらされる作用について説明する。
【0067】
上述したように、本実施形態に係る半導体不純物液体ソースは、不純物を含む化合物と、化合物を溶解する有機溶剤と、有機溶剤に溶解し、半導体不純物液体ソースに粘性を付与する増粘剤と、不純物よりも大きい直径を有する無機粉末と、が混合して含有されている。増粘剤は、半導体不純物液体ソースを半導体基板の塗布面に塗布する際に、半導体不純物液体ソースに付与する粘性によって、塗布面に沿った面方向において隣り合う無機粉末同士の間隔を調整して塗布面上への不純物の分布を調整し、半導体不純物液体ソースを乾燥させる第1の温度に加熱されることで、有機溶剤の蒸発にともなって隣り合う無機粉末同士の間に析出して塗布面上への不純物の分布を維持する特性を有する。無機粉末は、複数の半導体基板を積層する際に、増粘剤によって面方向において隣り合う無機粉末同士の間隔が調整されていることで、複数の半導体基板同士の間隔の面方向における分布を調整し、不純物を第1の温度よりも高い温度である不純物の拡散供給源が生成される第2の温度に加熱した後、第2の温度での加熱によって接合された複数の半導体基板を剥離液に晒す際に、複数の半導体基板同士の間隔を維持していることで、複数の半導体基板間に剥離液を浸透させる特性を有する。
【0068】
このように、本発明によれば、半導体不純物液体ソースを塗布する際に、増粘剤の粘性によって塗布面上への不純物の分布を調整し、半導体不純物液体ソースを第1の温度で乾燥させる際に、増粘剤が隣り合う無機粉末同士の間に析出して塗布面上への不純物の分布を維持し、複数の半導体基板を積層する際に、増粘剤の粘性で面方向の間隔が調整されている無機粉末によって、半導体基板同士の間隔の面方向における分布を調整し、複数の半導体基板を剥離液に晒す際に、無機粉末で維持された半導体基板同士の間隔を介して剥離液を浸透させることができる。
【0069】
これにより、不純物の拡散の均一性を確保しつつ半導体基板の剥離の所要時間を短縮して半導体装置の製造効率を向上させることができる。
【0070】
また、ドーパントフィルムでは、大量の有機系バインダによるガスが急激に発生して異常燃焼が生じないように、一定温度でドーパントフィルムをプリベークする必要があるところ、半導体不純物液体ソースでは、異常燃焼が生じない有機溶剤を用いているため、焼成の前のプリベークは不要である。これにより、工程数を抑えて製造効率を更に向上させることができる。
【0071】
(変形例)
上述した以外にも、本発明には、種々の変形例を適用することができる。
【0072】
図14は、本実施形態の変形例に係る半導体不純物液体ソースの製造方法を示すフローチャートである。例えば、
図14に示すように、半導体不純物液体ソースを製造する際に、混合液を保持する前に撹拌してもよい(ステップS4)。混合液を撹拌することで、増粘剤の粘度を更に安定させることができる。増粘剤の粘度を安定させることで、半導体装置の製造の際に、より効果的に不純物の拡散の均一性を確保することができる。
【0073】
また、半導体不純物液体ソース全体に対する無機粉末の質量濃度(wt%)は、半導体不純物液体ソース全体に対する増粘剤の質量濃度(wt%)よりも低くてもよい。ここで、無機粉末の質量濃度が増粘剤の質量濃度よりも高いと、増粘剤が粘性を適切に発揮できず半導体不純物液体ソースが伸びにくくなるため、所望の粘度を得ようとして増粘剤の材料の選定等を行ったとしても、増粘剤の粘度を正確に調整することが困難である。これに対して、無機粉末の質量濃度が増粘剤の質量濃度よりも低ければ、増粘剤が粘性を適切に発揮できるので、所望の粘度を得ようとして増粘剤の材料の選定等を行うことで、増粘剤の粘度を正確に調整することができる。
【0074】
また、半導体不純物液体ソース全体に対する無機粉末の質量濃度は、半導体不純物液体ソース全体に対する有機溶剤の質量濃度よりも低くてもよい。ここで、無機粉末の質量濃度が有機溶剤の質量濃度よりも高いと、半導体不純物液体ソースの流動性が著しく損なわれた状態になるので、流動体に粘性を付与する増粘剤が加わっても、粘性を付与すべき流動体(有機溶剤)が少な過ぎるので、増粘剤が適切に粘性を発揮できない。このため、所望の粘度を得ようとして増粘剤の材料の選定等を行ったとしても、増粘剤の粘度を正確に調整することは困難である。これに対して、無機粉末の質量濃度が有機溶剤の質量濃度よりも低ければ、粘性を付与する十分な有機溶剤を確保することができるので、増粘剤が粘性を適切に発揮できる。このため、所望の粘度を得ようとして増粘剤の材料の選定等を行うことで、増粘剤の粘度を正確に調整することができる。
【0075】
上記の記載に基づいて、当業者であれば、本発明の追加の効果や種々の変形を想到できるかもしれないが、本発明の態様は、上述した個々の実施形態に限定されるものではない。異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。特許請求の範囲に規定された内容及びその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更及び部分的削除が可能である。
不純物を含む化合物、化合物を溶解する有機溶剤、有機溶剤に溶解し液体ソースに粘性を付与する増粘剤、不純物より大きい直径の無機粉末が含有され、増粘剤は、液体ソースを半導体基板の塗布面に塗布する際、粘性によって隣り合う無機粉末同士の間隔を調整して塗布面上への不純物の分布を調整し、第1の温度に加熱されて隣り合う無機粉末同士の間に析出して不純物の分布を維持し、無機粉末は、半導体基板同士の間隔の分布を調整し、不純物を第2の温度に加熱後、接合された半導体基板を剥離液に晒す際に、半導体基板同士の間隔を維持していることで半導体基板間に剥離液を浸透させる。