特許第6472961号(P6472961)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6472961検体ラック搬送ユニット及び自動分析システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6472961
(24)【登録日】2019年2月1日
(45)【発行日】2019年2月20日
(54)【発明の名称】検体ラック搬送ユニット及び自動分析システム
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/04 20060101AFI20190207BHJP
【FI】
   G01N35/04 H
【請求項の数】6
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-164667(P2014-164667)
(22)【出願日】2014年8月13日
(65)【公開番号】特開2016-40538(P2016-40538A)
(43)【公開日】2016年3月24日
【審査請求日】2017年2月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004271
【氏名又は名称】日本電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】特許業務法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】蔵原 塁
【審査官】 素川 慎司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−156254(JP,A)
【文献】 国際公開第97/016733(WO,A1)
【文献】 特開平06−001427(JP,A)
【文献】 特開平05−057061(JP,A)
【文献】 特開昭60−112508(JP,A)
【文献】 特開平08−326444(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00 − 37/00
B65G 19/00 − 19/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体容器を収容する検体ラックが摺動し、前記検体ラックが搬送される軌道に沿って溝部が形成された摺動レール板と、
前記溝部を通過し、前記検体ラックを押す押し子と、
前記押し子が取り付けられる無端状の駆動ベルトと、
前記駆動ベルトが掛け渡される複数のプーリと、
前記複数のプーリを回転駆動する駆動部と、
前記検体ラックが搬送される軌道の方向が変わる湾曲部の半径方向の外側に配置され、前記検体ラックの搬送をガイドする第1ガイド板と、
前記湾曲部の半径方向の内側に配置され、前記検体ラックの搬送をガイドする第2ガイド板と、
を備え、
前記第2ガイド板は、弾性を有しており、前記検体ラックを前記第1ガイド板に向けて付勢する
検体ラック搬送ユニット。
【請求項2】
前記溝部は、前記湾曲部において前記検体ラックの幅方向の中心よりも前記湾曲部の半径方向の外側に形成され、
前記押し子は、前記湾曲部において前記検体ラックの幅方向の中心よりも前記湾曲部の半径方向の外側を押す
請求項1に記載の検体ラック搬送ユニット。
【請求項3】
前記第1ガイド板における湾曲部は、切り欠きが形成され、
前記押し子が前記検体ラックにおける鉛直方向の下部を押圧する場合、前記切り欠きは、前記第1ガイド板の鉛直方向の下部に形成され、
前記押し子が前記検体ラックにおける鉛直方向の上部を押圧する場合、前記切り欠きは、前記第1ガイド板の鉛直方向の上部に形成される
請求項1又は2に記載の検体ラック搬送ユニット。
【請求項4】
前記摺動レール板、前記第1ガイド板及び前記第2ガイド板が固定されるベース板を備え、
前記第1ガイド板及び前記第2ガイド板の少なくとも一部は、前記摺動レール板の側端部に当接する
請求項1〜3のいずれかに記載の検体ラック搬送ユニット。
【請求項5】
検体容器の内に収容された検体の分析を行う自動分析装置と、
前記検体容器が収容された検体ラックを搬送する検体ラック搬送ユニットと、を備え、
前記検体ラック搬送ユニットは、
前記検体ラックが摺動し、前記検体ラックが搬送される軌道に沿って溝部が形成された摺動レール板と、
前記溝部を通過し、前記検体ラックを押す押し子と、
前記押し子が取り付けられる無端状の駆動ベルトと、
前記駆動ベルトが掛け渡される複数のプーリと、
前記複数のプーリを回転駆動する駆動部と、
前記検体ラックが搬送される軌道の方向が変わる湾曲部の半径方向の外側に配置され、前記検体ラックの搬送をガイドする第1ガイド板と、
前記湾曲部の半径方向の内側に配置され、前記検体ラックの搬送をガイドする第2ガイド板と、
を備え、
前記第2ガイド板は、弾性を有しており、前記検体ラックを前記第1ガイド板に向けて付勢する
自動分析システム。
【請求項6】
検体容器を収容する検体ラックが摺動し、前記検体ラックが搬送される軌道に沿って溝部が形成された摺動レール板と、
前記溝部を通過し、前記検体ラックを押す押し子と、
前記押し子が取り付けられる無端状の駆動ベルトと、
前記駆動ベルトが掛け渡される複数のプーリと、
前記複数のプーリを回転駆動する駆動部と、
前記検体ラックが搬送される軌道の方向が変わる湾曲部の半径方向の外側に配置され、前記検体ラックの搬送をガイドする第1ガイド板と、
前記湾曲部の半径方向の内側に配置され、前記検体ラックの搬送をガイドする第2ガイド板と、
を備え、
前記第1ガイド板における湾曲部は、切り欠きが形成されている
前記押し子が前記検体ラックにおける鉛直方向の下部を押圧する場合、前記切り欠きは、前記第1ガイド板の鉛直方向の下部に形成され、
前記押し子が前記検体ラックにおける鉛直方向の上部を押圧する場合、前記切り欠きは、前記第1ガイド板の鉛直方向の上部に形成される
検体ラック搬送ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検体容器が収容された検体ラックを搬送する検体ラック搬送ユニット及び、この検体ラック搬送ユニットを有する自動分析システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、血液や尿等の生体試料である検体の中にある特定物質を定量的に測定する自動分析装置が知られている。自動分析装置では、検体を収容する検体容器を使用している。このような自動分析装置では、例えば、複数の検体容器が収容された検体収容ユニットと、検体と試薬とを反応させる反応ユニットとを備えている。
【0003】
また、自動分析装置の検体収容ユニットに検体容器を搬送する検体ラック搬送ユニットが知られている。検体ラック搬送ユニットは、複数の検体容器を検体ラックに収容した状態で搬送する。
【0004】
特許文献1に記載された技術では、検体ラックを第1の方向に直進させる第1のラック搬送コンベアと、検体ラックを第1の方向と異なる第2の方向に直進させる第2のラック搬送コンベアと、検体ラックを回転させる円盤とを備えた装置が記載されている。この特許文献1に記載された技術では、検体ラックを第1のラック搬送コンベア、円盤、第2のラック搬送コンベアの順に搬送させることで、検体ラックが搬送される方向を第1の方向から第2の方向へ変換している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−1427号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された技術では、第1のラック搬送コンベア、第2のラック搬送コンベア及び円盤を駆動させるために、3つの駆動部が必要となっていた。そのため、駆動部により部品点数が増加し、コストアップを招いていただけでなく、検体ラックを搬送するための機構が複雑になる、という問題を有していた。
【0007】
本発明の目的は、上記の問題点を考慮し、駆動部の数を削減できる共に、検体ラックを搬送するための機構の簡略化を図ることができる検体ラック搬送ユニット及び自動分析システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決し、本発明の目的を達成するため、本発明の検体ラック搬送ユニットは、摺動レール板と、押し子と、無端状の駆動ベルトと、複数のプーリと、駆動部と、第1ガイド板と、第2ガイド板と、を備えている。摺動レール板は、検体容器を収容する検体ラックが摺動し、検体ラックが搬送される軌道に沿って溝部が形成されている。押し子は、溝部を通過し、検体ラックを押す。駆動ベルトは、押し子が取り付けられる。複数のプーリには、駆動ベルトが掛け渡される。駆動部は、複数のプーリを回転駆動する。第1ガイド板は、検体ラックが搬送される軌道の方向が変わる湾曲部の半径方向の外側に配置され、検体ラックの搬送をガイドする。第2ガイド板は、湾曲部の半径方向の内側に配置され、検体ラックの搬送をガイドする。第2ガイド板は、弾性を有しており、検体ラックを第1ガイド板に向けて付勢する。
【0009】
また、本発明の自動分析システムは、検体容器の内に収容された検体の分析を行う自動分析装置と、検体容器が収容された検体ラックを搬送する上述の検体ラック搬送ユニットと、を備えている。
【発明の効果】
【0010】
本発明の検体ラック搬送ユニット及び自動分析システムによれば、駆動部の数を削減できると共に、検体ラックを搬送するための機構の簡略化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施の形態例にかかる自動分析システムを模式的に示す平面図である。
図2】本発明の実施の形態例にかかる検体ラック搬送ユニットを示す平面図である。
図3】本発明の実施の形態例にかかる検体ラック搬送ユニットの駆動部を示す平面図である。
図4】本発明の実施の形態例にかかる検体ラック搬送ユニットの要部を拡大して示す平面図である。
図5】本発明の実施の形態例にかかる検体ラック搬送ユニットにおける第1ガイド板を示す斜視図である。
図6】本発明の実施の形態例にかかる検体ラック搬送ユニットを示す図4のT−T線断面図である。
図7】本発明の実施の形態例にかかる検体ラック搬送ユニットにおける検体ラックの搬送状態を示す平面図である。
図8】本発明の実施の形態例にかかる検体ラック搬送ユニットにおける検体ラックの搬送状態を示す側面図である。
図9】本発明の実施の形態例にかかる検体ラック搬送ユニットにおける検体ラックの搬送状態の要部を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の検体ラック搬送ユニット及び自動分析システムの実施の形態例について、図1図9を参照して説明する。なお、各図において共通の部材には、同一の符号を付している。また、説明は以下の順序で行うが、本発明は、必ずしも以下の形態に限定されるものではない。
【0013】
[実施の形態例]
1−1.自動分析システムの構成
まず、本発明の実施の形態例(以下、「本例」という。)にかかる自動分析システムについて図1を参照して説明する。
図1は、本例の自動分析システムを模式的に示す説明図である。
【0014】
図1に示す装置は、本発明の自動分析システムの一例として適用する生化学分析システム100である。生化学分析システム100は、血液や尿などの生体試料に含まれる特定の成分の量を自動的に測定する装置である。
【0015】
図1に示すように、生化学分析システム100は、生体試料に含まれる特定の成分の量を自動的に測定する生化学分析装置1と、検体ラックを搬送する検体ラック搬送ユニット30と、を有している。
【0016】
1−2.生化学分析装置の構成
生化学分析装置1は、サンプルターンテーブル2と、希釈ターンテーブル3と、第1試薬ターンテーブル4と、第2試薬ターンテーブル5と、反応ターンテーブル6と、を備えている。また、生化学分析装置1は、サンプル希釈ピペット7と、サンプリングピペット8と、希釈撹拌装置9と、希釈洗浄装置11と、第1試薬ピペット12と、第2試薬ピペット13と、第1反応撹拌装置14と、第2反応撹拌装置15と、多波長光度計16と、反応容器洗浄装置18と、を備えている。
【0017】
本例の検体収容ユニットの一例を示すサンプルターンテーブル2は、軸方向の一端が開口した略円筒状をなす容器状に形成されている。このサンプルターンテーブル2には、複数の検体容器21と、複数の希釈液容器22が収容されている。検体容器21には、血液や尿等からなる検体(サンプル)が収容される。希釈液容器22には、通常の希釈液である生理食塩水以外の特別な希釈液が収容される。
【0018】
複数の検体容器21は、サンプルターンテーブル2の周方向に所定の間隔を開けて並べて配置されている。また、サンプルターンテーブル2の周方向に並べられた検体容器21の列は、サンプルターンテーブル2の半径方向に所定の間隔を開けて2列セットされている。
【0019】
複数の希釈液容器22は、複数の検体容器21の列よりもサンプルターンテーブル2の半径方向の内側に配置されている。複数の希釈液容器22は、複数の検体容器21と同様に、サンプルターンテーブル2の周方向に所定の間隔を開けて並べて配置されている。そして、サンプルターンテーブル2の周方向に並べられた希釈液容器22の列は、サンプルターンテーブル2の半径方向に所定の間隔を開けて2列セットされている。
【0020】
なお、複数の検体容器21及び複数の希釈液容器22の配列は、2列に限定されるものではなく、1列でもよく、あるいはサンプルターンテーブル2の半径方向に3列以上配置してもよい。
【0021】
サンプルターンテーブル2は、不図示の駆動機構によって周方向に沿って回転可能に支持されている。そして、サンプルターンテーブル2は、不図示の駆動機構により、周方向に所定の角度範囲ごとに、所定の速度で回転する。また、サンプルターンテーブル2の周囲には、希釈ターンテーブル3が配置されている。
【0022】
希釈ターンテーブル3、第1試薬ターンテーブル4、第2試薬ターンテーブル5及び反応ターンテーブル6は、サンプルターンテーブル2と同様に、軸方向の一端が開口した略円筒状をなす容器状に形成されている。希釈ターンテーブル3及び反応ターンテーブル6は、不図示の駆動機構により、その周方向に所定の角度範囲ずつ、所定の速度で回転する。なお、反応ターンテーブル6は、一回の移動で半周以上回転するように設定されている。
【0023】
希釈ターンテーブル3には、複数の希釈容器23が希釈ターンテーブル3の周方向に並べて収容されている。希釈容器23には、サンプルターンテーブル2に配置された検体容器21から吸引され、希釈された検体(以下、「希釈検体」という)が収容される。
【0024】
第1試薬ターンテーブル4には、複数の第1試薬容器24が第1試薬ターンテーブル4の周方向に並べて収容されている。また、第2試薬ターンテーブル5には、複数の第2試薬容器25が第2試薬ターンテーブル5の周方向に並べて収容されている。そして、第1試薬容器24には、濃縮された第1試薬が収容され、第2試薬容器25には、濃縮された第2試薬が収容される。
【0025】
さらに、第1試薬ターンテーブル4、第1試薬容器24、第2試薬ターンテーブル5及び第2試薬容器25は、不図示の保冷機構によって所定の温度に保たれている。そのため、第1試薬容器24に収容された第1試薬と、第2試薬容器25に収容された第2試薬は、所定の温度で保冷される。
【0026】
本例の反応ユニットの一例を示す反応ターンテーブル6は、希釈ターンテーブル3と、第1試薬ターンテーブル4及び第2試薬ターンテーブル5の間に配置されている。反応ターンテーブル6には、複数の反応容器26が反応ターンテーブル6の周方向に並べて収容されている。反応容器26には、希釈ターンテーブル3の希釈容器23からサンプリングした希釈検体と、第1試薬ターンテーブル4の第1試薬容器24からサンプリングした第1試薬と、第2試薬ターンテーブル5の第2試薬容器25からサンプリングした第2試薬が注入される。そして、この反応容器26内において、希釈検体と、第1試薬及び第2試薬が撹拌され、反応が行われる。
【0027】
サンプル希釈ピペット7は、サンプルターンテーブル2と希釈ターンテーブル3の周囲に配置される。サンプル希釈ピペット7は、不図示の希釈ピペット駆動機構により、サンプルターンテーブル2及び希釈ターンテーブル3の軸方向(例えば、上下方向)に移動可能に支持されている。また、サンプル希釈ピペット7は、希釈ピペット駆動機構により、サンプルターンテーブル2及び希釈ターンテーブル3の開口と略平行をなす水平方向に沿って回動可能に支持されている。そして、サンプル希釈ピペット7は、水平方向に沿って回動することで、サンプルターンテーブル2と希釈ターンテーブル3の間を往復運動する。なお、サンプル希釈ピペット7がサンプルターンテーブル2と希釈ターンテーブル3の間を移動する際、サンプル希釈ピペット7は、不図示に洗浄装置を通過する。
【0028】
ここで、サンプル希釈ピペット7の動作について説明する。
サンプル希釈ピペット7がサンプルターンテーブル2における開口の上方の所定位置に移動した際、サンプル希釈ピペット7は、サンプルターンテーブル2の軸方向に沿って下降し、その先端に設けたピペットを検体容器21内に挿入する。このとき、サンプル希釈ピペット7は、不図示のサンプル用ポンプが作動して検体容器21内に収容された検体を所定量吸引する。次に、サンプル希釈ピペット7は、サンプルターンテーブル2の軸方向に沿って上昇してピペットを検体容器21内から抜き出す。そして、サンプル希釈ピペット7は、水平方向に沿って回動し、希釈ターンテーブル3における開口の上方の所定位置に移動する。
【0029】
次に、サンプル希釈ピペット7は、希釈ターンテーブル3の軸方向に沿って下降して、ピペットを所定の希釈容器23内に挿入する。そして、サンプル希釈ピペット7は、吸引した検体と、サンプル希釈ピペット7自体から供給される所定量の希釈液(例えば、生理食塩水)を希釈容器23内に吐出する。その結果、希釈容器23内で、検体が所定倍数の濃度に希釈される。その後、サンプル希釈ピペット7は、洗浄装置によって洗浄される。
【0030】
サンプリングピペット8は、希釈ターンテーブル3と反応ターンテーブル6の間に配置されている。サンプリングピペット8は、不図示のサンプリングピペット駆動機構により、サンプル希釈ピペット7と同様に、希釈ターンテーブル3の軸方向(上下方向)と水平方向に移動及び回動可能に支持されている。そして、サンプリングピペット8は、希釈ターンテーブル3と反応ターンテーブル6の間を往復運動する。
【0031】
このサンプリングピペット8は、希釈ターンテーブル3の希釈容器23内にピペットを挿入して、所定量の希釈検体を吸引する。そして、サンプリングピペット8は、吸引した希釈検体を反応ターンテーブル6の反応容器26内に吐出する。
【0032】
第1試薬ピペット12は、反応ターンテーブル6と第1試薬ターンテーブル4の間に配置され、第2試薬ピペット13は、反応ターンテーブル6と第2試薬ターンテーブル5の間に配置されている。第1試薬ピペット12は、不図示の第1試薬ピペット駆動機構により、反応ターンテーブル6の軸方向(上下方向)と水平方向に移動及び回動可能に支持されている。そして、第1試薬ピペット12は、第1試薬ターンテーブル4と反応ターンテーブル6の間を往復運動する。
【0033】
第1試薬ピペット12は、第1試薬ターンテーブル4の第1試薬容器24内にピペットを挿入して、所定量の第1試薬を吸引する。そして、第1試薬ピペット12は、吸引した第1試薬を反応ターンテーブル6の反応容器26内に吐出する。
【0034】
また、第2試薬ピペット13は、不図示の第2試薬ピペット駆動機構により、第1試薬ピペット12と同様に、反応ターンテーブル6の軸方向(上下方向)と水平方向に移動及び回動可能に支持されている。そして、第2試薬ピペット13は、第2試薬ターンテーブル5と反応ターンテーブル6の間を往復運動する。
【0035】
第2試薬ピペット13は、第2試薬ターンテーブル5の第2試薬容器25内にピペットを挿入して、所定量の第2試薬を吸引する。そして、第2試薬ピペット13は、吸引した第2試薬を反応ターンテーブル6の反応容器26内に吐出する。
【0036】
希釈撹拌装置9及び希釈洗浄装置11は、希釈ターンテーブル3の周囲に配置されている。希釈撹拌装置9は、不図示の撹拌子を希釈容器23内に挿入し、検体と希釈液を撹拌する。
【0037】
希釈洗浄装置11は、サンプリングピペット8によって希釈検体が吸引された後の希釈容器23を洗浄する装置である。この希釈洗浄装置11は、複数の希釈容器洗浄ノズルを有している。複数の希釈容器洗浄ノズルは、不図示の廃液ポンプと、不図示の洗剤ポンプに接続されている。希釈洗浄装置11は、希釈容器洗浄ノズルを希釈容器23内に挿入し、廃液ポンプを駆動させて挿入した希釈容器洗浄ノズルによって希釈容器23内に残留する希釈検体を吸い込む。そして、希釈洗浄装置11は、吸い込んだ希釈検体を不図示の廃液タンクに排出する。
【0038】
その後、希釈洗浄装置11は、洗剤ポンプから希釈容器洗浄ノズルに洗剤を供給し、希釈容器洗浄ノズルから希釈容器23内に洗剤を吐出する。この洗剤によって希釈容器23内を洗浄する。その後、希釈洗浄装置11は、洗剤を希釈容器洗浄ノズルによって吸引し、希釈容器23内を乾燥させる。
【0039】
第1反応撹拌装置14、第2反応撹拌装置15及び反応容器洗浄装置18は、反応ターンテーブル6の周囲に配置されている。第1反応撹拌装置14は、不図示の撹拌子を反応容器26内に挿入し、希釈検体と第1試薬を撹拌する。これにより、希釈検体と第1試薬との反応が均一かつ迅速に行われる。なお、第1反応撹拌装置14の構成は、希釈撹拌装置9と同一であるため、ここではその説明は省略する。
【0040】
第2反応撹拌装置15は、不図示の撹拌子を反応容器26内に挿入し、希釈検体と、第1試薬と、第2試薬とを撹拌する。これにより、希釈検体と、第1試薬と、第2試薬との反応が均一かつ迅速に行われる。なお、第2反応撹拌装置15の構成は、希釈撹拌装置9と同一であるため、ここではその説明は省略する。
【0041】
反応容器洗浄装置18は、検査が終了した反応容器26内を洗浄する装置である。この反応容器洗浄装置18は、複数の反応容器洗浄ノズルを有している。複数の反応容器洗浄ノズルは、希釈容器洗浄ノズルと同様に、不図示の廃液ポンプと、不図示の洗剤ポンプに接続されている。なお、反応容器洗浄装置18における洗浄工程は、上述した希釈洗浄装置11と同様であるため、その説明は省略する。
【0042】
また、多波長光度計16は、反応ターンテーブル6の周囲における反応ターンテーブル6の外壁と対向するように配置されている。多波長光度計16は、反応容器26内に注入され、第1薬液及び第2薬液と反応した希釈検体に対して光学的測定を行って、検体中の様々な成分の量を「吸光度」という数値データとして出力し、希釈検体の反応状態を検出するものである。
【0043】
さらに、反応ターンテーブル6の周囲には、不図示の恒温槽が配置されている。この恒温槽は、反応ターンテーブル6に設けられた反応容器26の温度を常時一定に保持するように構成されている。
【0044】
1−3.検体ラック搬送ユニットの構成
次に、検体ラック搬送ユニット(以下、単に「搬送ユニット」という)30の詳細な構成について説明する。
【0045】
図1に示すように、搬送ユニット30は、生化学分析装置1に隣接して配置されている。搬送ユニット30は、サンプルターンテーブル2に検体容器21を供給し、かつ使用済みの検体容器21を回収する。また、検体容器21は、検体ラック90に収容される。検体ラック90は、複数の検体容器21(本例では、5本)が収容可能に構成されている。そして、搬送ユニット30は、検体容器21を収容した検体ラック90を搬送する。
【0046】
なお、水平方向と平行で、かつ搬送ユニット30と生化学分析装置1が隣り合う方向を第1の方向Xとする。また、水平方向と平行で、かつ第1の方向Xと直交する方向を第2の方向Yとする。
【0047】
搬送ユニット30は、複数の供給トレイ31(本例では、3つ)と、複数の回収トレイ32(本例では、3つ)と、供給搬送部33と、回収搬送部34と、容器交換部35と、レーン交換部36とを有している。
【0048】
供給トレイ31は、搬送ユニット30における第1の方向Xの一側に配置されている。回収トレイ32は、供給トレイ31よりも第1の方向Xの他側に配置されている。供給トレイ31には、サンプルターンテーブル2に供給する検体容器21が検体ラック90に収容された状態では、収納されている。そして、供給トレイ31は、検体ラック90を供給搬送部33へ送り出す。
【0049】
供給搬送部33は、第1搬送ベルト41と、回転機構42と、第2搬送ベルト43とを有している。第1搬送ベルト41は、検体ラック90を第1の方向Xに沿って供給トレイ31から回転機構42まで搬送する。回転機構42は、検体ラック90の搬送方向を略90度回転させて、第1搬送ベルト41から第2搬送ベルト43へ検体ラック90を搬送する。第2搬送ベルト43は、検体ラック90を第2の方向Yに沿って搬送する。
【0050】
また、第2搬送ベルト43の中途部には、容器交換部35が設けられている。容器交換部35は、第2搬送ベルト43により搬送された検体ラック90から検体容器21をサンプルターンテーブル2へ送り出す。また、容器交換部35は、サンプルターンテーブル2から使用済みの検体容器21を受け取り、第2搬送ベルト43上に配置された検体ラック90に受け取った検体容器21を収容する。
【0051】
さらに、第2搬送ベルト43における回転機構42と反対側の端部には、レーン交換部36が設けられている。レーン交換部36は、第2搬送ベルト43で搬送された検体ラック90を回収搬送部34へ送り出す。
【0052】
また、供給搬送部33は、検体ラック90を検知する供給側センサ44を有している。供給側センサ44は、第1搬送ベルト41における供給トレイ31の近傍に配置されている。
【0053】
回収搬送部34は、レーン交換部36から受け取った検体ラック90を回収トレイ32まで搬送する。なお、回収搬送部34の詳細な構成は、後述する。そして、回収トレイ32は、回収搬送部34によって搬送された検体ラック90を収納する。
【0054】
次に、図2図6を参照して回収搬送部34の詳細な構成について説明する。
図2は、回収搬送部34を示す平面図である。図3は、後述する駆動機構52を示す平面図、図4は、回収搬送部34の要部を拡大して示す平面図である。
【0055】
図2に示すように、回収搬送部34は、検体ラック90の搬送方向を第2の方向Yから第1の方向Xに略90度変換して検体ラック90を搬送する。回収搬送部34は、ベース板51と、駆動機構52と、摺動レール板53と、複数の直進ガイド板54と、第1ガイド板55と、第2ガイド板56と、回収側センサ57を有している。回収側センサ57は、回収トレイ32の近傍に配置されており、搬送された検体ラック90を検知する。
【0056】
ベース板51は、平板状に形成されている。また、ベース板51には、検体ラック90の搬送方向に沿って開口部51aが形成されている(図6参照)。ベース板51の一面には、摺動レール板53、複数の直進ガイド板54、第1ガイド板55及び第2ガイド板56が固定ねじ81を介して固定されている。また、ベース板51の一面と反対側の他面には、駆動機構52が配置されている。
【0057】
摺動レール板53は、平板状に形成されている。そして、摺動レール板53上には、検体ラック90が摺動する。摺動レール板53は、第2の方向Yに沿って延びる第1直進部53aと、第1直進部53aに連続し、検体ラック90の移動方向が第2の方向Yから第1の方向Xに変化する湾曲部53bと、湾曲部53bに連続して第1の方向Xに延びる第2直進部53cとを有している。
【0058】
また、摺動レール板53には、検体ラック90の搬送される軌道(以下、「搬送軌道」という。)に沿って溝部71が形成されている。溝部71は、第1直進部53aでは、第2の方向Yに沿って直線状に形成されており、湾曲部53bでは、所定の半径で湾曲している。また、溝部71は、第2直進部53cでは、第1の方向Xに沿って直線状に形成されている。
【0059】
図4に示すように、第1直進部53a及び湾曲部53bに形成された溝部71は、摺動レール板53上を摺動する検体ラック90の幅方向の中心線P1よりも、搬送軌道の半径方向の外側に配置されている。そして、この溝部71には、後述する駆動機構52の押し子66が通過する。
【0060】
なお、溝部71が形成される箇所は、上述したもの限定されるものではなく、検体ラック90の搬送軌道に沿って適宜設定されるものである。
【0061】
摺動レール板53における第1直進部53aには、複数の直進ガイド板54が配置されている。複数の直進ガイド板54は、摺動レール板53の第1の方向Xの両側に配置されている。しかしながら、摺動レール板53の第1直進部53aにおける第2の方向Yの一側、すなわち湾曲部53bの反対側における第1の方向Xの他側には、直進ガイド板54が配置されていない。そして、この直進ガイド板54が配置されていない箇所が、レーン交換部36(図1参照)から検体ラック90を受け取る受取口59となっている。
【0062】
図3は、駆動機構52を示す平面図である。
図3に示すように、駆動機構52は、駆動部61と、駆動プーリ62と、第1従動プーリ63と、第2従動プーリ64と、駆動ベルト65と、押し子66とを有している。この駆動機構52は、平板状の駆動ベース部60に配置される。
【0063】
駆動部61及び駆動プーリ62は、第1の方向Xの一側で、かつ第2の方向Yの他側に配置される。本例では、駆動部61としては、例えばステッピングモータを用いている。駆動プーリ62は、駆動部61の不図示の駆動軸に連結されている。駆動プーリ62の回転軸は、第1の方向X及び第2の方向Yで形成される平面、すなわち水平方向に対して略垂直に設けられている。そして、駆動プーリ62は、駆動部61が駆動すると、回転する。
【0064】
第1従動プーリ63は、第1の方向Xの他側で、かつ第2の方向Yの一側に配置されている。すなわち、第1従動プーリ63は、回収搬送部34の受取口59(図2参照)の近傍に配置されている。第2従動プーリ64は、第1の方向Xの他側で、かつ第2の方向Yの他側に配置されている。すなわち、第2従動プーリ64は、摺動レール板53の湾曲部53b(図2参照)の近傍に配置されている。第1従動プーリ63及び第2従動プーリ64は、駆動ベース部60に回転可能に支持されている。
【0065】
駆動ベルト65は、無端状に形成されている。駆動ベルト65は、駆動プーリ62、第1従動プーリ63及び第2従動プーリ64に掛け渡されている。駆動ベルト65における第1従動プーリ63から第2従動プーリ64を通過し、駆動プーリ62に至るまでの部分は、摺動レール板53における溝部71の下方に配置される。
【0066】
また、駆動ベルト65には、押し子66が固定されている。図6に示すように、押し子66は、ベース板51の開口部51a及び摺動レール板53の溝部71を貫通している。
【0067】
駆動部61が駆動すると、駆動プーリ62、第1従動プーリ63及び第2従動プーリ64が回転する。そして、駆動プーリ62、第1従動プーリ63及び第2従動プーリ64の間で駆動ベルト65が移動する。これにより、駆動ベルト65に固定された押し子66が、駆動ベルト65と共に、摺動レール板53に溝部71に沿って第1従動プーリから、第2従動プーリ64を通過して駆動プーリ62まで移動する。そして、押し子66は、摺動レール板53上に載置された検体ラック90を押す。これにより、検体ラック90は、摺動レール板53上を摺動し、押し子66により所定の位置まで搬送される。
【0068】
なお、本例では、従動プーリの数を2つとしたが、これに限定されるものではなく、検体ラック90の搬送軌道に応じて従動プーリを3つ以上設けてもよい。
【0069】
次に、第1ガイド板55及び第2ガイド板56について説明する。
図4に示すように、第1ガイド板55及び第2ガイド板56は、検体ラック90の搬送軌道における搬送方向が変化する湾曲部に配置される。すなわち、第1ガイド板55及び第2ガイド板56は、摺動レール板53の湾曲部53bに配置されている。
【0070】
第1ガイド板55は、搬送軌道の半径方向の外側に配置され、第2ガイド板56は、搬送軌道の半径方向の内側に配置される。また、第1ガイド板55は、検体ラック90の幅方向の長さの半分の距離だけ、中心線P1よりも外側に配置される。第1ガイド板55及び第2ガイド板56には、摺動レール板53上を摺動する検体ラック90が当接する。そして、第1ガイド板55及び第2ガイド板56は、検体ラック90の搬送をガイドする。
【0071】
図5は、第1ガイド板55を示す斜視図である。
図5に示すように、第1ガイド板55は、一部が湾曲した平板状の部材である。第1ガイド板55は、第1平面55aと、第1平面55aに連続する湾曲面55bと、湾曲面55bに連続する第2平面55cとを有している。第1平面55aが搬送軌道の上流側に配置され、第2平面55cが搬送軌道の下流側に配置される。第1平面55a、湾曲面55b及び第2平面55cは、第1ガイド板55をベース板51に固定した際、鉛直方向の上方に向けて立設する。
【0072】
図4及び図5に示すように、第1平面55aの搬送軌道の上流側には、ガイド片73が設けられている。ガイド片73は、第1平面55aから搬送軌道の外側に向けて屈曲している。
【0073】
また、図5に示すように、湾曲面55bの鉛直方向の下部には、切り欠き74が形成されている。さらに、第2平面55cの鉛直方向の下部には、傾斜片75が設けられている。傾斜片75は、第2平面55cから搬送軌道の外側に向けて傾斜している。また、傾斜片75における搬送軌道の上流側の端部には、呼び込み片76が設けられている。
【0074】
図4に示すように、第1ガイド板55には、第1平面55a及び第2平面55cの鉛直方向の下端の一部から略垂直に屈曲する固定片55dを有している。そして、固定片55dは、ベース板51に固定ねじ81を介して締結固定される。
【0075】
第1ガイド板55の材料としては、検体ラック90と接触するため、耐摩耗性に優れ、剛性の高い材料が好ましい。
【0076】
第2ガイド板56は、一部が湾曲した平板状の部材である。第2ガイド板56における搬送軌道の上流側には、第1ガイド板55と同様にガイド片78が設けられている。そして、押し子66によって搬送された検体ラック90は、第1ガイド板55のガイド片73と第2ガイド板56のガイド片78によって、第1ガイド板55と第2ガイド板56の間にガイドされる。
【0077】
また、第2ガイド板56は、弾性を有する部材で形成されている。第2ガイド板56は、例えば、板ばねから構成される。第2ガイド板56の弾性力は、駆動機構52における押し子66が検体ラック90を押圧する力よりも小さく設定されている。
【0078】
第2ガイド板56の搬送軌道の上流側には、ベース板51に締結固定する固定片56dが設けられている。第2ガイド板56における搬送軌道の上流側の端部が、ベース板51に固定される。これに対し、第2ガイド板56における搬送軌道の下流側の端部は、抜け止めピン82に当接しているのみである。そのため、第2ガイド板56における搬送軌道の下流側の端部は、水平方向に所定の間隔で移動可能となっており、弾性力により第1ガイド板55に向けて付勢されている。
【0079】
また、第1ガイド板55及び第2ガイド板56における搬送軌道の下流側の間隔は、搬送軌道の上流側の間隔よりも狭く設定されている。なお、第1ガイド板55及び第2ガイド板56における搬送軌道の上流側の間隔は、検体ラック90の幅方向の長さと略等しいか、あるいは若干広く設定される。
【0080】
図6は、図4に示すT−T線断面図である。
図6に示すように、第1ガイド板55及び第2ガイド板56は、ベース板51に取り付けられる際、それぞれの固定片55d,56dが摺動レール板53の側端部に当接する。また、複数の直進ガイド板54も同様に、ベース板51に取り付けられる際、摺動レール板53の側端部に当接する。これにより、第1ガイド板55、第2ガイド板56及び複数の直進ガイド板54におけるベース板51に対する位置合わせを容易に行うことができる。
【0081】
2.検体ラック搬送ユニットにおける回収搬送部の動作
次に、図2図4及び図7図9を参照して上述した構成を有する回収搬送部の動作について説明する。
図7は、検体ラック90の搬送状態の要部を拡大して示す平面図、図8は、検体ラック90の搬送状態を示す側面図、図9は、検体ラック90の搬送状態の要部を拡大して示す側面図である。
【0082】
図2に示すように、受取口59から検体ラック90が摺動レール板53上に搬送されると、回収搬送部34は、駆動機構52を駆動させる。このとき、押し子66は、検体ラック90の搬送軌道よりも上流側に配置される。駆動機構52の駆動部61が駆動すると、駆動ベルト65が回転し、駆動ベルト65に固定された押し子66が摺動レール板53の溝部71に沿って移動する。これにより、検体ラック90は、押し子66に押圧されて、摺動レール板53の第1直進部53a上を第2の方向Yに沿って摺動する。
【0083】
図4に示すように、検体ラック90は、第1ガイド板55のガイド片73及び第2ガイド板56のガイド片78にガイドされて、第1ガイド板55及び第2ガイド板56の間に挿入される。さらに、駆動ベルト65を回転させると、検体ラック90は、押し子66に押圧されて、摺動レール板53の湾曲部53bまで搬送される。
【0084】
図7に示すように、検体ラック90における搬送方向の前方でかつ搬送軌道の湾曲部の半径方向の外側の角部が第1ガイド板55の湾曲面55bに当接する。図4に示すように、溝部71は、摺動レール板53上を摺動する検体ラック90の幅方向の中心線P1よりも、搬送軌道の半径方向の外側に配置されている。そして、押し子66は、検体ラック90における中心線P1よりも、搬送軌道の半径方向の外側を押圧する。すなわち、押し子66は、検体ラック90が回転する際の死点をずらして検体ラック90を押圧する。これにより、検体ラック90が、押し子66と第1ガイド板55の間に挟み込まれることを防ぐことができ、検体ラック90の搬送方向をスムーズに変えることができる。
【0085】
また、図8に示すように、押し子66は、検体ラック90における鉛直方向の下部を押圧している。さらに、検体ラック90は、第1ガイド板55の湾曲面55b(図7参照)と擦れる。そのため、検体ラック90が移動する際に生じる摩擦力のモーメントの向きが、鉛直方向の上方を向く。したがって、図9に示すように、検体ラック90が浮き上がるおそれがある。そして、検体ラック90が浮き上がることで、検体ラック90の鉛直方向の下側の角部は、第1ガイド板55の湾曲面55bよりも搬送軌道の外側へ移動する。その結果、検体ラック90の角部が、第1ガイド板55に引っ掛かるおそれがある。
【0086】
これに対し、本例では、第1ガイド板55の湾曲面55bに切り欠き74を形成し、さらに湾曲面55bよりも下流側に配置される第2平面55cに呼び込み片76及び傾斜片75(図5参照)を設けている。これにより、検体ラック90が湾曲部で浮き上がっても、その角部が第1ガイド板55に引っ掛かることを防ぐことができる。その結果、検体ラック90をスムーズに搬送することができる。
【0087】
図7に示す状態からさらに検体ラック90を押圧すると、図4に示す検体ラック90Bのように、検体ラック90は、第1ガイド板55から離れ、半径方向の内側に配置された第2ガイド板56に接触する。そして、押し子66は、溝部71に沿って移動し、検体ラック90を押圧する。これにより、検体ラック90が回転し、検体ラック90Cのように、検体ラック90の搬送方向が第2の方向Yから第1の方向Xに変化する。
【0088】
また、第2ガイド板56は、検体ラック90を第1ガイド板55側に向けて付勢する。これにより、検体ラック90は、図4に示す第1の方向Xを向いた状態になる。このように、第2ガイド板56で検体ラック90を第1ガイド板55側へ付勢することで、湾曲部を通過した検体ラック90を常に同じ位置に向けて搬送することができる。
【0089】
なお、第2ガイド板56の弾性力は、駆動機構52における押し子66が検体ラック90を押圧する力よりも小さく設定されているため、検体ラック90が第2ガイド板56と第1ガイド板55の間に挟まることを防ぐことができる。
【0090】
また、押し子66によって検体ラック90をさらに押すことで、検体ラック90が第1の方向Xに沿って搬送される。そして、回収側センサ57(図2参照)が検体ラック90を検知することで、所定の位置まで検体ラック90を搬送することができる。搬送が終了すると、駆動機構52は、駆動部61を搬送時とは反対方向に駆動させる。そして、駆動プーリ62、第1従動プーリ63、第2従動プーリ64及び駆動ベルト65が搬送時と反対方向に回転する。これにより、駆動ベルト65に固定された押し子66は、溝部71に沿って図2に示す受取口59の近傍まで戻る。その結果、回収搬送部34の動作が完了する。
【0091】
本例の回収搬送部34によれば、検体ラック90を第2の方向Yに沿った直進移動と、第2の方向Yから第1の方向Xへの回転移動と、さらに第1の方向Xに沿った直進移動の3つの動作を一つの駆動部61で行うことができる。これにより、駆動部の数を削減することができ、コストダウンを図ることができる。さらに、検体ラック90を搬送する機構を簡略化することができる。
【0092】
また、第2ガイド板56で湾曲部を通過した検体ラック90を第1ガイド板55側へ付勢することで、湾曲部を通過した検体ラック90を常に同じ位置に配置することができる。その結果、検体ラック90の位置が変化することによる動作不良を防ぐことができ、安定して検体ラック90を搬送することができる。
【0093】
ここで、従来の技術では、検体ラック90を直進させる2つのコンベアと、搬送方向を変換する円盤とを有しているため、2つのコンベアと円盤における鉛直方向の高さを合わせる必要があった。しかしながら、2つのコンベアと円盤の高さ方向のズレを解消することは困難であり、コンベアと円盤との間には、微少な段差が生じていた。その結果、この微少な段差に検体ラック90が引っ掛かったり、検体ラック90に収容されている検体容器から検体がこぼれたり、するおそれがあった。
【0094】
これに対し、本例では、検体ラック90は、直進も、回転時も常に一つの摺動レール板53上を摺動している。その結果、高さ方向の位置合わせをする手間を省くことができると共に、検体ラック90が移動する際の段差を解消することができ、安定して検体ラック90を搬送することができる。
【0095】
なお、本発明は上述しかつ図面に示した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、上述した実施の形態例では、本発明の構成を回収側搬送部に適用した例を説明したが、これに限定されるものではなく、供給側搬送部に適用してもよい。
【0096】
なお、上述した実施の形態例では、押し子が検体ラックの下部を押圧する例を説明したが、これに限定されるものではなく、押し子は、検体ラックの鉛直方向の上部を押圧するようにしてもよい。この場合、第1ガイド板に形成される切り欠き及び傾斜部は、鉛直方向の上部に設けることが好ましい。
【0097】
また、検体ラックの搬送方向を第2の方向Yから第1の方向Xへ略90度変換させる例を説明したが、検体ラックの搬送方向を変換させる角度は、これに限定されるものではない。検体ラックの搬送方向を変換させる角度は、装置に応じて種々に設定されるものであり、検体ラックの搬送方向を90度以上、または90度未満の角度で変換してもよい。
【0098】
また、自動分析装置として、血液や尿の生体試料の分析に用いられる生化学分析装置に適用した例を説明したが、これに限定されるものでなく、水質や、食品等のその他各種の分析を行う装置に適用することができるものである。
【符号の説明】
【0099】
1…生化学分析装置(自動分析装置)、 30…検体ラック搬送ユニット、 31…供給トレイ、 32…回収トレイ、 33…供給搬送部、 34…回収搬送部、 35…容器交換部、 36…レーン交換部、 51…ベース板、 51a…開口部、 52…駆動機構、 53…摺動レール板、 53a…第1直進部、 53b…湾曲部、 53c…第2直進部、 54…直進ガイド板、 55…第1ガイド板、 55a…第1平面、 55b…湾曲面、 55c…第2平面、 55d…固定片、 56…第2ガイド板、 56d…固定片、 57…回収側センサ、 59…受取口、 60…駆動ベース部、 61…駆動部、 62…駆動プーリ、 63…第1従動プーリ、 64…第2従動プーリ、 65…駆動ベルト、 66…押し子、 71…溝部、 73,78…ガイド片、 75…傾斜片、 76…呼び込み片、 90…検体ラック、 100…生化学分析システム(自動分析システム)、 P1…中心線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9