(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に開示されている遊技機では、識別情報の読み出し処理とメダルの選別処理とが同一の場所で行われる。このため、一度ICメダルがメダルの選別部にセットされると、識別情報の読み出し、メダルの判別、振り分け装置のゲートの作動、当該ゲートの復帰という行程を経なければ、次のICメダルをセットできず、メダル投入口からメダルが連続投入された際の処理が滞ることとなっていた。
また、特許文献2に開示されている遊技機に搭載されるメダル選別装置では、メダル通路中、手前側のアンテナ部で識別情報を読み出し、奥側の通路切替機構でメダルの選別処理を実行している。そして、メダル通路にはアンテナ部の手前にメダル減速部を設け、メダルの移送速度を落とした上でアンテナ部を通過する構造となっているが、メダル投入口からメダルが連続投入されるとメダルの減速がうまくいかず、アンテナ部における通信時間及びメダルの判別処理時間を確保できないおそれのある構造であった。
【0006】
そこで、本発明では、メダルの持ち込みによる不正行為を防止することができるとともに、ICメダルとの通信及び選別を確実に行うことができ、かつ、メダルを連続投入しても処理が滞ることのないメダル選別装置と、当該メダル選別装置に用いるICメダルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項に記載された発明は、上記した各目的を達成するためになされたものであり、各発明の特徴点を図面に示した発明の実施の形態を用いて、以下に説明する。
なお、符号は、発明の実施の形態において用いた符号を示し、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
(請求項1)
請求項1記載の発明は、メダルを1枚ずつ投入可能に形成されたメダル投入口15から投入された前記メダルを一時的に貯留する貯留部32と、
貯留部32の上端に設けられ、メダル投入口15から投入された前記メダルが通過し、貯留部32の前記上端よりも狭い開口であるメダル通過口32aと、メダル通過口32aに設けられ、前記メダルの
通過を検出することによりメダル検出信号を出力するための検知装置36と、貯留部32に貯留されている前記メダルを1枚ずつ収納可能なメダル収納部34を有し、メダル収納部34に収納された
前記メダルを貯留部32から所定位置へ送り、かつ、当該所定位置まで送られた
前記メダルをメダル収納部34の裏面側から排出するための回転ディスク33と、貯留部32においてメダル収納部34に収納された前記メダルが前記所定位置まで移動する経路の途中に設けられた通信部50と、通信部50付近に設けられ、かつ、前記メダルに遊技に関連する情報が記憶されている場合に少なくとも当該情報の読み出しを行うための通信装置43と、回転ディスク33を回転駆動させるためのモーター35aと、前記所定位置における回転ディスク33の裏面側に始端が位置し、かつ、前記所定位置においてメダル収納部34の裏面側から排出された前記メダルのみを一定方向へ誘導するためのメダル通路38と、メダル通路38の途中に設けられ、常時、メダル通路から所定の規格に適合しない
前記メダルを排除するとともに、所定条件時にはメダル通路38から所定の規格に適合する
前記メダルも排除するための選別排除装置39と、モーター35aの駆動を制御するためのモーター駆動制御手段220と、を備え、貯留部32は、メダル投入口15の下方に位置するように設けられ、回転ディスク33は、メダル投入口15から落下する
前記メダルの円形面に対して傾斜させた状態で、かつ、回転ディスク33の上端が、メダル投入口15よりも下方に位置するように
設置され、メダル通路38は、回転ディスク33と平行で、かつ、前記所定位置側から側方へ向けて下り傾斜となるように設けられ、モーター駆動制御手段220は、検知装置36から出力されたメダル検出信号の入力を契機として、モーター35aの駆動を開始させるように制御し、通信装置43は、遊技に関連する情報が記憶されている
前記メダルが通信部50を通過する際、
前記メダルと通信を行うことを特徴とするメダル選別装置30である。
【0008】
ここで、本発明に係るメダル選別装置30は、遊技に関連する情報が記憶されているメダル(例えば、ICメダル70)を用いて遊技が行われる遊技機(例えば、スロットマシン10)やゲーム機等に使用することができるものである。そして、遊技に関連する情報が記憶されているメダルから情報を読み出すべく、当該メダルとの間で通信が可能に形成されている。また、このメダル選別装置30は、通信機能を無効にすることにより、従来どおり遊技機やゲーム機等において、メダルのカウントや遊技等のために使用することができる。
本発明を搭載する遊技機に使用するメダルは、適正メダルMTである。「適正メダルMT」は、所定の規格に適合したメダルである。換言すれば、適正メダルMTは、予め定められた所定寸法の直径、及び、所定寸法の厚さを有するメダルである。また、スロットマシンでは、機種ごとに、使用する適正メダルMTを設定することができる。例えば、直径25mmのメダル、又は、直径30mmのメダル等を、適正メダルMTとして使用することができる。さらに、この適正メダルMTは、「ICメダル70」と「通常メダル77」とに分類できる。ICメダル70は、適正メダルMTのうち、内部に記憶媒体を有するICチップ73を内蔵しているメダルである。通常メダル77は、適正メダルMTのうち、ICチップ73を内蔵していない、すなわち従来どおりのメダルである。
【0009】
一方、本発明を搭載する遊技機に使用できないメダルとして、「大径メダルML」と「小径メダルMS」とがある。
「大径メダルML」は、適正メダルMTよりも径が大きいメダルである。例えば、直径25mmのメダルが適正メダルMTとして設定されているスロットマシンでは、直径が25mmよりも大きいメダル(直径30mmを含む)を大径メダルMLとする。具体的には、直径25.5mm以上のメダルが、この場合の大径メダルMLに該当する。
また、「小径メダルMS」は、適正メダルMTよりも径が小さいメダルである。例えば、直径30mmのメダルが適正メダルMTとして設定されているスロットマシンでは、直径が30mmよりも小さいメダル(直径25mmを含む)を小径メダルMSとする。具体的には、直径29.5mm以下のメダルが、この場合の小径メダルMSに該当する。
【0010】
「メダル投入口15」は、遊技に使用する適正メダルMT(ICメダル70と通常メダル77)を1枚ずつ投入可能に形成したものである。このメダル投入口15は、適正メダルMT及び小径メダルMSの投入を許容するものの、大径メダルMLの投入を阻止するように形成されたものである。すなわち、メダル投入口15には、適正メダルMT及び小径メダルMSを投入することはできるものの、大径メダルMLを投入することはできない。具体的には、メダル投入口15には、適正メダルMTがぎりぎり通過できるような寸法の開口部15aを形成することができる。より具体的には、メダル投入口15には、例えば、幅が適正メダルMTの直径よりも僅かに大きい寸法となり、かつ、奥行きが適正メダルMTの厚さよりも僅かに大きい寸法となる開口部15aを形成することができる。これにより、適正メダルMT、及び、適正メダルMTよりも径が小さい小径メダルMSは、前記開口部15aから投入することができる。すなわち、メダル投入口15は適正メダルMT及び小径メダルMSの投入を許容することとなる。一方、大径メダルMLは、前記開口部15aから投入することができない。すなわち、メダル投入口15は大径メダルMLの投入を阻止することとなる。
【0011】
「貯留部32」は、メダル投入口15に投入されたメダルを一時的に貯留するものであり、メダル投入口15の下方に形成することができる。貯留部32は、例えば、回転ディスク33の前面を覆うドーム形状の本体部分(貯留部本体32b)と、貯留部本体32bの上端部に設けられた開口としてのメダル通過口32aと、から形成することができる。
「検知装置36」は、貯留部32にメダルが投入された、又は投入され貯留されていることを検出することによりメダル検出信号を出力するためのものである。
この検知装置36は、メダルの投入を検知する場合には、貯留部32の上部の開口(例えば、メダル通過口32a)にメダルが通過したことを検出するセンサーを設置することができる。例えば、発光する発光部、及び、発光部から発光される光を受光する受光部を備え、受光部が発光部から発光される光を受光するか受光しないかを感知することで、メダルの通過を検出するフォトセンサー、磁気変動を感知することによりメダルの通過を検知する磁気センサー、メダルが接触することを感知することによりメダルの通過を検知する接触センサー、その他の周知のセンサーを用いることができる。
【0012】
また、メダルの貯留を検知する場合には、貯留部32の内部にメダルが貯留されていることを検出するセンサーを設置することができる。例えば、メダルが近づくことにより生じる磁気変動や電流変化を感知することで、メダルが貯留されていることを検知する近接センサー等を用いることができる。
検知装置36によるメダルの検知信号が「メダル検出信号」に該当する。
「回転ディスク33」は、貯留部32に貯留されているメダルを1枚ずつ収納可能なメダル収納部34を有し、メダル収納部34に収納されたメダルを貯留部32から所定位置へ送るためのものである。
【0013】
「モーター35a」は、回転ディスク33を回転駆動させるためのものである。すなわち、回転ディスク33はモーター35aにより回転駆動させられる。
これより、回転ディスク33は、貯留部32に貯留されているメダルを1枚ずつメダル収納部34に収納し、当該回転ディスク33が回転することにより、メダル収納部34に収納されたメダルを貯留部32から所定位置へ送る。
「メダル収納部34」は、貯留部32に貯留されているメダルを1枚ずつ収納可能な部分である。このメダル収納部34は、例えば、円形孔や長円形孔として形成することができる。
【0014】
また、「メダルを1枚ずつ収納可能」とは、1つのメダル収納部34にメダル1枚のみ収納できる、すなわち、1つのメダル収納部34にメダルを2枚以上収納することができないことを意味する。例えば、1つのメダル収納部34に既にメダルが1枚収納されているならば、そのメダル収納部34に、さらにメダルを収納することはできない。
「所定位置」は、メダル収納部34に収納されたメダルが回転ディスク33の回転により送られる位置である。すなわち、所定位置は、メダル収納部34にメダルが収納された位置とは異なる位置となる。例えば、貯留部32の下部においてメダルがメダル収納部34に収納される場合には、貯留部32の上部における、メダル収納部34が移動する移動経路上の所定箇所を「所定位置」とすることができる。
【0015】
「通信部50」は、メダル収納部34に収納されたメダルが所定位置に向かう途中に設けられた部位である。すなわち、通信部50は、メダル収納部34にメダルが収納された位置及び所定位置とは異なる位置となる。
「メダルに遊技に関連する情報が記憶されている場合」とは、前述のとおり遊技機に使用するメダルとして、ICメダル70を採用し、当該メダルの記憶領域に、店舗に係る情報やメダルの貸出レートに係る情報、メダルの貸出期限に係る情報などが記憶されている場合をいう。このICメダル70には、RFID(Radio Frequency Identification)などのICチップを使用することができる。
【0016】
「通信装置43」は、遊技に関連する情報が記憶されているメダル(例えば、ICメダル70)との間で、情報のやり取りを行うためのものである。前述のとおり、ICメダルにRFID(Radio Frequency Identification)を使用する場合、RFIDリーダ/ライタを使用することができる。
この通信装置43は、通信部50に回転ディスク33の回転やメダル収納部34に収納されたメダルの移送を妨げないように設置される。例えば、前述のRFIDリーダ/ライタを使用する場合は、アンテナ部分が回転ディスク33の回転やメダル収納部34に収納されたメダルの移送を妨げないように設置する。
【0017】
なお、通信装置43は少なくともメダルからの情報を読み出すことが可能に形成されているが、さらにメダルに対して情報を書き込むことを可能に形成してもよい。
「メダル通路38」は、回転ディスク33により前記所定位置まで送られたメダルを一定方向へ誘導するためのものである。そして、メダル通路38の所定位置側が、上流側であり、また、メダル通路38の所定位置と反対側が、下流である。そして、メダル通路38は、回転ディスク33により所定位置まで送られたメダルを、上流側から下流側へ向けて、一定方向へ誘導するように形成されている。また、メダル通路38は、回転ディスク33と傾きが等しい。すなわち平行に形成されている。さらに、メダル通路38は、所定位置側から側方へ向けて下り傾斜となるように形成されている。
【0018】
「選別排除装置39」は、メダル通路38の途中に設けられ、常時、メダル通路38から所定の規格に適合しないメダル(小径メダルMS)を排除するとともに、所定条件時にはメダル通路38から所定の規格に適合するメダル(適正メダルMT)も排除するためのものである。
ここで、回転ディスク33により前記所定位置までは、メダル投入口15から投入された総てのメダルが移送される。
したがって、常時は、所定の規格に適合しないメダル(大径メダルMLはメダル投入口15から投入できないため、小径メダルMSとなる)はメダル通路38から排除されるものの、所定の規格に適合するメダル(適正メダルMT)はメダル通路38から排除されない。これに対して、所定条件時は、所定の規格に適合するメダル(適正メダルMT)であってもメダル通路38から排除される。
【0019】
すなわち、選別排除装置39は、常時は、メダル通路38が誘導するメダルを小径メダルMS又は適正メダルMTに選別し、小径メダルMSをメダル通路38から排除するが、適正メダルMTはメダル通路38から排除しないように形成されている。さらに、選別排除装置39は、所定条件時には、小径メダルMSに加えて、適正メダルMTもメダル通路38から排除するように形成されている。
本発明では、メダル選別装置30の通信機能の有効無効に係らず、適正メダルMTを投入不可と設定されているときが、所定条件時に該当するものとなっている。また、メダル選別装置30の通信機能を有効にしている場合であって、遊技に使用できないと判定されたメダルを投入したときも、所定条件時に該当するものとなっている。
【0020】
ここで、「適正メダルMTを投入不可と設定されているとき」としては、例えば、メダルのクレジット機能を有する遊技機において投入されたメダルがクレジット最大枚数(具体的には、50枚)に達したとき、遊技機における遊技が開始されたとき、遊技機における遊技が行われているとき、抽選により予め定められた当選役のいずれかに当選したか又はハズレたかを決定するような遊技機において所定の当たりとなったとき、などが挙げられる。そして、これらのときには、選別排除装置39は、総てのメダルをメダル通路38から排除する。すなわち、メダル投入口15にメダルを投入しても受け付けられない状態となっている。
【0021】
また、「遊技に使用できないと判定されたメダルを投入したとき」には、例えば、他店舗で貸し出されたICメダル70を投入したとき、貸出レートが異なる遊技機用のICメダル70を投入したとき、メダルの貸出期限が過ぎているICメダル70を投入したとき、遊技に関連する情報が記憶されていない通常メダル77を投入したとき、金属の外郭部71を有しない樹脂製のICメダル70(例えば、偽造ICメダル)を投入したときなどが挙げられる。そして、これらのときには、選別排除装置39は、遊技に使用できないメダルをメダル通路38から排除する。
【0022】
「モーター駆動制御手段220」は、モーター35aの駆動を制御するためのものである。換言すれば、モーター駆動制御手段220は、モーター35aの駆動を開始し、又は、モーター35aの駆動を終了するように制御するためのものである。
例えば、モーター駆動制御手段220は、遊技機の稼動中は常に、モーター35aを駆動するように制御することができる。また、モーター駆動制御手段220は、貯留部32にメダルが投入又は貯留されたことを契機として、モーター35aの駆動を開始し、貯留部32にメダルが投入又は貯留されてから所定時間が経過したことを契機として、モーター35aの駆動を終了するように制御することもできる。
【0023】
また、モーター35aの駆動は、CPUにより制御することもできるし、回路を組み合わせることにより制御することもできる。なお、CPUによる制御は、メダル選別装置30独自のCPU(例えば、選別装置制御部200)により行ってもよいし、メダル選別装置30を備えた遊技機が有するCPU(例えば、制御装置100)を共用して行ってもよい。
(作用・効果)
本発明によれば、メダル投入口15に投入されたメダルは、貯留部32に一時的に貯留される。そして、モーター35aが回転ディスク33を駆動させると、貯留部32に貯留されているメダルは、回転ディスク33のメダル収納部34に1枚ずつ収納され、この回転ディスク33の回転により、所定位置まで送られる。ここで、メダル選別装置30の通信機能を有効にしている場合、貯留部32から所定位置まで移送されているICメダル70が通信部50に達すると、通信装置43は当該ICメダル70と通信を行い、ICメダル70から遊技に関連する情報が読み出される。また、遊技機(メダル情報判定手段230)では、読み出された情報を基に当該ICメダル70が遊技に使用できるか否かが判定される。そして、回転ディスク33により所定位置まで送られたメダルは、メダル通路38により、上流側から下流側に向けて誘導される。そして、メダル通路38により誘導されるメダルのうち遊技に使用できないと判定されたメダルは、選別排除装置39によりメダル通路38から排除される。
【0024】
上述のように、本発明では、貯留部32から所定位置までの途中に通信部50を設けている。メダルが移送される際、メダル収納部34には1枚ずつメダルが収納されるため、通信部50に達するメダルは1枚ずつとなる。したがって、遊技に関連する情報が記憶されているICメダル70との通信を1枚ずつ確実に行うことができる。
また、ICメダル70は、通信部50にて通信装置43との通信を行った後、所定位置への移送を経て、選別排除装置39に到達する。このため、ICメダル70が遊技に使用できるか否かの判定を行う時間を確実に確保することができるとともに、遊技に使用できないと判定されたメダルを確実に排除することができる。
【0025】
さらに、ICメダル70を連続投入しても、回転ディスク33により、ICメダル70は1枚ずつ一定間隔で移送されるため、メダル通信部50における通信及び選別排除装置39における選別を、正確に、かつ、安定して行うことができる。すなわち、ICメダル70を連続投入しても、処理が滞ることはない。
また、本発明では、ICメダル70を使用可能とすることにより、メダルの直径、厚みを測定する形状識別では不可能な、他店舗のメダルや貸出レートが異なるメダルなどの判別を行うことができるため、景品交換率の低い店のメダルが交換率の高い店に持ち込まれるという不正行為や、貸出レートの低いコーナー又は店舗で貸し出されたメダルを貸出レートが高いメダルとして精算する不正行為などを確実に防止することができる。
【0026】
(請求項2)
請求項2記載の発明は、上記請求項1記載の発明の特徴に加え、モーター駆動制御手段220は、前記メダルが通信部50に到達したことを契機として、モーター35aの駆動を一時停止又は減速させるように制御し、所定条件を満たすことを契機として、モーター35aの駆動を再開又は通常速度に戻すように制御することを特徴とする。
「メダルが通信部50に到達したこと」としては、通信部50に設けられたセンサー(例えば、近接センサー42)がICメダル70が通信部50に到達したことを示す信号を出力したことや、通信部50に設けられた通信装置43がICメダル70との通信を開始したこと、などが挙げられる。
【0027】
「所定条件を満たすこと」としては、例えば所定時間に達することや、通信部50に設けられた通信装置43がICメダル70との通信を終了したこと、などが挙げられる。
(作用・効果)
本発明によれば、メダルが通信部50に到達したことを契機として、回転ディスク33の回転が一時停止又は減速する。すなわち、通信装置43との間で通信を行っている最中のICメダル70の移動が一時的に停止また減速するため、通信装置43とICメダル70との通信を確実に行うことができる。
【0028】
本発明によれば、ICメダル70に遊技に関連する情報が多く記憶されており、通信装置43による情報の読み出しに時間を要する場合であっても、ICメダル70との間の通信を確実に行うことができ、総ての情報を確実に読み出すことができる。
また、ICメダル70から情報を読み出すだけでなく、書き込みを行う場合に有効である。
(
その他の発明1)
その他の発明1は、請求項1又は請求項2記載のメダル選別装置30にて使用されるメダルであって、遊技に関連する情報が記憶されていることを特徴とするメダルである。
【0029】
(
その他の発明2)
その他の発明2は、上記
その他の発明1記載の発明の特徴に加え、前記メダルの表面は、当該メダルに記憶されている遊技に関連する情報を識別可能に形成されていることを特徴とするメダルである。
「遊技に関連する情報を識別可能に形成」とは、遊技に関連する情報に対応する色彩をメダルの表面に施したり、遊技に関連する情報に対応する文字や記号をメダルの表面に印刷したり、刻印したりすること、などが挙げられる。
【発明の効果】
【0030】
本発明は、以上のように構成されているので、以下に記載されるような効果を奏する。
すなわち、メダルの持ち込みによる不正行為を防止することができるとともに、ICメダルとの通信及び選別を確実に行うことができ、かつ、メダルを連続投入しても処理が滞ることのないメダル選別装置と、当該メダル選別装置に用いるICメダルを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
なお、本実施の形態では、「前面」又は「正面」とは、メダル選別装置30の点検等で操作を行う際に操作を行う者が向き合う面を意味するものである。すなわち、本実施の形態のメダル選別装置30はスロットマシン10の前扉12の裏側に設けられているため、前扉12の裏側に表れる面を「前面」又は「正面」とする。また、「後面」又は「背面」とは、前記「前面」と反対の面をいう。
また、「前面方向」、「正面方向」、「前方」、又は、「手前方向」とは、メダル選別装置30から見た場合に、このメダル選別装置30の前面に向き合って操作を行う者が位置する方向をいう。また、「後面方向」、「背面方向」、「後方」、又は、「奥方向」とは、前記「前面方向」と反対の方向をいう。
【0033】
なお、単に「前面」、「正面」、「後面」、「背面」、「前面方向」、「正面方向」、「前方」、「手前方向」、「後面方向」、「背面方向」、「後方」、及び「奥方向」と表記した場合は、特に断りのない限り、メダル選別装置30に関する部位又は方向を表すこととする。
(本実施の形態において使用されるメダル)
本実施の形態において使用されるメダルには「適正メダルMT」、「大径メダルML」、及び「小径メダルMS」がある。
【0034】
「適正メダルMT」は、所定の規格に適合したメダルである。この適正メダルMTは、直径が25mm、及び、厚さが1.6mmのメダルとなっている。また、「大径メダルML」とは、適正メダルMTよりも径が大きいメダルである。また、「小径メダルMS」とは、適正メダルMTよりも径が小さいメダルである。さらに、この適正メダルMTは、「ICメダル70」と「通常メダル77」とに分類できる。
図1に、本実施の形態のメダル選別装置30に用いられるICメダル70を示す。ICメダル70は、適正メダルMTのうち、遊技に関連する情報を記憶可能な記憶媒体を有するICチップ73を内蔵しているメダルである。
【0035】
このICメダル70は、金属製の外郭部71と、外郭部71の内側中央に開放された孔に設けられた基板72と、基板72の中心部に設けられたICチップ73と、基板72及びICチップ73を樹脂により封止する内郭部74と、から形成されている。外郭部71は、真鍮や鉄にメッキ処理を施したもの、又はステンレスからなる。また、基板72は、電波を透過する樹脂で形成することが望ましい。外郭部71と内郭部74の円形面は、同一面をなすように形成されている。このICメダル70は適正メダルMTと同様に、直径が25mm、及び、厚さが1.6mmのメダルとなっている。このICチップ73としては、例えば、RFID(Radio Frequency Identification)を使用することができる。
【0036】
ICメダル70の内郭部74を形成する樹脂には、遊技に関連する情報に対応する色彩を施すことができる。例えば、1枚5円の貸出レートのICメダル70には、「青色」を、1枚20円の貸出レートのICメダル70には、「赤色」を施すことができる。また、ICメダル70の内郭部74を形成する樹脂に、遊技に関連する情報に対応する文字や記号を印刷したり、刻印したりすることができる。例えば、店舗名を表す文字や記号を刻印することができる。以上のように、ICメダル70の表面に色彩を施したり、文字や記号を印刷したり、刻印したりすることにより、ICメダル70に記憶されている遊技に関連する情報をスロットマシン10に投入することなく識別することが可能となる。
【0037】
通常メダル77は、適正メダルMTのうち、内部にICチップ73を内蔵していないメダルである。
なお、本明細書において「適正メダルMT」と表記した場合は、特に断りのない限り、ICメダル70と通常メダル77の両方を指すこととする。
(スロットマシン10)
以下、本実施の形態に係るメダル選別装置30が搭載されるスロットマシン10の構成の概略を説明する。
【0038】
スロットマシン10は、メダル遊技機であって、遊技媒体として円板状のメダルを使用するものである。本実施の形態に係るスロットマシン10において使用されるメダルはICメダル70となっているが、ICメダル70を採用していない店舗にも対応させるべく通常メダル77の使用も可能となっている。
また、スロットマシン10は、
図2に示すように、スロットマシン10の前面に開口部を有する箱型の筐体11を備え、筐体11の前面には、開口部を塞ぐ前扉12を備えている。また、筐体11の内部には、周囲に所定個数の図柄を付した、3個の回転リール23を横並びに設けたリールユニット22を備えている。そして、前扉12の前面には、前記回転リール23の図柄を見ることができる図柄表示窓14が設けられている。
【0039】
また、図柄表示窓14の下方には、前扉12の前面から遊技者側に向けて突出する操作部25が設けられている。そして、操作部25の上面右側には、メダルを投入するためのメダル投入口15が設けられている。また、操作部25の上面中央よりやや左側には、電子的に貯留されている、すなわちクレジットされているメダルを投入するためのベットスイッチ16が設けられている。また、操作部25の、ベットスイッチ16の設置位置より左側には、クレジットされているメダルを払い出すための精算スイッチ17が設けられている。また、操作部25の前面左側には、回転リール23の回転を開始させるためのスタートスイッチ18が設けられている。また、操作部25の前面中央には、回転リール23の回転を停止させるための3個のストップスイッチ19が横並びに設けられている。
【0040】
また、前扉12の下部中央には、メダルの払い出し、又はメダルの返却を行うためのメダル払い出し口21が設けられている。また、メダル払い出し口21の下方には、メダル払い出し口21から払い出されたメダルを受け止めて貯留するためのメダル受け皿26が設けられている。
また、前扉12の裏側には、メダル投入口15に投入されたメダルを処理するためのメダル選別装置30が設けられている。また、筐体11の内部には、スロットマシン10を制御するための制御装置100や、メダルを払い出すためのホッパーユニット20などが備えられている。
【0041】
(制御装置100)
制御装置100は、スロットマシン10を制御するためのものである。この制御装置100は、CPU、ROM、RAM、及び、I/O等を備えたマイクロコンピュータを用いて構成されている。
また、
図13に示すように、制御装置100は、メダル選別装置30との間で入出力可能に接続されている。また、制御装置100の入力段としては、ベットスイッチ16、精算スイッチ17、スタートスイッチ18、ストップスイッチ19、及びメダル選別装置30が備えるメダル検知センサー40などが接続され、さらに、制御装置100の出力段としては、リールユニット22、ホッパーユニット20、及びメダル選別装置30が備える電磁コイル64fなどが接続されている。
【0042】
また、制御装置100は、CPUがROMに記憶された所定のプログラムを実行することにより、メダルカウント手段120、及び、遊技制御手段110などとして機能する。
(メダル投入口15)
メダル投入口15は、メダルを投入するためのものであって、
図2に示すように、操作部25の上面右側に設けられている。
また、本実施の形態に係るメダル投入口15は、適正メダルMT及び小径メダルMSの投入を許容するものの、大径メダルMLの投入を阻止するように形成されている。すなわち、本実施の形態に係るメダル投入口15には、適正メダルMT及び小径メダルMSを投入することができるが、大径メダルMLを投入することができない。
【0043】
本実施の形態に係るメダル投入口15には、上面から下面まで貫通し、かつ、上方から見ると横長長方形状の開口部15aが形成されている。また、この開口部15aの幅は適正メダルMTの直径(25mm)よりも僅かに大きい寸法となっており、かつ、奥行きは適正メダルMTの厚さ(1.6mm)よりも僅かに大きい寸法となっている。
これにより、適正メダルMT、及び、適正メダルMTよりも径が小さい小径メダルMSは、開口部15aから投入することができる。一方、適正メダルMTよりも径が大きい大径メダルMLは、開口部15aから投入することができない。
【0044】
すなわち、メダル投入口15は、適正メダルMT及び小径メダルMSの投入を許容するものの、大径メダルMLの投入を阻止することとなる。
なお、メダル投入口15には、適正メダルMTよりも厚いメダルも投入することができない。
また、メダル投入口15の上面には、スロットマシン10の手前側の端部から開口部15aまで至り、所定寸法の奥行きを有する凹溝が形成されている。この凹溝には、複数枚の適正メダルMTを載置可能となっている。そして、複数枚の適正メダルMTを、凹溝に載置し、開口部15a方向に滑らすことで、複数枚の適正メダルMTを容易に開口部15aに投入することができるようになっている。
【0045】
(メダル選別装置30)
メダル選別装置30は、メダル投入口15に投入されたメダル、すなわち、適正メダルMT又は小径メダルMSをその大きさ毎に選別するためのものである。また、通信機能を有効にする場合、メダル選別装置30は、ICメダル70に記憶されている情報を基に当該ICメダル70を遊技に使用できるものとできないものとに選別するためのものとなる。このメダル選別装置30は、前扉12の裏側に設けられている。メダル選別装置30の外観を
図3に示す。
このメダル選別装置30は、
図4(A)、(B)及び
図5に示すように、前扉12の裏面と固定するベース31と、ベース31の後面に取り付けたモーターユニット35と、モーターユニット35の減速ギヤ35cに取り付け、かつ、ベース31の前面に摺接するように設けた回転ディスク33と、メダル投入口15の下方であって、かつ、回転ディスク33の前方に設けた貯留部32と、貯留部32の入り口付近に設けられた検知装置36と、回転ディスク33の上部に対応するベース31の前面を奥側に凹ませて形成した排出部37と、回転ディスク33により排出部37まで送られたメダルを一定方向へ誘導するためのメダル通路38と、メダル通路38の途中に設けた選別排除装置39と、メダル通路38における選別排除装置39よりも下流側に設けたメダル検知センサー40と、ベース31上の回転ディスク33の外周付近に設けた回転監視装置41と、ベース31上の回転ディスク33が摺接する部分(通信部50)に設けた近接センサー42及び通信装置43とを備えている。
【0046】
また、メダル選別装置30には、メダル選別装置30を制御するための選別装置制御部200が備えられている。選別装置制御部200の詳細については後述する。
(ベース31)
ベース31は、メダル選別装置30を構成する各種部材を取り付けるための板状部材であり、前扉12の裏面に固定されている。
このベース31は、
図6に示すように、長方形状の板状部材であるボード部31aと、ボード部31aの左右端にそれぞれ設けたフランジ部31bと、ボード部31aに設けられた環状溝31c及び固定溝31dと、を備えている。そして、フランジ部31bを前扉12の裏面に固定することで、ベース31、換言するとメダル選別装置30が前扉12の裏面に固定される。
【0047】
ベース31が前扉12の裏面に固定された際、ボード部31aは、
図3に示すように、上側が奥方向に傾くように傾斜している。
図6に示すように、環状溝31cは、ボード部31aにおける回転ディスク33との接合面であって、回転ディスク33の外周部分に形成されている。この環状溝31cには、後述する回転ディスク33の円柱状の突起33cが収容される。そのため、環状溝31cの溝の幅は、突起33cの直径よりも僅かに大きい寸法となっている。
固定溝31dは、ボード部31aの前面であって、回転ディスク33が設置された際の外周の外側部分に設けられている。具体的には、
図6に示すように、固定溝31dは回転ディスク33が設置された際の外周の外側部分4カ所に立設する部材に、ボード部31aと平行の向きに、かつ、回転ディスク33の反時計回りの方向に開口するように形成されている。この固定溝31dは、後述する貯留部32の凸部32dと噛み合うように形成されており、この固定溝31dと凸部32dとが噛み合うことにより貯留部32はベース31に固定される。
【0048】
(モーターユニット35)
モーターユニット35は、後述する回転ディスク33を回転駆動させるためのものであり、
図4(B)に示すように、前記ベース31におけるボード部31aの裏面に取り付けられている。
このモーターユニット35は、
図5に示すように、回転ディスク33を回転駆動させるためのモーター35aと、モーター35aの回転軸に固定されたピニオンギヤ35bと、ピニオンギヤ35bにより回転駆動され、かつ、回転ディスク33が固定される減速ギヤ35cと、から構成されている。
【0049】
モーター35aは、具体的には、パルス信号により駆動されるステップモーターであるが、これに限らず、サーボモーターを使用してもよい。
このモーター35aの駆動は、後述するモーター駆動制御手段220により制御される。具体的には、モーター駆動制御手段220から出力されるパルス信号により回転駆動される。そして、モーター35aが一定速度で反時計回りに駆動しているとき、回転ディスク33は一定速度で時計回りに回転するようになっている。
なお、本実施の形態では、ピニオンギヤ35bと減速ギヤ35cにより回転ディスク33が回転駆動されるが、これに限らず、モーター35aと回転ディスク33を直接固定し回転駆動させてもよい。
【0050】
(回転ディスク33)
回転ディスク33は、後述する貯留部32に貯留されているメダル、すなわち適正メダルMT及び小径メダルMSを、貯留部32から、後述する排出部37まで送るためのものである。この回転ディスク33は、モーターユニット35の減速ギヤ35cに取り付けられ、かつ、ボード部31aの前面に摺接するように設けられている。
回転ディスク33は、
図7に示すように、円板状のディスク部33aと、ディスク部33aの中心に減速ギヤ35cと固定するために設けられた支持部33bと、ディスク部33a上に設けられた円形孔のメダル収納部34と、回転ディスク33の外周付近に設けられた突起33cと、から構成されている。
【0051】
前述のとおり、ベース31のボード部31aは、上側が奥方向に傾くように傾斜しているため、ボード部31aの前面に摺接するように設けられた回転ディスク33のディスク部33aも、上側が奥方向に傾くように傾斜している。
支持部33bは、ディスク部33aの裏面中心から奥方向に突出した略円柱状の部材である。この支持部33bが、ボード部31aに開けられた孔を前面から後面に向けて貫通し、減速ギヤ35cに固定されることで、回転ディスク33は減速ギヤ35cと一体となる。
メダル収納部34は、後述する貯留部32に貯留されているメダルを収納するためのものである。このメダル収納部34は、適正メダルMT又は小径メダルMSのいずれか一方を1枚のみ収納可能な大きさであって、ディスク部33aを前面から裏面まで貫通して形成した円形孔である。
【0052】
具体的には、メダル収納部34の直径は、適正メダルMTの直径(25mm)よりも若干大きい寸法となっている。また、メダル収納部34の深さは、適正メダルMTの厚さ(1.6mm)よりも若干小さい寸法となっている。なお、前述のとおり、メダル収納部34は、ディスク部33aを前面から裏面まで貫通して形成した円形孔であるため、メダル収納部34の深さは、ディスク部33aの厚さと等しい。すなわち、ディスク部33aの厚さが、適正メダルMTの厚さ(1.6mm)よりも若干小さい寸法となっている。
また、メダル収納部34は、ディスク部33a上に4個形成されている。そして、これら4個のメダル収納部34は、円周方向に等間隔となるように配置されている。
【0053】
なお、メダル収納部34は、円形孔ではなく、長円形孔とすることもできる。
突起33cは、後述する回転監視装置41の検出部として形成されている。この突起33cは、ディスク部33aの裏面において、回転ディスク33の外周付近に形成され、かつ、ベース31の環状溝31cに対応する位置に形成された円柱状の突起物である。突起33cは、メダル収納部34と同様にディスク部33a上に4個形成されており、円周方向に等配されている。
前述のとおり、回転ディスク33は、モーターユニット35の減速ギヤ35cに固定されているため、モーター35aが一定速度で反時計回りに回転駆動しているとき、回転ディスク33は一定速度で時計回りに回転するようになっている。
【0054】
なお、本実施の形態では、前方から見てモーター35aの反時計回りの回転、及び回転ディスク33の時計回りの回転が正回転に該当する。
また、回転ディスク33は、ベース31におけるボード部31aの前面に摺接するように設けられているため、回転ディスク33が回転すると、回転ディスク33のディスク部33aの裏面が、ベース31におけるボード部31aの前面を摺動するようになっている。
また、前述のとおり、メダル収納部34には、後述する貯留部32に貯留されている適正メダルMT及び小径メダルMSが1枚ずつ収納される。そして、メダル収納部34に収納された適正メダルMT及び小径メダルMSは、回転ディスク33の回転により、後述する排出部37まで送られる。ここで、回転ディスク33は、前述のとおり、上側がスロットマシン10の奥方向に傾くように傾斜しているため、メダル収納部34に収納された適正メダルMT及び小径メダルMSは、ベース31におけるボード部31aの前面にもたれかかった状態となる。そして、メダル収納部34に収納された適正メダルMT及び小径メダルMSは、ボード部31aの前面にもたれかかったまま、回転ディスク33の回転により、円弧状の軌道を描きながら一定速度で排出部37まで送られる。
【0055】
(貯留部32)
貯留部32は、メダル投入口15に投入されたメダルを一時的に貯留するためのものであり、
図3及び
図8に示すように、メダル投入口15の開口部15aの下方であって、かつ、回転ディスク33の前方に設けられている。
また、この貯留部32は、
図3に示すように、ボード部31aの前面に直接固定されている。
この貯留部32は、
図5に示すように、回転ディスク33の前面を覆うドーム形状の貯留部本体32bと、貯留部本体32bの上端部に設けられた開口としてのメダル通過口32aと、貯留部本体32aの下端から中央部にかけて縦方向に設けられたつまみ部32cと、貯留部本体32aの外周部分4箇所に等配された凸部32dと、から構成されている。
【0056】
貯留部32は、ボード部31aの前面に摺接された回転ディスク33を、背板として代用することにより、内部にメダルを貯留することが可能となっている。また、貯留部32の奥行きはメダルの直径より狭くなるように形成されている。
メダル通過口32aは、
図3及び
図8に示すように、貯留部本体32bの上端部に設けられた開口であって、メダル投入口15の下方に設けられている。このメダル通過口32aの幅は、適正メダルMTの直径(25mm)よりも大きい約40mmとしている。また、このメダル通過口32a奥行は、適正メダルMTの直径(25mm)を越えない程度に大きく形成している。すなわち、メダル通過口32aの幅及び奥行きは、メダル投入口15の開口部15aの幅及び奥行きよりも大きく形成している。これにより、メダル通過口32aが開口部15aの真下となるようにメダル選別装置30を設置したり、メダル通過口32aと開口部15aの間にメダルを誘導するためのガイドを設けたりする必要がない。したがって、スロットマシン10の設計の自由度を高めることができる。開口部15aを通過した適正メダルMT及び小径メダルMSは、メダル通過口32aを通過して貯留部32に入ることができる。
【0057】
メダル通過口32aを通過して貯留部32に投入されたメダルは、貯留部32に一時的に貯留される。この貯留部32は、奥行きが適正メダルMTの直径(25mm)よりも小さい寸法となっているため、投入されたメダルは、横向きには貯留されず、回転ディスク33とほぼ平行の向きで回転ディスク33の前面にもたれかかる状態で貯留される。また、メダルがメダル投入口15に連続投入された場合、貯留部32に落下した2枚目以降のメダルも、横向きには貯留されず、回転ディスク33とほぼ平行の向きで貯留される。一方、メダル通過口32aを通過する際、後述する検知装置36により、メダルが通過したことが検出されると、後述するモーター駆動制御手段220によりモーター35aの駆動が開始される。そして、回転ディスク33が時計回りに回転すると、貯留部32の最下部に落下したメダルが、回転ディスク33のメダル収納部34に収納される。ここで、メダル収納部34が回転ディスク33の最下部にある時の当該メダル収納部34の下端部は、貯留部32の最下部と同じかあるいはそれより僅かに低い位置になるように形成されている。したがって、貯留部32の最下部に落下したメダルは、回転ディスク33のメダル収納部34に収納されやすいようになっている。
【0058】
貯留部32は、貯留部本体32bの外周部分4箇所に等配された凸部32dと、ボード部31aの前面に設けられ、かつ4箇所の凸部32dに対応する位置に設けられた固定溝31dとが噛み合うことにより固定されている。ここでつまみ部32cを持ち貯留部32を左に回転させると、凸部32dと対応する固定溝31dとの噛み合わせが外れるため、貯留部32をボード部31aから分離することができる。これにより、貯留部32内でメダルの詰まりなどが発生した時は、貯留部32を取り外すことにより、詰まったメダルを取り除くことができる。
なお、貯留部32は透明な樹脂で形成されており、内部を視認することが可能である。これにより、貯留部32を取り外すことなく、貯留部32の内部及び回転ディスク33の様子を確認することができる。
【0059】
(検知装置36)
検知装置36は、貯留部32にメダルが投入されたことを検出することによりメダル検出信号を出力するためのものであり、
図3及び
図8に示すように、メダル通過口32aの周囲に取り付けられている。
また、この検知装置36は、1個のフォトセンサーにより構成されている。具体的には、検知装置36は、光を発する発光部と、発光部から発せられた光を受ける受光部とを備えている。そして、発光部及び受光部は、
図8に示すように、メダル通過口32aの手前側(図の左側)と奥側(図の右側)の対向する2面に配置されており、発光部の発光軸と受光部の受光軸はそれぞれ、設置されている面の左右中央に位置している。前述のとおり、メダル通過口32aの幅は約40mmであるため、メダルがメダル通過口32aの左右どちらかの端を通過しても発光部の発光軸及び受光部の受光軸の間を通過することができる。すなわち、検知装置36は、メダル通過口32aを通過してきたメダルによって、発光部から受光部への光路が妨げられるようになっており、これによりメダルの通過を検出する。そして、検知装置36がメダルの通過を検出することによりメダル検出信号(Hiレベル信号、Loレベル信号いずれにも設定可)を出力する。
【0060】
また、本実施の形態では、後述する選別装置制御部200が、所定時間間隔(例えば、1ミリ秒間隔)で、メダル検出信号が出力されているか否かを判定している。そして、この判定結果に基づいて、後述するモーター駆動制御手段220が、モーター35aの駆動を開始するか否かを決定し、また、後述する計時手段210が、計時を開始するか否か、又は、計時を終了するか否かを決定する。
(通信部50)
通信部50は、メダル収納部34に収納されたメダルが排出部37に向かう途中に設けられた部位である。
図4に示すとおり、通信部50は、メダル収納部34に収納されたメダルが回転ディスク33の回転に伴い約100度移送された位置に相当している。
【0061】
この通信部50には、後述する通信装置43及び近接センサー42が設置され、ICメダル70との通信が行われる場所となる。通信部50は、貯留部32におけるメダルがメダル収納部34に収納される位置と排出部37との間であればどこに設けてもよい。ただし、他のICメダル70との通信の混信を避けるため、通信部50は、貯留部32のメダルが貯留されている部位から離れた部位に設けるのが望ましい。
(排出部37)
排出部37は、メダル収納部34に収納されたメダルを、メダル収納部34から排出するためのものである。この排出部37は、
図6に示すように、ボード部31aの前面であって、メダル収納部34の回転軌道の最上部に設けられている。
【0062】
なお、本実施の形態では、排出部37が、メダル収納部34に収納されたメダルが、回転ディスク33の回転により送られる所定位置に該当するものとなっている。
この排出部37は、回転ディスク33の上部に対応するボード部31aを、このボード部31aと直交する方向に凹ませて形成した凹部である。具体的には、排出部37は、回転ディスク33の時計回りの回転に伴ってメダル収納部34が回転し、最上部に達する位置に対応するボード部31aを、適正メダルMTが1枚分収容可能な扇状の形状でかつ、深さが適正メダルMT1枚分の厚さの寸法よりもやや大きくなるように凹ませて形成した凹部である。
【0063】
前述のとおり、メダル投入口15に投入されたメダルは、貯留部32の最下部に貯留される。そして、貯留部32の最下部に貯留されたメダルは、回転ディスク33のメダル収納部34に1枚ずつ収納される。そして、メダル収納部34に収納されたメダルは、回転ディスク33が時計回りに回転することにより、貯留部32の最下部から、排出部37まで送られる。また、メダル収納部34に収納されたメダルは、ベース31におけるボード部31aの前面にもたれかかった状態で排出部37まで送られる。ここで、排出部37は、前述のとおり、ボード部31aを凹ませて形成された凹部であるため、排出部37まで送られたメダルは、メダル収納部34の裏面から排出部37へ落とし込まれることとなる。すなわち、排出部37へ排出されることとなる。
【0064】
また、回転ディスク33は一定速度で回転するため、メダル収納部34は一定間隔で排出部37へ到達することとなる。そして、これに伴って、メダル収納部34に収納されたメダルも一定間隔で排出部37へ排出されることとなる。
そして、メダルが排出部37に排出されると、後述するメダル通路38に誘導される。
(メダル通路38)
メダル通路38は、回転ディスク33の回転により排出部37まで誘導され、排出部37へ排出されたメダルを一定方向へ誘導するためのものである。
【0065】
メダル通路38の始端は、
図6に示すように、排出部37に連通している。換言すれば、排出部37はメダル通路38の一部となっており、メダル通路38は排出部37から始まるものである。また、メダル通路38の終端は、ベース31の右端部であり、特に図示していないが、ホッパーユニット20の上方に位置している。より具体的には、このメダル通路38は、排出部37のあるボード部31aの最上部からは右下方に傾斜して、高さが次第に低くなりながらベース31の右端部に至るまでの領域に形成されている。そして、メダル通路38は、この領域に対応するボード部31aを、このボード部31aと直交する方向に凹ませて形成したものである。
【0066】
メダル通路38は、排出部37側が上流側であり、メダル通路38のホッパーユニット20側が下流側である。前述のとおり、メダルが排出部37に排出されると、排出部37にあるメダルは、メダルの自重によりホッパーユニット20側に転動する。以上のことから、メダル通路38は、排出部37へ排出されたメダルを、上流側から下流側へ向けて、一定方向へ誘導するように形成されている。
前述のとおり、メダル通路38が設けられているベース31におけるボード部31aは、上側が奥方向に傾くように傾斜している。そのため、メダル通路38は、
図6に示すように、上流側から下流側へ向けて斜め下方に傾斜するのみならず、上側の縁が奥方向へ傾くように傾斜している。これにより、メダルは、上側を奥方向へ傾斜させた状態、具体的には、ボード部31aの前面にもたれかかった状態で、メダル通路38を上流側から下流側へ向けて転動する。
【0067】
(選別排除装置39)
選別排除装置39は、常時、メダル通路38から小径メダルMSを排除するとともに、所定条件時にはメダル通路38から適正メダルMT(通常メダル77及びICメダル70)も排除するためのものである。
なお、本実施の形態では、メダル選別装置30の通信機能の有効無効に係らず、適正メダルMTを投入不可と設定されているときが、所定条件時に該当するものとなっている。すなわち、選別排除装置39は、適正メダルMTを投入不可と設定されているときには、適正メダルMTも排除することとなる。この場合は、メダル投入口15にメダルを投入しても受け付けられない状態となっている。
【0068】
また、メダル選別装置30の通信機能を有効にしている場合であって、遊技に使用できないと判定されたメダルを投入したときも、所定条件時に該当するものとなっている。すなわち、選別排除装置39は、遊技に使用できないと判定されたメダルを投入したときには、当該メダルをメダル通路38から排除することとなる。
本実施の形態では、選別排除装置39によりメダル通路38から排除されたメダルは、メダル通路38からメダル払い出し口21まで至る返却通路(図示しておらず)へ誘導される。そして、返却通路へ誘導されたメダルは、自重で返却通路を流下して、メダル払い出し口21から排出される。
【0069】
選別排除装置39は、常時は、適正メダルMTを、メダル通路38における選別排除装置39よりも下流へ誘導するとともに、小径メダルMSを、メダル通路38から排除、つまり、上述の返却通路(図示しておらず)へ誘導する。すなわち、選別排除装置39は、常時は、適正メダルMTの進路を、メダル通路38における選別排除装置39よりも下流方向にするとともに、小径メダルMSの進路を、返却通路(図示しておらず)方向にする。
また、選別排除装置39は、所定条件時のうち、メダル選別装置30の通信機能の有効無効に係らず、適正メダルMTを投入不可と設定されているときには、適正メダルMTも、メダル通路38から排除する。すなわち、選別排除装置39は、適正メダルMTを投入不可と設定されているときには、適正メダルMTも、上述の返却通路(図示しておらず)へ誘導する。さらに換言すれば、選別排除装置39は、適正メダルMTを投入不可と設定されているときには、適正メダルMTの進路を、返却通路(図示しておらず)方向にする。
【0070】
さらに、選別排除装置39は、所定条件時のうち、メダル選別装置30の通信機能を有効にしている場合であって、遊技に使用できないと判定されたメダルを投入したときには、当該メダルも、メダル通路38から排除する。すなわち、選別排除装置39は、メダル選別装置30の通信機能を有効にしている場合であって、遊技に使用できないと判定されたメダルを投入したときには、当該メダルも、上述の返却通路(図示しておらず)へ誘導する。さらに換言すれば、選別排除装置39は、メダル選別装置30の通信機能を有効にしている場合であって、遊技に使用できないと判定されたメダルを投入したときには、当該メダルの進路を、返却通路(図示しておらず)方向にする。
【0071】
選別排除装置39は、
図4(A)に示すように、メダル通路38の途中、具体的にはメダル通路38のうち前面に回転ディスク33がない部分に設けられている。
選別排除装置39は、具体的には
図4(A)、(B)及び
図6に示すように、メダル通路38の途中に設けられ、下方から上方に向けて奥行が増すような凹みを有する通路凹部60と、ボード部31aの前面に前後方向に回動可能となるように軸支されているとともに、右斜め上方の平坦面が通路凹部60の下面として形成されているメダルガイド61と、通路凹部60の上部の縁に設置した板状部材であって、メダル通路38の前面をなす選別スケール62と、通路凹部60の前面に前後方向に回動可能となるように上部が軸支されているとともに、通路凹部60の前面を覆うように形成されている選別部カバー63と、メダルガイド61を電磁的に前方に回動させるための返却切替部64と、メダルガイド61を後方に回動させるとともに、選別部カバー63を手動で前方に回動させるための強制返却レバー65と、通路凹部60から落下するメダルを返却通路(図示しておらず)に誘導する返却メダルカバー66と、から構成されている。
【0072】
通路凹部60は、
図6に示すようにメダル通路38の表面側であって、メダル通路38の下方から上方に向けて奥行が増すように凹ませて形成したメダル落下斜面60aと、メダル落下斜面60aの下方に、メダル通路38と平行に設けられた溝であって、後述する基準レール61bを収納する基準レール収納部60bと、を有する。
メダル落下斜面60aは、ボード部31aの傾きよりもさらに水平方向に傾いている。そして、このメダル落下斜面60aは、返却メダルカバー66に連通しており、メダル払い出し口21まで至る返却通路(図示しておらず)に向けてメダルが滑り落ちる様に形成されている。
【0073】
メダルガイド61は、
図4(A)及び
図5に示すように、ボード部31aの前面に前後方向に回動可能となるように略中央部が軸支されているメダルガイド本体61aと、メダルガイド本体61aの軸支部より下方に取り付けられ、基準レール61bを後方に付勢するガイドスプリング61cと、から構成されている。
メダルガイド本体61aの右斜め上方の平坦面は、通路凹部60の下面である基準レール61bとして形成されている。メダルガイド本体61aの上方が手前に回動、すなわち基準レール61bが前方に移動している時、この基準レール61bはメダル通路38の下面と連続する面をなすように形成されている。
【0074】
ガイドスプリング61cが基準レール61bを後方に付勢している場合、基準レール61bは基準レール収納部60bに収納されている(
図10(B)参照)。また、後述する返却切替部64が作動して、ガイドスプリング61cの付勢力に対抗して基準レール61bが前方に回動した場合、基準レール61bは基準レール収納部60bに収納されずに通路凹部60の下部に表れる(
図10(A)参照)。
選別スケール62は、通路凹部60の上部の縁に設置された平行四辺形状の板状部材である。
図4(A)に示すように、この選別スケール62は、その前面がメダル通路38の前面と同一面となるように、かつ、その下面はメダル通路38の上面と平行となるように形成されている。そして、基準レール61bから選別スケール62の下面までの距離は、小径メダルMSの直径より大きく、適正メダルMTの直径より小さくなるように設置されている。
【0075】
選別部カバー63は、通路凹部60の前面覆うものである。
図4(A)及び
図5に示すように、この選別部カバー63は、通路凹部60の前面に前後方向に回動可能となるように上端部が軸支されている台形型の部材である選別部扉63aと、選別部扉63aを後方に付勢する扉スプリング63dと、選別部扉63aの前面に前後方向に回動可能となるようにメダル通路38の上流側が軸支されているメダル可倒レバー63bと、メダル可倒レバー63bを選別部扉63aに付勢するレバースプリング63eと、から構成されている。
扉スプリング63dは、選別部扉63aの軸支部に設けられており、選別部扉63aを通路凹部60の前面に常に付勢している。
【0076】
また、レバースプリング63eは、メダル可倒レバー63bの軸支部に設けられており、メダル可倒レバー63bを選別部扉63aに常に付勢している。
メダル可倒レバー63bには、そのメダル通路38の下流側の端部2箇所に爪部63cが形成されている。また、選別部扉63aにおいて、メダル可倒レバー63bに設けられた2箇所の爪部63cに対応する位置には、矩形状の開口が形成されている。そして、メダル可倒レバー63bが選別部扉63aに付勢されている際は、爪部63cがこの開口を貫通し、選別部扉63aの内側、換言すると、メダル通路38内まで突出している。
【0077】
選別部扉63aは扉スプリング63dの付勢力により通路凹部60の前面を覆うが、この際、メダル通路38が塞がれることはない。したがって、選別排除装置39は適正メダルMTを下流に誘導することができる。
なお、適正メダルMTが排除されることなく選別排除装置39内部を通過する際、メダル可倒レバー63bの爪部63cに接触することになるが、適正メダルMTは、レバースプリング63eの付勢力に対抗してメダル可倒レバー63bを前方に回動させることができるため、下流に転動することが可能である。
【0078】
返却切替部64は、
図9(A)から(C)に示すように、ボード部31aの背面に固定される切替部固定部64aと、切替部固定部64aに回動可能に固定されている切替部フレーム64bと、切替部フレーム64bをその上端を後方に、下端を前方に付勢するためのフレームスプリング64cと、切替部フレーム64bに回動可能に固定されている押し付け片64dと、押し付け片64dを後方に付勢させるための押し付け片スプリング64eと、押し付け片スプリング64eの付勢力に対抗して押し付け片64dを前方に回動させるための電磁コイル64fと、から構成されている。
【0079】
図9(B)及び(C)に示すように、切替部フレーム64bは、下端からその高さの略1/3の位置で切替部固定部64aに軸支されている。フレームスプリング64cは、一端が切替部固定部64aの下部に取付けられ、他端が切替部フレーム64bの下部に取り付けらており、切替部フレーム64bをその上端を後方に、下端を前方に付勢している。
また、切替部フレーム64bは、その左上部端部が大きく突出しており、後述するフレーム操作レバー65cによって操作される回動操作部64gとして形成されている。
切替部フレーム64bには、押し付け片64d、押し付け片スプリング64e、及び電磁コイル64fが取付けられており、切替部フレーム64bが回動する際は、これらの押し付け片64d、押し付け片スプリング64e、及び電磁コイル64fは、切替部フレーム64bと共に回動する。
【0080】
押し付け片64dは、
図9(C)に示すように、側面視では、略L字に折り曲げた板状部材であり、前方に折り曲げた部分の先端がメダルガイド61を前方に押しつける部分となっている。そして、押し付け片64dは、下端からその高さの略5/6の位置で切替部フレーム64bに軸支されている。押し付け片スプリング64eは、一端が切替部フレーム64bの上部に取り付けられ、他端が押し付け片64dの上部に取り付けられており、押し付け片64dを後方に付勢している。一方、電磁コイル64fに通電しているときは、後述のとおり、電磁コイル64fが押し付け片スプリング64eの付勢力に対抗し、押し付け片64dを引き付けるため、押し付け片64dは前方に回動する。
【0081】
電磁コイル64fは、通電により発生する電磁力により押し付け片64dを前方に回動させるものである。この電磁コイル64fは、制御装置100又は選別装置制御部200からの指示により通電と通電停止が制御されている。具体的には、常時は制御装置100及び選別装置制御部200からの通電指示により通電されている。一方、所定条件時のうち、適正メダルMTを投入不可と設定されているときは、制御装置100からの通電停止指示により通電が停止される。また、所定条件時のうち、遊技に使用できないと判定されたメダルを投入したときは、選別装置制御部200からの通電停止指示により通電が停止される。なお、
図9は、電磁コイル64fに通電している状態を示している。
【0082】
強制返却レバー65は、切替部フレーム64bをその上端を前方に、下端を後方に回動させるとともに、選別部カバー63を前方に回動させるものである。強制返却レバー65は、
図4(B)に示すように、ボード部31aの後面に前後方向に回動可能となるように上端部が軸支されている返却レバー本体65aと、返却レバー本体65aに固定されるカバー回動ステー65bと、から構成されている。
返却レバー本体65aには、
図5に示すように、その左側端部が下方に大きく垂れ下がった部分があり、返却切替部64の回動操作部64gを操作するためのフレーム操作レバー65cとして形成されている。
【0083】
カバー回動ステー65bは、Z字型に折り曲げられた板状部材であり、その上端側が返却レバー本体65aの前面右側に固定されている。また、カバー回動ステー65bは、上端の固定部分から、一度前方に向けて折れ曲がり返却レバー本体65aの前方に延びた後、下方に向けて折れ曲がるように形成されている。
この返却レバー本体65aは、スロットマシン10の外部に設けられた返却ボタン(図示しておらず)に連通しており、返却ボタンが操作されると、返却レバー本体65aは前方向に回動する。そして、フレーム操作レバー65cが切替部フレーム64bの回動操作部64gを後方から前方に押すことにより、フレームスプリング64cの付勢力に対抗して、切替部フレーム64bをその上端を前方に、下端を後方に回動させる。
【0084】
カバー回動ステー65bは、その前方への延伸部分が、ボード部31aに設けられた開口部分を貫通し、下方に向けて折り曲げられた部分の下端部が、選別部カバー63を前方に回動させるための押し付け部分として作用する。返却ボタン(図示しておらず)が操作され返却レバー本体65aが前方向に回動すると、カバー回動ステー65bは選別部カバー63を前方に回動させる。
返却メダルカバー66は、
図3及び
図5に示すように、選別排除装置39から排除される小径メダルをMS又は適正メダルMTを、メダル払い出し口21と連通している返却通路(図示しておらず)に導くためのものである。返却メダルカバー66は、ボード部31aに固定されるカバー取付ステー66aと、カバー取付ステー66aに固定されるコの字型の断面を有するカバー部66bと、から構成されている。
【0085】
前述のとおり、メダルはメダル落下斜面60aを滑り落ちて排除されるため、カバー部66bの奥行きは、メダルの直径の大きさまでは必要とせず、滑り落ちるメダルが通過できるだけの大きさがあれば足りる。また、カバー部66bの幅はメダル落下斜面60aの幅と同じ程度の幅があれば足りる。
(選別排除装置39の動作について)
メダル通路38は、
図6に示すように、ボード部31aの最上部から下流側へ向けて斜め下方に傾斜するのみならず、上側の縁が奥方向へ傾くように傾斜している。これにより、メダルは、上側を奥方向へ傾斜させた状態で、メダルの背面をメダル通路38に接触させながら下流側へ向けて転動し、選別排除装置39に達する。そして、選別排除装置39では、基準レール61b、選別スケール62、及び選別部カバー63によりメダルの通路が形成されている。また、この通路内には爪部63cが突出しており、常時において適正メダルMTが通過する際、適正メダルMTはレバースプリング63eの付勢力に対抗して爪部63cを前方に押し退けながら通過する。
【0086】
図10(A)は常時を示す。この状態では、電磁コイル64fは通電されており、電磁コイル64fが、押し付け片スプリング64eの付勢力に対抗して押し付け片64dを前方(矢印A方向)に回動させている。そして、押し付け片64dの先端はガイドスプリング61cの付勢力に対抗して基準レール61bを前方に回動させるため、基準レール61bは通路凹部60の下部に表れている。
そしてメダルが選別排除装置39に侵入すると、適正メダルMTが通過する場合は、適正メダルMTの下端が基準レール61bの上に乗り、また、適正メダルMTの上端縁が選別スケール62の下面の縁に支えられて転動する。
【0087】
ここで、選別スケール62は、基準レール61bから選別スケール62の下面までの距離が、適正メダルMTの直径よりも僅かに小さくなるように設けられている。そのため、小径メダルMSが通過する場合は、小径メダルMSの下端は基準レール61bの上に乗ることができるが、小径メダルMSは適正メダルMTよりも直径が小さく、その上端が選別スケール62の下面の縁に達しないため、小径メダルMSの自重及び爪部63cへの接触により通路凹部60に落下する(矢印X)。さらにはメダル落下斜面60aを滑り落ち(矢印Y)、返却メダルカバー66内を通過して排除される。
【0088】
図10(B)は、所定条件時を示す。この状態では、電磁コイル64fの通電が停止しており、押し付け片64dは、押し付け片スプリング64eにより後方(矢印B方向)に付勢されている。そのため、基準レール61bは、押し付け片64dの先端により前方に押し付けられておらず、ガイドスプリング61cの付勢力により後方に回動しており、基準レール61bは基準レール収納部60bに収納されることになる。
そして、適正メダルMTが選別排除装置39に侵入すると、通路凹部60の下部に基準レール61bがないため、適正メダルMTの自重及び爪部63cへの接触により通路凹部60に落下する(矢印X)。さらにはメダル落下斜面60aを滑り落ち(矢印Y)、返却メダルカバー66内を通過して排除される。また同様に、小径メダルMSについても、通路凹部60に落下し(矢印X)、メダル落下斜面60aを滑り落ち(矢印Y)、返却メダルカバー66内を通過して排除される。
【0089】
図10(C)は、強制返却時を示す。図示の状態は、スロットマシン10の外部に連通する返却ボタン(図示しておらず)が押された状態である。まず、返却ボタン(図示しておらず)が押されたことにより、強制返却レバー65が前方に回動し、フレーム操作レバー65cが回動操作部64gを前方に押す。これにより、切替部フレーム64bはその上端を前方に、下端を後方に向くように回動し(矢印C)、切替部フレーム64bに取り付けられている押し付け片64dは、その先端部分が後方に回動する。そして、押し付け片64dが後方に移動すると、基準レール61bは、押し付け片64dの先端により前方に押し付けられていないため、ガイドスプリング61cの付勢力により後方に回動し、基準レール61bは基準レール収納部60bに収納されることになる。また、返却レバー本体65aが前方向に回動すると、前述のとおり、カバー回動ステー65bは選別部カバー63を前方に回動させる(矢印D)。
【0090】
この時、メダルが選別排除装置39に侵入すると、通路凹部60の下端に基準レール61bがないため、メダルの自重により通路凹部60に落下する。また、選別排除装置39内部、例えば通路凹部60内でメダルが引っ掛かっていたとしても、選別部カバー63は前方に回動されているため、引っ掛かっているメダルを通路凹部60に落下させることができる。通路凹部60に落下したメダルは、さらに落下斜面60aを滑り落ち、返却メダルカバー66内を通過して排除される。
なお、
図10(C)は電磁コイル64fが通電されている状態であるが、電磁コイル64fが通電されていない場合、基準レール61bは既に基準レール収納部60bに収納されているため、選別部カバー63の前方への回動のみが行われる。
【0091】
本実施の形態では、前述のとおり、メダル選別装置30の通信機能の有効無効に係らず、適正メダルMTを投入不可と設定されているときが、所定条件時に該当するが、スタートスイッチ18の操作からこのスタートスイッチ18の操作により開始された遊技が終了するまでは、適正メダルMTを投入不可と設定される。一方、1回の遊技が終了してからその次にスタートスイッチ18が操作されるまでは、適正メダルMTを投入可と設定される。
また、クレジットされているメダルの枚数が所定枚数(本実施の形態では50枚)に達しているときは、適正メダルMTを投入不可と設定される。
【0092】
さらに、ある遊技において、新たにメダルを投入することなく次の遊技を開始することができるリプレイ入賞となった場合には、この遊技が終了してからその次にスタートスイッチ18が操作されるまでも、適正メダルMTを投入不可と設定される。
また、本実施の形態では、前述のとおり、メダル選別装置30の通信機能を有効にしている場合であって、遊技に使用できないと判定されたメダルを投入したときも、所定条件時に該当する。この遊技に使用できないと判定されたメダルには、他店舗で貸し出されたICメダル70が該当する。
【0093】
また、遊技に使用できないと判定されたメダルには、貸出レートが異なる遊技機用のICメダル70が該当する。
また、遊技に使用できないと判定されたメダルには、メダルの貸出期限が過ぎているICメダル70が該当する。
さらに、遊技に使用できないと判定されたメダルには、通常メダル77が、遊技に使用できないメダルに該当する。
さらに、遊技に使用できないと判定されたメダルには、金属の外郭部71を有しない樹脂製のICメダル70が、遊技に使用できないメダルに該当する。金属の外郭部71を有しない樹脂製のICメダル70とは、例えば、ICチップ73を樹脂のみで固めた偽造ICメダルが該当する。
【0094】
そして、常時は、電磁コイル64fに通電する。これにより、適正メダルMTは、通路凹部60に落下することなく、選別排除装置39を通過し、また、小径メダルMSは、通路凹部60に落下して、返却通路(図示しておらず)へ誘導される。一方、所定条件時には、電磁コイル64fに通電しない。これにより、適正メダルMTは通路凹部60に落下して、返却通路(図示しておらず)へ誘導される。また、小径メダルMSも通路凹部60に落下して、返却通路(図示しておらず)へ誘導される。すなわち、小径メダルMSは、常に、通路凹部60に落下して、返却通路(図示しておらず)へ誘導される。
【0095】
(メダル検知センサー40)
メダル検知センサー40は、メダル通路38における選別排除装置39よりも下流側に設けられるものであって、適正メダルMTの通過を検出することにより通過検出信号を出力するためのものである。
具体的には、メダル検知センサー40は、
図6に示すように、ボード部31aの、メダル通路38の最下流に対応する位置に形成した切り欠きに嵌め込むようにして取り付けられており、メダル通路38の一部を構成するものとなっている。
【0096】
また、メダル検知センサー40には、選別排除装置39を通過したメダルのみ到達する。すなわち、メダル検知センサー40には、所定条件時に該当せずに選別排除装置39を通過した適正メダルMTのみが到達し、この適正メダルMTの通過を検出する。
また、本実施の形態では、メダル検知センサー40は、
図5に示すように、1個のフォトセンサーにより構成されている。具体的には、メダル検知センサー40は、光を発する発光部と、発光部から発せられた光を受ける受光部とを備えている。そして、発光部及び受光部は、間隙を挟んで互いに対向するように配置されており、メダル通路38を流下してきた適正メダルMTは、発光部及び受光部の間を通過するようになっている。すなわち、メダル検知センサー40は、メダル通路38を流下してきた適正メダルMTによって、発光部から受光部への光路が妨げられるようになっており、これにより適正メダルMTの通過を検出する。そして、メダル検知センサー40がメダルの通過を検出することにより、通過検出信号(Hiレベル信号、Loレベル信号いずれにも設定可)を出力する。
【0097】
また、本実施の形態では、制御装置100が、所定時間間隔(例えば、1ミリ秒間隔)で、通過検出信号が出力されているか否かを判定している。そして、この判定結果に基づいて、後述するメダルカウント手段120が、メダルの枚数、すなわち、適正メダルMTの枚数をカウントする。
(回転監視装置41)
回転監視装置41は、
図4(A)に示すように、ボード部31a前面に形成された環状溝31cに設けられるものであって、回転ディスク33に設けられた突起33cを検出することにより回転検出信号を出力するためのものである。この回転監視装置41は、メダル検知センサー40と同様に光を発する発光部と、発光部から発せられた光を受ける受光部とを備えている。そして、発光部及び受光部は、間隙を挟んで互いに対向するように配置されており、回転ディスク33の回転に伴い移動する突起33cが、発光部及び受光部の間を通過するようになっている。すなわち、回転監視装置41は、突起33cによって、発光部から受光部への光路が妨げられるようになっており、これにより回転ディスク33の回転を検出する。そして、回転監視装置41が回転ディスク33の回転を検出することにより、回転検出信号(Hiレベル信号、Loレベル信号いずれにも設定可)を出力する。
【0098】
また、本実施の形態では、後述する選別装置制御部200が、所定時間間隔(例えば、1ミリ秒間隔)で、回転検出信号が出力されているか否かを判定している。そして、この判定結果に基づいて、後述する異常判定手段240が、モーター35aの回転を監視し、異常があるか否かを判定する。
なお、発光部と受光部との間隙の距離は、環状溝31cと同等又は少し広くなるように形成されている。
(近接センサー42)
近接センサー42は、
図4(A)に示すように、通信部50に設置されるセンサーであって、ICメダル70が通信部にある場合に近接信号を出力するためのものである。
【0099】
本実施の形態の近接センサー42は、メダルが近づくことにより生じる磁気変動を感知する磁気センサーである。
図11に示すように、近接センサー42の回転ディスク33側の端面付近にICメダル70が近づくと、近接センサー42は当該メダルの外郭部71の金属に反応し、メダルを検出する。そして、
図12に示すように、近接信号(Hiレベル信号、Loレベル信号いずれにも設定可)を出力する。
また、本実施の形態では、後述する選別装置制御部200が、所定時間間隔(例えば、1ミリ秒間隔)で、近接信号が出力されているか否かを判定している。そして、この判定結果に基づいて、後述する通信装置43が、ICメダル70との通信を開始し、ICメダル70から遊技に関連する情報を読み出す。
【0100】
(通信装置43)
通信装置43は、
図4に示すように、通信部50に設置されるものであって、遊技に関連する情報が記憶されているICメダル70との間で、情報のやり取りを行うためのものである。具体的には、RFIDリーダ/ライタである。
この通信装置43は、
図11に示すように、ICメダル70に面する端面がボード部31aと同一面をなすように設置されており、当該端面が通信を行うアンテナ部分となっている。
また、通信装置43は、アンテナ部分からICメダル70中央のICチップ73に向けて電波を放射しており、電波の放射を受けたICメダル70のICチップ73は、電磁誘導を受けて起電し、その電力によってICチップ73内に記憶されている情報を通信装置43に送出する。そして、通信装置43では、送出された情報を受信し、選別装置制御部200に転送することにより、選別装置制御部200はICチップ73内に記憶されている情報を取得することができる。
【0101】
なお、通信装置43のアンテナ部分からICメダル70に向けて放射する電波の出力は、一のICメダル70との通信が可能な程度に抑えることが望ましい。なぜなら、電波の出力を高くし過ぎると、通信範囲が広くなり過ぎてしまい、貯留部32内の他のICメダル70と混信する可能性が生ずるからである。一方、本実施の形態では、ICメダル70との通信に際し、回転ディスク33の回転を一時停止することにより、読み出す情報量が増大しても確実に通信を行うように形成しているため、電波の出力を抑えることができる。なお、電波の出力を他のICメダル70との混信が生じない程度に大きく調整することにより、回転ディスク33の回転を一時停止することなく、通信を行うように形成してもよい。
【0102】
(選別装置制御部200)
選別装置制御部200は、メダル選別装置30を制御するためのものである。この選別装置制御部200は、CPU、ROM、RAM、及び、I/O等を備えたマイクロコンピュータを用いて構成されている。
また、
図13に示すように、選別装置制御部200の入力段としては、検知装置36、回転監視装置41及び近接センサー42が接続され、出力段としては、モーター35a、電磁コイル64fが接続されている。さらに、通信装置43と入出力可能に接続されている。
【0103】
また、選別装置制御部200は、CPUがROMに記憶された所定のプログラムを実行することにより、計時手段210、モーター駆動制御手段220、メダル情報判定手段230、異常判定手段240、及び異常報知手段250などとして機能する。
なお、本実施の形態における選別装置制御部200は、メダル選別装置30に設けられているが、これに限らず、スロットマシン10の制御装置100と共用してもよい。
(計時手段210)
計時手段210は、所定時からの経過時間を計時するためのものであり、選別装置制御部200を構成するマイクロコンピュータが有する内部タイマを用いることができる。
【0104】
本実施の形態では、近接センサー42から近接信号が出力されたことを契機として、計時を開始する。換言すると、計時手段210は、通信部50にメダルが接近したことを契機として、計時を開始する。
そして、選別装置制御部200は、計時手段210により計時された時間の値が、所定値(例えば、0.2秒)に達したか否かを判定する。換言すれば、選別装置制御部200は、メダルが通信部50に到達してから計時手段210により計時された時間の値が所定値(0.2秒)に達したか否かを判定する。そして、この判定結果に基づいて、後述するモーター駆動制御手段220が、通信のために一時停止させているモーター35aの駆動を再開させるか否かを決定する。
【0105】
なお、本実施の形態では、通信手段43とICメダル70との通信のためにモーター35aの駆動を一時停止させる時間を0.2秒としているが、これに限らず、読み出す情報に基づく通信時間に合わせて任意の時間を設定することができる。
一方、選別装置制御部200は、計時手段210により計時された時間の値が、所定値(例えば、2秒)に達したか否かを判定する。換言すれば、選別装置制御部200は、メダルが通信部50に到達してから計時手段210により計時された時間の値が所定値(2秒)に達したか否かを判定する。そして、この判定結果に基づいて、後述するモーター駆動制御手段220が、回転させているモーター35aの駆動を停止させるか否かを決定する。
【0106】
また、計時手段210は、計時した時間の値が所定値(2秒)に達したときには、計時を終了する。
なお、本実施の形態では、駆動を停止するまでの時間を2〜3秒の間に設定するのが好ましいが、これに限らず、任意の時間に設定することができる。
ここで、計時手段210が計時をしているときに、近接センサー42が近接信号を再度出力した場合には、計時手段210は、当該近接信号が再度出力されたことを契機として、計時した時間の値をクリアして、再度、計時を開始する。換言すれば、計時手段210が計時をしているときに、通信部50にメダルが接近した場合には、計時手段210は、計時した時間の値をクリアして、再度、計時を開始する。
【0107】
また、計時手段210が計時をしているときに、検知装置36がメダル検出信号を再度出力し、さらに近接センサー42が近接信号を再度出力した場合には、計時手段210は、近接センサー42から近接信号が再度出力されたことを契機として、計時した時間の値をクリアして、再度、計時を開始する。換言すれば、計時手段210が計時をしているときに、メダル投入口15にメダルが投入され、さらに通信部50にメダルが接近した場合には、計時手段210は、計時した時間の値をクリアして、再度、計時を開始する。
なお、本実施の形態では、一時停止させているモーター35aの駆動再開の計時及び回転させているモーター35aの駆動終了の計時を一つの計時手段(計時手段210)が実行しているが、これに限らない。すなわち、それぞれ別の計時手段で実行してもよい。
【0108】
(モーター駆動制御手段220)
モーター駆動制御手段220は、検知装置36から出力されたメダル検出信号の入力を契機として、モーター35aの駆動を開始し、所定の条件を満たすことを契機として、モーター35aの駆動を終了させるように制御するためのものである。また、モーター35aの駆動中に近接センサー42から出力された近接信号の入力を契機として、モーター35aの駆動を一時的に停止させるように制御するためのものである。
本実施の形態では、モーター駆動制御手段220は、検知装置36が、メダル検出信号を出力することにより、モーター35aの駆動を開始するように制御する。すなわち、モーター駆動制御手段220は、メダル通過口32aをメダルが通過することにより、モーター35aの駆動を開始するように制御する。
【0109】
モーター駆動制御手段220が、モーター35aの駆動を開始すると、モーター35aの駆動軸が、反時計回りに回転を開始する。そして、モーター35aの駆動軸に取り付けられたピニオンギヤ35bが減速ギヤ35cを時計回りに減速させながら回転させる。これに伴い、減速ギヤ35cに固定されている回転ディスク33も、時計回りに回転を開始する。
そして、
図12に示すように、通信部50に設置された近接センサー42が近接信号を出力するとモーター35aの駆動を一時停止させるべく回転駆動パルスの出力を停止する。すなわち、モーター駆動制御手段220は、メダル収納部34に収納され、排出部37へ移送されているメダルが通信部50に達すると、モーター35aの駆動を一時停止させるように制御する。また、前述のとおり、近接センサー42から近接信号が出力されることにより、計時手段210は計時を開始している。
【0110】
ここで、モーター35aの一時停止中は、通信部50において、ICメダル70と通信装置43との間で通信が行われる。そして、計時手段210により計時された時間の値が所定値(例えば、0.2秒)に達したことを契機として、モーター駆動制御手段220が、一時停止中のモーター35aの駆動を再開させるように制御する。具体的には、
図12に示すように、再び回転駆動パルスを出力する。
さらに、計時手段210により計時された時間の値が所定値(例えば、2秒)に達したことを契機として、モーター駆動制御手段220が、回転中のモーター35aの駆動を終了させるように制御する。
【0111】
なお、本実施の形態では、近接センサー42が近接信号を出力したことが、「メダルが通信部50に到達したこと」に該当する。
また、本実施の形態では、計時手段210により計時された時間の値が、所定値(0.2秒)に達することが、「所定の条件を満たすこと」に該当する。
なお、前述のとおり、計時手段210が計時をしているときに、近接センサー42が近接信号を再度出力した場合、あるいは、検知装置36がメダル検出信号を再度出力した場合であって、さらに近接センサー42が近接信号を再度出力した場合には、計時手段210は計時した時間の値をクリアして、再度、計時を開始する。
【0112】
(メダル情報判定手段230)
メダル情報判定手段230は、メダル選別装置30の通信機能を有効にしている場合、通信装置43がICメダル70から読み出した遊技に関連する情報について、スロットマシン10が有している情報と照合して、また、近接センサー42からの近接信号の出力を監視して、遊技に使用できるか否かを判定するものである。ここで、照合する情報は、例えば次の(1)から(4)のものがある。
なお、照合する情報は上記(1)から(4)に限らない。
【0113】
(1)店舗ID
例えば、ICメダル70には貸し出しの際に店舗固有の店舗IDを記憶する。また、スロットマシン10は、制御装置100又は選別装置制御部200のROMに店舗固有の店舗IDを予め記憶させておく。そして、メダル情報判定手段230は通信装置43がICメダル70から読み出した店舗IDがスロットマシン10に記憶されている店舗IDと一致しない場合に、店舗IDエラーとして遊技に使用できないと判定する。そして、電磁コイル64fの通電を止めて、遊技に使用できないと判定したICメダル70を選別排除装置39から排除する。
【0114】
(2)貸出レート情報
例えば、ICメダル70には貸し出しの際にメダル貸出装置にて貸し出される際の貸出レート情報を記憶する。例えば、1枚5円の貸出レートのメダルには、「5」を、1枚20円の貸出レートのメダルには、「20」を記憶する。また、スロットマシン10では、制御装置100又は選別装置制御部200のROMに使用すべきメダルの貸出レートを予め記憶させておく。そして、メダル情報判定手段230は通信装置43がICメダル70から読み出した貸出レート情報がスロットマシン10に記憶されている貸出レート情報と一致しない場合に、貸出レートエラーとして遊技に使用できないと判定する。そして、電磁コイル64fの通電を止めて、遊技に使用できないと判定したICメダル70を選別排除装置39から排除する。
【0115】
(3)ICメダル70の貸出期限
例えば、ICメダル70には貸し出しの際に遊技可能な貸出期限を記憶する。そして、メダル情報判定手段230は通信装置43がICメダル70から読み出した貸出期限がスロットマシン10の有する現在の日時情報より古い場合に、期限切れとして遊技に使用できないと判定する。そして、電磁コイル64fの通電を止めて、遊技に使用できないと判定したICメダル70を選別排除装置39から排除する。
なお、スロットマシン10の有する現在の日時情報は、制御装置100又は選別装置制御部200を構成するマイクロコンピュータが有するカレンダ機能を用いて取得することができる。
【0116】
(4)通常メダル77
通常メダル77は、ICメダル70を形状及び大きさが同じメダル(適正メダルMT)であるため、メダル投入口15から投入可能である。ここで、メダル選別装置30の通信機能を有効にする場合、通常メダル77は遊技に関連する情報が記憶されていないため遊技に使用することができないメダルとなる。したがって、メダル情報判定手段230は、ICメダル70と通信装置43による通信が成立しない場合には、読み出しエラーとして遊技に使用できないと判定する。そして、電磁コイル64fの通電を止めて、通常メダル77を選別排除装置39から排除する。
【0117】
なお、上記(1)から(4)の情報の照合の結果、メダル情報判定手段230により、遊技に使用できないと判定されなかった、すなわち、遊技に使用できると判定された場合であっても、金属の外郭部71を有しない偽造ICメダルについては、近接センサー42から近接信号を受信していないため、遊技に使用できないと判定される。
以上のとおり、メダル情報判定手段230は、スロットマシン10に投入されたICメダル70から情報を読み出し、遊技に使用できるか否かを判定する。そして、遊技に使用できると判定された場合は、選別排除装置39を通過させてメダル検知センサー40でのカウントに至る。一方、読み出した情報が店舗IDエラー、貸出レートエラー、貸出期限切れ、又は読み出しエラーにより遊技に使用できないと判定された場合は、選別排除装置39から当該遊技に使用できないと判定されたメダルを排除する。したがって、メダル検知センサー40でのカウントには至らない。
【0118】
(異常判定手段240)
異常判定手段240は、回転監視装置41から出力された回転検出信号を監視し、回転ディスク33の回転に異常がないかどうかを判定するものである。
具体的に説明すると、モーター35aが正常に回転している時、回転監視装置41は所定の間隔で回転検出信号を出力している。しかし、回転監視装置41から回転検出信号を入力しない、あるいは所定の間隔で回転検出信号を入力しない場合、すなわち、メダルの詰まりや不正器具等の挿入により、回転ディスク33が停止、あるいは減速している場合、異常判定手段240は異常と判定する。
【0119】
異常判定手段240が異常と判定すると、モーター駆動制御手段220はモーター35aを所定時間逆回転させる駆動を開始する。また、モーター駆動制御手段220が所定時間回転ディスク33を逆回転させた後、正回転に戻してもなお回転に異常があると異常判定手段240が判定した場合には、回転ディスク33の駆動を完全に停止する。
(異常報知手段250)
異常報知手段250は、回転ディスク33の回転に異常がある場合に、制御装置100に対して、その旨を報知するものである。
【0120】
上述のとおり、回転ディスク33の回転に異常があると判定すると、モーター駆動制御手段220は所定時間回転ディスク33を逆回転させた後、正回転に戻す。そして、依然として異常判定手段240が回転に異常があると判定した場合、換言すると、メダルの詰まりや不正状態が継続している場合、モーター駆動制御手段220は回転ディスク33の駆動を完全に停止する。この際、異常報知手段250は、報知のためのエラー信号を制御装置100に向けて出力する。
一方、エラー信号を入力した制御装置100は、遊技を中断又は中止する。また、スロットマシン10に設けられた7セグメント表示器などを制御し、メダル選別装置30に異常が発生している旨を報知する。例えば、7セグメント表示器の場合は「EE」などのエラーコードを表示することができる。
【0121】
なお、制御装置100は、スロットマシン10の遊技に係る演出を制御する演出装置(図示しておらず)に対してエラー信号を転送してもよい。この際、制御装置100からエラー信号を受信した演出装置は、スロットマシン10が備えるランプ、表示装置、スピーカー(いずれも図示しておらず)を通じてメダル選別装置30に異常が発生している旨を報知することができる。例えば、メダルが詰まっているときには表示装置に「メダルを除去してください」の文字を表示させたり、不正行為が行われている時にはスピーカーからサイレンを鳴らしたりしたりすることができる。
【0122】
(メダルカウント手段120)
メダルカウント手段120は、メダル検知センサー40により出力された通過検出信号に基づいて、適正メダルMTの枚数をカウントするためのものである。
本実施の形態では、メダル検知センサー40には、所定条件時に該当しない場合に、選別排除装置39を通過した適正メダルMTのみが到達する。したがって、メダルカウント手段120は、所定条件時に該当しない場合に、メダル検知センサー40に到達した適正メダルMTの枚数をカウントする。
【0123】
具体的には、メダル検知センサー40が、通過検出信号を出力すると、メダルカウント手段120が、適正メダルMTのカウント動作を行う。換言すれば、通過検出信号が1回出力されるごとに、カウント値を1つ加算する。
これにより、メダル投入口15に投入された適正メダルMTの枚数がカウントされる。
(遊技制御手段110)
遊技制御手段110は、スロットマシン10における遊技を制御するためのものである。
また、遊技制御手段110は、特に図示していないが、一般的な遊技である通常遊技を制御するための通常遊技制御手段、通常遊技よりも有利な遊技である特別遊技(ビッグボーナスゲーム、レギュラーボーナスゲームなど)を制御するための特別遊技制御手段、予め定めた抽選確率に基づいて、予め定められた当選役に関する抽選を行うための当選抽選手段、各回転リール23の回転停止を制御するための停止制御手段、及び、当選抽選手段の抽選結果と回転リール23の停止図柄とに基づいて、入賞処理を行うための入賞判定手段、などを備える。
【0124】
(モーター35aの駆動制御処理)
次に、上記構成を備えたスロットマシン10におけるモーター35aの駆動制御処理の概略について、
図14のフローを用いて説明する。
まずステップ100において、選別装置制御部200により、検知装置36からメダル検出信号が出力されたか否かが判定される。換言すれば、メダル通過口32aをメダルが通過したか否かが判定される。そして、メダル検出信号が出力されたと判定された場合、次のステップ101に進む。一方、メダル検出信号が出力されていないと判定された場合、ステップ100に戻る。
【0125】
ステップ101において、モーター駆動制御手段220により、モーター35aの駆動が開始される。そして、ステップ102に進む。
ステップ102において、選別装置制御部200により、メダルが通信部50に到達したか否かが判定される。具体的には、近接センサー42から近接信号が出力されたか否か、又は、通信装置43がICメダル70と通信を開始したか否かが判定される。そして、メダルが通信部50に到達したと判定された場合、ステップ103に進む。一方、メダルが通信部50に到達していないと判定された場合、ステップ102に戻る。
【0126】
ステップ103において、計時手段210により、計時のためのカウンタの値がクリアされる。すなわち、カウンタの値として「0」を設定する。そして、ステップ104に進む。
ステップ104において、計時手段210により、計時が開始される。そして、ステップ105に進む。
ステップ105において、モーター駆動制御手段220により、モーター35aの一時停止制御が実行開始される。そして、ステップ106に進む。
【0127】
ステップ106において、選別装置制御部200により、計時手段210による計時の時間の値が所定値(0.2秒)に達したか否かが判定される。そして、計時手段210による計時の時間の値が所定値(0.2秒)に達したと判定された場合、次のステップ107に進む。一方、計時手段210による計時の時間の値が所定値(0.2秒)に達していないと判定された場合、ステップ106に戻る。
なお、計時手段210による計時の時間の値が所定値(0.2秒)に達するまでの間に、通信装置43はICメダル70と通信を行い、ICメダル70から遊技に関連する情報を読み出し、制御装置100に送信する。
【0128】
ステップ107において、モーター駆動制御手段220により、モーター35aの駆動を再開する。そして、ステップ108に進む。
ステップ108において、選別装置制御部200により、メダルが通信部50に到達したか否かが判定される。具体的には、近接センサー42から近接信号が出力されたか否か、又は、通信装置43がICメダル70と通信を開始したか否かが判定される。そして、メダルが通信部50に到達したと判定された場合、ステップ103に戻る。一方、メダルが通信部50に到達していないと判定された場合、ステップ109に進む。
【0129】
ステップ109において、選別装置制御部200により、検知装置36からメダル検出信号が出力されたか否かが判定される。換言すれば、メダル通過口32aを再びメダルが通過したか否かが判定される。そして、メダル検出信号が出力されたと判定された場合、ステップ102に戻る。一方、メダル検出信号が出力されていないと判定された場合、ステップ110に進む。
ステップ110において、選別装置制御部200により、計時手段210による計時の時間の値が所定値(2秒)に達したか否かが判定される。そして、計時手段210による計時の時間の値が所定値(2秒)に達したと判定された場合、次のステップ111に進む。一方、計時手段210による計時の時間の値が所定値(2秒)に達していないと判定された場合、ステップ108に戻る。
【0130】
ステップ111において、モーター駆動制御手段220により、モーター35aの駆動が終了される。そして、ステップ112に進む。
ステップ112において、計時手段210により、計時が終了され、モーター35aの駆動制御処理が終了する。
(メダル判定・選別処理)
次に、メダル判定・選別処理について、
図15のフローを用いて説明する。
まず、ステップ200において、メダル情報判定手段230は、通信装置43がICメダル70から受信した遊技に関連する情報を取得する。そして次のステップ201に進む。
【0131】
ステップ201において、取得した遊技に関連する情報の照合が行われる。具体的には、メダル情報判定手段230は、スロットマシン10に記憶されている店舗IDが一致するか、スロットマシン10に記憶されている貸出レート情報が一致するか、貸出期限がスロットマシン10の有する現在の日時情報より新しいか、そもそもICメダル70と通信装置43による通信が成立しているかどうかについて判断する。そして、ステップ202に進む。
ステップ202において、メダル情報判定手段230により、照合結果の判定が行われる。照合の結果、遊技に使用できると判定された場合、次のステップ203に進む。一方、遊技に使用できないと判定された場合、ステップ205に進む。
【0132】
ステップ203において、メダル情報判定手段230により、近接信号を受信したか否かが判定される。近接信号を受信したと判定された場合、すなわち、金属の外郭部71を有する正規のICメダル70と判定された場合、次のステップ204に進む。一方、近接信号を受信していないと判定された場合、すなわち、金属の外郭部71を有しない偽造ICメダルと判定された場合、ステップ205に進む。
ステップ204において、メダル検知センサー40をメダルが通過する。すなわち、メダルカウント手段120により、遊技に使用できると判定されたメダルのカウントが行われる。そしてメダル判定・選別処理は終了する。
【0133】
一方、ステップ205において、選別装置制御部200からの通電停止指示により、電磁コイル64fの通電が停止する。すなわち、遊技に使用できないと判定されたメダルが選別排除装置39から排除される。そしてメダル判定・選別処理は終了する。
(総括)
本実施の形態では、メダル投入口15に投入された適正メダルMT及び小径メダルMSは、メダル通過口32aを通過して貯留部32に一時的に貯留される。そして、メダル通過口32aをメダルが通過したことが検知装置36により検出されると、この検知装置36がメダル検出信号を出力し、このメダル検出信号の入力を契機として、モーター駆動制御手段220がモーター35aの駆動を開始する。すなわち、モーター35aの駆動軸が反時計回りに回転するとともに、モーター35aの駆動軸に固定されたピニオンギヤ35bを介して減速ギヤ35cは時計回りに回転する。そして、減速ギヤ35cに取り付けられている回転ディスク33は時計回りに回転する。そして、この回転ディスク33の回転により、貯留部32に貯留されているメダルは、回転ディスク33のメダル収納部34に1枚ずつ収納され、一定間隔で排出部37まで送られる。ここで、メダル選別装置30の通信機能を有効にしている場合、貯留部32から所定位置まで移送されたICメダル70が通信部50に到達すると、通信装置43は当該ICメダル70と通信を行い、ICメダル70から遊技に関連する情報が読み出される。そして、回転ディスク33により排出部37まで送られたメダル(適正メダルMT又は小径メダルMS)は、順次、メダル通路38を上流側から下流側に向けて誘導される。そして、総てのメダルは一定間隔で1枚ずつ選別排除装置39に到達する。選別排除装置39に到達した小径メダルMSは、常時、選別排除装置39によりメダル通路38から排除される。また、メダル情報判定手段230によって遊技に使用できないと判定されたメダル(ICメダル70、通常メダル77、偽造ICメダル)も排除される。さらに、適正メダルMTを投入不可と設定している場合にも総てのメダルは排除される。そして、適正メダルMTを投入可と設定している場合に、メダル情報判定手段230によって遊技に使用できると判定されたICメダル70は、選別排除装置39を通過する。選別排除装置39を通過したICメダル70は、メダル通路38のさらに下流側へ誘導される。そして、ICメダル70の通過がメダル検知センサー40により検出されると、このメダル検知センサー40が通過検出信号を出力する。この通過検出信号に基づいて、メダルカウント手段120がメダル(ICメダル70)の枚数をカウントする。
【0134】
上述のように、本実施の形態では、貯留部32から所定位置までの途中に通信部50を設けている。メダルが移送される際、メダル収納部34には1枚ずつメダルが収納されるため、通信部50に達するメダルは1枚ずつとなる。したがって、遊技に関連する情報が記憶されているICメダル70との通信を1枚ずつ確実に行うことができる。
また、ICメダル70は、通信部50にて通信装置43との通信を行った後、排出部37への移送を経て、選別排除装置39に到達する。このため、ICメダル70が遊技に使用できるか否かの判定を行う時間を確実に確保することができるとともに、遊技に使用できないと判定されたメダルを確実に排除することができる。
【0135】
本実施の形態では、ICメダル70を使用可能とすることにより、メダルの直径、厚みを測定する形状識別では不可能な、他店舗のメダルや貸出レートが異なるメダルなどの判別を行うことができるため、景品交換率の低い店のメダルが交換率の高い店に持ち込まれるという不正行為や、貸出レートの低いコーナー又は店舗で貸し出されたメダルを貸出レートが高いメダルとして精算する不正行為などを確実に防止することができる。
また、本実施の形態では、ICメダル70が通信部50に到達した場合に、回転ディスク33の回転が一時停止する。すなわち、通信装置43との間で通信を行っている最中のICメダル70の移動が一時的に停止するため、通信装置43とICメダル70との通信を確実に行うことができる。
【0136】
特に、通信装置43の出力を大きくした場合、貯留部32に貯留された他のICメダル70とも混信する恐れが生ずるが、本発明によれば、通信装置43の出力を低くしても、ICメダル70との間の通信を確実に行うことができる。
なお、ICメダル70が通信部50に到達した場合に、回転ディスク33の回転を一時停止させずに減速させてもよい。
なお、本実施の形態では、通信装置43はICメダル70から遊技に関連する情報を読み出すだけであるが、これに限らず、ICメダル70に対して、情報を書き込んでもよい。例えば、スロットマシン10に投入された回数をカウントしてICメダル70に書き込むことが可能である。また、店舗IDエラーや貸出レートエラーが生じた場合、当該エラーの情報をICメダル70に記憶させることで、エラーが発生したメダルの再使用を禁止することができる。
【0137】
遊技者あるいは店員は、ICメダル70に記憶されている情報を直接見ることはできない。しかし、本実施の形態のICメダル70は、その表面に遊技に関連する情報に対応する色彩、文字、又は記号を施しているため、識別が可能である。例えば、ICメダル70の表面に店舗名を表す文字や記号を刻印することにより、メダル選別装置30による店舗IDの照合と、店員の目視による識別とを併用することが可能となる。
なお、遊技にICメダル70を使用するとともに、メダル選別装置30の通信機能を有効とした場合、通信装置43にて読み出されたICメダル70の情報によって、メダル情報判定手段230が当該ICメダル70を遊技に使用できると判定した場合に、メダルカウント手段120がメダルの枚数をカウントするように形成してもよい。この場合、メダル検知センサー40が不要となる。
【0138】
これにより、例えば、糸を括り付けたメダルをメダル投入口15から投入し、糸を操ることでメダルがメダルセンサーの前後を往復するようにして、メダルのカウントを行わせるような不正行為は意味をなさなくなる。
また、細長い板状部材の先端部に発光体を取り付けた不正器具を、メダル投入口15から差し込み、発光体をメダルセンサーの位置に合わせてメダルの通過によるタイミングと同じように点滅させることで、メダルを擬似的に投入するという不正行為も意味をなさなくなる。したがって、不正器具の使用は極めて困難なものとなるため、上述のような不正行為を防止することができることとなる。
【0139】
一方、本実施の形態では、メダル選別装置30の通信機能を無効にすることで、ICメダル70ではなく通常メダル77を使用して遊技を行うことができる。ICメダル70を利用した不正行為の防止はできないが、他方、ICメダル70が導入されていない店舗においても、メダル選別装置30を従来のものと交換することなく遊技を行うことができる。この場合でも以下のように不正行為を防止することができる。
この場合、貯留部32から所定位置まで移送された適正メダルMT又は小径メダルMSは、順次、メダル通路38を上流側から下流側に向けて誘導される。そして、総てのメダルは一定間隔で1枚ずつ選別排除装置39に到達する。選別排除装置39に到達した小径メダルMSは、常時、選別排除装置39によりメダル通路38から排除される。また、適正メダルMTを投入不可と設定している場合にも総てのメダルは排除される。そして、適正メダルMTを投入可と設定しているときに、選別排除装置39に到達した適正メダルMTは、選別排除装置39を通過する。選別排除装置39を通過した適正メダルMTは、メダル通路38のさらに下流側へ誘導される。そして、適正メダルMTの通過がメダル検知センサー40により検出されると、このメダル検知センサー40が通過検出信号を出力する。この通過検出信号に基づいて、メダルカウント手段120が適正メダルMTの枚数をカウントする。
【0140】
本実施の形態では、メダル選別装置30の通信機能を無効にした場合であっても、回転ディスク33が、メダル投入口15からメダル検知センサー40まで至る経路の途中に設けられている。すなわち、メダル投入口15からメダル検知センサー40まで至る経路が、回転ディスク33により機械的に遮断されていることとなる。
また、メダル投入口15に投入された適正メダルMTは、回転ディスク33の回転により排出部37まで送られた後、メダル通路38に誘導されてメダル検知センサー40まで至ることとなる。すなわち、回転ディスク33の回転という動作を経なければ、適正メダルMTはメダル検知センサー40まで至ることができない。
【0141】
これにより、例えば、糸を括り付けたメダルをメダル投入口15から投入し、糸を操ることでメダルがメダル検知センサー40の前後を往復するようにして、適正メダルMTのカウントを行わせるような不正行為を確実に防止することができる。すなわち、回転ディスク33が回転することにより、糸が切れてしまったり、回転ディスク33に糸が絡まったりする可能性が高い。また、糸が切れず、回転ディスク33に糸が絡まらなかったとしても、回転ディスク33により糸の操作が妨げられる可能性が高い。このように、糸の使用は極めて困難なものとなるため、上述のような不正行為を防止することができることとなる。
【0142】
また、細長い板状部材の先端部に発光体を取り付けた不正器具を、メダル投入口15から差し込み、発光体をメダル検知センサー40の位置に合わせて適正メダルMTの通過によるタイミングと同じように点滅させることで、適正メダルMTを擬似的に投入するという不正行為も確実に防止することができる。すなわち、上述と同様に、回転ディスク33が回転することにより、不正器具が回転ディスク33に挟まれて壊れてしまう等、回転ディスク33により不正器具の操作が妨げられる可能性が高い。したがって、不正器具の使用は極めて困難なものとなるため、上述のような不正行為を防止することができることとなる。
【0143】
また、本実施の形態では、大量のメダルが高速で連続して投入された場合にも、このメダルが貯留部32に貯留されてから、その後に、回転ディスク33により、1枚ずつ順次、一定間隔で通信部90を経由して排出部37へ送られることとなる。
すなわち、メダル投入口15に投入されたメダルは、遊技者によるメダル投入の条件(一度に投入しようとする枚数、投入間隔、投入速度など)にかかわらず、一定間隔で通信部90を経由して選別排除装置39に到達することとなる。
したがって、通信部50では、一定間隔で1枚ずつ順次、ICメダル70との通信を行うこととなるため、遊技者によるメダル投入の条件に影響されることなく、ICメダル70との通信を、正確に、かつ、安定して行うことができることとなる。また、選別排除装置39は、一定間隔で1枚ずつ順次、ICメダル70の選別をすることとなるため、遊技者によるメダル投入の条件に影響されることなく、ICメダル70の選別を、正確に、かつ、安定して行うことができることとなる。すなわち、ICメダル70を連続投入しても、処理が滞ることはない。
【0144】
遊技機における遊技中のメダル投入動作は、遊技者にとって煩わしいものであるため、遊技感覚からも高速でメダルを投入しようとする遊技者が多い。本発明によれば、メダル投入口15から投入されたメダルは、貯留部32に一度貯留された後、選別排除装置39によりメダルの選別が行われるため、上述のような遊技者に対しても、遊技感覚を損なわせることなく、高速でのメダル投入を行わせることができる。したがって、高速でのメダル投入を望む遊技者、及び、望まない遊技者のいずれに対しても、メダル投入動作について満足感を与えることができることとなる。
【0145】
なお、本実施の形態のメダル選別装置30は、ボード部31a及び回転ディスク33が前扉12の裏側から見たときの奥方向、すなわち、スロットマシン10の正面から見たときの手前方向にその上側が傾いた状態で設置されている。しかし、これに限らず、反対向きに設置させてもよい。つまり、ボード部31a及び回転ディスク33が前扉12の裏側から見たときの手前方向、すなわち、スロットマシン10の正面から見たときの奥方向にその上側が傾いた状態で設置させてもよい。
(変形例)
本実施の形態には、変形例として以下のバリエーションを含んでいる。
【0146】
(モーター35aの一時停止の契機)
本実施の形態では、近接センサー42が近接信号を出力したことを契機としてモーター35aの一時停止制御を行っている。しかし、これに限らず、通信部50に設けられた通信装置43がICメダル70との通信を開始したことを契機としてもよい。具体的には、通信装置43から放射された電波による電磁誘導により起電したICメダル70から、何らかの情報を受信した時点で一時停止制御を行うことができる。
この場合、通信部50に設けられた通信装置43がICメダル70との通信を開始したことが「メダルが通信部50に到達したこと」に該当する。
【0147】
(モーター35aの駆動再開の契機)
本実施の形態では、モーター35aの駆動を一時停止した場合は、計時手段210により計時された時間の値が所定値(例えば、0.2秒)に達したことを契機として、一時停止中のモーター35aの駆動を再開させるように制御している。しかし、計時手段210を使用せず、制御装置100が通信装置43とICメダル70との通信が終了したか否かを判定し、通信が終了したと判定したときに、モーター駆動制御手段220が一時停止中のモーター35aの駆動を再開するように制御してもよい。
【0148】
この場合、通信部50に設けられた通信装置43がICメダル70との通信を終了したことが、「所定の条件を満たすこと」に該当する。
(モーター35aの駆動終了の契機)
上記実施の形態では、近接センサー42が、近接信号を出力したことを契機として、計時手段210が計時を開始し、計時手段210により計時された時間の値が、所定値(2秒)に達したことを契機として、モーター駆動制御手段220が、モーター35aの駆動を終了するように制御していたが、回転ディスク33のメダル収納部34に収納されたメダルが、排出部37に排出されてからの所定時間の経過を契機として、モーター駆動制御手段220が、モーター35aの駆動を終了するように制御することもできる。
【0149】
具体的には、排出部37に、メダルの通過を検知するための排出部センサー(特に図示しておらず)を設ける。排出部センサーは、例えば、フォトセンサーにより構成されるものであって、メダルが排出部37を通過することにより、発光部から発せられる光が遮断されるようになっており、これによりメダルの通過を検出する。そして、排出部センサーがメダルの通過を検出することにより、排出検出信号(Hiレベル信号、Loレベル信号いずれにも設定可)を出力する。
そして、前記排出検出信号の出力を契機として、計時手段210が計時を開始する。
【0150】
なお、計時手段210が計時を開始した後に、再度、検知装置36が、メダル検出信号を出力した場合、すなわち、メダル通過口32aをメダルが通過した場合には、計時手段210は計時を停止し、計時手段210により計時された時間をクリアする。そして、再度、上述と同様の処理を行う。すなわち、前記排出部センサーが、前記排出検出信号を出力したことを契機として、計時手段210が計時を開始する。
また、計時手段210が計時を開始した後に、再度、排出部センサーが、通過検出信号を出力した場合、すなわち、新たにメダルが排出部37を通過した場合には、計時手段210により計時された時間をクリアした後、再度、計時手段210が計時を開始する。
【0151】
そして、計時手段210により計時された時間の値が、所定値(例えば、2秒)に達したことを契機として、モーター駆動制御手段220が、モーター35aの駆動を終了するように制御する。
また、メダルが検知装置36を通過してからの所定時間の経過を契機として、モーター駆動制御手段220が、モーター35aの駆動を終了するように制御することもできる。
具体的には、検知装置36が、メダル検知信号を出力したことを契機として、計時手段210が計時を開始する。
【0152】
なお、計時手段210が計時を開始した後に、再度、検知装置36が、メダル検出信号を出力した場合、すなわち、メダル通過口32aをメダルが通過した場合には、計時手段210は計時を停止し、計時手段210により計時された時間をクリアする。そして、再度、計時手段210が計時を開始する。
そして、計時手段210により計時された時間の値が、所定値(例えば、2秒)に達したことを契機として、モーター駆動制御手段220が、モーター35aの駆動を終了するように制御する。
【0153】
また、適正メダルMTがメダル検知センサー40を通過してからの所定時間の経過を契機として、モーター駆動制御手段220が、モーター35aの駆動を終了するように制御することもできる。
具体的には、メダル検知センサー40が、通過検出信号を出力したことを契機として、計時手段210が計時を開始する。
なお、計時手段210が計時を開始した後に、再度、検知装置36が、メダル検出信号を出力した場合、すなわち、メダル通過口32aをメダルが通過した場合には、計時手段210は計時を停止し、計時手段210により計時された時間をクリアする。そして、再度、上述と同様の処理を行う。すなわち、メダル検知センサー40が、前記通過検出信号を出力したことを契機として、計時手段210が計時を開始する。
【0154】
また、計時手段210が計時を開始した後に、再度、メダル検知センサー40が、通過検出信号を出力した場合、すなわち、新たに適正メダルMTがメダル検知センサー40を通過した場合には、計時手段210により計時された時間をクリアした後、再度、計時手段210が計時を開始する。
そして、計時手段210により計時された時間の値が、所定値(例えば、2秒)に達したことを契機として、モーター駆動制御手段220が、モーター35aの駆動を終了するように制御する。
【0155】
また、メダル通過口32aを通過したメダルの枚数と同数のメダルが、排出部37に排出されたことを契機として、モーター駆動制御手段220が、モーター35aの駆動を終了するように制御することもできる。
具体的には、前述と同様に排出部37に、メダルの通過を検知するための排出部センサーを設ける。制御装置100は、前記排出部センサーが検知したメダルの通過枚数をカウントするとともに、検知装置36が検知したメダルの通過枚数をカウントする。
そして、検知装置36が検知したメダルの通過枚数と同数のメダルが前記排出部センサーを通過したことを契機として、モーター駆動制御手段220が、モーター35aの駆動を終了するように制御する。
【0156】
さらに、モーター駆動制御手段220は、スロットマシン10の電源がONとなったことを契機として、モーター35aの駆動を開始し、スロットマシン10の電源がOFFとなったことを契機として、モーター35aの駆動を終了するように制御することもできる。
すなわち、モーター駆動制御手段220は、スロットマシン10の稼動中は常に、モーター35aを駆動するように制御することもできる。
上記実施の形態に係るメダル選別装置30は、スロットマシン以外のメダル遊技機やゲーム機にも応用することができる。また、上記実施の形態に係るメダル選別装置30は、メダルのカウントにのみ使用されるものではなく、他の用途に使用することもできる。