特許第6472981号(P6472981)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6472981
(24)【登録日】2019年2月1日
(45)【発行日】2019年2月20日
(54)【発明の名称】クレンジング化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/37 20060101AFI20190207BHJP
   A61K 8/891 20060101ALI20190207BHJP
   A61Q 1/14 20060101ALI20190207BHJP
   A61K 8/39 20060101ALI20190207BHJP
【FI】
   A61K8/37
   A61K8/891
   A61Q1/14
   A61K8/39
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-224345(P2014-224345)
(22)【出願日】2014年11月4日
(65)【公開番号】特開2016-88883(P2016-88883A)
(43)【公開日】2016年5月23日
【審査請求日】2017年9月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000112266
【氏名又は名称】ピアス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074332
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100114432
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 寛昭
(72)【発明者】
【氏名】丹羽 美紀
(72)【発明者】
【氏名】丸山 勝弘
【審査官】 岡田 三恵
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−012252(JP,A)
【文献】 特開2008−184415(JP,A)
【文献】 特開2013−224268(JP,A)
【文献】 特開2014−062061(JP,A)
【文献】 特開2008−037779(JP,A)
【文献】 特開2006−176470(JP,A)
【文献】 特開2006−083092(JP,A)
【文献】 特開2011−213664(JP,A)
【文献】 特開2001−181133(JP,A)
【文献】 特開2003−095919(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/37
A61K 8/39
A61K 8/891
A61Q 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
グリセリンの付加モル数が4以上6以下のポリグリセリンオレイン酸エステルと、オキシエチレンのモル数が5以上9以下のポリオキシエチレン脂肪酸グリセリルと、油とを含み、
ポリグリセリンモノオレイン酸エステル及びポリグリセリンジオレイン酸エステルの少なくとも一方を前記ポリグリセリンオレイン酸エステルとして含み、
脂肪酸とアルコールとのカルボン酸エステル、及び、環状シリコーンのうち少なくとも一方を前記油として含み、
前記ポリグリセリンオレイン酸エステルを30質量%以下含み、
前記ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリルを9質量%以下含み、
前記油を55質量%以上含み、
前記ポリグリセリンオレイン酸エステル(A)と、前記ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリル(B)との質量比は、(A):(B)=1:1〜6:1 であり、
前記ポリグリセリンオレイン酸エステル(A)及び前記ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリル(B)の総質量と、前記油(C)の質量との比は、(A+B):(C)=1:1.5〜1:5.0 であるクレンジング化粧料。
【請求項2】
ポリオキシエチレンモノ脂肪酸グリセリルを前記ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリルとして含む、請求項1に記載のクレンジング化粧料。
【請求項3】
ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸グリセリルを前記ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリルとして含む、請求項1又は2に記載のクレンジング化粧料。
【請求項4】
多価アルコールをさらに含む、請求項1〜のいずれか1項に記載のクレンジング化粧料。
【請求項5】
前記多価アルコールは、グリセリン及びソルビトールのうち少なくとも一方である、請求項に記載のクレンジング化粧料。
【請求項6】
水をさらに含む、請求項1〜のいずれか1項に記載のクレンジング化粧料。
【請求項7】
前記水を0.1質量%以上15質量%以下含む、請求項に記載のクレンジング化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、メイク汚れを除去するクレンジング化粧料などの化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の化粧料としては、例えば、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸グリセリルと、トリイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリルと、ステアリン酸ポリグリセリルと、2−エチルヘキサン酸セチルなどの油と、セチルリン酸塩などの塩と、水とを含むクレンジング化粧料が提案されている(特許文献1)。
【0003】
特許文献1に記載されたクレンジング化粧料は、例えば、皮膚上において使用者の指によってメイク汚れとなじませ、その後洗い流されて使用される。
【0004】
特許文献1に記載されたクレンジング化粧料は、メイク汚れを除去できるものの、メイク汚れとなじませているときの使用感の点では、必ずしも優れたものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014−062061号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記の点に鑑み、使用感に優れメイク汚れを十分に除去できるクレンジング化粧料を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るクレンジング化粧料は、グリセリンの付加モル数が4以上6以下のポリグリセリンオレイン酸エステルと、オキシエチレンのモル数が5以上9以下のポリオキシエチレン脂肪酸グリセリルと、油とを含み、
ポリグリセリンモノオレイン酸エステル及びポリグリセリンジオレイン酸エステルの少なくとも一方を前記ポリグリセリンオレイン酸エステルとして含み、
脂肪酸とアルコールとのカルボン酸エステル、及び、環状シリコーンのうち少なくとも一方を前記油として含み、
前記ポリグリセリンオレイン酸エステルを30質量%以下含み、
前記ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリルを9質量%以下含み、
前記油を55質量%以上含み、
前記ポリグリセリンオレイン酸エステル(A)と、前記ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリル(B)との質量比は、(A):(B)=1:1〜6:1 であり、
前記ポリグリセリンオレイン酸エステル(A)及び前記ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリル(B)の総質量と、前記油(C)の質量との比は、(A+B):(C)=1:1.5〜1:5.0 である
斯かる化粧料は、使用感に優れメイク汚れを十分に除去できる。
【0008】
上記の化粧料は、ポリオキシエチレンモノ脂肪酸グリセリルを前記ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリルとして含むことが好ましい。これにより、メイク汚れをより十分に除去できるという利点がある。
【0009】
上記の化粧料は、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸グリセリルを前記ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリルとして含むことが好ましい。
【0013】
上記の化粧料は、多価アルコールをさらに含むことが好ましい。化粧料が多価アルコールをさらに含むことにより、使用感がより優れたものになるという利点がある。
【0014】
上記の化粧料では、前記多価アルコールは、グリセリン及びソルビトールのうち少なくとも一方であることが好ましい。
【0015】
上記の化粧料は、水をさらに含むことが好ましい。化粧料が水をさらに含むことによって、塗布時および洗い流し時の使用感がより優れたものになるという利点がある。
【0016】
上記の化粧料は、水を0.1質量%以上15質量%以下含むことが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明の化粧料は、使用感に優れメイク汚れを十分に除去できるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明に係る化粧料の一実施形態について説明する。本実施形態では、化粧料の一例として、メイクアップ料(メイク汚れ)を除去するためのクレンジング化粧料について説明する。
【0019】
本実施形態のクレンジング化粧料は、ポリグリセリンオレイン酸エステルと、ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリルと、油とを含む。本実施形態のクレンジング化粧料は、多価アルコールと、水とをさらに含むことが好ましい。なお、本明細書において、脂肪酸とは、炭素数が8以上18以下のカルボン酸を意味する。
【0020】
本実施形態のクレンジング化粧料は、通常、液状である。本実施形態のクレンジング化粧料によって除去されるメイク汚れとしては、例えば、皮膚に塗られた化粧下地、ファンデーション、日焼け止め、唇に塗られた口紅、目元に塗られたアイライナー、睫毛に付けられたマスカラ、眉毛につけられた眉メイク料などが挙げられる。
【0021】
前記ポリグリセリンオレイン酸エステルとしては、ポリグリセリンモノオレイン酸エステル、ポリグリセリンジオレイン酸エステル、又は、ポリグリセリントリオレイン酸エステルなどが挙げられる。
【0022】
本実施形態のクレンジング化粧料は、メイク汚れをより十分に除去できるという点、また、使用感がより優れたものになるという点で、ポリグリセリンモノオレイン酸エステル及びポリグリセリンジオレイン酸エステルの少なくとも一方を前記ポリグリセリンオレイン酸エステルとして含むポリグリセリンジオレイン酸エステルを含むことがより好ましい。
【0023】
前記ポリグリセリンオレイン酸エステルのグリセリンの付加モル数は、4以上以下である化粧料をメイク汚れとなじませた後における洗い流しやすさがより優れたものになるという利点がある。
【0024】
詳しくは、本実施形態のクレンジング化粧料は、前記ポリグリセリンオレイン酸エステルとして、グリセリンの付加モル数が4以上6以下のポリグリセリンオレイン酸エステルを含む。より詳しくは、グリセリンの付加モル数が4以上6以下のポリグリセリンモノオレイン酸エステル及びグリセリンの付加モル数が4以上6以下のポリグリセリンジオレイン酸エステルの少なくとも一方を含む
【0025】
前記ポリグリセリンオレイン酸エステルとしては、例えば、市販されているもの(製品名「サンソフト」シリーズ(太陽化学社製)など)を用いることができる。
【0026】
本実施形態のクレンジング化粧料は、ポリグリセリンオレイン酸エステルを10質量%以上30質量%以下含むことが好ましい。ポリグリセリンオレイン酸エステルを10質量%以上30質量%以下含むことにより、塗布時および洗い流し時の使用感がより優れたものになり、安定性が良好になるという利点がある。
【0027】
前記ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリルとしては、例えば、ポリオキシエチレンカプリル酸(オクタン酸)グリセリル、ポリオキシエチレンカプリン酸(デカン酸)グリセリル、ポリオキシエチレンラウリン酸グリセリル、ポリオキシエチレンミリスチン酸グリセリル、ポリオキシエチレンパルミチン酸グリセリル、ポリオキシエチレンステアリン酸グリセリル、ポリオキシエチレンオレイン酸グリセリル、ポリオキシエチレンリノール酸グリセリルなどが挙げられる。
【0028】
本実施形態のクレンジング化粧料は、メイク汚れをより十分に除去できるという点、また、使用感がより優れたものになるという点で、前記ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリルとして、少なくともポリオキシエチレンラウリン酸グリセリル及びポリオキシエチレンミリスチン酸グリセリルを含むことが好ましい。
詳しくは、本実施形態のクレンジング化粧料は、前記ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリルとして、炭素数が様々の脂肪酸組成を有するヤシ油を用いて作られたポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸グリセリルを含むこと、又は、ヤシ油脂肪酸と類似の脂肪酸組成を有するパーム核油を用いて作られたポリオキシエチレン脂肪酸グリセリルを含むことが好ましい。
【0029】
なお、ヤシ油の脂肪酸の組成は、例えば、カプリル酸が6〜10%、カプリン酸が4〜12%、ラウリン酸が45〜52%、ミリスチル酸が15〜22%、パルミチン酸が4〜10%、ステアリン酸が1〜5%、オレイン酸が2〜10%、リノール酸が1〜3%である。
【0030】
前記ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリルは、グリセリン1モルに対して脂肪酸が1モル結合したポリオキシエチレンモノ脂肪酸グリセリルであることが好ましい。
【0031】
前記ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリルのオキシエチレンのモル数は、5以上9以下である
【0032】
詳しくは、本実施形態のクレンジング化粧料は、前記ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリルとして、オキシエチレンのモル数が5以上9以下のポリオキシエチレンモノ脂肪酸グリセリルを含むことが好ましく、オキシエチレンのモル数が5以上9以下のポリオキシエチレンモノヤシ油脂肪酸グリセリルを含むことがより好ましい。
【0033】
前記ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリルとしては、例えば、市販されているもの(製品名「Cetiol HE」(BASF社製)など)を用いることができる。
【0034】
本実施形態のクレンジング化粧料は、ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリルを1質量%以上12質量%以下含むことが好ましく、3質量%以上9質量%以下含むことが好ましい。ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリルを1質量%以上含むことにより、メイク汚れをより十分に除去できるという利点があり、12質量%以下含むことにより、安定性がより良好となるという利点がある。
【0035】
前記油は、炭素数が少なくとも10であり25℃で液状の有機化合物である。前記油は、通常、ヒドロキシ基を含まない。前記油としては、例えば、非極性油、極性油などが挙げられる。
【0036】
前記非極性油としては、例えば、流動パラフィンなどの炭化水素油が挙げられる。前記極性油としては、例えば、分子中にエステル結合を有するエステル油、分子中にポリシロキサン構造を有するシリコーン油などが挙げられる。
【0037】
前記エステル油としては、例えば、脂肪酸とアルコールとのカルボン酸エステルが挙げられる。なお、脂肪酸とは、上述したように、炭素数が8以上18以下のカルボン酸を意味する。
前記カルボン酸エステルとしては、例えば、カプリル酸、2−エチルヘキサン酸、イソノナン酸、カプリン酸(デカン酸)、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、及びオレイン酸からなる群より選択されたカルボン酸と、炭素数8〜18の高級アルコールとのエステル化合物が挙げられる。
【0038】
前記シリコーン油としては、例えば、直鎖状シリコーン、環状シリコーンなどが挙げられる。
前記直鎖状シリコーンとしては、例えば、ジメチルポリシロキサンが挙げられる。前記環状シリコーンとしては、例えば、デカメチルシクロペンタシロキサンが挙げられる。
【0039】
本実施形態のクレンジング化粧料は、メイク汚れがより十分に除去でき、使用感がより優れたものになるという点で、前記油として、脂肪酸とアルコールとのカルボン酸エステル、及び、環状シリコーンのうち少なくとも一方を含む本実施形態のクレンジング化粧料は、前記油として、脂肪酸とアルコールとのカルボン酸エステル、及び、環状シリコーンを含むことがより好ましい。
本実施形態のクレンジング化粧料は、前記油として、パルミチン酸2−エチルヘキシル、イソノナン酸イソノニル、及び、デカメチルシクロペンタシロキサンからなる群より選択される少なくとも1種を含むことがさらに好ましい。本実施形態のクレンジング化粧料は、前記油として、パルミチン酸2−エチルヘキシル、イソノナン酸イソノニル、及び、デカメチルシクロペンタシロキサンを含むことが最も好ましい。
【0040】
本実施形態のクレンジング化粧料は、前記油を55質量%以上80質量%以下含むことが好ましい。化粧料が油を55質量%以上80質量%以下含むことにより、メイク汚れをより十分に除去できるという利点がある。
【0041】
前記多価アルコールは、分子中に2〜6の炭素原子を有し且つ複数のヒドロキシ基を有する有機化合物である。
【0042】
前記多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、ソルビトールなどが挙げられる。
【0043】
前記多価アルコールとしては、分子中に3〜6の炭素原子を有し且つ3〜6のヒドロキシ基を有する化合物が好ましい。本実施形態のクレンジング化粧料は、グリセリン及びソルビトールのうち少なくとも一方を前記多価アルコールとして含むことが好ましく、グリセリン及びソルビトールを前記多価アルコールとして含むことがより好ましい。
【0044】
本実施形態のクレンジング化粧料は、前記多価アルコールを5質量%以上10質量%以下含むことが好ましい。多価アルコールを5質量%以上10質量%以下含むことにより、使用感がより優れたものになるという利点がある。
【0045】
本実施形態のクレンジング化粧料は、前記水を0.1質量%以上15質量%以下含むことが好ましく、水を2質量%以上15質量%以下含むことがより好ましい。水を0.1質量%以上15質量%以下含むことにより、塗布時および洗い流し時の使用感がより優れたものになるという利点がある。
【0046】
本実施形態のクレンジング化粧料に含まれるポリグリセリンオレイン酸エステル(A)と、ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリル(B)との質量比は、(A):(B)= 1:1 〜 13:1 であることが好ましく、 3:1 〜 6:1 であることがより好ましい。
【0047】
本実施形態のクレンジング化粧料に含まれるポリグリセリンオレイン酸エステル(A)及びポリオキシエチレン脂肪酸グリセリル(B)の総質量と、油(C)の質量との比は、(A+B):(C)= 1:1.5 〜 1:5.0 である
【0048】
本実施形態のクレンジング化粧料に含まれる油(C)の質量と、多価アルコール(D)及び水(E)の総質量との比は、(C):(D+E)= 2.0:1 〜 8.0:1 であることが好ましい。これにより使用感がより優れたものになるという利点がある。
【0049】
本実施形態のクレンジング化粧料は、上記の配合成分以外に、ポリグリセリンオレイン酸エステル以外のポリグリセリン脂肪酸エステル、pH緩衝剤、防腐剤、水溶性高分子化合物、酸化防止剤などを含み得る。
【0050】
前記ポリグリセリンオレイン酸エステル以外のポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、例えば、ポリグリセリンカプリル酸エステル、ポリグリセリンカプリン酸エステル、ポリグリセリンラウリン酸エステル、ポリグリセリンミリスチン酸エステル、ポリグリセリンステアリン酸エステルなどが挙げられる。これらのポリグリセリン脂肪酸エステルのグリセリンの付加モル数は、4以上6以下であることが好ましい。
【0051】
前記ポリグリセリンカプリル酸エステルとしては、ポリグリセリンモノカプリル酸エステル、又は、ポリグリセリンジカプリル酸エステルなどが挙げられる。
前記ポリグリセリンカプリン酸エステルとしては、ポリグリセリンモノカプリン酸エステル、又は、ポリグリセリンジカプリン酸エステルなどが挙げられる。
前記ポリグリセリンラウリン酸エステルとしては、ポリグリセリンモノラウリン酸エステル、又は、ポリグリセリンジラウリン酸エステルなどが挙げられる。
前記ポリグリセリンミリスチン酸エステルとしては、ポリグリセリンモノミリスチン酸エステル、又は、ポリグリセリンジミリスチン酸エステルなどが挙げられる。
前記ポリグリセリンステアリン酸エステルとしては、ポリグリセリンモノステアリン酸エステル、又は、ポリグリセリンジステアリン酸エステルなどが挙げられる。
【0052】
本実施形態のクレンジング化粧料は、ポリグリセリンカプリル酸エステルを含むことが好ましく、ポリグリセリンモノカプリル酸エステルを含むことがより好ましく、グリセリンの付加モル数が5以上7以下のポリグリセリンモノカプリル酸エステルを含むことがさらに好ましい。
本実施形態のクレンジング化粧料は、ポリグリセリンカプリル酸エステルを1質量%以上5質量%以下含むことが好ましい。
【0053】
前記クレンジング化粧料は、一般的な方法によって製造される。具体的には、前記クレンジング化粧料は、例えば、ポリグリセリンオレイン酸エステルと、ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリルと、油と、多価アルコールと、水とを、ホモミキサーなどの混合装置を用いて混合することにより、製造することができる。
前記クレンジング化粧料は、例えば、メイクアップされた皮膚に塗布され、指でメイク汚れとなじませ、その後、水で洗い流されて使用される。
【0054】
本実施形態のクレンジング化粧料は、使用感に優れメイク汚れを十分に除去できる。例えば、本実施形態のクレンジング化粧料は、いったん塗布されたメイクアップ料(メイク汚れ)と皮膚上にてなじませるときに、皮膚に対する負担感が少ない心地よい厚みを感じさせることができるという点で、使用感に優れる。また、本実施形態のクレンジング化粧料は、メイク汚れとよくなじむことから、メイク汚れを十分に除去できる。また、本実施形態のクレンジング化粧料は、メイク汚れとなじませた後における洗い流しやすさに優れる。また、本実施形態のクレンジング化粧料は、洗い流し後にほどよいさっぱり感を感じさせることができるという点で、使用感に優れる。
【0055】
本実施形態の化粧料は、上記例示の通りであるが、本発明は、上記例示の化粧料に限定されるものではない。また、本発明では、一般の化粧料において採用される種々の形態を、本発明の効果を損ねない範囲で採用することができる。
【0056】
上記実施形態では、皮膚上のメイク汚れを除去するクレンジング化粧料について説明したが、本発明の化粧料は、例えば、皮膚をマッサージするために、皮膚上に塗布されて用いられるマッサージ用化粧料であってもよい。
【実施例】
【0057】
次に、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0058】
表1及び表2に示す組成にて各試験例の化粧料(クレンジング化粧料)を製造した。各原料の詳細は、下記の通りである。
(A)[ポリグリセリンオレイン酸エステル]
(A−1)ジオレイン酸ポリグリセリル−グリセリンの付加数5
(製品名「サンソフトA−172E−C」太陽化学社製)
(A−2)モノオレイン酸ポリグリセリル−グリセリンの付加数5
(製品名「サンソフトA−171E−C」太陽化学社製)
(A−3)トリオレイン酸ポリグリセリル−グリセリンの付加数5
(製品名「サンソフトA−173E−C」太陽化学社製)
[ポリグリセリンオレイン酸エステル以外のポリグリセリン脂肪酸エステル]
(1)モノカプリル酸ポリグリセリル−グリセリンの付加数6
(製品名「サンソフトQ−81F−C」太陽化学社製)
(2)ジミリスチン酸ポリグリセリル−グリセリンの付加数10
(製品名「サンソフトQ−142Y−C」太陽化学社製)
(3)モノラウリン酸ポリグリセリル−グリセリンの付加数10
(製品名「サンソフトQ−121Y−C」太陽化学社製)
(B)[ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリル]
(B−1)ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸グリセリル−オキシエチレンの付加数7
(製品名「Cetiol HE」BASF社製)
(C)[油]
(C−1)パルミチン酸2−エチルヘキシル
(C−2)流動パラフィン (製品名「ハイコールK−230」カネダ社製)
(C−3)イソノナン酸イソノニル
(C−4)デカメチルシクロペンタシロキサン
(D)[多価アルコール]
(D−1)グリセリン
(D−2)ソルビトール
(E)[水] 精製水
【0059】
(実施例1〜9、参考例10〜16
上記の(A)、(B)、及び(C)を60℃にて加熱溶解する。必要に応じて、ポリグリセリンオレイン酸エステル以外のポリグリセリン脂肪酸エステルを加え、さらに加熱溶解する。そこへ(D)及び(E)を加熱溶解したものを加えてスリーワンモーターで撹拌混合し、室温まで冷却することによって、粘稠な液状のクレンジング化粧料を製造した。
【0060】
(比較例1及び2)
配合組成を表2に示すように変更した点以外は、実施例と同様にしてクレンジング化粧料を製造した。
【0061】
【表1】
【0062】
【表2】
【0063】
製造した各クレンジング化粧料を使用し、下記の通り、各評価を行った。各評価方法の詳細は、以下の通りである。
【0064】
<クレンジング性能の評価>
1.人工皮膚(製品名「バイオスキン」 Beaulax社製 品番P001−001)を測色計(製品名「色彩色差計CR−200」コニカミノルタ社製)によって測色し、測色値aを得た。
2.油性マスカラを人工皮膚に塗布し、測色計によって測色し、測色値bを得た。
3.人工皮膚上で油性マスカラと各試験例のクレンジング化粧料とを指によってなじませた後、水洗を行った。その後、水洗後の人工皮膚を測色計によって測色し、測色値cを得た。
下記の式により、メイク汚れの除去率を算出した。また、下記の基準によってクレンジング性能の評価結果を表した。
除去率(%)={|c−b|/|a−b|}×100
◎:除去率80%以上
○:除去率50%以上80%未満
△:除去率20%以上50%未満
×:除去率20%未満
【0065】
<クレンジング時の使用感の評価>
10名の成人女性が各クレンジング化粧料を顔の皮膚上に塗布し、各クレンジング化粧料の使用感をそれぞれ評価した。そして、下記の基準によって使用感の評価結果を表した。
◎:10名中8名以上が負担感のない心地よい厚みがあると回答した
○:10名中6〜7名が負担感のない心地よい厚みがあると回答した
△:10名中4〜5名が負担感のない心地よい厚みがあると回答した
×:10名中3名以下が負担感のない心地よい厚みがあると回答した
【0066】
<洗い流しの性能の評価>
10名の成人女性が各クレンジング化粧料を顔の皮膚上に塗布し、各クレンジング化粧料について上記の使用感をそれぞれ評価した後、クレンジング化粧料を水で洗い流した。そして、下記の基準によって洗い流しの性能の評価結果を表した。
◎:10名中8名以上が洗い流しやすいと回答した
○:10名中6〜7名が洗い流しやすいと回答した
△:10名中4〜5名が洗い流しやすいと回答した
×:10名中3名以下が洗い流しやすいと回答した
【0067】
<安定性の評価>
各クレンジング化粧料について、安定性の評価を行った。詳しくは、製造したクレンジング化粧料を、5℃、室温、45℃の各温度で1ケ月間保管した後、保管後の状態を下記の通り評価した。
◎:5℃、室温、45℃のいずれでも外観に変化がなかった
○:室温、45℃では外観に変化がなかった
△:製造直後は均一な状態であったが、いずれかの温度で分離した
×:製造直後に分離した
【0068】
上記評価の各結果を表3に示す。表3から把握できるように、実施例のクレンジング化粧料(特に実施例1〜9のクレンジング化粧料)は、使用感に優れメイク汚れを十分に除去できる。また、実施例のクレンジング化粧料は、洗い流し性能にも優れ、安定性にも優れる。
【0069】
【表3】
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明の化粧料は、例えば、皮膚上のメイク汚れを除去するために、好適に使用される。また、本発明の化粧料は、例えば、皮膚に塗布された後、該化粧料を介して皮膚をマッサージしつつ皮膚上のメイク汚れを除去するために、好適に使用される。