特許第6473025号(P6473025)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6473025
(24)【登録日】2019年2月1日
(45)【発行日】2019年2月20日
(54)【発明の名称】印刷機
(51)【国際特許分類】
   B41F 27/00 20060101AFI20190207BHJP
   B41F 27/12 20060101ALI20190207BHJP
【FI】
   B41F27/00 A
   B41F27/12 A
   B41F27/12 D
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-68137(P2015-68137)
(22)【出願日】2015年3月30日
(65)【公開番号】特開2016-187889(P2016-187889A)
(43)【公開日】2016年11月4日
【審査請求日】2018年1月12日
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成23年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「次世代プリンテッドエレクトロニクス材料・プロセス基盤技術開発/次世代プリンテッドエレクトロニクス材料・プロセス基盤技術開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000184735
【氏名又は名称】株式会社小森コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】杉本 郁男
【審査官】 村石 桂一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−019059(JP,A)
【文献】 特開昭63−091250(JP,A)
【文献】 特開2009−234262(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0069288(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41F21/00−30/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子デバイスの基材に機能層を印刷により形成する印刷機において、
版を着脱可能に保持する版クランプ機構および前記版の位置決め用切り欠きに嵌合する基準ピンを有する版胴と、
前記版胴の外周面と対向する印刷位置が含まれる搬送経路を移動する可動ステージと、
前記版を載置可能かつ前記基材を載置可能な載置面を有し、前記可動ステージに位置調整装置を介して移動可能に支持されたワーク支持部材と、
前記ワーク支持部材に載置された状態で前記位置調整装置によって位置が調整された前記版の一端部に前記基準ピンと嵌合する切り欠きを形成するパンチャーとを備え、電子デバイスの基材に機能層を設けることを特徴とする印刷機。
【請求項2】
請求項1記載の印刷機において、
さらに、前記ワーク支持部材に載置された前記版を撮像するカメラを備え、
前記位置調整装置は、前記カメラによって撮像された画像に基づいて前記版の位置を調整するものであることを特徴とする印刷機。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載の印刷機において、
さらに、前記パンチャーによって前記切り欠きが形成された加工後の前記版を前記版胴に供給する版供給装置を備え、
前記版供給装置は、前記版胴から離間した受け渡し位置と、前記版の切り欠きが前記基準ピンに嵌合する供給位置との間で前記版を移動させる構成が採られていることを特徴とする印刷機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラスやフィルムなどの基材に高精細なパターンの配線等の機能層を印刷により形成する印刷機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ガラスやフィルムなどのフレキシブルな基材に高精細なパターンの配線等の機能層を印刷によって形成し、フレキシブル電子デバイスを製造する技術が開発されている。この種のフレキシブル電子デバイスとしては、例えば、薄膜トランジスタがある。このような印刷を行うことが可能な従来の印刷機としては、例えば特許文献1に記載されているものがある。
【0003】
この特許文献1に開示された印刷機は、基材を搬送するステージで基材の位置を調整する機能を有している。このため、この印刷機においては、印刷版が版胴にずれたり曲がったりした状態で取付けられた場合や、版胴の駆動軸が傾いて組付けられた場合であっても、ステージで基材の位置を調整できるから、設計通りの転写を行うことができる。
ところで、フレキシブルな基材に機能層を印刷することが可能な印刷機としては、版胴に取付けられた凹版の凹部にインクジェットヘッドでインキを充填し、このインキを基材に転写するものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−19059号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
インクジェットヘッドで凹版の凹部にインキを充填させる印刷機においては、版がずれたり曲がったりした状態で版胴に取付けられると、特許文献1に記載された技術で基材の位置を調整したとしても、正しく印刷を行うことはできない。この理由は、インクジェットヘッドの移動方向、移動距離には制約があり、ずれたり曲がったりした凹版の凹部にインキを充填させることが困難だからである。インクジェットヘッドを版のずれや曲がりに対応させてインキを充填することは、機械構成を複雑にするばかりでなく、複雑な動作制御も必要になり望ましくない。なお、版を版胴に正しく取付けられる構成を採るにあたって、印刷機が大型化したり、印刷機の製造コストが著しく高くなるようなことは避けなければならない。
【0006】
本発明はこのような問題を解消するためになされたもので、印刷機が大型化したり製造コストが高くなることを防ぎながら、版胴に版を正しい状態で取付けることが可能な印刷機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するために、本発明に係る印刷機は、電子デバイスの基材に機能層を印刷により形成する印刷機において、版を着脱可能に保持する版クランプ機構および前記版の位置決め用切り欠きに嵌合する基準ピンを有する版胴と、前記版胴の外周面と対向する印刷位置が含まれる搬送経路を移動する可動ステージと、前記版を載置可能かつ前記基材を載置可能な載置面を有し、前記可動ステージに位置調整装置を介して移動可能に支持されたワーク支持部材と、前記ワーク支持部材に載置された状態で前記位置調整装置によって位置が調整された前記版の一端部に前記基準ピンと嵌合する切り欠きを形成するパンチャーとを備え、電子デバイスの基材に機能層を設けるものである。
【0008】
本発明は、前記印刷機において、さらに、前記ワーク支持部材に載置された前記版を撮像するカメラを備え、前記位置調整装置が、前記カメラによって撮像された画像に基づいて前記版の位置を調整するものであってもよい。
【0009】
本発明は、前記印刷機において、さらに、前記パンチャーによって前記切り欠きが形成された加工後の前記版を前記版胴に供給する版供給装置を備え、前記版供給装置が、前記版胴から離間した受け渡し位置と、前記版の切り欠きが前記基準ピンに嵌合する供給位置との間で前記版を移動させる構成が採られていてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、パンチャーに対する版の位置を位置調整装置によって調整することができるから、版の正規の位置にパンチャーによって切り欠きを形成することができる。ここでいう正規の位置とは、この切り欠きに版胴の基準ピンが嵌合することによって、版胴の周方向における版の位置と、版胴の軸線方向における版の位置と、版胴の周方向に対する版の角度とが設計通りとなる位置である。このため、パンチャーによって切り欠きが形成された版を版胴に装着するときに切り欠きを版胴の基準ピンに嵌合させることによって、版が版胴に設計通りに取付けられる。
【0011】
版が載せられるワーク支持部材は、基材の位置調整が行われた状態で基材を印刷位置に移動できるものである。すなわち、基材の位置調整を行う機能を利用して版の位置調整を行うことができるから、専ら切り欠きを形成するために版の位置調整を行う専用の位置調整装置を装備する場合と較べて、印刷機の小型化を図ることができるとともに、印刷機の製造コストを低く抑えることができる。
したがって、印刷機が大型化したり製造コストが高くなることを防ぎながら、版胴に版を正しい状態で取付けることが可能な印刷機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係る印刷機の構成を示す側面図である。
図2】版胴の一部を拡大して示す側面図である。
図3】版クランプ機構の一部を拡大して示す側面図である。
図4】版保持装置と版供給装置およびカメラを示す斜視図である。
図5】版クランプ機構の一部を拡大して示す側面図である。
図6】版と版胴の一部を拡大して示す平面図である。
図7】パンチャーの位置を変えた他の実施の形態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る印刷機の一実施の形態を図1図5によって詳細に説明する。
図1に示す印刷機1は、いわゆるデジタルインキング方式の印刷機で、版胴2の上方に後述するインクジェットヘッド3を備えている。
版胴2は、基台4の上に図示していない支持装置によって軸線が水平方向を指向する状態で回転自在に支持されている。なお、以下においては、版胴2の軸線と平行な方向を、便宜上、X方向といい、このX方向とは直交する水平方向をY方向という。また、上下方向に延びる軸線を中心として回転する方向をθ方向という。
【0014】
版胴2を支持する支持装置は、版胴2を図1に示す版取付位置と、この版取付位置より低い印刷位置との間で昇降させる機能を有している。また、この版胴2は、駆動装置(図示せず)によって駆動されることにより回転する。
版胴2は、図2に示すように、版クランプ機構5を備えている。この版クランプ機構5は、版胴2の外周面に開口する凹溝6の中に収容されている。この版クランプ機構5は、図3および図6に示すように、複数の前側爪部材7および後側爪部材8と、これらの前側および後側爪部材7,8を個別に駆動可能な駆動装置9と、前側爪部材7や後側爪部材8と対向する爪台10と、基準ピン11などによって構成されている。
【0015】
前側爪部材7と後側爪部材8は、図3中に実線で示すクランプ位置と、図3中に二点鎖線で示す非クランプ位置との間で揺動可能である。駆動装置9は、前側爪部材7と後側爪部材8をクランプ位置と非クランプ位置との間でそれぞれ揺動させる。クランプ位置に位置する前側爪部材7と後側爪部材8は、版胴2の爪台10に向けて付勢されている。
基準ピン11は、非クランプ位置にある前側爪部材7と爪台10との間に後述する版12(図1および図2参照)を位置決めするためのもので、図6に示すように、複数の前側爪部材7と隣接する位置に設けられている。この実施の形態による基準ピン11は、爪台10の版保持面10aと直交する方向に延びる円柱状に形成されている。
【0016】
版12の一端部12aには、図6に示すように、これらの基準ピン11が嵌合する切り欠き13が形成されている。この切り欠き13は、版12の正規の位置に形成されている。ここでいう「正規の位置」とは、この切り欠き13に版胴2の基準ピン11が嵌合することによって、版胴2の軸線方向における版12の位置(X方向の位置)と、版胴2の周方向における版12の位置(Y方向の位置)と、版胴2の周方向に対する版12の角度(θ方向の角度)とが設計通りとなる位置である。
【0017】
この版胴2による印刷は、クランプ位置にある前側爪部材7および後側爪部材8と爪台10との間に版12(図1および図2参照)が挟まれて保持された状態で行われる。この実施の形態による印刷機1に使用する版12は、デジタルインキングに用いられるシリコンゴム製の凹版である。
この実施の形態による爪台10は、版12を吸着して保持する吸着装置13(図3参照)を備えている。この吸着装置13は、爪台10の上面に開口する空気吸引口14から空気を吸引する構成のものである。
【0018】
基台4の上には、図1に示すように、版胴2の他に複数の機能装置が設けられている。これらの機能装置とは、版胴2と基台4との間に一部が臨むステージ駆動装置15と、第1〜第3のカメラ16〜18と、インクジェット装置19などである。
ステージ駆動装置15には可動ステージ21が設けられている。この可動ステージ21は、上述した版12や、電子デバイス(図示せず)となる基材22を支持するためのものである。この基材22とは、例えばガラス板や、フィルム基板などである。
【0019】
ステージ駆動装置15は、可動ステージ21を図1中に実線で示すワーク受け渡し位置と、版胴2の下方に二点鎖線で示す印刷位置との間でY方向に移動させる機能と、後述する第1のカメラ16の下方で可動ステージ21を停止させ、基材22または版12の位置合わせを行う機能とを有している。このステージ駆動装置15は、印刷時には、可動ステージ21を版胴2の下方で版胴2の回転と同期させてY方向に移動させる。すなわち、可動ステージ21は、版胴2の外周面と対向する印刷位置が含まれる搬送経路Rを移動する。
【0020】
可動ステージ21の上には、位置調整装置23を介してワーク支持部材24が設けられているとともに、上述した版12の切り欠き13を形成するためのパンチャー25が設けられている。位置調整装置23は、ワーク支持部材24に載置されたワークの位置を調整するためのもので、ワーク支持部材24をX方向と、Y方向と、θ方向とに移動させる機能を有している。ワーク支持部材24の上面にはワークが載置される載置面24aが形成されている。
【0021】
この載置面24aに載置されるワークは、版12と基材22である。載置面24aには版12と基材22とのうち一方のみがワーク支持部材24の使用目的に応じて載置される。詳述すると、版12に上述した切り欠き13を形成する場合は、載置面24aに版12が載置される。基材22に印刷を施すときには、載置面24aに基材22が載置される。すなわち、ワーク支持部材24は、版12を載置可能かつ基材22を載置可能な載置面24aを有している。
【0022】
この実施の形態によるワーク支持部材24は、版12や基材22を吸着する吸着機構(図示せず)を備えている。この吸着機構は、載置面24aに開口する多数の空気吸引口から空気を吸引する構成のものである。
パンチャー25は、上下方向に移動する刃25aを有し、可動ステージ21の上に可動ステージ21に対して移動することができない状態で設置されている。刃25aは、下方に移動することにより版12の一端部12aを分断して版12に切り欠き13を形成する。この版12は、ワーク支持部材24に載置されたものであって、後述する位置調整装置23によってパンチャー25に対する位置調整が行われた状態のものである。この位置調整が行われた後に刃25aが下降することにより、版12の正規の位置に切り欠き13が形成される。
【0023】
可動ステージ21がワーク受け渡し位置と印刷位置との間で移動するときの移動経路の上方には、第1のカメラ16が配置されている。
第1のカメラ16は、図示していない支持部材によって基台4に対して固定されており、版12の位置決め用マーク26(図4参照)や、基材22の複数の位置決め用マーク(図示せず)を上方から撮像する。第1のカメラ16によって位置決め用マーク26を撮像し、画像処理することにより、ワーク支持部材24の基準位置に対する版12や基材22のずれ量を検出することができる。この実施の形態においては、この第1のカメラ16が請求項2記載の発明でいう「カメラ」に相当する。
【0024】
位置調整装置23は、可動ステージ21をX方向と、Y方向と、θ方向とに移動させ、位置決めマーク26に基づく版12や基材22の実際の基準位置を、ワーク支持部材24の予め定めた真の基準位置に一致させ、ずれ量を0にする。このように実際の基準位置が真の基準位置と一致することにより、版12のパンチャー25に対する位置や、基材22の版胴2に対する位置が調整される。
【0025】
図1において第1のカメラ16の上方には、版保持装置31が配置されている。版保持装置31は、版胴2に取付けられる版12を一時的に保持するためのもので、版胴2の外周面の近傍に位置付けられる状態で版供給装置32(図4参照)によって移動可能に支持されている。版保持装置31は、図1に示すように、版12を水平状態として版胴2の上端部と並べて保持する。
版保持装置31は、図4に示すように、版胴2に取付けられる以前の版12が載置される平坦な版載置面33を有している。この版12は、上述したパンチャー25によって一端部12aに切り欠き13が形成されたものである。
【0026】
版載置面33には、吸着装置34の多数の空気吸引口35が開口している。この吸着装置34は、空気吸引口35から空気を吸引する構成のものである。版載置面33に載置された版12は、この吸着装置34によって版保持装置31に吸着されて保持される。版12は、図4に示すように、切り欠き13が形成された一端部12aが版保持装置31から版胴2側に突出する状態で版保持装置31に保持される。
【0027】
版保持装置31の上方には、図1に示すように、第2のカメラ17が配置されている。この第2のカメラ17は、図示していない支持部材によって基台4に対して固定されており、版保持装置31に保持された版12を上方から撮像する。この第2のカメラ17は、版12の位置決め用マーク26(図4参照)が撮像範囲内に入る状態で撮像する。位置決め用マーク26は、版12におけるX方向に離間した2箇所に設けられている。この実施の形態による第2のカメラ17は、一度に2つの位置決めマーク26,26を撮像可能なものが用いられている。なお、少なくとも2個の第2のカメラ17を使用し、各カメラでカメラ毎の位置決め用マーク26を撮像する構成を採ることもできる。
第2のカメラ17によって版12の位置決め用マーク26を撮像し、画像処理することにより、版保持装置31に対する版12の位置を検出することができる。
【0028】
版保持装置31を支持する版供給装置32は、後述する第1および第2の機能を有している。
第1の機能は、第2のカメラ17によって撮像された版12の画像に基づいて版保持装置31を版載置面33に沿う方向に移動させ、版胴2に対する版12の位置を調整する機能である。ここでいう版載置面33に沿う方向とは、X方向と、Y方向と、θ方向である。版供給装置32は、版12の位置を調整するにあたって、版保持装置31をX方向と、Y方向と、θ方向とに移動させ、位置決めマーク26に基づく版12の実際の基準位置を、版供給装置32の予め定めた真の基準位置に一致させる。この実際の基準位置が真の基準位置と一致することにより、版12が版胴2に対して所定の位置に位置決めされる。この位置決め状態における版12のX方向およびY方向の位置と、θ方向の角度は、位置決め状態の版12を版胴2に向けて移動させることにより複数の切り欠き13にそれぞれ基準ピン11が嵌合し、版12が版胴2に正しく装着される位置および角度である。
【0029】
第2の機能は、版胴2に対する版12の位置が調整された状態で版保持装置31を版胴2に向けてY方向に移動させ、版12を版胴2から離間した受け渡し位置から、版胴2によって保持可能な供給位置に供給する機能である。版保持装置31が移動するY方向とは、版胴2の外周面の最上部に近接する方向であって、版胴2の外周面の最上端に接する接線に沿う方向である。上述した受け渡し位置とは、版12が版保持装置31に移載されて位置調整が行われる位置である。供給位置とは、図6に示すように、切り欠き13に基準ピン11が嵌合するとともに、版12の一端部12aが版胴2の前側爪部材7と爪台10との間に挿入される位置である。
【0030】
前側爪部材7は、版保持装置31が版胴2に向けて移動するときには、図5に示すように、予め非クランプ位置に揺動され、版保持装置31が停止した後にクランプ位置に揺動する。版保持装置31が供給位置に停止することによって、版12の一端部12aがX方向およびY方向と、θ方向とにおいて、前側爪部材7と爪台10との間で位置決めされる。
【0031】
版胴2の上方近傍には、インクジェット装置19のインクジェットヘッド3が配置されている。インクジェット装置19は、インクジェットヘッド3から機能性溶液としての導電溶液(図示せず)を版12の凹部に供給するものである。導電溶液が版12の凹部から基材22に転写されて固化することによって、基材22上の機能層となる。
【0032】
インクジェットヘッド3は、版胴2との間の距離と、X方向の位置とを変更可能な状態で版胴2の上方に設けられている。このインクジェットヘッド3は、図示してはいないが、X方向に所定の間隔をおいて並ぶ状態で複数設けられている。
インクジェットヘッド3の近傍には、版胴2の版12を撮像するための第3のカメラ18が配置されている。この第3のカメラ18は、図示していない支持部材によって基台4に対して固定されており、版胴2に装着された版12を上方から撮像する。この第3のカメラ18によって撮像された画像は、版12の位置を確認するために使用することができる。
【0033】
このように構成されたデジタルインキング方式の印刷機1で基材22に導電溶液を転写するためには、先ず、版胴2に装着するための版12に可動ステージ21上で位置決め用の切り欠き13を形成する。すなわち、版12がワーク支持部材24の載置面24aに載置されて保持され、第1のカメラ16によって版12の位置決め用マーク26が撮像される。そして、この画像に基づいて求められた版12の実際の位置に基づいて位置調整装置23がワーク支持部材24を移動させ、版12の位置調整が行われる。この位置調整が行われることにより、版12の切り欠き13となる被分断部がパンチャー25の刃25aの真下に位置決めされる。
【0034】
次に、パンチャー25の刃25aが下降し、版12の被分断部を版12から切断して除去する。このように被分断部が除去されることにより、版12の正規の位置に切り欠き13が形成される。ここでいう正規の位置とは、この切り欠き13に版胴2の基準ピン11が嵌合することによって、版胴2の周方向における版12の位置と、版胴2の軸線方向における版12の位置と、版胴2の周方向に対する版12の角度とが設計通りとなる位置である。
【0035】
この切り欠き13の加工が行われた版12は、作業者によってワーク支持部材24から版保持装置31に移載され、版保持装置31によって保持される。そして、版供給装置32と第2のカメラ17とによって版12の最終的な位置調整が行われる。すなわち、版供給装置32の上述した第1の機能によって版12のX方向およびY方向の位置と、θ方向の角度とが版胴2に正しく装着できる位置、角度に調整される。そして、版供給装置32の上述した第2の機能によって版保持装置31が版胴2に向けて移動することにより、版12が版胴2の版クランプ機構5に挿入される。
【0036】
このとき、切り欠き13に基準ピン11が嵌合している状態で前側爪部材7が版12の一端部12aを爪台10に押し付ける。このため、切り欠き13と基準ピン11との嵌合により版12の移動が規制されているから、前側爪部材7が版12の一端部12aを押すにもかかわらず、版12の位置が変わることはない。
【0037】
版12は、一端部12aが版クランプ機構5の前側爪部材7と爪台10とに挟まれた状態で版胴2が回転することにより版胴2に巻き付けられる。そして、版12は、他端部が後側爪部材8と爪台10とに挟まれることによって、版胴2に外れることができない状態で装着される。
このように版12が版胴2に装着された後、インクジェットヘッド3から導電溶液が版12の凹部に供給される。このとき、版12がずれたり曲がったりすることなく版胴2に装着されているから、導電溶液が版12の凹部から出ることなく凹部内に正しく充填される。
【0038】
一方、基材22は、可動ステージ21のワーク支持部材24に予め保持され、位置調整装置23によって版胴2に対する位置調整が行われた状態で可動ステージ21とともに版胴2の下方に送られる。
この印刷機1による印刷は、版12に導電溶液が供給された後に版胴2を下降させて版12を基材22に接触させ、この状態で版胴2が回転するとともに基材22がY方向に移動することにより行われる。すなわち、版12の凹部内に充填されていた導電溶液が基材22の上面に転写される。この導電溶液は、図示してない乾燥装置で固化させられることによって、基材22に印刷によって形成された機能層になる。
【0039】
このように構成された印刷機1においては、パンチャー25に対する版12の位置を位置調整装置23によって調整することができるから、版12の正規の位置にパンチャー25によって切り欠き13を形成することができる。このため、パンチャー25によって切り欠き13が形成された版12を版胴2に装着するときに切り欠き13を版胴2の基準ピン11に嵌合させることによって、版12が版胴2に設計通りに取付けられる。
【0040】
版12が載せられるワーク支持部材24は、基材22の位置調整が行われた状態で基材22を印刷位置に移動できるものである。すなわち、基材22の位置調整を行う機能を利用して版12の位置調整を行うことができるから、専ら切り欠き13を形成するために版12の位置調整を行う専用の位置調整装置を装備する場合と較べて、印刷機1の小型化を図ることができるとともに、印刷機1の製造コストを低く抑えることができる。
したがって、印刷機1が大型化したり製造コストが高くなることを防ぎながら、版胴2に版12を正しい状態で取付けることが可能になる。
【0041】
この実施の形態による印刷機1は、ワーク支持部材24に載置された版12を撮像する第1のカメラ16を備えている。可動ステージ21上の位置調整装置23は、第1のカメラ16によって撮像された画像に基づいて版12の位置を調整するものである。このため、基材22を位置決めするときと同一の高い精度で版12に切り欠き13を形成することができるから、版12の取付精度がより一層高い印刷機を提供することができる。
【0042】
この実施の形態による印刷機1は、パンチャー25によって切り欠き13が形成された加工後の版12を版胴2に供給する版供給装置32を備えている。版供給装置32は、版胴2から離間した受け渡し位置と、版12の切り欠き13が基準ピン11に嵌合する供給位置との間で版12を移動させる構成が採られている。このため、版12が版供給装置32によって版胴2に対して位置決めされた状態で前側爪部材7で版12をクランプできるから、クランプ時の押圧力で版12が版胴2に対して移動することを阻止できる。この結果、版12の取付精度がさらに高くなる。
【0043】
上述した実施の形態においては、パンチャー25が可動ステージ21に設けられている例を示した。しかし、パンチャー25を設ける位置は可動ステージ21に限定されることはない。パンチャー21は、例えば図7に示すように、ステージ駆動装置15や基台4などにY方向へ移動することができない状態に設置することができる。
【0044】
この実施の形態においては、パンチャー25で加工する穴は、図6に示すように、半円状の切欠きであり、2箇所に開ける例を示した。しかし、本発明は、このような構成に限定されることはない。すなわち、パンチャー25によって、半円状と角形状の切欠きまたは角形状の切欠きを2箇所に開けてもよい。
【0045】
この実施の形態においては、版保持装置31の箇所にカメラ17を備え、版保持装置上でも版12の位置調整をできるものを示した。しかし、本発明は、このような構成に限定されることはない。すなわち、版と版胴の位置は版の溝と版胴のピンで位置合わせされることから、版保持装置上では基準となる線やブロックなどの当て部材を設け、それらを用いて版の仮位置調整を行うというものでもよい。
【0046】
また、上述した実施の形態においては本発明をデジタルインキング方式の印刷機に適用する例を示した。しかし、本発明は、このような限定にとらわれることはなく、版が着脱可能に取付けられる版胴を用いて電子デバイスに機能層を印刷する印刷機であれば、どのような印刷機にも適用可能である。例えば、本発明は、ダイレクトグラビア印刷機にも適用可能である。
【0047】
さらに、上述した実施の形態においては版胴から基材へ印刷する構成で示したが、それに限るわけではなく、版胴と基材の間にゴム胴などの中間転写材が構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0048】
1…印刷機、2…版胴2、3…インクジェットヘッド、11…版12、16…第1のカメラ、17…第2のカメラ、21…可動ステージ、22…基材、23…位置調整装置、24…ワーク支持部材、31…版保持装置、32…版供給装置、33…版載置面、R…搬送経路。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7