(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記遊嵌部は、前記セグメントが並べて配置された方向において、前記セグメントの中心よりも一方側に配置されたことを特徴とする請求項4または5のいずれか一項記載の収容装置。
前記セグメントは、アルミによって成形され、該アルミ製セグメントの表面にメッキ処理を施してメッキ膜を成膜した後、メッキ膜を設けた該アルミ製セグメントに熱処理を施すことを特徴とする請求項9記載のセグメント。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、本発明の第一実施形態に係る収容装置1を示す斜視図である。
図2は、収容装置1の分解斜視図である。
【0013】
収容装置1は、壁体である一対の側壁10、10と、側壁10の上端と下端とを接続する連結部材(本実施例においては、板状の天井壁20及び底壁30)と、側壁10の対向する壁面に配置された複数のセグメント40とを備える。収容装置1は、板状の被収容部材P(
図1中では二点鎖線で図示)をその厚さ方向に離間して収容する複数段の収容部44(
図4参照)を含むセグメント40を備える。一部のセグメント40は、固定ネジ50によって側壁10に固定される際に使用する後述のネジ開口部46(
図5(A)参照)を備えている。
【0014】
収容装置1は、一対の側壁10、10と天井壁20と底壁30とで、一対の面(
図2における図面の手前側の面と奥側の面)を解放した箱体(四面体)を形成している。互いに対向する一対の側壁10、10のそれぞれ内側の壁面には、複数のセグメント40がそれぞれの壁面に沿って互いに隣接して、上下方向に積み重なって配置されている。収容装置1の解放した面から被収容部材Pを搬入することで、被収容部材Pは側壁10に配置されたセグメント40に保持される。複数のセグメント40が収容装置1の上下方向に積み重ねて配置されているため、収容装置1は、複数の被収容部材Pを上下方向に離間して収容している。ここで、一対の側壁10,10を離間した状態を維持して連結する連結部材としては、天井壁20と底壁30として用いた板状部材の他に棒状部材を採用してもよい。なお、本実施形態において「積み重ねて配置」との記載は、各セグメント間に微小な隙間を設けて、隣接して配置されていることを含むものである。
【0015】
<側壁10>
側壁10は、外形が平面視矩形状であり、矩形の平板部10aとその外周に設けられた枠部10bとを備え、例えば、鉄、ステンレス、アルミ等の金属板をプレス成形することによって形成されている。平板部10aには、セグメント40を着脱自在に取り付けるための複数の開口部12及び固定ネジ50を取り付けるためのネジ孔13が形成されている。本実施形態においては、一つのセグメント40を取り付けるために必要な開口部12は二つであり、この二つの開口部12は、被収容部材Pの搬入出方向(収容装置1の奥行き方向)に沿って並べて配置されている。また、複数のセグメント40を平板部10aの内壁面に沿って(収容装置1の上下方向に)積み重ねて配置するため、開口部12は、収容装置1の上下方向に所定ピッチで複数設けられている。本実施形態では、一つの側壁10に12個のセグメント40を取り付けることができるように、平板部10aに24か所(12組)の開口部12が形成されている。各開口部12の上下方向高さ寸法はs1に調整される(
図6参照)。また、開口部12の、収容装置1の奥行き方向における幅寸法は、後述する折り曲げ部45の幅寸法よりやや大きければよく、特に限定するものではない。
【0016】
また、固定ネジ50を取り付けるためのネジ孔13は、平板部10aの上下端部に形成された開口部12の近傍に形成されている。本実施例においては、一組の開口部12、12の間にネジ孔13、13が形成されている。ネジ孔13は、側壁10の内壁面に沿って複数のセグメント40を積み重ねて配置した際に、最も上側に配置されたセグメント40及び最も下側に配置されたセグメント40のみを壁体(平板部10a)に固定するために用いられる。本実施形態においては、一つのセグメント40には、後述する固定ネジ50と螺合するネジ開口部46が2か所に設けられている。したがって、ネジ孔13は、平板部10aの上下に2か所ずつ(合計4か所に)形成されている。
【0017】
図3に、最も上側に配置されたセグメント40とネジ孔13との位置関係を示す。
図3の分解斜視図は、説明のため、複数のセグメント40を積み重ねて連結した状態にしているが、後述するように、複数のセグメント40は、一つずつ側壁10に取り付けるとともに、互いに連結することができる。
図3に最も上側に配置されたセグメント40のネジ開口部46を便宜的に参照符号46−1で示す。セグメント40を側壁10における最も上側の開口部12、12に取り付けた際に、ネジ開口部46−1、46−1がネジ孔13、13と連通され、固定ネジ50と螺合する。
図4(A)には、固定ネジ50が最も上側に配置されたセグメント40を側壁10に固定する様子を示している。
【0018】
枠部10bは、側壁10が収容装置1に組み立てられた際に、収容装置1の外側へ突出するように、平板部10aの外周縁を取り囲んで設けられている。こうすることで、収容装置1の側壁10の外側面において、開口部12及びネジ孔13に取り付けられたセグメント40の部分及び固定ネジ50を収容する空間を形成することができ、セグメント40の部分及び固定ネジ50を保護することができる。また、側壁10の剛性を向上することができる。
【0019】
<天井壁20、底壁30>
天井壁20及び底壁30は、側壁10と同様に、外形が平面視矩形状の平板部20a、30aとその外周部に設けられた枠部20b、30bとを備える。枠部20b、30bは、例えば、鉄、ステンレス、アルミ等の金属をプレス成形することによって形成される。天井壁20及び底壁30は、枠部20b、30bが収容装置1の内側に立設されるように配置されている。本実施形態において、天井壁20及び底壁30は、互いに対向して配置された一対の側壁10を連結する連結部材となっている。側壁10と天井壁20及び底壁30との接続は、例えば、溶接、接着、ボルト等の固着部材による結合によりなされている。また特に、底壁30の枠部30bが、収容装置1の内側方向に設けられることで、収容装置1を不図示の載置部に載置した際に、底壁30の平板部30a全体が地面と接触することができ、収容装置1を安定して載置することができる。
【0020】
<セグメント40>
図5及び
図6にセグメント40の斜視図と側面図を示す。
図6は、
図5(A)の中矢印A方向から見たセグメント40の側面図である。セグメント40は、本体部41と、係合部を構成する第一係合部42および第二係合部43と、収容部44と、折り曲げ部45と、ネジ開口部46とを備えている。セグメント40は、長尺状の部材で、その長手方向が側壁10の幅方向(収容装置1の奥行き方向)と一致するように、側壁10の上下方向に積み重ねて配置される。本体部41は、被収容部材Pの縁部全体を収容可能な長さを備え、収容装置1に配置された際に、側壁10の幅方向である収容装置1の奥行き方向に延びて配置される。本体部41は、収容装置1に配置された状態で、収容装置1の内側を向く内側面41aと、収容装置1の外側を向き、側壁10と当接する外側面41bとを備えている。
【0021】
第一係合部42および第二係合部43は、収容装置1の上下方向である、本体部41の短手方向の両端部に各々設けられる。複数のセグメント40が側壁10に沿って積み重ねて配置される際には、各々のセグメント40は、それぞれの係合部同士で互いに連結される。収容装置1の下方向に位置するセグメント40の本体部41の下端部には、第一係合部42が段差状に形成されている。第一係合部42には、壁体である側壁10側に壁面に沿って延出する突出部42aが設けられている。
図6に示すように、側面視において、突出部42aは、本体部41の短手方向の下端面から突出する矩形状の突起で、本体部41の外側面41bに沿って延びるように設けられている。収容装置1の上方向に位置する、セグメント40の本体部41の上端部には、第二係合部43が段差状に形成されている。第二係合部43には、壁体側である側壁10側に形成される窪み部43aが設けられる。窪み部43aは、本体部41の短手方向における突出部42aとは反対側の本体部41の上端部に設けられ、断面視で本体部41の上端部の一部を切り欠いた形状であり、突出部42aと同様に外側面41bに沿って形成されている。突出部42aにおける突出高さ及び窪み部43aにおける窪み深さ(段差)は、それぞれs2(<s1)に調整される。
【0022】
セグメント40は、隣接する一方側に配置されたセグメント40と係合する第一係合部42と、隣接する他方側に配置されたセグメント40と係合する第二係合部43とを備えている。複数のセグメント40が互いに積み重ねて配置される際には、第一係合部42は、一方側の(一段下の)セグメント40における第二係合部43と係合され、第二係合部43は、他方側の(一段上の)セグメント40における第一係合部42と係合される。このとき、隣接するセグメント40同士は、第一係合部42の突出部42aと、第二係合部43の窪み部43aとが互いに係合する。第一係合部42と第二係合部43とは、縦断面視において相補的な形状となっており、互いに係合した際には、隣接するセグメント40のそれぞれの内側面41a及び外側面41bは、同一平面を形成する。セグメント40の長手方向である収容装置1の奥行き方向に延設して配置されている。係合する突出部42aと窪み部43aとの間に、後述するフック部45bが開口12から離脱しない程度の微少隙間が形成されるよう、開口部12の上下方向高さs1、第一係合部42の突出高さs2、及び第二係合部43bの窪み深さs2が調整される。なお、本実施形態においては、突出部42aと窪み部43aとは、断面矩形状の相補的な形状を形成したが、これに限定されず、例えば、断面円弧状、断面三角形状、断面円形状等で形成された相補的な形状を採用してもよい。また、本実施形態においては、第一係合部42及び第二係合部43がセグメント40の長手方向に連続して延設される場合を例に挙げたが、これに限定するものではない。例えば、第一係合部42及び第二係合部43を、セグメント40の長手方向両端部のみの2箇所、又はセグメント40の長手方向両端部と少なくとも1つの中間部の計3箇所以上といった具合に、不連続に設けるようにしてもよい。
【0023】
本体部41の内側面41aには、平板状の被収容部材Pを収容する収容部44が形成されている。収容部44は、セグメント40の長手方向に延び、セグメント40の両端部で開放される断面がU字状の溝であり、その開放端部には、被収容部材Pが収容部44へ滑らかに挿入されるための傾斜部(面取り部)44aが形成されている。本実施形態では、一つのセグメント40に二列の収容部44が形成されており、二列の収容部44は、セグメント40の短手方向に互いに離間して並列に配置されている。つまり、本実施形態におけるセグメント40は、一つのセグメント40で二枚の被収容部材Pを収容することができる。なお、本実施形態において、一つのセグメント40に形成される収容部44は二列としたが、これに限定されるものではなく、一列や三列等でもよい。また、収容部44は、U字状の溝に限定するものではなく、突出部として形成してもよい。この場合、収容装置1における両側の突出部上に載置するような状態で被収容部材Pが収容される。
【0024】
内側面41aと反対側である本体部41の外側面41bには、セグメント40の長手方向の二か所に、遊嵌部である折り曲げ部45が設けられている。折り曲げ部45は、側壁10に設けられた被遊嵌部である開口部12と遊嵌する。二つの折り曲げ部45が、本体部41の長手方向に互いに離間して配置されることで、長尺部材のセグメント40を側壁10に安定して取り付けることができる。折り曲げ部45は、外側面41bに対して垂直に延びる延長部45aと、延長部45aから下向きに延びるように、延長部45aと直交して接続されるフック部45bとを備えている。フック部45bは、
図5(B)に示すように平面視矩形状に形成されており、折り曲げ部45の全体側面視は、
図6に示すように逆L字型に形成されている。開口部12は、フック部45bと平面視で同じ大きさの矩形状であり、フック部45bを挿通可能な大きさに設定されている。折り曲げ部45のフック部45bが開口部12に挿入されたあと、折り曲げ部45は、延長部45aが開口部12の上下端部に当接する範囲で、開口部12内で上下方向に移動可能なように遊嵌される。フック部45bは、外側面41bに対向する側が先端に向かってその厚みが連続して薄くなる傾斜部45cを備える。折り曲げ部45を開口部12内で下方向に移動させる際に、この傾斜部45cが外側面41bを側壁10の取り付け面に接近させるようにガイドし、延長部45aの下面が開口部12の下縁に当接することで、セグメント40が平板部10aに掛かり止めされる。この折り曲げ部45が、後述するように平板部10aからのセグメント40の離脱40の離脱を防止している。なお、本実施形態において、折り曲げ部45は、本体部41の長手方向の2か所に互いに離間して配置されている例を挙げたが、これに限定されず、折り曲げ部45の長さ(セグメント40の長手方向の長さ)を長くすることで1か所のみ設けることも可能である。また、折り曲げ部45は、3か所以上に配置されていてもよい。
【0025】
折り曲げ部45は、セグメント40が積み重なって、並べて配置された方向において、セグメント40の中心よりも一方側(第二係合部43側)にずれて配置されている。本実施形態では、折り曲げ部45は、
図6に示すように、セグメント40の短手方向(
図6中では上下方向)の中心よりも上側に配置されている。こうすることで、折り曲げ部45を開口部12へ挿入した際に、セグメント40がその重さ(自重)で下方へ移動することにより、フック部45bおよび延長部45aが開口部12に引っかかり、セグメント40がぶら下がると共に、第一係合部42側が側壁10の面側に移動して当接する形となる。したがって、作業者がセグメント40を側壁10に取り付ける際に、セグメント40が側壁10に容易に仮止めされる。また、隣接して配置される異なるセグメント40の第一係合部42の移動を防止する。
【0026】
本体部41には、その厚さ方向(
図6中では左右方向)に貫通するネジ開口部46が形成されている。本実施形態において、ネジ開口部46は、二列の収容部44の間に、言い換えるとセグメント40の短手方向の中央部分に配置されており、折り曲げ部45と同様に、セグメント40の長手方向に互いに離間して二か所に設けられている。本実施形態においては、2か所に設けた例を挙げたが、1か所または3か所以上に設けてもよい。なお、ネジ開口部46には、後述する固定ネジ50が直接螺合されるネジ孔が形成されもよく、固定ネジ50と螺合するナット等の螺合部材が収容される孔が形成されていてもよい。
【0027】
<セグメント40の壁体への取り付け工程>
図7及び
図8を用いて、セグメント40を壁体である側壁10へ取り付ける工程を説明する。なお、以下の説明において、便宜上最初に取り付けるセグメント40を第一のセグメント40−1とし、その後に取り付けるセグメント40を第二のセグメント40−2としている。第一のセグメント40−1及び第二のセグメント40−2は、ともに上記したセグメント40と同一のものである。
図7のST1に示す状態では、側壁10の最も下側に、第一のセグメント40−1を取り付ける様子を示している。状態ST1では、第一のセグメント40−1の折り曲げ部45を対応する側壁10の開口部12の位置と合わせ、
図7の矢印Bの方向へ第一のセグメント40−1を挿入するように移動させる。
図7のST2に示す状態では、側壁10の開口部12に折り曲げ部45を挿通させた後、矢印C方向へ第一のセグメント40−1を移動させた後の様子を示している。第一のセグメント40−1が矢印C方向へ移動することで、折り曲げ部45のフック部45bが、開口部12の下側の側壁10と係合しつつガイドされ、第一のセグメント40−1は側壁10に係止される。これにより、最下段のセグメント40(第一のセグメント40−1)の取り付けが完了し、1段目及び2段目の収容部44が形成される。このとき、第一のセグメント40−1に形成されたネジ開口部46と、側壁10に形成されたネジ孔13とが連通するように、ネジ開口部46、ネジ孔13、開口部12、および折り曲げ部45の位置が調整されている。
【0028】
図8のST3に示す状態は、
図7のST2で取り付けた第一のセグメント40−1の上方にさらに第二のセグメント40−2を取り付ける様子を示している。第二のセグメント40−2も第一のセグメント40−1と同様に、折り曲げ部45を側壁10の開口部12へ挿通した後、セグメント40−2を下方に移動させる。こうすることで、折り曲げ部45のフック部45bが開口部12の下側の側壁10と係合しつつガイドされて、第二のセグメント40−2が側壁10に係止される。第二のセグメント40−2では、フック部45bを側壁10に係止させる際に、第二のセグメント40−2の第一係合部42が、第一のセグメント40−1の第二係合部43と係合する。
【0029】
ここで
図9を参照して、二つのセグメントの具体的な係合の様子を説明する。
図9(B)は、
図8のST4で示すB−B断面図である。
図9(A)は、第二のセグメント40−2の折り曲げ部45を側壁10の開口部12へ挿通させた状態を示している。この状態では、折り曲げ部45のフック部45bは、開口部12の下側に係止されてない。また、第二のセグメント40−2の下端(
図9(A)中下側)に位置する第一係合部42の突出部42aは、対向する第一のセグメント40−1の上端に位置する第二係合部43の窪み部43aと係合していない。次に第二のセグメント40−2を第一のセグメント40−1側(
図9(A)に矢印Dで示す一方向)へ移動させる。すると、第二のセグメント40−2のフック部45bが開口部12の下側に係合するとともに、第二のセグメント40−2の突出部42aが、第一のセグメント40−1の窪み部43aと係合し連結する。そして、第二のセグメント40−2の第一係合部42が第一のセグメント40−1の第二係合部43と係合し連結され、各セグメントの内側面41aは同一平面上を形成するようになる(
図9(B)参照)。こうすることで、第二のセグメント40−2は、フック部45bにより側壁10に係合され、第一係合部42が第一のセグメント40−1の第二係合部43と係合することで側壁10に安定して係止され、側壁10からの離脱が防止される。これにより、下から二段目のセグメント40(第二のセグメント40−2)の取り付けが完了し、3段目及び4段目の収容部44が形成される。
【0030】
二つのセグメント40−1、40−2は、それぞれ、側壁10に所定のピッチで設けられた複数の開口部12に係止されていることがわかる(
図9(B)および
図8のST4参照)。このとき、セグメント40−1の第二係合部43とセグメント40−2の第一係合部42との係合面には、隙間dが形成されている。また、セグメント40−1、40−2の内側面41aには、被収容部材Pを収容する収容部44が形成されており、複数のセグメント40−1、40−2を上下方向に側壁10に沿って積み重ねて配置することで、複数段の収部44が側壁10上に形成されることになる。以上のように、第二のセグメント40−2を隣接する第一のセグメント40−1と係合させてセグメント同士を連結させた後には、さらに第二のセグメント40−2に隣接するように新たなセグメント40(第三のセグメント、第四のセグメント等)を配置する。そして、この工程を繰り返して側壁10の壁面の上下方向に沿って多段の収容部44を形成することができる。
【0031】
こうして、
図10に示すように、側壁10の壁面の全体にわたってセグメント40が配置される。また、
図11には、側壁10に対して最も上側と最も下側とに位置するセグメント40と側壁10とを固定ネジ50で固定することが示されている。こうすることで、互いに連結された複数のセグメント40が連結された状態のまま、側壁10から離脱することが防止される。つまり、
図4(B)に示されているように、複数のセグメント40のそれぞれは互いに、第一係合部42及び第二係合部43で上下方向の移動が規制されるとともに、側壁10からの離脱が規制しつつ連結されている。したがって、少なくとも最も上側に位置するセグメント40を側壁10と固定することで、複数のセグメント全体が側壁10から離脱することが防止される。また、最も下側に位置するセグメント40と側壁10とを固定ネジ50で固定することで、最も下側のセグメント40の第一係合部42の側壁10からの離脱を防止することが可能となり、中間に配置されるセグメント40と同じ形状のセグメントを最も下側に位置するセグメント40として採用することが可能となる。
【0032】
また、本実施形態において、フック部45bと開口部12下端との係合は、複数のセグメント40の上下方向位置合わせに用いられる。また、フック部45bと開口部12下端との係合は、セグメント40と側壁10とを強固に固着させるものではないので、小さな力で係合させることができる。また、隣接する二つのセグメント40、40の第一係合部42と第二係合部43との接続は、セグメント40を側壁10に強固に固着させるものや、それぞれセグメント40同士を強固に接続するものではない。第一係合部42と第二係合部43との接続は、各セグメント40同士の移動の規制に用いられる接続であるから、小さな力で接続させることができる。したがって、多数のセグメント40の側壁10への取り付けや、互いの接続に際しても、作業時間を少なくすることができ、収容装置1の製作時間を少なくすることができる。
【0033】
また、本実施形態においては、完成後、交換が必要なセグメント40について容易に交換することができる。
図10を参照して、このような交換方法について説明する。交換対象となるセグメント40を
図10に便宜的に参照符号40−3で示し、セグメント40−3が破損して、これを交換したい場合を説明する。なお、このセグメント40−3より上方に位置する複数のセグメントのグループを複数のセグメント40−4とし、セグメント40−3より下方のグループを複数のセグメント40−5とする。なお、セグメント40−3、複数のセグメント40−4および複数のセグメント40−5は、いずれも上記したセグメント40と同一の部材から構成されている。
【0034】
セグメント40−3を交換する際には、まず、複数のセグメント40−4の最も上方(上段)に位置するセグメント40と側壁10との締結をネジ開口部46−1から固定ネジ50を外すことで解除する。ついで、複数のセグメント40−4と交換するセグメント40−3とを一括に側壁10の上段方向へスライドさせて、複数のセグメント40−5の係合部43と交換するセグメント40−3の係合部42との係合部による接続状態を解除する。このとき、複数のセグメント40−4と交換するセグメント40−3とが不用意に側壁10から離脱しないような状態(例えば、側壁10を縦姿勢から横姿勢に変換させた状態)で実施されてもよい。こうすることで、交換するセグメント40−3のみを側壁10から離脱させることが可能になる。当該セグメント40−3を側壁10に沿って上段方向にスライドさせ、フック部45bを対応する開口部12から抜脱させることで、当該セグメント40−3の取り外しが完了し、これを新たなセグメント40に交換する。
【0035】
新たに交換したセグメント40のフック部45bを対応する開口部12へ挿通させ、交換したセグメント40の第二係合部43を複数のセグメント40−4の第一係合部42に係合させ、交換したセグメント40と共に 再び複数のセグメント40−4を側壁10に沿って下段方向へスライドさせて、交換したセグメント40を複数のセグメント40−5の第二係合部43と係合させて接続させる。その後、複数のセグメント40−4の最も上方(上段)に位置するセグメント40を、固定ネジ50により側壁10に締結させ固定することで、セグメントの交換作業は終了する。このようにして、積み重ねて配置された複数のセグメント40における任意の中途段に位置するセグメント40−3が破損したとしても、全てのセグメント40を一つずつ側壁10から取り外して交換する必要はなく、当該セグメント40−3のみを交換すればよい。すなわち、交換対象のセグメント40−3のみを部分的に取り外すことができ、交換することができるので、セグメントの交換、取り付け作業効率の向上を図ることができる。したがって、本実施形態の収容装置1によれば、収容部44を、部分的に交換し易くすることができる。つまり、収容装置の収容部の取り付け作業効率を向上させることができる。
【0036】
<第二実施形態>
図12(A)には、本発明の第二実施形態であるセグメント47と側壁10の分解斜視図を示している。本実施形態においては、第一実施形態で示したセグメント40を側壁10の幅方向で二つに分割したより小さいセグメント47を採用している。セグメント47の大きさをより小さくすることで、例えば、セグメント47が樹脂成型品等である場合、セグメント47のひけ、そり等の変形を少なくすることができる。本実施形態の側壁10には、一つのセグメント47に対して二つの開口部12が形成されているから、側壁10の幅方向に二つのセグメント47を配置するために4か所の開口部12が形成され、合計48か所に24組の開口部12が形成されている。なお、図示省略するが、第一実施形態のセグメント40と同様に、セグメント47は、二つの収容部44および二つの折り曲げ部45、45を備えている。
【0037】
本実施形態のように、側壁10の幅方向に幅方向のサイズが第一実施形態のセグメントより小さいセグメント47を採用することで、セグメント47が破損したとしても、交換するセグメント47をより小さいパーツで済ませることができる。また、例えば、側壁10の幅方向の一方側と他方側とで上下方向の位置関係が異なる収容部44を備えたセグメント47をそれぞれ配置することで、上下方向の高さが異なる2種類の被収容物を収容可能になる。
【0038】
<第三実施形態>
図12(B)には、本発明の第三実施形態であるセグメント48と側壁10の分解斜視図を示している。本実施形態においては、第一実施形態における四つのセグメント40、40、40、40を一つのセグメント48として結合した形状としている。このとき側壁10に設けられた開口部12は、各セグメント48に対して二つ形成されている。したがって、本実施形態における側壁10には、開口部12が合計6か所(3組)設けられている。本実施形態のセグメント48では、最も上側に位置するネジ開口部46付近の二か所に折り曲げ部45、45(図示省略)が設けられ、ネジ開口部46は、上方と下方との合計4か所に設けられている。こうすることで、セグメント48の取り付けをまとめて行うことができ、取り付け作業を迅速に行うことができる。
【0039】
<第四実施形態>
図13から
図16に、本発明の第四実施形態である収容装置2を示している。
図13は、本実施形態における収容装置2の斜視図である。本実施形態において、収容装置2は、互いに対向する二つの側壁10の中間位置に中間保持部材60を備えている。
図13を参照して、中間保持部材60の複数の分離部材62は、それぞれ被収容部材Pの中間部を保持するように構成され、断面T字状に形成されている。
図14及び
図15に示すように、中間保持部材60は、収容装置2に取り付けられる取付部材61と、取付部材61に支持される複数の分離部材62とを備える。取付部材61は、収容装置1の天井壁20及び底壁30に取り付けネジ63によって固定されている。本実施形態では、取付部材61は、収容装置1の天井壁20及び底壁30の被収容部材Pの搬入出方向におけるそれぞれの一端部に取り付け固定されている。
【0040】
図16に一部分解斜視図を示すように、分離部材62は、断面T字状の平面部分62aを取付部材61の側面に当接させて、取付部材61にネジ64によって取り付けられている。取付部材61には、分離部材62の平面部分62aを収容する凹部61aが形成されており、この凹部61a内に分離部材62を収容することで、複数の分離部材62の上下方向の位置合わせを行い、移動を規制している。また、分離部材62は、平面部分62aから突設されたリブ部分62bによって、収容装置2の側壁10方向への振れが防止されている。本実施形態においては、分離部材62は、一端部が取付部材61に取り付けられた片持ち状態で支持されているが、これに限定されず、例えば、収容装置1の天井壁20及び底壁30の被収容部材Pの搬入出方向における中央部に取付部材61を取り付け固定し、分離部材62の中央部をこの取付部材61に支持させてもよい。
【0041】
なお、上記した第一から第四本実施形態においては、収容装置1、2は、正面視矩形状であって、搬入された被収容部材Pを水平に積層して収容するものを示したが、これに限定されない。例えば収容装置1が、被収容部材Pを搬入する開口が正面視平行四辺形状であって、被収容部材Pを水平に積層して収容してもよいし、不図示の載置面に対応して傾斜して収容してもよい。
【0042】
また、側壁10と天井壁20と底壁30とは、鉄、ステンレス、アルミ等の金属をプレス成型したものを例示したが、これに限定されず、プラスチックなどの樹脂成型品、繊維強化複合材、木材等でもよい。
【0043】
セグメント40の材質としては、被収容部材Pに傷等をつけないように、樹脂成型品が好ましいが、他にも木材、繊維強化複合材等が例示できる。また、セグメント40の材質としては、鉄、ステンレス、アルミ等の金属でもよい。さらに、収容装置1、2に取り付けられるセグメント40の数、側壁10に設けられた開口部12、ネジ孔13の数は、用途に応じて使用者が適宜設定すればよく、本実施形態で例示された数に限定されない。一つのセグメント40が備える収容部44の数も同様に、用途に応じて使用者が適宜設定すればよく、本実施形態で例示された数に限定されない。
【0044】
なお、本実施形態において、壁面の最も上側と最も下側のセグメント40は、他の中間に位置するセグメント40と同じセグメント40を使用しているが、これに限定されない。壁面の最も上側に位置する予定のセグメント40については、第二係合部43を省略したセグメントとしてもよく、また、最も下側に位置する予定のセグメント40については、第一係合部42を省略したセグメントを用いてもよい。
【0045】
また、本実施形態においては、被収容部材Pを水平方向に収容するように、セグメント40を側壁10に配置したがこれに限定されない。例えば、収容装置1内に板状の被収容部材Pを垂直方向に立てて複数配置するように、セグメント40を天井壁20と底壁30の内側面41aに配置してもよい。このとき、天井壁20と底壁30の枠部20b、30bが収容装置1の外側に向くように突設されることが好ましい。
【0046】
<第五実施形態>
収容装置は、基本的に被収容部材Pの収納状態を所定の姿勢および間隔で収納すると共に、収容装置全体の重量が重くならないように収容装置内のセグメントには、高い寸法精度および軽量であることが要求される。また、被収容部材Pに熱処理を行う際、被収容部材Pを収容した収容装置と共に熱処理を行う場合がある。このとき、収容装置内のセグメントには、耐熱性が要求される。加えて、被収容部材Pの出し入れが頻繁に行われることもあり、セグメントの収容部(被収容部材Pと触れる部分)には、耐摩耗性が要求される。
【0047】
そこで本実施形態では、セグメント本体を、耐熱性に優れ、軽量なアルミ材で成形し、このアルミ製セグメント本体にニッケルを主成分とする無電解Ni(ニッケル)メッキ処理を施し、セグメント本体の表面にメッキ膜を成膜し、耐摩耗性にすぐれたセグメントが得られるようにしている。メッキ処理後のセグメントには、適宜熱処理が行われる。例えば、メッキ膜は、膜厚が25−50μmが好適とされる。膜厚が25μm未満だと後述する十分な硬度が得られず、また、50μmを超えると製造コストが高くなる。
【0048】
また、メッキ膜は、セグメント本体の表面全面にわたって均一な厚さでのメッキ処理が可能で、安価で、かつ、セグメント本体とメッキ膜との密着強度が十分に高いものが選択される。加えて、セグメント本体とメッキ膜との組み合わせは、熱処理後のメッキ膜(又はセグメント表面)のビッカース硬度は800Hv以上が好適とされる。ビッカース硬度が800Hv未満だと、耐摩耗性が不十分となる。このようにセグメント本体の表面にメッキ膜を設けることで、セグメントは、耐摩耗性が向上して耐久性が向上する。そして、セグメントが削れにくくなったことで、セグメントから発生する粉塵等が被収容部材Pに付着することが防止されると共に、寸法精度を高精度に維持することができる。
【0049】
<第六実施形態>
収容装置は、基本的に被収容部材Pの収納状態を所定の姿勢および間隔で収納すると共に、収容装置全体の重量が重くならないように収容装置内のセグメントには、高い寸法精度および軽量であることが要求される。更に被収容部材Pが完成した基板等である場合、セグメントの収容部と被収容部材Pとが接触して擦れることで発生する静電気による帯電を防ぐことから、収容装置内のセグメントには、導電性、耐摩耗性が要求される。
【0050】
そこで本実施形態では、セグメントを、エンジニアリングプラスチック等の樹脂に導電性フィラー(カーボンフィラー)を混ぜ合わせた樹脂によって成形する。セグメントを構成する樹脂としては、例えば、エンジニアリングプラスチックは変性PPEを採用できる。セグメントの構成樹脂に占める導電性フィラーの配合割合は、樹脂成型時における製品の歪(反り)量が所望の値以下となるように適宜選択され、例えば5−30質量%が好適とされる。配合割合が5質量%未満だと十分な導電性及び後述する低摩擦性が得られず、また、30質量%を超えると樹脂成型時における寸法精度の確保が難しくなる。
【0051】
セグメントの構成樹脂として、エンジニアリングプラスチック等の樹脂を採用することで、耐熱性、高い寸法精度と、軽量化を実現することができる。さらにセグメントは、導電性フィラーを含むことで、高い導電性と、低摩擦性を実現することができる。こうすることで、セグメントに保持された基板等の被収容部材Pは、セグメントの高い導電性によって、その帯電を防止することができる。また、セグメント自体が低摩擦性であることから、セグメントが摩耗されにくくなり、結果としてセグメントの耐久性が向上する。そして、セグメントが削れにくくなったことで、セグメントから発生する粉塵等が被収容部材Pに付着することが防止される。なお、セグメントにおける構成樹脂材料、フィラーの配合割合、フィラーの形状(長さや直径)等は、上記のものに限定されるものではなく、セグメントに要求される性質、特性に応じて適宜設定される。