(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、本発明の一実施形態に係るリモートコントロール装置と便器本体を備えたトイレ室の概略を斜視図で表している。図示するように、便器本体50に着座した使用者から見て右側の壁面には、リモートコントロール装置10が備え付けられる。便器本体50は水洗便器であり、手動または自動で水を流すことにより便器内部を洗浄する機能を有する。便器本体50にはさらに、人体局部に向けて洗浄水を噴出させるノズルや脱臭ファンなどが設けられてよい。
【0015】
便器本体50のこれらの機能を自動で作動させるため、便座の後部には使用者の着座、離座を検知する着座センサ54が設けられる。リモートコントロール装置10は、便器本体50の各種機能を手動で作動させるための入力装置である。リモートコントロール装置10は使用者の操作に応じて、当該操作の内容を示す赤外線や電波などの無線信号を通信インターフェース12から便器本体50へ送信する。便器本体50の後部上面には当該無線信号を受信する通信インターフェース56が設けられる。
【0016】
後述するように、実施の態様によってリモートコントロール装置10は、便器本体50へ無線信号を送信するのみならず、便器本体50から送信された、着座センサ54による検知結果などを表す無線信号を受信するようにしてもよい。すなわちリモートコントロール装置10の通信インターフェース12および便器本体50の通信インターフェース56は双方向通信のインターフェースとして機能し、それぞれが無線信号の送信手段と受信手段を備えてもよい。ただしリモートコントロール装置10と便器本体50は有線で信号を送受信してもよい。
【0017】
便器本体50の内部には、通信インターフェース56が取得した無線信号に基づき操作内容を解釈し、それに対応する機能を作動させる制御機構が設けられる。また便器本体50の左側面には本体スイッチ58が設けられ、リモートコントロール装置10を介さずに便器洗浄の機能を作動させられるようにしている。なお便器本体50の外観形状やセンサおよびスイッチの位置、リモートコントロール装置10の外観形状や設置場所は一例であり、本実施の形態を限定する主旨ではない。
【0018】
図2はリモートコントロール装置10の外観構成例を示しており、(A)は正面図、(B)は右側面図である。この例では、リモートコントロール装置10は横長の筐体を有し、(A)に示すように正面を操作面とする。また(B)に示すように、リモートコントロール装置10の側面には溝19が設けられ、図のさらに右側に示すように壁面22に固定されたホルダー部材20の側面内側に設けられたレール21に沿うように、上側からスライドさせて差し込むことにより、リモートコントロール装置10を壁面22に着脱可能に取り付けることができる。
【0019】
リモートコントロール装置10の筐体内には図示しない電池ボックスおよびマイクロコンピュータが備えられる。マイクロコンピュータは電池ボックスに格納された電池を電源として各種処理を実施する。また電池からの電力は、後述する表示部16における表示の切り替え、無線信号の発信や受信、図示しないスピーカーからの音楽の再生などのためにも消費される。
【0020】
図2(A)に示すようにリモートコントロール装置の正面には、操作ボタン部14a、14b、表示部16、割り付け変動ボタン18が設けられる。操作ボタン部14a、14bは、便器本体50の動作や表示部16における表示を操作するための複数のボタンからなる。操作ボタン部14a、14bに設けられたボタンには、あらかじめ各種機能のいずれかが割り付けられている。したがってリモートコントロール装置10は、使用者が押下したボタンに対応する機能を特定し、それに応じて通信インターフェース12から無線信号を発信させたり表示部16の表示を切り替えたりする。
【0021】
例えば操作ボタン部14aには、便座の開閉ボタン、便器洗浄のためのボタン、人体局部洗浄のためのボタンやそれを停止させるためのボタンを設ける。操作ボタン部14bには、リモートコントロール装置10の電源ボタンや、表示部16の表示内容に対する操作ボタンを設ける。表示部16は、使用者に必要な情報を提供するための表示装置であり、その時点での状況や使用者の操作に応じてその表示内容を変化させる。本実施の形態において表示部16は、電力の供給がなくとも表示が持続する不揮発性の表示装置とする。
【0022】
不揮発性の表示装置は電子ペーパーや電気泳動ディスプレイなどの形態で実用化されており、電気泳動方式、粉体移動方式など様々な手法が提案されている。例えばマイクロカプセルによる電気泳動方式は、正・負に帯電させた白色・黒色の粒子を流体とともに封入したマイクロカプセルを画素とする表示方式であり、上下の電極に電圧を印加することにより粒子をマイクロカプセル内で泳動させ表面に集まる粒子の色を白または黒に制御する。所望の色の粒子を表面に集めたうえで電圧印加を停止してもその状態が維持されるため、不揮発性の表示を行える。
【0023】
このように不揮発性の表示装置は方式によらず、表示内容を変化させるときのみに電力を消費し、電力供給を絶ってもその表示内容が維持される特性を有する。本実施の形態では表示部16として不揮発性の表示技術を導入することにより、表示のために消費される電力を抑制する。なお不揮発性の表示装置の詳細な構成は上述のとおり方式によって様々に考えられるため、ここでは説明を省略する。
【0024】
割り付け変動ボタン18は、操作内容や便器本体50の状況に応じて機能の割り付けを変化させられるボタンである。表示部16の画面において、各ボタンの直上に、その時点で割り付けられている機能を表示することで、ボタンと機能の対応を使用者が認識できるようにする。リモートコントロール装置10は、使用者が押下したボタンに対応する機能を、その時点での割り付けに基づき特定し、それに応じて通信インターフェース12から無線信号を発信させたり表示部16の表示を切り替えたりする。
【0025】
上述のとおり表示部16を不揮発性の表示装置で実現すると、電力を消費する時間が限定的となり、継続して電力が必要になる一般的な表示機能を備えるリモートコントロール装置と比較して電力の消費量が小さくなる。特に本実施の形態のようなトイレ室のリモートコントロール装置10は、人に見られる時間やタイミングが限られる傾向にあるため、それ以外の期間に電力消費を抑えられることは特段の効果となる。一方で、不揮発性の表示装置では、その方式によっては、表示を更新したのにも関わらず直前に表示させた内容が薄く残ってしまうことがある。
【0026】
そのため表示を常に見やすく保つためには、黒や白の塗り潰し画像を短時間ずつ表示させるなどのリフレッシュ動作を、表示内容の切り替え時など所定のタイミングで実施し、残像を消去するのが一般的である。しかしながらリモートコントロール装置を想定した場合、リフレッシュ動作のタイミングによっては次のような問題が生じ得る。すなわちリフレッシュ動作中はリモートコントロール装置本来の機能の少なくとも一部を果たせない状態にあるため、操作しようとしたときにリフレッシュ動作がなされていると、使用者はその完了を待つ必要が生じ、操作がままならないことによるストレスを感じる可能性がある。
【0027】
また画面が通常と異なる変化をしていることを見た使用者は、その原因や、装置の状態を把握できず、場合によっては故障を疑うこともあり得る。そこで本実施の形態では、所定の情報を表す文字や絵などを表示させたままリフレッシュ動作を実施する。すなわちリフレッシュ動作時に全ての画素の色を揃えるのでなく、文字や絵を構成する画素とそれ以外の画素で色を異ならせ、それぞれの色を時間変化させることにより画面をリフレッシュする。これにより使用者の不安感やストレスを軽減させるとともに、リフレッシュ動作中であっても必要な情報を提供できるようにする。
【0028】
図3はリモートコントロール装置10と便器本体50の機能ブロックの構成を示している。ここに示す各ブロックは、ハードウェア的には、コンピュータのCPUをはじめとする素子、通信インターフェース、表示装置、機械装置で実現でき、ソフトウェア的にはコンピュータプログラム等によって実現されるが、ここでは、それらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウェア、ソフトウェアの組合せによっていろいろなかたちで実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0029】
リモートコントロール装置10は、操作受付部24、通信部26、リフレッシュ制御部28、表示制御部32、および設定データ記憶部31を備える。操作受付部24は、
図2で示した操作ボタン部14a、14bを構成するボタン、割り付け変動ボタン18、および内部のマイクロコンピュータなどで実現し、使用者により押下されたボタンに対応する機能などの操作内容を特定したうえ、通信部26、リフレッシュ制御部28、および表示制御部32にその情報を通知する。
【0030】
通信部26は、マイクロコンピュータおよび
図1で示した通信インターフェース12などで実現し、操作受付部24からの通知に基づき、使用者の操作内容を示す無線信号を生成して便器本体50に送信する。また必要に応じて便器本体50の状態や人体の検知結果を問い合わせる無線信号を送信したり、それに応じて便器本体50から送信された、回答を示す無線信号を受信したりする。ただし実施態様によっては、便器本体50からの信号を受信する機能はなくてもよい。
【0031】
リフレッシュ制御部28は、マイクロコンピュータなどにより実現し、あらかじめ定めた条件に基づきリフレッシュ動作を開始するタイミングを決定する。条件は例えば以下のような観点から設定する。
1.時間経過
2.リモートコントロール装置に対する操作
3.便器本体周辺における人の在/不在
【0032】
上記1は、例えば設定された時間間隔で定期的にリフレッシュ動作を実施する場合である。上記2は、例えば使用者が操作ボタン部14aにおけるいずれかのボタンを押下した際、それに呼応するようにリフレッシュ動作を実施する場合である。このとき、便器本体50の状態を加味しリフレッシュ中の表示内容を決定してもよい。上記3は例えば、便器本体50周辺に人が来たことを検知したとき、それに呼応するようにリフレッシュ動作を実施する場合や、便器本体50周辺に人がいないことが判定されている期間にリフレッシュ動作を実施する場合などである。
【0033】
なおこれらの条件は例示であり、一つの観点でも様々な設定が可能である。実際に適用する条件は1つでもよいし複数でもよい。また複数の観点を組み合わせて1つの条件を設定してもよい。いずれにしろ、リモートコントロール装置10における使用者の操作受け付け機能や、便器本体50における人体検知機能といった、それぞれが元来保有する機能を利用することにより、低コストでの導入が可能となる。なおリフレッシュ制御部28は必要に応じて、経過時間を計測するタイマを備えるものとする。
【0034】
使用者による操作を条件とする場合、リフレッシュ制御部28は操作受付部24が操作を受け付けた際、当該操作の内容を取得する。便器本体50の状態を表示内容に反映させる場合や、人の在/不在をリフレッシュ動作の条件に用いる場合、リフレッシュ制御部28は通信部26を介して、便器本体50に対しその時点での状態や人体検知センサによる検知結果の問い合わせを行ったり、それに応じて便器本体50から送信された回答を取得したりする。
【0035】
ただし人の在/不在を判定するには、便器本体50から人体検知結果を取得する以外に、使用者による操作の有無や直前の操作からの経過時間などに基づいてもよい。このような人の在/不在を判定するための基準は別途、設定しておく。リフレッシュ動作を開始する条件はそれぞれに付与した識別情報と対応づけて設定データ記憶部31に格納しておく。設定された条件が満たされリフレッシュ動作の開始を決定したら、リフレッシュ制御部28は、表示制御部32に当該条件の識別情報を通知してリフレッシュ動作を要求する。
【0036】
表示制御部32は、マイクロコンピュータおよび
図2で示した表示部16などで実現し、操作受付部24から通知された使用者による操作内容に応じて、表示の内容を変化させる。上述の通り表示部16を不揮発性の表示装置で構成することにより、表示に係る電力の消費はその内容を変化させたときのみに発生する。表示すべき情報や画面構成などのデータは、想定される状況と対応づけて設定データ記憶部31に格納しておく。
【0037】
表示制御部32はまた、リフレッシュ制御部28からの要求に従い表示画面をリフレッシュさせる。ここでリフレッシュ動作を決定づけた条件によって表示内容を変化させる場合は、リフレッシュ制御部28から通知された識別情報に対応する表示内容を取得できるように、各識別情報と表示内容とを対応づけたデータも設定データ記憶部31に格納しておく。場合によってはリフレッシュ画面を表示する時間や画素の色なども条件ごとに設定してよい。
【0038】
便器本体50は、通信部60、動作制御部62、および人体検知部64を備える。通信部60は、
図1で示した通信インターフェース56および便器本体50に内蔵されたマイクロコンピュータなどにより実現し、リモートコントロール装置10から送信された無線信号を受信して、使用者による便器本体50に対する操作内容を特定する。また、便器本体50の状態や人体検知の結果を示す無線信号を収集し、問い合わせに応じてリモートコントロール装置10へ送信する。動作制御部62は、マイクロコンピュータと、その制御下にあり便器本体50の各機能を実現する機械装置などにより実現し、通信部60が特定した操作内容に対応するように機械装置を動作させる。なお動作制御部62は、
図1で示した本体スイッチ58に対する操作によっても、適宜機械装置を動作させてよい。
【0039】
人体検知部64は、
図1で示した着座センサ54やマイクロコンピュータなどにより実現し、使用者が便座に着座している状態を検知して、その結果を動作制御部62に通知する。動作制御部62は、例えば使用者が着座したら脱臭ファンを作動させ、立ち上がったら便器を洗浄するなど、人体検知部64の検知結果によっても対応する機械装置を動作させる。また動作制御部62は、リモートコントロール装置10から検知結果の問い合わせがなされたときなどに、人体検知部64の検知結果を示す信号を通信部60から送信させる。
【0040】
なお便器本体50において人体を検知するセンサは、着座センサ54に限らない。例えば人の接近に応じて便器のふたを自動で開く機能や、人が遠ざかった際に便座を自動で下ろす機能を装備した便器の場合、それらの機能のためにふたの上面や便座の下面に備えられたセンサも同様に利用できる。それらのセンサによる具体的な人体検知手法は、実用化されている技術を適宜採用できるため、ここでは説明を省略する。
【0041】
図4は、表示部16に表示される画面の変遷例を示している。なお同図では理解を容易にするため、表示部16の下側に設けられる4つの割り付け変動ボタン18も併せて示している。まず画面70は、リモートコントロール装置10の電源が入れられたときなど通常状態で表示される画面の例である。画面70は、ノズルから噴出させる洗浄水の強さ(勢い)を表した「洗浄強さ」表示部100、現在時刻表示部102、および割り付け変動ボタン18の割り付け表示部104で構成される。
【0042】
「洗浄強さ」表示部100は、洗浄水の6段階の強さを6つの円で表し、塗りつぶされた円の数で現在の設定を表している。
図2で示した操作ボタン部14aにおける洗浄強さ調節のためのボタンの押下に応じて、塗りつぶした円の数を増減させる。現在時刻表示部102は、リモートコントロール装置10に内蔵した時計により計測された現在時刻を表示する。割り付け表示部104は、割り付け変動ボタン18のそれぞれに対し現在割り付けられている機能を、各ボタンの直上に文字や図柄などで表示する。同図の場合、左のボタンから順に、「乾燥」、「脱臭」、「音楽」、「お手入れ」なる機能が割り付けられていることがわかる。
【0043】
この状態で割り付け変動ボタン18のいずれかが押下されたら、そのボタンによって、対応する機能を示す無線信号を送信することにより便器本体50を動作させる場合と、対応する機能のみに特化した操作画面へ表示を切り替える場合とが発生する。後者の場合、当該操作画面に対応するように、必要に応じて割り付け変動ボタン18に新たな機能が割り付けられ、結果として割り付け表示部104の表示も変化する。なお図示する機能は一例であり、リモートコントロール装置10または便器本体50に設ける機能に応じて様々な機能の割り付けが考えられる。
【0044】
ここで、何ら操作がなされていないときに表示するホーム画面を画面70とした場合、トイレの使用頻度が低いほど、画面70を表示する時間が長くなる。そのような状態で放置された後、使用者によりリモートコントロール装置10が操作され、上述のように表示を更新した場合、画面70の残像によって更新後の画面が不鮮明になることが考えられる。さらには設定状況やボタンの割り付けが分かりづらくなってしまうこともあり得る。
【0045】
そこで、あらかじめ設定した条件が満たされ、リフレッシュ制御部28がリフレッシュ動作の開始を決定したら、表示制御部32はリフレッシュ画面72、74に示すように、文字を表示させた状態で画面をリフレッシュさせる。同図の例では最初、「しばらくお待ちください」なる白い文字を黒い塗り潰しの背景上に表示し(リフレッシュ画面72)、次に文字と背景で色を反転させている(リフレッシュ画面74)。リフレッシュ動作は基本的に、画面の表面に特定色が残らないように画素の色を時間変化させるものであるため、このように文字と背景の色を異ならせても、それぞれを時間変化させれば目的を果たすことができる。
【0046】
表示制御部32は、リフレッシュ画面72、74をそれぞれ所定時間、表示させたら、元の画面70に表示を戻す。ここで所定時間とは例えば1秒前後の短時間でもよいし、状況によってはそれより長く設定してもよい。このようなリフレッシュ動作を、上述したような条件に基づく好適なタイミングで実施することにより、通常時に操作画面を変化させても画面70が残像として残りにくくなる。
【0047】
リフレッシュ中に表示させる内容は、使用者にリフレッシュ中であることを認識させるものでもよいし、リフレッシュ動作そのものを意識させずにリモートコントロール装置10本来の動作の一貫であるように見せるものでもよい。なお図示したリフレッシュ動作は一例であり、背景および文字の色や、リフレッシュ画面の切り替え回数などを、表示装置の特性に応じて適宜設定してよい。
【0048】
図5は、設定データ記憶部31に格納する、リフレッシュ動作のタイミングを決定する条件とリフレッシュ動作時に表示する内容に係る設定データの構造例を示している。リフレッシュ制御テーブル80は、識別番号欄82、リフレッシュ条件欄84、および表示内容欄86を含む。識別番号欄82に記載された各識別番号に対応づけて、具体的な条件がリフレッシュ条件欄84に設定され、さらに各条件に対応づけてリフレッシュ中に表示すべき文字列等が表示内容欄86に設定される。この例では使用者によって押下されたボタンなどの「操作対象」、ボタンが押下されたときの便器本体50の状態である「便器状態」、および人の在/不在に係る「人の状態」なる3つの観点で条件が設定されている。ここで「−」は該当観点に条件を設定しないことを示している。
【0049】
なお上述のとおり、必要に応じてリフレッシュ動作の周期など、経過時間の観点でさらに条件を設定してもよいし、周期については固定値を用いるなどリフレッシュ制御部28が別途、設定値を保持していてもよい。リフレッシュ制御部28はリフレッシュ制御テーブル80を参照し、いずれかの条件が満たされたら対応する識別番号を表示制御部32に通知する。表示制御部32は、通知された識別番号に基づきリフレッシュ制御テーブル80を参照し、それに対応づけて表示内容欄86に設定された文字列等を表示させながらリフレッシュ動作を実施する。
【0050】
同図において識別番号「1」は、使用者が操作ボタン部14aのうち局部洗浄を停止させる「停止ボタン」を押下したことを条件としている。この場合、表示制御部32は、
図4に示すように「しばらくお待ちください」なる文字を表示させながらリフレッシュ動作を開始する。これと同時に、リモートコントロール装置10から便器本体50へ局部洗浄の停止を要求する信号が送信され、それに応じて便器本体50は水噴出の停止およびノズルの収納を実行する。リフレッシュ動作が完了し、
図4における操作受け付けのための画面70に表示が戻るのと同程度のタイミングでノズルの収納が完了すれば、あたかも洗浄停止の動作の一貫として表示が変化したように見せることができる。このためリフレッシュ画面の表示時間を、ノズル収納までの所要時間に合致するように設定しておいてもよい。
【0051】
識別番号「2」は、使用者が操作ボタン部14aのうち「便器洗浄ボタン」を押下したことを条件としている。この場合、表示制御部32は「便器洗浄中」なる文字を表示させながらリフレッシュ動作を開始する。これと同時に、リモートコントロール装置10から便器本体50へ便器洗浄を要求する信号が送信され、それに応じて便器本体50は便器洗浄を開始する。この場合も、リフレッシュ動作が完了し操作受け付けのための画面に表示が戻るのと同程度のタイミングで便器洗浄が完了すれば、あたかも便器洗浄の動作の一貫として表示が変化したように見せることができる。このためリフレッシュ画面の表示時間を、便器洗浄完了までの所要時間に合致するように設定しておいてもよい。
【0052】
なおこの「便器洗浄中」を表示させたリフレッシュ動作は、便器洗浄と同じタイミングであれば、別の条件によって実施しても同様の効果が得られる。例えば便器本体50が、人の離座を検知してから所定時間経過後に便器を自動洗浄する場合、当該自動洗浄と同じタイミングでリフレッシュ動作を実施してもよい。この場合、リフレッシュ制御部28は、離座が検知された旨の信号を便器本体50から受信し、その後、所定時間経過したことを条件にリフレッシュ動作を実施させる。あるいは、便器本体50から便器洗浄を開始した旨の信号を受信したことを条件にリフレッシュ動作を実施させてもよい。後者の条件により、リモートコントロール装置10に対する使用者の操作以外に、上記の自動洗浄や、本体スイッチ58に対する使用者の操作も、リフレッシュ動作の契機に含めることができる。
【0053】
識別番号「3」は、便器本体50において便器洗浄が完了していない「便器洗浄中」の状態において、使用者が操作ボタン部14aのうち「局部洗浄ボタン」を押下したことを条件としている。この態様は便器本体50側で、便器洗浄の作動期間は局部洗浄を作動させない、という排他制御がなされていることを想定している。この場合、リモートコントロール装置10から局部洗浄を要求する信号を発信しても、便器本体50は局部洗浄機能を作動させない。そして便器洗浄中である旨の信号をリモートコントロール装置10に返信する。
【0054】
リフレッシュ制御部28は当該信号を取得することにより、識別番号「3」の条件が満たされたことを検知し、表示制御部32に通知する。これに応じて表示制御部32は、「便器洗浄中のため他の操作はできません」なる文字を表示させながらリフレッシュ動作を開始する。その後、便器洗浄が完了するのと同程度のタイミングでリフレッシュ動作を完了させ操作受け付けのための画面へ表示を戻せば、使用者はリフレッシュ動作がなされたことを意識することなく、局部洗浄が可能となったタイミングを認識できる。
【0055】
このためリフレッシュ画面の表示時間を、便器洗浄完了までの時間によって調整するようにしてもよい。例えば便器本体50から最初に送信される便器洗浄中である旨の信号に完了までの見積もり時間を含ませるなど、完了時間を便器本体50から取得するようにしてもよい。ただし実施の形態をこれに限定する主旨ではなく、少なくとも上述のような情報をボタン操作に応じて表示することにより、使用者はリフレッシュ動作がなされたことを意識することなく、局部洗浄機能が作動しない原因を認識することができ、故障を疑ったり不安を感じたりすることがなくなる。このような態様は、局部洗浄と便器洗浄に限らず、排他制御される機能であれば同様の効果が得られる。
【0056】
なお「便器洗浄中」でない期間に「局部洗浄ボタン」が押下された場合、すなわち局部洗浄が実施された場合は、識別番号「2」の場合と同様、「ノズル作動中」などと表示させながらリフレッシュ動作を実施してもよい。また同図における識別番号「1」〜「3」は「人の状態」に対し条件を設定していないが、リモートコントロール装置10を操作する使用者として、人の存在も同時に確認していることになる。
【0057】
識別番号「4」は、人が便器本体50の「検知範囲に入った」ことを条件としている。「検知範囲に入った」とは、便器本体50が備える人体検知センサが検知可能な領域内に新たに人が確認された状態を指し、着座センサなどセンサの配置や数によってその領域は様々となる。なお人体検知センサは便器本体50が装備するものに限らず、リモートコントロール装置10本体やトイレ空間内のいずれかの場所に設置されたものを利用してもよい。リフレッシュ制御部28は、通信部26を介して便器本体50へ定期的に人体の検知結果を問い合わせるなどし、新たに人が検知された旨の返信が取得された際、識別番号「4」の条件が満たされたと判定して表示制御部32に通知する。
【0058】
これに応じて表示制御部32は、「起動中」なる文字を表示させながらリフレッシュ動作を実施する。例えば使用者が便器本体50に着座した際にこのような表示変化があることで、着座が検知されたこと、ひいてはリモートコントロール装置10が操作受け付け状態にあることを使用者に認識させることができる。またこの場合も、リモートコントロール装置10の本来の動作として表示が変化したように見せることができる。
【0059】
なおこの態様ではリフレッシュ動作後は、
図4の画面70のように操作受け付けのための標準的な画面を表示させるが、リフレッシュ動作前、すなわち人の存在が検知されない期間は、標準的な画面とは異なる簡易的な画面を表示しておいてもよい。同時にリモートコントロール装置10も操作受け付けを休止させた状態としてもよい。この場合、リモートコントロール装置10は、「起動中」なる文字を表示させながらリフレッシュ動作を実施するとともに、操作受け付け機能を実際に「起動」させる。このようにしても上述と同様の効果を得られる。
【0060】
識別番号「5」は、便器本体50周辺に人が存在しない「不在」の状態が判定されたことを条件としている。上述のように人の不在を判定するためには、リモートコントロール装置10に対する操作が所定時間発生しない、あるいは便器本体50において人体が検知されない、といった判定基準を別途、設定しておく。前者の場合、リフレッシュ制御部28は、操作が所定時間発生しなかった時点を不在の開始とし、次に操作がなされた時点を不在の終了とする。後者の場合、リフレッシュ制御部28は、通信部26を介して便器本体50へ定期的に人体の検知結果を問い合わせるなどし、検知されていない旨の返信がある期間を不在期間とする。
【0061】
リフレッシュ制御部28はそのように判定した不在期間において、例えば所定の時間間隔で識別番号「5」の条件が満たされたと判定し、表示制御部32に通知する。これに応じて表示制御部32は、「書換中」なる文字を表示させながらリフレッシュ動作を実施する。このようにすることでリフレッシュ動作中であることが明確になるため、トイレ室に新たに入った人や、便器本体50の検知範囲外にいる人などが、リフレッシュ動作を偶然、目にしても、突然の画面変化に驚いたり装置の故障や異常を疑ったりするのを避けることができる。
【0062】
「書換中」以外に、「リフレッシュ中」や「お待ちください」などの文言を表示してもよい。なおこのような文言は、リモートコントロール装置10がリフレッシュ動作中であることを明示することにより、それを目にした使用者に安心感を与えるものであるため、人の在/不在に関わらず定期的にリフレッシュ動作を実施するような態様で表示させても同様の効果が得られる。また
図5に示した表示内容の例は全て文字列であったが、同様の内容を一見して把握できるような絵や図を表示させたり、文字列と組み合わせたりしてもよい。
【0063】
次にこれまで述べた構成によって実現されるリモートコントロール装置10の動作について説明する。
図6は、本実施の形態においてリモートコントロール装置10が行うリフレッシュ動作に係る処理の手順を示すフローチャートである。ただし図示した手順は一例であり、リフレッシュ動作の一部を省略してもよいし、さらに別のリフレッシュ動作の機会を設けてもよい。また、リモートコントロール装置10の本来の機能である、便器本体50に対する処理要求等、リフレッシュ動作に直接関連しない処理は適宜図示を省略している。
【0064】
このフローチャートは一例として、トイレ室への人の入室を待機している状態を初期状態としている。人の不在が継続している期間(S10のN)、リフレッシュ制御部28は不在期間開始からの時間経過を計測しながら所定時間が経過するまで待機する(S12のN)。そして所定時間が経過するごとに(S12のY)、表示制御部32に「書換中」なる表示をさせながらリフレッシュ動作を実施させる(S14)。一方、使用者が着座するなど便器本体50の人体検知部64により人が検知されたら(S10のY)、リフレッシュ制御部28は当該情報を便器本体50から取得し、表示制御部32に「起動中」なる表示をさせながらリフレッシュ動作を実施させる(S16)。
【0065】
リフレッシュ動作が完了したら、表示制御部32は
図4の画面70のような操作受け付けのための画面を表示する(S18)。この状態で使用者により何らかの操作がなされ(S20のY)、それがリフレッシュ動作の条件に合致したら(S22のY)、リフレッシュ制御部28は表示制御部32に各操作や状況に応じた内容を表示させながらリフレッシュ動作を実施させる(S24)。リフレッシュ動作後、表示制御部32は操作受け付けのための画面へ表示を戻す(S18)。なされた操作がリフレッシュ動作の条件に合致しない場合は(S22のN)、リフレッシュ動作を実施せずに操作受け付けのための画面を必要に応じて切り替える(S18)。
【0066】
使用者により何ら操作がなされなくても、所定時間が経過しないうちは操作受け付けのための画面を表示させ、操作に応じてS20〜S24の処理を実施する(S20のN、S26のN)。最後の操作から所定時間が経過したら(S20のN、S26のY)、リフレッシュ制御部28は人の不在を判定する(S28)。これにより同フローチャートの初期状態に戻り、再度、人を検知するまで所定の時間間隔で「書換中」なる表示をさせながらリフレッシュ動作を実施したり、人の動きによってその他のリフレッシュ動作を適宜実施したりする。
【0067】
以上、述べた本実施の形態によれば、リモートコントロール装置に不揮発性の表示装置を設ける。また不揮発性の表示装置に特有の残像を消去するためのリフレッシュ動作を、文字や絵などを表示させながら実施する。例えばリフレッシュ動作中であることや装置の正常な動きであることがわかるような文言や絵を表示させることにより、画面の色が突然変化するのを目にしても使用者が故障や異常を疑う必要がなくなる。また使用者がそのような状況を理解することにより、操作が効かないことに対するストレスを軽減させられる。結果として、リモートコントロール装置としての電力消費量を抑えながら、使用者に違和感や不便を覚えさせることなく表示の見やすさを維持することができる。
【0068】
また、使用者の操作の状況、便器本体の状況、人の在/不在で表示内容を適切に制御することにより、リフレッシュ動作中であることを使用者に意識させることなく必要な情報を提供することができる。特に便器本来の機能によって使用者が待たざるを得ない期間を利用することにより、リフレッシュ動作の終了を待っているという意識を与えることなく自然に残像の消去を行える。この場合も電力消費量を抑えながら、使用者が意識することなく表示の見やすさを維持することができる。
【0069】
以上、実施の形態に係るリモートコントロール装置について説明した。この実施の形態は例示であり、その各構成要素の組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。