(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本願に係る運用サーバ、運用方法および運用プログラムを実施するための形態(以下、「実施形態」と呼ぶ)について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態により本願に係る運用サーバ、運用方法および運用プログラムが限定されるものではない。また、以下の実施形態において同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略される。
【0011】
〔1.実施形態〕
〔1−1.実施形態に係る運用システムの構成〕
実施形態に係る運用システムについて説明する。
図2は、運用システム全体の概略構成の一例を示す図である。運用システム1は、ATMが有する資金を運用する運用サービスを提供する。例えば、運用システム1では、金融機関とは別の業者であるサービス業者が運用サービスを提供する。
【0012】
図2に示すように、運用システム1は、ATM5A〜5Dと、運用サーバ100と、金融機関ホスト10A〜10Bとを有する。ATM5A〜5D、運用サーバ100、金融機関ホスト10A〜10Bは、それぞれネットワークNと有線または無線により通信可能に接続される。ここで、ATM5A〜5Dは、運用サーバ100を経由して金融機関ホスト10A〜10Bに接続される。そして、ATM5A〜5Dは、運用サーバ100を介して、運用状態や取引状態に関する情報を、金融機関ホスト10A〜10Bとの間で送受信する。なお、以下では、ATM5A〜5Dの各装置を区別なく総称する場合には、「ATM5」と記載する場合がある。また、金融機関ホスト10A〜10Bの各装置を区別なく総称する場合には、「金融機関ホスト10」と記載する場合がある。
【0013】
ATM5は、現金の入出金などのサービスを利用者(例えば、顧客)に提供する装置である。具体的には、ATM5は、現金(例えば、紙幣や硬貨といった貨幣)、通帳、磁気カード等の受入口及び支払口や、取引に関する取引操作を利用者から受け付ける受付部、金融機関ホスト10や運用サーバ100と通信を行なう通信部などを有する。例えば、ATM5は、受付部によって所定の取引操作を利用者から受け付けた場合に、通信部を介して金融機関や貸金業者などの提供するサービスの取引を実行する。本実施例では、ATM5は、ATM5に貨幣を装填したり、ATM5から貨幣を回収したりする運用サービスの取引を実行する。
【0014】
金融機関ホスト10は、金融機関が有するホストコンピュータである。具体的には、金融機関ホスト10は、金融機関が提供するサービスの利用者に関する情報を管理する。例えば、金融機関ホスト10は、利用者が有する口座の預金残高をリアルタイムに更新して保持する。本実施例では、金融機関ホスト10は、要望に応じた登録者の口座に入金される報酬の記録などを行なう。
【0015】
ところで、ATM5は、例えば金融機関の店舗や小売店、公共施設などに設置される。ここで、ATM5は、設置されている場所の周辺でイベントなどが開催されると突発的に利用者が多くなるため貨幣の出金量が増加するので、ATM5の装置内の貨幣が不足する場合がある。このような場合には、複数の係員が乗車する警送車35を緊急に派遣して貨幣をATM5に装填する必要があるため、作業費として高額な緊急警送費用が発生してしまう可能性がある。また、ATM5の装置内の貨幣量が最大許容量に近い場合には、ATM5から貨幣を回収する必要があるため、緊急警送費用が発生してしまう可能性がある。したがって、ATMの運用にかかる費用を抑制することができないという問題がある。そこで、後述する運用サーバ100は、ATM5の資金を運用する運用サービスを提供する。
【0016】
運用サーバ100は、ATM5に貨幣を装填又は回収させる運用サービスを提供するサーバ装置である。具体的には、運用サーバ100は、ATM5が装置内に保有する貨幣に関する貨幣情報に基づいてATM5に貨幣を装填又は回収する要望を公開し、要望に応じた登録者に対して報酬を付与する。例えば、運用サーバ100は、ネットワークNを介して、ATM5から貨幣情報を受信する。そして、運用サーバ100は、運用サービスに予め登録された登録者に要望を公開する。その後、運用サーバ100は、公開された貨幣要望に応じて登録者がATM5に装填又は回収した貨幣に対応する資金を、運用サービスを提供する運用業者の口座から登録者の口座に移動する処理を行なう。また、運用サーバ100は、金融機関ホスト10と通信を行ない、公開された要望に応じてATM5に貨幣を装填又は回収した登録者の口座に報酬を入金する。これにより、運用サーバ100は、ATM5に貨幣を装填又は回収させる取引を登録者に積極的に行わせることができるので、ATMの運用にかかる費用を抑制することができる。
【0017】
なお、
図2では、説明を簡単にするため、運用システム1に、4台のATM5A〜5Dと、2台の金融機関ホスト10A〜10Bとが含まれる例を示したが、実際には4台のATM5に限らず複数台のATM5と、2台に限らず複数台の金融機関ホスト10とが含まれる。また、
図2では、運用システム1に、1台の運用サーバ100が含まれる例を示したが、運用システム1には、複数台の運用サーバ100が含まれてもよい。
【0018】
〔1−2.実施形態に係る運用サーバの構成〕
次に、
図3を用いて、実施形態に係る運用サーバ100の構成について説明する。
図3は、実施形態に係る運用サーバ100の構成例を示す図である。
図3に示すように、運用サーバ100は、通信部110と、記憶部120と、制御部130とを有する。なお、運用サーバ100は、運用サーバ100を利用する管理者等から各種操作を受け付ける入力部(例えば、キーボードやマウス等)や、各種情報を表示するための表示部(例えば、液晶ディスプレイ等)を有してもよい。
【0019】
(通信部110について)
通信部110は、例えば、NIC等によって実現される。通信部110は、ネットワークNと有線または無線で接続され、ネットワークNを介して、ATM5や金融機関ホスト10との間で情報の送受信を行う。例えば、通信部110は、ATM5との間で、ATM5が有する貨幣に関する貨幣情報の送受信を行う。また、通信部110は、金融機関ホスト10との間で、登録者に付与する報酬に関する情報の送受信を行う。
【0020】
(記憶部120について)
記憶部120は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。記憶部120は、会員情報記憶部121と、貨幣情報記憶部122と、取引情報記憶部123とを有する。
【0021】
(会員情報記憶部121について)
会員情報記憶部121は、貨幣の運用を行なう運用サービスに登録された登録者に関する情報を記憶する。具体的には、会員情報記憶部121は、登録者毎に、登録者の連絡先や口座などに関する情報を記憶する。ここで、
図4に、実施形態に係る会員情報記憶部121の一例を示す。
図4に示すように、会員情報記憶部121は、「会員番号」、「メールアドレス」、「連絡先」、「口座番号」および「手数料」といった項目を有する。
【0022】
「会員番号」は、登録者を識別するための識別情報を示す。例えば、「会員番号」は、登録者毎にユニークな番号が付与される。「メールアドレス」は、登録者が所有するメールアドレスを示す。「連絡先」は、登録者の電話番号を示す。「口座番号」は、登録者が所有する口座の識別番号を示す。「口座番号」に記憶された番号の口座には、後述の「手数料」に記憶された額が入金される。例えば、「メールアドレス」、「連絡先」及び「口座番号」には、登録者によって設定された文字列が記憶される。「手数料」は、登録者に付与される報酬を示す。例えば、「手数料」には、報酬として、登録者がATM5に装填又は回収した額に応じた手数料が記憶される。なお、登録者に付与する報酬が現時点で存在しない場合には、「手数料」はブランクとなる。
【0023】
すなわち、
図4では、会員番号「001」によって識別される登録者は、メールアドレス「xxxxx@xxx.ne.jp」である例を示している。また、会員番号「001」によって識別される登録者は、連絡先「0X0-1234-1234」である例を示している。また、会員番号「001」によって識別される登録者は、口座番号「000X-001-12345678」である例を示している。また、会員番号「001」によって識別される登録者には、報酬として付与される手数料が現時点では存在しないことを示す。なお、会員情報の各項目は、例えば、Web上の登録画面でユーザが所定の項目を入力することで登録される。
【0024】
(貨幣情報記憶部122について)
貨幣情報記憶部122は、ATM5が有する貨幣に関する情報を記憶する。具体的には、貨幣情報記憶部122は、運用システム1が管理するATM毎に、ATM5が装置内に備える貨幣の量と状況などを記憶する。ここで、
図5に、実施形態に係る貨幣情報記憶部122の一例を示す。
図5に示すように、貨幣情報記憶部122は、「管理ATM」、「装置内資金」および「状況」といった項目を有する。
【0025】
「管理ATM」は、運用システム1が管理するATM5を識別するための識別情報を示す。例えば、「管理ATM」は、ATM5の名称や識別番号が記憶される。「装置内資金」は、ATM5が装置内に有する貨幣ごとの量を示す。例えば、「装置内資金」の「万円」には、ATM5が装置内に有する1万円札の枚数が記憶される。「装置内資金」の「千円」には、ATM5が装置内に有する1000円札の枚数が記憶される。「状況」は、ATM5が装置内に有する貨幣量の状況を示す。例えば、「状況」には、「枯渇」、「不足」、「正常」、「過多」といった現時点での貨幣量のステータスを示す文字列が記憶される。一例としては、「枯渇」は、貨幣量が非常に少なく早急に貨幣を装填すべき状況を意味する。「不足」は、貨幣量が少なく貨幣を装填すべき状況を意味する。「正常」は、貨幣量に特に問題がなく装填または回収する必要がないことを意味する。「過多」は、貨幣量が最大許容量に近く貨幣を回収すべき状況を意味する。
【0026】
すなわち、
図5では、管理ATM「ATM1」は、装置内の1万円札の枚数が「100」である例を示している。また、管理ATM「ATM1」は、装置内の1000円札の枚数が「300」である例を示している。また、管理ATM「ATM1」は、装置内の貨幣量が不足している例を示している。
【0027】
(取引情報記憶部123について)
取引情報記憶部123は、ATM5に貨幣を装填又は回収する取引に関する情報を記憶する。具体的には、取引情報記憶部123は、取引毎に、装填又は回収といった取引に応募した登録者に関する情報や取引を行なうATM、取引内容、取引期限に関する情報を記憶する。ここで、
図6に、実施形態に係る設定時の取引情報記憶部123の一例を示す。すなわち、
図6は、ATM5に対して装填や回収といった取引に関する情報が設定されたもののまだ取引が行われていない時点での取引情報記憶部123の一例を示す。
図6に示すように、取引情報記憶部123は、「会員番号」、「対象装置」、「取引内容」、「取引期限」、「時刻」、「万円」、「千円」および「手数料」といった項目を有する。
【0028】
「会員番号」は、登録者を識別するための識別情報を示す。例えば、「会員番号」には、ATM5に貨幣を装填又は回収する取引に応募した登録者を識別する識別番号が記憶される。「対象装置」は、貨幣の装填又は回収を行なう対象となるATM5を識別するための識別情報を示す。例えば、「対象装置」には、ATM5の名称や識別番号が記憶される。「取引内容」は、ATM5に対して行う取引の内容を示す。例えば、「取引内容」には、「装填」又は「回収」といった取引の内容が記憶される。ここで、「装填」は、ATM5に貨幣を装填する取引を意味する。「回収」は、ATM5から貨幣を回収する取引を意味する。「取引期限」は、登録者が対象装置であるATM5に対して取引を行なう期限を示す。例えば、「取引期限」は、装填又は回収を行なう期限となる日付及び時刻が記憶される。「時刻」は、対象装置であるATM5に対して取引が行われた時刻が記憶される。例えば、「時刻」には、ATM5に装填又は回収を行なった日付及び時刻が記憶される。「万円」及び「千円」は、対象装置であるATM5に対して取引を行なった金額が記憶される。例えば、「万円」及び「千円」には、ATM5に装填又は回収を行なった1万円札及び1000円札の額が記憶される。なお、取引が現時点で行われていない場合には、「時刻」、「万円」及び「千円」はブランクとなる。「手数料」は、取引を行なった登録者に対して付与する報酬を示す。例えば、「手数料」には、取引の金額に応じた手数料が記憶される。一例としては、取引前の「手数料」には、取引の金額に対する手数料のレートが記憶される。一方、取引後の「手数料」には、取引に対する手数料の総額が記憶される。
【0029】
すなわち、
図6では、会員番号「001」によって識別される登録者には、対象装置「ATM1」に対して貨幣を「装填」する取引が設定された例を示している。また、かかる取引の期限は、「3月28日 16:00」である例を示している。また、かかる取引の手数料は、「装填額1万円あたり10円」である例を示している。また、かかる取引は、現時点では行われていない例を示している。
【0030】
他の例として、
図7に、実施形態に係る取引後の取引情報記憶部123の一例を示す。すなわち、
図7は、取引に応募した登録者がATM5に対して取引を行なった取引後の時点での取引情報記憶部123の一例を示す。
【0031】
すなわち、
図7では、会員番号「001」によって識別される登録者は、対象装置「ATM1」に対して貨幣「100万円」を「装填」する取引を時刻「15:40」に行なった例を示している。また、会員番号「001」によって識別される登録者には、かかる取引に対する手数料として「1000円」が支払われる例を示している。
【0032】
(制御部130について)
制御部130は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等によって、運用サーバ100内部の記憶装置に記憶されている各種プログラム(運用プログラムの一例に相当)がRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部130は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現される。
【0033】
制御部130は、
図3に示すように、受信部131と、公開部132と、移動処理部133と、付与部134と、送信部135とを有し、以下に説明する情報処理の機能や作用を実現または実行する。なお、制御部130の内部構成は、
図3に示した構成に限られず、後述する運用処理を行う構成であれば他の構成であってもよい。また、制御部130が有する各処理部の接続関係は、
図3に示した接続関係に限られず、他の接続関係であってもよい。
【0034】
(受信部131について)
受信部131は、ATM5や金融機関ホスト10から各種の情報を受信する。具体的には、受信部131は、ATM5が有する貨幣に関する貨幣情報を受信する。例えば、受信部131は、貨幣情報として、ATM5が現在有する貨幣ごとの量をATM5から定期的に受信する。そして、受信部131は、ATM5から貨幣情報を受信した場合に、受信した貨幣情報を貨幣情報記憶部122に格納する。例えば、受信部131は、貨幣情報をATM5に対応付けて貨幣情報記憶部122に格納する。
【0035】
また、受信部131は、取引に関する取引情報を受信する。例えば、受信部131は、取引情報として、ATM5に対して装填又は回収された時刻、1万円札及び1000円札の枚数に関する情報をATM5から受信する。そして、受信部131は、ATM5から取引情報を受信した場合に、受信した取引情報を取引情報記憶部123に格納する。例えば、受信部131は、取引情報を、取引を行なった登録者の会員番号に対応付けて取引情報記憶部123に格納する。また、受信部131は、ATM5に対して装填又は回収された金額に基づいて手数料を算出し、取引情報記憶部123の「手数料」の項目を更新する。また、受信部131は、登録者に付与した報酬に関する情報を金融機関ホスト10から受信する。例えば、受信部131は、登録者の口座に報酬を入金した旨を示す完了通知を金融機関ホスト10から受信する。また、受信部131は、利用者によって挿入されたカードから読み取られた口座番号をATM5から受信する。
【0036】
(公開部132について)
公開部132は、取引の要望を公開する。具体的には、公開部132は、受信部131によって受信された貨幣情報に基づいてATM5に貨幣を装填又は回収する要望を示す貨幣要望を、貨幣の運用を行なう運用サービスに登録された登録者に公開する。例えば、公開部132は、貨幣要望として、ATM5に装填又は回収する貨幣の額、要望の緊急度合い、ATM5の設置場所又は報酬の額に関する情報を、登録者に公開する。
【0037】
一例としては、公開部132は、貨幣要望を表示して取引者を募集する募集画面をWebサイト上に公開する。ここで、
図8を用いて募集画面について説明する。
図8は、募集画面の一例を示す図である。公開部132は、
図8に示すような募集画面Ws1を公開する。募集画面Ws1には、取引の対象となるATMの名称「ATM1」と、取引内容「装填」と、ATMの設置場所「新宿区 x1丁目x1番地」と、手数料「10円/1万円」とが表示される。また、募集画面Ws1には、ATMの装置内の貨幣量が枯渇しており緊急に貨幣を装填する必要がある場合には、
図8に示すように「緊急」の文字が併せて表示される。この場合、
図8に示すように、「ATM4」の手数料は、相対的に高い「20円/1万円」となる。例えば、公開部132は、募集画面Ws1を、登録者のみ閲覧可能なWebページ上に公開する。そして、募集画面Ws1を閲覧した登録者は、募集されている取引を選択することで応募し、かかる取引を実行することで手数料を受け取ることができる。他の例では、公開部132は、募集画面Ws1の内容が記載されたメールを登録者のメールアドレスに配信することで公開してもよい。
【0038】
(移動処理部133について)
移動処理部133は、移動する処理を行なう。具体的には、移動処理部133は、公開部132によって公開された貨幣要望に応じて登録者がATM5に装填又は回収した貨幣に対応する資金を、運用サービスを提供する運用業者の口座から登録者の口座に、もしくは登録者の口座から運用業者の口座へ移動する処理を行なう。
【0039】
例えば、移動処理部133は、資金として、登録者がATM5に貨幣を装填した場合には、登録者が装填した貨幣の総額に対応する資金を運用業者の口座から登録者の口座へ移動する処理を行なう。一例としては、移動処理部133は、まず、会員情報記憶部121を参照し、ATM5に貨幣を装填する貨幣要望に応じた登録者の口座を特定する。続いて、移動処理部133は、運用業者の口座から、特定した登録者の口座へ、登録者が装填した貨幣の総額に対応する資金を振り込ませる指示を送信する。そして、移動処理部133は、運用業者の口座から登録者の口座へ資金が正常に振り込まれた場合に、取引情報記憶部123の「取引内容」を更新する。
【0040】
一方、移動処理部133は、ATM5から貨幣を回収した場合には、登録者が回収した貨幣の総額に対応する資金を登録者の口座から運用業者の口座へ移動する処理を行なう。一例としては、移動処理部133は、まず、会員情報記憶部121を参照し、ATM5から貨幣を回収する貨幣要望に応じた登録者の口座を特定する。続いて、移動処理部133は、特定した登録者の口座から運用業者の口座へ、登録者が回収した貨幣の総額に対応する資金を振り込ませる指示を送信する。そして、移動処理部133は、登録者の口座から運用業者の口座へ資金が正常に振り込まれた場合に、取引情報記憶部123の「取引内容」を更新する。
【0041】
これにより、運用サーバ100は、例えば、B行の口座を有する登録者によってA行のATMで取引が行われた場合でも、異なる銀行間の取引による手数料が登録者に発生することを防ぐことができる。このため、運用サーバ100は、ATMの運用にかかる費用を抑制することができる
【0042】
(付与部134について)
付与部134は、取引に対する報酬を登録者に付与する。具体的には、付与部134は、公開部132によって公開された貨幣要望に応じてATM5に貨幣を装填又は回収した登録者に対して報酬を付与する。より具体的には、付与部134は、運用サービスを提供する運用業者が有する口座から登録者の口座に報酬を入金する。例えば、付与部134は、まず、会員情報記憶部121を参照し、貨幣要望に応じた登録者の口座と手数料とを特定する。続いて、付与部134は、特定した登録者の口座に手数料を振り込ませる指示を送信する。そして、付与部134は、登録者の口座に手数料が正常に振り込まれた場合に、会員情報記憶部121の「手数料」を更新する。一例としては、付与部134は、報酬として、ATM5に装填又は回収した額に応じた手数料を登録者の口座に入金する。すなわち、付与部134は、ATM5に装填又は回収した1万円札や1000円札などの貨幣の量が多いほど高い手数料を登録者の口座に入金する。
【0043】
(送信部135について)
送信部135は、ATM5や金融機関ホスト10に各種の情報を送信する。具体的には、送信部135は、登録者に付与する報酬に関する情報を金融機関ホスト10に送信する。例えば、送信部135は、運用業者の口座から登録者の口座へ報酬を入金する指示を金融機関ホスト10に送信する。これにより、登録者の口座には、報酬が振り込まれる。また、送信部135は、ATM5に対する各種の指示を送信する。
【0044】
〔1−3.実施形態に係る処理手順〕
[1−3−1.登録処理について]
まず、
図9を用いて、実施形態に係る運用システム1による取引を登録する登録処理の手順について説明する。
図9は、実施形態に係る運用システム1による登録処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【0045】
図9に示すように、運用サーバ100は、ATM5が有する貨幣に関する貨幣情報を受信する(ステップS101)。例えば、運用サーバ100は、貨幣情報として、ATM5が現在有する貨幣ごとの量をATM5から定期的に受信する。
【0046】
続いて、運用サーバ100は、受信された貨幣情報に基づいてATM5に貨幣を装填又は回収する要望を示す貨幣要望を、貨幣の運用を行なう運用サービスに登録された登録者に公開する(ステップS102)。例えば、運用サーバ100は、貨幣要望を表示して取引者を募集する募集画面をWebサイト上に公開する。
【0047】
その後、運用サーバ100は、貨幣要望に応募するWebアクセスがあるか否かを判定する(ステップS103)。ここで、運用サーバ100は、Webアクセスがない場合には(ステップS103;No)、ステップS101の処理に戻る。
【0048】
一方、運用サーバ100は、Webアクセスがあった場合には(ステップS103;Yes)、登録者情報を受け付ける(ステップS104)。その後、運用サーバ100は、受け付けた登録者情報が登録されているか否かを判定する(ステップS105)。ここで、運用サーバ100は、受け付けた登録者情報が登録されていない場合には(ステップS105;No)、未登録である旨を表示し(ステップS106)、ステップS101の処理に戻る。
【0049】
一方、運用サーバ100は、受け付けた登録者情報が登録されている場合には(ステップS105;Yes)、取引の対象装置の選択を受け付ける(ステップS107)。続いて、運用サーバ100は、取引内容の選択を受け付ける(ステップS108)。
【0050】
その後、運用サーバ100は、取引内容の確認がされたか否かを判定する(ステップS109)。ここで、運用サーバ100は、取引内容の確認がされていないと判定した場合には(ステップS109;No)、取引内容の確認を取消し(ステップS110)、ステップS101の処理に戻る。
【0051】
一方、運用サーバ100は、取引内容の確認がされたと判定した場合には(ステップS109;Yes)、取引期限を表示する(ステップS111)。これにより、登録者は、いつまでに取引を行なわなければならないか確認することができる。
【0052】
その後、運用サーバ100は、取引情報を登録する(ステップS112)。例えば、運用サーバ100は、受け付けた対象装置、取引内容及び取引期限を、登録者の会員番号と対応付けて取引情報記憶部123に格納し、ステップS101の処理に戻る。
【0053】
[1−3−2.装填処理について]
次に、
図10〜
図16を用いて、装填処理について説明する。
図10は、実施形態に係る運用システム1による装填処理の流れを説明するための説明図である。
【0054】
図10に示すように、まず、A行のATM5は、A行とは異なる銀行であるB行のカードが登録者によって挿入されるとともに、貨幣が装填される(ステップS10)。その後、運用サーバ100は、公開された貨幣要望に応じて登録者がA行のATM5に装填した貨幣に対応する額の資金を、A行の資金運用口座から運用業者の口座に移動する出金処理を行なう(ステップS11)。続いて、運用サーバ100は、公開された貨幣要望に応じて登録者がA行のATM5に装填した貨幣に対応する額の資金を、運用業者の口座から登録者のB行の口座に移動する入金処理を行なう(ステップS12)。そして、運用サーバ100は、装填取引が完了した旨を報告する完了報告をA行に対して行なう(ステップS13)。
【0055】
(取引処理について)
次に、
図11を用いて、実施形態に係る運用システム1による貨幣を装填する取引の処理の手順について説明する。
図11は、実施形態に係る運用システム1による取引処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【0056】
図11に示すように、まず、ATM5は、利用者によって挿入されたカードが有する磁気データから口座番号を読み取る(ステップS201)。続いて、ATM5は、読み取った口座番号を運用サーバ100に送信する(ステップS202)。
【0057】
その後、運用サーバ100は、取引情報記憶部123を参照し、受信した口座番号に対応する登録者の会員番号が取引情報に登録されているか否かを判定する(ステップS203)。ここで、運用サーバ100は、取引情報に登録済みでないと判定した場合には(ステップS203;No)、ATM5に通常の取引選択画面を表示させ(ステップS204)、通常のATM取引処理を実行させる指示をATM5に送信する(ステップS205)。
【0058】
一方、運用サーバ100は、取引情報に登録済みであると判定した場合には(ステップS203;Yes)、取引が期限時間内か否かを判定する(ステップS206)。ここで、運用サーバ100は、取引が期限時間内でないと判定した場合には(ステップS206;No)、期限時間外である旨を表示させる指示をATM5に送信し(ステップS207)、ステップS201の処理に戻る。
【0059】
一方、運用サーバ100は、期限時間内であると判定した場合には(ステップS206;Yes)、貨幣装填取引処理を実行する(ステップS208)。その後、運用サーバ100は、実行した取引内容を取引情報に登録し(ステップS209)、ステップS201の処理に戻る。この点について、
図12〜
図13を用いて詳細に説明する。
図12は、取引後の取引情報のデータ構成の一例を示す図である。
図12に示すように、例えば、運用サーバ100は、会員番号「001」に対応する登録者が「ATM1」に対して取引を行なった時刻「15:40」、装填した1万円札の枚数「100」、1000円札の枚数「0」、手数料「1000円」を、取引情報記憶部123に登録する。
図13は、取引後の会員情報のデータ構成の一例を示す図である。
図13に示すように、例えば、運用サーバ100は、会員番号「001」に対応する登録者に付与する手数料「1000円」を会員情報記憶部121に登録する。
【0060】
(精算処理について)
次に、
図14を用いて、公開された貨幣要望に応じてATM5に貨幣を装填又は回収した登録者に対して報酬を付与する精算処理の手順について説明する。
図14は、実施形態に係る運用システム1による精算処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【0061】
図14に示すように、まず、運用サーバ100は、会員情報記憶部121を参照し、会員を検索する(ステップS301)。続いて、運用サーバ100は、取引情報記憶部123を参照し、検索した会員に取引があったか否かを判定する(ステップS302)。ここで、運用サーバ100は、検索した会員に取引がなかったと判定した場合には(ステップS302;No)、次の会員を対象とした処理へ移行する(ステップS305)。
【0062】
一方、運用サーバ100は、検索した会員に取引があったと判定した場合には(ステップS302;Yes)、かかる会員の振り込み口座を確認する(ステップS303)。そして、運用サーバ100は、かかる口座に手数料を振り込ませる指示を送信することで手数料の振り込みを実施する(ステップS304)。これにより、運用サーバ100は、公開された貨幣要望に応じてATM5に貨幣を装填又は回収した登録者に対して報酬を付与する。
【0063】
その後、運用サーバ100は、次の会員を対象とした処理へ移行する(ステップS305)。そして、会員情報記憶部121を参照し、登録された全ての会員について手数料の精算を完了したか否かを判定する(ステップS306)。ここで、運用サーバ100は、登録された全ての会員について手数料の精算を完了したと判定した場合には(ステップS306;Yes)、精算処理を終了する。一方、運用サーバ100は、登録された全ての会員について手数料の精算を完了していないと判定した場合には(ステップS306;No)、ステップS301の処理を再び実行する。
【0064】
(貨幣装填取引処理について)
次に、
図15を用いて、
図11に示す貨幣装填取引について詳細に説明する。
図15は、実施形態に係る運用システム1による装填処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【0065】
図15に示すように、まず、ATM5は、装填取引画面を表示する(ステップS401)。続いて、ATM5は、確認操作を受け付けたか否かを判定する(ステップS402)。ここで、ATM5は、確認操作を受け付けていないと判定した場合には(ステップS402;No)、装置からカードを排出し利用者に返却する(ステップS411)。
【0066】
一方、ATM5は、確認操作を受け付けたと判定した場合には(ステップS402;Yes)、装填された貨幣の枚数を計る貨幣入金計数処理を実行する(ステップS403)。
【0067】
続いて、ATM5は、運用サーバ100との間でセンタ通信を行ない、取引が取引情報に登録されていることを確認する(ステップS404)。そして、ATM5は、取引の確認を完了したか否かを判定する(ステップS405)。ここで、ATM5は、取引の確認を完了できなかったと判定した場合には(ステップS405;No)、装填された貨幣を返却するとともに(ステップS410)、カードを返却する(ステップS411)。
【0068】
一方、ATM5は、取引の確認を完了したと判定した場合には(ステップS405;Yes)、貨幣収納処理を実行する(ステップS406)。そして、運用サーバ100は、移動処理を実行する(ステップS407)。その後、運用サーバ100は、正常に処理が完了したか否かを判定する(ステップS408)。ここで、ATM5は、正常に取引が完了できなかったと判定された場合には(ステップS408;No)、装填された貨幣を返却するとともに(ステップS410)、カードを返却する(ステップS411)。一方、ATM5は、正常に取引が完了したと判定された場合には(ステップS408;Yes)、取引情報を更新し(ステップS409)、カードを返却し(ステップS411)、処理を終了する。
【0069】
(移動処理について)
次に、
図16を用いて、
図15に示す移動処理について詳細に説明する。
図16は、実施形態に係る運用システム1による移動処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【0070】
図16に示すように、まず、運用サーバ100は、公開された貨幣要望に応じて登録者がA行のATM5に装填した貨幣に対応する額の資金を、A行の資金運用口座から運用業者の口座に移動する出金処理を行なう(ステップS501)。例えば、運用サーバ100は、A行の資金運用口座から運用業者の口座へ、登録者が装填した貨幣の総額に対応する資金を振り込ませる指示を送信する。続いて、運用サーバ100は、公開された貨幣要望に応じて登録者がA行のATM5に装填した貨幣に対応する額の資金を、運用業者の口座から登録者のB行の口座に移動する入金処理を行なう(ステップS502)。例えば、運用サーバ100は、まず、会員情報記憶部121を参照し、ATM5に貨幣を装填する貨幣要望に応じた登録者の口座を特定する。続いて、運用サーバ100は、運用業者の口座から登録者のB行の口座へ、登録者が装填した貨幣の総額に対応する資金を振り込ませる指示を送信する。そして、運用サーバ100は、運用業者の口座から登録者のB行の口座へ資金が正常に振り込まれた場合に、取引情報記憶部123の「取引内容」を更新する。また、運用サーバ100は、装填取引が完了した旨を報告する完了報告をA行に対して行なう(ステップS503)。
【0071】
[1−3−3.回収処理について]
次に、
図17〜
図20を用いて、回収処理について説明する。
図17は、実施形態に係る運用システム1による回収処理の流れを説明するための説明図である。
【0072】
図17に示すように、まず、A行のATM5は、A行とは異なる銀行であるB行のカードが登録者によって挿入される(ステップS20)。その後、運用サーバ100は、公開された貨幣要望に応じて登録者がA行のATM5から回収した貨幣に対応する額の資金を、登録者のB行の口座から運用業者の口座に移動する出金処理を行なう(ステップS21)。続いて、運用サーバ100は、公開された貨幣要望に応じて登録者がA行のATM5から回収した貨幣に対応する額の資金を、運用業者の口座からA行の資金運用口座に移動する入金処理を行なう(ステップS22)。そして、運用サーバ100は、回収取引が完了した旨を報告する完了報告をA行に対して行なう(ステップS23)。また、登録者は、A行のATM5から貨幣を回収する(ステップS24)。
【0073】
(取引処理について)
次に、
図18を用いて、実施形態に係る運用システム1による貨幣を回収する取引の処理の手順について説明する。
図18は、実施形態に係る運用システム1による取引処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【0074】
図18に示すように、まず、ATM5は、利用者によって挿入されたカードから口座番号を読み取る(ステップS601)。続いて、ATM5は、読み取った口座番号を運用サーバ100に送信する(ステップS602)。
【0075】
その後、運用サーバ100は、取引情報記憶部123を参照し、受信した口座番号に対応する登録者の会員番号が取引情報に登録されているか否かを判定する(ステップS603)。ここで、運用サーバ100は、取引情報に登録済みでないと判定した場合には(ステップS603;No)、ATM5に通常の取引選択画面を表示させ(ステップS604)、通常のATM取引処理を実行させる指示をATM5に送信する(ステップS605)。
【0076】
一方、運用サーバ100は、取引情報に登録済みであると判定した場合には(ステップS603;Yes)、取引が期限時間内か否かを判定する(ステップS606)。ここで、運用サーバ100は、取引が期限時間内でないと判定した場合には(ステップS606;No)、期限時間外である旨を表示させる指示をATM5に送信し(ステップS607)、ステップS601の処理に戻る。
【0077】
一方、運用サーバ100は、期限時間内であると判定した場合には(ステップS606;Yes)、貨幣回収取引処理を実行する(ステップS608)。その後、運用サーバ100は、実行した取引内容を取引情報に登録し(ステップS609)、ステップS601の処理に戻る。
【0078】
(貨幣回収取引処理について)
次に、
図19を用いて、
図18に示す貨幣回収取引について詳細に説明する。
図19は、実施形態に係る運用システム1による回収処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【0079】
図19に示すように、まず、ATM5は、回収取引画面を表示する(ステップS701)。続いて、ATM5は、確認操作を受け付けたか否かを判定する(ステップS702)。ここで、ATM5は、確認操作を受け付けていないと判定した場合には(ステップS702;No)、装置からカードを排出し利用者に返却する(ステップS711)。
【0080】
一方、ATM5は、確認操作を受け付けたと判定した場合には(ステップS702;Yes)、貨幣回収金額の入力を受け付ける(ステップS703)。続いて、ATM5は、運用サーバ100との間でセンタ通信を行ない、取引が取引情報に登録されていることを確認する(ステップS704)。そして、ATM5は、取引の確認を完了したか否かを判定する(ステップS705)。ここで、ATM5は、取引の確認を完了できなかったと判定した場合には(ステップS705;No)、カードを返却する(ステップS711)。
【0081】
一方、ATM5は、取引の確認を完了したと判定した場合には(ステップS705;Yes)、貨幣回収処理を実行する(ステップS706)。そして、運用サーバ100は、移動処理を実行する(ステップS707)。その後、運用サーバ100は、正常に処理が完了したか否かを判定する(ステップS708)。ここで、ATM5は、正常に取引が完了できなかったと判定された場合には(ステップS708;No)、カードを返却する(ステップS711)。一方、ATM5は、正常に取引が完了したと判定された場合には(ステップS708;Yes)、取引情報を更新し(ステップS709)、登録者に貨幣を回収させる(ステップS710)とともに、カードを返却し(ステップS711)、処理を終了する。
【0082】
(移動処理について)
次に、
図20を用いて、
図19に示す移動処理について詳細に説明する。
図20は、実施形態に係る運用システム1による移動処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【0083】
図20に示すように、まず、運用サーバ100は、公開された貨幣要望に応じて登録者がA行のATM5から回収した貨幣に対応する額の資金を、登録者のB行の口座から運用業者の口座に移動する出金処理を行なう(ステップS801)。例えば、運用サーバ100は、まず、会員情報記憶部121を参照し、ATM5から貨幣を回収する貨幣要望に応じた登録者の口座を特定する。続いて、運用サーバ100は、特定した登録者のB行の口座から運用業者の口座へ、登録者が回収した貨幣の総額に対応する資金を振り込ませる指示を送信する。続いて、運用サーバ100は、公開された貨幣要望に応じて登録者がA行のATM5から回収した貨幣に対応する額の資金を、運用業者の口座からA行の資金運用口座に移動する入金処理を行なう(ステップS802)。例えば、運用サーバ100は、運用業者の口座からA行の資金運用口座へ、登録者が回収した貨幣の総額に対応する資金を振り込ませる指示を送信する。そして、運用サーバ100は、運用業者の口座からA行の資金運用口座へ資金が正常に振り込まれた場合に、取引情報記憶部123の「取引内容」を更新する。また、そして、運用サーバ100は、回収取引が完了した旨を報告する完了報告をA行に対して行なう(ステップS803)。
【0084】
〔1−4.実施形態の効果〕
上述してきたように、実施形態に係る運用サーバ100は、受信部131と、公開部132と、移動処理部133と、付与部134とを有する。受信部133は、ATMが有する貨幣に関する貨幣情報を受信する。公開部132は、受信部131によって受信された貨幣情報に基づいてATMに貨幣を装填又は回収する要望を示す貨幣要望を、貨幣の運用を行なう運用サービスに登録された登録者に公開する。移動処理部133は、公開部132によって公開された貨幣要望に応じて登録者がATMに装填又は回収した貨幣に対応する資金を、運用サービスを提供する運用業者の口座から登録者の口座に移動する処理を行なう。付与部134は、公開部132によって公開された貨幣要望に応じてATMに貨幣を装填又は回収した登録者に対して報酬を付与する。
【0085】
これにより、運用サーバ100は、サービスに事前に登録されている登録者に取引を積極的に行わせることができるので、ATMの運用にかかる費用を抑制することができる。例えば、運用サーバ100は、登録者によって、装置内の貨幣が少ないATMに貨幣を装填させたり貨幣が多いATMから貨幣を回収させたりすることができるので、警送車を緊急に派遣することで発生する警送費用を削減することができる。このため、運用サーバ100は、ATMの運用にかかるコストを削減することができる。また、運用サーバ100は、要望に応じた登録者への報酬を警送費用より低く設定することでATMの運用にかかるコストを抑制することができる。また、運用サーバ100は、ATMが装置内に保有する貨幣の量を所定の範囲内に維持することができる。
【0086】
また、実施形態に係る運用サーバ100において、移動処理部133は、資金として、登録者がATM5に貨幣を装填した場合には、登録者が装填した貨幣の総額に対応する資金を運用業者の口座から登録者の口座へ入金する処理を行なう。一方、移動処理部133は、ATM5から貨幣を回収した場合には、登録者が回収した貨幣の総額に対応する資金を登録者の口座から運用業者の口座へ出金する処理を行なう。
【0087】
これにより、運用サーバ100は、例えば、B行の口座を有する登録者によってA行のATMで取引が行われた場合でも、異なる銀行間の取引による手数料が登録者に発生することを防ぐことができるので、ATMの運用にかかる費用を抑制することができる。
【0088】
また、実施形態に係る運用サーバ100において、公開部132は、貨幣要望として、ATM5に装填又は回収する貨幣の額、要望の緊急度合い、ATM5の設置場所又は報酬の額に関する情報を、登録者に公開する。
【0089】
これにより、運用サーバ100は、装填や回収といった取引の要望を登録者に対して明確に伝えることができるので、登録者に取引の実行を促すことができる。例えば、運用サーバ100は、ATM5の設置場所や報酬を明確に示すことで登録者にとって都合の良い取引を把握させることができるので、取引の成約率を高めることができる。また、運用サーバ100は、貨幣を装填又は回収させる緊急度の高いATMほど高い報酬額を表示することで取引を成立させ易くすることができるので、ATM5の装置内の貨幣量が枯渇または過剰状態になることを抑制することができる。
【0090】
また、実施形態に係る運用サーバ100において、付与部134は、運用サービスが有する口座から登録者の口座に報酬を入金する。これにより、運用サーバ100は、取引を行なった登録者に対して報酬を与えることができるので、登録者が積極的に取引を行なうモチベーションを高めることができる。このため、運用サーバ100は、ATM5に貨幣を装填又は回収させる取引の成約率を高めることができるので、ATM5の装置内の貨幣量が枯渇または過剰状態になることを抑制することができる。
【0091】
また、実施形態に係る運用サーバ100において、付与部134は、報酬として、ATM5に装填又は回収した額に応じた手数料を登録者の口座に入金する。これにより、運用サーバ100は、装填又は回収した額が多いほど高い報酬を登録者に付与することができるので、登録者が取引を行なうモチベーションを高めることができる。このため、運用サーバ100は、ATM5に貨幣を装填又は回収させる取引の成約率を高めることができる。また、運用サーバ100は、貨幣を装填又は回収させる緊急度の高いATMほど取引を成立させ易くすることができるので、ATM5の装置内の貨幣量が枯渇または過剰状態になることを抑制することができる。
【0092】
〔2.変形例〕
上述した実施形態に係る運用サーバ100は、上記実施形態以外にも種々の異なる形態にて実施されてよい。そこで、以下では、上記の運用サーバ100の他の実施形態について説明する。
【0093】
〔2−1.システム構成〕
上記の実施形態では、運用サーバ100が装填又は回収すべきATM5を判断して貨幣要望を公開し、報酬を登録者に付与する例を挙げて説明したが、各処理を運用サーバ100に限らず他のサーバが実行してもよい。この点について、
図21を用いて説明する。
【0094】
図21は、変形例に係る運用システム全体の概略構成の一例を示す図である。具体的には、運用システム1は、
図21に示すように、ATM5A〜5Dと、運用サーバ100と、監視サーバ200と、Webサーバ300と、金融機関ホスト10A〜10Bとを有する。
【0095】
ここで、運用サーバ100は、ネットワークNを介して、ATM5から貨幣情報を受信する。そして、運用サーバ100は、ATM5から受信した貨幣情報を監視サーバ200に転送する。
【0096】
監視サーバ200は、運用サーバ100と連携し、ATM5の資金状態を管理する。具体的には、監視サーバ200は、運用サーバ100から転送された貨幣情報に基づいて、ATM5に貨幣を装填または回収する必要があるか判断する。そして、監視サーバ200は、ATM5に貨幣を装填または回収する必要があると判断した場合には、貨幣情報に基づいて貨幣要望を生成する。その後、監視サーバ200は、生成した貨幣要望をWebサーバ300に公開させる指示を送信する。
【0097】
Webサーバ300は、監視サーバ200から貨幣要望を公開させる指示を受信した場合に、貨幣要望を表示した募集画面をWeb上に表示することで、運用サービスに予め登録された登録者に対して貨幣要望を公開する。また、Webサーバ300は、貨幣要望に応じた登録者に対して手数料を付与する精算処理を実行する。
【0098】
〔2−2.変形例の効果〕
上述してきたように、変形例に係る運用サーバ100は、運用サーバ100と、監視サーバ200と、Webサーバ300とを有する。これにより、運用システム1は、運用サーバ100にかかる負荷を監視サーバ200及びWebサーバ300に分散することができる。また、運用システム1は、システム設計の自由度を増やすことができるので、最適なシステムの構成に設計することができる。
【0099】
〔3.その他〕
また、上記実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。例えば、上記の入金処理や出金処理は、自動的に限らず、手動的に行われてもよい。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。例えば、上記の会員情報は、「会員番号」、「メールアドレス」、「連絡先」、「口座番号」および「手数料」といったデータ項目に限らず、会員に関するその他の情報を含んでもよい。
【0100】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。例えば、移動処理部133は、資金の移動先や移動元に応じて分散して構成してもよい。他の例では、移動処理部133及び付与部134は、指示部として統合してもよい。
【0101】
また、例えば、
図3に示した会員情報記憶部121は、運用サーバ100が保持せずに、ストレージサーバ等に保持されてもよい。この場合、運用サーバ100は、ストレージサーバにアクセスすることで、会員に関する情報を取得する。
【0102】
また、運用サーバ100は、公開処理や移動処理、付与処理は行わず、受信処理のみを行う運用サーバであってもよい。この場合、運用サーバは、公開部132、移動処理部133および付与部134を有しない。そして、公開部132を有する公開サーバが、運用サーバによって受信された貨幣情報に基づいてATMに貨幣を装填又は回収する要望を示す貨幣要望を、貨幣の運用を行なう運用サービスに登録された登録者に公開する。移動処理部133を有する移動処理サーバが、貨幣要望に応じて登録者がATMに装填又は回収した貨幣に対応する資金を、運用サービスを提供する運用業者の口座から登録者の口座に移動する処理を行なう。付与部134を有する付与サーバが、公開サーバによって公開された貨幣要望に応じてATMに貨幣を装填又は回収した登録者に対して報酬を付与する。
【0103】
[運用プログラム]
また、上記の実施例で説明した各種の処理は、あらかじめ用意されたプログラムをパーソナルコンピュータやワークステーションなどのコンピュータシステムで実行することによって実現することもできる。そこで、以下では、上記の実施例と同様の機能を有するプログラムを実行するコンピュータシステムの一例を説明する。
図22は、運用プログラムを実行するコンピュータを示す図である。
【0104】
図22に示すように、コンピュータ1300は、CPU(Central Processing Unit)1310、HDD(Hard Disk Drive)1320、RAM(Random Access Memory)1340を有する。これら1310〜1340の各部は、バス1400を介して接続される。
【0105】
HDD1320には上記の運用サーバ100の受信部131、公開部132、移動処理部133、付与部134および送信部135と同様の機能を発揮する運用プログラム1320aが予め記憶される。なお、運用プログラム1320aについては、適宜分離しても良い。
【0106】
また、HDD1320は、各種情報を記憶する。例えば、HDD1320は、OSや算出処理に用いる各種データを記憶する。
【0107】
そして、CPU1310が、運用プログラム1320aをHDD1320から読み出して実行することで、実施例の各処理部と同様の動作を実行する。すなわち、運用プログラム1320aは、運用サーバ100の受信部131、公開部132、移動処理部133、付与部134および送信部135と同様の動作を実行する。
【0108】
なお、上記した運用プログラム1320aについては、必ずしも最初からHDD1320に記憶させることを要しない。
【0109】
例えば、コンピュータ1300に挿入されるフレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、DVDディスク、光磁気ディスク、ICカードなどの「可搬用の物理媒体」にプログラムを記憶させておく。そして、コンピュータ1300がこれらからプログラムを読み出して実行するようにしてもよい。
【0110】
さらには、公衆回線、インターネット、LAN、WANなどを介してコンピュータ1300に接続される「他のコンピュータ(またはサーバ)」などにプログラムを記憶させておく。そして、コンピュータ1300がこれらからプログラムを読み出して実行するようにしてもよい。
【0111】
以上、本願の実施形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、発明の開示の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。
【0112】
また、上述した運用サーバ100は、複数のサーバコンピュータで実現してもよく、また、機能によっては外部のプラットフォーム等をAPI(Application Programming Interface)やネットワークコンピューティングなどで呼び出して実現するなど、構成は柔軟に変更できる。
【0113】
また、特許請求の範囲に記載した「部(section、module、unit)」は、「手段」や「回路」などに読み替えることができる。例えば、受信部は、受信手段や受信回路に読み替えることができる。