(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0018】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の識別体の第1の実施の形態における一構成例を示す図であり、(a)は表面図、(b)は(a)に示したA−A’断面図、(c)は本体部10のカバー部20との積層面の構成を示す図である。
【0019】
本例の識別体は
図1に示すように、本体部10とカバー部20とが積層されてなるIDタグ1である。
【0020】
本体部10は、フィルムや紙等からなるベース基材11の表面に3つのアンテナ12a〜12cが形成されて構成されている。これらアンテナ12a〜12cは、長方形の外形を有し、その短辺の1つからスリットが長手方向に入った形状となっており、互いに同一の幅を有し、その長手方向の長さが異なることで、互いに異なる共振周波数を有している。IDタグ1は、アンテナ12a〜12cを用いて任意のIDを識別可能とするものであるが、アンテナ12a〜12cは、ベース基材11にIDによらずにその全てが固定印刷によって形成されている。
【0021】
カバー部20は、フィルムや紙等からなるベース基材21の表面に金属層である2つの金属パターン22a,22cが形成されて構成されている。金属パターン22aは、本体部10とカバー部20とが積層された場合にアンテナ12aに対向する領域に形成され、金属パターン22cは、本体部10とカバー部20とが積層された場合にアンテナ12cに対向する領域に形成されている。そして、金属パターン22a,22cが、アンテナ12a〜12cのうち外形サイズが最も大きなアンテナ12aよりも大きな外形サイズを有していることにより、本体部10とカバー部20とが積層された場合にアンテナ12a,12cがそれぞれ金属パターン22a,22cで覆われるような状態となる。
【0022】
上記のように構成された本体部10とカバー部20とが、本体部10のアンテナ12a〜12cが形成された面と、カバー部20の金属パターン22a,22cが形成されていない面とが対向するように積層されることになる。それにより、本体部10のアンテナ12a〜12cのうちアンテナ12a,12cに、IDタグ1を平面視したときにアンテナ12a,12cが覆われるように金属パターン22a,22cが積層されたものとなる。
【0023】
図2は、本発明の識別体の第1の実施の形態における他の構成例を示す図であり、(a)は表面図、(b)は(a)に示したA−A’断面図、(c)は本体部110のカバー部120との積層面の構成を示す図である。
【0024】
本例の識別体は
図2に示すように、
図1に示したIDタグ1と同様に、本体部110とカバー部120とが積層されてなるIDタグ101である。
【0025】
本体部110は、
図1に示したIDタグ1の本体部10と同一の構成を有し、フィルムや紙等からなるベース基材111の表面に3つのアンテナ112a〜112cが形成されて構成されている。これら3つのアンテナ112a〜112cの形状はそれぞれ、
図1に示したIDタグ1のアンテナ12a〜12cの形状と同一である。
【0026】
カバー部120は、
図1に示したIDタグ1のカバー部120とは異なり、ベース基材121の表面において、本体部110とカバー部120とが積層された場合にアンテナ12aに対向する領域に金属パターン122aが形成されるとともに、本体部110とカバー部120とが積層された場合にアンテナ112bに対向する領域に金属パターン122bが形成されている。そして、
図1に示したIDタグ1と同様に、金属パターン122a,122bが、アンテナ112a〜112cのうち外形サイズが最も大きなアンテナ112aよりも大きな外形サイズを有していることにより、本体部111とカバー部120とが積層された場合にアンテナ112a,112bがそれぞれ金属パターン122a,122bで覆われるような状態となる。
【0027】
上記のように構成された本体部110とカバー部120とが、
図1に示したIDタグ1と同様に、本体部110のアンテナ112a〜112cが形成された面と、カバー部120の金属パターン122a,122bが形成されていない面とが対向するように積層されることになる。それにより、本体部110のアンテナ112a〜112cのうちアンテナ112a,112bに、IDタグ101を平面視したときにアンテナ112a,112bが覆われるように金属パターン122a,122bが積層されたものとなる。
【0028】
以下に、上記のように構成されたIDタグ1,101を用いたID生成方法について説明する。
【0029】
図3は、
図1及び
図2に示したIDタグ1,101を用いてIDを生成するID生成システムの一例を示す図である。なお、
図3においては、IDタグ101の図示を省略しているが、IDタグ1と同様に、読取器40から放射された電磁波がIDタグ101にて反射することとなる。
【0030】
本例におけるID生成システムは
図2に示すように、
図1に示したIDタグ1と、IDタグ1のIDを生成する読取器40とから構成され、読取器40は、送受信アンテナ41と、電磁波放射部42と、反射強度検知部43と、ID生成部44とを有している。
【0031】
電磁波放射部42は、IDタグ1,101のアンテナ12a〜12c,112a〜112cの共振周波数を含む周波数帯をスイープしながら当該周波数帯の電磁波を送受信アンテナ41を介して放射する。なお、電磁波放射部42においては、IDタグ1,101のアンテナ12a〜12c,112a〜112cの共振周波数を含む周波数帯をスイープするのではなく、IDタグ1,101のアンテナ12a〜12c,112a〜112cの共振周波数の電磁波を同時に放射する構成としてもよい。すなわち、電磁波放射部42は、IDタグ1,101のアンテナ12a〜12c,112a〜112cの共振周波数を含む複数の周波数の電磁波を送受信アンテナ41を介して放射するものである。
【0032】
反射強度検知部43は、電磁波放射部42から放射された電磁波に対して送受信アンテナ41を介して受信された反射波における反射強度を検知する。
【0033】
ID生成部44は、反射強度検知部43にて検知された反射強度によってIDタグ1,101におけるアンテナの共振周波数を検出し、この共振周波数の検出結果に基づいて、共振周波数が検出されたアンテナについての個別IDを“1”とし、共振周波数が検出されなかったアンテナについての個別IDを“0”とし、これら“1”と“0”とを共振周波数の順序で並べる。
【0034】
以下に、
図3に示したID生成システムにおいて、
図1及び
図2に示したIDタグ1,101を用いてIDを生成してIDを判別する方法について具体的に説明する。
【0035】
図4は、
図1及び
図2に示したIDタグ1,101からの反射波における反射強度を説明するための図であり、(a)はアンテナ12a〜12c,112a〜112cからの反射波における反射強度を示す図、(b)はIDタグ1,101からの反射波における反射強度を示す図である。
【0036】
図1及び
図2に示したIDタグ1,101に対して、本体部10,110にカバー部20,120が積層されていない状態において、電磁波放射部42から、アンテナ12a〜12c,112a〜112cの共振周波数を含む複数の周波数の電磁波が送受信アンテナ41を介して放射されると、
図4(a)中実線で示すように、反射強度検知部43において、3つのピーク値を有する反射強度が検知される。この3つのピーク値となる6.5GHz、7.0GHz、7.5GHzは、アンテナ12a〜12c,112a〜112cそれぞれの共振周波数となっている。
【0037】
一方、
図1及び
図2に示したIDタグ1,101に対して、本体部10,110に、アンテナ12a〜12c,112a〜112cの全てに対向する領域に金属パターンが形成されたカバー部が積層された状態において、電磁波放射部42から、アンテナ12a〜12c,112a〜112cの共振周波数を含む複数の周波数の電磁波が送受信アンテナ41を介して放射されると、
図4(a)中破線で示すように、反射強度にピーク値が現れない。これは、アンテナ12a〜12c,112a〜112cのそれぞれに金属パターンが積層された状態となることで、アンテナ12a〜12c,112a〜112cの共振周波数が検知できなくなるためである。本発明は、この現象を利用したものである。
【0038】
図1に示したIDタグ1に対して、本体部10にカバー部20が積層された状態において、電磁波放射部42から、アンテナ12a〜12cの共振周波数を含む複数の周波数の電磁波が送受信アンテナ41を介して放射されると、
図4(b)中一点鎖線で示すように、反射強度検知部43において、7.1GHz近傍に1つのピーク値を有する反射強度が検知される。このピーク値は、アンテナ12a〜12cのうち、金属パターン22a,22cで覆われていないアンテナ12bがその共振周波数にて電磁波に共振したことによるものである。
【0039】
一方、
図2に示したIDタグ101に対して、本体部110にカバー部120が積層された状態において、電磁波放射部42から、アンテナ112a〜112cの共振周波数を含む複数の周波数の電磁波が送受信アンテナ41を介して放射されると、
図4(b)中二点鎖線で示すように、反射強度検知部43において、7.6GHz近傍に1つのピーク値を有する反射強度が検知される。このピーク値は、アンテナ112a〜112cのうち、金属パターン122a,122bで覆われていないアンテナ112cがその共振周波数にて電磁波に共振したことによるものである。
【0040】
このように、
図1及び
図2に示したIDタグ1,101において、3つのアンテナ12a〜12c,112a〜112cのうち金属パターンで覆われるアンテナが変わることで、検知される反射強度のピーク値が異なる周波数に現れることとなる。そこで、ID生成部44において、反射強度検知部43にて検知された反射強度のピーク値によってIDタグ1,101におけるアンテナの共振周波数が検出され、この共振周波数の検出結果に基づいて、共振周波数が検出されたアンテナについての個別IDが“1”とされ、共振周波数が検出されなかったアンテナについての個別IDが“0”とされ、これら“1”と“0”とが共振周波数の順序で並べられる。具体的には、IDタグ1については、アンテナ12aの共振周波数が検出されなかったことでアンテナ12aについての個別IDが“0”とされ、アンテナ12bの共振周波数が検出されたことでアンテナ12bについての個別IDが“1”とされ、アンテナ12cの共振周波数が検出されなかったことでアンテナ12cについての個別IDが“0”とされ、これらがアンテナ12a〜12cの共振周波数の順序で並べられてなるID“010”が生成される。また、IDタグ101については、アンテナ112aの共振周波数が検出されなかったことでアンテナ112aについての個別IDが“0”とされ、アンテナ112bの共振周波数が検出されなかったことでアンテナ112bについての個別IDが“0”とされ、アンテナ112cの共振周波数が検出されたことでアンテナ112cについての個別IDが“1”とされ、これらがアンテナ112a〜112cの共振周波数の順序で並べられてなるID“001”が生成される。なお、
図4(b)に示したアンテナ12b,112cのピーク値は、
図4(a)に示したアンテナ12b,112cのピーク値が現れた共振周波数と若干異なっているが、このように、本体部10,110にカバー部20,120が積層されたことにより、対向していない金属パターンの影響を受けたことで、ピーク値がずれる場合がある。このような共振周波数のずれは、アンテナ間の距離等を調整することで容易に解消することができるが、共振周波数のずれ値を予め認識しておくことで、反射強度検知部43にて検知された反射強度のピーク値が、どのアンテナの共振周波数によるものであるかを判別することもできる。
【0041】
このように、
図1及び
図2に示したIDタグ1,101において、3つのアンテナ12a〜12c,112a〜112cのうち金属パターンで覆われるアンテナを変えることで任意のIDを生成することができる。そのため、IDタグが有する複数のアンテナのうちIDタグに付与されたIDに応じて選択される少なくとも1つのアンテナに金属パターンを積層させ、IDタグに放射された電磁波のアンテナによる反射強度のピーク値を検知すれば、そのピーク値が現れた共振周波数を用いて、IDタグに付与されたIDを生成、判別することができる。その際、複数のアンテナが、IDタグに付与されたIDによらずにベース基材に全て形成されており、この複数のアンテナに金属パターンが積層されたりされなかったりすることでアンテナ毎の個別IDが生成されるので、複数のアンテナを可変印刷する必要がなく、また、複数のアンテナ全てがIDの生成に用いられることとなり、共振周波数にずれが生じる虞れがなくなり、IDを正確に生成することができる。
【0042】
(第2の実施の形態)
図5は、本発明の識別体の第2の実施の形態を示す図であり、積層状態を示す斜視図である。
【0043】
本形態における識別体は
図5に示すように、本体部210上に3つのカバー部220a〜220cが積層されてなるIDタグ201である。
【0044】
本体部210は、
図1に示したIDタグ1の本体部10と同一の構成を有し、フィルムや紙等からなるベース基材211の表面に3つのアンテナ212a〜212cが形成されて構成されている。これら3つのアンテナ212a〜212cの形状はそれぞれ、
図1に示したIDタグ1のアンテナ12a〜12cの形状と同一である。
【0045】
カバー部220aは、本体部210上に積層され、ベース基材221aの表面において、本体部210上にカバー部220aが積層された場合にアンテナ212aに対向する領域に金属パターン222aが形成されている。そして、
図1に示したIDタグ1と同様に、金属パターン222aが、アンテナ212aよりも大きな外形サイズを有していることにより、本体部210上にカバー部220aが積層された場合にアンテナ212aが金属パターン222aで覆われるような状態となる。
【0046】
カバー部220bは、本体部210に積層されたカバー部220a上に積層され、ベース基材221bの表面において、カバー部220aを介して本体部210上に積層された場合にアンテナ212bに対向する領域に金属パターン222bが形成されている。そして、金属パターン222bが、アンテナ212bよりも大きな外形サイズを有していることにより、本体部210に積層されたカバー部220a上に積層された場合にアンテナ212bが金属パターン222bで覆われるような状態となる。
【0047】
カバー部220cは、カバー部220a,220bを介して本体部210上に積層され、ベース基材221cの表面において、カバー部220a,220bを介して本体部210上に積層された場合にアンテナ212cに対向する領域に金属パターン222cが形成されている。そして、金属パターン222cが、アンテナ212cよりも大きな外形サイズを有していることにより、カバー部220a,220bを介して本体部210上に積層された場合にアンテナ212cが金属パターン222cで覆われるような状態となる。
【0048】
上記のように構成された本体部210とカバー部220a〜220cとが、本体部210のアンテナ212a〜212cが形成された面上にカバー部220aが積層され、このカバー部220a上にカバー部220bが積層され、このカバー部220b上にカバー部220cが積層されることになる。それにより、本体部210のアンテナ212a〜212cに、IDタグ201を平面視したときにアンテナ212a〜212cが覆われるように金属パターン222a〜222cが積層されたものとなる。なお、カバー部220a〜220cにおいて、金属パターン222a〜222cが形成される面はベース基材221a〜221cの表裏のいずれの面であってもよい。
【0049】
これら本体部210とカバー部220a〜220cとは、積層状態にてその一部にて剥離可能に貼着されており、カバー部220cをカバー部220bから剥離することで本体部210上にカバー部220a,220bのみが積層された状態とすることができる。それにより、カバー部220cの金属パターン222cをアンテナ212cから離間させることができる。また、カバー部220bをカバー部220aから剥離することで本体部210上にカバー部220aのみが積層された状態とすることができる。それにより、カバー部220bの金属パターン222bをアンテナ212bから離間させることができる。
【0050】
それにより、本体部210上にカバー部220a〜220cが積層された状態においては、アンテナ212a〜212bからの反射波による反射強度のピーク値が検知されず、アンテナ212a〜212cそれぞれの個別IDが“0”とされてなるID“000”が生成されることになる。また、カバー部220cが剥離されて本体部210上にカバー部220a,220bのみが積層された状態においては、アンテナ212cのみからの反射波による反射強度のピーク値が検知され、アンテナ212a,212bそれぞれの個別IDが“0”、アンテナ212cの個別IDが“1”とされてなるID“001”が生成されることになる。また、カバー部220b,220cが剥離されて本体部210上にカバー部220aのみが積層された状態においては、アンテナ212b,212cのみからの反射波による反射強度のピーク値が検知され、アンテナ212aの個別IDが“0”、アンテナ212b,212cそれぞれの個別IDが“1”とされてなるID“011”が生成されることになる。また、カバー部220a〜220cが全て剥離されて本体部210上にカバー部が積層されていない状態においては、アンテナ212a〜212cからの反射波による反射強度のピーク値が検知され、アンテナ212a〜212cそれぞれの個別IDが“1”とされてなるID“111”が生成されることになる。
【0051】
このように本形態のIDタグ201においては、本体部210に、金属パターン222a〜222cが形成された領域が互いに異なる複数のカバー部220a〜220cが積層され、これらカバー部220a〜220cが個別に本体部210に直接的または間接的に剥離可能に貼着されているため、本体部210から任意のカバー部を剥離することで、本体部210のアンテナ212a〜212cのうち共振周波数が検出されるアンテナを変え、それにより、IDを可変とすることができる。すなわち、本体部210から任意のカバー部を剥離することにより別のIDを生成することができる。このような構成は、例えば、複数枚の帳票が剥離可能に貼着されてなる配送伝票に用いることができ、帳票を剥離する度にIDを変えることができる。
【0052】
(第3の実施の形態)
図6は、本発明の識別体の第3の実施の形態を示す図であり、積層状態を示す斜視図である。
【0053】
本形態における識別体は
図6に示すように、
図1に示したIDタグ1と同様に、本体部310とカバー部320とが積層されてなるIDタグ301である。
【0054】
本体部310は、
図1に示したIDタグ1の本体部10と同一の構成を有し、フィルムや紙等からなるベース基材311の表面に3つのアンテナ312a〜312cが形成されて構成されている。これら3つのアンテナ312a〜312cの形状はそれぞれ、
図1に示したIDタグ1のアンテナ12a〜12cの形状と同一である。
【0055】
カバー部320は、フィルムや紙等からなるベース基材321の表面に3つの金属パターン322a〜322cが形成されて構成されている。金属パターン322a〜322cはそれぞれ、本体部310とカバー部320とが積層された場合にアンテナ312a〜312cに対向する領域に形成されている。そして、金属パターン322a〜322cが、アンテナ312a〜312cのうち外形サイズが最も大きなアンテナ312aよりも大きな外形サイズを有していることにより、本体部310とカバー部320とが積層された場合にアンテナ312a〜312cがそれぞれ金属パターン322a〜322cで覆われるような状態となる。また、ベース基材321には、金属パターン322a,322b間にベース基材321の端辺間を結ぶミシン目324aが形成されるとともに、金属パターン322b,322c間にもベース基材321の端辺間を結ぶミシン目324bが形成されている。それにより、カバー部320は、ベース基材321上に金属パターン322aが形成された分離領域323aと、ベース基材321上に金属パターン322bが形成された分離領域323bと、ベース基材321上に金属パターン322cが形成された分離領域323cとがミシン目324a,324bによって分離可能となっている。
【0056】
上記のように構成された本体部310とカバー部320とが、本体部310のアンテナ312a〜312cが形成された面と、カバー部320の金属パターン322a〜322cが形成されていない面とが対向するように積層されることになる。それにより、本体部310のアンテナ312a〜312cに、IDタグ301を平面視したときにアンテナ312a〜312cが覆われるように金属パターン322a〜322cが積層されたものとなる。なお、カバー部320において、金属パターン322a〜322cが形成される面はベース基材321の表裏のいずれの面であってもよい。
【0057】
上記のように構成されたIDタグ301においては、カバー部320の分離領域323a〜323cがミシン目324a,324bによって分離可能となっていることから、ミシン目324a,324bを破断して分離領域323a〜323cのうち任意の分離領域を本体部310上から取り除くことができる。例えば、ミシン目324bを破断して分離領域323cのみを本体部310上から取り除くことができ、それにより、カバー部320の金属パターン322cをアンテナ312cから離間させることができる。また、ミシン目324aを破断して分離領域323b,323cのみを本体部310上から取り除くことができ、それにより、カバー部320の金属パターン322b,322cをアンテナ312b,312cから離間させることができる。
【0058】
それにより、ミシン目324a,324bが破断されずに分離領域323a〜323cが分離していない状態においては、アンテナ312a〜312bからの反射波による反射強度のピーク値が検知されず、アンテナ312a〜312cそれぞれの個別IDが“0”とされてなるID“000”が生成されることになる。また、ミシン目324bが破断されて分離領域323cのみが本体部310上から取り除かれた状態においては、アンテナ312cのみからの反射波による反射強度のピーク値が検知され、アンテナ312a,312bそれぞれの個別IDが“0”、アンテナ312cの個別IDが“1”とされてなるID“001”が生成されることになる。また、ミシン目324a,324bが破断されて分離領域323b,323cが本体部310上から取り除かれた状態においては、アンテナ312b,312cのみからの反射波による反射強度のピーク値が検知され、アンテナ312aの個別IDが“0”、アンテナ312b,312cそれぞれの個別IDが“1”とされてなるID“011”が生成されることになる。また、カバー部320全体が本体部310上から取り除かれた状態においては、アンテナ312a〜312cからの反射波による反射強度のピーク値が検知され、アンテナ312a〜312cそれぞれの個別IDが“1”とされてなるID“111”が生成されることになる。
【0059】
このように本形態のIDタグ301においては、本体部310上に積層されたカバー部320が、ミシン目324a,324bによって3つの分離領域323a〜323cに分離可能に構成され、この分離領域323a〜323cのそれぞれに、本体部310にカバー部320が積層された場合にアンテナ312a〜312cに対向する金属パターン322a〜322cが形成されているため、ミシン目324a,324bを破断することで任意の分離領域を本体部310から取り除くことにより、本体部310のアンテナ312a〜312cのうち共振周波数が検出されるアンテナを変え、それにより、IDを可変とすることができる。
【0060】
(第4の実施の形態)
図7は、本発明の識別体の第4の実施の形態を示す図であり、(a)は表面図、(b)は(a)に示したA−A’断面図、(c)はベース基材411の裏面の構成を示す図である。
【0061】
本形態における識別体は
図7に示すように、フィルムや紙等からなるベース基材411の一方の面に3つのアンテナ412a〜412cが形成されるとともに、ベース基材411のアンテナ412a〜412cが形成されていない面に、金属層である2つの金属板422a,422bが貼着されて構成されている。3つのアンテナ412a〜412cの形状はそれぞれ、
図1に示したIDタグ1のアンテナ12a〜12cの形状と同一である。金属板422a,422bは、貼着後の剥離が可能、かつ、剥離後の再貼着が可能な粘着層430が一方の面の全面に積層されており、この粘着層430によって、金属板422aはベース基材411のアンテナ412aに対向する領域に、また、金属板422bはベース基材411のアンテナ412bに対向する領域にそれぞれ剥離可能に貼着されている。そして、金属板422a,422bが、アンテナ412a〜412cのうち外形サイズが最も大きなアンテナ412aよりも大きな外形サイズを有していることにより、金属板422a,422bがそれぞれベース基材411のアンテナ412a,412bに対向する領域に貼着された場合にアンテナ412a,412bがそれぞれ金属板422a,422bで覆われるような状態となる。これにより、ベース基材411に形成されたアンテナ412a〜412cのうちアンテナ412a,412bに、IDタグ401を平面視したときにアンテナ412a,412bが覆われるように金属板422a,422bが積層されたものとなる。
【0062】
上記のように構成されたIDタグ401に対して電磁波が放射されると、アンテナ412a〜412cのうちアンテナ412a,412bにおいては、金属板422a,422bに覆われた状態となっていることから反射波による反射強度のピーク値が検知されず、また、アンテナ412cにおいては、金属板422a,422bに覆われていないため反射波による反射強度のピーク値が検知されることとなる。それにより、アンテナ412a,412bそれぞれの個別IDが“0”、アンテナ412cの個別IDが“1”とされてなるID“001”が生成されることになる。
【0063】
ここで、本形態におけるIDタグ401においては、金属板422a,422bが粘着層430によってベース基材411に剥離可能に貼着され、また、剥離後の再貼着が可能に構成されているため、金属板422a,422bをベース基材411の他の領域に貼り替えることができる。例えば、金属板422aをベース基材411から剥離し、アンテナ412cに対向する領域に貼着することができる。
【0064】
すると、IDタグ401に対して電磁波が放射されると、アンテナ412a〜412cのうちアンテナ412aにおいては、金属板422a,422bに覆われていない状態となるため反射波による反射強度のピーク値が検知され、また、アンテナ412b,412cにおいては、金属板422a,422bに覆われた状態となることから反射波による反射強度のピーク値が検知されないこととなる。それにより、アンテナ412aの個別IDが“1”、アンテナ412b,412cそれぞれの個別IDが“0”とされてなるID“100”が生成されることになる。
【0065】
このように、本形態のIDタグ401においては、金属板422a,422bが粘着層430によってベース基材411に貼り替え可能に構成されているため、金属板422a,422bを貼り替えることで同一のアンテナ412a〜412cを用いて異なるIDを生成することができる。
【0066】
(第5の実施の形態)
図8は、本発明の識別体の第5の実施の形態を示す図であり、(a)は表面図、(b)は(a)に示したA−A’断面図、(c)はベース基材511の表面の構成を示す図である。
【0067】
本形態における識別体は
図8に示すように、
図7に示したものに対して、ベース基材511のアンテナ512a〜512cが形成された面に金属板522a,522bが粘着層530によって剥離可能に貼着されている点が異なるものである。金属板522a,522bはそれぞれ、アンテナ512a,512b上に貼着されているが、金属板522a,522bとアンテナ512a,512bとは粘着層530によって絶縁されている。
【0068】
上記のように構成されたIDタグ501に対して電磁波が放射されると、
図7に示したIDタグ401と同様に、アンテナ512a〜512cのうちアンテナ512a,512bにおいては、金属板522a,522bに覆われた状態となっていることから反射波による反射強度のピーク値が検知されず、また、アンテナ512cにおいては、金属板522a,522bに覆われていないため反射波による反射強度のピーク値が検知されることとなる。それにより、アンテナ512a,512bそれぞれの個別IDが“0”、アンテナ512cの個別IDが“1”とされてなるID“001”が生成されることになる。
【0069】
ここで、本形態におけるIDタグ501においては、金属板522a,522bが粘着層530によってアンテナ512a,512b上に剥離可能に貼着され、また、剥離後の再貼着が可能に構成されているため、金属板522a,522bを他のアンテナ上に貼り替えることができる。例えば、金属板522aをアンテナ512aから剥離し、アンテナ512c上に貼着することができる。
【0070】
すると、IDタグ501に対して電磁波が放射されると、アンテナ512a〜512cのうちアンテナ512aにおいては、金属板522a,522bに覆われていない状態となるため反射波による反射強度のピーク値が検知され、また、アンテナ512b,512cにおいては、金属板522a,522bに覆われた状態となることから反射波による反射強度のピーク値が検知されないこととなる。それにより、アンテナ512aの個別IDが“1”、アンテナ512b,512cそれぞれの個別IDが“0”とされてなるID“100”が生成されることになる。
【0071】
このように、本形態のIDタグ501においては、金属板522a,522bが粘着層530によってアンテナ512a,512b上に貼り替え可能に貼着されているため、金属板522a,522bを他のアンテナ上に貼り替えることで同一のアンテナ512a〜512cを用いて異なるIDを生成することができる。
【0072】
(第6の実施の形態)
図9は、本発明の識別体の第6の実施の形態を示す図であり、(a)は表面図、(b)は(a)に示したA−A’断面図、(c)はベース基材611の表面の構成を示す図である。
【0073】
本形態における識別体は
図9に示すように、
図8に示したものに対して、粘着層630が金属板622a,622bの一方の面の全面ではなく、周縁部のみに積層されており、それにより、金属板622a,622bがアンテナ612a,612bと接して互いに導通している点が異なるものである。
【0074】
上記のように構成されたIDタグ601に対して電磁波が放射されると、アンテナ612a〜612cのうちアンテナ612a,612bにおいては、金属板622a,622bに覆われた状態となっているとともに金属板622a,622bと導通していることから、アンテナ612a〜612cの共振周波数の範囲内にて反射波による反射強度のピーク値が検知されず、また、アンテナ612cにおいては、金属板622a,622bに覆われていないため、アンテナ612a〜612cの共振周波数の範囲内にて反射波による反射強度のピーク値が検知されることとなる。それにより、アンテナ612a,612bそれぞれの個別IDが“0”、アンテナ612cの個別IDが“1”とされてなるID“001”が生成されることになる。
【0075】
ここで、本形態におけるIDタグ601においては、金属板622a,622bが粘着層630によってベース基材611に剥離可能に貼着され、また、剥離後の再貼着が可能に構成されているため、金属板622a,622bをベース基材611の他の領域に貼り替えることができる。例えば、金属板622aをベース基材611から剥離し、アンテナ612cに対向する領域に貼着することができる。
【0076】
すると、IDタグ601に対して電磁波が放射されると、アンテナ612a〜612cのうちアンテナ612aにおいては、金属板622a,622bに覆われていない状態となるため、アンテナ612a〜612cの共振周波数の範囲内にて反射波による反射強度のピーク値が検知され、また、アンテナ612b,612cにおいては、金属板622a,622bに覆われるとともに導通した状態となることから、アンテナ612a〜612cの共振周波数の範囲内にて反射波による反射強度のピーク値が検知されないこととなる。それにより、アンテナ612aの個別IDが“1”、アンテナ612b,612cそれぞれの個別IDが“0”とされてなるID“100”が生成されることになる。
【0077】
このように、本形態のIDタグ601においては、金属板622a,622bが粘着層630によってベース基材611に貼り替え可能に構成されているため、金属板622a,622bを貼り替えることで同一のアンテナ612a〜612cを用いて異なるIDを生成することができる。
【0078】
図10は、
図1及び
図2に示したIDタグ1,101を用いてIDを生成するID生成システムの他の例を示す図である。なお、
図10においては、IDタグ101の図示を省略しているが、IDタグ1と同様に、読取器40から放射された電磁波がIDタグ101にて反射することとなる。
【0079】
本例におけるID生成システムは
図10に示すように、
図1に示したIDタグ1と、IDタグ1のIDを生成する読取器140とから構成され、読取器140は、送信アンテナ141aと、受信アンテナ141bと、電磁波放射部142と、反射強度検知部143と、制御部144とを有している。
【0080】
電磁波放射部142は、IDタグ1,101のアンテナ12a〜12c,112a〜112cの共振周波数を含む周波数帯の電磁波を送信アンテナ141aを介して放射する。
【0081】
反射強度検知部143は、電磁波放射部142から放射された電磁波に対して受信アンテナ141bを介して受信された反射波における反射強度を検知する。
【0082】
制御部144は、電磁波放射部142から放射する電磁波の周波数帯を制御するとともに、反射強度検知部143にて検知された反射強度によってIDタグ1,101におけるアンテナの共振周波数を検出し、この共振周波数の検出結果に基づいて、共振周波数が検出されたアンテナについての個別IDを“1”とし、共振周波数が検出されなかったアンテナについての個別IDを“0”とし、これら“1”と“0”とを共振周波数の順序で並べる。
【0083】
上記のように構成されたID生成システムを用いても、上述した実施の形態にて示したIDタグ1,101のIDを生成することができる。
【0084】
なお、ベース基材に形成された複数のアンテナの共振周波数を互いに異なるものとするためには、上述したように複数のアンテナの長手方向の長さを互いに異ならせるものに限らず、外形を同一としながらもスリットの長さを互いに異ならせることも考えられる。
【0085】
また、上述した実施の形態においては、複数のアンテナの共振周波数を互いに異ならせることで複数のアンテナを識別可能としているが、アンテナの向きを互いに異ならせることで偏波方向をアンテナ毎に異ならせ、偏波方向によってアンテナを識別可能としてもよい。その場合、偏波方向に優先順位を付与し、その優先順位に従った順序に個別IDを並べることとなる。
【0086】
また、アンテナの形状としては、上述した実施の形態にて示したように、長方形の外形を有し、その短辺の1つからスリットが長手方向に入ったものに限らない。