【文献】
Automated Multi-Point Greenhouse Gas Measurement System,PICCARO Application Note,2008年,[検索日2017.10.23],インターネット,URL,http://www.picarro.com/assets/docs/Piccaro_AN016_Tall_Tower_GHG_Measurements.pdf
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数の地理的に分散した較正装置および測定装置の組み合わせを含み、各装置の組み合わせがサーバコンピューティング装置に連結される温室効果ガス測定ネットワークを用いて、温室効果ガスを測定する方法であって、
各前記較正装置で、地球の大気に露出した、大気の第1高さに配置される第1のポートから、当該較正装置の地理的位置における大気ガスの第1のサンプルを受け取るステップと、
各前記較正装置で、地球の大気に露出した、大気の第2高さに配置される第2のポートから、当該較正装置の地理的位置における大気ガスの第2のサンプルを受け取るステップと、
前記較正装置により、前記第1のサンプルおよび前記第2のサンプルを温室効果ガスの分析のために、当該較正装置に組み合わされた測定装置に送るステップと、
各前記測定装置により、内部測定センサを用いて、前記第1のサンプルおよび前記第2のサンプルに存在する温室効果ガスの特性を決定するステップと、
前記測定装置により、前記第1のサンプルに存在する温室効果ガスの特性と前記第2のサンプルに存在する温室効果ガスの特性を比較することで、前記地理的位置における前記地球の大気の前記第1高さと前記第2高さの間に混合する温室効果ガスの量を決定するステップと、
各前記測定装置内部のメモリモジュールに、前記測定装置の使用中の動作パラメータに基づいてその後の温室効果ガス分析に備えるため、前記使用中の動作パラメータを記録するステップと、
各前記測定装置により、温室効果ガスの決定された特性に関連するデータおよび記録された前記使用中の動作パラメータを前記サーバコンピューティング装置に送信するステップと、
前記サーバコンピューティング装置により、各前記測定装置からの、前記温室効果ガスの決定された特性および記録された前記使用中の動作パラメータを他の測定装置と共有するステップと、
各前記測定装置により、共有された前記温室効果ガスの特性および使用中の動作パラメータに基づいて前記内部測定センサを較正するステップと
を含む方法。
温室効果ガスの決定された特性に関連する前記データが、温室効果ガスの量に対応する数値、前記第1のポートおよび前記第2のポートの位置に関連する大気条件データ、およびタイムスタンプデータを含む請求項1に記載の方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
全体として、本明細書に記載された技法は、大気中の温室効果ガスの測定、測定を実行する装置の較正、および温室効果ガスの吸収源および発生源の決定に関する。これらの技法は、分散した地理的領域にわたって大気中の温室効果ガスをリアルタイムで継続的に測定することを可能にする。また、これらの技法は、in situ温室効果ガス測定装置のテストおよび操作を自動化および制御することにより、装置の較正を改善する。さらに、これらの技法は、温室効果ガス測定データを収集、モデル化、および分析して、温室効果ガスの潜在的な吸収源および発生源の場所を正確に決定することを可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、一態様では、温室効果ガスを測定する方法に関する。この方法は、較正装置(Calibration device)で、地球の大気に露出した第1のポートから、大気ガスの第1のサンプルを受け取るステップと、較正装置で、地球の大気に露出した第2のポートから、大気ガスの第2のサンプルを受け取るステップとを含む。この方法は、較正装置により、第1のサンプルおよび第2のサンプルを温室効果ガスの分析のために測定装置に送るステップを含む。この方法は、測定装置により、第1のサンプルおよび第2のサンプルの少なくとも一方に存在する温室効果ガスの特性を決定するステップと、測定装置により、温室効果ガスの決定された特性に関連するデータをコンピューティング装置に送信するステップとを含む。
【0005】
本発明は、別の態様では、温室効果ガス測定装置を較正する方法に関する。この方法は、較正装置で、較正装置に連結されたポンプから、第1の温室効果ガス量を受け取るステップを含む。この方法は、較正装置を介して、第1の温室効果ガス量を測定装置に渡すステップを含む。この方法は、測定装置により、第1の温室効果ガス量に存在する温室効果ガスの特性を決定するステップと、測定装置により、特性をコンピューティング装置に送信するステップとを含む。この方法は、コンピューティング装置により、特性に補正を加えることによって特性を較正するステップを含む。
【0006】
本発明は、別の態様では、大気中の温室効果ガスを測定するシステムに関する。このシステムは、地球の大気に露出した第1のポートから、大気ガスの第1のサンプルを受け取り、地球の大気に露出した第2のポートから、大気ガスの第2のサンプルを受け取るように構成された較正装置を備える。較正装置は、第1のサンプルおよび第2のサンプルを温室効果ガスの分析のために測定装置に送るように構成される。このシステムは、第1のサンプルおよび第2のサンプルの少なくとも一方に存在する温室効果ガスの特性を決定し、温室効果ガスの決定された特性に関連するデータをコンピューティング装置に送信するように構成された測定装置を備える。
【0007】
本発明は、別の態様では、温室効果ガス測定装置を補正する装置に関する。この装置は、地球の大気に露出した1つまたは複数のポートから大気ガスのサンプルを受け取る1つまたは複数の取入口と、取入口を介して受け取られる大気ガスの流れを調節する1つまたは複数のポンプとを備える。この装置は、1つまたは複数の較正タンクと、サンプリングモジュールとを備える。サンプリングモジュールは、1つまたは複数のポンプおよび1つまたは複数の較正タンクに連結された弁と、圧力温度制御器と、乾燥器とを含む。サンプリングモジュールは、ポンプおよび較正タンクの1つまたは複数から弁を使用してガスをサンプリングし、サンプリングされたガスの圧力および温度を、圧力温度制御器を使用して調節し、乾燥器を使用して、サンプリングされたガスから水蒸気を除去し、乾燥器から、サンプリングされたガスに存在する温室効果ガスの特性を決定するように構成された測定装置にガスを搬送するように構成される。
【0008】
本発明は、別の態様では、温室効果ガスを測定する方法に関する。この方法は、サーバコンピューティング装置で、2つ以上のin situ測定装置から、それら2つ以上のin situ測定装置の位置で収集された大気ガスのサンプルに含まれる温室効果ガスの量を表す値を受け取るステップを含む。この方法は、サーバコンピューティング装置で、2つ以上のin situ測定装置の位置またはその近傍に配置された2つ以上の気象観測器具から、大気条件データを受け取るステップを含む。この方法は、中央コンピューティング装置により、2つ以上のin situ測定装置から受け取った温室効果ガスの量を表す値を比較して、それぞれの温室効果ガスの量を表す値の間の類似点および相違点を決定するステップを含む。この方法は、サーバコンピューティング装置により、2つ以上の気象観測器具から受け取った大気条件データを比較して、それぞれの大気条件データの間の類似点および相違点を決定するステップを含む。
【0009】
一部の実施形態では、任意の上述した態様は、以下の特徴の1つまたは複数を含むことができる。一部の実施形態では、第1のポートが、地面から少なくとも80メートル離れて配置されている。一部の実施形態では、第2のポートが、第1のポートと同じ位置に配置されている。一部の実施形態では、第2のポートが、第1のポートから少なくとも20メートル離れている。
【0010】
一部の実施形態では、送るステップが、第1のサンプルおよび第2のサンプルの少なくとも一方の圧力および温度を決定するステップと、決定された圧力および温度をコンピューティング装置に送信するステップと、第1のサンプルおよび第2のサンプルの少なくとも一方に乾燥剤を適用するステップと、第1のサンプルおよび第2のサンプルの少なくとも一方を測定装置に渡すステップとを含む。一部の実施形態では、乾燥剤が、第1のサンプルおよび第2のサンプルの少なくとも一方から水蒸気を吸収する。
【0011】
一部の実施形態では、測定装置が、空洞リングダウンレーザ分光法を使用して、第1のサンプルおよび第2のサンプルの少なくとも一方の温室効果ガスの特性を決定する。一部の実施形態では、温室効果ガスの決定された特性に関連するデータが、温室効果ガスの量に対応する数値、第1のポートおよび第2のポートの位置に関連する大気条件データ、およびタイムスタンプデータを含む。
【0012】
一部の実施形態では、測定装置がスケジュールを受け取り、測定装置がスケジュールに基づいて第1のサンプルおよび第2のサンプルの少なくとも一方を受け取る。一部の実施形態では、コンピューティング装置に連結された表示装置が、温室効果ガスの決定された特性に関連するデータを表示する。
【0013】
一部の実施形態では、較正装置が、その較正装置に連結されたポンプから第1の温室効果ガス量を受け取り、第1の温室効果ガス量を測定装置に渡し、第1の温室効果ガス量に基づいて温室効果ガスの測定に使用される測定装置の測定器を較正する。一部の実施形態では、較正装置が、その較正装置に連結されたポンプから第1の温室効果ガス量を受け取り、第1の温室効果ガス量を測定装置に渡し、第1の温室効果ガス量に基づいて温室効果ガスの測定に使用される測定装置の測定器を較正するように構成される。
【0014】
一部の実施形態では、サンプリングモジュールが、サンプリングされたガスの圧力を測定し、測定された圧力の値を測定装置に送信するように構成される。一部の実施形態では、弁に連結されたサンプリング制御器が、1つもしくは複数のポンプのいずれかまたは1つもしくは複数の較正タンクの1つからガスをサンプリングするよう弁に指示するように構成される。一部の実施形態では、サンプリング制御器が、1つまたは複数のポンプおよび1つまたは複数の較正タンクから所定の順序でガスをサンプリングするよう弁に指示する。
【0015】
一部の実施形態では、取入口が、チューブを介してポートに連結されている。一部の実施形態では、1つまたは複数の取入口により受け取られる大気ガスが空気である。一部の実施形態では、1つまたは複数の較正タンクの少なくとも1つが、較正装置をゼロに設定するために使用されるガスを含む。一部の実施形態では、弁が、追加のガス供給源にアクセスするように構成された補助吸入口にさらに連結される。一部の実施形態では、サンプリング装置が、較正装置から品質管理データを受け取り、その品質管理データに基づいてガスのサンプリングを調整するように構成される。
【0016】
一部の実施形態では、決定するステップが、集計されたデータの逆モデリングに基づく。一部の実施形態では、大気条件データが、風速と、風向とを含み、集計するステップが、大気中の温室効果ガスの確率的な量と、大気条件データに基づく温室効果ガスの動きとを表す地理的グリッドを生成するステップをさらに含む。一部の実施形態では、サーバコンピューティング装置が、温室効果ガスの量を表す値と大気条件データとをリアルタイムで受け取る。
【0017】
一部の実施形態では、集計するステップが、in situ測定装置に露出した対象地域の温室効果ガスの潜在的発生源を決定するステップを含み、温室効果ガスの潜在的発生源を決定するステップが、事前に格納された情報に基づく。一部の実施形態では、決定するステップが、温室効果ガス吸収源および温室効果ガス発生源の位置を推測する。一部の実施形態では、推測された吸収源および発生源の位置が、不確かさの範囲を含む。一部の実施形態では、決定するステップが、実質的にリアルタイムで実行される。
【0018】
一部の実施形態では、サーバコンピューティング装置が、in situ測定装置および気象観測器具の位置に応じて、温室効果ガスの量を表す値と大気条件データとを集計し、集計ステップおよび比較ステップに基づいて、温室効果ガスの発生源を決定する。
【0019】
本発明の他の態様および利点は、以下の詳細な説明を、本発明の原理をあくまでも例として示す添付の図面と併せて参照することにより、明らかとなろう。
【0020】
上述した本発明の利点は、さらなる利点と共に、以下の説明を添付の図面と組み合わせて参照することで、より良く理解され得る。図面は、必ずしも原寸に比例しておらず、むしろ本発明の原理を示すことが全体として重要視されている。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、大気中の温室効果ガスを測定するシステム100のブロック図である。システム100は、ポート102aおよび102bと、高流量ポンプモジュール104aおよび104bと、較正タンク106と、温室効果ガス較正装置108と、温室効果ガス測定装置110と、表示装置112と、低流量ポンプモジュール113とを含む。システム100は、通信ネットワーク114に接続されている。
【0023】
ポート102aおよび102bは、外部の位置に配置され、たとえば、システム100の残りの構成要素を収容するビルまたは他の構造物の外側にある塔に配置される。ポート102aおよび102bは、大気ガスをサンプリングし、サンプリングされたガスをポンプモジュール(たとえば、104aおよび104b)に送る。サンプリングされるガスの量は、システム100の実装に使用される装置に基づいて変動する可能性があることを理解されたい。たとえば、一部の実施形態では、測定装置110は、装置110内の空洞のサイズに応じて、予め定められた量のガスをサンプリングする。システム100で使用される特定の測定装置に基づき、サンプリングされるガスの量は、別の測定装置より多くなることもあれば、少なくなることもある。たとえば、サンプリングされる少量のガスしか必要としないシステムもあれば、より多くの量を必要とするシステムもある。
【0024】
また、サンプリングされるガスの量は、測定装置110がガスをサンプリングする時間の長さにも依存し得る。たとえば、一部の測定装置110のサンプリング間隔は、他の測定装置のサンプリング間隔よりも長い可能性がある。本明細書に記載されたサンプリング技法は、ガスがサンプリングされる環境の組成を変更することを意図したものではないことに留意されたい。むしろこれらのサンプリング技法は、サンプリングされたガスの測定を単に可能にする。
【0025】
ポート102aおよび102bは、サンプリングされたガスをポンプモジュール104aおよび104bに到達させる導管(パイプ、チューブ等)を通じて、ポンプモジュール104aおよび104bに連結される。導管は、大気への露出に起因する腐食およびその他の悪影響に耐えられる材料からなり、且つ長い距離にまたがる場合でも追加の支持物なしで構造的完全性を維持できることが好ましい。一部の実施形態では、導管は3/8インチのSynflex(登録商標)1300可撓性チューブである。
【0026】
一部の実施形態では、ポート102aは塔の少なくとも高さ80メートルの位置に配置され、ポート102bは塔のポート102aより少なくとも20メートル低い位置に配置される。ポート102aを少なくとも80メートルの高さに配置することにより得られる利点は、遠くの距離から(たとえば、遠くにあるガス発生源から)大気に排出された温室効果ガスをサンプリングできることである。たとえば、ポート102aが地面に近すぎる場合、サンプリングされたガスは、地表の発生源(たとえば、車両)からの温室効果ガスを含む可能性があり、そのことがサンプルの計測および分析に影響を与えかねない。ポート102aとポート102bの高さが違うことで、システム100は、大気の異なるレベルで温室効果ガスを測定することができ、また大気のレベル間での温室効果ガスの混合量を決定することができる。
【0027】
システム100は、
図1に示されているように2つのポート102aおよび102bを備えることに限定されないことを理解されたい。任意の数のポートを使用することができ、またポートの位置は、本発明の主旨および範囲から逸脱することなく調整することができる。一部の実施形態では、システム100は、品質管理および/または冗長性を目的として、同じ高さ(たとえば、80メートル)に配置された2つのポートを備える。また、一部の実施形態では、塔は、気象観測器具(図示せず)等の他の測定監視機器を備える。気象観測器具により収集されたデータ(たとえば、風速、大気圧、気温、湿度)は、温室効果ガス分析の一部として使用するために、システム100に提供されて記録され得る。
【0028】
システム100は、高流量ポンプモジュール104aおよび104bをさらに含む。
図2は、システム100の高流量ポンプモジュール(たとえば、モジュール104a)の詳細なブロック
図200である。高流量ポンプモジュール104aは、サンプリングされた大気ガスをポート102aから受け取る。ポンプモジュール104aは、サンプリングされたガスを温室効果ガス較正モジュール108に送る前に何らかの微粒子や他の不要な物質をガスから除去するフィルタ202を含む。高流量ポンプモジュール104aは、フラスコポート206aおよび206bにそれぞれ連結された遮断弁204aおよび204bをさらに含む。遮断弁204aおよび204b、ならびにフラスコポート206aおよび206bは、保守およびテストのために、高流量ポンプモジュール104aへの補助アクセスを提供する。たとえば、フラスコポート206aを使用して、サンプリングされたガスの一部を外部分析または他の比較分析のために取り込むことができる。
【0029】
高流量ポンプモジュール104aは、線形振動ポンプ208をさらに備える。ポンプ208は、ポート102aからサンプリングされたガスの流量を調節および制御する。ポンプモジュール104aは、サンプリングされたガスの一部を必要に応じて放出するための通気口210をさらに備える。通気口210は、ポンプモジュール104a内のサンプリングされたガスの圧力を調節するように動作する。一部の実施形態では、ポンプモジュール104aの構成要素202、204a〜204b、206a〜206b、208、および210は、1/4インチのSynflex(登録商標)1300可撓性チューブを使用して相互に連結される。
【0030】
図1に示すように、システム100は、温室効果ガス較正装置108に連結した複数の較正タンク106をさらに備える。
図3は、システム100の複数の較正タンク106の詳細なブロック
図300である。較正タンク302、304、306、308は、システム100によって大気から取得されたサンプル内の温室効果ガスの量を測定する構成要素を較正するために使用されるガス量を含む。たとえば、一部の実施形態では、タンクA302は二酸化炭素(CO
2)を含み、タンクB304はメタン(CH
4)を含み、タンクC306は一酸化炭素(CO)を含み、タンクD308はシステム100が現在テストしている温室効果ガスを含まないゼロガス(たとえば、窒素)を含む。較正タンクを使用することで、システム100は測定装置110に関する較正分析を実行できる。
【0031】
たとえば、測定装置110の測定器が正確な測定値を示していることを確実にするために、較正装置108は、較正タンク302、304、306、308の1つまたは複数から一定量のガスを収集し、収集されたガスを測定装置110に送ることができる。収集されたガスは、既知の量の温室効果ガスを含んでいるはずであり、よって収集されたガスについての測定装置110による測定値を予測値と比較して、測定装置110の調整または保守が必要であるか否かを決定することができる。また較正装置108は、大気からサンプリングされたガスの追加の測定を実行する前に、較正タンクを使用して測定装置110をリセットすることができる。一部の実施形態では、較正装置108は、ローカルのプロセッサまたはコンピューティング装置から命令を受け取って測定装置110をリセットする。
【0032】
較正タンク302、304、306、308は、ガスの流量を制御および監視するために、圧力計と、レギュレータと、リリーフ弁とをさらに備える。較正タンク302、304、306、308は、それぞれが別個の導管を介して温室効果ガス較正装置108に連結される。一部の実施形態では、較正タンクと温室効果ガス較正装置108との間の導管は、1/16インチのステンレス鋼製チューブからなる。
【0033】
図1に示すように、システム100は、温室効果ガス較正装置108をさらに含む。
図4は、システム100によって使用される較正装置108の詳細なブロック
図400である。低流量ポンプモジュール113(
図1に図示)は、サンプリングされたガスを高流量ポンプモジュール104aおよび104bから温室効果ガス較正装置108および温室効果ガス測定装置110を通じて引き出すように動作する。また較正装置108は、複数の較正タンク106から較正ガスを受け取る。較正装置108は、装置108によって受け取られるガスの供給源ごとに、取入口と、対応する取入口フィルタ(たとえば、402a〜402f)とを備える。取入口フィルタ402a〜402fは、受け取ったガスから不要な物質を除去する。較正装置108は、任意の数の取入口および取入口フィルタを含むことができることを理解されたい。一部の実施形態では、較正装置108は、通常の動作時にはシステム100によって使用されない予備の取入口フィルタ(図示せず)を備える。予備の取入口フィルタは、較正装置108の保守またはテストを目的として、外部のガス供給源(たとえば、タンク)を接続するために使用できる。たとえば、技術者は、較正装置108の点検を行うときに、この装置にタンクを接続して手動の処理または分析を行うことができる。
【0034】
較正装置108は、取入口および取入口フィルタ402a〜402fのそれぞれに連結された弁404をさらに備える。弁404は、対応する取入口フィルタ402a〜402fごとに個別のポートを有する。また弁404は、圧力検知器兼制御器406に連結される。弁404は、サンプリングされた空気を有するポンプまたは較正タンクからのガスを、取入口フィルタ402a〜402fの少なくとも1つからサンプリングし、そのガスを圧力検知器兼制御器406に送るように構成される。弁404は、微小電気アクチュエータおよび/またはユニバーサルアクチュエータを使用して、連続的な回転を通じて漸進的にステップするように構成され得る。弁404は、取入口フィルタ402a〜402fのいずれかから受け取ったガスの流れを選択および分離し、選択された流れを圧力検知器406に送ることができる。弁404は、選択されていない時、残りの取入口フィルタ402a〜402fからのガスを終端または遮ることができる。
【0035】
一部の実施形態では、弁404は、取入口フィルタ402a〜402fのうちのどれをサンプリングのために開くか決定する制御機構(たとえば、マイクロプロセッサ)(図示せず)に連結される。一部の実施形態では、弁404は、Valco Instruments Co.,Inc.から入手可能なValco切り替え弁である。弁404は、各取入口フィルタ402a〜402fおよび圧力検知器兼制御器406に導管(たとえば、1/6インチのステンレス鋼製チューブ)を介して連結される。
【0036】
較正装置108は、弁404からガスの流れを受け取る圧力検知器兼制御器406(PSC)をさらに備える。PSC406は、ガス乾燥器408に連結され、ガスが乾燥器408に送られる前にガス流の圧力レベルを調節する。またPSC406は、受け取ったガス流の圧力を測定する。PSC406は、アナログデジタル変換器(ADC)410に連結され、測定された圧力値をADC410に送る。一部の実施形態では、PSC406は、受け取ったガス流の温度を測定し、その温度をADC410に送るようにさらに構成される。
【0037】
ガス乾燥器408は、PSC406から受け取ったガスに乾燥剤を適用して、測定装置110のためのガスを準備するように動作する。一部の実施形態では、ガス乾燥器408は、Nafion(登録商標)チューブを使用して、測定装置110によって測定されることになるサンプルに存在する温室効果ガスの量に影響を与えずに、ガスサンプルの水分含量を減らす。サンプリングされた大気ガスを乾燥させることで、測定装置110によってもたらされる温室効果ガスの測定の精度および信頼性が向上する。
【0038】
較正装置108は、ADC410をさらに備える。ADC410は、サンプリングされたガスの圧力測定値を表す信号をPSC406から受け取る。ADCは、その信号をデジタル形式に変換し、デジタル信号を通信ネットワーク(たとえば、
図1のネットワーク114)に送信する。一部の実施形態では、ADC410は、ネットワーク114を介して測定装置110に接続される。これにより、測定装置110で、装置による大気ガスサンプルの分析と組み合わせて圧力測定値を記録することができる。
【0039】
図1に戻ると、システム100は、温室効果ガス測定装置110をさらに含む。この測定装置110は、サンプリングされたガスを較正装置108から受け取り、そのサンプルに存在する温室効果ガスの量を測定する。一部の実施形態では、測定装置110は、空洞リングダウンレーザ分光法の技法を使用して、温室効果ガスの濃度を決定する。本発明の主旨および範囲から逸脱することなく、他の測定技法を使用して温室効果ガスの濃度を決定することができることを理解されたい。
【0040】
測定装置110は、ソフトウェアを実行してガスを測定する測定器(たとえば、レーザ検知器)を管理すると共に測定値および関連情報を取り込み処理する内部コンピュータ(たとえば、プロセッサ、コンピューティング装置)を含む。内部コンピュータは、標準的なネットワーク機能(たとえば、イーサネット(登録商標)、PSTNモデム)を備えており、測定装置110がリモートのコンピューティング装置(たとえば、中央サーバ)および地理的領域に分散した他の測定装置と通信することを可能にする。測定装置110は、ネットワーク接続を使用して、外部の供給源(たとえば、クラウドベースのストレージ、中央データベース)との間でデータを送受信することができる。一部の実施形態では、測定装置110は、ローカルコンピューティング装置からのスケジューリング情報を使用できる。一部の実施形態では、測定装置110は、中央サーバコンピューティング装置からスケジューリング情報を受信できる。スケジューリング情報に基づき、測定装置110は、特定の日付/時刻に、または特定のスケジューリング命令に応じて、測定を実行することができる。一部の実施形態では、スケジューリング情報は中央サーバコンピューティング装置110からリアルタイムで送信される。
【0041】
一部の実施形態では、スケジューリング情報は、測定装置110に対して較正ルーチンを行うよう指示する較正スケジュールを含む。較正スケジュールは、ランダムな時間間隔、または48時間等の休止期間で選択され得る。またスケジューリング情報は、大気ガスのサンプルを外部のポート102aおよび102bから定期的に取得する輪番期間を含むサンプリングスケジュールをさらに含み得る。またスケジューリング情報は、較正およびサンプリングのスケジュールで使用するサブルーチン(たとえば、外部ポート選択、弁の調整、サンプリングの期間、圧力設定等)を含み得る。
【0042】
複数の測定装置が分散型の温室効果ガス監視ネットワークを含む別の例では、測定装置110はその測定結果を他の測定装置と共有して、装置間での内部較正を実行できる。別の例では、測定装置110は、適切な保守が行えるように、診断情報(たとえば、エラー警告、状態確認)を中央サーバコンピューティング装置に送信できる。一部の実施形態では、保守はシステム100がある現場を実際に訪れる必要なしに、リモートで行うことができる。また測定装置110は、ローカルのコンピューティング装置(図示せず)および利用者に測定結果を提示する表示装置112(たとえば、モニタ)に接続される。一部の実施形態では、測定情報は測定装置間でリアルタイムに共有される。
【0043】
図5は、システム100を使用して大気中の温室効果ガスを測定する方法500の流れ図である。較正装置108は、地球の大気に露出した第1のポート102aから大気ガスの第1のサンプルを受け取る(502)。較正装置108は、地球の大気に露出した第2のポート104bから大気ガスの第2のサンプルを受け取る(504)。較正装置108は、第1のサンプルおよび第2のサンプルを温室効果ガスの分析のために測定装置110に送る(506)。測定装置110は、第1のサンプルおよび第2のサンプルの少なくとも1つに存在する温室効果ガスの特性を決定する(508)。測定装置110は、温室効果ガスの決定された特性に関連するデータをコンピューティング装置(たとえば、内部コンピュータまたは外部コンピュータ)に送信する(510)。システム100は、地球の大気に存在する任意の数のガスを測定するように構成され得る。これらのガスには、二酸化炭素(CO
2)、メタン(CH
4)、一酸化炭素(CO)が含まれるが、これに限定されない。
【0044】
一部の実施形態では、大気ガスの測定を実行するときに、測定装置110がいくつかの異なる特性および/またはパラメータを含むデータパケットを生成する。これらの特性には、サンプル内の温室効果ガスの濃度(湿潤対乾燥)、サンプル内の水蒸気(H
2O)の濃度、較正装置108の弁404の位置(たとえば、サンプルが取得されたポート)、較正装置108の内部の温度(たとえば、℃)、レーザ分光法に使用される空洞の内部の圧力、同空洞の内部の温度、レーザの電流、および測定のタイムスタンプが含まれるが、これに限定されない。これらの特性は、測定装置110の内部コンピュータによって記録され、品質管理の目的で、および測定装置110が適切に動作していることを確実にするために、使用することができる。
【0045】
図6は、温室効果ガス測定装置(たとえば
図1の測定装置110)を較正する方法600の流れ図である。較正装置(たとえば、較正装置108)は、較正装置108に連結されたポンプ(たとえば、
図2のポンプ208)から、第1の温室効果ガス量を受け取る(602)。たとえば、較正装置108は、弁404を介して、較正タンク302、304、306、308の1つからガスをサンプリングするように構成され得る。較正装置108は、第1のサンプルガス量を(たとえば、PSC406および乾燥器408を介して)測定装置110に渡す(604)。測定装置110は、第1の温室効果ガス量に存在する温室効果ガスの特性を決定する(606)。一部の実施形態では、特性は、温室効果ガスの濃度、温室効果ガスの識別プロパティ、またはその他の種類の特性を含む。測定装置110は、特性を(たとえば、ネットワーク114を通じて)サーバコンピューティング装置に送る(608)。サーバコンピューティング装置は、特性に基づいて測定データに補正を加えることで、測定装置110から受信した温室効果ガス測定データを較正する(610)。
【0046】
システム100が大気ガスの温室効果ガス測定を行い、関連するデータを記録すると、システム100は、温室効果ガスの潜在的な発生源を決定するためのさらなる分析および報告のために、通信ネットワーク114を介して、データをサーバコンピューティング装置に送信する。
図7は、地理的に分散したノードのネットワークを使用して温室効果ガスを測定する方法700の流れ図であり、各ノードはシステム100を含む。
図8は、地理的に分散したノードのネットワークにより取得されたデータを使用して温室効果ガスの発生源を決定する方法800の流れ図である。
図9は、システム100を使用する地理的に分散したノードのネットワーク900のブロック図である。ネットワーク900は、通信ネットワーク920を介して複数のノード930a〜930dと通信するように構成されたサーバコンピューティング装置910を含む。ノード930a〜930dのそれぞれに、
図1に示す構成要素を含むシステム100が配置されている。
【0047】
サーバコンピューティング装置910は、2つ以上のin situ測定装置(たとえば、ノード930a〜930dの測定装置110)から、それら2つ以上のin situ測定装置の位置で収集された大気ガスのサンプルに含まれる温室効果ガスの量を表す値を受け取る(702)。サーバコンピューティング装置910は、2つ以上のin situ測定装置の位置またはその近傍に配置された2つ以上の気象観測器具から、大気状態データを受信する(704)。一部の実施形態では、上述したように、気象観測器具は
図1のポート102aおよび102bを含む塔に配置された気象条件機器(たとえば、Earth Networks,Inc.のWeather Station)である。気象観測器具は、ノート930a〜930dのそれぞれの位置で現在の気象条件に関する情報を収集し、その情報をサンプリングされた大気ガスと組み合わせてサーバコンピューティング装置910に送信する。
【0048】
サーバコンピューティング装置910は、2つ以上のin situ測定装置から受信した温室効果ガス量の値を比較して、それらの温室効果ガス量の値の間の類似点および相違点を決定する(706)。サーバコンピューティング装置910は、2つ以上の気象観測器具から受信した大気条件データを比較して、それぞれの大気条件データの間の類似点および相違点を決定する(708)。
【0049】
中央コンピューティング装置910は、in situ測定装置および気象観測器具の位置に基づいて、温室効果ガス量の値および大気条件データを集計する(802)。中央コンピューティング装置910は、集計するステップおよび比較するステップに基づいて、温室効果ガスの発生源を決定する(804)。
【0050】
温室効果ガスの発生源を決定するために使用される技法の1つは、排出された温室効果ガスの量と吸収された温室効果ガスの量とを測定する逆モデリングである。逆モデリング分析の一部として、サーバコンピューティング装置910は、温室効果ガス吸収源(たとえば、温室効果ガスを吸収する領域または実体)および温室効果ガス発生源(たとえば、温室効果ガスを排出する領域または実体)の位置を地理的領域上で推測することができる。サーバコンピューティング装置910が温室効果ガス測定値および大気条件データを分散ノード930a〜930dのそれぞれから収集すると、サーバコンピューティング装置910は、各ノードによってサンプリングされた空気塊がどこからやって来たのかを決定できる。この分析には、検出された温室効果ガス量に確率関数を適用して、乱気流、大気の層の間の混合、風向変化などの大気条件の変化を説明することも含まれ得る。
【0051】
一部の実施形態では、地域規模での逆モデルで、監視ネットワーク内の対象地域を取り囲む3次元ドメインを考慮する。3Dドメイン内の塔でなされた観測は平均背景値と異なるが、これは対象地域内の地表で発生する排出または取り込み、ならびにドメインの側面および上部の境界を通ってトレーサガスを搬送する空気塊からの寄与に起因する。化学反応によってトレーサガスの混合比が大気中で無視できる変化が起こる可能性があるが、比較的小さいため省略することができる。ドメイン内および境界を通る流れは大気条件に依存し、気象観測、数値モデル、またはそれらの組み合わせから推測することができる。逆モデリングでは、対象地域内でのトレーサガスの排出または取り込みに起因する寄与を決定し、それらの地理的に分散した排出および取り込みを一定の不確定要素と共に数値化する。
【0052】
図10は、大気中の温室効果ガスを測定するためにシステム100によって生成されるインバージョン報告のステップである、ネットワークによる温室効果ガスの測定に基づく地表の影響の計算行列1000を示す図である。計算行列1000は地理的グリッド1010を含んでおり、円は
図9に示すネットワーク900のノード930a〜930dの位置、矢印はネットワーク900の気象観測器具により記録されるような大気中の空気流の速度(たとえば、矢印が長いほど、速度が速い)および方向をそれぞれ表している。
図10に示すように、空気流はグリッドの左上角から南東の方向に流れており、北から南に向かうにつれて速度が低下している。
図10の各ノードに隣接する斜体の数字は、各ノードにより検出された温室効果ガスの濃度を、10を最大として0〜10の段階で表している。
図10に示すグリッド1010の各セクタがノードを含んでいるわけではないが、一部の実施形態におけるサーバコンピューティング装置910は、既存のノードから受信したデータに基づいて、それらのセクタにおける温室効果ガスの濃度を推測することができることを理解されたい。
図10のグリッド1010は2次元で表されているが、温室効果ガスを含む空気塊を運ぶ流れは、1次元、2次元、または3次元で提示することができる。また、3次元で提示された場合、流れを温室効果ガスの発生源および吸収源が位置する地表から切り離すことができ、その場合、流れの中の温室効果ガスの混合比は発生源および吸収源によって影響されず、水平方向に運ばれ、垂直方向に拡散することができる。一部の実施形態では、地表の発生源および吸収源がネットワークによる温室効果ガスの測定に与える計算上の影響は、中央サーバコンピューティング装置に行列として格納される。
【0053】
計算行列1000およびネットワークでの測定値に基づき、温室効果ガスの発生源からの寄与は地理的グリッド1010の左上角で最も大きく、グリッド1010の残りの部分からの寄与はより小さいと決定することができる。加えて、すべてのグリッドセルについて風が記録またはシミュレートされる。この情報を踏まえて、サーバコンピューティング装置910(または代替で、計算行列を分析する利用者)は、特定のグリッドセルで生じる温室効果ガスを搬送する空気塊がそのグリッドセルの地理的領域からネットワーク内の任意の温室効果ガス測定装置に移動するタイミングを決定することができる。
【0054】
一部の実施形態では、グリッド1010は、温室効果ガスの既知の発生源または吸収源の位置などを含めて、地理的領域に関する予め格納された情報と組み合わせることができる。たとえば、大量の温室効果ガスを排出することが知られている工場が、グリッドの左上角のすぐ北西に位置している可能性がある。サーバコンピューティング装置910は、この情報でグリッドを補強し、その工場がノードにより検出された温室効果ガスの潜在的または有力な発生源であると決定することができる。地方または州の機関等が適切な手順を踏んで、工場による排出を調節するか、または工場の所有者に罰則を科すことができる。一部の実施形態では、温室効果ガスの吸収源および発生源の位置を、不確かさの範囲で決定することができる。
【0055】
別の例では、計算行列1000は、グリッド1010の左側部分の中央と下方との間で、発生源および取り込みからの温室効果ガスの寄与が大幅に低下している(たとえば、7から2)ことを示している。この領域から生じる空気塊が、左上角で温室効果ガスを以前に豊富に含んでいた空気塊と混合されたとき、位置2における結果的な温室効果ガス測定値は、適度に変化するだけである。これら2つのノード間の地理的領域についてさらなる分析を行い、ネットワーク内における温室効果ガス測定値の増加または減少に依存して、その領域に位置している温室効果ガスの潜在的な発生源または吸収源の大きさを決定することができる。当該領域における発生源および吸収源の決定された大きさと、計算に関連する不確定要素とが、インバージョン報告として提供される。
【0056】
上述した技法は、デジタルおよび/もしくはアナログの電子回路、もしくはコンピュータハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、またはそれらの組み合わせで実装することができる。実装は、コンピュータプログラム製品として、すなわちデータ処理装置、たとえばプログラミング可能なプロセッサ、コンピュータ、および/または複数のコンピュータにより実行され、またはそれらの動作を制御する、機械可読記憶装置に有形に具現化されたコンピュータプログラムとすることができる。コンピュータプログラムは、ソースコード、コンパイルコード、解釈コード、および/または機械コードを含む、任意の形式のコンピュータ言語またはプログラミング言語で記述でき、スタンドアロンプログラムまたはサブルーチン、要素、もしくはコンピューティング環境での使用に適した他の単位を含む、任意の形式で展開することができる。コンピュータプログラムは、1つもしくは複数の現場にある1つのコンピュータまたは複数のコンピュータで実行されるように展開することができる。
【0057】
方法ステップは、コンピュータプログラムを実行して入力データの操作および/または出力データの生成により本発明の機能を実行する1つまたは複数のプロセッサにより実行できる。また、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)、FPAA(フィールドプログラマブルアナログアレイ)、CPLD(複合プログラム可能論理装置)、PSoC(プログラム可能システムオンチップ)、ASIP(特定用途向け命令セットプロセッサ)、ASIC(特定用途向け集積回路)等の専用論理回路により方法ステップを実行し、またはそのような専用論理回路として装置を実装することができる。サブルーチンは、格納されたコンピュータプログラムおよび/もしくはプロセッサ、ならびに/または1つもしくは複数の機能を実装する特殊回路の一部を参照し得る。
【0058】
コンピュータプログラムの実行に適したプロセッサには、例として、汎用マイクロプロセッサおよび専用マイクロプロセッサの両方、ならびに任意の種類のデジタルコンピュータまたはアナログコンピュータの任意の1つまたは複数のプロセッサが含まれる。一般に、プロセッサは、読み取り専用メモリもしくはランダムアクセスメモリまたはそれらの両方から、命令およびデータを受け取る。コンピュータの必須の要素は、命令を実行するプロセッサと、命令および/またはデータを格納する1つまたは複数のメモリ装置である。キャッシュ等のメモリ装置は、データを一時的に格納するために使用できる。またメモリ装置は、データを長期的に格納するためにも使用できる。一般に、コンピュータはさらに、たとえば磁気ディスク、光磁気ディスク、光学ディスクなど、データを格納するための1つまたは複数の大容量記憶装置を含むか、またはそれらの大容量記憶装置に動作可能に接続されてデータを受信、転送する、もしくはその両方を行う。またコンピュータは、命令および/もしくはデータをネットワークから受信するために、ならびに/または命令および/もしくはデータをネットワークに転送するために、通信ネットワークに動作可能に接続され得る。コンピュータプログラム命令およびデータを具現化するために適したコンピュータ可読記憶媒体には、あらゆる形式の揮発性および不揮発性のメモリが含まれる。これらのメモリには、例として、DRAMやSRAM、EPROM、EEPROM、フラッシュメモリ装置等の半導体メモリ装置、たとえば内部ハードディスクやリムーバブルディスク等の磁気ディスク、光磁気ディスク、およびCDやDVD、HD−DVD、Blu−ray(登録商標)ディスク等の光学ディスクがある。プロセッサおよびメモリは、専用論理回路によって補完され、および/または専用論理回路に組み込まれ得る。
【0059】
利用者との対話を可能にするために、上述した技法は、利用者に情報を表示する表示装置ならびに利用者がコンピュータに入力を提供できる(たとえば、ユーザーインターフェイス要素と対話できる)キーボードおよびポインティング装置と通信するコンピュータで実装できる。表示装置の例として、CRT(陰極線管)モニタ、プラズマモニタ、LCD(液晶表示)モニタがある。ポインティング装置の例として、マウス、トラックボール、タッチパッド、運動センサがある。他の種類の装置を使用して利用者との対話を実現することもできる。たとえば、利用者に提供されるフィードバックは、たとえば視覚フィードバック、聴覚フィードバック、触覚フィードバックなどの任意の形式の感覚フィードバックでよく、利用者からの入力は、音響入力、音声入力、接触入力などの任意の形式で受け取られ得る。
【0060】
上述した技法は、バックエンド構成要素を含む分散コンピューティングシステムで実装することができる。バックエンド構成要素は、たとえば、データサーバ、ミドルウェア構成要素、および/またはアプリケーションサーバであり得る。上述した技法は、フロントエンド構成要素を含む分散コンピューティングシステムで実装することができる。フロントエンド構成要素は、たとえば、グラフィカルユーザーインターフェイスを備えたクライアントコンピュータ、利用者が例示的な実装と対話できるウェブブラウザ、および/または伝送装置用のその他のグラフィカルユーザーインターフェイスであり得る。上述した技法は、そのようなバックエンド、ミドルウェア、およびフロントエンドの構成要素の任意の組み合わせを含む分散コンピューティングシステムで実装することができる。
【0061】
コンピューティングシステムの構成要素は、任意の形式または媒体のデジタルまたはアナログのデータ通信を含み得る伝送媒体(たとえば、通信ネットワーク)によって相互に接続され得る。伝送媒体は、1つもしくは複数のパケットベースネットワークおよび/または1つもしくは複数の回線ベースネットワークを任意の構成で含み得る。パケットベースネットワークには、たとえば、インターネット、キャリアインターネットプロトコル(IP)ネットワーク(たとえば、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、キャンパスエリアネットワーク(CAN)、メトロポリタンエリアネットワーク(MAN)、ホームエリアネットワーク(HAN))、プライベートIPネットワーク、IP構内交換(IPBX)、ワイヤレスネットワーク(たとえば、無線アクセスネットワーク(RAN)、Bluetooth(登録商標)、Wi−Fi、WiMAX、汎用パケット無線サービス(GPRS)ネットワーク、HiperLAN)、および/または他のパケットベースネットワークが含まれ得る。回線ベースネットワークには、たとえば、公衆交換電話網(PSTN)、旧式の構内交換(PBX)、ワイヤレスネットワーク(たとえばRAN、符号分割多重アクセス(CDMA)ネットワーク、時分割多重アクセス(TDMA)ネットワーク、汎欧州デジタル移動電話方式(GSM(登録商標))ネットワーク)、および/または他の回線ベースネットワークが含まれ得る。
【0062】
伝送媒体上での情報転送は、1つまたは複数の通信プロトコルに基づき得る。通信プロトコルには、たとえば、イーサネット(登録商標)プロトコル、インターネットプロトコル(IP)、ボイスオーバーIP(VOIP)、ピアツーピア(P2P)プロトコル、ハイパーテキスト転送プロトコル(HTTP)、セッション初期化プロトコル(SIP)、H.323、媒体ゲートウェイ制御プロトコル(MGCP)、信号システム#7(SS7)、汎欧州デジタル移動電話方式(GSM(登録商標))プロトコル、プッシュツートーク(PTT)プロトコル、PTTオーバーセルラー(POC)プロトコル、および/または他の通信プロトコルが含まれ得る。
【0063】
コンピューティングシステムの装置には、たとえば、コンピュータ、ブラウザ装置を備えたコンピュータ、電話、IP電話、モバイル装置(たとえば、携帯電話、個人用デジタル補助(PDA)装置、ノートパソコン、電子メール装置)、および/または他の通信装置が含まれ得る。ブラウザ装置には、たとえば、ワールドワイドウェブブラウザ(たとえば、Microsoft Corporationから入手可能なMicrosoft(登録商標) Internet Explorer(登録商標)、Mozilla Corporationから入手可能なMozilla(登録商標) Firefox)を備えたコンピュータ(たとえば、デスクトップコンピュータ、ノートパソコン)が含まれる。モバイルコンピューティング装置には、たとえば、Blackberry(登録商標)が含まれる。IP電話には、たとえば、Cisco Systems,Inc.から入手可能なCisco(登録商標) Unified IP Phone 7985Gおよび/またはCisco Systems,Inc.から入手可能なCisco(登録商標) Unified Wireless Phone 7920が含まれる。
【0064】
備えるや含むといった記載および/または複数形式の記載は上限を伴わないものであり、列挙された部品を含むと共に、列挙されていない追加の部品を含む可能性もある。および/またはという記載は上限を伴わないものであり、1つまたは複数の列挙された部品、および列挙された部品の組み合わせを含む。
【0065】
当業者は、本発明の主旨および必須の特性から逸脱せずに、本発明を他の具体的な形式で具現化できることを理解するであろう。よって上述した実施形態は、あらゆる点において、本明細書に記載された発明の限定ではなく例示と見なされる。