特許第6473089号(P6473089)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6473089
(24)【登録日】2019年2月1日
(45)【発行日】2019年2月20日
(54)【発明の名称】補強弁
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/24 20060101AFI20190207BHJP
【FI】
   A61F2/24
【請求項の数】13
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2015-561523(P2015-561523)
(86)(22)【出願日】2014年3月4日
(65)【公表番号】特表2016-508836(P2016-508836A)
(43)【公表日】2016年3月24日
(86)【国際出願番号】US2014020187
(87)【国際公開番号】WO2014138006
(87)【国際公開日】20140912
【審査請求日】2015年9月28日
(31)【優先権主張番号】61/772,929
(32)【優先日】2013年3月5日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】399125104
【氏名又は名称】メリット・メディカル・システムズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Merit Medical Systems,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ロビンソン
(72)【発明者】
【氏名】リチャード エイ ブラザートン
(72)【発明者】
【氏名】ミシェル チャタートン
【審査官】 細川 翔多
(56)【参考文献】
【文献】 特表2011−524777(JP,A)
【文献】 特表2003−521314(JP,A)
【文献】 特表2012−500665(JP,A)
【文献】 米国特許第06764518(US,B2)
【文献】 米国特許第06254642(US,B1)
【文献】 特開2004−089696(JP,A)
【文献】 特開2012−101061(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
体腔内に配置するための移植可能な装置の弁であって、
弁本体と、
前記弁本体の第1の端に配設される実質的に円筒形の周縁であって、近位端及び遠位端を有する、実質的に円筒形の周縁と、
前記弁本体の第2の端に配設される開口部であって、前記開口部が1つ以上の弁葉を備え、前記開口部が、前記弁葉が閉じられている閉鎖構成、前記弁葉が順行力に応答して開放される順行開放構成、及び前記弁葉が逆行力に応答して開放される逆行開放構成を有する、開口部と、
縫製要素を受け入れるように構成された複数の開口部を有するメッシュ材料を含んでおり、前記実質的に円筒形の周縁の内部に成形される補強部材であって、前記実質的に円筒形の周縁に制限され、前記順行力及び前記逆行力に応答して前記縫製要素が前記実質的に円筒形の周縁を引き裂くのを防止するように構成された、補強部材と、
を備える、弁。
【請求項2】
前記開口部が、少なくとも3つの弁葉を備える、請求項1に記載の弁。
【請求項3】
前記補強部材が、前記実質的に円筒形の周縁の前記近位端と遠位端との間に配設される請求項1又は2に記載の弁。
【請求項4】
前記補強部材の引き裂き強さは、前記実質的に円筒形の周縁を形成するために使用される材料の引き裂き強さを超える、請求項1に記載の弁。
【請求項5】
前記弁本体が、内表面及び外表面を備え、前記閉鎖構成において、前記内表面が実質的に凹状であり、前記外表面が実質的に凸状である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の弁。
【請求項6】
前記弁本体が、内表面及び外表面を備え、前記順行開放構成において、前記内表面が、実質的に凹状であり、前記外表面が、実質的に凸状である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の弁。
【請求項7】
前記弁本体が、内表面及び外表面を備え、前記逆行開放構成において、前記内表面が、実質的に凸状であり、前記外表面が、実質的に凹状である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の弁。
【請求項8】
前記弁本体が、逆行開放構成において反転する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の弁。
【請求項9】
体腔内に配設される移植可能な装置であって、
そこを通って延伸する内腔を有する実質的に円筒形のステントと、
本体、実質的に円筒形の周縁、開口部、及び補強部材を備え、流路が順行方向及び逆行方向となるように構成された、双路弁であって、前記補強部材が、前記実質的に円筒形の周縁の内部に成形される、双路弁と、
を備え、
前記弁が、前記補強部材を通じて配設される縫製要素によって、前記実質的に円筒形のステントの前記内腔に連結され、これによって、前記双路弁を通じて順行方向及び逆行方向の流路が構成されるに際して前記縫製要素が前記実質的に円筒形の周縁を前記引き裂くのを防止する移植可能な装置。
【請求項10】
前記縫製要素が、実質的に円筒形のステント、前記弁の前記実質的に円筒形の周縁、及び前記補強部材の壁部を貫通する、請求項9に記載の移植可能な装置。
【請求項11】
前記補強部材の引き裂き強さが、前記実質的に円筒形の周縁を形成するために使用される材料の引き裂き強さを超える、請求項9又は10に記載の移植可能な装置。
【請求項12】
体腔の内部に配設される移植可能な装置を作製する方法であって、
実質的に円筒形の金属ステントを取得することであってそこを通って延伸する内腔を有する前記実質的に円筒形の金属ステントを取得することと、
双路弁を取得することであって、本体、実質的に円筒形の周縁、開口部、及び、前記実質的に円筒形の周縁の内部に成形されており、複数の開口部を有するメッシュ材料を含む補強部材を備える、前記双路弁を取得することと、
前記双路弁を通じて順行方向及び逆行方向の流路が構成されるに際して前記縫製要素が前記実質的に円筒形の周縁を引き裂くのを防止するように前記双路弁の前記補強部材の前記メッシュ材料の前記開口部を通して配設される縫製要素を介して、前記双路弁を前記実質的に円筒形のステントの前記内腔に連結することと、を含む、方法。
【請求項13】
前記双路弁を前記実質的に円筒形のステントの前記内腔に連結する前に、前記補強部材を前記実質的に円筒形の周縁に連結することを更に含む、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、「REINFORCED VALVE」と題する、2013年3月5日出願の米国仮特許出願第61/772,929号の優先権を主張し、その全体が本明細書に参照として組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本開示は、概ね、ステント又は類似の移植可能な装置の内部に使用される弁に関する。より具体的には、本開示は、ある実施形態において、補強部材を備える弁に関する。
【0003】
本明細書で開示される実施形態は、添付の図面と共に取り上げられ、以下の説明及び添付の特許請求の範囲から、より完全に明白になる。これらの図面は、添付の図面の使用を通じて、追加の特殊性及び詳細とともに記述される典型的な実施形態のみ描写する。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1A】本開示の一実施形態による、弁の斜視図である。
図1B図1Aの弁の別の斜視図である。
図1C】視線1Cに沿う図1Bの弁の一部分の断面図である。
図1D】視線1Dに沿う図1Cの弁の一部分の拡大図である。
図1E】閉鎖構成における弁の斜視図である。
図1F】閉鎖構成における図1Eの弁の一部分の断面図である。
図1G】順行開放構成における弁の斜視図である。
図1H】順行開放構成における図1Gの弁の一部分の断面図である。
図1I】逆行開放構成における弁の斜視図である。
図1J】逆行開放構成における図1Iの弁の一部分の断面図である。
図2A】本開示の別の実施形態による、弁の斜視図である。
図2B図2Aの弁の別の斜視図である。
図2C】視線2Cに沿う図2Bの弁の一部分の断面図である。
図3A】本開示の別の実施形態による、弁の斜視図である。
図3B図3Aの弁の別の斜視図である。
図3C】視線3Cに沿う図3Bの弁の一部分の断面図である。
図4A】本開示の別の実施形態による、弁の斜視図である。
図4B図4Aの弁の別の斜視図である。
図4C】視線4Cに沿う図4Bの弁の一部分の断面図である。
図5A】本開示の別の実施形態による、弁の斜視図である。
図5B図5Aの弁の別の斜視図である。
図5C】視線5Cに沿う図5Bの弁の一部分の断面図である。
図6A】本開示の別の実施形態による、弁の斜視図である。
図6B図6Aの弁の別の斜視図である。
図6C】視線6Cに沿う図6Bの弁の一部分の断面図である。
図7A】本開示の一実施形態による、弁を組み入れるステントの正面図である。
図7B】視線7Bに沿う図7Aのステントの断面図である。
図8A】本開示の一実施形態による、弁を組み入れるステントの断面図である。
図8B】視線8Bに沿う図8Aのステントの一部分の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
本明細書で開示される様々な実施形態は、体腔内に配置するための弁に関する。以下でより詳細に記載されるように、弁は、本体、周縁、及び開口部を備えてもよい。いくつかの実施形態において、開口部は、開放及び閉鎖するように構成される3つ以上の弁葉を備えてもよい。弁は、補強部材を更に備えてもよい。補強部材は、弁の周縁の内径又は外径に連結されてもよい。補強部材は、弁の周縁の内部に成形されてもよい。
【0006】
補強部材は、メッシュ又はメッシュ状材料を含んでもよい。メッシュ又はメッシュ状材料は、個々の糸又はワイヤの網を含んでもよい。個々の糸又はワイヤは、高分子及び/又は金属材料などの引裂き抵抗性材料で形成されてもよい。いくつかの実施形態において、補強部材は、高分子メッシュを含んでもよい。他の実施形態において、補強部材は、金属メッシュを含んでもよい。更に他の実施形態において、補強部材は高分子フィルムを含んでもよい。
【0007】
更に本明細書で開示される実施形態において、弁は、ステント又は類似の移植可能な装置の内径又は内腔に連結されてもよい。いくつかの実施形態において、縫合糸などの縫製要素が使用されてもよい。縫製要素は、それが、ステントの壁部を貫通し、及び弁の周縁を貫通するように構成されてもよい。縫製要素は、補強部材を更に貫通してもよい。いくつかの実施形態において、補強部材は、縫製要素が弁の周縁を引き裂くのを防止することを補助してもよい。
【0008】
本明細書で提供される多くの実施例が、食道内部での使用のために構成される弁及びステントに言及するが、本開示はまた、体の様々な管腔において配設されるように構成されるステント又は類似の移植可能な装置とともに、他の多様な用途のために設計される弁にも適用可能である。
【0009】
実施形態は、同様のパーツが全体に渡って同様の番号によって指定される図面を参照することにより最良に理解されよう。本明細書で概ね記述され、図面で例示されるように、本開示のコンポーネントは、幅広い多様性のある異なった構成で配置され、設計され得ることが容易に理解されよう。このようにして、器具の実施形態の以下のより詳細な説明は、本開示の範囲に限定されることを意図しないが、本開示の可能性のある実施形態の単なる典型にすぎない。ある場合において、既知の構造、材料、又は動作は、詳細に示されず、又は記述されない。実施形態の様々な様態が、図面上で提示されるが、図面は、特に指示がなければ、必ずしも尺度通りに描かれない。
【0010】
成句「結合される」「連結される」及び「情報伝送する」は、機械的な、電気の、磁気の、電磁気の、流体の、及び熱性の相互作用を含むが限定をしない、2つ以上の実在物間の相互作用のいずれの形態をも指す。2つのコンポーネントは、たとえそれらが互いに直接的な接触がなかったとしても、互い連結されてもよい。例えば、2つのコンポーネントは、中間体のコンポーネントを通じて互い連結されてもよい。
【0011】
用語「近位」及び「遠位」は、本明細書で開示される装置を含む医療装置の反対側の端を指す。本明細書で使用される場合、医療装置の近位端は、使用中の施術者に最も近い端であるが、遠位端は反対側の端である。例えば、弁が、患者の口を通じて展開される食道ステント内部に配設される場合、近位端が、患者の頭部により近くなり、遠位端が、腹により近くなる。
【0012】
図1A〜1Jは、本開示による、弁100の実施形態の例示的な図面である。図1Aで示されるように、弁100は、本体105、周縁110、及び開口部115を備えてもよい。周縁110は、弁100の第1の端に配設されてもよく、開口部115は、弁100の第2の端に配設されてもよい。例えば、いくつかの実施形態において、周縁110は、弁100の近位端に配設されてもよく、開口部115は、弁100の遠位端に配設さてもよい。本体105は、それが、周縁110と開口部115間に延伸するように配設されてもよい。
【0013】
弁100の形状及びサイズは、弁100が構成されるステントのサイズに応じて変化してもよい。例えば、比較的大きなステントは、比較的大きな弁100を必要としてもよいのに対し、比較的小さなステントは、比較的小さな弁100を必要としてもよい。
【0014】
弁100は、実質的に円錐形又は漏斗状の形状でもよい。例えば、弁100の周縁110は、実質的に円筒形でよく、本体105は、それが、周縁110から開口部115に延伸するに従って内方に先細りになるように構成されてもよい。
【0015】
弁100の他の性質は、弁100の所望の特性に応じて変化されてもよい。例えば、本体105、周縁110、及び開口部115の厚さは、所望の強度及び可撓性を備えた弁100を提供するために変化されてもよい。例えば、本体105、周縁110、及び開口部115において、より大きい厚みによって、比較的硬く、強度のある弁100になってもよいのに対し、本体105、周縁110、及び開口部115においてより小さい厚みによって、比較的柔軟で脆い弁100になってもよい。また、本体105、周縁110、及び開口部115において、より大きい厚みによって、弁100の可撓性が比較的落ちてもよいのに対し、本体105、周縁110、及び開口部115において、より小さい厚みによって、弁100の可撓性が比較的増してもよい。
【0016】
いくつかの実施形態において、本体105、周縁110、及び開口部115の厚さが、互いに対して変化してもよい。例えば、いくつかの実施形態において、周縁110及び開口部115の厚さが、本体105の厚さを超えてもよい。弁100をこの方法で構成することによって、本体105を通じて十分な可撓性を維持しながら、弁100の近位端及び遠位端に追加された強度及び支持が提供されてもよい。他の実施形態において、本体105、周縁110、及び開口部115の厚さは、実質的に同一である。
【0017】
いくつかの実施形態において、周縁110は、弁100に強度及び支持を提供するように構成されてもよい。周縁110は、弁100がステントに連結されてもよい場所を提供するように構成されてもよい。図1Aで示されるように、周縁110は、近位端111及び遠位端112を備える壁部113を備えてもよい。いくつかの実施形態において、近位端111は、それが弁100に対し最も近位端になるように配設されてもよい。以下でより詳細に記載されるように、周縁110は、縫製要素によってステントに連結されてもよい。
【0018】
図1Aで更に示されるように、開口部115は、3つの弁葉116、117、118を備えてもよい。しかし、追加の弁葉もまた、意図される。例えば、いくつかの実施形態において、開口部115は、4つ、5つ、又は6つ若しくはより多くの弁葉を備えてもよい。いくつかの実施形態において、弁葉116、117、118は、弁100を開放及び閉鎖するように構成されてもよい。例えば、弁葉116、117、118は、弁100を閉鎖するために、係合、固定、ないしは別の方法で互いに接してもよい。弁葉116、117、118が、係合、固定、ないしは別の方法で互いに接する間、弁100を通じての流れは、制止されてもよく、場合によっては不可能にされてもよい。弁葉116、117、118はまた、弁100を開放するために系脱、ないしは別の方法で互いから分離するように構成されてもよい。弁葉116、117、118が、系脱又は分離されると、流れは弁100を通過することが可能になる。以下でより詳細に記載されるように、弁葉116、117、118は、弁100上に影響を及ぼす様々な力に応答して、開放及び閉鎖するように構成されてもよい。
【0019】
弁葉116、117、118の長さは、弁100を適切に閉鎖するための、係合、固定、ないしは別の方法で互いに接する能力に作用してもよい。いくつかの実施形態において、弁葉116、117、118の長さは、約1mm〜約15mmでよい。他の実施形態において、弁葉116、117、118の長さは、約4mm〜約11mmでよい。更に他の実施形態において、弁葉116、117、118の長さは、約7mm〜約9mmでよい。弁葉116、117、118の長さはまた、弁100の長さに応じて変化してもよい。例えば、約19mmの長さの弁100は、約7mmの長さの弁葉116、117、118を備えてもよく、約23mmの長さの弁100は、約9mmの長さの弁葉116、117、118を備えてもよい。他の長さもまた、使用されてもよい。
【0020】
弁葉116、117、118の厚さもまた、弁100を開放及び閉鎖するための、互いに相互作用する能力に作用してもよい。いくつかの実施形態において、弁葉116、117、118の厚さは、約0.1mm〜約3mmでよい。他の実施形態において、弁葉116、117、118の厚さは、約0.5mm〜約2.5mmでよい。他の実施形態において、弁葉116、117、118の厚さは、約1.9mmから約2.3mmでよい。弁葉116、117、118の厚さはまた、弁100の長さに応じて変化してもよい。例えば、約19mmの長さの弁100は、約1.9mmの厚さの弁葉116、117、118を備えてもよく、約23mmの長さの弁100は、約2.3mmの厚さの弁葉116、117、118を備えてもよい。他の厚さもまた、使用されてもよい。
【0021】
図1Aで更に示されるように、弁100は、補強部材125を備えてもよい。例示される補強部材125は、微細及び/又は極微細のメッシュ又はメッシュ状材料を含む、任意のメッシュ又はメッシュ状材料の典型でよい。補強部材125は、弁100の周縁110に連結されてもよい。補強部材125は、多様な方法で周縁110に連結されてもよい。例えば、いくつかの実施形態において、補強部材125は、接合又は接着剤を介して周縁110に接合ないしは別の方法で被着されてもよい。他の実施形態において、補強部材125は、周縁110と一体でもよい。例えば、補強部材125は、周縁110に成形されてもよい。補強部材125は、周縁110の内部に部分的に又は完全に、のいずれかで成形されてもよい。なお他の実施形態において、補強部材125は、周縁110に接合されることも、周縁110に又は内部に成形されることもできず、むしろ、補強部材125は、周縁110に隣接して配設されてもよく、そしてその後、縫製要素を介して周縁110に連結されてもよい。いくつかの実施形態において、縫製要素はまた、ステントに弁100を連結するために使用されてもよい。
【0022】
補強部材125は、周縁110の多様な場所に連結されてもよい。例えば、図1Aで示されるように、補強部材125は、周縁110の外径に連結されてもよい。他の実施形態において、補強部材125は、周縁110の内径に連結されてもよい。更に他の実施形態において、補強部材125は、周縁110の外系にも内径にも連結されず、むしろ、補強部材125が周縁110の内部に成形されてもよい。なお他の実施形態において、補強部材125は、周縁110の内部に部分的にのみ成形されてもよい。
【0023】
いくつかの実施形態において、補強部材125の1つ以上の寸法は、周縁110の1つ以上の寸法内部に制限されてもよい。例えば、図1Aで示されるように、補強部材125は、長さDの周縁110の内部に配設される。いくつかの実施形態において、補強部材125は、周縁110の近位端111と遠位端112との間に配設されてもよい。いくつかの実施形態において、補強部材125は、更に、それが周縁110の近位端111又は遠位端112のいずれかを越して延伸することないように構成されてもよい。他の実施形態において、補強部材125は、長さDの周縁110の内部に制限される必要はなく、むしろ、補強部材125は、それが、周縁110の近位端111及び/又は遠位端112のいずれか又は両方を超えて延伸するように構成されてもよい。
【0024】
補強部材125は、多様な材料から作製されてもよい。例えば、いくつかの実施形態において、補強部材125は、メッシュ又はメッシュ状材料を含んでもよい。メッシュ又はメッシュ状材料は、個々の糸が織り合わされた網を含んでもよい。いくつかの実施形態において、糸は、高分子材料を含んでもよい。
【0025】
メッシュ又はメッシュ状材料における糸の密度及び数は、所望通り変化してもよい。いくつかの実施形態において、メッシュ又はメッシュ状材料の密度は、2.5センチメートル(1インチ)につき、約135〜約425端(すなわち、135〜425メッシュ)でよい。他の実施形態において、メッシュ又はメッシュ状材料の密度は、2.5センチメートル(1インチ)につき、約185〜約375端(すなわち、185〜375メッシュ)でよい。他の実施形態において、メッシュ又はメッシュ状材料の密度は、2.5センチメートル(1インチ)につき、約235〜約325端(すなわち、235〜325メッシュ)でよい。他の実施形態において、メッシュ又はメッシュ状材料の密度は、2.5センチメートル(1インチ)につき、10端(すなわち、10メッシュ)の低さでよい。あるいは、2.5センチメートル(1インチ)あたりの、糸の数はまた、多くなり得るため、メッシュ又はメッシュ状材料がフィルム状又はフィルムに類似してもよい。更に、以下で論じられるように、いくつかの実施形態において、フィルムが使用されてもよい。
【0026】
いくつかの実施形態において、メッシュ又はメッシュ状材料は、個々のワイヤが織り合わされた網を含んでもよい。ワイヤは、金属材料を含んでもよい。例えば、いくつかの実施形態において、ワイヤは、Nitinol(登録商標)などの形状記憶金属を含んでもよい。いくつかの実施形態において、ワイヤは、ステンレス鋼を含んでもよい。更に他の実施形態において、メッシュ又はメッシュ状材料は、金属及び高分子材料の両方を含む個々の織り合わされた糸の組み合わせを含んでもよい。
【0027】
補強部材125の追加の種類(例えば、メッシュ又はメッシュ状材料ではない)は、使用されてもよい。例えば、いくつかの実施形態において、補強部材125は、高分子フィルムを含んでもよい。高分子フィルムは、弁100の本体105、周縁110、及び/又は開口部115を形成するのに使用される材料を超える引張及び/又は引き裂き強さを有する高分子を含んでもよい。このようにして、高分子フィルムは、周縁110に強度及び補強を提供してもよい。いくつかの実施形態において、補強部材125は、縫製要素が弁100の周縁110を引き裂くことから保護するのを更に補助する。
【0028】
いくつかの実施形態において、弁100は、補強部材125を含めて、それが、展開装置によって圧着されたステントに連結されたときに、回復不能に損害を受けることのないように構成されてもよい。したがって、いくつかの実施形態において、弁100は、補強部材125を含めて、弁100が連結されるステントが展開装置から展開された後、実質的にその形状及び構造を保持することができる。いくつかの実施形態において、弁100は、補強部材125を含めて、最大約24時間の期間、展開装置内のステント内に圧着された後、実質的にその形状及び構造を保持することができる。他の実施形態において、弁100は、補強部材125を含めて、最大約12時間の期間、展開装置内のステント内に圧着された後、実質的にその形状及び構造を保持することができる。更に他の実施形態において、弁100は、補強部材125を含めて、最大約6時間の期間、展開装置内のステント内に圧着された後、実質的にその形状及び構造を保持することができる。
【0029】
図1Bは、弁100内の一部分を示す図1Aの弁100の別の斜視図である。図1Bで示されるように、弁100は、本体105、周縁110、及び開口部115を備えてもよい。弁100は、周縁110の外径に連結される補強部材125を更に備えてもよい。
【0030】
図1Bで更に示されるように、弁100の本体105は、外表面103及び内表面104を備えてもよい。外表面103は、弁100の外側に面し、それが実質的に凸状であるように構成されてもよい。内表面104は、弁100の内側に面し、それが実質的に凹状であるように構成されてもよい。外及び内表面103、104は、それらが実質的に平滑であるようにそれぞれ構成されてもよい。
【0031】
図1Cは、線1Cに沿う図1Bの弁100の断面図である。上述された弁100の構造的な特徴及び様態の多くは、本断面図で更に明白である。例えば、図1Cで示されるように、弁100の本体105は、周縁110から開口部115に、内方へ先細りしてもよい。外及び内表面103、104の本質はまた、描写される。例えば、外表面103は、実質的に凸状であってもよく、同時に内表面104は、実質的に凹状であってもよい。
【0032】
本体105、周縁110、及び開口部115の厚さを多様にすることは、図1Cで更に示される。そこで示されるように、周縁110及び開口部115の厚さは、それらが、本体105の厚さを超えるよう構成されてもよい。このようにして、弁100は、本体105が比較的可撓性のあるまま、それが、周縁110及び開口部115において構造強度及び支持を追加しているように構成されてもよい。
【0033】
図1Dは、図1Cの一部分のクローズアップである。そこに示されるように、補強部材125は、周縁110の外径に連結されてもよい。更に示されるように、補強部材125は、周縁110の内部に制限されてもよく、それが周縁110の近位端及び遠位端111、112を超えて延伸しないように、配設されてもよい。補強部材125は、それが、周縁110の長さD内になるように更に配設される。図1Dは、個々の糸又はワイヤ126を含むメッシュ又はメッシュ状材料を含む補強部材125を更に示す。上に記載されたように、これらの糸又はワイヤ126は、メッシュ又はメッシュ状材料を形成するように織り合わすことができる糸の網の部品、又はワイヤ126でよい。
【0034】
図1E〜1Jで示されるように、弁100は、それが、双路弁100であるように構成されてもよい。結果的に、弁100は、流路が順行及び逆行方向(すなわち、順行の流れ及び逆行の流れ)となるように構成されてもよい。弁100は、閉鎖構成(図1E及び1F)、順行開放構成(図1G及び1H)、及び逆行開放構成(図1I及び1J)の3つの主要構成を有してもよい。
【0035】
図1E及び1Fは、閉鎖構成における弁100を示す。具体的に、図1Eは、閉鎖構成における弁100の斜視図であり、図1Fは、閉鎖構成における弁100の断面図である。閉鎖構成が、弁100の標準の構成であることが意図される。結果的に、弁100は、それが、停止状態、ないしは別の方法で実質的に、順行及び逆行方向(すなわち、順行力及び逆行力)において、外部の力から自由であるとき、閉鎖構成内にあるように構成されてもよい。弁100は、それが、閉鎖構成に向かって偏るように構成されてもよい。したがって、弁100は、外部の順行又は逆行力が弁100から除去された後、閉鎖構成に戻ってもよい。
【0036】
図1E及び1Fで示されるように、閉鎖構成において、弁100の開口部115は閉鎖される。閉鎖構成において、弁葉116、117、118は、弁100を閉鎖するために、係合、固定、ないしは別の方法で互いに接するように構成されてもよい。このようにして、弁100を通じての流れは、弁100が閉鎖構成内にあるとき、弁葉116、117、118によって制止されてもよく、場合によっては不可能にされてもよい。図1E及び1Fで更に示されるように、弁100が、閉鎖構成にあるとき、本体105の内表面104は、実質的に凹状であってもよく、本体105の外表面103が、実質的に凸状であってもよい。
【0037】
図1G及び1Hは、順行開放構成における弁を示す。具体的に、図1Gは、順行開放構成における弁100の斜視図であり、図1Hは、順行開放構成における弁100の断面図である。図1G及び1Hで示されるように、順行開放構成において、弁100の開口部115は、開放している。順行開放構成において、弁葉116、117、118は、それらが、閉鎖構成において行うような係合、固定、ないしは別の方法で互いに接することが、もはやないように構成されてもよい。むしろ、弁葉116、117、118の少なくとも一部分は、系脱、離間、ないしは別の方法で互いに分離させられてもよい。
【0038】
弁100は、順行の方向F(すなわち、順行力)における力に応答して、順行開放構成に開放されてもよい。順行力Fが、弁100に適応されるため、弁葉116、117、118が、外向きに強制されてもよく、このようにして、順行の流れが弁100の開口部115を通過することが可能になる。先に論じられるように、順行力Fが、除去されるとき、弁100の偏りによって、弁100が閉鎖構成に戻ることを引き起こしてもよい。
【0039】
図1G及び1Hで更に示されるように、弁100が、順行開放構成にあるとき、本体105の内表面104が、実質的に凹状でよく、及び本体105の外表面103が、実質的に凸状でよい。
【0040】
図1I及び1Jは、逆行開放構成における弁100を示す。具体的に、図1Iは、逆行開放構成における弁100の斜視図であり、図1Jは、逆行開放構成における弁100の断面図である。図1I及び1Jで示されるように、逆行開放構成において、弁100の開口部115は開放している。逆行開放構成において、弁葉116、117、118は、それらが、閉鎖構成において行うような係合、固定、ないしは別の方法で互いに接することが、もはやないように構成されてもよい。むしろ、弁葉116、117、118の少なくとも一部分は、系脱、離間、ないしは別の方法で互いに分離させられてもよい。
【0041】
弁100は、逆行方向における力F(すなわち、逆行力)に応答して逆行開放構成に開放されてもよい。逆行力Fが、弁100に適応されるため、弁葉116、117、118が、最初に互いに逆らって内方に押される。逆行力Fが、十分に強い場合、弁100の本体105及び弁葉116、117、118が、反転になってもよい。このようにして、図1I及び1Jで示されるように、弁100が、完全に逆行力Fに応答して開放されるとき、本体105及び弁葉116、117、118は近位方向に又は上方に延伸してもよく、それによって、逆行の流れが弁100を通過することを可能にする。図1I及び1Jで更に示されるように、弁100が、逆行開放構成にあるとき、本体105の内表面104が、それが、実質的に凸状であるように反転され、本体105の外表面103が、それが、実質的に凹状であるように反転される。逆行力Fが、除去されるとき、弁100の偏りによって、弁100が閉鎖構成に戻ることを引き起こしてもよい。
【0042】
弁100は、閉鎖構成から順行開放構成へ転移してもよく、弁100のいずれのコンポーネントにも損害を与えることなく閉鎖構成へ戻ってもよい。類似して、弁100は、閉鎖構成から逆行開放構成へ転移してもよく、弁100のいずれのコンポーネントにも損害を与えることなく閉鎖構成へ戻ってもよい。
【0043】
異なる力量は、閉鎖構成から順行及び逆行開放構成へ弁100を転移させることを必要とされてもよい。例えば、弁100を転移させるために必要とされる順行力Fの規模は、閉鎖構成から逆行開放構成へ弁100を転移させる逆行力Fの規模を実質的に下回ってよい。
【0044】
いくつかの実施形態において、順行開放構成へ弁100を転移させることを必要とされる順行力Fの規模は、比較的低くてもよいが、一方で逆行開放構成へ弁100を転移させることを必要とされる逆行力Fの規模は、比較的高くてもよい。弁100は、それゆえに、順行の方向(すなわち、順行の流れ)において、流れが通過することを簡単に可能にするように構成されてもよいが、一方で、逆行方向(すなわち、逆行の流れ)において、流れが通過することを実質的に阻止する。例えば、いくつかの実施形態において、0.09kPa(0.7mmHg)の低い力は、閉鎖構成から順行開放構成へ弁100を転移させるために十分であってもよく、それによって、順行の流速が少なくとも140ml/分になることが可能になる。弁100はまた、それが、閉鎖構成から逆行開放構成へ転移する前に、逆行方向において、最大4kPa(30mmHg)又はそれを超える圧力に耐えるように構成されてもよい。
【0045】
弁100を閉鎖構成から順行及び逆行開放構成へ転移させるために必要な力量は、弁100の性質を多様にすることによって制御されてもよい。例えば、本体105、周縁110、及び開口部115を形成するために使用される材料は、弁100を転移させる又は開放するために必要とされる力を増大又は減少させるために多様にされてもよい。いくつかの実施形態において、弁100を転移させる又は開放するために必要とされる力量はまた、本体105、開口部115及び/又は弁葉116、117、118の厚さを多様にすることによって、調整されてもよい。弁葉116、117、118の長さはまた、弁100を転移させる又は開放するために必要とされる力量を変更するために多様にされてもよい。
【0046】
図2A〜2Cは、本開示による、弁200の別の実施形態の図面である。弁200は、上の図1A〜1Jに関して記述される弁100のコンポーネントに、ある点において似てもよい。例示される実施形態が、相似する特徴を有してもよいことが理解されよう。結果的に、同様の特徴が、最初の桁が「2」に増分された、同様の参照番号で指定される(例えば、弁は、図1においては「100」と指定され、相似の弁が、図2では「200」として指定される)。類似して識別された特徴について上に記載された関連の開示は、したがって、以下本明細書で繰り返されない場合がある。そのうえ、図2A〜2Cで示される弁200及び関連するコンポーネントの具体的な特徴は、図面上で参照番号によって示されてない又は識別されていない場合があり、あるいは以下に記載される説明で具体的に論じられていない場合がある。しかし、このような特徴は、他の実施形態において描写される、及び/又はこのような実施形態について記述される特徴と明らかに同一又は実質的に同一であってもよい。結果的に、このような特徴の関連する説明は、図2A〜2Cの弁の特徴に等しく適用される。図1A〜1Jで例示される弁100及びコンポーネントについて記述される特徴の任意の好適な組み合わせ及びその変形が、図2A〜2Cの弁200及びコンポーネントと共に用いられることが可能であり、その逆もまた同様である。この開示のパターンは、後の図で描写され、以下本明細書に記述される更なる実施形態に等しく適用される。
【0047】
図2A〜2Cで示されるように、弁200は、本体205、周縁210、及び開口部215を備えてもよい。開口部215は、3つの弁葉216、217、218を備えてもよい。更に例示されるように、弁200は、補強部材225を更に備えてもよい。図1A〜1Jの補強部材125と対照的に、図2A〜2Cの補強部材225は、周縁210の内径に連結されてもよい。周縁210の内径に補強部材225を連結することは、先に論じられた方法のいずれにおいても達成されてもよい。例えば、補強部材225は、周縁210の内径に接合又は成形されてもよい。補強部材225は、縫製要素によって、周縁210の内径に連結されてもよい。
【0048】
図3A〜3Cは、本開示による、弁300の別の実施形態を示す。そこで例示されるように、弁300は、本体305、周縁310、及び開口部315を備えてもよい。開口部315は、3つの弁葉316、317、318を備えてもよい。図3A〜3Cで更に例示されるように、弁300は、周縁310に連結される補強部材325を更に備えてもよい。図1A〜1Jの補強部材125と対照的に、補強部材325は、周縁310の内部に連結されてもよい。上に記載されたように、補強部材325は、周縁310の内部に成形されることによって、周縁310の内側に連結されてもよい。これは、個々の糸又はワイヤ326のそれぞれが周縁310の内部に配設される、図3Cの断面図で更に示される。
【0049】
図4A〜4Cは、本開示による、弁400の更に別の実施形態を示す。そこで例示されるように、弁400は、本体405、周縁410、及び開口部415を備えてもよい。開口部415は、3つの弁葉416、417、418を備えてもよい。弁400は、周縁410に連結される補強部材425を更に備えてもよい。図4A〜4Cで示されるように、補強部材425は、高分子フィルムを含んでもよい。図4A〜4Cで更に示されるように、高分子フィルムは、周縁410の外径に連結されてもよい。
【0050】
図5A〜5Cは、本開示による、弁500の別の実施形態を更に示す。そこで例示されるように、弁500は、本体505、周縁510、及び開口部515を備えてもよい。開口部515は、3つの弁葉516、517、518を備えてもよい。弁500は、周縁510に連結される補強部材525を更に備えてもよい。図5A〜5Cで更に示されるように、補強部材525は、高分子フィルムを含んでもよい。図4A〜4Cの実施形態と対照的に、図5A〜5Cにおける高分子フィルムは、周縁510の内径に連結されてもよい。
【0051】
図6A〜6Cは、本開示による、弁600の別の実施形態を更に示す。そこで例示されるように、弁600は、本体605、周縁610、及び開口部615を備えてもよい。開口部615は、3つの弁葉616、617、618を備えてもよい。弁600は、周縁610に連結される補強部材625を更に備えてもよい。図6A〜6Cで更に示されるように、補強部材625は、高分子フィルムを含んでもよい。図4A〜4Cの実施形態と対照的に、図6A〜6Cにおける高分子フィルムは、周縁610の内側内部に連結、ないしは別の方法で配設されてもよい。上に記載されたように、補強部材625は、周縁610内部で成形されることによって、周縁610の内側内部に連結、ないしは別の方法で配設されてもよい。
【0052】
本明細書で開示されるのはまた、弁がステント又は類似の移植可能な装置に連結される実施形態である。例えば、弁は食道ステントに連結されてもよい。食道ステントは、例えば、食道の狭小、咬合、閉塞又は遮蔽を治療するために食道の管腔内に配置するように構成される移植可能な装置であってもよい。食道ステントは、狭小に抵抗するように、さもなければ、食道の開通性を維持するために機能するように構成されてもよい。加えて、ステントは、多様なコンポーネントを備えてもよく、これらのコンポーネントのパラメーター(例えば、形状、長さ、厚さ、位置、等。)は、一定の性質をステントに提供するように構成されてもよい。例えば、ステントは、一定の力に応答して横断路を分配又は形状を変更するように構成されてもよい。
【0053】
本開示による、弁700と共に構成されるステント750の側面図である図7Aを参照すると、ステント750は、足場構造751又はメッシュを用いて構成される好適な材料で形成され、そこを通る内腔と共に実質的に円筒形を有する管に形成されてもよい。足場構造751は、Nitinol(登録商標)、などのASTM F2063を含む、記憶材料で組み立てられてもよい。
【0054】
足場構造751の厚さは、約0.30mm〜約0.60mmであってもよい。他の実施形態において、足場構造751の厚さは、約0.35mm〜約0.55mmであってもよい。他の実施形態において、足場構造751の厚さは、約0.40mm〜約0.50mmであってもよい。他の実施形態において、足場構造751の厚さは、約0.45mmであってもよい。
【0055】
図7Aで最良に例示されるように、足場構造751は、周囲に配設される多重環状部分752(又は輪)で形成され、足場構造751の概ね円筒形の少なくとも一部分を明確にする。各環状部分752は、複数の織り合わされた壁体アーム753を備えてもよい。例えば、壁体アーム753は、それらが、千鳥形の模様を形成し、環状部分752の周りの交互の「山部」及び「谷部」を明確にするように、結合されてもよい。(本明細書で使用されるように、壁体アーム753が、結合され、千鳥形の模様内に配置される、「山部」は、比較的高い点を言及し、「谷部」は、比較的低い点を指す。換言すれば、山部及び谷部は、ステント750の周囲に対してではなく、むしろステント750の一端754、755に対してであってもよい。)いくつかの実施形態において、隣接する壁体アーム753は、互いに対して鋭角を形成してもよい。
【0056】
隣接する環状部分752は、足場構造751の概ね円筒形の縦軸Aも周りに幾列にもなって配置されてもよい。列は、足場構造751の概ね円筒形の縦方向に配置されてもよい。隣接する環状部分752は、結合体756によって、連結されてもよい。
【0057】
環状部分752、壁体アーム753、及び結合体756を含む足場構造751のコンポーネント及びエレメントは、例えば、陥入の発生率を低減するため、足場構造751に適応される横断力を平衡するように構成されてもよい。足場構造751のコンポーネント及びエレメントは、例えば、展開装置におけるステント750の被覆及び/又はステント750の回復を可能にするなど、足場構造751の少なくとも一部分が、足場構造751に適応される軸面力に応答して直径を減少させることが可能になるように構成されてもよい。
【0058】
足場構造751の実施形態のいくつかの実施例は、米国特許出願第10/288,615号(米国特許第7,527,644号)及び米国特許出願第13/285,358号、開示され、その全体が本明細書に参照として組み込まれる。
【0059】
理解されるように、全体のステント750は、一体的に形成される足場構造751によって、明確されてもよい。他の実施形態において、足場構造751は、近位部(又は中央体)の前部又は一部分、及び/又は遠位部(又は張り出し部)の前部又は一部分などのステント750の単なる一部分を形成してもよく、ステント750の他の部分は、巻線又は製織方法を通ってレーザーカットされた足場構造751に連結されてもよい、織られたNitinol(登録商標)のワイヤメッシュなどの別の構造及び/又は材料によって形成されてもよい。
【0060】
足場構造751は、コーティングされても、ないしは別の方法で可撓性のある材料によって形成される被覆760で閉じられてもよい。被覆760は、エラストマー、高分子、又は当該技術分野において既知のいずれの他の材料によって構成されてもよい。いくつかの実施形態において、被覆760はポリウレタンを含んでもよいが、一方で、ある実施形態において、被覆はポリウレタンのみで構成されてもよい。いくつかの実施形態において、被覆760シリコンを含んでもよいが、一方で、ある実施形態において、被覆は、シリコンのみで構成されてもよい。いくつかの実施形態において、被覆の内側表面は、親水性の層でコーティングされてもよい。被覆の実施形態のいくつかの実施例は、米国特許出願第10/669,450号(米国特許第7,637,942号)、米国特許出願第10/718,217号(米国特許第7,959,671号)、及び米国特許出願第12/616,455号(米国特許第8,206,436号)、で開示され、その全体が本明細書に参照として組み込まれる。
【0061】
図7Aで更に示されるように、弁700は、ステント750の内径又は内腔に連結されてもよい。このようにして、弁700は、その位置が基準線によって指示されるが、図7Aの例示された実施形態において直接的に可視ではない。縫合糸などの縫製要素765は、ステント750の内径に弁700を固定するために使用されてもよい。例えば、縫製要素765は、ステント750の足場構造751の壁体アーム753に弁700を固定してもよい。別の実施形態において、縫製要素765は、ステント750の被覆760に弁700を固定してもよい。縫製要素765は、弁700の周縁及び補強部材を貫通するように更に構成、及び/又は位置付けられてもよい。別の実施形態において、複数の紐が、ステント750の内径に弁700を固定するために使用されてもよい。
【0062】
食道ステントの場合、弁700は、開口部が胃に向かって弁700の遠位端に配設されるように、一方周縁が、口に向かって弁700の近位端に配設されるように位置付けられてもよい。この方向において、弁700は、食べ物が胃を通過することを可能にするためより容易に開放してもよいが、例えば、患者がげっぷ又は嘔吐するときなどの比較的大きな力に応答する以外は概ね胃からの逆流を防止する。
【0063】
図7Bは、視線7Bに沿う図7Aのステント750の断面図を示す。そこで示されるように、ステント750は、弁700が、その内径に連結されるように構成される。
【0064】
図8Aは、本開示による、弁800で構成されるステント850の断面図を示す。そこで示されるように、弁800は、縫製要素865によって、ステント850の内径に連結されてもよい。図8Bは、図8Aのステントの一部分のクローズアップである。そこで示されるように、縫製要素865は、それが、ステント850の壁部857及び弁800の周縁810貫通するように構成されてもよい。縫製要素865は、補強部材825を更に貫通する。いくつかの実施形態において、縫製要素865は、補強部材825の個々の糸又はワイヤ826周囲に固定、ないしは別の方法で包まれてもよい。よって、補強部材825は、縫製要素865が弁800の周縁810を引き裂くのを防止するうえで補助してもよい。
【0065】
弁を補強する追加の方法はまた、本明細書で開示される。例えば、いくつかの実施形態において、個々の弁葉は、弁の開口部の外辺部に沿って、1つ以上の場所で互いに連結されてもよい。個々の弁葉が互いに連結する、1つ以上の場所は、閉鎖構成と順行及び/又は逆行開放構成との間の弁を繰り返し転移させた後、引き裂きに比較的弱く敏感である。いくつかの実施形態において、個々の弁葉が互いに連結する、1つ以上の場所の補強及び/又は強化することが、それゆえ望まれる。この補強及び/又は強化は、多様な方法で達成されてもよい。いくつかの実施形態において、1つ以上の場所に比較的平滑な表面を提供することが可能な加工手技は、弁を形成するうえで使用されてもよい。他の実施形態において、1つ以上の場所で又はその近くで弁を切断することを必要としない加工手技は、弁を形成するうえで使用されてもよい。なお他の実施形態において、1つ以上の場所は、弁葉を局部的に肥厚することによって補強及び/又は強化されてもよい。
【0066】
本明細書で開示されるのはまた、弁の形成の別の方法である。多様な材料が、弁の形成するうえで使用されてもよい。例えば、本体、周縁、及び開口部は、高分子又はエラストマー材料を含んでもよい。いくつかの実施形態において、高分子又はエラストマー材料は、粘弾性があってもよい。いくつかの実施形態において、高分子又はエラストマー材料は、比較的柔軟性があってもよい。高分子又はエラストマー材料はまた、弁の形状が弁に損害を与えることなく変化(例えば、伸展された又は圧縮された)してもいいように比較的可撓性があってもよい。
【0067】
広い範囲の伸長率を有する材料が、使用されてもよい。いくつかの実施形態において、高分子又はエラストマー材料が、約50%〜約3000%の伸長率を有することが望まれる。他の実施形態において、高分子又はエラストマー材料が、約500%〜約2500%の伸長率を有することが望まれる。更に他の実施形態において、高分子又はエラストマー材料が、約1000%〜約2000%の伸長率を有することが望まれる。
【0068】
多様な引張強度を有する材料が使用されてもよい。例えば、いくつかの実施形態において、高分子又はエラストマー材料は、約0.01mPa〜約5mPaの引張強度を有する。他の実施形態において、高分子又はエラストマー材料は、約1mPa〜約4mPaの引張強度を有する。更に他の実施形態において、高分子又はエラストマー材料は、約2mPa〜約3mPaの引張強度を有する。
【0069】
いくつかの実施形態において、材料は、連続気泡発泡体を含んでもよい。発泡体の物理的特性及び性質は、所望通りに構成されてもよい。例えば、いくつかの実施形態において、ヤング率が約0.1mPa〜約0.6mPaの発泡体を含んでもよい。他の実施形態において、ヤング率が約0.2mPa〜約0.5mPaの発泡体を含んでもよい。更に他の実施形態において、ヤング率が約0.3mPa〜約0.4mPaの発泡体を含んでもよい。
【0070】
発泡体の密度はまた、多様であってもよい。例えば、いくつかの実施形態において、発泡体の密度は、約0.1g/cm〜約1.5g/cmであってもよい。他の実施形態において、発泡体の密度は、約0.3g/cm〜約1.2g/cmであってもよい。更に他の実施形態において、発泡体の密度は、約0.5g/cm〜約0.9g/cmであってもよい。更に他の実施形態において、発泡体の密度は、約0.6g/cm〜約0.8g/cmであってもよい。更に他の実施形態において、発泡体の密度は、約0.5g/cm〜約0.6g/cmであってもよい。更に他の実施形態において、発泡体の密度は、約0.8g/cm〜約0.9g/cmであってもよい。
【0071】
弁の生成のため使用される材料はまた、追加の性質又は利点を備えた弁を提供してもよい追加の作用剤及び/又は添加剤を含んでもよい。例えば、いくつかの実施形態において、材料は、弁が、例えば患者の食道、内部に配設される際、微生物の増殖の防止又は制限するため抗菌剤を用いて処置されてもよい。
【0072】
本明細書で開示されるのは、体腔内部に配設されてもよいステント又は別の移植可能な装置方法の加工方法である。方法は、実質的に円筒形の金属ステントを取得する工程を含んでもよい。方法は、弁を取得する工程を更に含む。上に記載されたように、弁は、本体、実質的に円筒形の周縁、開口部、及び補強部材備えてもよい。方法は、縫製要素を介して実質的に円筒形のステントの内腔に弁を連結する工程を更に含む。縫製要素は、弁の補強部材を通じて配設されてもよい。更に、いくつかの実施形態において、方法は、実質的に円筒形のステントに弁を連結させる前に実質的に円筒形の周縁に補強部材を連結する工程を含んでもよい。
【0073】
更なる詳細なく、当業者は、前述の説明を使用して、最大限に本発明を活用できると考えられる。本明細書に開示される特許請求の範囲及び実施形態は、単に例示的かつ代表的なものとして解釈されるべきであり、本開示の範囲を如何様にも制限するものとして解釈されるべきではない。当業者には、本開示の補助により、本明細書の開示の基礎原理から逸脱することなく、上述された実施形態の詳細に対して変更が行われてもよいことが明白になるだろう。換言すれば、上の説明で具体的に開示された実施形態の様々な修正及び改善は、添付の特許請求の範囲内にある。したがって本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲及びその同等物によって定義される。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図1G
図1H
図1I
図1J
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図8A
図8B