【実施例】
【0066】
本発明を例示するために以下の実施例が提供される。それらは如何なる意味でも本発明を限定するものではない。
【0067】
実施例についての表のリスト
表1−1。 エタノール:プロピレングリコール:水の送達媒体中で局所的に適用されたエピネフリンまたはフェニレフリンにより誘導されたヒト皮膚の血管収縮。
【0068】
表2−1。 エタノール:プロピレングリコール:水の送達媒体中のエピネフリンまたはフェニレフリンを予防的に局所塗布することによる、皮膚の放射線に誘導された皮膚炎の防止。
【0069】
表3−1。 エタノール:プロピレングリコール:水の送達媒体中のエピネフリンを予防的に局所塗布することによる、放射線に誘導されまたはサイトキサンに誘導された脱毛の防止。
【0070】
表4−1。 エタノール:プロピレングリコール:ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC):PBS(リン酸緩衝塩水)の送達媒体中のエピネフリンまたはフェニレフリンを予防的に局所塗布することによる、放射線に誘導された口腔粘膜炎の防止。
【0071】
表5−1。 少なくとも一つの風味剤が添加される、エピネフリンまたはフェニレフリンのために望ましい改善された味覚。
【0072】
表6−1。 種々の局所的処方物の溶解度および血管収縮効果(皮膚白化の肉眼観察により決定されたもの)。
【0073】
表7−1。 ヒトの胸部および腕の皮膚白化に対する局所的血管収縮剤のための、三つの処方物の性質。
【0074】
表8−1。 局所的血管収縮剤の複数の処方物についての、成分溶解度、皮膚白化効果、および皮膚刺激の結果。
【0075】
実施例1
この実施例は、エタノール:プロピレングリコール:水送達媒体中のエピネフリンまたはフェニレフリンエの局所塗布が、薬物濃度および時間に依存したヒト皮膚の白化(血管収縮)を与えることを示している。エピネフリンHClの0.1%水溶液およびフェニレフリンの0.25%水溶液は、実験の180分の観察期間に亘って、検出可能な皮膚の白化を与えなかった。
【0076】
これらの実験のために、エピネフリンHVl(FW:220)を指示された50:25:25(エタノール:プロピレングリコール:水)送達媒体の中に溶解し、またフェニレフリンHCl(FW:204)を指示された送達媒体の中に溶解した。所定の局所血管収縮剤(例えば10mMエピネフリン)のアリコートを、ヒト皮膚(腕)の同じ2平方センチメータの皮膚パッチに塗布し(0分で30μL、15分、30分および45分で15μL)、指示された時間において皮膚白化スコアを判断した。その結果を表1−1に示す。
【表1】
*0%=斑のあるピンクの皮膚、100%=白い皮膚、僅かな斑
【0077】
実施例2
この実施例は、エタノール:プロピレングリコール:水送達媒体中のエピネフリンまたはフェニレフリンの局所塗布が、濃度に依存して、ラット皮膚の放射線に誘導された皮膚炎を防止することを示している。
【0078】
これらの実験のために、エピネフリンHVl(FW:220)またはフェニレフリンHCl(FW:204)を、指示された局所処方物の中に溶解した(表2−1参照)。ラット(4〜5週齢;背中は予め剃髪された)は、合計で4回(−2時間、−1時間、−30分、および−10分)の局所塗布を受け、次いで、時間0分において、背中の4.5cm
2の領域にCs
137源から8.7Gyのγ線照射を受けた。13日後に皮膚炎の重篤度をスコアリングした。
【表2】
*媒体は、(%エタノール:%プロピレングリコール:%水)として表される
【0079】
実施例3
この実施例は、エタノール:プロピレングリコール:水の送達媒体中のエピネフリンの局所塗布が、放射線の全身照射またはサイトキサンによって誘導された脱毛を、濃度依存的に防止することを示している。
【0080】
これらの実験のために、エピネフリンHCl(FW:220)が指示された局所処方物の中に溶解された(表3−1参照)。新生児ラット(11日齢)が、背中に合計4回(−2時間、−1時間、−30分、および−10分)の局所塗布を受け、次いで、全身の放射線照射(Cs
137からの〜7.5Gy[3.65分]γ線の)または1回のサイトキサンの腹腔内注射(32μg/gm体重)を受けた。9日後(生後20日)に、脱毛の重篤度をスコアリングした。
【表3】
*媒体は、(%エタノール:%プロピレングリコール:%水)として表される
【0081】
実施例4
この実施例は、粘膜接着性エタノール:プロピレングリコール:ヒドロキシプロピルメチルセルロース:リン酸緩衝塩水送達媒体中のエピネフリンまたはフェニレフリンを局所塗布することによって、放射線に誘導される口腔粘膜炎に対して濃度依存性の保護を与えることを示している。
【0082】
これらの実験のために、エピネフリンHCl(FW:220)またはフェニレフリンHCl(FW:204)を指示された局所処方物の中に溶解した(表4−1参照)。Alvarez等(Clin. Cancer Res. 9:3454-3461, 2003)に基づくアッセイにおいて、シリアンゴールデンハムスター(Syrian golden hamsters;5〜6週齢)をネンブタール(60μg/gm体重)で麻酔し、左側の頬袋をピンセットで裏返し、(水で)濯ぎ、水滴を吸取って清浄にし、該頬袋を裏返し、Qチップの綿棒を使用して該左側頬袋の内側に〜0.3mLの粘膜接着性局所処方物を塗布した(この時点を0分と表す)。12分後、この左側頬袋を裏返し、広げ、直径〜2cmのプラスチックディスクを横切ってクリップで固定した。追加の局所処方物をQチップで塗布して、該頬袋の裏返された内側表面を均一に覆った。20分後、媒体で被覆された固定された頬袋を、厚さ2.5cmの鉛プレートを貫通して穿孔された直径1.5cmのウインドウを覆う位置にテープで固定した。眠っているハムスターを該プレート上の小さい棚の上に固定し、前記ウインドウを通して頬袋の放射線照射を可能にした。次いで、前記鉛プレートをハムスターとCs
137照射器中の照射源の間に配置し、時間を計った前記頬袋の放射線照射を行った。
【0083】
照射後、前記頬袋を水で濯ぎ、水を吸い取って裏返した。16日後に、放射線照射された頬袋の中の粘膜炎の重篤度を以下の基準を使用してスコアリングした。
スコアリング基準: 紅斑の程度: 0(なし)〜5(最悪)
腫脹の程度: 0(なし)〜4(最悪)
収縮/硬さの程度: 0(なし)〜4(最悪)
擬膜の存在:
0(なし)〜4(最悪)
粘膜炎重篤度スコア: 合計= 0(なし)〜17(最悪)
【表4】
*媒体は、(%エタノール:%プロピレングリコール:%HPMC:%水)として表される。
0.10%エピネフリンHCl=4.55mM
0.25%フェニレフリンHCl=12.3mM
**Cs
137との整列に起因した24分の露出を通して、これら動物は実験Cにおける20分の動物と同じGy線量を受けた。
【0084】
実施例5
この実施例は、0.1%エピネフリンまたは0.25%フェニレフリンの水溶液は、ヒト患者によって「望ましくない」味を有すると評価されるが、味をマスクする風味剤の添加によって、「非常に望ましい」範囲へと、味覚記述子の大きく顕著な(2.7〜3.1倍)改善が与えられることを示している。このような改善は、放射線療法または化学療法に誘導される口腔粘膜炎を防止するための、これら経口の局所的溶液の使用に対するヒト患者のコンプライアンスを最大化するのを補助するために非常に好ましいものである。望ましくない味を部分的にまたは完全にマスクするための風味剤は当該技術において知られており、当業者は、嗜好性または許容性を増大する溶液を処方する上において、甘味剤および他の風味剤を使用できることを理解するであろう。
【0085】
この実験のために、表5−1に示すように味覚試験溶液を処方した。1mLの各溶液を、文字だけで標識したガラス瓶の中に配置した。患者は味を質問され、表5−1に示したスコアシートに各溶液のスコアを記録した。幾人かの患者は、瓶MおよびNは「薬のような味がした」または「苦かった」と指摘した。
【表5】
* S19チェリー風味剤;ミシ癌州ランシングのLorAnnオイルズInc.
** S59スペアミント油;LorAnnオイルズInc.
+ S48ペパーミント油;LorAnnオイルズInc.
【0086】
実施例6
この実施例は、異なる比率の水、エタノールおよびPGを含んでなる送達媒体中の、異なるエピネフリン酒石酸塩溶液、エピネフリン酒石酸塩、およびフェニレフリン塩酸塩溶液を比較することに関する。
【0087】
それぞれの血管収縮剤塩のアリコートを、ガラス試験官の中に秤量した。次いで、指示された最終薬物濃度を達成するために、必要な容量の液体を加えた。各希釈剤溶液[エタノール:プロピレングリコール(PG):水]のパーセント組成が表6−1に指示されている。
【表6】
1 局所塗布20分後のヒト皮膚の白化の範囲(+++++=90〜100%白化)
2 NEp: L(−)ノルエピネフリン酒石酸塩
3 EPi(±): (±)エピネフリンHCl
4 EPi: L(−)エピネフリン酒石酸塩
5 PhE: R(−)フェニレフリンHCl
6 60:0:40: イソプロパノール:PG:水
7 試験せず
【0088】
血管収縮剤塩を各希釈剤の中に溶解させるために必要な熱の概略の量が示されている。希釈されたら、サンプルはシールされて室温(〜22℃)で24時間維持され、次いで4℃で24時間維持された。新しく作製した透明な処方剤を、最初の混合から短時間後にヒトの皮膚に塗布することにより、当該局所的処方物により誘導された皮膚の白化を試験した。薬物の溶液は、沈殿物質の出現について、48時間の観察期間に亘ってモニターされた。
【0089】
実施例7
この実施例は、少なくとも50%のエタノールにプラスして、変化する比率のPGおよび水を含有する試験溶液を用いて得られた効果を示している。
【0090】
L(−)ノルエピネフリン酒石酸塩をガラス製微小瓶(1.5mL)の中に計量した。次いで、
図3に特定されたパーセンテージ(容積:容積:容積)のエタノール:プロピレングリコール(PG):水で構成された溶媒を、各瓶に添加した。ネオエピネフリンを溶解するために必要とされるときには、1秒づつ増大させて瓶を沸騰水浴に接触させ、次いで透明になるまで渦で撹拌することによって、瓶を加熱した。密封された瓶は、室温で24時間、4℃で24時間放置された。この24時間の2回のインキュベーションの間に、何等かの結晶物質の形成を同定するために、各瓶の中の液体は拡大鏡を使用して検査された。結晶が形成されれば、ノルエピネフリンは当該溶媒混合物では「不溶性」と認められた。
図3におけるデータは、ノルエピネフリンの溶解度の予測されなかった二峰性のパターンを示している。溶解度の面積(例えば約50:30:20および約60:10:30)は、ノルエピネフリンが可溶性でない溶媒処方物(例えば55:20:25)によって分離されている。
【0091】
三つの処方物A、BおよびCが、更なる特徴付けのために選択された(表7−1)。各処方物について3重のアリコートもまた、上腕および上部胸のヒト皮膚に塗布された。局所塗布の60分間に、局所塗布部位における皮膚の白化がモニターされ、目視によりスコアリングされた(皮膚白化のパーセンテージとして)。12分(胸部)または20分(腕)における皮膚の白化が記録された。局所的な薬物塗布の1時間後に当該部位に触れて、皮膚に検出可能な残渣が残っていれば、それが何であるかを決定した。皮膚の白化は、高いアルコール濃度で最も強く、また塗布部位での「残渣」の量は、当該処方物のプロピレングリコール含量を直接反映した。残渣は、局所部位における「粘着な」質によって検出することができるであろう。胸部および腕についての結果が、それぞれ
図4および
図5に示されている。
【表7】
1 〜80μLの処方物がQチップで〜1cm
2のヒト皮膚に塗布された。皮膚白化の程度(0〜100%)が目視によりモニターされ、局所塗布の12分後(胸部)または20分後(腕)にスコアリングされた。
2 p=0.001 vs. GrpA
3 p=0.001 vs. GrpA
【0092】
実施例8
この実施例は、ヒト皮膚でのノルエピネフリンの皮内送達に際して、ヒト皮膚における既知の浸透エンハンサが有する効果を示している。
【0093】
正常にケラチン化されたヒト皮膚の下の真皮脈管構造にノルエピネフリンを局所的に送達するための最も安全で最も有効な手段を同定するために、水および指定された浸透エンハンサで構成される局部的送達処方物に、L(−)ノルエピネフリン酒石酸塩を添加した。
【0094】
透明なノルエピネフリン含有溶液が達成されたサンプルにおいて、アリコート(〜100μL)を、綿棒を使用してヒト前腕皮膚の〜1cm
2の領域に塗布した。塗布部位の下の皮膚白化(即ち、真皮脈管構造の収縮)の程度を、塗布後の60分に亘って肉眼でスコアリングした。
【0095】
結果は、以下の表8−1に与えられる。
【表8】
1 NEp: L(−)ノルエピネフリン酒石酸塩
2 局所塗布20分後のヒト皮膚白化の程度(+++++=90〜100%白化)
3 SLS: ラウリル硫酸ナトリウム
4 トランスクトール: ジエチレングリコールモノエチルエーテル
5 PG:プロピレングリコール
6 −:試験せず
【0096】
実施例9
この実施例は、エピネフリンまたはノルエピネフリンの1回の局所塗布が、ヒト頭皮を含むヒト皮膚の白化を迅速に誘導できること、また複数回の局所塗布は持続的な皮膚白化応答を提供でき、これは2〜3時間に亘る全身的化学療法に対する持続的保護と相関し得ることを示す。
【0097】
L(−)エピネフリン酒石酸塩またはL(−)ノルエピネフリン酒石酸塩の750mM溶液を、該結晶性血管収縮剤の塩をエタノール:PG:水の50:30:20の混合物中に溶解させることによって調製し、腕(
図6、パネルA,B)または頭皮の何れかのヒト皮膚に局所的に塗布した。皮膚白化の程度を記録し、また皮膚薄化が局所薬物を塗布した部位に限定されることを示すために、局所塗布後の特定の時間においてデジタル画像を記録した。〜30μモル/cm
2の局所投与量を生じさせるために、薬物処方物のアリコート(40μL)を〜1cm
2の皮膚に塗布した。腕および頭皮の両方の塗布部位において、局所的な薬物塗布後10分までに皮膚の部分的白化が見られ、また一般には15分までに皮膚の完全な白化が見を見ることが可能であった(パネルAおよびB)。頭皮上のノルエピネフリンの塗布部位は、毛髪のない額および毛髪で覆われた頭皮の両方を含んでおり、白化応答の迅速な開始および消失は、これらの連続的領域において同じであり、皮膚または毛髪に対する認識可能な毒性もなかった。
【0098】
「皮膚白化」領域(ヒトまたはラットにおいて)は、鋭く境界を付された縁部を備えた白い皮膚パッチとして、そのピーク(100%)において特徴付けられる。この白化は時間とともに自然に消失し、境界をなす縁部のない周囲の皮膚の色を伴った皮膚になる。
【0099】
1回の局所的薬物の塗布(例えば
図6のパネルA参照)は、迅速な皮膚の白化および比較的速い白化の消失を可能にする。1回の塗布スケジュールは、1週間当り5日間、2〜3分/日で放射線照射される患者の癌放射線療法の治療において有用であることが期待される。
【0100】
複数回の局所薬物投与(
図6、パネルB)は、より持続する皮膚の白化を可能にする。複数回薬物塗布について観察された血管収縮のより遅い消失は、3〜4週ごとに1回、1〜2時間にわたる静脈化学療法を受ける癌化学療法の患者を治療するために有用であると期待される。
【0101】
実施例10
この実施例は、10日齢の子ラットに対する適切な送達媒体中のエピネフリンの局所塗布が、単独で、塗布部位においてある面積の皮膚の白化を誘導すること、またこの同じ領域が、動物が全身のγ線照射で治療された後に完全な正常な外被成長を保持することを示す。
【0102】
50:30:20のエタノール:PG:水の中の(±)エピネフリンHCl(epi)の950mM溶液、または媒体単独を、動物がCs
137源から7.5Gyの全身γ放射線を受ける前に、10日齢の新生児ラットの背中に塗布した(40μL、25μL、25μL、25μL、それぞれ−120分、−60分、−30分、および−10分において)。このepi治療されたラットにおける皮膚白化の領域を示すために、特定の時点でデジタル画像を記録した。皮膚の白化は、媒体単独で処置されたラットには見られなかった。30分および60分、120分の局所的epi投与において、エピネフリン処置された皮膚フィールド内に、皮膚の白い領域が目視可能であり、これは一般には120分までに一つの白化フィールドの中に重なって併合される。局所的epi治療および第10日での放射線照射の後に、20日齢のラットの外被が保持される領域の比較によって、照射の前に皮膚白化の不連続な領域が見られるこれら動物においては、保護された外被の不連続な領域が20日齢の動物に見られることが示された。生後10日に局所的エピネフリンで治療され、次いで放射線照射された殆どのラットについて、エピネフリン治療された皮膚を覆う皮膚白化の融合領域は、第20日における保護された外被の融合領域に関連していた。照射前に局所的媒体だけで処置された動物は、照射前に検出可能な皮膚の白化を示さず、また第20日にスコアリングしたときには完全に裸になっていた。第20日に保護されたラットの外被領域は保持されて、動物の成熟外被の中に組込まれ、これは全身照射の後に再成長された。
【0103】
実施例11
この実施例は、本発明の一実施形態に従った、動物モデルにおける化学療法に誘導された脱毛の予防を示している。
【0104】
ノルエピネフリンまたはエピネフリンのような血管収縮剤の局所塗布は、ヒトまたはラットの皮膚において白化を誘導する(例えば、
図7のパネルA参照)。複数回の塗布は、自然に消失する前に、2〜3時間以上持続する皮膚の白化を誘導することができる。収縮したときに、真皮脈管構造および表皮におけるその従属幹細胞、毛髪濾胞等への血流は大きく減少する。
【0105】
図7のパネルBに示すように、サイトキサンのような化学療法剤の静脈注入の後に、該薬物は経時的に、血液血漿から系統的にクリアされる。サイトキサンのクリアランス半減期は約1時間である(パネルB)。
【0106】
パネルCは、エピネフリンのような局所的血管収縮剤が皮膚に塗布されたときに、皮膚は迅速に白化することを示している。この皮膚の白化応答は、皮膚への血流送達の減少に一致している。局所的血管収縮剤が、15〜20分の「頭部スタート」で頭皮のような皮膚に塗布されれば(
図7のパネルCにおける**記号を参照のこと)、サイトキサンのような化学療法剤の全身血液レベルはそれらの最高レベル(例えば0〜2時間)にあるのに対して、皮膚およびその幹細胞への血液送達は減少するであろう。
【0107】
添付の実施例において、我々は、サイトキサン投与量における30%程度の減少でも、ラットの外被の実際的に完全な保持をもたらし、またサイトキサン投与量における20%程度の減少がヒト癌患者における頭皮毛髪の「美容的に許容可能な」維持を可能にできるであろうことを示す。
【0108】
パネルDについては、10日齢の子ラットが、1回の副腔内投与量のサイトキサン(30μg/g体重)を受ける前に2時間、局所的な950mMのエピネフリンで4回処置された。局所的エピネフリンで処置された領域は、第20日に保護された外被を含んでいたのに対して、局所媒体単独で処置された領域は保護された外被を含んでいなかった。エピネフリン処置された10日齢のラットに見られる部分的な外被保護は、より年齢の高いラット(またはヒト)に比較して、10日齢のラットの皮膚に見られる血管収縮剤に対する低下した応答(および比較的短時間維持される中程度の皮膚白化)と一致している(パネルE)。
【0109】
実施例12
この実施例は、サイトキサンに誘導された脱毛を予防するために、毛髪濾胞含有皮膚への血流の減少パーセントを定義するのを補助する。
【0110】
10日齢のスプラグ・ドーリーラット(処置群当り4匹の動物)に、水に溶解したサイトキサン(シクロホスファミド;シグマ社#C0768)の腹腔内注射を、指示された投与量で与えた。生後20日に、各動物の背側の外被密度が、未処理の20日齢ラットの正常な外被密度のパーセンテージとして肉眼でスコアリングされた。この結果が
図8に示されている。30μg/gm体重のサイトキサンおよび更に高い投与量において、ラットは第20日にはヌードであった;20μg/gmタイ中のサイトキサンおよび更に低い投与量において、ラットは完全な外被を有しており、これは成体まで安定に維持された。
【0111】
Davis,S.T.等(Science 291:134-137, 2001)は、癌化学療法に起因して50%以下の毛髪密度が失われる可能性があり、癌患者はこれを未だ美容的に許容可能と判断し得ることを示した。この所見は、
図8のデータを考慮すると、毛髪濾胞幹細胞に送達される血液で運ばれるサイトキサン投与量の20〜30%の減少が、化学療法後の美容的に許容可能な毛髪密度を生じるであろうことを意味している。
【0112】
実施例13
この実施例は、ノルエピネフリンまたはエピネフリン処理されたラット皮膚における皮膚白化の誘導に、通常は皮膚のγ線照射に続く等級2〜4の皮膚炎に対する保護が付随することを示す。
【0113】
成体ラット(40〜45gm)を刈り込んで、背中を覆う外被を除去した。200mMのノルエピネフリンまたは100mMのエピネフリンを含有する局所薬物処方物のアリコート(100μL)を該ラットの背中に1回塗布し、その後の設定された時点において、局所処置フィールド内の矩形領域(1.5cm×3cm)が、Cs
137線源から8.8Gy線量のγ線照射を受けた。照射の直前に、前記局所治療フィールド内の皮膚白化の程度もまた肉眼でスコアリングされた(0〜100%の白化)。動物は照射の前に、30μg/gm体重のペントバルビタールナトリウムで麻酔された。照射後にラットは檻に戻され、13日後に、照射された矩形フィールド内の放射線皮膚炎の重篤度が肉眼でスコアリングされ、写真撮影された。この結果は
図9に示されている。0〜100の「放射線皮膚炎の重篤度スコア」は、照射後13日に、かさぶたで覆われる照射されたフィールドのパーセンテージを表す。8.8Gy線量のγ放射線では、媒体で処理された動物は、照射された矩形領域を覆う等級3〜等級4の皮膚炎(即ち、100%のかさぶた)を有する。「%放射線皮膚防止」スコア(
図9に示した)は、 [100−放射線皮膚炎重篤度スコア]に等しい。
【0114】
エタノール:PG:水の送達媒体中のノルエピネフリンまたはエピネフリンを単回局所塗布することは、試験された最初の時点(3分)から少なくとも45分に亘る「放射線保護ウインドウ」を生じる上で非常に効果的であった。照射開始時の皮膚白化の程度と放射線保護の程度との間には、強い正の相関が存在した。8.8Gyのγ線量(1.72Gy/分)は投与するために5.1分を要し、従って、顕著な最も早い時点(例えば3分)について、照射自身の間に追加の白化が生じる可能性がある。
【0115】
実施例14
この実施例は、ノルエピネフリン処置されたラット皮膚における皮膚白化の誘導に、皮膚の6MeV電子線照射後に通常は生じる等級2の皮膚炎に対する完全な保護が伴うことを示すものである。
【0116】
成体ラット(40〜45gm)を刈り込んで、それらの背中を覆っている外被を除去した。300mMのノルエピネフリンを含有する局所薬剤処方物のアリコート(100μL)を、このラットの背中に1回塗布し、その後の設定された時点において、局所処置フィールド内の矩形領域(1.5cm×3cm)が、線型加速器から27Gy線量の6MeV電子照射を受けた。動物は、照射前に30μg/gm体重のペントバルビタールナトリウムで麻酔された。照射後にラットは檻に戻され、13日後に照射された矩形フィールド内の放射線皮膚炎の重篤度が肉眼でスコアリングされ、写真撮影された。0〜100の「放射線皮膚炎の重篤度スコア」は、照射後13日に、かさぶたで覆われる照射されたフィールドのパーセンテージを表す。
【0117】
その結果が
図10に示されている。エタノール:PG:水の送達媒体中のノルエピネフリンを単回局所塗布することは、試験された最初の時点(2分)から30分に亘る「放射線保護ウインドウ」を生じる上で非常に効果的であった。27Gyの6MeV電子線量は投与するために数分を要し、従って、顕著な最も早い時点(例えば2分)について、照射自身の間に追加の白化が生じる可能性がある。
【0118】
実施例15
この実施例は、適切な送達媒体中のエピネフリンの局所塗布が、口腔粘膜の迅速且つ完全な白化を誘導できることを示す。
【0119】
血管収縮剤の局所塗布が口腔粘膜における白化応答を誘導できるかどうかを決定するために、エピネフリンまたはフェニレフリンを含有する処方物が、シリアンゴールデンハムスターの頬袋口腔粘膜に局所的に塗布された。化学療法または放射線療法に誘導された粘膜炎の研究のためにハムスターの頬袋を使用することは、以前に報告されている(Alvarez, E., et al. Clin. Cancer Res., 9: 3454-3461, 2003)。ハムスターはペントバルビタールナトリウムで麻酔し、左側の頬袋をピンセットで裏返し、水で濯いで水滴を吸取り、ステンレス鋼クリップを使用して、直径2cmの不活性なプラスチックディスク上に固定された(
図11のパネル参照)。5:1:94[エタノール:ヒドロキシプロピルメチルセルロース:リン酸緩衝塩水(PBS)]の局所送達媒体中に10mMエピネフリンHClまたは10mMフェニレフリンHClを含有する局所製剤、または該送達媒体単独を、頬袋の表面に塗布した。デジタル画像が記録された。
【0120】
局所処置の30分後に、媒体単独での頬袋は処置前と異なるようには見えなかった(
図11、パネルAおよびB参照)。局所エピネフリンまたはフェニレフリンで処置された頬袋は白く且つ半透明になり、未処置または媒体で処置されたコントロールで見られた組織の「ピンク色」は見られなかった。他の処置群において、30分での白化の程度は、局所処方物に使用されたエピネフリンまたはフェニレフリンの濃度に依存した。同様の白化応答が、眠っているハムスターの頬内に復位された清浄化された頬袋の中にエピネフリンもしくはフェニレフリンの局所処方物を配薬し、次いで30分後に裏返して写真撮影したときに観察された。
【0121】
実施例16
この実施例は、γ放射線の増大する線量がこのハムスターモデルにおける口腔粘膜炎の増大する重篤度を生じること、適切な送達媒体中で局所的に塗布されるエピネフリンの増大する投与量が、この放射線に誘導された口腔粘膜炎を完全に防止できること、α1アドレナリン作動性受容体特異的アゴニスト、フェニレフリンの用量(10mM溶液)の頬袋への塗布は、放射線に誘導された口腔粘膜炎を完全に防止できること、および、非常に高投与量の局所的エピネフリンまたはフェニレフリンは、40Gy線量のγ放射線と組合せたときに、付随する40Gyのγ放射線を伴わないときは完全に存在しない口腔粘膜に対する重篤な毒性を生じることを示す。
【0122】
適切な送達媒体中の血管収縮剤を局所塗布することが、粘膜照射または全身的化学療法後の口腔粘膜破壊および粘膜炎を防止できるかどうかを決定するために、刊行されたハムスターモデル(Alvarez, E., et al. , Clin Cancer Res. 9:3454- 3461, 2003)が使用された。
【0123】
標準の実験において、麻酔された動物の左側頬袋がピンセットで裏返され、その内容物を洗い流し、水滴を吸取り、次いでそれをハムスター頬内のもとの部位へと反転または復位させる。該頬袋は、200〜300μLの液体を、それがハムスターの口の中に零れ落ちる前に保持する容量を有している。従って、薬物は、液体を頬袋「容器」の中に単純にピペッティングすることによって、頬袋の内側粘膜表面に「局所的に」塗布することができる。頬袋を満たし、暫く待ち、次いで照射前にそれを空にすることは、ヒトの「ブクブクして吐き出す」適用プロトコールに類似している。殆どの実験について、単純な液体処方物を使用するのではなく、1〜3%のヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)のようなゲル化剤を含有する液体が使用された。興味ある血管収縮剤を含有するこの室温での緩いゲルは、綿棒(Qチップ)を使用して頬袋の内側に塗布される。動物の体温において、それは柔らかい流動性をもった粘膜接着性の溶液になり、それが適用される全表面を効果的に被覆する。
【0124】
典型的には5〜20分の処置の後に、典型的に「充填された」頬袋がピンセットで注意深く裏返され、その内容物が吸取られ、次いで頬袋は広げられ、クリップを用いて不活性なプラスチックディスク(直径2cm、
図13のパネルB参照)を横切って広げられる。次いで、固定された頬袋の露出された「内側」表面は、綿棒を使用して、局所薬物処方物で再度コーティングされる。この固定された頬袋およびハムスターは、次いで鉛プレート(厚さ2.5cmの)の上に注意深く配置され、該プレートがCs
137照射器の内側に配置されたときに、頬袋がCs
137照射源と直接整列している小さいウインドウの上に横たわるようにされた。その中で動物が眠りながら頬袋の照射だけが行われる小さい囲いを形成するために、他の鉛プレートが使用される。
【0125】
粘膜接着性の局所送達媒体を使用することは、20分の照射時間の間、特に照射されるときに固定された頬袋の表面が垂直に載せられるので、頬袋の表面を濡れた状態で且つ薬物で被覆された状態に維持するのを補助する。
【0126】
増大する重篤度の粘膜炎が14〜30分の露出で観察された;40Gyの露出に概ね等しい24分の露出が、Alvarez等(2003)によって使用された。照射の終了時に、頬袋を水で洗浄し、水滴を吸取り、ハムスターの頬内の正常な部位に復位させた。麻酔された動物は覚醒され、16日後(Alvarez et al., 2003)に動物は再度麻酔され、頬袋が反転され、写真が撮影される。
【0127】
「粘膜炎の重篤度スコア」が、照射後の第16日に付与される。凝集スコアは紅斑(0〜5)浮腫(0〜4)、組織の硬さ(0〜4)および擬膜形成(0〜4)を組込んでいる。11〜13の範囲の粘膜炎重篤度スコアは、ヒトの等級3の粘膜炎に類似した重篤度である。11〜13のスコアにおいては、擬膜の拡散パッチ、並びに重篤な紅斑および浮腫が目視可能であり、袋も更に固くなって、プラスチックディスクを覆って広げ難くなる。
【0128】
図12は、幾つかの重要な結果を示している。i)粘膜炎重篤度スコアは、γ放射線の線量が増大すると共に増大する;ii)(−)エピネフリンの増大する投与量の粘膜表面への局所塗布はγ線に誘導された病状に対する保護を与え、400μMは完全に保護的である;iii)10mMフェニレフリン、即ちα1アドレナリン作動性受容体特異的アゴニストの粘膜表面への局所的塗布は、心臓関連の副作用もなく、完全に保護的である;iv)大過剰投与量の(−)エピネフリンまたはフェニレフリンと、24分の照射(〜40Gy)との組合せは重篤な粘膜病状を誘導する;v)放射線照射を伴わない大過剰の(−)エピネフリンまたはフェニレフリンは識別可能な粘膜病状を誘導しない。
【0129】
局所的に塗布されたフェニレフリン(10mM)、即ち、α1アドレナリン作動性受容体特異的アゴニストは心臓関連の副作用を伴わず、γ放射線に誘導された粘膜炎を完全に防止する上で効果的であった。
【0130】
実施例17
この実施例は、適切な局部送達媒体中でヒト口腔粘膜に塗布されたエピネフリンが持続的な粘膜白化を誘導でき、これは全身的化学療法および外部放射線照射療法に対する保護を提供すると期待されることを示している。
【0131】
この実験において、L(−)エピネフリン酒石酸塩が、エタノール:リン酸緩衝塩水:ヒドロキシプロピルメチルセルロース:風味剤:蔗糖の媒体中に、1mMまたは10mM濃度で溶解された。初期のエピネフリンの舌への適用では柔らかい「薬様」の味覚を有していることが示されたので、チェリー風味剤(LorAnnオイルズInc)および濃縮蔗糖溶液のアリコートが供給媒体に添加された。最初の20分間は、1mM溶液で濡らしたQチップを使用して、下唇および下唇に隣接する口腔粘膜に薬を塗った。僅かな白化応答しか見られないので、次の50分に亘って4回、10mM溶液で濡らしたQチップを使用して、下唇および口腔粘膜に薬を塗った。その結果が
図13に示されている。画像が撮影され、次いで観察された粘膜白化の程度についてスコアリングされた。10mM(−)エピネフリンの局所的治療を開始してから20分以内に、明らかな白化が見られ、図示のように、3時間までに自然に消失して正常な色の唇および粘膜を生じる前に、この白化は1.5〜2時間持続した。
【0132】
これらの結果は、血管収縮剤を局所的に塗布することができ、また化学療法剤は循環する血液血漿区画から徐々にクリアされながら、化学療法剤が負荷された血液の粘膜構造への送達を実行するために充分に長い時間に亘って、持続した白化が可能であるとの原理の証明を提供する。
【0133】
実施例18
放射線皮膚炎または放射線に誘導された脱毛の100%保護を提供するための、%血流減少の決定。
【0134】
この実施例は、ラットの刈り込まれた背中に塗布されたエタノール:PG:水供給媒体中のノルエピネフリンが、真皮脈管構造の収縮を生じることを示している。これに一致して、全身の血液に運ばれた色素分子の皮膚送達は、ノルエピネフリン処理されたラットの皮膚において顕著に低減される。ノルエピネフリン濃度(300mM)および使用される送達媒体組成物(50:30:20)は、例えば外部放射線(γ線または電子線)に対する完全な保護を与えることが示された平行実験に使用したものと同一であった。
【0135】
ノルエピネフリンの局所塗布に続く、皮膚からの全身的な色素排除:
【0136】
300mMノルエピネフリンまたは媒体単独での局所処置の10分後に、400μLの黒色色素溶液を各試験ラットの中に腹腔内瞬時投与で注入した。パッチにおける皮膚色の比色計測定が行われ、0〜30分の進行が記録された。0分の読み値と指示された時点での読み値の間の比色計単位における変化が、
図15にプロットされている。皮膚の色の比色計測定は、CR−400比色計(ミノルタ社)を使用して行われた。
【0137】
比色計の読み値は、全身的な血液に運ばれた色素分子の送達が、30分の時点において、ノルエピネフリン処置された皮膚で39%低下されることを示した。この同じ結果が、2匹の追加の処理されたラットを用いて得られた。色素排除フェノタイプの開始および持続(
図14)は、0分において、エタノール:PG:水送達媒体中の300mMの局所的ノルエピネフリンで処理されたラットに付与される放射線皮膚炎の「保護ウインドウ」と同じであることが観察された。
【0138】
実施例19
血管収縮剤に、ケラチン化された皮膚および頭皮の皮内脈管構造への送達のための媒体をプラスした例示処方物
【0139】
ここに記載する多くの適用は、好ましくは、ヒトおよび他の哺乳動物におけるケラチン化された皮膚および頭皮の角質層表面から約1mm下にある皮内脈管構造への、血管収縮剤の送達を提供する。
図1は、毛髪濾胞の基底において「毛球ケラチン細胞」の回りに網目構造を形成する小さい血管を示している。これらの細胞は、放射線または全身的化学療法に露出された哺乳類におけるアポトーシスの主要な標的である。
【0140】
真皮血管は、血管が毛球ケラチン細胞に密接に結合している真皮乳頭において、毛髪濾胞細胞に栄養を提供する。
【0141】
局所的に塗布された血管収縮剤の真皮脈管構造への好ましい送達は、下記のことを必要とする:
【0142】
i) 皮膚標的領域、例えば脱毛防止であれば頭皮表面、或いは放射線療法患者における放射線皮膚炎を防止するのであれば上部胸部および腋窩を覆う、薬物含有溶液の均一な広がり;
【0143】
ii) 真皮中への直接の拡散、並びに皮脂線によって毛髪濾胞チャンネルの中に押出される油性の皮脂を通る拡散を可能にするための、油性角質層の浸透、
【0144】
「経濾胞」送達において、送達媒体は、好ましくは皮脂の軟化および/または溶解、並びに薬物含有媒体の毛球への拡散、および毛球細胞を貫通しその回りを通って真皮乳頭内の脈管構造に到達する拡散を可能にする。
【0145】
エピネフリン水溶液のヒト皮膚への直接の塗布は、「玉を形成し(beading up)」、且つ皮膚を転がり落ちる溶液をもたらす。実施例1は、これに一致して、処置された皮膚の検出可能な白化が存在しないことを示している。
図2は、蛍光色素であるナイル赤[MW:320、比較のためにエピネフリン酒石酸塩(FW:337))がエタノール媒体中に溶解され、次いで30分においてラットの皮膚に局所的に塗布されたときに、上皮およびその上にある角質層の両者に色素分子が負荷されることを示している。規則的に離間した毛髪濾胞の各々もまた染色され、且つ濾胞直径に関係なく等しく染色されるが、これは色素が毛髪濾胞構造の全ての側面を通して全体に等しく分布することを示している。
図2の左右両方のパネルにおいて、真皮内の蛍光バックグラウンドは、組織切片の外側でよりも顕著に高く、この色素が低濃度でも真皮結合組織の全体に拡散したことを示唆している。
【0146】
エピネフリン、フェニレフリンおよびノルエピネフリンの局所的送達を用いたここでの初期の仕事は、一部は、Tata等の仕事(Relative Influence of Ethanol and Propylene Glycol Cosolvents on Deposition of Minoxidil into the Skin. J. Pharm. ScL, 83: 1508-1510, 1994)によってガイドされた。彼等は、エタノール:PGの二成分系局所送達媒体における変化によって、ミノキシジルの経皮的送達を立証した。ノルエピネフリンおよび関連のカテコールアミンは一級もしくは二級アミンであるから、ここでは、特に未破壊のラットもしくはヒトの皮膚における薬物の効能を与えることが分っている濃度で、カテコールアミンの溶解を可能にする局所送達媒体のために、第三の水性成分が必要とされることが発見された。これらカテコールアミンを含有する現在の医薬処方物が存在するが、各場合に、当該処方物(薬物脳井戸および送達媒体の両方)は、ここに教示される方法を実施するために機能的でなく、またヒトの皮膚に局所的に塗布されたときに如何にして効能を達成するかについて有用でも有益でもない。
【0147】
従って、脱毛または放射線皮膚炎を防止するために、ヒト癌患者において鱗片状(ケラチン化された)皮膚に塗布するための局所的血管収縮剤の有用な処方物の必要性が、我々を、好ましい処方物の開発に適用される幾つかの基準の同定に導いた。これらの基準には下記のものが含まれる:
【0148】
i) 局所薬物処方物の迅速な吸収、好ましくは皮膚上に望ましくない残渣を伴わない;
【0149】
ii) 局所的薬物塗布に続く皮膚白化の迅速な開始;
【0150】
iii) 正常な皮膚のpHに概ね等しいpHをもった局所的に適用される薬物溶液;
【0151】
iv) 好ましくは、室温または冷蔵庫温度の両方において長期保存の際に活性剤の実質的な沈殿を伴わない、高濃度のカテコールアミンの溶解を可能にする溶媒特性;
【0152】
v) 望ましい濡れ特性、例えば、薬物溶液を皮膚または頭皮に塗布するために使用されるスポンジアプリケータを自然に濡らすために充分に低い処方物密度(または粘度);
【0153】
vi) 抹消脈管構造の収縮を可能にするための強力なα1アドレナリン作動性受容体アゴニストであるが、β2アゴニストに付随する何等かの可能な心臓の頻脈/不整脈副作用を回避するためにβ2アドレナリン作動性受容体アゴニストではない血管収縮剤。
【0154】
ここに開示したように、上記の各々の要件は成功裏に対処されている。
【0155】
i) 実施例7および
図3に記載された実験は、46の処方物におけるノルエピネフリン酒石酸塩の600mM溶液の調製および分析を含んでいた。ここで、三つの溶媒(エタノール、PGおよび水)のパーセンテージは系統的に変化された。ノルエピネフリンの持続的溶解性、並びに46の処方物のうちで三つの薬理学的特性がスコアリングされた。詳細に研究された三つの処方物、A(50:30:20;エタノール:PG:水;vol:vol:vol)、B(60:15:25)、およびC(70:0:30)のうち、AおよびBは、薬物塗布の1時間後に検出された望ましくない「粘着性」の残渣が、局所処置部位に残した。70%エタノールおよび30%水で構成される処方物Cは、検出可能な残渣を伴うことなく、塗布の数分以内に完全に吸収された。
【0156】
ノルエピネフリンは強力な薬理学的に活性な物質であり、規制のための毒物として掲載されている。放射線療法の患者は、例えば週当り5回で6週間の治療を受ける。安全性の理由、並びに患者のための単純な利便性の理由で、局所的に塗布される薬物は迅速に吸収されるべきである。これにより、皮膚に薬物残渣を伴わずに、或いは、不当な安全性の危険、例えば小さい子供が持ったときに接触し得る衣類上での蓄積を伴わずに、処置された皮膚部位(例えば乳癌患者の型および腋窩)に衣類を毎日戻すことが可能になる。
【0157】
ii) 実施例7、並びに
図4および
図5は、ヒトボランティアの胸部および上腕部の皮膚における皮膚白化応答の応答時間を記載している。線型加速器の多額の費用のため、並びに再スケジュールのオプションがなく特定の日に処置されなければならない多くの患者のために、ヒト放射線療法の患者についての照射スケジュールは緻密にコントロールされる。こうして、所定の患者は1回の外来当り15分〜20分間クリニックに居ることになり、照射(たとえば2Gy/日)には1〜3分だけを要するであろう。局所的に塗布された血管収縮剤処方物には、放射線施設内での実際的でない遅延を生じることなく、患者が放射線保護を期待して照射を受けることができるように迅速に皮膚の白化応答を開始することが必要とされる。照射のラットモデルを使用した実施例13および実施例14は、白化ウインドウが放射線保護ウインドウを充分に予測することを示した。更に、実施例13に見られるように、スコアリングの制限内において、放射線保護は白化応答に僅かに先行する。70:0:30の送達媒体中に600mMのノルエピネフリンを有する実施例7の処方物Cは、上腕部位においてさえ迅速に白化応答を誘導した。上腕部は、試験された他の腕、胸または首の部位に比較して、重度にケラチン化されて
いるので比較的遅いように思える。
【0158】
iii) 皮膚の正常なpHは4〜5.5にあり、皮膚の大きなアルカリ性は、P.acnesのような皮膚病原体の増殖を支える大きな能力と関連している。70%エタノール:30%水の媒体処方物に溶解されたノルエピネフリン酒石酸塩の600mM溶液(例えば処方物C)の、未調節のpHは4.1である。酒石酸上の両方のイオン性プロトンのpKaは、温和な酸性の水−エタノール溶液を生じ、該溶液は皮膚と高度に適合性であり、複数回の塗布後にも認識可能な刺激を伴わない。
【0159】
iv) 好ましくは、医薬処方物は、製品の保存寿命の間は当該処方物の各要素が可溶性のまま残るように設計される。実施例7および
図3のデータは、エタノール:PG:水の3成分媒体中における600mMのノルエピネフリン酒石酸塩の持続的な可溶性が、完全に直感的ではないことを示している。溶解度の「島」が、50:30:20処方物の回りに見られる。ノルエピネフリン酒石酸塩は、エタノール:水の単独溶液中で安定に可溶性であることが、或る程度非予測的に見出された。処方物C(70:0:30)は、望ましい白化応答を誘導するための許容可能な活性を有する濃度の、ノルエピネフリン酒石酸塩(600mM)の安定な溶液を提供した。α1アドレナリン作動性受容体特異的アゴニストであるフェニレフリンHClは、実施例6に示した様に、許容可能な白化応答を誘導するために必要な濃度では局所的媒体中で安定に可溶性ではないので、ケラチン化した皮膚に対する局所塗布のための血管収縮剤としては好ましくない。
【0160】
v) 濡れ性は、ここに記載するタイプの局所処方物のための有用な性質である。処方物C70:0:30のノルエピネフリン酒石酸塩溶液の密度(0.931gm/リットル)は、水の密度よりも顕著に低い。処方物Cの50μLのアリコートが商業的に入手可能なスポンジアプリケータの表面に供給されたときに、該液体は該スポンジを自然に濡らす。癌患者においては、脱毛を防止するために、局所的ノルエピネフリン処方物が、例えば目の中に垂れること等を伴わずに、頭皮および眉のような所望の部位に塗布されることが重要であろう。従って、標的部位に液体の薄膜を塗布するために使用できるスポンジアプリケータは、非常に有用であろう。これらスポンジアプリケータの幾つかは重力によって充填され、ここでは破られた保存瓶からの液体がスポンジの頂部へと流れ、次いで該スポンジの底部が、この溶液を皮膚に塗布するために使用される。従って、頭皮または他のケラチン化された皮膚への薬物塗布を可能にするために、薬物処方物がアプリケータ(例えばスポンジ)を自然に濡らすことができることは非常に有用で且つ極めて好ましい。
【0161】
vi) 真皮脈管構造の収縮を誘導するために、ここで使用するために局所的に塗布された血管収縮剤分子は、好ましくは、真皮血管壁内の平滑筋細胞の原形質膜に存在するα1アドレナリン作動性受容体のアゴニストである。しかし、当該薬物のリスクプロファイル、スピード規制認可、蓄積医師製品承認(garner physician product acceptance)を改善するために極めて好ましい第二の要件は、当該分子がβ2アドレナリン作動性受容体のアゴニストでないことである。β2アドレナリン作動性受容体は、エピネフリンの全身注射または心臓内注射に通常伴われる頻脈および/または不整脈の効果を媒介する。
【0162】
フェニレフリンおよびメトキサミンは、おそらく論理的選択であるが、実施例6におけるフェニレフリン(および別途メトキサミン)に見られるように、それは未破壊のヒト皮膚に適用されたときに充分に皮膚の白化を誘導する能力を欠いている。口腔粘膜および他の粘膜表面は未破壊の皮膚よりも約4000倍以上吸収性であるから、フェニレフリンはやはり、粘膜白化を誘導し、粘膜に対して白化フェノタイプに関連した放射線保護および化学療法保護を与える活性剤としての優れた選択肢のまま残されることに留意すべきである。
【0163】
下記の表19−1から分るように、ケラチン化された皮膚に塗布する血管収縮剤のための許容可能な溶液は、ノルエピネフリンである。α1アドレナリン作動性受容体についてのその結合親和性(効力)は、エピネフリンについてのそれよりも僅かに良好である。また、それはβ2受容体のアゴニストではなく、従って頻脈/不整脈の作用を与えることははできない。
【表9】
【0164】
ノルエピネフリンは、β1アドレナリン作動性受容体アゴニストであり、従って、血中の薬理学的濃度において血圧を増大できるであろう。本発明を如何なる特定の動作モードにも限定するものではないが、血管収縮剤として皮膚に局所的に塗布され、拡散によって真皮脈管構造に送達されるノルエピネフリンは、その分布において自己制限的であると思われる。局所的ノルエピネフリン塗布の自己性限的性質に加えて、ノルエピネフリンを含むカテコールアミンを異化する二つの非常に効率的な酵素、即ち、組織、血液および血球の両方に広く分布したCOMT(カテコールO−メチルトランスフェラーゼ)およびMAO(モノアミンオキシダーゼ)が存在する。従って、処方物Cは、70:0:30の送達媒体中の600mMノルエピネフリンを提供し、この基準を満たしている。
【0165】
顕著には、長期の継続的且つ徹底したスクリーニングの後に、上記に列記した基準i)〜vi)の各々を満たす許容可能な処方物が同定された。EtOHおよび水を70:30の比率で含有する送達媒体が効果的であった。ノルエピネフリンを約450mM〜約750mMで含有する組成物もまた有効であった。好ましい処方物は、500〜700mMのノルエピネフリンを含有する。更に好ましいのは、約550〜650mMのノルエピネフリンを含有する処方物である。現在の好ましい実施例においては、70%エタノールプラス30%の水中に溶解された600mMのノルエピネフリン酒石酸塩が上記基準を満たし、ケラチン化された皮膚または頭皮組織の皮内脈管構造へと血管収縮剤を送達することが見出された。
【0166】
当業者は、ここに提供された実施例および説明が、未だ添付の特許請求の範囲内にあるが変化および適合されることができる、本発明の側面を更に記述するために役立つことを理解するであろう。
【0167】
本発明のまた別の態様は、以下のとおりであってもよい。
〔1〕化学療法剤、放射線療法、またはそれらの組合せで治療された、または治療されるべき患者において、脱毛症、皮膚炎、粘膜炎、胃腸障害または直腸炎の少なくとも一つの症状を低減するための方法であって、前記患者に対して、医薬的に許容可能な送達媒体中に血管収縮剤を含有する製剤を、前記少なくとも一つの症状を低減するために有効な量で局所的に投与することを含んでなる方法。
〔2〕前記〔1〕に記載の方法であって、前記症状が、皮膚、頭皮、口、直腸、鼻腔食道系、胃腸系、または泌尿生殖器系の1以上の非癌性細胞において低減される方法。
〔3〕前記〔1〕に記載の方法であって、前記血管収縮剤が、望ましくない心臓副作用の実質的な危険を最小化するように選択される方法。
〔4〕前記〔3〕に記載の方法であって、前記血管収縮剤が、α1アドレナリン作動性受容体のアゴニストである方法。
〔5〕前記〔1〕に記載の方法であって、前記血管収縮剤が、5−HT
1B/1D受容体のアゴニストである方法。
〔6〕前記〔1〕に記載の方法であって、前記投与ステップが予防的に行われる方法。
〔7〕前記〔6〕に記載の方法であって、前記症状が胃腸障害であり、前記製剤は食道、胃、または腸内の細胞への血管収縮剤の送達を可能にする方法。
〔8〕前記〔6〕に記載の方法であって、前記症状が直腸炎であり、前記製剤は直腸内の細胞に血管収縮剤を送達するための局所的送達媒体の中に血管収縮剤を含んでなる方法。
〔9〕前記〔8〕に記載の方法であって、前記製剤は、ゲル、粘膜接着性コーティング、座薬、またはフォーム製剤を含んでなる方法。
〔10〕前記〔8〕に記載の方法であって、前記療法は放射線療法であり、前記方法は更に、前記放射線療法の後に、直腸内の細胞へと血管収縮剤を送達するための医薬的に許容可能な送達媒体の中にアルファアドレナリン作動性受容体アンタゴニストを含有する有効量の製剤を投与することを含んでなる方法
〔11〕前記〔10〕に記載の方法であって、前記医薬的に許容可能な送達媒体は、湿潤性または潤滑性の局所的送達媒体である方法。
〔12〕前記〔6〕に記載の方法であって、前記症状は皮膚炎であり、また前記製剤は血管収縮剤を皮膚内の細胞に送達するための局所送達媒体中に血管収縮剤を含んでなる方法。
〔13〕前記〔6〕に記載の方法であって、前記症状は口腔粘膜炎であり、前記製剤は血管収縮剤を口腔粘膜内の細胞に送達するための局所送達媒体中に血管収縮剤を含んでなる方法。
〔14〕前記〔13〕に記載の方法であって、前記血管収縮剤は、α1アドレナリン作動性受容体特異的な血管収縮剤である方法。
〔15〕前記〔13〕に記載の方法であって、更に、前記療法の後に、血管収縮剤を口腔粘膜内の細胞に送達するための医薬に許容可能な送達媒体中にαアドレナリン作動性受容体アンタゴニストを含有する有効量の製剤を投与することを含んでなる方法。
〔16〕前記〔13〕に記載の方法であって、前記製剤は、ゲルまたは粘膜接着性コーティングを含んでなる方法。
〔17〕前記〔1〕に記載の方法であって、前記血管収縮剤は、エピネフリン、フェニレフリン、メトキサミン、ノルエピネフリン、ゾルミトリプタン、テトラヒドロザリン、ナファゾリン、またはこれらの何れかの組み合わせの1以上である方法。
〔18〕前記〔4〕に記載の方法であって、前記血管収縮剤は、エピネフリン、フェニレフリン、メトキサミン、ノルエピネフリン、テトラヒドロザリン、ナファゾリン、またはこれらの何れかの組み合わせである方法。
〔19〕前記〔5〕に記載の方法であって、前記血管収縮剤は、ゾルミトリプタン、オキシデスミトリプタン、アビトリプタン、リザトリプタン、アルモトリプタン、フロバトリウタン、またはそれらの何れかの組合せである方法。
〔20〕前記〔10〕に記載の方法であって、前記αアドレナリン作動性受容体アンタゴニストは、プラゾシン、ドキサゾシン、テラゾシン、アルフゾシン、タムスロシン、またはこれらの何れかの組合せである方法。
〔21〕前記〔15〕に記載の方法であって、前記αアドレナリン作動性受容体アンタゴニストは、プラゾシン、ドキサゾシン、テラゾシン、アルフゾシン、タムスロシン、またはこれらの何れかの組合せである方法。
〔22〕少なくとも一つの血管収縮剤と、癌患者における経口での嗜好性を改善するための少なくとも一つの添加剤とを、口腔粘膜に供給する脈管構造へと血管収縮剤を送達するために適した医薬的に許容可能な送達媒体の中に含有してなる医薬製剤。
〔23〕前記〔22〕に記載の医薬製剤であって、前記血管収縮剤が、エピネフリン、フェニレフリン、メトキサミン、ノルエピネフリン、カポテン、エナラプリル、リシノプリル、ゾルミトリプタン、テトラヒドロザリン、プロカインイミド、酸化窒素、またはこれらの何れかの組み合わせである製剤。
〔24〕前記〔23〕に記載の医薬製剤であって、エピネフリンを含有する製剤。
〔25〕前記〔24〕に記載の医薬製剤であって、前記エピネフリンの濃度が約0.009%〜約11%である製剤。
〔26〕前記〔22〕に記載の医薬製剤であって、フェニレフリンを含有する製剤。
〔27〕前記〔26〕に記載の医薬製剤であって、前記フェニレフリンの濃度が約0.03%〜約25%である製剤。
〔28〕前記〔22〕に記載の医薬製剤であって、メトキサミンを含有する製剤。
〔29〕前記〔28〕に記載の医薬製剤であって、前記メトキサミンの濃度が約0.01%〜約25%である製剤。
〔30〕前記〔22〕に記載の医薬製剤であって、更に、遊離ラジカルスカベンジャーを含有してなる製剤。
〔31〕前記〔22〕に記載の医薬製剤であって、前記医薬的に許容可能な送達媒体は、リポソーム、リピド液滴エマルジョン、油、ポリオキシエチレンエーテルの水性エマルジョン、水性アルコール混合物、プロピレングリコールを含有する水性エタノール混合物、水性緩衝液中の医薬的に許容可能なガム、水性緩衝液中の修飾セルロース、アルコール−水緩衝混合物中の修飾セルロース、アルコール−水緩衝液−プロピレングリコール混合物中の修飾セルロース、または水性緩衝液中のジエチレングリコールモノエチルエーテルの1以上を含んでなる製剤。
〔32〕血管収縮剤を患者の扁平上皮細胞に送達する方法であって、前記患者に対して、医薬的に許容可能な送達媒体中に血管収縮剤を含有する組成物を局所的に投与するステップを含んでなり、前記媒体は、前記扁平上皮に対する血管収縮剤の浸透を可能にするように特に処方される方法。
〔33〕前記〔32〕に記載の方法であって、前記組成物は、上皮および毛髪濾胞幹細胞に役立つ下地をなす真皮の脈管構造に、前記血管収縮剤を送達する方法。
〔34〕前記〔32〕に記載の方法であって、前記媒体は、角質層または毛髪濾胞皮脂残渣の浸透を可能にする方法。
〔35〕前記〔30〕に記載の方法であって、前記送達媒体はエタノールおよび水を含有し、前記血管収縮剤はノルエピネフリンを含有する方法。
〔36〕前記〔35〕に記載の方法であって、前記エタノールおよび水は70:30の比率で存在する方法。
〔37〕前記〔36〕に記載の方法であって、ノルエピネフリンは、約450〜750mMの濃度で存在する方法。
〔38〕局所的血管収縮剤処方物であって、血管収縮剤および医薬的に許容可能な送達媒体を含有してなり、前記血管収縮剤は、α1アドレナリン作動性受容体のアゴニストであるが、β2アドレナリン作動性受容体のアゴニストではなく、前記送達媒体はエタノールおよび水を70:30の比率で含有してなる処方物。
〔39〕前記〔38〕に記載の処方物であって、前記血管収縮剤がノルエピネフリンである処方物。
〔40〕前記〔39〕に記載の処方物であって、前記皮膚上に粘着性残差を残さない処方物。
〔41〕前記〔39〕に記載の処方物であって、前記ノルエピネフリンが約450〜750mMの濃度で存在する処方物。
〔42〕前記〔39〕に記載の処方物であって、約600mMのノルエピネフリンを含有する処方物。