【実施例】
【0083】
以下の非限定実施例は本明細書に記載の態様を示すものである。
【0084】
(実施例1)
がん悪液質モデル
C-26モデル
一態様において、腫瘍を、C-26細胞(0.1mL中0.5×106細胞)をオスのCD2F1マウス(生後約6週間、Harlan Laboratories社、インディアナ州インディアナポリス)の右脇腹に皮下注入することにより設けた(11)。非悪液質対照となる腫瘍なしマウスと同様に、腫瘍ありマウスを無作為にグループに分け、AR-42(50mg/kg、胃管栄養法による経口投与、一日おき、Arno Therapeutics社、ニュージャージー州フレミントン)、または、媒体(滅菌水に溶解した0.5%メチルセルロース(w/v)および0.1%Tween-80(v/v))のいずれかでの処置を、細胞注入後6日目に開始した。遅延処置の効果を調べるため、薬物および/または媒体での処置をがん細胞注入後6日目、10日目、および12日目に開始した。
【0085】
別の態様では、AR-42の効果を他のHDAC阻害剤と比較した。この態様では、C-26腫瘍ありマウスの追加グループをボリノスタット(50 mg/kg、経口投与、毎日1回)とロミデプシン(0.6 mg/kg、腹腔内投与、週2回)で処置した(ChemieTek社(インディアナ州インディアナポリス))。
【0086】
LLCモデル
別の態様では、皮下腫瘍を、0.5×106LLC細胞を右脇腹に注入することによりオスのC57BL/6マウス(生後約6週間、Harlan社)に設けた。AR-42および媒体での処置をC-26モデルについて行い、該処置は細胞注入後6日目に開始した。両モデルにおいて、体重および摂餌量を毎日監視し、腫瘍のサイズを2日ごと以上の頻度で測定した。マウスは殺処分する前の2時間は絶食させ、殺処分時に後肢筋、心臓、脾臓、精巣上体脂肪、および血液を回収し、固形組織の重量を測定した。筋試料は、液体窒素で冷却した2-メチルブタンで凍らせ、それから分析まで-80℃で保管した。
【0087】
(実施例2)
握力測定
マウスの前肢の握力を、デジタル握力メータ(Digital Grip Strength Meter)(Columbus Instruments社、オハイオ州コロンバス)を用いて測定した。各マウスから5個の測定値をとり、その平均を該マウスの握力とした。
【0088】
筋線維サイズの形態学的分析
10mMのセクションを凍結した骨格筋試料よりcryostat(Leica社)を用いて切り取り、その後、H&Eで染色した。画像を、オリンパスBX51顕微鏡(Olympus America社)を用いて撮り、筋線維の断面積をオリンパスCellSens 1.11ソフトウェアを用いて求めた。測定値は、各グループの5匹のマウスそれぞれの筋の、5つの異なるセクションより得た。
【0089】
(
RNA分離、qRT-PCRおよびRNA-seq分析)
全RNAを均質化腓腹筋(n = 3/群)よりTRIzol(登録商標)reagent(Life Technologies社、カリフォルニア州カールスバッド)を用いて分離し、その後RNAeasy Mini Kit(Qiagen社、カリフォルニア州バレンシア)を用いて精製した。qRT-PCRを、上述のように、iQ SYBR(登録商標)Green Supermix付きBio-Rad CFX96リアルタイムPCR解析システム(Bio-Rad社、カリフォルニア州ハーキュリーズ)を用いることで行った(42)。プライマーシーケンスを
図8に列記する。RNA-seqライブラリの生成とデータ分析を、オハイオ州立大学総合がんセンター(The Ohio State University Comprehensive Cancer Center、OSUCCC)Nucleic Acid Shared Resourceで行った。
【0090】
メタボロームファイリングおよびサイトカインプロファイリング
腓腹筋および血清を、細胞注入後17日目に各処置グループ(n = 8/群)より回収した。筋は、270個の代謝中間体を専用の質量分析プラットフォームによりメタボローム解析するため、Metabolon社(ノースカロライナ州ダーラム)に提出した。血清は、32個のサイトカインをマウスサイトカインアレイ(mouse cytokine array)(32-plexパネル)を用いて分析するため、Eve Technologies社(カナダ国アルバータ州)に提出した。
【0091】
統計分析
データ分析を、SAS 9.3ソフトウェア(SAS社、ノースカロライナ州ケーリー)を用いて行った。複数の測定を行った実験については、データを混合効果モデルにより分析し、各対象に観測依存性を組み込んだ。独立群を含む他の実験については、データをANOVAにより分析した。時間事象実験(
図2B)では、生存期間関数における違いをログランク検定により比較した。多重性をホルムの方法により調整し、全体のファミリーワイズエラー率を0.05に制御した。RNA-seqデータをIngenuity Pathway Analysis(IPA)ソフトウェア(Ingenuity Systems社、カリフォルニア州レッドウッドシティ)を用いて分析した。>4倍変化およびP<0.05の遺伝子のみ経路解析(pathway analysis)用に選択した。
【0092】
(実施例3)
AR-42はC-26結腸がんモデルにおけるがん悪液質を抑制する
一態様において、マウスは、C-26細胞を注入し触診できる腫瘍が形成された6日後より、胃管栄養法により、一日おきに、AR-42(50mg/kg)または媒体で経口処置した。媒体群は、体重の大幅な減少が12日目に始まったが、AR-42処置マウスは腫瘍なし対照と同等のレベルで体重を維持した(
図1A、左)。研究終点(15日目)までに、腫瘍の質量を差し引いた後の体重減少の大きさ(体積1cm
3= 質量1グラム)は、媒体処置群で>20%、AR-42処置マウスで6%に達した(中)。この効果が腫瘍量の減少に起因するはずはない。これは、一日の平均摂餌量はAR-42処置群と媒体処置群で同等かつ腫瘍なしマウスの一日の平均摂餌量未満であったことから(
図1C)、AR-42は、媒体(右)または摂餌量増と相関して腫瘍成長を変えることはなかったためである。AR-42処置マウスはその大きな腫瘍量にも関わらず機敏で反応が速く、活発で、この研究の終点までに媒体処置対照で観察された猫背の姿勢および荒れた被毛は見られなかった(
図1B)。
【0093】
(実施例4)
AR-42は悪液質が誘発する委縮に対し筋を保護する
体重の維持と同じく、AR-42処置腫瘍ありマウスにおいて骨格筋量は維持された。媒体処置腫瘍あり(腫瘍あり/媒体)マウスは悪液質の兆候を示し、その腓腹筋、前脛骨筋、および大腿四頭筋の重量は、腫瘍なし対照マウスの対応する筋と比較して各々20.6%、10.5%、および18.1%減少したが、AR-42処置腫瘍ありマウス(腫瘍あり/AR-42)のそれらは各々9.6%、0.8%、および5.8%減少した(
図1D)。
【0094】
腫瘍あり/媒体マウスは、心臓、および、特に脂肪組織の質量の著しい減少(腫瘍なし対照の29.3±6.0%)など、悪液質の他の際立った特徴を示したが、これは、AR-42の処置により改善した(
図1E、上)。興味深いことに、AR-42は、腫瘍なしマウスにおいて脂肪組織の質量を約50%減少させたが、腫瘍ありマウスの脂肪組織質量の減少は腫瘍なし/AR-42マウスのそれと同等のレベルまで回復させた。二分された結果は、脂質ホメオスタシスを維持するというそれの機能を示唆する。
【0095】
別の態様では、C-26腫瘍ありマウスは、腫瘍なし対照マウスと比較し著しく肥大した脾臓を呈したが(11)、これはAR-42で改善されなかった(
図1E、下)。C-26腫瘍ありマウスにおける脾腫は、脾臓にある骨髄由来抑制細胞および他の免疫細胞の増殖に起因することから(12)、この発見は、AR-42は免疫学的機序を介してというより主に筋に作用していることを示唆する。
【0096】
筋消耗に対するAR-42の予防効果は、悪液質が誘発する骨格筋線維サイズの減少の抑止により明らかになった。腫瘍あり/媒体マウスの筋線維の平均断面積は、15日目に腫瘍なし対照と比較して48.2%の減少を示し(1297.6±638.8対2503.5±917.5μm
2)、これはAR-42により回復した(2146.3±923.4μm
2)(
図2A、左)。腫瘍あり/媒体マウスの悪液質筋における、線維サイズ分布のより小さい断面積への顕著な移行は、AR-42により食い止められた(
図2A、右)。
【0097】
AR-42はC-26腫瘍ありマウスの生存期間を延長する
AR-42の効果を、C-26腫瘍ありマウスにおいて他のHDAC阻害剤(つまり、ボリノスタットおよびロミデプシン)と比較した。腫瘍細胞注入後6日目に開始し、毎日の体重測定および腫瘍質量の減算により求める体重減少が開始時の重量の20%に達するまで、マウスを、AR-42(50mg/kg、一日おき、経口投与)、ボリノスタット[50mg/kg、一日に1回、経口(13)]、ロミデプシン[0.6mg/kg、週2回、腹腔内投与(14)]、または媒体で継続して処置した。図のように、経口AR-42はこれらのマウスを腫瘍関連消耗から守るのに効果的で、腫瘍体積が安楽死のしきい値に達した21日目の累積生存率は100%だった(
図2B)。対照的に、ボリノスタットおよびロミデプシンは、体重に対する防止効果が限定的だったか、または、目に見えるほどの防止効果を見せなかった。さらに、腫瘍あり/AR-42マウスは、腫瘍細胞注入後21日目において、媒体(15日目)、ロミデプシン(16日目)、およびヴォリノスタット(18日目)で処置したマウスとは対照的に機敏で反応が速く、活発で、健康そうに見えた(
図2C)。
【0098】
(
実施例3)
骨格筋タンパク質代謝回転の調節における異なる効果
骨格筋量は、タンパク質の合成と分解の間のバランスにより調節される。理論に縛られることなく、ボリノスタットおよびロミデプシンに対し異なるAR-42の抗悪液質効果は、タンパク質代謝回転を支配する経路を調節する機能の差に起因し得る。これは、Atrogin-1/MAFbxおよびMuRF1という、ユビキチンが媒介する骨格筋タンパク質分解に関与する、2つのE3リガーゼのmRNA発現に対するAR-42の抑制効果により立証される(15、16)(
図2D)。
【0099】
腓腹筋のqPCR分析により、悪液質筋(腫瘍あり/媒体;n = 8)において、腫瘍なし/媒体対照(n = 6)と比較し、Atrogin-1およびMuRF1のmRNAレベルが著しく増加することが明らかになった(それぞれ、29.4±3.5倍および25.8±3.9倍)。AR-42は、Atrogin-1(2.7±0.7倍)およびMuRF1(1.1±0.2倍)のmRNA発現を基礎レベルまで回復させることができた(n = 8)。ボリノスタット(n = 8)およびロミデプシン(n = 5)も悪液質筋においてこれら2つのE3リガーゼのmRNA発現を著しく減少させたが、AR-42よりも小幅だった(Atrogin-1/MuRF1:ボリノスタット、9.6±1.8/5.5±1.1倍;ロミデプシン、19.6±3.1/14.6±3.3倍)(
図2D)。
【0100】
AR-42の抗悪液質活性はC-26モデルに限定されるものではないことを確認するため、LLCモデルにおいても評価した。皮下にLLC腫瘍のあるC57BL/6マウスをAR-42で処置した(50mg/kg、経口投与、一日おき)。該処置は腫瘍細胞注入後6日目に開始し、後肢筋を殺処分時に摘出する20日目まで続けた。
図7に示すように、AR-42はLLC腫瘍ありC57Bl/6マウスを、筋量の減少から守った(腓腹筋:媒体、非悪液質対照の81.7±3.7%;AR-42、92.2±3.5%;前脛骨筋:媒体、80.3±4.0%;AR-42、93.4±3.9%;大腿四頭筋:媒体、84.4±4.6%;AR-42、93.4±4.8%;全P値<0.05、n = 8)。
【0101】
(
実施例4)
AR-42は腫瘍ありマウスの筋の代謝完全性を維持する
悪液質がある場合、骨格筋は、腫瘍/宿主に由来する炎症ストレッサーおよび神経内分泌ストレッサーに反応して複雑な代謝変化を起こす(1)。従って、当社は代謝プロファイリング分析を行い、骨格筋の代謝表現型で悪液質が誘発する、移行に対するAR-42の効果を調べた。腫瘍なしマウスおよびC-26腫瘍ありマウスを、上述のように媒体またはAr-42で処置し、腓腹筋を17日目にメタボローム解析用に回収した。4群(n = 8/群)間の筋の生化学的プロファイル比較は、骨格筋で悪液質が誘発する代謝変化を回復させるというAR-42の機能を明らかにした。これを以下のようにまとめる。
【0102】
解糖
腫瘍あり/媒体マウスの悪液質筋は、グルコースレベルと主要な糖分解中間体のレベルが、腫瘍なし対照より著しく低いことを示した(
図3A)。AR-42はこれらの代謝変化を食い止め、筋内のグルコースレベルおよび中間体レベルを腫瘍なし/媒体マウスで見られる基礎線レベルまで、または、該基礎線レベルを上回るまで回復させた。さらに、増加したグルコースは、ソルビトール−フルクトース生合成およびペントースリン酸経路に分流し、ソルビトール、フルクトース、および、ペントースリン酸経路に由来する代謝物であるリボースの生成の増加につながった。
【0103】
グリコーゲン貯蔵
腫瘍あり/媒体マウスの筋は、短鎖マルトオリゴ糖およびグルコース-1-リン酸における著しい減少を示し(
図3B)、悪液質筋におけるグリコーゲン貯蔵の枯渇を示唆した。AR-42処置は、これらのグリコーゲン代謝中間体を著しく補充した。
【0104】
遊離アミノ酸
筋消耗の特徴であるタンパク質分解の増加に合わせ、多くの遊離アミノ酸が、腫瘍あり/媒体マウスの悪液質筋において腫瘍なし/媒体マウスのそれと比較して著しく上昇し(
図4)、悪液質の表現型であることを示した。同様に、神経伝達物質として機能する、キヌレニン、N-アセチル-アスパルチル-グルタメート、及びγ-アミノブチラートなどのいくつかのアミノ酸誘導体/代謝物が上昇した。対照的に、筋から放出され肝臓の糖新生を補助するアラニンは、悪液質筋では減少した。この悪液質表現型はAR-42処置により食い止められ、筋のタンパク質分解をブロックするというその機能を示した。
【0105】
有機酸
アミノ酸代謝物である2-ヒドロキシブチレートおよびオフタルム酸は、それぞれインスリン抵抗性用バイオマーカ(17)および酸化ストレス(18)用バイオマーカである。腫瘍あり/媒体マウスの筋におけるこれら2つの有機酸の増加(
図4)は、悪液質はインスリン抵抗性と酸化ストレスを促進することを示唆し、これは次に、筋消耗を悪化させる。AR-42は2つのバイオマーカを、腫瘍なしマウスで測定されたのと同等のレベルまで劇的に減少させた。
【0106】
(
実施例5)
AR-42は、複数の悪液質促進ドライバを標的にすることによりがん悪液質を抑制する
AR-42がその抗悪液質効果を媒介する機序を明らかにするため、媒体処置の、または、AR-42処置の、腫瘍なしマウスおよびC-26腫瘍ありマウスの血清および腓腹筋を、サイトカインプロファイリング分析およびホールショットガン配列決定法(RNA-seq)でそれぞれ使用した。
【0107】
サイトカインプロファイル
調べた32個のサイトカインのうち(
図10)、2つのよく知られた悪液質ドライバであるIL-6および白血病阻止因子(LIF)(19)は、腫瘍あり/媒体マウスの血清において腫瘍なし/媒体マウスのそれと比較し著しく増加したが(IL-6;230±105対2.9±1.3pg/ml;LIF、19.7±9.3対1.7±1.5pg/ml)(
図5A、上)、他のサイトカインについて著しい差は見られなかった。AR-42は、腫瘍ありマウス(IL-6、102±38pg/ml;LIF、3.8±1.6pg/ml)において、媒体処置対照と比較しIL-6レベルおよびLIFレベルをそれぞれ56%、88%低減した。悪液質に関連したIL-6の増加を鈍くするという、AR-42の機能を鑑みて、当社は、AR-42の、IL-6受容体α鎖(IL-6Rα)の筋内mRNAレベルに対する効果を調べた。IL-6RαのmRNAは、腫瘍あり/媒体マウス(n = 9)の筋において、腫瘍なしマウス(n = 6)のそれと比較し著しく上昇した(13±1.4倍)。AR-42は、この、悪液質が誘発する増加を85%低減した(2.0±0.2倍;n = 10)(
図5、下)。これらの発見は、AR-42は、IL-6シグナル伝達をブロックすることにより筋消耗をある程度抑えることを示唆する。
【0108】
RNA-seq分析
RNA-seqデータの主成分分析により、腫瘍なし/媒体対照と比較した、腫瘍あり/媒体マウスの筋の全般的遺伝子発現パターンに対するC-26腫瘍の顕著な効果が明らかになった(
図5B、左)。AR-42は、腫瘍なしマウスの非悪液質筋における遺伝子発現パターンに対しては目に見えるほどの効果はなかったが、悪液質筋の遺伝子発現で腫瘍が誘発する移行は、腫瘍なしマウスのそれに近い状態まで食い止めた。これに従い、当社は、腫瘍あり/媒体マウスと他の3つの処置群の間で異なって発現する遺伝子を一対分析し、この結果をベン図に表した(
図5B、右)。対にした分析間で大きく重なる領域は、AR-42は、全般的遺伝子発現で腫瘍が誘発する変化をかなり回復することを示唆する。
【0109】
媒体処置腫瘍ありマウスおよびAR-42処置腫瘍ありマウスの筋における遺伝子発現の一対比較により、全部で677個の遺伝子の発現は4倍以上異なることが明らかになった(376個は上方制御され、301個は下方制御された)(
図10)。Ingenuity Pathway Analysis(IPA)を用いた、これらの遺伝子データの機能および疾病関連性についての分析は、異なって発現するこれらの遺伝子のうち66個は、委縮、収縮、発達、および筋形態、および骨格筋細胞サイズ、筋細胞死、およびタンパク質異化のカテゴリーに注釈を付けることを明らかにした(
図11)。
【0110】
これらの筋機能―および疾病関連遺伝子のうち以下の6つの遺伝子に対するAR-42の効果は、これらが示すがん誘発悪液質との関連を鑑みると注目に値する。これらには、(Forkhead box protein O1をコード化する)Foxo1(20〜23)ならびにその標的遺伝子であるTrim63(MuRF1)およびFbxo32(Atrogin-1)(24、25)と、PNPLA2[脂肪組織トリグリセリドリパーゼ(adipose triglyceride lipase、ATGL)](26、27)と、UCP3(脱共役タンパク質3)(28、29)と、Mef2c[筋原性転写因子(myogenic transcription factor)筋細胞増強因子(myocyte enhancer factor)](30)が含まれる(
図5C)。これら6つの遺伝子に関するRNA-seqデータのqRT-PCRによる検証は、4つの処置群において、相対的mRNA発現レベルについてのデータセット間に相関関係があることを示した(
図5D)。
【0111】
(
実施例6)
AR-42での遅延処理は、筋消耗を抑制するのに依然として効果的である
上述の発見は、骨格筋の代謝プロファイルおよび遺伝子発現プロファイルを回復させることによりがん関連筋消耗を抑制する際、経口AR-42が有効であることを示す。これらの実験において、処置は、消耗の明らかな兆候が見られない場合は悪液質の進行初期に開始した。AR-42処置をより遅く開始することが悪液質を依然として防ぐか否かを調べるため、AR-42でのC-26腫瘍ありマウスの処置(50mg/kg、経口投与、一日おき)を腫瘍細胞注入後6日目、10日目、および12日目に開始した。
【0112】
当社の先のデータ(
図1)と同じく、腫瘍あり/媒体マウスは17日目までに体重を19%減少させた(腫瘍を除く)。対照的に、6日目(D6)、10日目(D10)、または12日目(D12)で開始したAR-42での処置は、腫瘍成長に目に見えるほどの影響を与えることなく(
図6A、右)、重量減少をそれぞれ6%、11%、および12%に抑えた(n = 8)(
図6A、左)。さらに、AE-42処置マウスは、その媒体処置対照よりより健康であるという兆候を示した(
図6B)。AR-42のこの予防効果は腓腹筋重量の維持に反映され、前脛骨筋および大腿四頭筋の重量の維持には、より少ない程度で反映された(
図6C)。筋量に対する予防効果と同じく、握力測定は、AR-42は15日目と16日目において、全ての薬物処置群で媒体処置対照と比較し前肢の筋力維持に役立つことを示した(
図6D)。
【0113】
(
実施例7)
腫瘍あり/媒体マウスは、心臓、および、特に脂肪組織の質量の著しい減少(腫瘍なし対照の29.3±6.0%)などの、悪液質の他の際立った特徴を示したが、これは、AR-42の処置により改善した(
図1E、上)。興味深いことに、AR-42は腫瘍なしマウスにおいて脂肪組織の質量を約50%減少させたが、腫瘍ありマウスの脂肪組織質量の減少は腫瘍なし/AR-42マウスのそれと同等のレベルまで回復させた。二分された結果は、脂質ホメオスタシスを維持するというAR-42の機能を示す。
【0114】
C-26腫瘍ありマウスは、腫瘍なし対照マウスと比較し著しく肥大した脾臓を呈したが(11)、これはAR-42で改善されなかった(
図1E、下)。C-26腫瘍ありマウスにおける脾腫は、脾臓にある骨髄由来抑制細胞および他の免疫細胞の増殖に起因することから(12)、この発見は、AR-42は免疫学的機序を介してというより主に筋に作用していることを示唆する。
【0115】
筋消耗に対するAR-42の予防効果は、悪液質が誘発する骨格筋線維サイズの減少の抑止により明らかになった。腫瘍あり/媒体マウスの筋線維の平均断面積は、15日目に腫瘍なし対照と比較して48.2%の減少を示し(1297.6±638.8対2503.5±917.5μm
2)、これはAR-42により回復した(2146.3±923.4μm
2)(
図2A、左)。腫瘍あり/媒体マウスの悪液質筋における、線維サイズ分布のより小さい断面積への顕著な移行は、AR-42により食い止められた(
図2A、右)。
【0116】
(
実施例8)
骨格筋タンパク質代謝回転の調節における異なる効果
骨格筋量は、タンパク質の合成と分解の間のバランスにより調節されるため、ボリノスタットおよびロミデプシンに対するAR-42の特異的な抗悪液質効果は、タンパク質代謝回転を支配する経路を調節する機能の差に起因し得る。これは、Atrogin-1/MAFbxおよびMuRF1という、ユビキチンが媒介する骨格筋タンパク質分解に関与する2つのE3リガーゼの、mRNA発現に対するAR-42の抑制効果により立証される(15、16)(
図2D)。予想通り、腓腹筋のqPCR分析により、悪液質筋(腫瘍あり/媒体;n = 8)において、腫瘍なし/媒体対照(n = 6)と比較し、Atrogin-1およびMuRF1のmRNAレベルが著しく増加すること(それぞれ、29.4±3.5倍および25.8±3.9倍)が明らかになった。AR-42は、Atrogin-1(2.7±0.7倍)およびMuRF1(1.1±0.2倍)のmRNA発現を基礎レベルまで回復させることができた(n = 8)。ボリノスタット(n = 8)およびロミデプシン(n = 5)も、悪液質筋においてこれら2つのE3リガーゼのmRNA発現を著しく減少させたが、AR-42よりも小幅だった(Atrogin-1/MuRF1:ボリノスタット、9.6±1.8/5.5±1.1倍;ロミデプシン、19.6±3.1/14.6±3.3倍)(
図2D)。
【0117】
(
実施例9)
細胞
培養したC-26細胞およびLLC細胞を、37℃、5%CO
2の加湿インキュベータ内で、ウシ胎児血清(FBS)-追加(10%)RPMI1640培地およびDMEM培地(Invitrogen社、カリフォルニア州カールスバッド)それぞれに維持した。がん悪液質モデル用マウスに注入するため、細胞をトリプシン処理し、FBS-追加培養基においてペレット状にし、その後、5×10
6細胞/mLの濃度で無菌PBSに再懸濁することにより収集した。
【0118】
マウス
CD2F1マウスおよびC57BL/6マウスを、光周期(12時間明/12時間暗)、温度、および湿度が一定という条件下で、水と通常の食餌には自由にアクセスできるようにして集団飼育した。マウスは、経口胃管栄養法により薬物(AR-42、ボリノスタット、媒体)を投与する間、一時的に麻酔した。摂餌量は、各ケージの餌を毎日検量し、ケージにいるマウスの数で毎日の餌の減少を除算することにより推定した。腫瘍体積は、キャリパー測定により基準式(長さ×幅
2×π/6)を用いて算出した。
【0119】
握力測定
前肢の握力を測定するため、各マウスをその尾の付け根でつかみ、その前肢でプルバーをつかむまで装置の上で下降させた。マウスをその後、該マウスがバーを放すまで握力計から真っ直ぐ並行にそっと引き離し、得られる最大力を記録した。5回の測定を各マウスで行い、その平均をマウスの握力と指定した。
【0120】
RNA-seqライブラリ作成およびデータ分析パイプライン
RNAの質を、ピコRNAチップを用いてAgilent 2100 Bバイオアナライザで評価し、RNAの総投入量をAgilent社のQubit(登録商標)RNAアッセイを用いて評価した。トランスクリプトームライブラリをIllumina社のTruSeq RNA Sample Preparation Kit V2を用いて作成した。結果として生じるライブラリの量と質を、Agilent社のQubit(登録商標)DNAアッセイおよびPerkinElmer社のLabchip(登録商標)DNA GX分析をそれぞれ用いて評価した。全ライブラリを均等な割合で混ぜ合わせ、Illumina社のHiSeq 2500シーケンサで配列決定する際、約4000万個のフィルタ通過リードを生む試料のプールを生成した。Illumina社のHiSeq CASAVAパイプラインの生シーケンスデータの質を、FastQC、RNASeQC、およびRSeQCソフトウェアを用いて評価した。それに続く分析は次の通りだった。デマルチプレックスした(demultiplexed)フィルタ通過シーケンスリードをTopHat 2 (v2.0.7) RNAseqアライナを用いてGRCm38/mm10に整列させ、整列させたリードをUCSCのmm10遺伝子アノテーションにアセンブルするためにCuffLinks 2 (c2.1.1)を使用し、CuffCompareおよびCuffMergeを使用して整列させたリードをmm10遺伝子にコンパイルし、アセンブルした転写をまとめてカスタム遺伝子アノテーションにし、CuffDiffを使用して、各処置群に関連する異なる遺伝子発現を比較した。
【0121】
(
実施例10)
AR-42の抗悪液質活性はC-26モデルに特異的なものではないことを確認するため、LLCモデルにおいても評価した。皮下に11個のLLC腫瘍があるC57BL/6マウスを、AR-42で処置した(50mg/kg、経口投与、一日おき)。該処置は腫瘍細胞注入後6日目に開始し、後肢筋を殺処分時に摘出する20日目まで続けた。
【0122】
図7に示すように、AR-42はLLCマウス悪液質モデルでがんが誘発する筋消耗を防ぐ。腫瘍なしマウスと腫瘍ありマウス両方の、腓腹筋、前脛骨筋、および大腿四頭筋を含む後肢筋の質量を、媒体処置腫瘍ありマウスのそれと比較し、媒体と比較したAR-42の効果。マウスは、腫瘍細胞注入後20日目で殺処分した点を除き、
図1Aで記載したのと同じ方法で処置した。データは平均±標準偏差で示す(n = 8)(腓腹筋:媒体、非悪液質対照の81.7±3.7%;AR-42、92.2±3.5%;前脛骨筋:媒体、80.3±4.0%;AR-42、93.4±3.9%;大腿四頭筋:媒体、84.4±4.6%;AR-42、93.4±4.8%;全P値<0.05、n = 8)。
【0123】
〔参考文献〕
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