(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
該モノマーが、ステアリルアクリレート、トリメチルシクロヘキシルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、イソボルニルアクリレート、ジシクロペンタニルメタクリレートおよびジシクロペンタニルアクリレートからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1に記載の組成物。
【背景技術】
【0002】
シーラントは、隣接したエリア、領域または表面、あるいは周辺の合わせ面、境界線または界面を横切る固体、液体および/または気体を妨げるか含有するために、自動車から航空機エンジンまでの幅広い用途において使用されている。シーラントは、低粘性液体から高いチキソトロピックペーストまで多くの形態で使用でき、用途に応じて、堅いガラス質の材料からゴムのような弾力性があるネットワークまで様々な性質を有する。エラストマーは、シーリング組成物として有用なポリマー材料における重要な分類であり、本発明の中心でもある。
【0003】
反応させることで、弾性特性を示す絡み合いおよび/または化学的な架橋をもたらす化学骨格の分子量を増加させる、新たな共有結合を形成する、モノマー、オリゴマー、ポリマーおよび/または他の成分を配合するシーラントは、一般的に「硬化性」組成物と称される。反応しないが、ポリマーの熱力学的特性、ネットワークの絡み合いまたは他の分子間相互作用に基づく弾性特性を示す成分を含有するシーラントは、一般的に、「非−硬化性」配合物と称される。
【0004】
ゴム状およびエラストマー材料を記載する文献において使用される定義は、極めて酷似し、区別しないで使用されることもある。エラストマーはより一般的で、主として、材料の弾性を有する特性に関連する。ゴムは当初、天然に存在するポリイソプレンから誘導されるエラストマーとして称され、天然および合成材料のいずれも含むものに長年に亘って拡張されている。 IUPACによる化学用語集(IUPAC Compendium of Chemical Terminology),第2版(ゴールドブック)、A.D.McNaught およびA. Wilkinson、Blackwell Scientific Publications, オックスフォード(1997年)によると、ゴム状の弾性を示すポリマーとしてエラストマーは規定されている。L.H.Sperlingによる物理的ポリマーサイエンスハンドブック、John Wiley & Sins出版社、ニューヨーク、(2001年)において、エラストマーは、そのガラス転移温度(Tg)よりも高い温度で、アモルファスの架橋ポリマーとして定義されている。
【0005】
ゴム弾性に対する方程式は、ポリマーの巨視的な試料変形(鎖延長)とエラストマーの収縮応力のとの関係を表す。熱力学の第二法則から誘導される、ゴム弾性理論は、エラストマーの収縮応力が、伸張に基づくエントロピーの減少をもたらし、エンタルピーの変化を生じさせないことを提示する。ポリマー鎖が伸張されると配座の数は減少し(エントロピーは減少し)、収縮応力が増加する。Sperlingは、連続するネットワーク中に相互に結合した、その骨格に関してある程度の自由回転が可能な長鎖分子が、ゴム弾性に必要であることを記載した。
【0006】
ゴム弾性に関する状態方程式
【0007】
【数1】
式中、σは応力であり、nは、単位体積あたりの活性ネットワーク鎖の数であり、Rは理想気体定数で有り、Tは温度であり、αは鎖延長であり、および
【0008】
【数2】
は、約1に等しいフロント係数である。
【0009】
状態方程式は、エラストマーの伸張が増加するにつれ、応力の増加が観察されることを予測させる。例えば、エラストマーに張力、二軸張力または圧縮を施す場合、応力は形成された収縮性の力である。
【0010】
そのガラスの転移温度を上回る温度で動いている硬化する充填材が圧縮されるとき、ゴム弾性理論を実際に観察でき、ゴム弾性理論は、当該技術分野で既知の器具を用いて測定できる密封力を示す。硬化したシールにおけるエラストマーのガラス転移温度は、主鎖の自由回転が、分子の自由な回転、分子鎖の伸張および収縮応力をもたらすゴム状からガラス領域へのエラストマー転移として限定される、重要な境界条件を定義する。エラストマーの温度がガラスの転移温度に近づくにつれ、結果として生じる弾性収縮力はゼロに近づく。
【0011】
エラストマー性シーラントの有用性は、製品寿命を超える操作条件に曝されるときに有益な密封力を有する硬化シーラント組成物の有する性能によりもたらされる。温度は、シーラントの性能に影響を及ぼし、運用寿命における重大な影響を有する。厳しい環境条件における温度範囲は+150℃〜−65℃であり得る。比較的穏やかな適応温度は、+100℃〜−40℃であり得る。
【0012】
全体的なポリマーネットワークのうち、ガラス転移温度よりも高い温度で硬化したエラストマーシーラントの中には、密封力がほぼゼロに減少することが観察された。DSCにより測定した−61℃のTgを有する、硬化した弾性的なシーラントの1形態において、−40℃で極めて低い密封力を有する。このことは、大部分のシーリング用途で受け入れられない。
【0013】
ゴム弾性の統計熱力学から、エラストマーの変形の間に発生する力は、架橋したネットワークの末端間距離とマトリックスの温度に正比例していることが知られている。エラストマーが変形するとき、温度がTgを越える限り、収縮性の力は、ゴム状領域で変わらずポジティブであるべきである。単一のTgを有するエラストマーにおけるガラス質またはハードセグメントを変動させ、第1または第2法則の熱力学的転移を示さず、ゴム状領域内で低温での密封力を増加させることを予測する、ゴム状の弾性状態における上記方程式は存在しない。
【発明を実施するための形態】
【0021】
硬化性のエラストマーシーラント組成物は、流動性で、エラストマー特性を示す組成物から成る硬化反応生成物をもたらすために、架橋型に硬化できる。硬化性のエラストマーシーラント組成物は、架橋性のエラストマーオリゴマー;開始剤または架橋剤;ガラス質モノマーおよび/またはゴム状モノマー;および所望による1種以上の触媒;充填剤;酸化防止剤;所望による反応改良剤を含有できる。架橋性のエラストマーシーラント組成物は、ガラス質モノマーおよびゴム状モノマーのうちの少なくとも1つと、Tgを有する架橋性のエラストマーオリゴマーを反応させることにより調製できる。架橋性のエラストマーシーラント組成物は、組成物が少なくとも部分的に架橋でき硬化できる十分な時間および条件下で曝されることにより硬化できる。架橋性のエラストマーシーラント組成物の配合に応じて、適当な硬化条件は、熱への暴露および化学線などの放射を含む。
【0022】
組成物の硬化した反応生成物は、示差走査熱量計(DSC)により測定される単一のTgを有し、ガラス質および/またはゴム状モノマーを用いず調製した同予の架橋性のエラストマーオリゴマーから製造される硬化性組成物と比べて、低い温度(ただし、硬化生成物のTgよりも高い温度)にてより高いシーリング力を保持する。
【0023】
架橋性のエラストマーオリゴマー
多くのシーラント化学物質が、シーラント組成物における使用に適していると考えられる。これらの化学物質には、フルロエラストマー(fluroelastomer);EPDMおよび他の炭化水素;スチレンブロックエラストマー;C
4およびC
5モノマー、例えばイソプレンおよびイソブチレン;アクリレートおよびメタクリレート;アクリルエマルション;エチレンアクリレートエラストマー;官能化ポリアクリレート;シリル化アクリレート、シリコーン;シリル化ポリエーテル;シリル化ポリエステル;シリル化ポリアミド;ポリウレタン;シリル化ポリウレタン;プラスチゾルおよびポリ塩化ビニル;ポリスルフィドおよびポリチオエーテル;可撓性エポキシ;酢酸ビニル−エチレンラテックス;不飽和ポリエステル;ポリオレフィン、アミドおよびアセテート、例えばEVAが含まれる。非硬化性の化学物質、例えば樹脂油(例えばアマニ油)に基づくシーラントおよび歴青質シーラントも有用である。
【0024】
硬化性のエラストマーシーラント組成物は、架橋性のエラストマーオリゴマーを有利に含む。1つの好ましい実施態様において、架橋性のエラストマーオリゴマーは、テレケリックの、各末端にアクリレート部分を有するポリイソブチレンポリマー(ポリイソブチレンジアクリレートまたはPIBジアクリレート)である。
【0025】
ガラス質モノマー
硬化性のエラストマーシーラント組成物は、架橋性のエラストマーオリゴマーと反応するガラス質モノマーを含むことができる。ガラス質モノマーは、架橋性のエラストマーオリゴマーのガラス転移温度よりも高いガラス転移温度を有する。一般的に、ガラス質モノマーは20℃よりも高いガラス転移温度を有する。
【0026】
ガラス質モノマーの例には、ステアリルアクリレート(Tg35℃);トリメチルシクロヘキシルメタクリレート(Tg145℃);イソボルニルメタクリレート(Tg110℃);イソボルニルアクリレート(Tg88℃);およびFANCRYLメタクリルエステル(日立化成工業)、例えばジシクロペンタニルメタクリレート(FA−513M Tg175℃)およびジシクロペンタニルアクリレート(FA−513AS Tg140℃)が含まれる。ガラス質モノマーおよびゴム状モノマーの他の例は、明細書の後方に設けた表中に記載されている。
【0027】
ゴム状モノマー
硬化性のエラストマーシーラント組成物は、架橋性のエラストマーオリゴマーと反応するゴム状モノマーを含むことができる。ゴム状モノマーは、ガラス質モノマーのガラス転移温度よりも低いガラス転移温度を有する。一般的に、ゴム状モノマーは、20℃よりも低いガラス転移温度を有する。
【0028】
ゴム状モノマーの例には、イソオクチルアクリレート(Tg−54℃);イソデシルアクリレート(Tg−60℃);イソデシルメタクリレート(Tg−41℃);n−ラウリルメタクリレート(Tg−65℃);および1,12-ドデカンジオールジメタクリレート(Tg−37℃)が含まれる。ガラス質モノマーおよびゴム状モノマーの他の例は、明細書の後方に設けた表中に記載されている。
【0029】
開始剤または架橋剤
硬化性のエラストマーシーラント組成物は、少なくとも一部を架橋し該組成物を硬化させる開始剤または架橋剤を含むことができる。
【0030】
開始剤または架橋剤は、所望の昇温条件にてフリーラジカルを生成する成分または成分の組合せを含有する熱−硬化開始剤または開始剤系であることができる。適当な開始剤には、ペルオキシ材料、例えばペルオキシド、ヒドロペルオキシド、およびペルエステルが含まれ、それは、適当な昇温条件下で分解し、硬化性のエラストマーシーラント組成物の重合初期に効果的なペルオキシフリーラジカルを形成する。ペルオキシ材料は、所望の温度にて硬化性のエラストマーシーラント組成物の硬化を開始するのに効果的な濃度で使用でき、一般的に、組成物の約0.1重量%〜約10重量%の濃度で使用される。
【0031】
熱−硬化開始剤の別の有用な種類は、熱により分解した際にフリーラジカルが生成されるアゾニトリル化合物を含む。熱は、硬化性組成物に施され、その結果、フリーラジカルは硬化性組成物の重合を開始する。上記式の化合物は、より詳細にUS特許4416921により詳細に記載されており。その開示を参照することにより、本明細書に組み込まれる。
【0032】
上記式のアゾニトリル開始剤は商業的に入手でき、例えば、DuPont Nemours and Company社(Wilmington,ドイツ)から、VAZOの商品名で入手できる開始剤である。
【0033】
開始剤または架橋剤は光開始剤であってもよい。光開始剤は、光硬化性のエラストマーシーラント組成物が電磁放射線、例えば化学線、例えば紫外線(UV)に曝されたとき、硬化プロセスの速度を向上させる。有用な光開始剤の例には、Chiba Specialty Chemicals から商業的に入手できる商標名「IRGACURE」および「DAROCUR」の光開始剤が挙げられるが、これらに限定されない。そのような追加の光開始剤の例としては、「IRGACURE」184(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)、907(2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン)、369(2−ベンジル−2−N,N−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−1−ブタノン)、500(1−ヒドロキシシクロへキシルフェニルケトンおよびベンゾフェノンの組合せ)、651(2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン)、1700(ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル−2,4−,4−トリメチルペンチル)ホスフィンオキシドおよび2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オンの組合せ)、および819[ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド]が挙げられるが、これらに限定されない。
「DAROCUR」1173(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパン)および4265(2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニル−ホスフィンオキシドおよび2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オンの組合せ)が挙げられるが、これらに限定されない。また、可視光(例えば、青色光)に曝露することによって活性化される追加の光開始剤、例えば、dl−カンファーキノンおよび「IRGACURE」784DCも使用することができる。そのような追加の光開始剤の2つ以上の組合せも本発明の硬化性組成物で使用することができる。
【0034】
本発明において有用な他の光開始剤には、メチル、エチル、プロピル、およびブチルピルビン酸塩のようなアルキルピルビン酸塩、および、例えばフェニル、ベンジルのようなアリールピルビン酸塩、およびそれらの適切な置換誘導体が含まれる。本発明において特に適して使用される光開始剤には、紫外光開始剤、例えば、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン(例えば、「IRGACURE」651)、および2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパン(例えば、「DAROCUR」1173)、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド(例えば、「IRGACURE」819)、およびビス(2,6−ジメトキシベンゾイル−2,4,4−トリメチルペンチル)ホスフィンオキシドと2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(例えば、「IRGACURE」1700)との紫外線/可視光開始剤の組合せ、さらには、可視光開始剤ビス(η
5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス[2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)フェニル]チタニウム(例えば、「IRGACURE」784DC)が含まれる。有用な化学線放射には、紫外線、可視光線およびそれらの組合せが含まれる。
【0035】
望ましくは、光硬化性のエラストマーシーラント組成物を硬化させるのに使用される化学線は、約200nmから1,000nmの波長を有する。有用な紫外光(UV)として、UVA(約320nmから約410nm)、UVB(約290nmから約320nm)、UVC(約220nmから約290nm)およびそれらの組合せが挙げられるが、それらに限定されない。有用な可視光として、青色光、緑色光およびそれらの組合せが挙げられるが、それらに限定されない。そのような有用な可視光は、約450nmから約550nmの波長を有する。光開始剤は、化学線を望ましく暴露する時に硬化性のエラストマーシーラント組成物の硬化を開始するのに効果的な濃度で使用でき、一般的に、組成物の約0.01重量%〜約10重量%の濃度で使用される。
【0036】
触媒
硬化性のエラストマーシーラント組成物は、開始反応の速度を改良するために含むことができる。
【0037】
充填剤
硬化性のエラストマーシーラント組成物は、所望により充填剤を含むことができる。有用な充填剤には、例えば、リトポン、ケイ酸ジルコニウム、水酸化物、例えば、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化鉄等、ケイソウ土、炭酸塩、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム又は炭酸マグネシウム、酸化物、例えば亜鉛、マグネシウム、クロム、セリウム、ジルコニウムの酸化物および酸化アルミニウムが含まれる。カルシウムクレー、ヒュームドシリカ、シランまたはシラザンで表面処理されているシリカ(例えばEvonil Industriesから入手できるAEROSIL商品など)、アクリレートまたはメタクリレートで表面処理されているシリカ(例えばEvonil Industriesから入手できるAEROSIL R7200またはR711など)、沈降シリカ、未処理シリカ、グラファイト、合成繊維およびそれらの混合物が含まれる。充填剤を使用する場合、充填剤は、未硬化の組成物および硬化した反応生成物に所望の物理的特性を効果的にもたらす濃度で使用でき、一般的に、組成物の約0.1重量%〜約70重量%の濃度で使用される。
【0038】
酸化防止剤
硬化性のエラストマーシーラント組成物は、所望により酸化防止剤を含むことができる。有用な酸化防止剤には、Chiba Specialty Chemicals からIRGANOXの商品名で商業的に入手できるものが含まれる。酸化防止剤を使用する場合、硬化性組成物の約0.1〜約15重量%、例えば、約0.3〜約1重量%の量で使用される。
【0039】
反応改良剤
硬化性のエラストマーシーラント組成物は、反応改良剤を含むことができる。反応改良剤は、硬化性のエラストマーシーラント組成物の反応速度を増加または減少させる材料である。例えば、キノン(例えば、ヒドロキノン、モノメチルエーテルヒドロキノン(MEHQ)、ナフトキノンおよびアントラキノンなど)を、硬化性のエラストマーシーラント組成物でフリーラジカルを捕捉するために含むことができ、それによって、組成物の反応を遅くし、保存期間を延長する。反応改良剤を使用する場合、反応改良剤は硬化性組成物の約0.1〜約15重量%の範囲で使用できる。
【0040】
接着促進剤
硬化性のエラストマーシーラント組成物は、相溶性であり当業者に既知の1種以上の接着促進剤を含むことができる。有用な商業的に入手可能な接着促進剤の例には、オクチルトリメトキシシラン(Chemtura社から商品名A-137として入手できる)、グリシジルトリメトキシシラン(Chemtura社から商品名A-187として入手できる)、メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン(Chemtura社から商品名A−174で市販されている)、ビニルトリメトキシシラン、テトラエトキシシランおよびその部分的な縮合生成物、およびそれらの組み合わせが含まれる。接着促進剤が使用される場合、接着促進剤は硬化性組成物の約0.1〜約15重量%の範囲で使用できる。
【0041】
レオロジー改良剤
硬化性のエラストマーシーラント組成物は、未硬化の組成物のレオロジー的特性を改良するために所望によりチキソトロピック剤を所望により含むことができる。有用なチキソトロピック剤の例には、例えば、シリカ、例えば、溶融シリカおよびヒュームドシリカなどが含まれ、それらの表面の化学的性質を変えるために処理してもよく、未処理であってもよい。実質的に、強化溶融シリカ、沈降シリカ、ヒュームドシリカまたは表面処理シリカを使用できる。
【0042】
処理したヒュームドシリカの例には、ポリジメチルシロキサン処理したシリカおよびヘキサメチルジシラザン処理したシリカ、および他のシラザンまたはシラン処理シリカが含まれる。そのような処理シリカは市販品が入手でき、Cabot Corporation製で商品名CAB-O-SIL ND-TS、およびEvonik Industries製でAEROSIL R805等AEROSILの商品名のもの等がある。アクリレートまたはメタクリレートで表面処理されているシリカ、例えば、Evonik Industries製のAEROSIL R7200またはR711も有用である。
【0043】
未処理のシリカの例には、例えば、AEROSIL300、AEROSIL200およびAEROSIL130などの商業的に入手可能なアモルファスシリカが含まれる。商業的に入手可能な水和シリカには、Japan Silica Kogy社製のNIPSIL E150およびNIPSIL E200Aが含まれる。
【0044】
レオロジー改良剤を使用する場合、レオロジー改良剤は、未硬化の組成物および硬化した反応生成物に所望の物理的特性を効果的にもたらす濃度で使用でき、一般的に、組成物の約0.1重量%〜約70重量%の濃度で使用される。
【0045】
着色剤
硬化性のエラストマーシーラント組成物は、透明であってもよく、半透明であってもよい。ある用途おいては、着色した組成物は、施される組成物の検査を可能とするために有益である。着色剤は、例えば顔料または染料であってもよく、目的とする用途に対して望ましい色をもたらすことができる。着色剤の例には、二酸化チタン、C.I. Pigment Blue 28, C.I. Pigment Yellow 53、およびフタロシアニンブルーBNが含まれる。ある用途において、紫外線照射の下で適用される組成物の検査を可能とするために、蛍光染料を添加できる。着色剤は、検査を買おうとするのに十分な量で存在する。着色剤が存在する場合、約0.002重量%以上の量で望ましく添加される。最大量は、原価を考慮して選択され、および組成物の硬化を邪魔しない量で選択される。より望ましくは、染料は、組成物の総量に基づき約0.002重量%〜約1.0重量%の量で存在する。
【0046】
硬化性のエラストマーシーラント組成物は、それらが望ましい特性(例えば硬化メカニズム、伸張、低温でのシーリング力、引張強度、化学薬品耐性など)を妨げない限り、望ましい特性を提供するために、効果的な濃度で更なる添加剤を所望により含むことができる。このような所望による添加剤の例には、例えば、繊維などの強化剤、希釈剤、反応性希釈剤、着色剤および顔料、水分捕捉剤、例えば、メチルトリメトキシシランおよびビニルトリメチルオキシシラン、抑制剤などを含んでもよい。
【0047】
組成物の含有量例
硬化性のエラストマーシーラント組成物は、代表的に、以下のものを含有できる:
約50〜99重量%の架橋性のエラストマーオリゴマー;
約1〜30重量%のガラス質モノマー;
約0〜30重量%のゴム状モノマー;
約0.01〜10重量%の開始剤または架橋剤;
約0〜5重量%の触媒;
約0〜70重量%の充填剤;
約0〜15重量%の酸化防止剤;
約0〜15重量%の反応改良剤;
約0〜15重量%の接着促進剤;
約0〜70重量%のレオロジー改良剤;
約0〜1.0重量%の着色剤。
【0048】
モノマーの組合せに関する所望の平均ガラス転移温度が得られるように、ガラス質モノマーとゴム状モノマーを選択できる。モノマーの組合せに関する平均ガラス転移温度は、以下の数式により求められ、それを参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0050】
硬化シーラント反応生成物の低温シーリング力を増加するための十分なガラス質のモノマーを提供するために、架橋性のエラストマーオリゴマー対ガラス質モノマーの比率を選択しなければならない。しかし、硬化シーラント反応生成物のエラストマー特性が望ましくない影響を受ける程度まで、多くのガラス質モノマーを添加してはならない。その結果、架橋性のエラストマーオリゴマー対ガラス質モノマーの比率は、所望の特性に基づきバランスを取る必要がある。例えば、ガラス質材料と硬化したシーラント組成物が低いと所望の低温シーリング力が得られず、ガラス質材料が極めて多いと高温での硬化シーラントのシーリング能力が失われる。
【0051】
架橋性のエラストマーオリゴマー対ガラス質モノマーの比率は、使用されるオリゴマーとモノマー、シーラントの最終用途;および用途において望まれる硬化シーラント特性に依存する。架橋性のエラストマーオリゴマー対ガラス質モノマーの比率が75:25〜95:5であることは、一般的な開始点をもたらす。現在、架橋性シーラント組成物配合に関する硬化シーラント特性を予測する方法はない。低温シーリング力と高温でのシーリング特性に関する配合物の試験は、所望の特性をもたらす配合と比率を見出すことを要求する。
【0052】
未硬化のシーラント組成物に要求される特定の物性は、用途に依存する。例えば、シーラント組成物の粘度は、塗布方法および所望のサイクル時間に関して配合できる。未硬化のシーラント組成物の粘度は、25℃で10,000Cps〜1,000,000Cpsである。
【0053】
シーラント組成物の硬化反応生成物に要求される特定の物理的特性は、シーリング用途、用途内での最小および最大操作温度、高温での望ましい引張強度および低温での望ましいシーリング力に基づく。硬化した反応生成物に関する有用な物理的特性には、約20〜約90のショアA硬度、望ましくは約40〜約60のショアA硬度が含まれる。引張強度は、約100psi〜約2000psiであり、望ましくは約500psi〜約1000psiである。伸び率は、約10%〜約1000%であり、望ましくは約100%〜約500%である。低温(−40℃)でのシーリング力は、約0ニュートン〜約50ニュートンであり、望ましくは約6ニュートン〜約30ニュートンである。望ましくは、硬化反応生成物は、シールの設計された寿命までの期間を通じて、予め規定した最小限のシーリング力をそれらから製造されたシールが維持できるような、圧縮設定値を有する。
【0054】
開示された硬化性組成物により密封される部品は、第2の所定の密封表面と位置合わせした第1の所定の密封表面を有する。代表的には、合わせられる密封表面は、固定関係であってもよく、相互に極めてごく僅かに動いてもよい。合わせられる密封表面は、一般に、チャンバーを用いて流体連結される。位置合わせしたシーリング表面間で形成されるシールは、その表面と内部の間での材料の移動を妨げ、またはチャンバーからの流出を防ぐ。
【0055】
シーリング表面の一方または両方は、機械加工されるか形成される。所定のシーリング表面は、それらの間でシールを形成する部品を最初に組み立てる間に、硬化性組成物を一方または両方の表面に配置できるように設計される。所定のシーリング表面の設計は、例えば、予め規定したシーリング効果をもたらす表面配列、表面接触域、表面の表面仕上げ、表面の適合性および表面の分離などのパラメーターを向上させる。所定のシーリング表面は、シールまたはガスケットを位置合わせする初期組み立てより前に確認されなかったまたは設計されなかった表面を含まず、例えば、修理資材が成形されるか、漏出を少なくするために施される部品の外面を意味する。エンジンブロックとオイルパンまたはエンジン吸気マニホルドの上の密閉表面は、固定関係におけるシーリング表面の一例である。
【0056】
開示した硬化性組成物は、それらが合わされる場合、表面間でシールを形成する少なくとも一部のシーリング表面上に配置するために流動可能な状態であることができる。硬化性組成物はシーリング表面にフィルムとして施してもよい。硬化性組成物は、トレース、スクリーン印刷、ロボット塗布などにより精密なパターンにおけるビーズ状のものとして施すことができる。ビーズ用途において、開示された組成物は、一般的に、ノズルを介する加圧条件下で液体または半固体として部品のシーリング表面に分散される。ノズルサイズは、望ましい幅、高さ、形状および体積を有する組成物の線またはビーズをもたらすように選択される。硬化性の組成物を小さなチューブに含んでもよく、チューブをしぼることによって施すことができる。また、カートリッジに含まれて、カートリッジシーリング部材の長手方向の動きによって施すことができ、または、5ガロンの円筒型容器または55ガロンのドラムなどの大きな容器に含まれ、通常オートメーション化した塗布装置を用いて施すことができる。容器のサイズは、最終な使用用途に応じて選択できる。
【0057】
硬化性の組成物は、フォームインプレイスガスケット(FIPG)を形成するのに使用できる。この用途において、組成物は第1の所定のシーリング表面に施される。第1の所定のシーリング表面および施された組成物は、組成物が完全に硬化する前に第2の所定のシーリング表面と合わされ、密封して系合させる。組成物が硬化し、組成物は両シーリング面を接着させる。
【0058】
硬化性の組成物は、硬化インプレイスガスケット(CIPG)を形成するのに使用できる。この用途において、組成物は第1の所定のシーリング表面に施され、第2の所定のシーリング表面と接触する前に実質的に硬化させる。第1のシーリング表面と硬化した組成物を、第2のシーリング表面と密封して系合させることにより、硬化した組成物を圧縮し、シーリング表面の間にシールをもたらす。組成物は、第1シーリング表面にのみ接着する。
【0059】
硬化性の組成物は、モールドインプレイスガスケット(MIPG)を形成するのに使用できる。この用途において、第1の所定のシーリング表面を有する部品は金型内に配置される。組成物は、第1のシーリング表面と接触する金型内に施される組成物は、一般的に、金型から取り出す前に硬化させる。成形後、この第1のシーリング表面と成形した組成物を、第2の所定のシーリング表面と密封して系合させることにより容易にーリング表面にのみ接着する。
【0060】
硬化性の組成物は、液体射出成形(LIM)に使用できる。この用途において、制御された圧力および温度の下で、所定のシーリング表面を有さない金型内へ、未硬化の組成物を施す。一般的に、組成物は金型から取り出す前に硬化させる。成形した部品を取り出した後、その形状を保持する。密閉用途において、成形したガスケットは、2つの所定のシーリング表面の間に施され、圧縮され、シーリング表面の間でシールをもたらす。
【実施例】
【0061】
以下の実施例は、説明することを目的として含まれ、開示はより容易に理解され、他に具体的な記載がない限り本開示の範囲を限定することを目的としない。他に記載のない限り、以下の試験方法を、実施例における硬化試験片に用いた。
【0062】
ショアA硬度 ASTMD2240−05
引張強度 ASTMD412−98A
弾性率 ASTMD412−98A
伸び率 ASTMD412−98A
圧縮セットA ASTM D395。サンプルを、試験前に圧縮していない状態で室温まで冷却した。
圧縮セットB ASTM D395の改良。サンプルを、試験前に圧縮した状態で室温まで冷却した。
ガラス転移温度 Tg 示差走査熱量測定法(DSC)
【0063】
硬化性の、エラストマーガスケット組成物を製造した。ポリイソブチレンジアクリレート(PIBジアクリレート)は、各末端にアクリレート基を有するテレケリックポリイソブチレンポリマーであり、約1000〜約1,000,000の分子量を有し、−67℃の極めて低いガラス転移温度(Tg)を有する。PIBジアクリレートは、エラストマーガスケット組成物組成物のゴムマトリックスとして選択された。PIBジアクリレートは、種々の既知の反応スキームを用いて調製でき、それらのうちの以下に記載し、それらの内容は、それら全体を参照することにより、本明細書に組み込まれる。スキーム2の方法は、以下の組成物において使用されるPIBジアクリレートを調製するのに使用できる。
【0064】
【化1】
【0065】
20℃よりも高いTgを有する種々のアクリレートおよびメタクリレートを、ガラス質モノマーとして選択した。0℃未満のTgを有する種々のアクリレートおよびメタクリレートを、ゴム状モノマーおよび反応性希釈剤として選択した。ガラス相に対するゴム相の比率を、所望の弾性および低温でのシーリング力をもたらすように試行錯誤することで調整した。
【0066】
硬化性のガスケット組成物の調製
1)予混合調製:開始剤、酸化防止剤、反応改良剤を含む全液体を充填する。固形分が残存しなくなるまで撹拌する。
2)予混合物にエラストマーオリゴマーを充填する。均質になるまで撹拌する。
3)充填剤を添加し、均質になるまで撹拌する。
4)真空にしてサンプルを脱気する。気泡を含まない材料を貯蔵容器内に充填する。
【0067】
【表1】
【0068】
【表2】
【0069】
0よりも高いが40よりも低い圧縮セットB値は、硬化した材料が有利に低温シーリング力有することを示す。例1の高い圧縮セットB値(62)は、低温で望ましいシーリング力を維持できない可能性のある硬化材料を示す。
【0070】
【表3】
【0071】
【表4】
【0072】
【表5】
【0073】
【表6】
【0074】
【表7】
【0075】
【表8】
【0076】
例43は、UV硬化性組成物である。例43をサンプルに成形した。サンプルを約1434mw/cm
2の強度と約9872mJ/cm
2のエネルギーを有するUV A線源に曝した。組成物43の硬化したサンプルは、−40℃で8Nのシーリング力を有し、25%の圧縮率を示した。例44は、熱硬化性の組成物である。
【0077】
例24のシーリング力を、温度と圧縮率の関すとして以下の表に示す。例24における組成物は、典型的なエラストマー特性を示す。一定温度でのシーリング力は、圧縮率が増加するにつれ増加し、このことは、伸張の増加のようにゴム弾性理論に基づき予期される。一定圧縮での力は、温度が上昇するにつれ増加する。このことも、ゴム弾性状態方程式において規定される温度依存性に基づくものであると予測できる。
【0078】
【表9】
【0079】
25%圧縮された、いくつかの硬化フィルムに関する−40℃でのシーリング力は、以下の表に示される(表題UV硬化したイソプレンおよびPIB硬化−イン−プレースガスケット組成物)。例1、2および3において示されるように、−40℃でのシーリング力および25%圧縮は、以下の表およびグラフに示されるように、モノマー含有量の関数として著しく変化した。例1、2および3における変化の階段関数は、驚くべきであり、DSC走査における単一のガラス転移温度の観察することにより予測されなかった。より高いガラス転移モノマーの結果として生じた明確なまたは分離したガラス相が存在する場合、DSCで測定されるように、1次または2次熱力学的転移として現れるべきである。このような1次または2次熱力学的転移は、図で示されるように例1、2および3に関するDSCスキャンにおいて観察されていない。高いモノマー含有量は、未硬化シーラントの粘性を下げるのに望ましい。このことは、高い引張強度と高い伸び率を有する硬化したエラストマーを得る一方で、シーラントを急速に施すことを可能にする。モノマー含有量が減少するにつれ、粘度は増加し、引張強度とは低下し、伸び率は低下する。高い粘度は組成物を急速に施すことを困難にするので望ましくない。低い伸び率は、シールに亀裂を生じさせ得るので望ましくない。操作温度範囲に亘るその目的とする機能を実行するために、エラストマー性シールの能力の実質的な下限を定めるように、低温での高いシーリング力は好ましい。低温シーリング力、すなわち−40℃での力は、ガラス質モノマーおよび/またはゴム状モノマーの割合を変化させることで劇的に調整できる。
【0080】
図2、3および4(例1、24および30)において示すように示差走査熱量計(DSC)を用いて測定する場合、これらの硬化したネットワークのそれぞれは、単一のガラス転移温度を示した。
【0081】
説明のために好ましい実施態様が明記されるが、記載は本明細書の開示を限定するものとみなすべきではない。したがって、本発明の主旨と範囲を逸脱しない限り、種々の改良、付加および代替は当業者によって行われ得る。
【0082】
【表10】
【0083】
【表11】
【0084】
【表12】
【0085】
【表13】
【0086】
【表14】
【0087】
【表15】
【0088】
【表16】
【0089】
【表17】
【0090】
【表18】
【0091】
【表19】
【0092】
【表20】
【0093】
【表21】
【0094】
【表22】
【0095】
【表23】
【0096】
【表24】
【0097】
【表25】
【0098】
【表26】
【0099】
【表27】
【0100】
【表28】
【0101】
【表29】
【0102】
【表30】
【0103】
【表31】
【0104】
【表32】
【0105】
【表33】
【0106】
【表34】
【0107】
【表35】
【0108】
【表36】
【0109】
【表37】
【0110】
【表38】