(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
車体フレームと、前記車体フレームに傾動可能に取り付けられたベッセルと、前記車体フレームと前記ベッセルとの間に設けられ、前記ベッセルを傾動させるホイストシリンダと、を備えた運搬用車両において、
前記ホイストシリンダの伸縮方向にかかる力を検出する負荷検出装置と、
前記負荷検出装置からの検出信号に基づき、前記ベッセルが空荷の状態であるか否かを判定する空荷判定部と、を備え、
前記空荷判定部は、前記負荷検出装置からの検出信号により前記ホイストシリンダの伸縮方向にかかる力の向きを判定し、当該力の向きが変化したことに基づき前記ベッセルが空荷の状態であると判定する、ことを特徴とする運搬用車両。
車体フレームと、前記車体フレームに傾動可能に取り付けられたベッセルと、前記車体フレームと前記ベッセルとの間に設けられ、前記ベッセルを傾動させるホイストシリンダと、を備えた運搬用車両において、
前記ホイストシリンダの伸縮方向にかかる力を検出する負荷検出装置と、
前記負荷検出装置からの検出信号に基づき、前記ベッセルが空荷の状態であるか否かを判定する空荷判定部と、を備え、
前記負荷検出装置は、前記ホイストシリンダのヘッド側の油室の圧力を検出する第1の圧力センサと、前記ホイストシリンダのロッド側の油室の圧力を検出する第2の圧力センサと、前記第1の圧力センサと前記第2の圧力センサとから差圧を演算する差圧演算部と、を含み、
前記空荷判定部は、前記差圧演算部からの演算結果により前記ホイストシリンダの伸縮方向にかかる力の向きを判定し、当該力の向きが引張りから圧縮に変化したことに基づき前記ベッセルが空荷の状態であると判定する、ことを特徴とする運搬用車両。
車体フレームと、前記車体フレームに傾動可能に取り付けられたベッセルと、前記車体フレームと前記ベッセルとの間に設けられ、前記ベッセルを傾動させるホイストシリンダと、を備えた運搬用車両において、
前記ホイストシリンダの伸縮方向にかかる力を検出する負荷検出装置と、
前記負荷検出装置からの検出信号に基づき、前記ベッセルが空荷の状態であるか否かを判定する空荷判定部と、を備え、
前記負荷検出装置は、前記ホイストシリンダの伸縮方向の歪を検出する歪センサを含み、
前記空荷判定部は、前記歪センサからの検出情報により前記ホイストシリンダの伸縮方向にかかる力の向きを判定し、当該力の向きが引張りから圧縮に変化したことに基づき、前記ベッセルが空荷の状態であると判定する、ことを特徴とする運搬用車両。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態について説明する。まず、
図1及び
図2に運搬用車両の一例として、鉱山用のダンプトラック1の構成を示す。なお、運搬用車両としては、これ以外であっても、車体フレームに各種の積載物を収容するベッセルを傾動可能に設けたもの一般に適用することができる。
【0014】
ダンプトラック1は車体フレーム2を有するものであり、この車体フレーム2には左右の前輪3及び後輪4が取り付けられている。動力源としてはエンジン5が用いられ、このエンジン5は車体フレーム2に装着されている。6はダンプトラック1を操作するオペレータが搭乗する運転室であり、この運転室6は車体フレーム2の上部の前方位置に設けられている。
【0015】
車体フレーム2には、ベッセル7が設けられている。ベッセル7は上方が開放した箱状の容器から成り、その内部に土砂や砕石等の積載物が積載される。ベッセル7は、その後端側の部位が連結ピン8によって車体フレーム2に連結されており、この連結ピン8を中心として、車体フレーム2と概略平行な積込姿勢(
図1)から、後方に向けて傾動して、所定角度傾斜した放土姿勢(
図2)となるまで変位可能となっている。なお、ベッセル7が積込姿勢となっていると、車体フレーム2に設けた台座部10上に当接するように着座する。
【0016】
ベッセル7を傾動駆動するために、車体フレーム2とベッセル7との間にはホイストシリンダ9が介装されている。ホイストシリンダ9は左右一対設けられており、このホイストシリンダ9を伸長させると、ベッセル7の上げ動作が行われ、縮小させると、ベッセル7の下げ動作が行われることになる。なお、図中において、11はサスペンションシリンダである。
【0017】
次に、
図3に基づいてホイストシリンダ9の作動機構について説明する。
図3(a)において、20は操作装置であり、この操作装置20はダンプトラック1の運転室6内に設けられている。操作装置20は操作手段としての操作レバー21と操作指令出力部22とを備えており、操作指令出力部22はコントローラ23に接続されている。操作レバー21は、鉛直状態となった保持位置HLと、傾動させた上げ位置PU及び下げ位置PDと、保持位置HLと下げ位置PDとの間の浮き位置FLとに傾動操作可能となっている。操作指令出力部22はこれらの位置に対応した電気信号を操作指令としてコントローラ23に出力する。
【0018】
図3(b)に示すように、コントローラ23は、電磁比例弁ユニット35(電磁比例弁35PD,35FL,35PU)に対して操作指令を出力するよう構成され、ホイストシリンダ9のヘッド側の油室Aとロッド側の油室Bとの間の差圧を演算する差圧演算部23aと、差圧演算部23aの演算結果に基づき、ベッセル7が空荷の状態であるか否かを判定する空荷判定部23bと、を備えている。なお、空荷判定の詳細については後述する。
【0019】
次に、ホイストシリンダ9を駆動するための油圧制御システムについて、
図4を参照して説明する。ホイストシリンダ9は多段式(例えば、2段式)の油圧シリンダからなり、外側に位置する外筒部9aと、該外筒部9a内に伸縮可能に設けられ、外筒部9a内をヘッド側(伸長側)の油室Aとロッド側(縮小側)の油室Bとに画成した内筒部9bと、該内筒部9b内に伸縮可能に設けられたピストン9c及びピストンロッド9dとにより構成されている。
【0020】
操作レバー21の上げ位置PUでは、ホイストシリンダ9の油室Aに圧油を導入し、油室Bがタンク圧に保持される結果、ホイストシリンダ9が伸長して、ベッセル7の上げ動作が行われる。また、下げ位置PDでは、油室Bに圧油が導入され、油室Aはタンク圧に保持されるため、ホイストシリンダ9は縮小し、ベッセル7の下げ動作が行われる。保持位置HLでは、油室A及び油室Bに圧油を導入して、ピストン9cの動作をロックする。その結果、ホイストシリンダ9は伸長も縮小もすることがなく、ベッセル7の姿勢が保持される。また、浮き位置FLではホイストシリンダ9の油室A及び油室Bはタンク圧に保持される。よって、ベッセル7は自重により下げ動作が可能である。
【0021】
図4において、30はホイストシリンダ9に圧油を供給するために、高圧配管31に接続した油圧ポンプであり、エンジン5により駆動される。油圧ポンプ30及び作動油タンク32とホイストシリンダ9との間には2連の制御弁33,34が介装されている。これら制御弁33,34は、操作装置20が接続されているコントローラ23からの信号に基づいて切り換え操作が行われる。
【0022】
図示した油圧回路においては、制御弁33,34はそれぞれ3位置を有するものであって、操作レバー21が保持位置HLにあるときには、これら制御弁33,34は中央の中立位置に保持される。操作レバー21を保持位置HLから左右いずれかの方向に傾動操作すると、制御弁33,34は油圧パイロット信号により左右のいずれかの切換位置への切り換え動作が行われる。コントローラ23の出力信号は電気信号である。このために、パイロットポンプ15からの流路と制御弁33,34のパイロット部との間に電磁比例弁ユニット35を介装し、制御弁33,34の両側の油圧パイロット部へのパイロット圧の給排制御が行われる。
【0023】
電磁比例弁ユニット35は3個の電磁比例弁35PD,35FL及び35PUから構成されており、ホイストシリンダ9に供給する作動油の流量を制御するために用いられる。操作レバー21の保持位置HLでは、ホイストシリンダ9は、その油室Aも、また油室Bも油圧ポンプ30とも作動油タンク32とも接続されている。そして、各電磁比例弁35PD,35FL及び35PUの出力側は作動油タンク32と接続されている。よって、保持位置HLでは、油室A及び油室Bに油圧ポンプ30からの圧油が導入される。
【0024】
コントローラ23からの制御信号(操作指令)が入力されると、電磁比例弁35PD,35FLまたは35PUのいずれかが切換位置に切り換わる。制御弁33,34の左右いずれかのパイロット部にパイロット圧が供給されて、制御弁33,34が中立位置から左右いずれかの切換位置に切り換わる。
【0025】
保持位置HLにある操作レバー21を上げ位置PUに傾動させると、電磁比例弁35PUが切り換わって、制御弁33,34の図中左側のパイロット部にパイロット圧を供給して、中立位置にある制御弁33,34が左側の切換位置に切り換わることになる。これによって、ホイストシリンダ9の油室Aが油圧ポンプ30と接続され、油室Bは作動油タンク32に接続される。その結果、ホイストシリンダ9が伸長することになり、ベッセル7が上げ動作をする。
【0026】
ここで、制御弁33,34における作動油タンク32に接続される側の流路には、絞りが形成されており、この絞りによりホイストシリンダ9から作動油タンク32への戻り油に背圧を発生させることによって、ベッセル7が急速に作動するのを防止できる。なお、
図4において、36は制御弁33,34に過大な圧力が作用しないように保護するためのリリーフ弁である。また、37,38はメイクアップ用のチェック弁である。
【0027】
操作レバー21を、浮き位置FLを経て下げ位置PDまで傾動させると、電磁比例弁35PDが切り換わることになり、制御弁34が中立位置から右側の切換位置に切り換わる。これによって、ホイストシリンダ9の油室Bに油圧ポンプ30の圧力が作用することになり、油室Aは作動油タンク32と接続される。その結果、ホイストシリンダ9が縮小することになり、ベッセル7は下げ動作を行う。なお、このときには、制御弁33は中立位置に保持されることになる。
【0028】
操作レバー21が浮き位置FLとなるように操作したときには、電磁比例弁35FLが切り換わることになる。この場合、制御弁33のみが図中右側の切換位置に切り換わることになる結果、ホイストシリンダ9の両油室A,Bが共に作動油タンク32に接続されるようになって、油圧ポンプ30からの圧油は作動油タンク32に還流することになる。
【0029】
ベッセル7を台座部10に着座させて、操作レバー21を浮き位置FLに保っていると、ホイストシリンダ9は、ベッセル7の自重により縮小状態で安定的に保持される。この状態がベッセル7の積込姿勢であり、ダンプトラツク1に土砂等の積載物の積載が可能となり、積込場所で鉱石や土砂等の採鉱が行われて、ダンプトラック1のベッセル7に積載される。
【0030】
ダンプトラック1への積載が完了すると、このダンプトラック1は積荷Lを載置した状態で鉱石集積場所等の放土場所まで走行するが、このときにもベッセル7は積込姿勢に保たれる。
【0031】
ダンプトラック1が放土場所に到着すると、オペレータは操作レバー21を操作する。操作指令出力部22は操作レバー21の位置に応じた操作指令を出力し、コントローラ23は操作指令に基づいて電磁比例弁35PUを切り換えてパイロットポンプ15からの圧油を電磁比例弁ユニット35の油圧パイロット部にパイロット圧として供給する。その結果、制御弁33,34が切り換って、ホイストシリンダ9の油室Aに油圧ポンプ30からの圧油が供給され、油室Bは作動油タンク32に接続されるので、ホイストシリンダ9が伸長することになる。従って、ベッセル7は連結ピン8を中心として、後方に向けて傾動する放土姿勢になり、ベッセル7内の積荷Lが後方に向けて排出される。
【0032】
積荷Lが土砂である場合には、土砂はベッセル7の後端部から下方に排出される。これが放土であり、この放土が完了すると、ベッセル7は空荷の状態になる。なお、この放土作業時には、ダンプトラック1を前進させることによって、ベッセル7からの土砂の排出を促進することができる。また、ベッセル7が最大角度まで傾斜したとき、または上げ動作の途中で、操作レバー21を保持位置HLに切り換えることによって、ベッセル7は所望の傾斜角度位置に保持される。このベッセル7の傾斜角度を適宜設定することによって、ベッセル7からの土砂の排出速度を調整することができる。
【0033】
ベッセル7からの放土が完了すると、操作レバー21を下げ位置PDに傾動操作することによりホイストシリンダ9を縮小させて、ベッセル7の下げ動作を行う。これによって、ベッセル7の底面が車体フレーム2に設けた台座部10に当接した着座状態に復帰する。なお、操作レバー21を下げ位置PDまで傾けることなく、操作レバー21を浮き位置FLとすることによっても、ベッセル7の自重で台座部10上に着座する。そして、ホイストシリンダ9からの戻り油は制御弁33,34の絞りを通過することから、背圧が発生してベッセル7が急速に下がることはなく、従って台座部10に強い力で衝突することはない。
【0034】
ところで、ダンプトラック1の運転室6内からの後方視界は良好とは言えず、放土作業中は、オペレータは通常、ベッセル7の底面しか見えない状況である。そのため、ベッセル7から土砂が完全に排出されたことをオペレータが運転室6内から目視により正確に把握することはできない。
【0035】
そのため、放土が完了した時点をオペレータが認識することは極めて重要である。ベッセル7内に土砂が残存している状態、つまり積み残しのある状態で、ダンプトラック1を放土場所から移動し、積込場所に帰還したり、他の場所に移動したりすることがないようにしなければならない。このために、放土時間はある程度長くする必要がある。ただし、放土作業を必要以上長時間行うことは、作業効率の点等から避けなければならない。
【0036】
そこで、本実施形態では、オペレータが運転室6内において、ベッセル7からの放土が完了したことを、空荷判定部23b(
図3(b)参照)の判定結果に基づき、認識できるように構成されている。以下、空荷判定部23bによるベッセル7の空荷状態の判定の詳細について説明する。
【0037】
図1において、連結ピン8の位置からベッセル7の重心位置までの水平距離をd1とし、連結ピン8の位置からホイストシリンダ9の接続位置までの水平距離をd2としたときにおいて、積荷Lの重量とベッセル7の自重との合計重量をWとすると、ベッセル7が水平状態では、ホイストシリンダ9に作用する力は、W×d1/d2となる。
【0038】
放土を開始するには、操作レバー21を上げ位置PUに傾動させる。これによって、ホイストシリンダ9が伸長してベッセル7の上げ動作が開始される。このとき、ホイストシリンダ9には、前述したW×d1/d2の力が作用している。ベッセル7の上げ動作によって、ベッセル7内の土砂が後方に移動して、後端部から排出されることになる。このために、ホイストシリンダ9に作用する力は
図5に示すように変化する。
【0039】
まず、放土開始前の状態では、ベッセル7は概略水平状態の着座位置にある。この状態でホイストシリンダ9を伸長させると、
図5に示すホイストシリンダ9の伸長開始時点(a)では、ホイストシリンダ9に作用する荷重は最大のものとなる。そして、ホイストシリンダ9が伸長を継続して、ベッセル7の傾斜角度が大きくなると、ベッセル7内の土砂が後方に向けて滑り降りるようにして、後端部から排出されるようになり、積荷Lの重量が減少する。しかも、ベッセル7が後方に傾くため、連結ピン8の位置からベッセル7の重心位置までの水平距離d1が短くなる(d1の値が小さくなる)。その結果、ホイストシリンダ9に作用する力(W×d1/d2)は連続的に低下していくことになる。
【0040】
ここで、ホイストシリンダ9の伸長ストロークはストロークエンドに達した時の衝撃を防止するために制限されており、ベッセル7がある傾斜角度以上回動しないように、上げ動作の限界位置(最大傾斜角度)が定められている。ベッセル7の傾斜角度を認識できるようにするために、角度センサ40(角度検出装置)が設けられている(
図3(a)参照)。従って、オペレータは、この角度センサ40によりベッセル7の傾斜状態を認識することができる。なお、角度センサ40は連結ピン8の近傍に設けられている。
【0041】
オペレータは、通常、ベッセル7を最大傾斜角度まで傾斜させるのではなく、その手前位置でベッセル7の上げ動作を停止し、操作レバー21を保持位置HLに切り換えるように操作する。このように、保持位置HLとしても、ベッセル7が傾斜状態を保っている限りは、ベッセル7内の土砂の排出が継続することになるので、全体としてのホイストシリンダ9に作用する力が減少する傾向は継続される。
【0042】
傾斜したベッセル7内では、
図2に示したように、ベッセル7の前方部位から土砂が移動・集積して、ベッセル7の後端近傍に土砂溜まりWsが位置する状態となる。ここで、ベッセル7は、連結ピン8の位置から前方側が後方側より長いことから、上げ動作の開始から途中までは前方側の方の重量が大きい。しかし、土砂の排出が進行して、
図2の状態まで土砂溜まりWsが移動すると、つまり
図5の重量バランス移行時(b)になると、ベッセル7の前後の重量差がなくなり、さらに後方側の方が重量増化することになる。この状態になると、ホイストシリンダ9に作用する力の向きは圧縮側から引張り側にシフトすることになる。
【0043】
さらに、ベッセル7の後端部から土砂溜まりWsの排出が完了する時点(c)になると、ホイストシリンダ9に作用する力はベッセル7の重量のみとなり、放土完了後の時点(d)でホイストシリンダ9には圧縮側の力が作用する状態に変化し、以後はこの状態から変化することはない。
【0044】
ここで、ホイストシリンダ9に作用する力はこのホイストシリンダ9のヘッド側の油室A、及びロッド側の油室Bの圧力に基づいて検出することができる。このために、
図3,4において、ホイストシリンダ9の油室A側の圧力を圧力センサ39A(第1の圧力センサ)で測定し、また油室B内の圧力を圧力センサ39B(第2の圧力センサ)で測定するようになし、これら圧力センサ39A,39Bの検出圧力をコントローラ23に入力する。
【0045】
コントローラ23内の差圧演算部23aは、両圧力センサ39A,39Bの差圧を演算する。空荷判定部23bは、差圧演算部23aによる演算結果に基づき、ホイストシリンダ9の伸縮方向にかかる力の向き(圧縮側の力が作用しているか、または引張り側の力が作用しているか)の判定を行う。
【0046】
即ち、ホイストシリンダ9のピストンにおけるヘッド側の油室Aの受圧面積をS
A,ロッド側の油室Bの受圧面積をS
Bとし、ヘッド側の圧力をP
A,ロッド側の圧力をP
Bとしたときに、差圧演算部23aは、(S
A×P
A−S
B×P
B)を演算して、その値が「+」であれば圧縮側の力が作用し、「−」であれば引張り側の力が作用していると判定する。
【0047】
ここで、本実施形態における、圧力センサ39A,39B、および差圧演算部23aにより本発明の「負荷検出装置」が構成されている。
【0048】
なお、通常大型のダンプトラックにおいてはベッセル7に対して左右1対のホイストシリンダ9を備えているが、2本のホイストシリンダ9の油室A,Bは各々共通の油圧配管でもう一方の同じ油室に接続されているため、圧力センサ39A及び39Bは各々1個備えていればよい。
【0049】
そして、コントローラ23の空荷判定部23bは、操作レバー21が保持位置HLとなっており、ホイストシリンダ9の差圧が「−」から「+」に変化したことに基づき、ベッセル7から放土が完了したと判定する。そして、これをオペレータに対して報知するために、コントローラ23は、例えばランプ41を点灯させたり(
図3(b)参照)、図示しないスピーカから発音させたりすれば良い。なお、ランプ41やスピーカは、例えば運転室6に設けることができる。報知装置としては、ランプ41、スピーカ以外にも、運転室6内の表示モニタを用いることもできる。
【0050】
このように、本実施形態によれば、オペレータは、運転室6内に居ながら、ベッセル7を目視することなく、放土が完了し、ベッセル7内に残留物がないことをランプ41等により直ちに確認することができる。即ち、本実施形態では、ホイストシリンダ9の差圧からホイストシリンダ9に作用する力の向き(圧縮または引張り)を判定することにより、ベッセル7からの放土作業時において、迅速かつ確実に放土が完了したことを検出できる。
【0051】
以上は、オペレータが操作レバー21を操作してベッセル7を傾動させる操作指令を与える場合であるが、コントローラ23からベッセル7の放土作業を自動的に行うよう制御しても良い。その手順を
図8に示す。
【0052】
まず、コントローラ23はベッセル7の放土作業の自動制御処理を開始する(ステップ1)。例えば、コントローラ23は、外部からの作業開始指令の入力、運転室6内のオペレータからの自動モード切換信号の入力など、各種の開始指令に基づいて、ベッセル7の放土作業の自動化を開始する。
【0053】
次に、コントローラ23は、電磁比例弁ユニット35(電磁比例弁35PD,35FL,35PU)への操作指令が浮き位置FLとなっているか否かの判定を行う(ステップ2)。操作指令が浮き位置FLとなっていない場合(ステップ2/No)には、放土指令は行われない。操作指令が浮き位置FLとなっている場合(ステップ2/Yes)、コントローラ23は電磁比例弁ユニット35への操作指令を上げ位置PU(上げ動作)に切り換える(ステップ3)。すると、電磁比例弁ユニット35が作動して、ベッセル7は自動的に上げ動作が行われる。
【0054】
ここで、前述したように、ベッセル7の上げ動作は最大傾斜角度以下の所定の傾斜角度までに制限されることが望ましい。そこで、コントローラ23は、角度センサ40からの信号に基づいて、ベッセル7が所定の傾斜角度になったか否かの判定を行う(ステップ4)。ベッセル7が所定の傾斜角度となったことが検出されると、コントローラ23はベッセル7の傾斜角度を保持するために、電磁比例弁ユニット35への操作指令を保持位置HLに切り換える(ステップ5)。
【0055】
ステップ3でベッセル7が上げ動作となり、次いでステップ5でベッセル保持動作となっている間には、ホイストシリンダ9の差圧(S
A×P
A−S
B×P
B)が「+」の状態から「−」の状態に変化する。そして、放土が完了すると、その差圧は再び「+」の状態に変化する(
図5参照)。そこで、ステップ6において、コントローラ23(空荷判定部23b)は、差圧(S
A×P
A−S
B×P
B)が「−」の状態から「+」に変化したか否かを検出し、この変化が生じたときに、ベッセル7から放土が完了したと判定する。即ち、コントローラ23内の空荷判定部23bは、ホイストシリンダ9に作用する力が、
図5における(c)から(d)へ変化したときに、ベッセル7から放土が完了したと判定する。
【0056】
その結果、コントローラ23は、電磁比例弁ユニット35への操作指令を浮き位置FLに切り換えて、ベッセル7を浮き状態となし(ステップ7)、ベッセル7を自重で下げるように動作させる。そして、車体フレーム2に設けた着座センサ13によって、ベッセル7の着座が検出されることで、コントローラ23は一連の処理を終了する(ステップ8)。よって、ベッセル7からの放土作業を自動化することで、放土作業の無人化も可能となり、安全面にも優れる。また、ベッセル7の放土作業を自動化しても、空荷判定部23bがベッセル7の空荷状態を正確に判断しているため、作業効率は低下しない。
【0057】
ここで、上記した実施形態では、ホイストシリンダ9に作用する力が圧縮または引張りであるかを油室の圧力(差圧)から判定していたが、応力検出装置によりホイストシリンダ9の伸縮方向の力を直接計測して判定してもよい。例えば、
図7に示すようにピストンロッド9dあるいは外筒部9aに伸縮方向の力を検出できるように歪ゲージ(歪センサ)42を取り付けてもよいし、またホイストシリンダ9を車体フレーム2あるいはベッセル7に回動可能に接続するのに用いる連結ピンに対して、特許文献3に示すピン型ロードセルを用いてもよい。何れの場合であっても、ホイストシリンダ9に作用する力からベッセル7の放土作業の完了を正確に把握して、オペレータに報知することができる。
【0058】
尚、本発明は、上述した実施形態に限定するものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上述した実施形態は本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定するものではない。