(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
<装置の概要>
図面を参照して本発明の一実施形態に係る組付装置Aについて説明する。なお、各図において矢印X、Yは互いに直交する水平方向を示し、矢印Zは上下方向を示す。
図1は組付装置Aを模式的に示す平面図である。組付装置Aはシリンダヘッド100のバルブに一対のコッタ片を介してリテーナを組み付ける装置である。シリンダヘッド100の気筒数および気筒配置並びにバルブ数に制限はないが、本実施形態におけるシリンダヘッド100は、例示的に、直列三気筒で12バルブ(一気筒あたり四バルブ)である。
【0012】
組付装置Aは、搬送ユニット1と、支持装置2と、コッタ供給機3と、リテーナ供給機4と、移動ユニット5と、複数のリテーナ組付ヘッド6と、複数のコッタ組付ヘッド7と、を備える。
【0013】
搬送ユニット1はシリンダヘッド100を搬送する。シリンダヘッド100はパレット160上に搭載されて搬送される。本実施形態の場合、搬送ユニット1は、二列のコンベアユニット10を備える。各コンベアユニット10は例えばローラコンベアであり、X方向に延設されており、搬送ユニット1はX方向の搬送ラインを形成する。パレット160は二列のコンベアユニット10に跨らせて載置され、シリンダヘッド100はX方向に搬送される。
【0014】
支持装置2は、シリンダヘッド100をコンベアユニット10からリフトアップし、組付作業中、シリンダヘッド100を支持する。詳細は後述する。
【0015】
コッタ供給機3は各コッタ組付ヘッド7に一対のコッタ片を供給する機構であり、リテーナ供給機4は各組付ヘッド6にリテーナを供給する機構である。本実施形態では、搬送ユニット1の搬送ラインを挟んで、Y方向の一方側(
図1で右側)にリテーナ供給機4を配置し、Y方向の他方側(
図1で左側)にコッタ供給機3を配置している。これにより、リテーナの組み付けと、一対のコッタ片の組み付けとを、シリンダヘッド100の一側方と、他側方とから交互に、又は干渉が生じない範囲でタイミングを重畳させて行うことができ、タクトタイムを向上することができる。
【0016】
移動ユニット5は、複数のリテーナ組付ヘッド6と、複数のコッタ組付ヘッド7とを、独立して移動させる装置である。移動ユニット5は、本実施形態の場合、ガントリ式の機構であり、一部の構成を共用しつつ、複数のリテーナ組付ヘッド6を移動させるユニットと、複数のコッタ組付ヘッド7を移動させるユニットを構成している。
【0017】
移動ユニット5は、水平移動ユニット50と、昇降ユニット55a、55bとを備える。水平移動ユニット50は、X方向に離間して平行に配置された一対のレール51を備える。各レール51はY方向に延設されている。これらのレール51は、複数のリテーナ組付ヘッド6を移動させるユニットと、複数のコッタ組付ヘッド7を移動させるユニットとで共用しているが、個別に設けても構わない。
【0018】
各レール51には、独立して移動可能な二つのスライダ52a、52bが設けられている。各スライダ52a、52bはレール51と係合し、レール51に沿って移動可能である。二つのスライダ52a間には、レール53aが設けられている。また、二つのスライダ52b間には、レール53bが設けられている。レール53a、53bはX方向に延設されている。
【0019】
レール53aにはスライダ54aが設けられている。スライダ54aはレール53aと係合し、レール53aに沿って移動可能である。同様に、レール53bにはスライダ54bが設けられている。スライダ54bはレール53bと係合し、レール53bに沿って移動可能である。
【0020】
水平移動ユニット50は、スライダ52a、52b、54a、54bを移動させる駆動機構を備える(不図示)。この駆動機構は、例えば、モータ等の駆動源と、ボールねじ機構等の駆動力伝達機構である。
【0021】
昇降ユニット55aはスライダ54aに設けられ、昇降ユニット55bはスライダ54bに設けられている。昇降ユニット55a、55bは、
図5に示すように、対応するスライダ54a、54bに固定される本体551と、Z方向に昇降される昇降部材552と、ヘッド支持部材553とを備える。本体551には、昇降部材552をZ方向に移動する駆動機構(例えばモータ等の駆動源と、ボールねじ機構等の駆動力伝達機構)が設けられる。
【0022】
ヘッド支持部材553は昇降部材552の下端部に固定されている。昇降ユニット55aのヘッド支持部材553には複数のリテーナ組付ヘッド6が設けられている。本実施形態の場合、三つのリテーナ組付ヘッド6がX方向に並んで配置されている。昇降ユニット55bのヘッド支持部材553には複数のコッタ組付ヘッド7が設けられている。本実施形態の場合、六つのコッタ組付ヘッド7が設けられている。六つのコッタ組付ヘッド7は、Y方向に二列で配置され、各列には三つのコッタ組付ヘッド7がX方向に並んで配置されている。
【0023】
以上の構成により、全リテーナ組付ヘッド6は、二つのスライダ52a、レール53aおよびスライダ54aによって水平方向(X、Y方向)に移動され、昇降ユニット55aによってZ方向に移動される。全コッタ組付ヘッド7は、二つのスライダ52b、レール53bおよびスライダ54bによって水平方向(X、Y方向)に移動され、昇降ユニット55bによってZ方向に移動される。
【0024】
リテーナ組付ヘッド6は、リテーナ供給機4により供給されるリテーナをバルブスプリング上に載置する。コッタ組付ヘッド
7はバルブステムの上端部に一対のコッタ片を係合させて、リテーナを組み付ける。これらの詳細は後述する。
【0025】
<制御ユニット>
次に、
図2を参照して組付装置Aの制御ユニット8の構成について説明する。
図2は制御ユニット8のブロック図である。制御ユニット8は、処理部81と、記憶部82と、インターフェース部83と、を備え、これらは互いに不図示のバスにより接続されている。処理部81は記憶部82に記憶されたプログラムを実行する。処理部81は例えばCPUである。記憶部82は、例えば、RAM、ROM、ハードディスク等である。インターフェース部83は、処理部81と、外部デバイス(ホストコンピュータ、センサ85、アクチュエータ84)と、の間に設けられ、例えば、通信インターフェースや、I/Oインターフェースである。ホストコンピュータは組付装置Aが設けられる生産設備全体を制御する制御装置である。
【0026】
アクチュエータ84は組付装置Aが備えるモータやソレノイド等である。センサ85は組付装置Aが備える各種の可動体の動作を検知するセンサ等である。
【0027】
以下、組付装置Aの各構成の詳細と、制御ユニット8の制御による動作について説明する。
【0028】
<支持装置>
支持装置2は、組付作業の間、シリンダヘッド100を支持する。
図3は支持装置2の構成および動作の説明図である。支持装置2は、テーブル20を備える。テーブル20上には、複数の位置決めピン21と、バルブ支持ユニット22とが固定されている。テーブル20は回動ユニット24に支持されている。回動ユニット(チルトユニット)24は、X方向と平行な軸周りにテーブル20を回動自在に支持すると共に、テーブル20を回動させる駆動機構(不図示)を備えた装置である。この駆動機構は、例えば、モータ等の駆動源と、歯車機構(例えばウォームギヤ機構)とから構成することができる。
【0029】
回動ユニット24は昇降ユニット25に支持されている。昇降ユニット25は例えば電動シリンダやエアシリンダ等のアクチュエータを備え、回動ユニット24をZ方向に昇降する。
【0030】
支持装置2の動作について説明する。
図3において、状態ST1は組付作業前の待機状態を示す。テーブル20および回動ユニット24はコンベアユニット10の搬送面よりも低い位置に位置している。
【0031】
シリンダヘッド100は、バルブ110のバルブステムおよびバルブスプリング140が組み付けられた状態で、コンベアユニット10によって支持装置2の上方に搬送され、停止される。
【0032】
ここで、バルブ110は、
図14等に示されるように、バルブステム112と、その下端に設けられたバルブヘッド111とを有し、バルブステム112にはシリンダヘッド100に着座するスプリングシート150やバルブスプリング140がセットされている。バルブスプリング140はスプリングシート150上に、バルブステム112の上端部を取り囲んで設けられている。
図25等に示されるように、バルブステム112の上端部113には、一対のコッタ片120が係合する係合部114が形成されており、組付装置Aは、最終的に、上端部113に一対のコッタ片120を介してリテーナ130を組み付ける。
【0033】
図3に戻り、昇降ユニット25を駆動して、状態ST2に示すようにテーブル20および回動ユニット24を上昇させる。テーブル20の上昇の過程で、複数の位置決めピン21がパレット160と係合し、シリンダヘッド100がパレット160と共に、コンベアユニット10からリフトアップされる。リテーナおよび一対のコッタ片の組付作業は、このようにシリンダヘッド100をコンベアユニット10からリフトアップした状態で行う。バルブ支持ユニット22は、バルブ110に当接され、組付作業中のバルブ110が燃焼室側へ脱落するのを防止すると共に組付作業中のバルブ110の位置管理を行う。その詳細は後述する。
【0034】
吸気側のバルブ110と排気側のバルブ110とは、通常、互いに平行ではない。本実施形態の場合、バルブ110に対するリテーナ130および一対のコッタ片120の組付作業は、バルブ110のバルブステムが、Z方向と平行な状態(鉛直上向きの状態)で行う。このため、状態ST3に示すように、回動ユニット24によりテーブル20を回動(チルト駆動)させる。この回動によって、例えば、始めに吸気側のバルブ110群がZ方向と平行にされる。吸気側のバルブ110群に対する組付作業が完了すると、排気側のバルブ110群がZ方向と平行にされる。
【0035】
図4はバルブ支持ユニット22の斜視図および断面図である。バルブ支持ユニット22は、組付作業中、バルブステム112の下端に設けられたバルブヘッド111と当接し、バルブステム112の下方の移動を許容しつつバルブステム112を上方へ押圧する装置である。バルブ支持ユニット22は、複数の当接部材221を備える。
【0036】
当接部材221はバルブ110毎に設けられ、したがって、本実施形態の場合、12個である。当接部材221はバルブヘッド111と当接する板状の当接部221aと、当接部221aの中央から延びる軸部221bとを含む。
【0037】
バルブ支持ユニット22は、また、当接部材221を移動可能に支持する支持部材222を備える。支持部材222は、当接部材221毎に、軸部221bが挿通される穴222aを備え、当接部材221は軸部221bの軸方向に移動自在に支持される。
図3の状態ST2や状態ST3に示すように、支持装置2がシリンダヘッド100を支持している間、軸部221bはバルブステム112と同軸上に位置する。
【0038】
当接部221aと支持部材222との間には弾性部材223が設けられている。本実施形態の場合、弾性部材223はコイルスプリングであり、当接部221a毎に設けられ、かつ、軸部221bを取り囲んで弾性部材223が設けられている。弾性部材223は当接部材221をバルブ110側に付勢する。つまり、バルブ110を上方へ(閉方向へ)付勢する。これにより、バルブ110の下方への移動を可能としつつ、バルブ110に作用された下方向への力が吸収、緩和される。
【0039】
バルブ支持ユニット22には、バルブステム112の下方への移動量を検出する二組のセンサ23a、23bが設けられている。本実施形態では、二組のセンサ23a、23bを支持部材222に設けているが、他の部位に設けてもよい。
【0040】
センサ23a、23bは、本実施形態の場合、一方が発光素子、他方が受光素子である光センサユニットであり、発光素子の光軸が検知位置Pである。検知位置P上に物体が存在すると、発光素子の光が受光素子に届かなくなり、物体の存在が検知される。
【0041】
センサ23a、23bは、当接部材221の列毎、換言すると、バルブ110の吸気側、排気側に分けて一組ずつ設けられている。したがって、一組のセンサ23a、23bは六つの当接部材221の位置を監視する。
【0042】
検知位置Pは、初期状態における当接部221aと支持部材222との間の位置に設定されている。バルブ110の下方への移動により当接部材221が下方へ移動すると、検知位置P上に当接部221aが位置し、これがセンサ23a、23bに検知される。検知位置Pはバルブ110が所定の移動量だけ下方に移動したときにセンサ23a、23bがこれを検知するように設定されている。センサ23a、23bの検知結果は、コッタ組付ヘッド7による組付作業時に利用する。
【0043】
なお、本実施形態では光センサユニットを利用したが、別のセンサ(例えば機械式センサ)等であってもよい。また、センサは当接部材221毎(バルブ110毎)に設けてもよい。
【0044】
<コッタ供給機>
コッタ供給機3について
図5〜
図8を参照して説明する。
図5および
図6はコッタ供給機3、コッタ組付ヘッド7およびコッタ組付ヘッド7の移動に関わる移動ユニット5を示す立面図である。
図7はコッタ供給機3の準備ユニット30の一部の分解斜視図、
図8は準備ユニット30の一部の断面図である。
【0045】
コッタ供給機3は、準備ユニット30と、供給ユニット38とを備える。準備ユニット30は、一対のコッタ片120がバルブステム112の上端部113が挿通可能な隙間を有する分離状態で準備される装置である。供給ユニット38は準備ユニット30に一対のコッタ片120を装填するユニットである。
【0046】
準備ユニット30は、移動体31を備える。移動体31は、X方向に延設されたレール3aと係合して案内され、不図示の駆動機構によってX方向に移動可能である。駆動機構としては、例えば、モータを駆動源としたボールねじ機構やラック−ピニオン機構である。移動体31の移動によって、準備ユニット30は、供給ユニット38から一対のコッタ片120の供給を受ける受入位置と、コッタ組付ヘッド7に一対のコッタ片120を供給する排出位置と、の間で移動する。受入位置とは、
図5の状態ST12や状態ST13に示す位置である。排出位置とは、
図6の状態ST14〜ST16に示す位置である。
【0047】
移動体31には、一対のコッタ片120を収容する複数の収容器32が搭載されている。本実施形態の場合、収容器32はX方向に三つ設けられており、その配置は、コッタ組付ヘッド7のX方向の配置に対応している。
【0048】
収容器32の下方には、複数の駆動ピン35と、複数の駆動ピン35を支持する支持板36が設けられている。駆動ピン35は収容器
32毎に設けられている。移動体には、また、支持板36を昇降する複数の昇降ユニット37が搭載されている。
【0049】
図6および
図7を参照して、収容器32は筒状の部材であって、その天部には、一対のコッタ片120が分離状態で収容される半円柱型の一対の収容穴321が形成されている。
【0050】
収容器32は、また、収容穴321と連通した軸穴322がZ方向に形成されている。この軸穴322には押上部材33が収容されている。押上部材33の上端部には溝332が形成されており、これにより二股に分岐した一対の押上部331が形成されている。各押上部331は、対応する収容穴321に進入可能な半円形型の断面を有する柱体である。
【0051】
押上部材33と収容器32との間には、弾性部材34が設けられている。弾性部材34は本実施形態の場合、コイルスプリングであり、コイルスプリングにより押上部材33が下方へ付勢される。押上部材33が下方に位置している場合、一対の収容穴321に一対のコッタ片120を挿入することが可能である。
【0052】
駆動ピン35は押上部材33と同軸上に配置されており、昇降ユニット37の駆動により駆動ピン35が上昇されると、押上部材33が押し上げられる。これにより、押上部材33は弾性部材34の付勢に抗して上昇され、押上部材33の各押上部331により一対の収容穴321に収容された一対のコッタ片120が上方へ押し上げられる。
【0053】
図5を参照して、供給ユニット38から準備ユニット30へ一対のコッタ片120を装填する動作を説明する。状態ST11は初期状態を示している。駆動ピン35は下降位置にあり、したがって、押上部材33は
図8に示したように下方に位置し、一対の収容穴321は一対のコッタ片120を収容可能な状態にある。
【0054】
次に、準備ユニット30を受入位置に移動する。本実施形態の場合、供給ユニット38に対して三つの収容器32を順番に対向させて一対のコッタ片120を供給する。しかし、複数の供給ユニット38を設けて複数の収容器32に同時に一対のコッタ片120を供給してもよい。
【0055】
状態ST12は供給ユニット38に対して三つの収容器32のうちの一つ(同図で右端の収容器32)を対向させ、一対のコッタ片120を一対の収容穴321に装填している状態を示す。供給ユニット38は、収容器32の上から一対のコッタ片120を落下もしくは押し出すようにして一対の収容穴321に一対のコッタ片120を装填する。
【0056】
続いて準備ユニット30を移動させて別の収容器32に一対のコッタ片120を収容する。状態ST13は、供給ユニット38に対して三つの収容器32のうちの別の一つ(同図で中央の収容器32)を対向させ、一対のコッタ片120を一対の収容穴321に装填している状態を示す。こうして全ての収容器32に一対のコッタ片120が装填される。
【0057】
以上により複数組の一対のコッタ片120が分離状態で準備される。次に、一対のコッタ片120をコッタ組付ヘッド7へ排出(供給)する動作に移る。
図6を参照してその動作を説明する。
【0058】
まず、準備ユニット30を排出位置(コッタ供給位置)へ移動する。状態ST14は準備ユニット30が排出位置へ移動した状態を示す。三つの収容器32と、六つのコッタ組付ヘッド7のうちの三つのコッタ組付ヘッド7とがZ方向に対向した位置関係になる。
【0059】
次に、状態ST15に示すように、昇降ユニット55bによって、三つのコッタ組付ヘッド7が一対のコッタ片120を受け取り可能な位置まで下降される。続いて、状態ST16に示すように、昇降ユニット37の駆動により駆動ピン35が上昇され、押上部材33が押し上げられる。これにより三つの収容器32に収容された三組の一対のコッタ片120が分離状態のまま、三つのコッタ組付ヘッド7へ押し出される。三つのコッタ組付ヘッド7は、押し出された一対のコッタ片120を分離状態のまま、それぞれ保持する。
【0060】
以上により、三つのコッタ組付ヘッド7に一対のコッタ片120がそれぞれ供給される。本実施形態の場合、コッタ組付ヘッド7は六つあるので、
図5および
図6の動作を二回繰り返すことで、六つのコッタ組付ヘッド7の全てに一対のコッタ片120が供給されることになる。
【0061】
<リテーナ供給機>
リテーナ供給機4について
図9を参照して説明する。
図9はリテーナ供給機4の平面図およびリテーナ組付ヘッド6およびリテーナ組付ヘッド6の移動に関わる移動ユニット5を示す立面図である。
【0062】
リテーナ供給機4は、準備ユニット40と、供給ユニット43とを備える。準備ユニット40は、リテーナ組付ヘッド6がリテーナ130を保持可能なように準備する装置である。供給ユニット43は準備ユニット40にリテーナ130を装填するユニットである。
【0063】
準備ユニット40は、ターンテーブル41とターンテーブル41を回転させる駆動ユニット42とを含む。ターンテーブル41は円盤状の部材であり、Z方向と平行な軸周りに回転可能である。ターンテーブル41上には、周方向に等ピッチで複数の載置部411が配列されている。本実施形態の場合、載置部411はリテーナ130が載置される凹部である。図中、リテーナ130が載置されている載置部411は灰色に着色し、リテーナ130が載置されていない載置部411は白抜きとしている。駆動ユニット42は例えばモータと減速機とから構成される。
【0064】
状態ST21は、供給ユニット43から準備ユニット40へリテーナ130を装填する動作を示している。ターンテーブル41は間欠的に回転され、供給ユニット43は、その供給口の直下に位置する載置部411にリテーナ130を排出して載置する。こうして各載置部411にリテーナ130が準備される。
【0065】
次に、リテーナ組付ヘッド6がリテーナ130を取り出す動作について説明する。まず、リテーナ組付ヘッド6が、リテーナ130の供給を受ける供給位置に移動される。三つのリテーナ組付ヘッド6のうち、最初にリテーナ130の供給を受けるリテーナ組付ヘッド6と、ターンテーブル41の規定部位とがZ方向に対向した位置関係になる。ターンテーブル
41の回転が停止され、状態ST22に示すように昇降ユニット55aによって全リテーナ組付ヘッド6が下降され、最初にリテーナ130の供給を受けるリテーナ組付ヘッド6が載置部411からリテーナ130を取り出す。
【0066】
次に、昇降ユニット55aによって全リテーナ組付ヘッド6が所定量上昇される。その後、ターンテーブル
41を回転させて規定部位にリテーナ130が載置された載置部411を位置させた後、二番目にリテーナ130の供給を受けるリテーナ組付ヘッド6と、ターンテーブル
41の規定部位とが対向させられる。状態ST23に示すように昇降ユニット55aによって全リテーナ組付ヘッド6が下降され、二番目にリテーナ130の供給を受けるリテーナ組付ヘッド6が載置部411からリテーナ130を取り出す。本実施形態の場合、リテーナ組付ヘッド6は三つあるので、三番目のリテーナ組付ヘッド6についても同様の手順でリテーナ130を取り出す。こうして、全リテーナ組付ヘッド6にリテーナ130が保持された状態となる。
【0067】
<組付動作>
バルブステム112に対するリテーナ130の組付動作について
図10および
図11を参照して説明する。概説すると、本実施形態の場合、リテーナ組付ヘッド6によって、バルブスプリング140上にリテーナ130が載置され、その後、コッタ組付ヘッド7によって一対のコッタ片120を介してリテーナ130がバルスステム112の上端部113に組み付けられる。
【0068】
状態ST31は、全リテーナ組付ヘッド6にそれぞれリテーナ130が保持され、また、全コッタ組付ヘッド7にそれぞれ一対のコッタ片120が分離状態で保持されている状態を示している。シリンダヘッド100は、吸気側または排気側の一方の六つのバルブ110がZ方向に指向した姿勢で支持装置2上に支持されている。
【0069】
次に状態ST32に示すように、移動ユニット5によってリテーナ組付ヘッド6が組付位置へ移動される。この移動は、三つのリテーナ組付ヘッド6を、組付対象の六つのバルブ110のうちの三つのバルブ110上に水平移動する動作と、三つのリテーナ組付ヘッド6を昇降ユニット55aによって下降させて所定の位置で停止させる動作と、を含む。詳細は後述するが、リテーナ組付ヘッド6を下降させて所定の位置で停止させることでリテーナ130がバルブスプリング140上に載置される。
【0070】
次に状態ST33に示すように、移動ユニット5によってリテーナ組付ヘッド6を供給位置へ移動して新たなリテーナ130を供給する。また、移動ユニット5によってコッタ組付ヘッド7を組付位置へ移動する。この移動は、六つのコッタ組付ヘッド7のうちの三つのコッタ組付ヘッド7を、リテーナ130が載置された三つのバルブ110上に水平移動する動作と、三つのコッタ組付ヘッド7を昇降ユニット55
bによって下降させ所定の位置で停止させる動作と、を含む。詳細は後述するが、コッタ組付ヘッド7を下降させて所定の位置で停止させることでリテーナ130が一対のコッタ片120を介してバルブステム112に組み付けられる。以上により、組付対象の六つのバルブ110のうちの三つのバルブ110に対する組付作業が完了する。
【0071】
次に、組付対象の六つのバルブ110のうちの残り三つのバルブ110に対するリテーナ130の組付作業が行われる。状態ST34に示すように、移動ユニット5によってコッタ組付ヘッド7が一旦退避させられ、リテーナ130の供給を受けたリテーナ組付ヘッド6が移動ユニット5によって組付位置へ移動される。この移動は、三つのリテーナ組付ヘッド6を、組付対象の残り三つのバルブ110上に水平移動させる動作と、三つのリテーナ組付ヘッド6を昇降ユニット55
bによって下降させて所定の位置で停止させる動作と、を含む。リテーナ組付ヘッド6を下降させて所定の位置で停止させることでリテーナ130がバルブスプリング140上に載置される。
【0072】
次に状態ST35に示すように、移動ユニット5によってリテーナ組付ヘッド6を供給位置へ移動させ、新たなリテーナ130がリテーナ組付ヘッド6に供給される。また、移動ユニット5によってコッタ組付ヘッド7が組付位置へ移動される。この移動は、六つのコッタ組付ヘッド7のうち、一対のコッタ片120を保持している三つのコッタ組付ヘッド7を、リテーナ130が載置された三つのバルブ110上に水平移動させる動作と、三つのコッタ組付ヘッド7を昇降ユニット55aによって下降させて所定の位置で停止させる動作と、を含む。コッタ組付ヘッド7を下降させて所定の位置で停止させることでリテーナ130が一対のコッタ片120を介してバルブステム112に組み付けられる。以上により、吸気側または排気側の一方の六つのバルブ110に対する組付作業が完了する。
【0073】
次に、吸気側または排気側の他方の六つのバルブ110に対する組付作業が開始される。状態ST36に示すように、回動ユニット24によりシリンダヘッド100が回動され、吸気側または排気側の他方の六つのバルブ110がZ方向に指向した姿勢とされる。また、各リテーナ組付ヘッド6にリテーナ130が、また、各コッタ組付ヘッド7に一対のコッタ片120がそれぞれ保持される。これにより、状態ST31と同様の状態となる。以降、上述した手順で吸気側または排気側の他方の六つのバルブ110に対する組付作業が行われる。
【0074】
<リテーナ組付ヘッド>
リテーナ組付ヘッド6について
図12〜
図15を参照して説明する。まず、
図12を参照してリテーナ組付ヘッド6の構造を説明する。
図12はリテーナ組付ヘッド6の一部を断面または破断して表した図である。
【0075】
リテーナ組付ヘッド6は、リテーナ130を保持する保持ユニット60と、保持ユニット60で保持されたリテーナ130を押し出す押出ユニット63とを含む。保持ユニット60は、複数の保持部材61と、複数の保持部材61を開閉する駆動ユニット62とを含む。押出ユニット63は、押出部材64と、押出部材64をリテーナ組付ヘッド6の昇降方向、つまりZ方向に沿って進退可能に支持する支持部材65と、付勢ユニット66と、を備える。
【0076】
本実施形態の場合、保持部材61は二つ設けられているが三つ以上であってもよい。各保持部材61はZ方向に延びるアーム状の部材であり、二つの保持部材61は互いに平行に、Y方向に対向するように配置されている。二つの保持部材61は押出部材64の周囲に設けられており、押出部材64は、Y方向に離間している二つの保持部材61の真ん中に位置している。
【0077】
各保持部材61の下端部には、リテーナ130の周縁部に当接自在な当接部611が形成されている。当接部611はL字型の爪状をなし、リテーナ130のフランジ部の側面と下面に当接する。換言すると、両当接部611により、リテーナ130のフランジ部が保持される。各保持部材61の途中部分には、Y方向に貫通したスリット612が形成されている。一方の保持部材61のスリット612には押出部材64の位置を検知するために用いる検知片67が挿通される。
【0078】
駆動ユニット62は二つの保持部材61を開閉させるアクチュエータであり、二つの保持部材61は、矢印で示すように、近接および離間する方向(Y方向)に平行移動される。駆動ユニット62は例えば、エアシリンダ、電動シリンダ、あるいは、モータを駆動源としたボールねじ機構やラックピニオン機構等により構成される。
【0079】
押出部材64は、Z方向に延びる円柱体であり、その下端部には係合部641を有している。係合部641はリテーナ130の中央の穴に緩やかに嵌合される突起部であり、ここでは円錐台形状である。
【0080】
支持部材65は、Z方向に延びる筒体であり、その中心にはZ方向に延びる軸穴651が形成されている。押出部材64は軸穴651に挿入され、かつ、Z方向の移動が案内される。押出部材64の上部には軸穴651と連通した収容室652が形成されている。収容室652には付勢ユニット66が収容されている。
【0081】
本実施形態の場合、付勢ユニット66は弾性部材、特にコイルバネであり、支持部材65の天部と押出部材64の上部との間に配置されている。付勢ユニット66は駆動源を含むものであってもよいが、本実施形態のように弾性部材とすることで、簡易な構成とすることができる。
【0082】
付勢ユニット66により、押出部材64は支持部材65から抜け出る進出方向(Z方向で下方向)に付勢される。
図12に示すように、押出部材64は、最下位置にある場合に、保持部材61の下端の当接部611よりも下方へ突出している。換言すると、押出部材64は、最下位置にある場合に、リテーナ130の保持位置よりも下方へ突出している。
【0083】
収容室652の周壁には検知片67が挿通されるスリット653が形成されている。検知片67は水平方向(
図12中ではY方向)に延びるロッド部材(ドグ)であり、その一端が押出部材64の上部に固定されている。
【0084】
リテーナ組付ヘッド6は、また、押出部材64の位置を検知するセンサ68を備える。センサ68はセンサ支持部材69によって、一方の保持部材61の側方に配置されている。センサ68は、ドグ67の近接/離間を検知する近接センサである。センサ68としては、近接センサの他に、透過型の光センサも適用可能である。この場合、その発光素子と受光素子との間の光を検知片67が遮ることで、検知片67の存在が検知される。
【0085】
図13〜
図15を参照してリテーナ組付ヘッド6の動作について説明する。
図13はリテーナ組付ヘッド6がリテーナ供給機4からリテーナ130を取り出す動作(
図9の動作)を示している。
【0086】
状態ST41はリテーナ組付ヘッド6が、ターンテーブル41の規定位置上に位置している状態を示す。二つの保持部材61は互いに離間した開位置に位置している。
リテーナ組付ヘッド6を昇降ユニット55aによって下降させると、押出部材64の係合部641がリテーナ130の中央の穴に挿入される。さらにリテーナ組付ヘッド6を下降させると、付勢ユニット66の付勢に抗して押出部材64が支持部材65内に押し込まれる。
【0087】
さらにリテーナ組付ヘッド6を下降させて押出部材64を支持部材65内に押し込み、状態ST42に示すように、検知片67がセンサ68に検知される位置に到達すると、センサ68が検知片67を検知し、リテーナ組付ヘッド6の下降が停止される。
【0088】
検知片67がセンサ68により検知されると、状態ST43に示すように駆動ユニット62によって二つの保持部材61が互いに近接した閉位置に移動され、各当接部611がリテーナ130に当接する。そして、リテーナ組付ヘッド6を昇降ユニット55aによって上昇させることで、リテーナ130が載置部411から取り出される。付勢ユニット66はZ方向に収縮しており、その弾性力によって押出部材64には下方へ移動する(突出しようとする)力が作用し続ける。しかし、その突出しようとする力は、リテーナ130のフランジ部を各保持部材61の当接部611が保持することで拘束される。こうしてリテーナ130はリテーナ組付ヘッド6の下端部に保持される。以上により、リテーナ130の取出動作が完了する。
【0089】
図14はリテーナ組付ヘッド6がリテーナ130をバルブスプリング140上に載置する動作(
図10の状態ST32の動作、
図11の状態ST34の動作)を示している。
【0090】
状態ST51は、リテーナ組付ヘッド6が組付位置の上方に位置している状態を示している。押出部材64とバルブステム112とは同軸上に位置している。状態ST52に示すように、昇降ユニット55aによってリテーナ組付ヘッド6が組付位置まで下降されて停止される。リテーナ組付ヘッド6の昇降高さは、昇降ユニット55aに設けたセンサ(例えば昇降部材552の位置を検知するセンサ)により検知される。
【0091】
続いて状態ST53に示すように、駆動ユニット62によって二つの保持部材61を互いに離間した開位置に移動させ、リテーナ130の保持が解除される。これにより、付勢ユニット66の弾性力によって押出部材64が下方へ突出され、リテーナ130がバルブスプリング140側へ押し出される。このとき、リテーナ130の中心の穴には、押出部材64の係合部641が挿入されたままであり、リテーナ130の保持が維持される。
【0092】
リテーナ130の保持解除と同時に、昇降ユニット55aによってリテーナ組付ヘッド6が組付位置から上昇される。このとき、リテーナ組付ヘッド6は上昇されるものの、付勢ユニット66の弾性力によって押出部材64は下方へ移動されることから、リテーナ130がバルブスプリング140側へ押し出され、バルブスプリング140上に載置される。このとき、リテーナ130の中心の穴に、バルブステム112の上端部113の一部が挿入され、これによって、バルブスプリング140上からリテーナ130が脱落することが防止される。
【0093】
本実施形態の場合、押出部材64がリテーナ130を押し出すことが可能であるため、状態ST52の組付位置(停止位置)は、リテーナ130がバルブスプリング140に載置される位置よりも高い位置とすることができる。
図15はその説明図である。
図15の状態ST52は
図14の状態ST52におけるリテーナ130の周辺を拡大した図であり、
図15の状態ST55は、リテーナ130の組み付け(バルブスプリング140へのリテーナ130の載置)が完了した状態を示す図である。
【0094】
図15の状態ST52に示すように、リテーナ組付ヘッド6の下降が停止される組付位置は、リテーナ130のフランジ部の下面がバルブスプリング140の上面よりも高い位置となるように設定されている。同図の例では、組付後のリテーナ130の位置よりもHだけ高い位置に設定されている。この後、
図14の状態ST53、ST54に示したように、リテーナ130の保持の解除とリテーナ組付ヘッド6の上昇とが開始される。この解除と上昇は同時に行ってもよい。
【0095】
このように、リテーナ130がバルブスプリング140に載置される前にリテーナ組付ヘッド6の下降を停止し、上昇に転じさせることで、リテーナ組付ヘッド6の下降移動長及び上昇移動長を短くすることができ、サイクルタイムを短縮することができる。また、リテーナ130の保持を解除する段階ではバルブスプリング140が自然状態(付勢力が作用していない状態)にあるので、リテーナ130を載置したときにバルブスプリング140の反力を受けてリテーナ130が不安定な挙動に至ることを防止できる。リテーナ130の保持を解除すると、リテーナ130はバルブスプリング140と押出部材64との間に挟まれた状態となるので、リテーナ130が不安定な挙動に至ることが引き続き防止される。
【0096】
<コッタ組付ヘッド>
コッタ組付ヘッド7について
図16〜
図25を参照して説明する。まず、
図16および
図17を参照してコッタ組付ヘッド7の全体構造を説明する。
図16はコッタ組付ヘッド7の斜視図、
図17はコッタ組付ヘッド7の一部を断面または破断して表した図である。
【0097】
コッタ組付ヘッド7は、保持ユニット70と、収容部材78とを備える。収容部材78には分離状態の一対のコッタ片120が収容される。保持ユニット70は、収容部材78に収容された一対のコッタ片120を分離状態で保持し、かつ、分離状態を解除して一対のコッタ片120をバルブステム112の上端部113に押圧可能な機構を備える。まず、保持ユニット70の構成について説明する。
【0098】
保持ユニット70は、保持ベース部材71と、支持部材72と、一対の押圧部材75と、を含む。支持部材72はZ方向に延びる筒状の部材であり、その中心にはZ方向に延びる軸穴721が形成されている。この軸穴721には分離部材73が挿入され、軸穴721により分離部材73のZ方向の移動が案内される。
【0099】
支持部材72の上部には、軸穴721と連通した収容室723が形成されている。収容室723には弾性部材744が収容されている。弾性部材744は、本実施形態の場合、コイルバネであり、支持部材72の天部と、分離部材73の上部に設けられた円板状のボス部733との間に配置され、分離部材73を下方へ付勢している。ボス部733の外径は分離部材73の外径よりも大径とされている。
【0100】
支持部材72の下部には、軸穴721と連通した収容室724が形成されている。収容室724内に収容部材78を挿入することで、収容室724に対して収容部材78が位置決め、固定される。
【0101】
支持部材72の中央部から下部にかけて、Y方向の両側部には、それぞれ、溝722が形成されている。この溝722には押圧部材75が配置されている。各押圧部材75は、Z方向に延びるアーム状の部材であり、軸751によって支持部材72に対して揺動自在に支持されている。
【0102】
各押圧部材75の下端部は内側に曲折された押圧部752を備える。この押圧部752の端部がコッタ片120の周面に当接してコッタ片120を押圧する。各押圧部材75の上端部における内側面と、支持部材72の側壁との間には、弾性部材76が配置されている。弾性部材76は、押圧部材75の上端部における内側面を径方向外側に付勢し、これによって、各押圧部752が互いに近接する方向(閉位置方向)に付勢される。
【0103】
支持部材72には、支持部材(ブラケット)77aが取り付けられ、この支持部材77aにアクチュエータ77が支持されている。アクチュエータ77は、各押圧部材75の上端部と対向する部分にそれぞれ配置される。アクチュエータ77は、例えば、電動シリンダやエアシリンダである。各アクチュエータ77は、それらの駆動によって、弾性部材76の付勢に抗して各押圧部材75の上端部を支持部材72側に押圧し、これによって、各押圧部752が互いに離間する方向(開位置方向)に移動される。本実施形態では、アクチュエータ77を押圧部材75毎に設けているが、二つの押圧部材75で一つのアクチュエータを共用し、リンク機構により駆動力を各押圧部材75に分配する構成でもよい。
【0104】
保持ベース部材71の下面側に、支持部材72の上端部が固定され、保持ベース部材71の上面側に、分離部材73をZ方向に昇降する駆動ユニット74が支持される。分離部材73および駆動ユニット74について、
図18も参照して説明する。
図18は分離部材73の斜視図、分離部材73の下端部の機能説明図および駆動ユニット74の一部の構成の説明図である。
【0105】
駆動ユニット74は、アクチュエータ741と、一対のリンク742と、上述した弾性部材744と、を含む。
【0106】
アクチュエータ741は、例えば、電動シリンダやエアシリンダである。アクチュエータ741のロッド部は、Z方向に進退し、その先端部に矩形体状の係合部材741aを備えている。
【0107】
一対のリンク742は、支持部材72の上端部付近に設けた一対の溝725を挿通してY方向に延設されている。一対のリンク742の各端部は、X軸方向と平行に設けられる軸743a、743bで連結されている。軸743aは、保持ベース部材71の下面側に吊設されたブラケット711に設けられた孔(図示せず)に挿通されており、その位置が不変とされる。軸743bは、係合部材741aに設けられた長孔(図示せず)に挿通される。各リンク742の中央部には、上方向に突出した当接部742aが形成されている。
【0108】
アクチュエータ741のロッド部を後退駆動(
図17中では上方に移動)させることにより、係合部材741aが上昇され、
図18に矢印で示すように係合部材741aに挿通された軸743bが上昇される。軸743aの位置は固定されているので、一対のリンク742が軸743aを中心として回動され(
図17中では反時計回り)、当接部742aがボス部733の下面に当接し、ボス部733が持ち上げられる。これによりボス部733と一体に接続された分離部材73が上方に持ち上げられる。アクチュエータ741のロッド部を後退駆動させることにより、分離部材73は弾性部材744の付勢に抗して上方向に移動され、アクチュエータ741の駆動停止により、分離部材73は弾性部材744の付勢によって下方向に移動される。
【0109】
分離部材73は、Z方向に延びる円柱状の部材である。
図18に示すように、分離部材73の下端部には、バルブステム112の上端部113を挿入可能な、下方に開放したスリット状の開口部732が形成されており、これにより分離部材73の下端部は、二股に分岐した一対のスペーサ部731を形成している。各スペーサ部731は、コッタ供給機3から分離状態で供給される一対のコッタ片120間に介在し、一対のコッタ片120を分離状態で維持可能である。分離部材73を駆動ユニット74で上方に移動させて、スペーサ部731が一対のコッタ片120間から退避されることで、一対のコッタ片120の分離状態が解除される。このように分離部材73と駆動ユニット74とは、スペーサ部731が一対のコッタ片120間に介在する状態と、一対のコッタ片120の分離が解除された状態との切り換えを行うシャッタ機構を構成している。
【0110】
図19〜
図21を参照して収容部材78の構造と機能について説明する。まず、
図19と
図20を参照して収容部材78の構成について説明する。
図19は収容部材78の上方からと下方からの二種類の斜視図であり、
図20は
図19のI-I線断面図である。
【0111】
収容部材78は、上壁部781と、側壁部(周壁部)782および783とを備え、これらによって画定される内部の収容室780を有している。収容室780は、その下方が開口780cによって開放した空間であり、上壁部781と側壁部782とにより画定される上側の収容部780bと、側壁部783により画定される下側の収容部780aとを含む。
【0112】
収容部780aは、一対のコッタ片120を収容する空間であり、コッタ供給機3から分離状態で供給される一対のコッタ片120は、収容部780aに下方から挿入される。収容部780bはバルブステム112の上端部113の上部を収容する空間である。バルブステム112の上端部113も収容部780aおよび収容部780bに下方から挿入される。
【0113】
収容部780aと収容部780bとは上下に連続して設けられており、収容部780bの横断面形状は略楕円形状で、収容部780aの横断面形状は略円形である。収容部780bは収容部780aよりも断面積が小さくなるように設けられている。
【0114】
上壁部781には、Z方向に貫通する一対の穴781bが形成されている。この穴781bは分離部材73の一対のスペーサ部731が挿通可能な大きさおよび形状に設けられる。分離部材73の一対のスペーサ部731は、駆動ユニット74によって分離部材73を収容部材78に対してZ方向(挿抜方向)に移動させることで、収容部材78の上方から収容室780の中央部へ挿抜自在である。
【0115】
収容室780の内壁面は、上壁部781の下面である上壁781aと、側壁部782、783の内面である側壁782a、783aと、収容部780aと収容部780bとの境界である水平な段差部784とを含む。側壁782a、783aには、スペーサ部731や一対のコッタ片120の周面に倣うように起伏が設けられている。
【0116】
側壁部782には、Y方向の両側部に、それぞれ有底の溝782bが形成されている。この溝782bに押圧部材75が側方から挿入され、押圧部材75の干渉が回避される。側壁部783には、Y方向の両側部に、それぞれ、収容部780aと連通した溝783bが形成されている。この溝783bにより、押圧部材75の押圧部752が収容部780a内に進入することが可能となる。つまり、押圧部材78の回動による押圧部752の開閉動作によって、押圧部752は収容部材78の両側方から収容室780内への進入/退避が自在である。
【0117】
収容部材78の底部785には、リテーナ130の上面に当接される当接部785aが形成されている。当接部785aは開口780cを囲繞するように、リテーナ130の上面の形状に倣った円錐台形状に形成されている。
【0118】
図21を参照して、収容室780における一対のコッタ片120やバルブステム112の上端部113の収容態様について説明する。状態ST61は分離状態の一対のコッタ片120が収容部780aに収容された状態を示している。収容室780内に挿入され、収容部(コッタ収容部)780a内に収容された一対のコッタ片120は、各上端面がそれぞれ段差部784に当接される。これにより、収容部材78に対する一対のコッタ片120のZ方向の絶対位置が定まる。段差部784を当接部784、または第一の位置決め基準部あるいは第一の位置決め基準面と呼ぶ場合がある。
【0119】
状態ST62は分離状態の一対のコッタ片120が収容部780aに収容されると共に、バルブステム112の上端部113が収容部780bに収容された状態を示している。収容室780内に挿入され、収容部(バルブステム収容部)780b内に収容されたバルブステム112は、上端面115が上壁781aに当接される。これにより、収容部材78に対するバルブステム112のZ方向の絶対位置が定まる。これらの結果、収容部材78に対して、一対のコッタ片120及びバルブステム112のZ方向の絶対位置が定まり、一対のコッタ片120とバルブステム112の相対位置関係が一義的に定まる。上壁781aを当接部781a、または第二の位置決め基準部あるいは第二の位置決め基準面と呼ぶ場合がある。
【0120】
状態ST63は、状態ST62から一対のコッタ片120を閉じ合わせてそれらの端面を当接させ、バルブステム112の係合部114と係合させた状態を示している。本実施形態の場合、係合部114は複数の突条を有しており、一対のコッタ片120はこの突条に係合する複数の溝部を有している。
【0121】
本実施形態では、バルブステム112と、一対のコッタ片120とは、収容部材78を基準として、互いに、物理的、機械的にZ方向の位置決めが行われる。当接部781aと当接部784との距離を、バルブステム112の上端面115から係合部114までの距離に合わせて設計すれば、理論上、必ずバルブステム112と、一対のコッタ片120とがZ方向において位置決めされる。換言すると、バルブステム112と一対のコッタ片120との相対位置関係は、収容部材78及び分離部材73の設計・製造精度によって一義的に定まる。よって、一対のコッタ片120とバルブステム112との係合にあたって、これらの位置ずれが生じることがない。特に、係合部114が複数の突条を有し、一対のコッタ片120が複数の溝部を有している場合、より高い位置決め精度が要求されるが、本実施形態では、その位置決め精度の要求に対応することが可能となる。
【0122】
図22は、状態ST62に対応する組付作業時における、収容部材78周辺の構成の破断斜視図と、II-II線断面図を示している。破断斜視図においては一対の押圧部材75のうちの一方の図示を省略している。
【0123】
一対のコッタ片120は、スペーサ部731と収容室780の内壁との間に収容されている。一対のコッタ片120は、押圧部材75の押圧部752によって収容室780の中央部に向けて付勢されているが、一対のコッタ片120間にはスペーサ部731が介在している。したがって、一対のコッタ片120は
図21の状態ST63に示したように閉じ合わさることはなく、バルブステム112の上端部113が挿通可能な隙間を有する分離状態が維持される。また、一対のコッタ片120は、一対のスペーサ部731と押圧部752とに挟持され、コッタ組付ヘッド7に保持される。換言すると、各押圧部752が、一対のコッタ片120の各外周面を収容室780の中央部、すなわち一対のスペーサ部731に向けて付勢した状態で、一対のコッタ片120がコッタ組付ヘッド7に保持される。
【0124】
図23〜
図25を参照してコッタ組付ヘッド7の動作について説明する。
図23はコッタ組付ヘッド7がコッタ供給機3から一対のコッタ片120の供給を受ける動作(
図5、
図6の動作)を示している。
【0125】
状態ST71は、供給ユニット38から収容器32の一対の収容穴321に一対のコッタ片120を装填している状態を示す。状態ST72は、収容器32とコッタ組付ヘッド7とがZ方向に対向した状態を示す。アクチュエータ77の駆動により、押圧部材75が開位置に回動される。分離部材73は降下した位置にある。
【0126】
昇降ユニット55bによりコッタ組付ヘッド7を下降させて収容部材78の開口780cを収容器32の上面に当接させると共に、状態ST73に示すように図示しない昇降ユニットにより押上部材33が押し上げられる。これにより、一対のコッタ片120が収容室780の下方から収容部780aに進入され、かつ、当接部784に当接されることによりZ方向の位置決めがなされる。また、一対のスペーサ部731が一対のコッタ片120間に介在されることで、一対のコッタ片120が互いに近接することが阻止される。
【0127】
状態ST74に示すように、アクチュエータ77による付勢が停止され、弾性部材76の付勢により、押圧部材75が閉位置に回動される。一対のコッタ片120は押圧部752とスペーサ部731との間に挟持され、コッタ組付ヘッド7に保持された状態となる。以上により一対のコッタ片120の取り出し(ピックアップ)動作が完了する。
【0128】
図24および
図25はコッタ組付ヘッド7がバルブステム112に一対のコッタ片120を介してリテーナ130を組み付ける動作(
図10の状態ST33、
図11の状態ST35の動作)を示している。
【0129】
状態ST81は、コッタ組付ヘッド7が組付位置の上方に位置している状態を示している。分離部材73とバルブステム112とは同軸上に位置している。バルブスプリング140上には、前工程(
図15における状態ST55)によってリテーナ130が載置されている。
【0130】
状態ST82に示すように、昇降ユニット55bによってコッタ組付ヘッド7が組付位置まで下降され停止される。その過程で収容部材78の当接部785aがリテーナ130の上面と当接すると共に、バルブステム112に対してリテーナ130を押し下げ、バルブスプリング140が圧縮される。更に、バルブステム112の上端部113がスペーサ部731間の開口部732に進入され、その上端面115が当接部781aと当接することで、バルブステム112(バルブ110)が下方へ押し下げられる。
【0131】
バルブ110が下方へ押し下げられると、これを上方向に付勢していたバルブ支持ユニット22の当接部材221も押し下げられる。その後、当接部材221が検知位置Pに達したことがセンサ23a、23bで検知されるとコッタ組付ヘッド7の下降が停止される。
【0132】
状態ST83は、コッタ組付ヘッド7の下降停止時における収容部材78周辺の態様を示しており、
図22に示した状態となっている。左側は主にバルブステム112の位置を、右側は主にスペーサ部731の位置を示している。一対のコッタ片120間にはスペーサ部731が介在しており、バルブステム112の上端部113が挿通可能な隙間を有する分離状態が維持されている。コッタ組付ヘッド7の下降途中でバルブステム112の上端面115が当接部781aと当接され、収容部材78に対するバルブステム112のZ方向の位置決めがなされている。これにより、バルブステム112の係合部114と一対のコッタ片120とのZ方向の位置決めが完了する。コッタ組付ヘッド7の下降停止位置は、バルブステム112の上端面115が当接部781aと確実に当接する位置に設定される。
【0133】
次に、アクチュエータ741の駆動により、状態ST84に示すように、分離部材73が上昇され、一対のスペーサ部731が一対のコッタ片120間から退避される。一対のコッタ片120は、一対の押圧部752によって収容室780の中央部へ向かって付勢されているので、スペーサ部731の退避によって分離状態が解除され、一対のコッタ片120はバルブステム112の上端部113へ押圧される。一対のコッタ片120は収容室780の中央部側へ移動され、互いの端面が当接して閉じ合わさる。これにより状態ST85に示すように、係合部114に一対のコッタ片120が係合した状態となる。
【0134】
続いて昇降ユニット55bによってコッタ組付ヘッド7が組付位置から上昇される。コッタ組付ヘッド7が上昇されている間も、一対のコッタ片120は、一対の押圧部752によって収容室780の中央部へ向かって付勢されているので、分離状態に戻ることはない。コッタ組付ヘッド7を上昇することにより、バルブスプリング140の弾性復帰力でリテーナ130も押し上げられ、状態ST86に示すように、その中央の穴に一対のコッタ片120が挿入される。その後もバルブスプリング140の弾性復帰力は作用し続けるものの、一対のコッタ片120によってリテーナ130の更なる上昇が阻止され、バルブステム
112に対するリテーナ130の組付作業が完了する。
【0135】
本実施形態に係る組付方法によれば、一対のコッタ片120が予め分離された状態で保持され、バルブステム
112に対して組み付けられる。このため、各コッタ片120の分離不良という現象は起こりえなくなる。これに加えて、一対のコッタ片120は、コッタ組付ヘッド7の収容部材78に対する各コッタ片120の姿勢が規定の状態(完全に分離した状態)となるように、第一の位置決め基準部による姿勢決め及び位置決めがなされる。そして、この姿勢及び位置が整えられた各コッタ片120が、この状態のまま保持され、バルブステム
112に対して供給されることになる。また、バルブステム
112は、コッタ組付ヘッド7の収容部材78に対する上下方向の位置が規定の位置となるように、第二の位置決め基準部により姿勢決め及び位置決めがなされる。これらの結果、一対のコッタ片120とバルブステム112の、上下方向及び水平方向における相対位置関係が一義的に定まる。
【0136】
よって、本実施の形態に係る組付方法によれば、バルブステム112の上端部113に対して、一対のコッタ片120が、必ず同じ姿勢及び同じ位置関係で供給されることになる。したがって、装置の調整を行うことなく、換言するとトライアル&エラーを積み重ねることなく、容易に、かつ、高い精度で、バルブステム112の上端部113に一対のコッタ片120によってリテーナ130を組み付けることができる。また、本実施の形態に係る組付装置は、調整レスであるため、速やかに装置の立ち上げを行うことができ、工期の短縮に大きな効果がある。
【0137】
本発明は上記実施の形態に制限されるものではなく、本発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、本発明の範囲を公にするために、以下の請求項を添付する。