(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
乗場に車椅子専用呼びボタンと一般呼びボタンとが設けられ、前記車椅子専用呼びボタンが操作されると車椅子乗場呼びを登録し、該車椅子乗場呼びの応答時に車椅子用制御を行う車椅子兼用エレベータの乗場呼び登録方法であって、
前記車椅子専用呼びボタンと前記一般呼びボタンの双方が操作された場合に、一方が操作されてから他方が操作されるまでの操作間隔が閾値以上であれば、前記車椅子専用呼びボタンの操作に応じた車椅子乗場呼びを登録し、前記操作間隔が前記閾値未満であれば、前記車椅子専用呼びボタンの操作に応じた車椅子乗場呼びを無効として、前記一般呼びボタンの操作に応じた一般乗場呼びを登録することを特徴とする車椅子兼用エレベータの乗場呼び登録方法。
前記車椅子専用呼びボタンと前記一般呼びボタンの双方が操作された後に車椅子利用者が乗りかごに乗車したか否かの判定結果を前記操作間隔と対応付けて操作履歴として蓄積し、
蓄積した前記操作履歴を分析することにより前記閾値を決定することを特徴とする請求項1に記載の車椅子兼用エレベータの乗場呼び登録方法。
前記車椅子専用呼びボタンと前記一般呼びボタンの双方が操作された後に車椅子利用者が乗りかごに乗車したか否かを、乗りかご内に設けられた車椅子専用行先階ボタンの操作の有無に基づいて判定することを特徴とする請求項3に記載の車椅子兼用エレベータの乗場呼び登録方法。
前記操作間隔が前記閾値以上であっても、前記車椅子専用呼びボタンに対する操作が所定時間内に連続して行われた場合は、前記車椅子専用呼びボタンの操作に応じた車椅子乗場呼びを無効として前記一般呼びボタンの操作に応じた一般乗場呼びを登録することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の車椅子兼用エレベータの乗場呼び登録方法。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態の車椅子兼用エレベータの乗場呼び登録方法について、図面を参照しながら詳細に説明する。本実施形態は、乗場に設けられた車椅子専用呼びボタンと一般呼びボタンの双方を車椅子利用者でない一般の乗客が操作した場合に、車椅子専用呼びボタンの操作に応じた車椅子乗場呼びを無効として、その乗場では車椅子用制御を行わないようにすることで、不要な車椅子用制御に起因する運転効率の低下を抑制する。
【0009】
一般の乗客が車椅子専用呼びボタンと一般呼びボタンの双方を操作する場合には、一方が操作されてから他方が操作されるまでの操作間隔が比較的短くなる傾向がある。そこで本実施形態では、車椅子専用呼びボタンと一般呼びボタンの双方が操作された場合に、それらの操作間隔が閾値(例えば5秒)未満であれば車椅子専用呼びボタンの操作が一般の乗客によるものと推定し、この車椅子専用呼びボタンの操作に応じた車椅子乗場呼びを無効とする。
【0010】
<第1実施形態>
図1は、車椅子兼用エレベータの乗場の様子を示す図であり、
図2は、乗場呼び登録システムの構成例を示すブロック図である。車椅子兼用エレベータの乗場1には、
図1に示すように、一般の乗客が乗場呼びを行うための一般乗場操作盤2に加えて、車椅子利用者が乗場呼びを行うための車椅子専用乗場操作盤3が設けられている。乗場呼びとは、その乗場に乗りかごを移動させることを要求する操作をいう。
【0011】
一般乗場操作盤2と車椅子専用乗場操作盤3は、
図2に示すように、車椅子兼用エレベータの動作を制御するエレベータ制御盤10に接続され、これら一般乗場操作盤2、車椅子専用乗場操作盤3およびエレベータ制御盤10により乗場呼び登録システムが構成される。なお、
図2では、一般乗場操作盤2と車椅子専用乗場操作盤3を1つずつ図示しているが、これら一般乗場操作盤2と車椅子専用乗場操作盤3は、車椅子兼用エレベータがサービスする各階床の乗場1にそれぞれ設けられ、それら全てがエレベータ制御盤10に接続される。
【0012】
一般乗場操作盤2は一般呼びボタン4を備え、この一般呼びボタン4が操作されると、行先方向を指定した一般乗場呼び信号をエレベータ制御盤10に送信する。一方、車椅子専用乗場操作盤3は車椅子専用呼びボタン5を備え、この車椅子専用呼びボタン5が操作されると、行先方向を指定した車椅子乗場呼び信号をエレベータ制御盤10に送信する。なお、
図1に示す例では、一般乗場操作盤2と車椅子専用乗場操作盤3が行先方向ごと(上・下)に一般呼びボタン4や車椅子専用呼びボタン5を備える構成としているが、行先階ごとに一般呼びボタン4や車椅子専用呼びボタン5を備え、行先階を指定できる構成としてもよい。また、
図1に示す例では、一般乗場操作盤2と車椅子専用乗場操作盤3が近い位置に配置されているが、例えば乗場出入口を挟んで左右に配置するなど、一般乗場操作盤2と車椅子専用乗場操作盤3を離れた位置に配置してもよい。また、一般乗場操作盤2と車椅子専用乗場操作盤3を統合し、1つの乗場操作盤が一般呼びボタン4と車椅子専用呼びボタン5を備える構成としてもよい。
【0013】
エレベータ制御盤10は、乗場呼びを登録する乗場呼び登録部11と、登録された乗場呼びに応答するように乗りかごの運転を制御する運転制御部12とを備える。乗場呼びの登録とは、乗場呼びの情報を所定の記憶領域に記憶する処理をいう。乗り場呼びの応答とは、所定の記憶領域に記憶された乗場呼びの情報に基づいて、乗りかごを実際に乗場に移動させる動作をいう。応答済みの乗場呼びの情報は、所定の記憶領域から削除される。
【0014】
車椅子兼用エレベータでは、乗場呼びとして、一般呼びボタン4の操作に応じた一般乗場呼びと、車椅子専用呼びボタン5の操作に応じた車椅子乗場呼びとがあり、通常は、一般乗場呼びよりも車椅子乗場呼びが優先される。すなわち、同じ乗場で一般乗場呼びと車椅子乗場呼びがあった場合、車椅子乗場呼びが登録される。車椅子乗場呼びが登録されると、その車椅子乗場呼びの応答時に、運転制御部12によって車椅子用制御が行われる。車椅子用制御は、車椅子利用者が乗りかごに乗り込む際の安全性を考慮した制御であり、例えば、乗りかごが完全に停止してからドアを開放させる停止戸開制御や、ドアの開放時間を通常よりも長くする戸開延長制御などを含む。
【0015】
車椅子用制御は、車椅子利用者の安全性向上を図る上で有効であるが、乗りかごが乗場1に停止している時間が長くなる。このため、一般の乗客が車椅子専用呼びボタン5を操作し、その操作に応じた車椅子乗場呼びが登録されて車椅子制御が行われると、乗りかごが乗場1に停止する時間が必要以上に長くなり、運転効率の低下を招く。そこで本実施形態では、乗場1の車椅子専用呼びボタン5と一般呼びボタン4の双方が操作された場合に、それらの操作間隔をもとに、車椅子乗場呼びを有効とするか無効とするかを判断する。
【0016】
具体的には、車椅子専用呼びボタン5と一般呼びボタン4の双方が操作された場合に、エレベータ制御盤10の乗場呼び登録部11が、それらの操作間隔を閾値(例えば5秒)と比較する。そして、操作間隔が閾値以上であれば、車椅子専用呼びボタン5の操作に応じた車椅子乗場呼びを有効とし、この車椅子乗場呼びを登録する。この場合、この車椅子乗場呼びの応答時に、運転制御部12によって車椅子用制御が行われる。一方、操作間隔が閾値未満であれば、車椅子専用呼びボタン5の操作に応じた車椅子乗場呼びを無効とし、一般呼びボタン4の操作に応じた一般乗場呼びを登録する。この場合、車椅子用制御は行われないことになる。
【0017】
エレベータ制御盤10の乗場呼び登録部11は、例えば、車椅子乗場呼び信号と一般乗場呼び信号のうち、先に受信した乗場呼び信号の受信時刻と次に受信した乗場呼び信号の受信時刻との差分を、上述の操作間隔として求めることができる。また、車椅子専用呼びボタン5が操作された場合に車椅子専用乗場操作盤3がその操作時刻を示すタイムスタンプを付加した車椅子乗場呼び信号を送信し、一般呼びボタン4が操作された場合に一般乗場操作盤2がその操作時刻を示すタイムスタンプを付加した一般乗場呼び信号を送信する構成であれば、これらのタイムスタンプの差分を、上述の操作間隔として求めるようにしてもよい。
【0018】
図3は、乗場呼び登録部11による処理手順の一例を示すフローチャートであり、一般呼びボタン4が先に操作された場合の処理の流れを示している。一般呼びボタン4が操作され、一般乗場操作盤2からエレベータ制御盤10に対して一般乗場呼び信号が送信されると、乗場呼び登録部11は、その一般乗場呼び信号を受信し(ステップS101)、一般乗場呼びを登録する(ステップS102)。
【0019】
その後、乗場呼び登録部11は、車椅子専用呼びボタン5が操作されたか否か、すなわち、車椅子専用乗場操作盤3から車椅子乗場呼び信号が送信されたか否かを監視し(ステップS103)、車椅子乗場呼び信号が送信されると(ステップS103:Yes)、この車椅子乗場呼び信号を受信し(ステップS104)、一般呼びボタン4が操作されてから車椅子専用呼びボタン5が操作されるまでの操作間隔を算出する(ステップS105)。そして、乗場呼び登録部11は、ステップS105で算出した操作間隔を所定の閾値と比較し(ステップS106)、操作間隔が閾値以上であれば(ステップS106:Yes)、車椅子乗場呼びを有効として、ステップS102で登録した一般乗場呼びを車椅子乗場呼びに変更する(ステップS107)。この場合、一般乗場呼びから変更して登録された車椅子乗場呼びの応答時に、上述の車椅子用制御が行われることになる。
【0020】
一方、ステップS105で算出した操作間隔が閾値未満の場合は(ステップS106:No)、車椅子乗場呼びは無効とし、ステップS102で登録した一般乗場呼びが維持される。また、一般乗場呼びを受信した後、車椅子乗場呼び信号が送信されない場合も(ステップS103:No)、ステップS102で登録した一般乗場呼びが維持される。これらの場合は、上述の車椅子用制御は行われない。
【0021】
図4は、車椅子専用呼びボタン5と一般呼びボタン4の双方が操作された場合の乗場呼び登録状況を示すタイミングチャートであり、一般呼びボタン4が先に操作された場合の例を示している。
【0022】
図4(a)および
図4(b)に示すように、時刻t1において一般呼びボタン4が操作されると、一般乗場呼びが登録される。その後、時刻t2において車椅子専用呼びボタン5が操作された場合、
図4(a)に示すように、操作間隔(t2−t1)が閾値Th未満であれば、一般乗場呼びの登録が維持されて、車椅子乗場呼びは登録されない。したがって、その乗場呼びの応答時に車椅子用制御は行われない。一方、
図4(b)に示すように、操作間隔(t2−t1)が閾値Th以上であれば、登録された一般乗場呼びに代えて車椅子乗場呼びが登録される。したがって、その乗場呼びの応答時には車椅子用制御が行われる。
【0023】
図5は、乗場呼び登録部11による処理手順の一例を示すフローチャートであり、車椅子専用呼びボタン5が先に操作された場合の処理の流れを示している。車椅子専用呼びボタン5が操作され、車椅子専用乗場操作盤3からエレベータ制御盤10に対して車椅子乗場呼び信号が送信されると、乗場呼び登録部11は、その車椅子乗場呼び信号を受信し(ステップS201)、車椅子乗場呼びを登録する(ステップS202)。
【0024】
その後、乗場呼び登録部11は、一般呼びボタン4が操作されたか否か、すなわち、一般乗場操作盤2から一般乗場呼び信号が送信されたか否かを監視し(ステップS203)、一般乗場呼び信号が送信されると(ステップS203:Yes)、この一般乗場呼び信号を受信し(ステップS204)、車椅子専用呼びボタン5が操作されてから一般呼びボタン4が操作されるまでの操作間隔を算出する(ステップS205)。そして、乗場呼び登録部11は、ステップS105で算出した操作間隔を所定の閾値と比較し(ステップS106)、操作間隔が閾値未満であれば(ステップS206:Yes)、車椅子乗場呼びを無効として、ステップS202で登録した車椅子乗場呼びを一般乗場呼びに変更する(ステップS207)。この場合、上述の車椅子用制御は行われない。
【0025】
一方、ステップS205で算出した操作間隔が閾値以上の場合は(ステップS206:No)、車椅子乗場呼びは有効とし、ステップS202で登録した車椅子乗場呼びが維持される。また、車椅子乗場呼びを受信した後、一般乗場呼び信号が送信されない場合も(ステップS203:No)、ステップS202で登録した車椅子乗場呼びが維持される。これらの場合は、登録された車位乗場呼びの応答時に、上述の車椅子用制御が行われることになる。
【0026】
図6は、車椅子専用呼びボタン5と一般呼びボタン4の双方が操作された場合の乗場呼び登録状況を示すタイミングチャートであり、車椅子専用呼びボタン5が先に操作された場合の例を示している。
【0027】
図6(a)および
図6(b)に示すように、時刻t1において車椅子専用呼びボタン5が操作されると、車椅子乗場呼びが登録される。その後、時刻t2において一般呼びボタン4が操作された場合、
図6(a)に示すように、操作間隔(t2−t1)が閾値Th未満であれば、登録された車椅子乗場呼びに代えて一般乗場呼びが登録される。したがって、その乗場呼びの応答時に車椅子用制御は行われない。一方、
図6(b)に示すように、操作間隔(t2−t1)が閾値Th以上であれば、登録された車椅子乗場呼びが維持される。したがって、その乗場呼びの応答時には車椅子用制御が行われる。
【0028】
以上説明したように、本実施形態によれば、乗場1の車椅子専用呼びボタン5と一般呼びボタン4の双方が操作された場合に、それらの操作間隔が閾値以上であれば車椅子乗場呼びを登録し、操作間隔が閾値未満であれば車椅子乗場呼びを無効として一般乗場呼びを登録するようにしている。したがって、車椅子専用呼びボタン5の操作が一般の乗客によるものと推定される場合に、その乗場呼びの応答時に車椅子用制御を行わないようにすることができ、車椅子利用者の安全性向上を図りながら運転効率の低下を有効に抑制することができる。
【0029】
<第2実施形態>
上述の第1実施形態では、操作間隔と比較される閾値が例えば5秒などの予め定めた固定の値であることを想定している。これに対し本実施形態では、操作間隔と比較される閾値を、乗場1の属性または時間帯に応じて設定される可変の値とする。
【0030】
操作間隔と比較される閾値は、乗場1における車椅子専用呼びボタン5の操作が車椅子利用者でない一般の乗客によるものであるかを判断するための閾値である。このため、一般の乗客が車椅子兼用エレベータを利用する頻度が高い階床や時間帯では、閾値を長めに設定して、一般の乗客による車椅子専用呼びボタン5の操作を多く検出できるようにすることが有効と考えられる。一方、車椅子利用者が車椅子兼用エレベータを利用する頻度が高い時間帯では、閾値を短めに設定して、車椅子利用者の操作を一般の乗客による操作であると誤って判断しないようにすることが有効と考えられる。
【0031】
そこで、本実施形態では、乗場1の属性または時間帯に応じて閾値を設定する。例えば、エントランス階の乗場1など、一般の乗客が多く利用する階床の乗場1に対しては閾値を長めに設定する。一方、例えばオフィスビルにおける車椅子利用者の執務スペースがある階の乗場1など、車椅子利用者が多く利用する階床の乗場1に対しては閾値を短めに設定する。また、オフィスビルにおける出勤時、退勤時、お昼休みなど、一般の乗客が車椅子兼用エレベータを利用する頻度が高い時間帯は、それ以外の時間帯よりも閾値を長めに設定するようにしてもよい。
【0032】
閾値の設定は、例えば、車椅子兼用エレベータの管理者が所定の端末をエレベータ制御盤10に接続し、階床や時間帯ごとの閾値として所望の値を入力することで行うことができる。階床ごとに閾値を設定した場合は、エレベータ制御盤10の乗場呼び登録部11が、車椅子乗場呼び信号や一般乗場呼び信号を受信したときに、送信元の乗場1の階床を判断し、操作間隔をその階床に対応する閾値と比較する。時間帯ごとに閾値を設定した場合は、エレベータ制御盤10の乗場呼び登録部11が、車椅子乗場呼び信号や一般乗場呼び信号を受信した時刻から時間帯を判断し、操作間隔をその時間帯に対応する閾値と比較する。
【0033】
以上説明したように、本実施形態によれば、操作間隔と比較される閾値を、乗場1の属性または時間帯に応じて設定するようにしているので、一般の乗客による車椅子専用呼びボタン5の操作をより精度よく検出することができる。
【0034】
<第3実施形態>
本実施形態は、上述の第2実施形態と同様に閾値を可変の値とするが、過去の操作履歴に基づいて最適な閾値を決定する機能を付加したものである。すなわち、本実施形態では、乗場1において車椅子専用呼びボタン5と一般呼びボタン4の双方が操作された後に車椅子利用者が乗りかごに乗車したか否かの判定結果を操作間隔と対応付けて操作履歴として蓄積し、蓄積した操作履歴を分析することにより閾値を決定する。
【0035】
図7は、本実施形態に係る乗場呼び登録システムの構成例を示すブロック図である。エレベータ制御盤10は、乗場呼び登録部11と運転制御部12に加え、かご呼び登録部13、操作履歴蓄積部14および閾値決定部15をさらに備える。
【0036】
車椅子兼用エレベータの乗りかご内には、一般の乗客が行先階を指定したかご呼びを行うための一般かご操作盤6に加えて、車椅子利用者が行先階を指定したかご呼びを行うための車椅子専用かご操作盤7が設けられ、これらがエレベータ制御盤10に接続されている。一般かご操作盤6は行先階ボタンを備え、この行先階ボタンが操作されると、行先方向を指定したかご呼び信号をエレベータ制御盤10に送信する。一方、車椅子専用かご操作盤7は車椅子専用行先階ボタンを備え、この車椅子専用行先階ボタンが操作されると、行先方向を指定した車椅子かご呼び信号をエレベータ制御盤10に送信する。かご呼びとは、指定した行先階に乗りかごを移動させることを要求する操作をいう。
【0037】
エレベータ制御盤10のかご呼び登録部は、一般かご操作盤6から一般かご呼び信号を受信すると一般かご呼びを登録し、車椅子専用かご操作盤7から車椅子かご呼び信号を受信すると車椅子かご呼びを登録する。車椅子かご呼びが登録された場合、その車椅子かご呼びへの応答時、つまり、車椅子かご呼びで指定された行先階に乗りかごが移動する際に、運転制御部12による車椅子用制御が行われる。
【0038】
乗りかご内で車椅子専用かご操作盤7の車椅子専用行先階ボタンが操作されるのは、車椅子利用者が乗りかごに乗車した場合である。したがって、車椅子専用行先階ボタンの操作の有無に基づいて、車椅子利用者が乗りかごに乗車したか否かを判定できる。本実施形態では、乗場1において車椅子専用呼びボタン5と一般呼びボタン4の双方が操作された場合に、エレベータ制御盤10が、乗りかご内の車椅子専用行先階ボタンの操作の有無に基づいて車椅子利用者が乗りかごに乗車したか否かを判定し、その判定結果を、車椅子専用呼びボタン5と一般呼びボタン4の操作間隔と対応付けて操作履歴として操作履歴蓄積部14に蓄積する。
【0039】
閾値決定部15は、操作履歴蓄積部14に所定量の操作履歴が蓄積された段階で操作履歴蓄積部14に蓄積された操作履歴を分析し、乗場1において車椅子専用呼びボタン5と一般呼びボタン4の双方が操作された後に実際に車椅子利用者が乗りかごに乗車した場合の操作間隔の傾向と、車椅子利用者が乗車しなかった場合の操作間隔の傾向から、両者を区別できる最適な閾値を決定する。閾値決定部15が最適な閾値を決定した場合、その後は、上述の乗場呼び登録部11での判定にその閾値が用いられる。
【0040】
なお、本実施形態では、車椅子利用者が乗りかごに乗車したか否かを、乗りかご内に設けられた車椅子専用行先階ボタンの操作の有無に基づいて判定するようにしているが、例えば乗りかご内に設置された監視カメラの映像を解析して車椅子利用者の有無を判定するなど、車椅子利用者が乗りかごに乗車したか否かを他の方法で判定してもよい。また、本実施形態では、操作履歴蓄積部14や閾値決定部15の機能をエレベータ制御盤10が備えるものとしたが、これらの機能をエレベータ制御盤10とは別の装置により実現してもよい。
【0041】
以上説明したように、本実施形態によれば、乗場1において車椅子専用呼びボタン5と一般呼びボタン4の双方が操作された後に車椅子利用者が乗りかごに乗車したか否かの判定結果を操作間隔と対応付けて操作履歴として蓄積し、蓄積した操作履歴を分析することにより閾値を決定するようにしているので、一般の乗客による車椅子専用呼びボタン5の操作をより精度よく検出することができる。
【0042】
<第4実施形態>
本実施形態は、車椅子乗場呼びのキャンセル機能を付加したものである。すなわち、本実施形態では、乗場1において車椅子専用呼びボタン5と一般呼びボタン4の双方が操作され、操作間隔が閾値以上である場合に、
図8に示すように、乗場1に設けられたスピーカ8から、車椅子用制御が行われる旨の音声アナウンスを出力する。そして、この音声アナウンスが出力された後に車椅子専用呼びボタン5が再度操作された場合は、車椅子乗場呼びをキャンセルして一般乗場呼びを登録する。
【0043】
図9は、本実施形態の乗場呼び登録部11による処理手順の一例を示すフローチャートであり、一般呼びボタン4が先に操作された場合の処理の流れを示している。なお、
図9のフローチャートにおけるステップS301からステップS306までの処理は、
図3のフローチャートにおけるステップS101からステップS106までの処理と同様であるため、説明を省略する。
【0044】
本実施形態では、ステップS306において操作間隔が閾値以上であると判定した場合(ステップS306:Yes)、その乗場1で車椅子用制御が行われる旨の音声アナウンスが、乗場1に設けられたスピーカ8から出力される(ステップS307)。その後、乗場呼び登録部11は、車椅子専用呼びボタン5が再度操作されたか否か、すなわち、車椅子専用乗場操作盤3から車椅子乗場呼び信号が送信されたか否かを監視し(ステップS308)、車椅子乗場呼び信号が送信されなければ(ステップS308:No)、ステップS302で登録した一般乗場呼びを車椅子乗場呼びに変更する(ステップS309)。一方、車椅子乗場呼び信号が送信された場合は(ステップS308:Yes)、車椅子乗場呼びをキャンセルし、ステップS302で登録した一般乗場呼びを維持する。
【0045】
図10は、本実施形態の乗場呼び登録部11による処理手順の一例を示すフローチャートであり、車椅子専用呼びボタン5が先に操作された場合の処理の流れを示している。なお、
図10のフローチャートにおけるステップS401からステップS406までの処理は、
図5のフローチャートにおけるステップS201からステップS206までの処理と同様であるため、説明を省略する。
【0046】
本実施形態では、ステップS406において操作間隔が閾値以上であると判定した場合(ステップS406:No)、その乗場1で車椅子用制御が行われる旨の音声アナウンスが、乗場1に設けられたスピーカ8から出力される(ステップS408)。その後、乗場呼び登録部11は、車椅子専用呼びボタン5が再度操作されたか否か、すなわち、車椅子専用乗場操作盤3から車椅子乗場呼び信号が送信されたか否かを監視し(ステップS409)、車椅子乗場呼び信号が送信されなければ(ステップS409:No)、ステップS402で登録した車椅子乗場呼びを維持する。一方、車椅子乗場呼び信号が送信された場合は(ステップS409:Yes)、車椅子乗場呼びをキャンセルし、ステップS402で登録した車椅子乗場呼びを一般乗場呼びに変更する(ステップS407)。
【0047】
以上説明したように、本実施形態によれば、車椅子専用呼びボタン5と一般呼びボタン4の双方が操作され、操作間隔が閾値以上である場合に、車椅子用制御が行われる旨の音声アナウンスを乗場1のスピーカ8から出力し、この音声アナウンスが出力された後に車椅子専用呼びボタン5が再度操作された場合は、車椅子乗場呼びをキャンセルして一般乗場呼びを登録するようにしている。したがって、車椅子専用呼びボタン5を操作した一般の乗客に対して車椅子乗場呼びをキャンセルする操作を促し、不要な車椅子用制御に起因する運転効率の低下をより有効に抑制することができる。
【0048】
<第5実施形態>
本実施形態は、車椅子専用呼びボタン5の操作態様から、一般の乗客による車椅子専用呼びボタン5の操作を検出する機能を付加したものである。一般の乗客が少しでも早くエレベータを利用したいと考えて車椅子専用呼びボタン5を操作する場合、車椅子専用呼びボタン5を短時間のうちに連続して操作(連打)することが多い。そこで、本実施形態では、乗場1において車椅子専用呼びボタン5と一般呼びボタン4の双方が操作され、操作間隔が閾値以上である場合であっても、車椅子専用呼びボタン5に対する操作が所定時間内に連続して行われた場合は、車椅子乗場呼びを無効として一般乗場呼びを登録する。
【0049】
図11は、本実施形態の乗場呼び登録部11による処理手順の一例を示すフローチャートであり、一般呼びボタン4が先に操作された場合の処理の流れを示している。なお、
図11のフローチャートにおけるステップS501からステップS506までの処理は、
図3のフローチャートにおけるステップS101からステップS106までの処理と同様であるため、説明を省略する。
【0050】
本実施形態では、ステップS506において操作間隔が閾値以上であると判定した場合(ステップS506:Yes)、車椅子専用呼びボタン5が所定時間内に連続して操作されたか否か、すなわち、ステップS504で所定時間内に連続して車椅子乗場呼び信号を受信したか否かを判定する(ステップS507)。そして、所定時間内に連続して車椅子乗場呼び信号を受信している場合は(ステップS507:Yes)、車椅子乗場呼びを無効とし、ステップS502で登録した一般乗場呼びを維持する。一方、所定時間内に連続して車椅子乗場呼び信号を受信していなければ(ステップS507:No)、車椅子乗場呼びを有効として、ステップS502で登録した一般乗場呼びを車椅子乗場呼びに変更する(ステップS508)。
【0051】
図12は、本実施形態の乗場呼び登録部11による処理手順の一例を示すフローチャートであり、車椅子専用呼びボタン5が先に操作された場合の処理の流れを示している。なお、
図12のフローチャートにおけるステップS601からステップS606までの処理は、
図5のフローチャートにおけるステップS201からステップS206までの処理と同様であるため、説明を省略する。
【0052】
本実施形態では、ステップS606において操作間隔が閾値以上であると判定した場合(ステップS606:No)、車椅子専用呼びボタン5が所定時間内に連続して操作されたか否か、すなわち、ステップS601で所定時間内に連続して車椅子乗場呼び信号を受信したか否かを判定する(ステップS608)。そして、所定時間内に連続して車椅子乗場呼び信号を受信している場合は(ステップS608:Yes)、車椅子乗場呼びを無効として、ステップS602で登録した車椅子乗場呼びを一般乗場呼びに変更する(ステップS607)。一方、所定時間内に連続して車椅子乗場呼び信号を受信していなければ(ステップS608:No)、ステップS602で登録した車椅子乗場呼びを維持する。
【0053】
以上説明したように、本実施形態によれば、乗場1において車椅子専用呼びボタン5と一般呼びボタン4の双方が操作され、操作間隔が閾値以上である場合であっても、車椅子専用呼びボタン5に対する操作が所定時間内に連続して行われた場合は、車椅子乗場呼びを無効として一般乗場呼びを登録するようにしている。したがって、一般の乗客による車椅子専用呼びボタン5の操作をさらに精度よく検出することができる。
【0054】
以上述べた少なくとも一つの実施形態によれば、車椅子利用者の安全性向上を図りながら運転効率の低下を有効に抑制することができる。
【0055】
以上、本発明の実施形態を説明したが、上述の実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。上述の実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【解決手段】実施形態の乗り場呼び登録方法は、乗場に車椅子専用呼びボタンと一般呼びボタンとが設けられ、前記車椅子専用呼びボタンが操作されると車椅子乗場呼びを登録し、該車椅子乗場呼びの応答時に車椅子用制御を行う車椅子兼用エレベータの乗場呼び登録方法であって、前記車椅子専用呼びボタンと前記一般呼びボタンの双方が操作された場合に、一方が操作されてから他方が操作されるまでの操作間隔が閾値以上であれば、前記車椅子専用呼びボタンの操作に応じた車椅子乗場呼びを登録し、前記操作間隔が前記閾値未満であれば、前記車椅子専用呼びボタンの操作に応じた車椅子乗場呼びを無効として、前記一般呼びボタンの操作に応じた一般乗場呼びを登録する。