【実施例】
【0039】
調製1
エチル4−アミノ−2−メチルスルファニル−ピリミジン−5−カルボキシレート
【化6】
スキーム1、ステップA:水酸化アンモニウム(8.4L、17重量%、6.86モル)を、室温で、1時間にわたってエチル4−クロロ−2−(メチルチオ)ピリミジン−5−カルボキシレート(4kg、10.74モル)のTHF(34.4L)溶液に添加した。4時間撹拌した後、水を添加し、混合物をMTBEで抽出した。有機相をブラインで洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗生成物を、石油エーテル(3L)を用いてスラリーにし、濾過し、真空下で乾燥させ、さらに精製を行うことなく、白色固体(3.5kg、純度89%、収率95%)として表題化合物をもたらした。MS(m/z):214(M+H)。
【0040】
調製2
2−メチルスルファニル−4−[[(1R)−1−メチル−2−テトラヒドロピラン−2−イルオキシ−エチル]アミノ]−ピリミジン−5−カルボキシレート
【化7】
スキーム1、ステップF:DIPEA(9.1mL、52mモル)及び(2R)−1−(tert−ブチルシリル)オキシプロパン−2−アミン(5.82g、30.7mモル)を、室温で、エチル4−クロロ−2−(メチルチオ)ピリミジン−5−カルボキシレート(6g、25.8mモル)のDMF(50mL)溶液に添加した。室温で10分間撹拌した後、混合物を65℃に1.5時間加熱し、室温に冷却し、水で処理し、EtOAcで(2×)抽出した。有機抽出物を、5%水性LiClで(3×)洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗物質(8.64g、22.4mモル)をTHF(100mL)中に溶解させ、テトラ−ブチルアンモニウムフッ化物(34mL、34mモル、THF中1M)で処理した。室温で30分間撹拌した後、反応物を濃縮し、乾燥させ、天然第一級アルコールをクロマトグラフィー(20〜40%EtOAc/ヘキサン)によって精製し、白色固体(4.94g、81%)として中間体アルコールを得た。この中間体アルコール(2.05g、7.56mモル)の一部を、CH
2Cl
2(40mL)中に懸濁させ、p−トルエン−スルホン酸一水和物(2.16g、11.4mモル)及び3,4−ジヒドロ−2H−ピラン(5.81mL、60.5mモル)で処理した。室温で1時間撹拌した後、混合液を、飽和水性NaHCO
3で急冷し、水相を追加のCH
2Cl
2で(2×)抽出した。組み合わせた有機抽出物をNa
2SO
4上で乾燥させ、濃縮し、所望の生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(0〜15%EtOAc/ヘキサン)によって精製し、無色油(このステップの場合2.60g、収率97%)を得た。MS(m/z):356(M+H)。
【0041】
以下の化合物を、調製2の方法によって実際に調製した。
【表1】
【0042】
調製4
(4−アミノ−2−メチルスルファニル−ピリミジン−5−イル)メタノール
【化8】
スキーム1、ステップB:LiAlH
4(13.9L、14モル、THF中1M)を、−5℃で1.5時間にわたってエチル4−アミノ−2−スルファニル−ピリミジン−5−カルボキシレート(3.5kg、16.4モル)のTHF(45L)溶液に添加した。−5〜0℃で1時間撹拌した後、氷水(525mL)及び15%水性NaOH(525mL)を添加し、続いて追加の氷水(1.6L)を添加した。0℃で30分間急冷した後、反応混合物を濾過し、濾塊をTHF(1L)で洗浄した。組み合わせたTHFの洗浄物を(Na
2SO
4)で乾燥させ、濾過し、濃縮し、得られた粗生成物を、石油エーテル/EtOAc(3:1、2L)の混合物中でスラリーにし、濾過し、再度乾燥させ、さらに精製することなく、黄色固体(2.1kg、純度82%、収率75%)として表題化合物をもたらした。MS(m/z):172(M+H)。
【0043】
以下の化合物を、調製4の方法によって実際に調製した。
【表2】
【0044】
調製7
7−メチルスルファニル−1,4−ジヒドロピリミド[4,5−d][1,3]オキサジン−2−オン
【化9】
スキーム1、ステップC:トリホスゲン(859g、2.9モル)を、−30℃で、15分にわたって(4−アミノ−2−メチルスルファニル−ピリミジン−5−イル)メタノール(900g、5.26モル)のTHF(22.5L)溶液に添加した。反応温度を−35〜−30℃に維持しながら、DIPEA(2.449g、18.92モル)を1時間にわたって添加した。次に、反応混合物を氷水(30L)に注ぎ、2−メチルテトラヒドロフラン(10L)を添加した。有機相を水及びブラインで洗浄した。有機相を、Na
2SO
4上で乾燥させ、濃縮して乾燥させた。粗生成物を、石油エーテル/EtOAc(1:1)を用いてスラリーにし、濾過し、濃縮して、さらに精製を行うことなく、黄色固体を得た(890.5g、1.62モル、純度83%、収率86%)。MS(m/z):198(M+H)。
【0045】
以下の化合物を、調製7の方法によって実際に調製した。
【表3】
【0046】
調製10
1−エチル−7−(メチルチオ)−1,4−ジヒドロ−2H−ピリミド[4,5−d][1,3]オキサジン−2−オン
【化10】
スキーム1、ステップD:7−メチルスルファニル−1,4−ジヒドロピリミド[4,5−d][1,3]オキサジン−2−オン(280g、1.42モル)のNMP(2.24L)溶液に、室温で、K
2CO
3(294.2g、2.13モル)及びヨウ化エチル(336.3g、1.99モル)を添加した。混合物を、50℃で16時間撹拌し、次にCH
2Cl
2(3L)及び水(6L)で希釈した。有機相を分離し、水及びブラインで洗浄し、濃縮し、乾燥させ、粗表題化合物(286g、1.27モル、純度83%、収率91%)を得た。MS(m/z):226(M+H)。
【0047】
以下の化合物を、調製10の方法によって実際に調製した。
【表4】
【0048】
代替調製10
1−エチル−7−(メチルチオ)−1,4−ジヒドロ−2H−ピリミド[4,5−d][1,3]オキサジン−2−オン
【化11】
窒素雰囲気下にて、7−メチルスルファニル−1,4−ジヒドロピリミド[4,5−d][1,3]オキサジン−2−オン(325g、1648.0mモル)とDMF(2.4L)とを共に添加した。次に、この透明溶液に、炭酸セシウム(660g、2025.61mモル)を添加し、混合物を30分間撹拌した。ヨードエタン(170mL、2120mモル)を、20℃で30分にわたって滴下添加した。反応混合物を、その温度で2.5時間撹拌した。反応混合物を、氷水とブライン(1:1、12L)にゆっくりと注いだ。得られたスラリーを、2時間撹拌した。固体を濾過し、水で(2×2L)洗浄し、気流による真空下、3日にわたって乾燥させ、黄色固体(318g、純度99%、87%)として化合物を得た。MS(m/z):226(M+H)。
【0049】
調製13
1−メチル−7−メチルスルファニル−4H−ピリミド[4,5−d][1,3]オキサジン−2−オン
【化12】
スキーム1、ステップD:トリフェニルホスフィン(1.61g、6.08mモル)及び7−メチルスルファニル−1,4−ジヒドロピリミド[4,5−d][1,3]オキサジン−2−オン(1.00g、5.07mモル)のTHF(25mL)溶液に、室温で、MeOH(0.248mL、6.08mモル)を添加し、続いてDIAD(1.21mL、6.08mモル)を、周囲温度にて滴下添加した。一晩撹拌した後、減圧下で溶媒を除去し、得られた黄色油を、シリカゲルクロマトグラフィー(40〜50%EtOAc/ヘキサン)によって精製し、白色固体(1.08g、5.11mモル、定量)として表題化合物を得た。MS(m/z):212(M+H)。
【0050】
以下の化合物を、調製13の方法によって実際に調製した。
【表5】
【0051】
調製15
1−エチル−7−(メチルスルホニル)−1,4−ジヒドロ−2H−ピリミド[4,5−d][1,3]オキサジン−2−オン
【化13】
スキーム1、ステップE:撹拌した1−エチル−7−(メチルチオ)−1,4−ジヒドロ−2H−ピリミド[4,5−d][1,3]オキサジン−2−オン(286g、1.24モル)のACN(2.8L)溶液及び水(1.4L)中に、固体としてペルオキソ一硫酸カリウム(1526g、2.48モル)を添加し、得られた混合物を、10〜20℃で16時間撹拌した。反応混合物を濾過し、得られた濾塊をCH
2Cl
2で洗浄した。組み合わせた濾液及びCH
2Cl
2を、5%Na
2SO
3、水、及びブラインで洗浄した。有機相を、Na
2SO
4上で乾燥させ、濃縮し、表題化合物(113.8g、純度93%、収率41%)をもたらした。MS(m/z):258(M+H)。
【0052】
以下の化合物を、調製15の方法によって実際に調製した。
【表6】
【0053】
代替調製15
1−エチル−7−(メチルスルホニル)−1,4−ジヒドロ−2H−ピリミド[4,5−d][1,3]オキサジン−2−オン
【化14】
1−エチル−7−メチルスルファニル−4H−ピリミド[4,5−d][1,3]オキサジン−2−オン(550g、2.44モル)を、ACN(7L)及び水(3L)と組み合わせた。この溶液に、12.5℃で、ペルオキソ一硫酸カリウム(3070g、4.9モル)を、10回に分けて100分にわたって添加した。この温度で3時間撹拌した後、固体を濾過し、DCM(4L)で洗浄した。層を分離し、有機層を、5%Na
2SO
3(3L)、水(2L)、ブライン(2L)で連続して洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥させた。有機層を濾過し、組み合わせ、減圧下にて濃縮した。溶媒の95%を濃縮した後、沈殿した固体を濾過し、いくつかの色のついた不純物を除去した。濾過した固体を2回ACNで(2×500mL)洗浄し、気流による真空下で乾燥させ、最初のロットとして生成物340gを得た。母液を減圧下にて濃縮し、乾燥させた。次に残留物を、最少量のACNで粉砕し、固体を濾過し、二番物34gを得た。組み合わせたロットにより、オフホワイト固体として表題化合物(374g、60%)を得た。MS(m/z):258(M+H)。
【0054】
調製17
7−メチルスルホニル−1−[(1R)−1−メチル−2−テトラヒドロピラン−2−イルオキシ−エチル]−4H−ピリミド[4,5−d][1,3]オキサジン−2−オン
【化15】
スキーム1、ステップI:7−メチルスルファニル−1−[(1R)−1−メチル−2−テトラヒドロピラン−2−イルオキシ−エチル]−4H−ピリミド[4,5−d][1,3」オキサジン−2−オン(700mg、2.06mモル)のCH
2Cl
2(10mL)懸濁液を、室温で、mCPBA(1.07g、4.5mモル、70〜75%試薬等級)で処理した。20分後、固体を濾過し、追加のCH
2Cl
2で洗浄した。有機濾液を組み合わせ、NaHCO
3飽和水溶液(2×)及びブラインで洗浄し、(Na
2SO
4)で乾燥させ、濾過し、濃縮して乾燥させた。物質をシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、無色油(589mg、77%)として表題化合物を得た。MS(m/z):372(M+H)。
【0055】
以下の化合物を、調製17の方法によって実際に調製した。
【表7】
【0056】
調製22
(S)−(4−(1−アミノエチル)フェニル)メタノール
【化16】
スキーム2、ステップJ:反応の温度を30℃未満に維持しながら、撹拌したメチル(S)−4−(1−アミノエチル)ベンゾエート(100g、558mモル)のTHF(2.2L)溶液に、LiAlH
4(560mL、560mモル、THF中1M)を1時間にわたって添加した。反応混合物を2時間撹拌し、次いで0℃に冷却した。水(100mL)を滴下添加し、続いて無水Na
2SO
4(1kg)を添加し、得られた混合物を一晩撹拌した。混合物を、珪藻土を通して濾過し、得られた白色固体を真空下で乾燥させ、表題化合物(81.8g、97%)を得た。MS(m/z):135(M+NH
2)。
【0057】
調製23
(1S)−1−[4−(クロロメチル)フェニル]塩酸エタンアミン
【化17】
スキーム2、ステップK:反応温度を25℃未満に維持しながら、(S)−(4−(1−アミノエチル)フェニル)メタノール(81.8g、541mモル)のCH
2Cl
2(2.5L)溶液に、SOCl
2(80mL、1.1mモル)を、30分にわたって滴下して添加した。形成された厚い沈殿物を、反応にわたって溶解させた。4時間撹拌した後、混合物を濃縮して黄色固体を得た。ACN(1L)を添加し、混合物を500mLに濃縮し、得られた固体を濾過し、真空下で乾燥させたオフホワイト固体を得た。生成物を、乾燥後にオフホワイト固体として得、母液も濃縮して、黄色固体として純度がより低い生成物(約20g)をもたらした。2つの生成物のロットを組み合わせ、表題化合物(111g、78%)を得た。MS(m/z):170(M+H)。
【0058】
調製24
tert−ブチル4−[[4−[(1S)−1−[(2,2,2−トリフルオロアセチル)アミノ]エチル]フェニル]−メチル]−ピペラジン−1−カルボキシレート
【化18】
スキーム2、ステップL:(1S)−1−[4−(クロロメチル)フェニル]塩酸エタンアミン(10g、48.5mモル)のCH
2Cl
2(160mL)溶液に、0℃で、トリフルオロ無水酢酸(8.2mL、58mモル)を添加した。添加温度を5℃未満に維持しながら、TEA(15mL、108mモル)を添加した。0℃で1時間撹拌した後、反応混合物を濃縮し、乾燥させ、ACN(120mL)を添加し、続いてtert−ブチルピペラジン−1−イルカルボネート(13.5g、72.5mモル)を添加した。K
2CO
3(20g、144.7mモル)を添加し、混合物を60℃に加熱し、17時間撹拌した。溶媒を真空で除去し、EtOAc(1L)を添加した。固体を濾過除去し、EtOAcを水及びブラインで洗浄した。有機相をNa
2SO
4上で乾燥させ、濾過し、濃縮して乾燥させた。得られた粗生成物を、シリカゲルクロマトグラフィー(10〜50%アセトン/CH
2Cl
2)によって精製し、白色泡(15.8g、78%)として表題化合物を得た。MS(m/z):416(M+H)。
【0059】
調製25
tert−ブチル4−[[4−[(1S)−1−アミノエチル]フェニル]メチル]ピペラジン−1−カルボキシレート
【化19】
スキーム2、ステップM、サブステップ1:tert−ブチル4−[[4−[(1S)−1−[(2,2,2−トリフルオロアセチル)アミノ]エチル]フェニル]−メチル]−ピペラジン−1−カルボキシレート(203g、0.489モル)のEtOH(2.4L)溶液に、室温で、5Mの水性NaOH(480mL、2.40モル)を添加した。室温で3.5時間撹拌した後、反応混合物を濃縮し、EtOHの大部分を除去した。EtOAc(2L)を添加し、残留物を溶解し、溶液を水及びブラインで洗浄した。組み合わせた水相を、EtOAcで(2×)抽出した。組み合わせた有機抽出物をNa
2SO
4上で乾燥させ、濾過し、濃縮して乾燥させ、さらに精製を行うことなく、黄色粘性油(156g、93%)として粗表題化合物を得た。MS(m/z):320(M+H)。
【0060】
調製26
tert−ブチル4−[[4−[(1S)−1−[(1−イソプロピル−2−オキソ−4H−ピリミド[4,5−d][1,3]オキサジン−7−イル)アミノ]エチル]フェニル]メチル]ピペラジン−1−カルボキシレート
【化20】
スキーム2、ステップM、サブステップ2:tert−ブチル4−[[4−[(1S)−1−アミノエチル]フェニル]メチル]ピペラジン−1−カルボキシレート(46.7g、136mモル)及び1−イソプロピル−7−メチルスルホニル−4H−ピリミド[4,5−d][1,3]オキサジン−2−オン(40.6g、150mモル)のDMSO(272mL)溶液に、CsF(20.7g、136mモル)及びDIPEA(23.7mL、136mモル)を添加した。混合物を、75〜80℃で17時間、撹拌した。次に、混合物を室温に冷却し、水(1.2L)で希釈し、EtOAcで(3×)抽出し、ブラインで洗浄し、(Na
2SO
4)で乾燥させ、濾過し、濃縮して乾燥させた。得られた粗生成物を、シリカゲルクロマトグラフィー(30〜60%のアセトン/CH
2Cl
2)によって精製し、白色泡(54g、78%)として表題化合物を得た。MS(m/z):511(M+H)。
【0061】
調製27
1−イソプロピル−7−[[(1S)−1−[4−(ピペラジン−1−イルメチル)フェニル]エチル]アミノ]−4H−ピリミド[4,5−d][1,3]オキサジン−2−オン塩酸塩
【化21】
スキーム2、ステップN、サブステップ1:内部温度を35℃未満に維持しながら、tert−ブチル4−[[4−[(1S)−1−[(1−イソプロピル−2−オキソ−4H−ピリミド[4,5−d][1,3]オキサジン−7−イル)アミノ]エチル]フェニル]メチル]ピペラジン−1−カルボキシレート(54g、106mモル)のジオキサン(270mL)溶液に、HCl(264mL、ジオキサン中4M)を添加した。次に、MeOH(100mL)を添加し、撹拌を促進した。混合物を、30℃で2時間撹拌し、次に濃縮し、真空下で乾燥させた白色固体を得た。乾燥後、さらに精製を行うことなく、淡黄色固体(60g、定量)として表題生成物を得た。MS(m/z):411(M+H)。
【0062】
調製28
tert−ブチル4−[[4−[(1S)−1−[(1−エチル−2−オキソ−4H−ピリミド[4,5−d][1,3]オキサジン−7−イル)アミノ]エチル]フェニル]メチル]ピペラジン−1−カルボキシレート
【化22】
スキーム2、ステップN、サブステップ1:tert−ブチル4−[[4−[(1S)−1−アミノエチル]フェニル]メチル]ピペラジン−1−カルボキシレート(52g、151.4mモル)及び1−エチル−7−メチルスルホニル−4H−ピリミド[4,5−d][1,3]オキサジン−2−オン(42.8g、166mモル)のDMSO(300mL)溶液に、CsF(23g、151.4mモル)及びDIPEA(26.5mL、152mモル)を添加した。混合物を、75〜80℃で4時間、撹拌した。混合物を室温に冷却し、水(1.2L)で希釈し、EtOAcで(3×)抽出し、ブラインで洗浄し、(Na
2SO
4)で乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗生成物を、シリカゲルクロマトグラフィー(50〜75%[10%EtOH/CH
2Cl
2]/ヘキサン)によって精製し、白色泡(53.3g、71%)を得た。MS(m/z):497(M+H)。
【0063】
以下の化合物を、調製28の方法によって実際に調製した。
【表8-1】
【表8-2】
【表8-3】
【表8-4】
【0064】
代替調製28
tert−ブチル4−[[4−[(1S)−1−[(1−エチル−2−オキソ−4H−ピリミド[4,5−d][1,3]オキサジン−7−イル)アミノ]エチル]フェニル]メチル]ピペラジン−1−カルボキシレート
【化23】
tert−ブチル4−[[4−[(1S)−1−アミノエチル]フェニル]メチル]ピペラジン−1−カルボキシレート(400g、1252mモル)とDMSO(2.2L)とを、共に加えた。次に、この溶液に、1−エチル−7−メチルスルホニル−4H−ピリミド[4,5−d][1,3]オキサジン−2−オン(325g、1200.1mモル)、CsF(200g、1316.59mモル)及びDIPEA(240mL、1380mモル)を連続して添加した。次いで、反応混合物を75℃で5時間加熱し、室温に暖め、一晩穏やかに撹拌した。反応混合物を、氷冷水/ブライン(1:1)にゆっくりと注いだ。沈殿した固体を濾過し、水で(2×1.5L)洗浄し、一晩、気流による真空下で乾燥させた。得られた湿塊(800g)を、さらに精製することなく先に進めた。
【0065】
調製46
1−エチル−7−[[(1S)−1−[4−(ピペラジン−1−イルメチル)フェニル]エチル]アミノ]−4H−ピリミド[4,5−d][1,3]オキサジン−2−オン塩酸塩
【化24】
スキーム2、ステップN、サブステップ1:内部温度を30℃未満に維持しながら、tert−ブチル4−[[4−[(1S)−1−[(1−エチル−2−オキソ−4H−ピリミド[4,5−d][1,3]オキサジン−7−イル)アミノ]エチル]フェニル]メチル]ピペラジン−1−カルボキシレート(48.3g、97.3mモル)のジオキサン(140mL)とMeOH(100mL)との混合物溶液に、20分にわたって、HCl(ジオキサン中4M、243mL)を添加した。混合物を、30℃で1時間撹拌し、次にそれを濃縮して乾燥させ、真空下で一晩乾燥させ、白色固体をもたらし、表題化合物(54g、定量)を得た。MS(m/z):397(M+H)。
【0066】
以下の化合物を、調製46の方法によって実際に調製した。
【表9】
【0067】
代替調製46
1−エチル−7−[[(1S)−1−[4−(ピペラジン−1−イルメチル)フェニル]エチル]アミノ]−4H−ピリミド[4,5−d][1,3]オキサジン−2−オン
【化25】
粗湿tert−ブチル−4−[[4−[(1S)−1−[(1−エチル−2−オキソ−4H−ピリミド[4,5−d][1,3]オキサジン−7−イル]アミノ]エチル]フェニル]メチル]ピペラジン−1−カルボキシレート(800g、理論上1252mモル)を、1,4−ジオキサン(2L)中に溶解させた。HCl(3.6L、29.2モル、水性8モル/L)を、約30分にわたって15℃で冷却しながら添加し、続いてDCM(1L)を添加した。層を分離し、酸性溶液をDCMで(2×500mL)洗浄した。室温で、水相に20%Na
2CO
3を添加し、pH9.5〜10にした。DCM(1L)を添加し、層を分離し、水層をDCMで(2×500mL)抽出した。組み合わせた有機抽出物を、ブラインで洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥させ、濃縮し、黄色発泡性油になるまで乾燥させ、それを90:9:1〜70:29:1のヘキサン、DCM、EtOHで溶出するシリカゲル濾過により精製し、黄色泡性固体として表題化合物(219g、2ステップで53%)を得た。MS(m/z):397(M+H)。
【0068】
調製49
アリル4−[[4−[(1S)−1−アミノエチル]フェニル]メチル]ピペラジン−1−カルボキシレートジヒドロクロリド
【化26】
スキーム2、ステップL、サブステップ2:圧力容器に、(1S)−1−[4−(クロロメチル)フェニル]塩酸エタンアミン(850mg、4.12mモル)、アロック−N−ピペラジン(1.43g、8.25mモル)、K
2CO
3(1.71g、12.4mモル)及びACN(20.6mL)を備え付けた。得られた懸濁液に覆いをし、60℃で24時間加熱し、次に濃縮した。粗白色固体を、MeOH/CH
2Cl
2中の0〜10%7N−NH
3を使用してシリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、所望の生成物と未反応のアロック−N−ピペラジンとの混合物をもたらした。この物質を、逆相クロマトグラフィー(0〜100%ACN/水性10mM NaHCO
3)によって再精製し、無色油(900mg、71%)として表題化合物を得た。MS(m/z):171(M+H)。
【0069】
以下の化合物を、調製49の方法によって実際に調製した。
【表10】
【0070】
調製52
1−イソブチル−7−[[(1S)−1−[4−(ピペラジン−1−イルメチル)フェニル]エチル]アミノ]−4H−ピリミド[4,5−d][1,3]オキサジン−2−オン
【化27】
スキーム2、ステップN、サブステップ1、アリル4−[[4−[(1S)−1−[(1−イソブチル−2−オキソ−4H−ピリミド[4,5−d][1,3]オキサジン−7−イル)アミノ]エチル]−フェニル]メチル]ピペラジン−1−カルボキシレート(1.15g、2.26mモル)を、THF(22.6mL)中に溶解させた。ジメドン(3.27g、22.6mモル)及びPd(PPh
3)
4(131mg、0.113mモル、5モル%)を連続して添加し、混合物を、室温で30分間撹拌した。反応混合物を、MeOHで予め洗浄したSCXカートリッジに送った。不要な試薬をMeOHで溶出し、所望の生成物をMeOH中の2N NH
3で溶出した。アンモニア化溶出液を濃縮して、白色固体(980mg、定量)として表題化合物を得た。
【0071】
調製53
tert−ブチル3−[[4−[(1S)−1−アミノエチル]フェニル]メトキシ]アゼチジン−1−カルボキシレート
【化28】
スキーム2、ステップL、サブステップ2:tert−ブチル3−ヒドロキシアゼチジン−1−カルボキシレート(4.19g、23.7mモル)を、DMA(23.7mL)中に溶解させ、NaH(1.4g、35.6mモル、60重量%)を、室温で添加した。3分間撹拌した後、(1S)−1−[4−(クロロメチル)フェニル]塩酸エタンアミン(2.44g、11.9mモル)を、最少量のDMA中に添加し、反応物を1時間撹拌した。混合物を、半飽和ブラインで希釈し、EtOAcで(3×)抽出した。有機抽出物を組み合わせ、(MgSO
4)で乾燥させ、濾過し、濃縮して、残留DMAを含有する黄色油として粗生成物をもたらした。生成物にはさらに精製を行わなかった(収率100%と想定):MS(m/z):307(M+H)。
【0072】
調製54
7−[[(1S)−1−[4−(アゼチジン−3−イルオキシメチル)フェニル]エチル]アミノ]−1−エチル−4H−ピリミド[4,5−d][1,3]オキサジン−2−オン
【化29】
スキーム2、ステップN、サブステップ1:tert−ブチル3−[[4−[(1S)−1−[(1−エチル−2−オキソ−4H−ピリミド[4,5−d][1,3]オキサジン−7−イル)アミノ]エチル]フェニル]メトキシ]アゼチジン−1−カルボキシレート(1.85g、3.83mモル)をCH
2Cl
2(29mL)中に溶解させ、TFA(2.89mL、38.3mモル)を0℃で添加し、冷浴が室温へと効力を失う間に6時間撹拌した。溶媒及び酸を真空によって除去し、淡黄色油(3.66g、99%)として表題化合物を得た。MS(m/z):384(M+H)。
【0073】
以下の化合物を、調製54の方法によって実際に調製した。
【表11-1】
【表11-2】
【表11-3】
【表11-4】
【0074】
調製72
7−[[(1S)−1−[4−(クロロメチル)フェニル]エチル]アミノ]−1−イソブチル−4H−ピリミド[4,5−d][1,3]オキサジン−2−オン
【化30】
スキーム3、ステップQ:SOCl
2(2.1mL、4.2mモル)を、シリンジによって、K
2CO
3(776mg、5.61mモル)及び7−[[(1S)−1−[4−(ヒドロキシメチル)フェニル]エチル]アミノ]−1−イソブチル−4H−ピリミド[4,5−d][1,3]オキサジン−2−オン(500mg、1.40mモル)のCH
2Cl
2(14mL)懸濁液に添加した。5時間後、溶媒を真空によって除去し、K
2CO
3との共混合物(収率100%と想定)として粗ベンジル塩化物をもたらした。この混合物にはさらに精製を行わなかった。MS(m/z):375(M+H)。
【0075】
以下の化合物を、調製72の方法によって実際に調製した。
【表12】
【0076】
調製75
tert−ブチル6−[[4−[(1S)−1−[(1−イソブチル−2−オキソ−4H−ピリミド[4,5−d][1,3]オキサジン−7−イル)アミノ]エチル]フェニル]メチル]−2,6−ジアザスピロ[3.3]ヘプタン−2−カルボキシレート
【化31】
スキーム3、ステップQ:7−[[(1S)−1−[4−(クロロメチル)フェニル]エチル]アミノ]−1−イソブチル−4H−ピリミド[4,5−d][1,3]オキサジン−2−オン(520mg、1.4mモル)、K
2CO
3(580mg、4.2モル)及びtert−ブチル2,6−ジアザスピロ[3.3]ヘプタン−2−カルボキシレートシュウ酸塩(550mg、1.8mモル)を、ACN(7mL)中に懸濁させ、50℃に16時間加熱し、次に70℃に2時間加熱した。ヨウ化ナトリウム(210mg、1.4mモル)を添加し、反応物を70℃で2時間加熱し、次に3時間還流状態にした。混合物を室温に冷却し、溶媒を蒸発させた。得られた残留物を、CH
2Cl
2中にすくい上げ、飽和水性NaHCO
3飽和水溶液で洗浄した。水層を、CH
2Cl
2で(3×)抽出した。組み合わせた有機抽出物を、ブラインで洗浄し、(Na
2SO
4)で乾燥させ、濾過し、濃縮して黄色固体として粗生成物をもたらした。粗生成物には、さらに精製を行うことなく(収率100%と想定)次のステップを行った。MS(m/z):537(M+H)。
【0077】
以下の化合物を、調製75の方法によって実際に調製した。
【表13】
【0078】
調製79
tert−ブチル4−[[4−[(1S)−1−[(1−イソプロピル−2−オキソ−4H−ピリミド[4,5−d][1,3]オキサジン−7−イル)アミノ]エチル]フェニル]ピペラジン−1−カルボキシレート
【化32】
スキーム3、ステップP:7−[[(1S)−1−(4−ブロモフェニル)エチル]アミノ]−1−イソプロピル−4H−ピリミド[4,5−d][1,3]オキサジン−2−オン(600mg、1.53mモル)、tert−ブチル3−(ヒドロキシメチル)アゼチジン−1−カルボキシレート(400mg、2.1mモル)、CuBr(100mg、0.70mモル)、K
2CO
3(450mg、3.2mモル)、及びL−ヒドロキシプロリン(500mg、4mモル)を、DMSO(15mL)中に溶解させ、80℃で一晩加熱した。反応混合物を室温に冷却し、水に注ぎ、EtOAcに抽出し、濃縮した。粗生成物を、クロマトグラフィー(50%EtOAc/ヘキサン)によって精製し、黄褐色泡(761mg、46%)として表題化合物を得た。MS(m/z):497(M+H)。
【0079】
以下の化合物を、調製79の方法によって実際に調製した。
【表14】
【0080】
調製81
tert−ブチル3−エチニルアゼチジン−1−カルボキシレート
【化33】
アジ化ナトリウム(2.4g、37mモル)を、ACN(14mL)中に懸濁し、塩化メタンスルホニル(2.7mL、35mモル)を、45秒にわたって添加した。得られた混合物を、室温で一晩撹拌し、次いで0℃に冷却し、その時点で、ジメチル(2−オキソプロピル)ホスホン酸塩(4.3mL、31mモル)を、30秒にわたって添加し、続いてCs
2CO
3(11G、34mモル)を添加した。この混合物を、0℃で30分間撹拌し、次に室温で2.5時間撹拌した。この混合物を、0℃に再冷却し、MeOH(15.5mL)を添加した。1時間後、tert−ブチル3−ホルミルアゼチジン−1−カルボキシレート(3.0g、16mモル)を添加し、続いてCs
2CO
3(9.1g、28mモル)を添加し、25分後に、氷水浴を除去し、反応物を一晩撹拌した。減圧下にて溶媒を除去し、50%MTBE/ヘキサンを使用したシリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、橙色油を得た。淡黄色油(2.68g、93%)として表題化合物を得た。MS(m/z):181(M+H)。
【0081】
調製82
tert−ブチル3−[2−[4−[(1S)−1−[(1−エチル−2−オキソ−4H−ピリミド[4,5−d][1,3]オキサジン−7−イル)アミノ]エチル]フェニル]エチル]アゼチジン−1−カルボキシレート
【化34】
スキーム3、ステップP:窒素を、5分間、7−[[(1S)−1−(4−ブロモフェニル)エチル]アミノ]−1−エチル−4H−ピリミド[4,5−d][1,3]オキサジン−2−オン(1.8g、4.77mモル)及びTEA(9.98mL、71.6mモル)のTHF(24mL)溶液を通してバブリングした。テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(455mg、0.382mモル、8モル%)及びCuI(18mg、0.095mモル、2モル%)を添加し、さらに5分間、脱ガスを続けた。tert−ブチル3−エチニルアゼチジン−1−カルボキシレート(1.26g、6.68mモル)を添加し、20秒間、脱ガスを繰り返した。反応物を60℃に加熱し、約24時間撹拌し、次に熱を除去し、さらに24時間撹拌を続けた。混合物を水で希釈し、CH
2Cl
2で(3×)抽出し、(MgSO
4)で乾燥させ、濾過し、濃縮して粗生成物を得、それを25〜85%EtOAc/ヘキサンで溶出して、シリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、黄色泡(1.14g、50%)を得た。MS(m/z):478(M+H)。
【0082】
調製83
tert−ブチル3−[2−[4−[(1S)−1−[(1−エチル−2−オキソ−4H−ピリミド[4,5−d][1,3]オキサジン−7−イル)アミノ]エチル]フェニル]エチル]アゼチジン−1−カルボキシレート
【化35】
スキーム3、ステップP:tert−ブチル3−[2−[4−[(1S)−1−[(1−エチル−2−オキソ−4H−ピリミド[4,5−d][1,3]オキサジン−7−イル)アミノ]エチル]フェニル]エチニル]アゼチジン−1−カルボキシレート(1.14g、2.39mモル)及びPd/CaCO
3(1.67mg、10重量%Pd、0.157mモル)を、水素雰囲気下で17時間にわたって、THF(24mL)中で撹拌した。反応混合物を、珪藻土を通して濾過し、固体を熱EtOAc/MeOHで洗浄した。粗生成物を、25〜100%EtOAc/ヘキサンで溶出し、シリカゲルを通してクロマトグラフ処理し、淡黄色泡(890mg、77%)として表題生成物を得た。MS(m/z):482(M+H)。
【0083】
調製84
ベンジルN−[(1S)−1−(4−ヒドロキシフェニル)エチル]カルバミン酸塩
【化36】
スキーム4:クロロギ酸ベンジル(3.20mL、20.6mモル)を、(S)−4−(1−アミノエチル)フェノール(2.75g、19.6mモル)とNaHCO
3(2.06g、24.6mモル)との混合物の、THF(20mL)と水(20mL)との混合液中に、0℃で滴下添加した。30分後、氷水浴を除去し、反応混合物を室温で72時間撹拌した。混合物をEtOAcで希釈し、有機相を分離し、0.1Nの水性HCl及びブラインで洗浄した。有機相を(Na
2SO
4)で乾燥させ、濾過し、濃縮し、得られた粗物質を、シリカゲル(0〜50%EtOAc/ヘキサン)を通して精製し、白色固体(3.84g、71%)として表題生成物を得た。MS(m/z):272(M+H)。
【0084】
調製85
tert−ブチル3−[[4−[(1S)−1−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)エチル]フェノキシ]−メチル]アゼチジン−1−カルボキシレート
【化37】
スキーム4、ステップR:0℃で、DIAD(980mL、5mモル)を、tert−ブチル3−(ヒドロキシメチル)アゼチジン−1−カルボキシレート(750mg、4mモル)、PPh
3(1.3g、5mモル)、及びベンジルN−[(1S)−1−(4−ヒドロキシフェニル)エチル]カルボキシレート(1.4g、1.25mモル)のTHF(16mL)溶液に、15分にわたって滴下添加した。添加が完了した後、氷水浴を除去し、反応物を、室温で4.5時間撹拌した。次に、反応物をEtOAcで希釈し、水、0.5Nの水性NaOH、及びブラインで洗浄し、(Na
2SO
4)で乾燥させ、濾過し、濃縮した。生成物を、0〜50%EtOAc/ヘキサンを用いたシリカゲル溶出を通して精製し、24%出発フェノールで汚染された生成物を得た。上記のプロトコルを、この混合物を使用して繰り返し、油(1.12g、64%)として所望の生成物を得た。MS(m/z):341(M−BOC+H)、463(M+Na)。
【0085】
調製86
tert−ブチル3−[[4−[(1S)−1−アミノエチル]フェノキシ]メチル]アゼチジン−1−カルボキシレート
【化38】
スキーム4、ステップM、サブステップ1:tert−ブチル3−[[4−[(1S)−1−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)エチル]フェノキシ]−メチル]アゼチジン−1−カルボキシレート(1.12g、2.54mモル)及び10%Pd/C(335mg、0.315mモル)を、水素下(138kPa)にて45分間、EtOH(60mL)中で撹拌した。反応混合物を濾過し、濃縮して、さらに精製を行うことなく(収率100%と想定)油をもたらした。MS(m/z):290(M−NH
2)。
【0086】
調製87
tert−ブチル3−[[4−[(1S)−1−[(1−エチル−2−オキソ−4H−ピリミド[4,5−d][1,3]オキサジン−7−イル)アミノ]エチル]フェノキシ]メチル]−2,5−ジヒドロピロール−1−カルボキシレート
【化39】
スキーム3、ステップP:1−エチル−7−[[(1S)−1−(4−ヒドロキシフェニル)エチル]アミノ]−4H−ピリミド[4,5−d][1,3]オキサジン−2−オン(0.330g、1.05mモル)、tert−ブチル3−(クロロメチル)−2,5−ジヒドロピロール−1−カルボキシレート(200mg、0.9mモル)、及びK
2CO
3(400mg、3mモル)のアセトン(7mL)溶液を、密封したチューブ内で16時間、60℃で加熱し、次に室温で72時間撹拌した。溶液を水で希釈し、DCMで2回抽出した。組み合わせた有機層を(Na
2SO
4)で乾燥させ、濾過し、減圧下にて濃縮した。粗生成物を、逆相クロマトグラフィー(0〜100%CH
3CN/水)によって精製し、橙色固体(250mg、0.504mモル、48%)として表題化合物をもたらした。MS(m/z):496(M+H)。
【0087】
調製88
tert−ブチル6−[[4−[(1S)−1−[(1−イソプロピル−2−オキソ−4H−ピリミド[4,5−d][1,3]オキサジン−7−イル)アミノ]エチル]フェニル]メチル]−2,6−ジアザスピロ[3.3]ヘプタン−2−カルボキシレート
【化40】
スキーム3、ステップP:DIPEA(0.75mL、4.3mモル)を、7−[[(1S)−1−[4−(クロロメチル)フェニル]エチル]アミノ]−1−イソプロピル−4H−ピリミド[4,5−d][1,3]オキサジン−2−オン(1g、2.8mモル)及びtert−ブチル2,6−ジアザスピロ[3.3]ヘプタン−2−カルボキシレート(820mg、4.1mモル)のDMSO(14mL)溶液に添加し、得られた混合物を、50℃で16時間加熱し、次いで室温で72時間撹拌した。混合物を水に注ぎ、EtOAcで抽出し、(MgSO
4)で乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗生成物を、シリカゲル(MeOH/CH
2Cl
2中5〜7%の7N NH
3)を通して精製し、表題化合物(978mg、68%)を得た。MS(m/z):523(M+H)。
【0088】
実施例1
1−イソプロピル−7−[[(1S)−1−[4−[(4−プロプ−2−エノイルピペラジン−1−イル)メチル]フェニル]エチル]アミノ]−4H−ピリミド[4,5−d][1,3]オキサジン−2−オン
【化41】
スキーム2、ステップN:1−イソプロピル−7−[[(1S)−1−[4−(ピペラジン−1−イルメチル)フェニル]エチル]アミノ]−4H−ピリミド[4,5−d][1,3]オキサジン−2−オン塩酸塩(59.6g、113mモル)及びTEA(47.5mL、341mモル)のCH
2Cl
2(1.13L)溶液に、−75℃で15分にわたって、塩化アクリロイル(80mLのCH
2Cl
2中11.1mL、136mモル)を添加した。この添加中、反応温度を−70℃未満に維持した。30分後、反応物をNaHCO
3飽和水溶液(100mL)で急冷し、混合物を周囲温度に温めた。水(200mL)を添加し、混合物をCH
2Cl
2で(3×)抽出し、(Na
2SO
4)で乾燥させ、濾過し、濃縮して黄色泡を得た。粗生成物を、シリカゲルクロマトグラフィー(6〜10%[10%MeOH/CH
2Cl
2]/EtOAc)によって精製し、白色泡(42.5g、81%)として表題生成物を得た。MS(m/z):465(M+H)。
【0089】
実施例2
1−エチル−7−[[(1S)−1−[4−[(4−プロプ−2−エノイルピペラジン−1−イル)メチル]フェニル]エチル]アミノ]−4H−ピリミド[4,5−d][1,3]オキサジン−2−オン
【化42】
スキーム2、ステップN:1−エチル−7−[[(1S)−1−[4−(ピペラジン−1−イルメチル)フェニル]エチル]アミノ]−4H−ピリミド[4,5−d][1,3]オキサジン−2−オン塩酸塩(53.6g、124mモル)及びTEA(52mL、373mモル)のCH
2Cl
2(1.2L)溶液に、−75℃で15分にわたって、塩化アクリロイル(80mLのCH
2Cl
2中12.1mL、149mモル)を添加した。この添加中、反応温度を−70℃未満に維持した。1時間後、反応物を、NaHCO
3飽和水溶液(100mL)で急冷し、それに続き混合物を周囲温度に温めた。水(200mL)を添加し、混合物をCH
2Cl
2で(3×)抽出し、(Na
2SO
4)で乾燥させ、濾過し、濃縮して黄色泡を得た。粗生成物を、リカゲルクロマトグラフィー(6〜10%[10%MeOH/CH
2Cl
2]/EtOAc)によって精製し、淡黄色泡(30.2g、54%)として表題生成物を得た。MS(m/z):451(M+H)。
【0090】
以下の実施例を、実施例2の方法によって実際に調製した。
【表15-1】
【表15-2】
【表15-3】
【表15-4】
【表15-5】
【0091】
実施例23
1−エチル−7−[[(1S)−1−[4−[(4−プロプ−2−エノイルピペラジン−1−イル)メチル]フェニル]エチル]アミノ]−4H−ピリミド[4,5−d][1,3]オキサジン−2−オン4−ヒドロキシ安息香酸塩
【化43】
1−エチル−7−[[(1S)−1−[4−(ピペラジン−1−イルメチル)フェニル]エチル]アミノ]−4H−ピリミド[4,5−d][1,3]オキサジン−2−オン(376g、758.6mモル)のDCM(6700mL)溶液に、TEA(116mL、832mモル)を添加した。混合物を−70℃未満に冷却した。−68℃未満の温度で2時間にわたって、塩化アクリロイル(64.8mL、796mモル)のDCM(750mL)溶液を添加した。添加後、反応物を、−68℃未満で15分撹拌した。水(1500mL)を添加し、溶液を室温に温めた。層を分離した。有機層を、水(2×1L)、50%飽和NaHCO
3(1L)及びブライン(1L)で洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥させた。この溶液を、4−ヒドロキシ安息香酸(115g、832.61mモル)のCPME(1800mL)溶液に添加した。得られた濁った混合物を、35〜40℃に加熱し、黄色溶液を得、それを珪藻土に通して濾過し、DCMとCPME(1:1)との混合液で洗浄した。濾液及び洗浄物を組み合わせ、1/4の容量に濃縮した。得られたスラリーを、ヘプタンと(2×1L)共蒸発させ、濾過し、ヘプタンで洗浄し、窒素下、真空で一晩乾燥させ、表題化合物(382.7g、81%)を得た。MS(m/z):451(M+H)。粗1−エチル−7−[[(1S)−1−[4−[(4−プロプ−2−エノイルピペラジン−1−イウム−1−イル)メチル]フェニル]エチル]アミノ]−4H−ピリミド[4,5−d][1,3]オキサジン−2−オン、4−ヒドロキシ安息香酸(624g、1060mモル)を、アセトン(9.4L)とヘプタン(9.4L)とを予混合した溶媒中に懸濁させ、スラリーを室温で5時間撹拌した。固体を濾過し、1:1のヘプタン/アセトンで(3×500mL)洗浄した。濾液及び洗浄物を蒸発させた。残留物に、ヘプタン(2L)を添加し、濾過し、集収した固体を50℃で真空下にて乾燥させ、淡黄色固体(357g、55%)として表題化合物を得た。
【0092】
代替調製実施例23
結晶性1−エチル−7−[[(1S)−1−[4−[(4−プロプ−2−エノイルピペラジン−1−イル)メチル]フェニル]エチル]アミノ]−4H−ピリミド[4,5−d][1,3]オキサジン−2−オン4−ヒドロキシ安息香酸塩
1−エチル−7−[[(1S)−1−[4−[(4−プロプ−2−エノイルピペラジン−1−イル)メチル]フェニル]エチル]アミノ]−4H−ピリミド[4,5−d][1,3]オキサジン−2−オン(28.5g、63.3mモル)のCPME(430mL)溶液に、60℃で窒素下にて、CPME(115mL)中に溶解した4−ヒドロキシ安息香酸(8.74g、63.3mモル)を添加した。60℃で、300rpmにて数分撹拌した後、撹拌を50rpmに減速し、試料を2時間撹拌した。この時点で、温度を45℃に上げ、試料を200rpmで4時間撹拌した。次に、試料を室温にした。フラスコの壁をこすり、固体を除去し、その固体を濾過により収集し、空気乾燥させて第一物を得た。濾液を減圧下にて減少させ、約半分の容量にし、氷浴中で撹拌しながら冷却し、さらなる固体をもたらした。この固体を収集し、第一物に添加した。生成物を、70℃の真空オーブン内で一晩乾燥させ、表題化合物(33.4g、56.7mモル、89.7%)を得た。MS(m/z):451(M+H)。
【0093】
X線粉末回折(XRD)
結晶性固体のXRDパターンを、CuKa源λ=1.54060Å)を装備したBruker D4 EndeavorのX線粉末回折計、及び35kV及び50mAで操作するVantec検出器を使用して得た。試料を、2θにおいて0.009°のステップサイズ及び0.5秒/ステップの走査速度、ならびに0.6mm発散、5.28固定散乱防止、及び9.5mm検出器スリットを用いて、2θにおいて4〜40°で走査した。乾燥粉末を、石英試料ホルダーに充填し、スライドガラスを使用して平滑表面を得た。結晶形態回折パターンを、周囲温度及び相対湿度で収集した。任意の所与の結晶形態の回折ピークの相対強度は、結晶形態及び晶癖などの要素から生じる好ましい配向により、変化する可能性があることは、結晶学の分野において周知である。好ましい配向の効果が存在する場合、ピーク強度は変化するが、多形体の特有なピーク位置は変化しない。例えば、The United States Pharmacopeia#23,National Formulary#18,pages 1843−1844,1995を参照のこと。さらに、任意の所与の結晶形態の角度ピーク位置は、わずかに変化する可能性があることも、結晶学の分野において周知である。例えば、ピーク位置は、試料が分析される温度または湿度、試料の変位、または内部標準が存在するかしないかの変化により、変化し得る。本件の場合、2θにおける±0.2のピーク位置変動性は、示した結晶形態の明確な識別を妨げることなくこれらの潜在的変化を考慮するだろう。結晶形態の確認は、(°2θの単位における)識別ピーク、典型的には、より突出したピークの任意の独自の組み合わせに基づきなされてよい。周囲温度及び相対湿度にて収集された結晶形態回折パターンは、8.853及び26.774°2θで、NIST675標準ピークに基づき調整する。
【0094】
実施例23で調製された試料は、以下の表16に記載されるように、回折ピーク(2シータ値)を有する、特に15.8、13.9、及び13.4からなる群から選択されるピークの1つ以上と組み合わせて16.8でピークを有するため、CuKa方射線を使用したXRDパターンによって特徴付けられ、0.2度の回折角度の範囲を有する。
【表16】
【0095】
実施例24
結晶性1−エチル−7−[[(1S)−1−[4−[(4−プロプ−2−エノイルピペラジン−1−イル)メチル]フェニル]エチル]アミノ]−4H−ピリミド[4,5−d][1,3]オキサジン−2−オンビス(2,5−ジヒドロキシ安息香酸)塩
【化44】
1−エチル−7−[[(1S)−1−[4−[(4−プロプ−2−エノイルピペラジン−1−イル)メチル]フェニル]エチル]アミノ]−4H−ピリミド[4,5−d][1,3]オキサジン−2−オン(3.94g、8.73mモル)のEtOH(7mL)溶液に、48℃で、1000rpmにて撹拌しながら、EtOH(8mL)中に溶解した2,5−ジヒドロキシ安息香酸(350mg、17.8mモル)を添加し、暗黄色溶液を得た。試料を周囲温度に冷却し、撹拌を300rpmに減速した。真空濾過によって分離され、白色固体が生じた。バイアルをEtOH(10mL)ですすぎ、それを塊に添加した。塊を、窒素流下の位置で10分間、次に一晩周囲真空オーブン(6.34g、8.35mモル、95.62%)内で乾燥させた。MS(m/z):451(M+H)。
【0096】
実施例24で調製された試料は、以下の表17に記載されるように、回折ピーク(2シータ値)を有する、特に17.0、24.0、及び19.8からなる群から選択されるピークの1つ以上と組み合わせて24.7でピークを有するため、CuKa方射線を使用したXRDパターンによって特徴付けられ、0.2度の回折角度の範囲を有する。
【表17】
【0097】
実施例25
結晶性1−エチル−7−[[(1S)−1−[4−[(4−プロプ−2−エノイルピペラジン−1−イル)メチル]フェニル]エチル]アミノ]−4H−ピリミド[4,5−d][1,3]オキサジン−2−オンビス(サッカリン)塩
【化45】
1−エチル−7−[[(1S)−1−[4−[(4−プロプ−2−エノイルピペラジン−1−イル)メチル]フェニル]エチル]アミノ]−4H−ピリミド[4,5−d][1,3]オキサジン−2−オン(955mg、2.12mモル)のEtOH(3mL)溶液に、70℃で、1000rpmにて撹拌しながら、EtOH(7mL)中のサッカリン(862mg、4.66mモル)を添加し、白色不透明スラリーを得た。白色ゴムが形成され、さらにEtOH(10mL)を添加した。.試料を30分間撹拌し、ゴムが白色固体のスラリーに変化した。試料を室温にし、真空濾過によって白色固体を分離した(1.61g、1.97mモル、93.0%)。
【0098】
実施例25で調製された試料は、以下の表18に記載されるように、回折ピーク(2シータ値)を有する、特に22.0、16.8、及び23.7からなる群から選択されるピークの1つ以上と組み合わせて19.1でピークを有するため、CuKa方射線を使用したXRDパターンによって特徴付けられ、0.2度の回折角度の範囲を有する。
【表18】
【0099】
癌は、その開始及び進行が、細胞及び組織の微環境におけるDNA修復、ゲノム安定性、細胞増殖、細胞死、癒着、脈管形成、浸潤、及び転移を調整する1つ以上の遺伝子の異常機能によって誘発される疾患の異種集合として次第に認識されている。「癌」遺伝子の変異体または異常機能は、ゲノムの複写数の変化(増幅、抹消、染色体消失、または重複による)自然発生したDNA多型、(無秩序な遺伝子発現を引き起こす染色体転座、転移、または他の再構成による)遺伝子及び染色体構造の変化及び点突然変異に起因する可能性がある。癌腫瘍は、1つの異常遺伝子機能によって誘発され、同じ異常遺伝子機能によって保持される、またはさらなる異常遺伝子機能によって保持及び進行する可能性がある。
【0100】
上記の遺伝的染色体異常以外に、それぞれの癌は、アセチル化、メチル化、またはリン酸化によるDNAメチル化、ゲノム刷り込み、及びヒストン修飾を含むゲノムの後成的修飾も含む可能性がある。後成的修飾は、悪性腫瘍の誘発及び/または保持に関与する可能性がある。
【0101】
ヒト癌における細胞遺伝学的異常の広範なカタログは、蓄積され、保持され、定期的にオンラインにアップデートされている(US National Cancer Institute(NCI)Cancer Genome Anatomy Project(CGAP)のウェブサイトで、The Mitelman Database of Chromosome Aberrationsを参照のこと)。The Wellcome Trust Sanger Institute Cancer Genome Projectと同様にCOSMIC(Catalogue of Somatic Mutations in Cancer)のヒト癌における体細胞突然変異のデータベースも、腫瘍形成の原因となる全ヒト遺伝子の「癌遺伝子調査」の詳細を保持している。様々な癌の原因となる細胞遺伝学的変化に関する豊富な情報を含むさらなる情報源は、Atlas of Genetics and Cytogenetics in Oncology and Haematologyである。
【0102】
生検による癌性悪性腫瘍の診断は、免疫表現型検査及び他の試験が知られており、定期的に使用される。高解像度染色体分染法及び高度染色体画像技術に加えて、癌が疑われる場合の染色体染異常は、蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)、核型分析、スペクトル型分析(SKY)、多重FISH(M−FISH)、比較ゲノムハイブリダイゼーション(CGH)、一塩基多型アレイ(SNPチップ)などの細胞遺伝学的分析、ならびに当業者によって使用される他の診断法及び既知の分析試験から測定することができる。
【0103】
複数の癌腫瘍型において確認されているIDH1における突然変異としては、神経膠腫、多形性神経膠芽細胞腫、星状細胞腫、乏突起膠腫、傍神経節腫、骨髄異形成症候群(MDS)、B細胞急性リンパ芽球性白血病(B−ALL)、甲状腺、結腸直腸、急性骨髄性白血病(AML)、Dang et al.,Trends Mol.Med.,2010,16:387−397;Ward et al.,Oncogene,2012,31(19):2491−2498;melanoma,Shibata et al.,Am.J.Pathol.,2010,178(3):1395−1402;prostate,Flaherty et al.,J.Clin.Oncol.,2014,32(suppl.4;Abstract 213);Cairns et al.,Cancer Discovery,2013,3:730−741;chondrosarcoma and cholangiocarcinoma,Balss et al.,Acta Neuropathol.,2012,124:883−891;Cairns et al.,Cancer Discovery,2013,3:730−741;angioimmunoblastic T−cell lymphoma(AITL),Cairns et al.Blood,2012.119(8):1901−1903、が挙げられるが、これらに限定されない。突然変異は、活性部位の特定の残基または付近に見られる:IDH1のG97D、R100、R132H、R132C、R132S、R132V、R132G、V71I、R132L、及びG123R、Dang et al.,Trends Mol.Med.,2010,16:387−397;Ward et al.,2012及び補足表2。
【0104】
IDH1の変異形態は、α−ケトグルタレートを2−ヒドロキシグルタレートに還元する新形態活性(機能獲得)を有することを示している。2−ヒドロキシグルタレートの内因性生成は、エナンチオ特異的であり、D−エナンチオマー((R)エナンチオマーとも称される)の生成をもたらす。通常、細胞の2−ヒドロキシグルタレートは低レベルを有するが、IDH1の突然変異が隠れている細胞の2−ヒドロキシグルタレートは著しく上昇したレベルを明示する。2−ヒドロキシグルタレートの著しく上昇したレベルは、突然変異が隠れている腫瘍、及び変異体IDH1を有する患者の血漿中で検出される。高レベル2−ヒドロキシグルタレートは、高度腫瘍形成につながる分化においてブロックをもたらす高メチル化表現型と関連する。
【0105】
特異的な不可逆共有阻害剤の活性は、K
Iで定義される標的(IDH1)へのその結合によって定義され、K
inactで定義される共有結合形成の最大潜在速度によって定義される。これらの2つの要素は、分離したものではなく、むしろ共有結合形成の所望の効果を生むために共に作用する。このことを、以下の3点で図示した。
【0106】
第1に、求電子体物質、例えばアクリルアミドが、求核試薬、例えばシステインに対して適切に配置されなければならないという事実は、有機化学において共有結合形成の基本要素である。共有結合を形成するために、求核試薬が求電子剤に近づかなければならない正確な角度及び距離がある。求核試薬近くの求電子剤の単純配置は、共有結合形成には十分ではない。
【0107】
第2に、触媒への阻害剤の結合を安定化するために水素結合部分を含むコア、例えば配向コアに反応性基を組み込む場合、当業者は、どのように配向コアを標的に結合し、上記の最適角度及び距離を考慮して求核試薬に対して求電子剤を配置するかを検討しなくてはならない。繰り返すが、求核試薬近くの求電子剤の単純配置は、共有結合形成には十分ではない。配向コアの変更は、共有結合を形成するための阻害剤化合物の能力に影響する可能性がある。
【0108】
第3に、上記の2つの点を共に考えると、配向コアに求電子剤部分がわずかに存在することでは、共有結合が形成されることを示唆するのに十分ではない。
【0109】
以下の生体外及び生体内研究は、変異体IDH1タンパク質阻害活性及び様々な特異的な癌細胞株に対する式Iの試験化合物の有効性を実証している。これらのアッセイは、ヒト臨床治療作用を表すとして、一般に当業者によって認識されている。開示された研究における変異体IDH1新形態タンパク質の阻害は、さらなる変異体IDH1新形態タンパク質に対して効果的となるであろうと考えられる。変異体IDH1阻害活性及び有効性を明示するアッセイは、実質的に以下の通りに、または同様のデータをもたらす同様のアッセイによって実施されてよい。
【0110】
以下のアッセイの結果は、例示され、試験された化合物がIDH1変異体阻害剤として有用であることを実証し、変異体IDH1を発現する癌治療において有用である可能性がある。
【0111】
IDH1及びIDH2変異体酵素の生化学的アッセイ
IDH1−R132H、IDH1−R132C、IDH2−R172K及びIDH2−R140Q変異体酵素は、αKGから2HGへの変換を触媒する。2HGを、インライン固相抽出及び質量分析を使用して分析した。この分析は、6460三連四重極質量分析計(G6460A Agilent)と結合したRapidFire(登録商標)機器において実施された。
【0112】
N−末端His−タグを含有するIDH1変異体(R132H及びR132C)ならびにIDH2変異体(R140Q及びR172K)タンパク質を、大腸菌で発現し、ニッケル親和性クロマトグラフィーを使用して精製した。酵素アッセイを、100mMのトリス−HCl緩衝剤、1mMのDTT、0.005%TRITON(商標)X−100、120mMのNaClを含有するV底96ウェルポリプロピレンプレートで実施した。IDH1 R132Hの場合、α−ケトグルタレート、NADPH及びMnCl
2を、それぞれ300μM、2.5μM及び300μMの最終濃度で含ませた。IDH1 R132Cの場合、α−ケトグルタレート、NADPH及びMnCl
2を、それぞれ100μM、10μM及び100μMの最終濃度で含ませた。IDH2 R172Kの場合、α−ケトグルタレート、NADPH及びMnCl
2を、それぞれ150μM、10μM及び150μMの最終濃度で含ませた。IDH2 R140Qの場合、α−ケトグルタレート、NADPH及びMnCl
2を、それぞれ3000μM、10μM及び100μMの最終濃度で含ませた。最終pH=7.0。DMSO原料中に溶解させた試験化合物を、4%の最終DMSO濃度で、反応混合物中に希釈した。化合物を、用量応答形式で試験した。酵素を添加することによりアッセイを開始した。以下の最終濃度後で酵素を使用した:IDH1 R132H、2nM;IDH1 R132C、0.5nM;IDH2 R172K、1.2nM;IDH2 R140Q、1.2nM。90分後、反応物を、質量分析法分析及び反応生成物の定量化のための内部基準として、3−ヒドロキシ−1,5−ペンタンジオイック−2,2,3,4,4−d
5酸(5d
5−3HG)を含有するACN(50:50)を添加することによって急冷した。急冷試料中の2−ヒドロキシグルタレート(2HG)を、強力アニオン交換カラムクロマトグラフィー(Phenomenex Strata−X−A SecurityGuard)を使用して分離し、6460三連四重極質量分析計(G6460A Agilent)における質量分析によって分析した。検出された2HG信号を、既知の2HG濃度を使用して発生させた検量曲線を使用して、分析対象濃度に変換した。試験した各化合物の%阻害を、DMSO対照試料を0%阻害として、触媒なしの対照を100%阻害として使用し、計算した。IC
50値を、4−パラメータ計算式を使用した異なる化合物濃度で、個々の%阻害値から得た。これらの計算を、Activity Base(IDBS)またはScreener(Genedata)データ分析プログラムを使用して実施した。
【0113】
このアッセイの結果は、例示され、試験された化合物が、IHD1/R132H及びIDH1/R132Cに対する変異体IDH1活性を阻害することを実証した。
【0114】
以下の実施例は、実際に上記の通りに試験された、以下の表19に示されるように、変異体IDH1に対する活性を示し、変異体IDH2よりも変異体IDH1に対して選択的であった。
【表19】
【0115】
野生型IDH1及びIDH2酵素の生化学的アッセイ
IDH1及びIDH2酵素は、イソクエン酸のαKGへの変換を触媒する。
N−末端His−タグを含有する野生型IDH1(National Center for Biotechnology Information,Accession:NP_001269316.1)及びIDH2(National Center for Biotechnology Information,Accession:EAX02082.1)タンパク質は、大腸菌に発現し、ニッケル親和性クロマトグラフィーを使用して精製した。酵素アッセイを、pH7.5で100mMのトリス−HCl緩衝剤、1mMのDTT、0.005%TRITON(商標)X−100、120mMのNaClを含有するV底96ウェルポリプロピレンプレートで実施した。IDH1野生型アッセイイソクエン酸の場合、NADP
+及びMnCl
2を、それぞれ85μM、50μuM及び20μMの濃度で含ませた。IDH
2野生型アッセイイソクエン酸の場合、NADP
+及びMnCl
2を、それぞれ30μM、50μM及び10μMの濃度で含ませた。DMSO原液中に溶解された阻害剤を、4%の最終DMSO濃度で、反応混合物中に希釈した。酵素アッセイを、質量分析法分析のために内部基準としてd6−2−ケトペンタン二酸(d6−αKG)を含有するACN(50:50)を添加することによって終了(急冷)した。反応混合物の10マイクロリットルと、水100μL、ピリジン緩衝剤(8.6%ピリジン、pH5)中1MのO−ベンジルヒドロキシアミン50μL、及びピリジン緩衝剤中1MのN−(3−ジメチルアミノプロピル)−N−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC)50μLとを組み合わせた。室温で1時間、誘導体化した後、試料を600μLのEtOAcで抽出した。上層の400μLを除去し、加熱窒素下にて乾燥させ、100μLのMeOH/水(1:1)で還元した。誘導体化試料10μLを、Shimadzu Prominence 20A HPLC及びThe Thermo Quantum Ultra(商標)三連四重極質量分析計からなるLC−MSシステムに注入した。分析対象を、0.6mL/分の流速を用いてWaters XBridge(商標)C18カラムで(2.1×50mm、3.5μm)分離した。移動相Aは0.1%ギ酸水であり、移動相BはMeOHである。検出されたαKG信号を、既知のKG濃度を使用して発生させた検量曲線を使用して、α分析対象濃度に変換した。試験した各化合物の%阻害を、DMSO対照試料を0%阻害として、触媒なしの対照を100%阻害として使用し、計算した。IC
50値を、4−パラメータ計算式を使用した異なる化合物濃度で、個々の%阻害値から得た。これらの計算を、Activity Base(IDBS)またはScreener(Genedata)データ分析プログラムを使用して実施した。
【0116】
このアッセイの結果は、例示され、試験された化合物が、IDH1 R132HまたはR132C変異体酵素と比較して、IDH1野生型酵素の阻害で活性がより少ないことを実証した。
【0117】
表20における以下の実施例は、実際に上記の通りに試験され、IDH1 R132HまたはR132C変異体酵素と比較して、IDH1野生型酵素の阻害で活性がより少なかった。
【表20】
【0118】
IDH1(R132H)生化学的ジャンプ希釈アッセイ
凍結乾燥した実施例の化合物を、100%DMSOで10mMまたは100mMに還元し、室温で試験まで保管した。IDH1(R132H)−Hisタンパク質が発現し、当業者に周知で、一般に使用される方法によって精製した。アッセイ試薬は以下を含む:α−ケトグルタル酸(Sigma Cat番号K1875)、MnCl
2−Fisher Scientific Cat番号M87−100、NADPH−Sigma−Aldrich Cat番号N7505、Tris−HCl(Invitrogen、Cat番号15567−027)、NaCl(Sigma、S3014)、ジチオスレイトール(Sigma、D5545)、及びTritonX100(Peirce、28314)。Promega(G9061)のNAD(P)H−Glo(商標)キット。
【0119】
全体を通して使用したアッセイ緩衝剤は、pH7.0、100mMのトリス−HCl、120mMのNaCl、1mMのDTT、0.005%のTriton X−100、及び(試験化合物の添加による)2%のDMSOを含む。各化合物のIC
50を、Echo555で調製され、アッセイ緩衝剤中に1.5nMのIDH1(R132H)、1mMのα−ケトグルタレート、1mMのMnCl
2、及び15μMのNADPHを有する化合物の反応の用量をインキュベーションすることによって測定した。反応物を、室温で2時間インキュベーションし、次に6−シクロプロピル−5−(イソキノリン−5−イル)−2−[(3R)−4−(3−メトキシプロパノイル)−3−メチルピペラジン−1−イル]ピリジン−3−カルボニトリル(10μM)を使用して停止した。NADPH濃度を、NAD(P)H−Glo(商標)キットを使用して、製造業者によって明記された通りに測定した。発光信号を、Envision(Perkin Elmer;0.1秒/Luminescense Mirror/Lum700 WL400−700フィルター)上で読み取った。それに続くジャンプ希釈実験において、10×IC
50に相当する化合物濃度を、100nMのIDH1(R132H)で予めインクベーションした。化合物の濃度は、常に酵素濃度以上であった。室温で2時間後、この混合物を、α−ケトグルタレート(10mM)、MnCl
2(10mM)、及びNADPH(15μM)を含有する溶液に希釈した(1:100)。この最終酵素反応は、1nMのIDH1(R132H)及び0.1×[IC
50]を含有する。室温で2時間インキュベーションした後、NADPH濃度を、6−シクロプロピル−5−(イソキノリン−5−イル)−2−[(3R)−4−(3−メトキシプロパノイル)−3−メチルピペラジン−1−イル]ピリジン−3−カルボニトリル及びNAD(P)H−Glo(商標)キットを使用して、上記で特定したように測定した。3つの対照を含む:1)1mMのα−ケトグルタレート、1mMのMnCl
2、及び15μMのNADPHが、酵素活性を測定する最終アッセイにおいて使用されることを除き、プレインキュベーション及び酵素アッセイにおいて10×IC
50の化合物を含有する「10×対照」、2)プレインキュベーション及び酵素アッセイの両方の化合物の代わりにDMSOを含有する「最大活性対照」、3)プレインキュベーションにおける化合物及び酵素アッセイにおける0.1×IC
50の化合物の代わりにDMSOを含有する「0.1×対照」。「最少活性対照」は酵素を欠くが、それ以外は「最大活性対照」に相当する、に含まれる。最大及び最少活性対照の第2セットを、1mMのα−ケトグルタレート、1mMのMnCl
2、及び15μMのNADPHを使用して実施した。各アッセイ条件を3回試験し、最大活性対照(10mM)及び最少活性対照(10mM)用に32の複製を実施する一方で、最大活性対照(1mM)及び最少活性対照(1mM)用に16の複製を実施した。
【0120】
各実験/対照において生成されたNADP(生成物)の濃度を、15μMのNADPHを含有する、最少活性対照に対して観察された信号におけるパーセント減少を使用して測定した。最少活性対照(1mM及び10mM)ならびに、最大活性対照(1mM及び10mM)を平均化し、それぞれの標準偏差を計算した。各ジャンプ希釈及び0.1×対照の信号に15を掛け、次に最少活性対照(10mM)ウェルの平均数で割った。15からこの数を引き、NADP(μM生成物)を計算した。10×対照に同じ計算を使用したが、最少活性対照(1mM)を使用した。最大活性対照(1mM及び10mM)の生成物のμモルを、平均数に15を掛け、次にそれぞれの最少活性対照(1mM及び10mM)で割り、計算した。化合物のジャンプ希釈、10×対照、及び0.1×対照の%IDH活性を、各ウェルのμM NADPを平均最大活性対照(1mMまたは10mM)で割り、次に100を掛けて算出した。合格する化合物は、プレインキュベーション濃度が化合物で酵素を飽和するのに十分であることを示す、10×対照の<30%活性を示さなければならない。加えて、化合物は、0.1×/希釈化合物濃度で阻害のないことを立証する、0.1×対照の70〜80%>活性を示さなければならない。
【0121】
実施例の化合物は、実際に上記の通りに試験され、このアッセイにおけるIDH1/R132Hの%回復データを示す。希釈2時間後に%回復を有し、酵素を阻害しなかった人工化合物とは対照的に、本発明の例示され、試験された化合物は、希釈2時間後に酵素を阻害した。この活性からのデータは、本発明の試験化合物が、阻害剤の希釈が酵素活性の回復を生じさせないことから、変異体IDH1の共有結合阻害と一致する方法で作用することを実証した。
【0122】
IDH1変異体阻害剤の細胞系アッセイ
IDH1変異体R132Cの細胞阻害を試験するために、線維肉腫細胞株HT1080(ATCCから購入)を、使用した。R132H突然変異の細胞系阻害を試験するために、U87MG神経膠腫細胞株(ATCC)を、R132H変異体酵素を発現するDNA構築物で安定的に導入した。
【0123】
HT1080細胞アッセイ:
化合物で処理する18〜24時間前に、15,000個の細胞を、ポリ−D−lysコーティング96ウェルプレート(15,000細胞/ウェル)に蒔いた。化合物処理の4時間前に、細胞を、通常培地から除去し、グルタミンなしの培地に置き換えることによってグルタミン欠乏にした。欠乏に続き、次に細胞を、0.2%の最終濃度で、DMSOを含有するグルタミンなしの培地に溶解した、異なる濃度の試験化合物(20μM〜1nM)で処理した。初期の化合物インキュベーションは、37℃/5%CO
2で1時間であった。1時間後、最終の2mM濃度にグルタミンを添加し、次に処理細胞をさらに37℃/5%CO
2でさらに18時間インキュベーションした。18時間インキュベーションした後、細胞溶解物で細胞内2HG及びαKGを分析した。培地から取り出した後、pH7.5、25mMのトリス−HCl、150mMのNaCl、1mMのEDTA、1mMのEGTA/1% Triton−X100を含有する緩衝剤を細胞に加えて溶解物を調製した。溶解物のアリコートを、d
6−αKGとd
5−3HGとの混合物に内部標準として添加し、混合物を、N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N´−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC)及びピリジンの存在下においてO−ベンジルヒドロキシルアミンで処理した。次に、分析対象誘導体を、EtOAcで抽出し、乾燥させ、次いで50%MeOH水で還元した。記載された通りに調製した試料を、HPLCに注入し、C18カラムにおける逆相クロマトグラフィーを使用して、2HGとαKG誘導体(及び対応する内部標準)とを分離した。試料の分析を、6460三連四重極質量分析計(G6460A Agilent)を使用して実施した。検出された2HG及びαKGの信号を、検量曲線内で外挿したαKG/d
6−αKGの比率、及び2HG/d
5−3HGの比率を使用して分析対象の濃度へと変換した。各々についての試料のパーセント阻害は、化合物で細胞処理中にグルタミンの存在下及び欠如下で得た最大基準及び最小基準に、計算した2HGまたはaKG濃度を正規化した後に得た。IC
50値を、S字型用量応答4−パラメータ計算式を使用して個々の%阻害から得た。これらの計算を、Activity Base(IDBS)またはScreener(Genedata)データ分析プログラムを使用して、自動的に実施した。
【0124】
このアッセイの結果は、このアッセイの細胞において、表21の試験実施例が、2−ヒドロキシグルタレートの生成を阻害し、変異体IDH1 R132Cの阻害を示していることを実証した。このアッセイの細胞において、野生型IDH1によって生成された代謝物質αKGが、阻害剤によって影響されず、化合物が、野生型IDH1よりも変異体IDH1に対して選択的であることを示している。以下の実施例で得られたIC
50値を、表21に示す。
【表21】
【0125】
U87MG/IDH1R132Hの細胞アッセイ
化合物で処理する18〜24時間前に、細胞をポリ−D−lysコーティング96ウェルプレート(12,000細胞/ウェル)に蒔いた。化合物処理の4時間前に、細胞を、通常培地から除去し、グルタミンなしの培地に置き換えることによってグルタミン欠乏にした。欠乏に続き、次に細胞を、0.2%の最終濃度で、DMSOを含有するグルタミンなしの培地に溶解した、異なる濃度の試験化合物(20μM〜1nM)で処理した。初期の化合物インキュベーションは、37℃/5%CO
2で1時間であった。1時間後、最終の2mM濃度にグルタミンを添加し、次に処理した細胞をさらに37℃/5%CO
2でさらに18時間インキュベーションした。細胞内の2HGを、培地から取り出し、溶解緩衝剤(pH7.5、25mMのトリス−HCl、150mMのNaCl、1mMのEDTA、1mMのEGTA/1% Triton−X100)で処理後に得られた細胞溶解物で分析した。細胞溶解物を、処理するまで−80℃で保存した。分析対象抽出用に、解凍溶解物のアリコートを、深い96ウェルプレートに移し、内部標準としてd
5−3HGを含有する冷MeOH、続いてクロロホルム及びH
2O(1:4:3:2)で処理した。分離後に上部相を収集し、HPLCに注入し、6460三連四重極質量分析計においてMS/MS検出と結合した親水性相互作用(HILIC)クロマトグラフィーを使用して、2HG(及び内部標準)を分離した。各々についての試料のパーセント阻害は、計算した2HG濃度を、化合物で細胞処理中にグルタミンの存在下及び欠如下で得た最大基準及び最小基準に正規化した後に得た。IC
50値を、S字型用量応答4−パラメータ計算式を使用して個々の%阻害から得た。これらの計算を、Activity Base(IDBS)またはScreener(Genedata)データ分析プログラムを使用して、自動的に実施した。
【0126】
以下の実施例は、実際に上記の通りに試験され、以下の表22に示されるようにこのアッセイにおいて、U87MG細胞中の変異体IDH1/R132Hに対して阻害活性を示した。
【表22】
【0127】
生体内2−ヒドロキシグルタレートのアッセイ
IDH1阻害剤の生体内試験用に、皮下異種移植腫瘍を胸腺欠損ヌードマウス(20〜22g、Harlan Laboratories)に発生させ、HT1080細胞(線維肉腫保有R132C変異体IDH1)またはTB08細胞(副次的な神経膠芽細胞腫保有R132H変異体IDH1)のいずれかの移植を続けた。細胞移植の前に、マウスに自由に餌と水を与え1週間順応させた。腫瘍細胞(HT1080)または腫瘍片(TB08)を、右後ろ脇腹に移植した。HT1080の場合、0.2mlの最終容量で、5.0×10
6の細胞とマトリゲルとの1:1の混合物で移植した。TB08の場合、外植腫瘍試料から発生させた腫瘍片を、後部脇腹に直接移植した。腫瘍の大きさを、カリパスで週に2回測定し、腫瘍の大きさを、0.536×L×W
2を使用して計算した(式中、L=長さ、W=幅)。腫瘍の大きさが、150〜400mm
3に達した時点で、動物を無作為化し、グループに分類し(1グループ当たりn=3〜6)、IDH1阻害剤または賦形剤対照を投与した。IDH1阻害剤の場合、化合物を、1%のヒドロキシエチルセルロース/0.25%のTween80/0.05%のAntifoamまたはHClの1.1モル当量を有する10%のAcaciaのどちらかを含有する賦形剤に製剤化した。化合物を浴超音波処理し、懸濁液を得た。化合物を、1キロクラム当たり1ミリグラム(mpk)を基準に、0.2mlの最終容量で経口強制飼養により投与した。2HGの阻害を測定するために、化合物を、1日に2回(BID)で3日間(合計投与回数=6)投与した。化合物処理に続き、マウスをイソフルオレン麻酔及び頸部脱臼で安楽死させた。腫瘍を切除し、ラベルを貼ったチューブに入れ、直ちに液体窒素で冷凍した。腫瘍を、処理するまで−80℃で保存した。
【0128】
腫瘍溶解物の調製
XY Lite緩衝剤を、分子グレード水において調製し、以下の構成成分を含ませた:pH7.5、25mMのトリス、150mMのNaCl、1%のTriton X−100、1mMのEDTA、1mMのEGTA。XY Lite(40ml)に、Halt ProteaseとPhosphatase Inhibitorsとの組み合わせ(Halt(商標)Protease及びPhosphatase Inhibitor Cocktail、EDTA−Free Thermo Scientific、Cat番号78441)800μlを添加した。試料をボルテックスし、次に氷上で冷却した。橙色キャップの溶解−Aチューブにラベルを貼り、氷上の棚に置いた。セラミックモルタル及び乳棒をドライアイスに置き、冷却させた。2×2インチ正方形のアルミフォイルを、モルタルの底に置いた。腫瘍試料を、予め冷却したモルタルの正方形のフォイル上に移した。液体窒素(約5ml)を添加し、蒸発させ、腫瘍を超冷凍した。フォイルの別片を、腫瘍の上に置き、腫瘍を粉砕し、セラミック乳棒を用いて小片にした。粉砕した腫瘍を、素早く溶解チューブに移した。氷冷XY Lite(500μL)を、各チューブに添加し、キャップを閉めた。次に腫瘍を、MP BiomedicalsのFastPrep−24を使用して、速度を5に設定し、それぞれ35秒で2回、回転させることによって処理した。次に試料を、Beckman Microfuge Rにおいて、4℃で、14,000rpmにて30分間遠心分離した。上澄みを、予め冷却された96の深いウェルプレートに移した。ペレットを廃棄した。
【0129】
タンパク質のアッセイ
タンパク質のアッセイ希釈プレートをまず、XY緩衝剤(145μl)を非滅菌96ウェル丸底Corningプレートに添加することによって作製した。ここに、腫瘍溶解物(5μL)を添加し、緩やかに混合した。プレートを氷上で保持した。BSA開始(Thermo Scientific cat.23209 2mg/mL)の連続希釈を、以下のように設定した:5つの0.5mLチューブを棚に置き、各自にXY緩衝剤(60μL)を添加した。原料のBSA(60μL)を第1のチューブに添加し、ボルテックスした。第1のチューブから60μLを次のチューブに移し、ボルテックスするなど、希釈系列が終了するまでは、以下の通りである:チューブ1=原料BSA、チューブ2〜5は1:2連続希釈、チューブ6=XY緩衝剤のみ。熱BCAタンパク質アッセイ試薬を、製造業者の指示に従って混合した。混合BCA試薬(200μL)を、各試料に添加し、15分間インキュベーションした。タンパク質アッセイの結果を、SOFTmax Pro Plate Reader上で読み取った。タンパク質アッセイの結果に基づき、適切な量のXY緩衝剤を、各腫瘍溶解物に添加し、5mg/mLの最終タンパク質濃度が生じた。全試料にラベルを貼り、−80℃で保存した。
【0130】
腫瘍溶解物中の代謝物質分析
2HG及びαKGの合計濃度でのIDH1阻害の生体内効果を、腫瘍異種移植の液体クロマトグラフィー質量分析(LC−MS)分析によって測定した。本方法を、LC−MSによる分析より前に、O−ベンジルヒドロキシルアミンを用いる誘導体化に利用した。各腫瘍溶解物10マイクロリットルを、深いウェルの96ウェルプレートに置き、10μMのd
5−3HG及び10μMのd6−αKGを含有する内部標準溶液100μLと組み合わせた。ピリジン緩衝剤(8.6%ピリジン、pH5)中1MのO−ベンジルヒドロキシルアミン50μLと、ピリジン緩衝剤中1MのN−(3−ジメチルアミノプロピル)−N−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC)50μLとを、各試料に添加した。誘導体化反応を、室温で1時間進めた。Beckman Biomek FXの液体処理器を使用して、600μLのEtOAcを各試料に添加した。プレートを密封し、5分間ボルテックし、次にそれらをEppendorf 5810R遠心器において、4000rpmで5分間遠心分離した。上層の400μLを、新たな96ウェルプレートに移した。試料を、50℃で、加熱窒素下にて乾燥させ、100μLのMeOH/水(1:1)で還元した。誘導体化試料1マイクロリットルを、Shimadzu Prominence 20A HPLCシステム及びThermo Quantum Ultra(商標)三連四重極質量分析計からなるLC−MSシステムに注入した。分析対象を、Water XBridge(商標)C18カラム(2.1×50mm、3.5μm)を使用して、0.6mL/分の流速で分離した。移動相Aは0.1%ギ酸水であり、移動相BはMeOHである。勾配プロファイル:0分、5%B;3分、100%B;4.00分、100%B;4.1分、5%B;5.50分、停止である。質量分析計は、HESI−IIプローブを利用し、陽イオン選択反応モニタリングモードで操作した。検量曲線を、分析対象濃度の、分析対象/内部標準に対するピーク面積比をプロットすること、Xcalibur(商標)ソフトウェアで計量した1/濃度を使用してデータの二次適合を実施することによって描いた。未知の分析対象濃度を、検量曲線から逆算した。LCMSアッセイからの代謝物質データを、nモル/mgタンパク質で表した。賦形剤処理グループにおける平均2HGレベルを使用して、0%阻害対照を測定した。次に賦形剤対照に対する、各阻害剤処理動物における%阻害を測定した。データをJMPソフトウェアにおいて分析し、各投与グループにおける平均%阻害、標準偏差、及び標準誤差を測定した。
【0131】
例示され、試験された化合物によって、IDH1変異体異種移植マウスにおける2−ヒドロキシグルタレートの生体内阻害を実証するデータを、以下の表23に示す。
【表23】