【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 東日本旅客鉄道株式会社の技術開発成果発表会2014にて、樋部材(「メンテナンス性の高い集中豪雨対策上家雨樋(その2)の開発」の展示パネル内)について公開
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記エルボ内を通過不能なサイズの固形物の前記集水器本体内への侵入は防止するが、前記エルボ内を通過可能なサイズの固形物の前記集水器本体内への侵入は許容する侵入防止部材を備えることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の樋部材。
前記オーバーフロー管は、少なくとも一部が、当該オーバーフロー管内を視認可能な材料で形成されていることを特徴とする請求項1から6の何れか一項に記載の樋部材。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されているような分岐管部と排水口部とを設けた場合、屋根の下からメンテナンスできるが、降雨時にはメンテナンスしにくいという問題がある。
具体的には、特許文献1に記載されているような分岐管部と排水口部とを設けた場合、例えば、排水口部を開放して落とし口に溜まった雨水を排水した後に、分岐管部からメンテナンスを行うことになる。降雨時に排水口部を開放した状態でメンテナンスを行うと排水口部から雨水がこぼれ落ちて駅利用者等に迷惑がかかるため、降雨時にメンテナンスを行う際には、排水口部を閉鎖する必要がある。しかしそれでは、メンテナンス中は排水ができないため、ゲリラ豪雨等の集中豪雨の際には特に、メンテナンス中に落とし口に雨水が溜まって分岐管部の取出口から雨水が溢れ出て駅利用者等に迷惑がかかってしまう。よって、迷惑がかからないように配慮しながらメンテナンスを行わなければならず、降雨時にはメンテナンスしにくいという問題がある。
【0005】
本発明は、以上のような事情に鑑みてなされたものであり、降雨時でもメンテナンスしやすい樋部材を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明の樋部材は、
屋根に取り付けられた谷樋または軒樋と、当該屋根を支持する支柱に取り付けられた竪樋と、の間に設けられる樋部材であって、
前記谷樋または前記軒樋に接続される集水器と、
前記集水器と前記竪樋との間に設置される横引き管と、
前記集水器と前記横引き管とを接続するエルボと、
一端が前記集水器に接続され、他端が前記横引き管に接続されるオーバーフロー管と、を備え、
前記集水器は、
上方に向けて開口する雨水流入口と、下方に向けて開口する雨水流出口と、が設けられた集水器本体と、
前記集水器本体の側面から分岐し、内部が当該集水器本体の内部と連通し、先端部が取出口とされた分岐管部と、
前記取出口を開放自在に塞ぐ蓋部と、からなり、
前記集水器本体の側面には、前記オーバーフロー管が取り付けられるオーバーフロー口が設けられており、
前記取出口の下端は、前記オーバーフロー口の下端よりも上方に位置
し、
前記オーバーフロー口とは別に、前記集水器本体内に溜まった雨水を排水可能な排水口部を前記集水器に設けたように構成されている。
【0007】
したがって、取出口の下端が、オーバーフロー口の下端よりも上方に位置しているため、集水器本体内に溜まった雨水は、取出口に達するよりも先にオーバーフロー口に達し、取出口から雨水が溢れ出ることがない。よって、取出口から雨水が溢れ出ることを気にすることなく、屋根の下からメンテナンスを行うことができるため、降雨時でもメンテナンスしやすい。
さらに、集水器に、集水器本体内に溜まった雨水を排水可能な排水口部が設けられており、集水器本体内に溜まっている雨水を排水口部から排水した後に、取出口から固形物を取り出すことができるため、固形物が取り出しやすくなる。
【0008】
あるいは、本発明の樋部材は、
屋根に取り付けられた谷樋または軒樋と、当該屋根を支持する支柱に取り付けられた竪樋と、の間に設けられる樋部材であって、
前記谷樋または前記軒樋に接続される集水器と、
前記集水器と前記竪樋との間に設置される横引き管と、
前記集水器と前記横引き管とを接続するエルボと、
一端が前記集水器に接続され、他端が前記横引き管に接続されるオーバーフロー管と、を備え、
前記集水器は、
上方に向けて開口する雨水流入口と、下方に向けて開口する雨水流出口と、が設けられた集水器本体と、
前記集水器本体の側面から分岐し、内部が当該集水器本体の内部と連通し、先端部が取出口とされた分岐管部と、
前記取出口を開放自在に塞ぐ蓋部と、からなり、
前記集水器本体の側面には、前記オーバーフロー管が取り付けられるオーバーフロー口が設けられており、
前記取出口の下端は、前記オーバーフロー口の下端よりも上方に位置し、
前記分岐管部の先端部は、斜め上方を向いているように構成
されている。
【0009】
したがって、取出口の下端が、オーバーフロー口の下端よりも上方に位置しているため、集水器本体内に溜まった雨水は、取出口に達するよりも先にオーバーフロー口に達し、取出口から雨水が溢れ出ることがない。よって、取出口から雨水が溢れ出ることを気にすることなく、屋根の下からメンテナンスを行うことができるため、降雨時でもメンテナンスしやすい。
さらに、分岐管部の先端部が斜め上方を向いているため、メンテナンスしやすい。
【0010】
好ましくは、
前記雨水流入口の面積は、前記雨水流出口の面積よりも大きいように構成することが可能である。
【0011】
このように、雨水流入口の面積を、雨水流出口の面積よりも大きくすることによって、雨水流入口の面積が雨水流出口の面積以下の場合よりも、雨水流出口から流出する雨水、すなわちエルボに流入する雨水の流量・流速が大きくなり、エルボ内に溜まっている固形物を横引き管へと押し流す力が増大するため、エルボが詰まりにくくなる。
【0012】
好ましくは、
前記エルボ内を通過不能なサイズの固形物の前記集水器本体内への侵入は防止するが、前記エルボ内を通過可能なサイズの固形物の前記集水器本体内への侵入は許容する侵入防止部材を備えるように構成することが可能である。
【0013】
このように、侵入防止部材を、エルボ内を通過不能なサイズの固形物の集水器本体内への侵入は防止するが、エルボ内を通過可能なサイズの固形物の集水器本体内への侵入は許容するように構成することによって、侵入防止部材の目詰まり防止と、エルボの詰まりが不意に発生することの防止と、を両立することができる。
【0014】
好ましくは、
前記侵入防止部材は、
外形柱状をなし、
前記集水器本体内に前記雨水流入口から抜き差し自在に設置されており、
前記集水器本体内に設置された状態で、下端部が前記雨水流出口と前記分岐管部の基端との間に配置され、上端部が前記雨水流入口よりも上方に配置されるように構成することが可能である。
【0015】
このように、侵入防止部材を、集水器本体内に雨水流入口から抜き差し自在に設置し、当該侵入防止部材の下端部を、雨水流出口と分岐管部の基端との間に配置することによって、侵入防止部材に引っ掛かっている固形物によって雨水がスムーズに流れない場合に迅速かつ安全に対応することができる。
また、侵入防止部材の上端部を、雨水流入口よりも上方に配置することによって、侵入防止部材に引っ掛かっている固形物によって雨水が滞ってしまう不都合を発生しにくくすることができる。
【0016】
好ましくは、
前記エルボは、当該エルボ内を視認可能な材料で形成されているように構成することが可能である。
【0017】
このように、エルボを、当該エルボ内を視認可能な材料で形成することによって、樋部材の外側からエルボ内に溜まっている固形物の量を確認することができる。したがって、取出口を覗き込まなくても、エルボ内に溜まっている固形物の量を確認することができるため、当該確認を随時行うことが可能となる。
【0018】
好ましくは、
前記オーバーフロー管は、少なくとも一部が、当該オーバーフロー管内を視認可能な材料で形成されているように構成することが可能である。
【0019】
このように、オーバーフロー管の少なくとも一部を、当該オーバーフロー管内を視認可能な材料で形成することによって、樋部材の外側からオーバーフロー管内を流れる雨水の量を確認することができる。したがって、取出口を覗き込まなくても、集水器本体内に溜まっている雨水の量を確認することができるため、当該確認を随時行うことが可能となる。
【0022】
好ましくは、
前記集水器を前記谷樋または前記軒樋に接続するための接続部材を備え、
前記雨水流入口は、円形であり、
前記接続部材は、環状部と、当該環状部の一端部から径方向に突出する庇部と、を有し、
前記環状部の外面と前記雨水流入口の内面とには、ねじが切られており、
前記集水器と前記接続部材とは、前記谷樋または前記軒樋を挟んだ状態で螺合することで当該谷樋または当該軒樋に接続されているように構成することが可能である。
【0023】
このように、集水器と接続部材とを、谷樋または軒樋を挟んだ状態で螺合することで谷樋または軒樋に接続されるように構成することによって、集水器と接続部材とで谷樋または軒樋を挟み、その状態で集水器に対して接続部材をねじ込むだけで、集水器を谷樋または軒樋に接続することができるため、樋部材を容易に設置することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、降雨時でもメンテナンスしやすい樋部材を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図面を参照しつつ、本発明にかかる樋部材について説明する。なお、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態および図示例に限定するものではない。
【0027】
図1は、本実施形態の樋部材1が、駅のホームに設置された場合を例示している。
このホームには支柱H1が立設されており、当該支柱H1は屋根(上屋)H2を支持している。屋根H2には、雨水を集める谷樋D2が取り付けられている。また。支柱H1には、竪樋D1が取り付けられており、竪樋D1の下端部は、雨水ますにつながる排水管(図示省略)に接続されている。そして、谷樋D2と竪樋D1との間に、樋部材1が設けられている。
【0028】
図2は、本実施形態の樋部材1の構成の一例を示す図であって、
図2(a)は断面図であり、
図2(b)は平面図(上面図)である。
樋部材1は、谷樋D2に接続される集水器10と、集水器10と竪樋D1との間に設置される横引き管20と、集水器10と横引き管20とを接続するエルボ30と、一端が集水器10に接続され、他端が横引き管20に接続されるオーバーフロー管40と、集水器10内に配設されている侵入防止部材50と、集水器10を谷樋D2に接続するための接続部材60と、を備えて構成される。
本実施形態の樋部材1においては、集水器10と横引き管20との接続部分が曲がっているため、当該接続部分(すなわちエルボ30)の内部に落ち葉やコケ、泥などの固形物が溜まりやすい。
【0029】
集水器10は、上方に向けて開口する雨水流入口11aと下方に向けて開口する雨水流出口11bとが設けられた集水器本体11と、集水器本体11の側面から分岐して先端部が取出口12aとされた分岐管部12と、取出口12aを開放自在に塞ぐ蓋部13と、集水器本体11の側面(本実施形態の場合、分岐管部12の基端よりも下方の部分)から外側に突出して集水器本体11内に溜まった雨水を排水可能な排水口部14と、からなり、例えば樹脂によって形成されている。
【0030】
集水器本体11は、水平断面が略円形をなし、下方に向かって先すぼまり状に形成されている。すなわち、雨水流入口11aの面積は、雨水流出口11bの面積よりも大きい。したがって、雨水流入口11aの面積が雨水流出口11bの面積と同等またはそれ未満の場合よりも、雨水流出口11bから流出する雨水、すなわちエルボ30に流入する雨水の流量・流速が大きくなり、エルボ30内に溜まっている固形物を横引き管20へと押し流す力が増大するため、エルボ30が詰まりにくくなる。
ここで、樋部材1の排水処理能力向上の観点からは、雨水流入口11aの面積は大きいほど好ましいが、屋根H2や谷樋D2の負担軽減の観点からは、雨水流入口11aの面積は小さいほど好ましい。そこで、本実施形態の樋部材1において、雨水流入口11aのサイズは、ゲリラ豪雨(例えば10分間雨量が50mm)にも対応できる排水処理能力を有し、かつ、屋根H2や谷樋D2に負担が掛からないサイズ、具体的には直径260mmに設定されている。無論、雨水流入口11aのサイズは、直径260mmに限定されるものではなく、適宜変更可能である。
【0031】
集水器本体11の側面には、オーバーフロー管40が取り付けられるオーバーフロー口11cが設けられている。
オーバーフロー口11cの下端11c1は、集水器本体11の上下方向中央よりも上方に位置している。したがって、オーバーフロー口11cの下端11c1が集水器本体11の上下方向中央よりも下方に位置する場合よりも、オーバーフロー管40に雨水が流入する頻度を抑えることができるため、オーバーフロー管40が詰まりにくくなる。すなわち、雨水とともに落ち葉やコケ、泥などの固形物がオーバーフロー管40へと流入してくることがオーバーフロー管40の詰まりの原因になるが、オーバーフロー管40への雨水の流入頻度を抑えることで、オーバーフロー管40への固形物の流入頻度も抑えることができるため、オーバーフロー管40が詰まりにくくなる。
【0032】
分岐管部12は、その内部が集水器本体11の内部と連通している。したがって、分岐管部12の先端部(取出口12a)を塞ぐ蓋部13を外して取出口12aを開放状態にすることで、取出口12aから集水器本体11内へと手を差し入れることができるため、取出口12aから集水器本体11内やエルボ30内に溜まった固形物を取り出すことができる。
ここで、取出口12aから固形物を取り出す際、集水器本体11内に雨水が溜まっていると固形物が取り出しにくい。よって、集水器本体11内に雨水が溜まっている場合には、当該雨水を排水口部14から排水した後に、取出口12aから固形物を取り出すことで、固形物が取り出しやすくなる。
【0033】
また、分岐管部12において、取出口12aの下端12a1は、オーバーフロー口11cの下端11c1よりも上方に位置している。したがって、集水器本体11内に溜まった雨水は、取出口12aに達するよりも先にオーバーフロー口11cに達し、取出口12aから雨水が溢れ出ることがない。よって、取出口12aから雨水が溢れ出ることを気にすることなく、屋根H2の下からメンテナンスを行うことができるため、降雨時でもメンテナンスしやすい。
【0034】
また、分岐管部12において、取出口12aとされた分岐管部12の先端部は、斜め上方を向いている。したがって、メンテナンスしやすい。
すなわち、固形物は取出口12aの斜め下方(エルボ30内や集水器本体11内)に溜まるため、取出口12aが斜め上以外(真上、真横、斜め下、真下)を向いている場合には、取出口12aを覗き込んでも詰まり箇所の確認はできないが、取出口12aを斜め上方に向けることで、取出口12aから詰まり箇所を確認することが可能となる。また、取出口12aを斜め上方に向けることで、取出口12aから当該取出口12aの斜め下方(エルボ30内や集水器本体11内)へと手を差し入れやすくなるため、取出口12aの斜め下方に溜まっている固形物が取り出しやすくなる。
なお、本実施形態の場合、取出口12aは、斜め45度上方を向いているが、取出口12aが斜め上方を向く角度は適宜変更可能である。
【0035】
エルボ30は、当該エルボ30内を視認可能な材料(例えば透明樹脂)で形成されている。よって、樋部材1の外側からエルボ30内に溜まっている固形物の量を確認することができる。したがって、取出口12aを覗き込まなくても、駅のホーム上からエルボ30内に溜まっている固形物の量を確認することができるため、当該確認を随時行うことが可能となる。
なお、本実施形態では、エルボ30の角度を90°としたが、エルボ30の角度は適宜変更可能である。すなわち、本実施形態では、横引き管20は水平に配置されているが、これに限定されるものではなく、横引き管20は、例えば斜めに配置されていてもよい。
【0036】
オーバーフロー管40は、少なくとも一部(例えばエルボ部分)が、当該オーバーフロー管40内を視認可能な材料(例えば透明樹脂)で形成されている。よって、樋部材1の外側からオーバーフロー管40内を流れる雨水の量を確認することができる。したがって、取出口12aを覗き込まなくても、駅のホーム上から集水器本体11内に溜まっている雨水の量を確認することができるため、当該確認を随時行うことが可能となる。
なお、本実施形態では、オーバーフロー管40のエルボ部分の角度を90°としたが、当該エルボ部分の角度は適宜変更可能である。
【0037】
図3は、本実施形態の樋部材1が備える侵入防止部材50の構成の一例を示す斜視図である。
侵入防止部材50は、外形柱状をなし、集水器本体11内に雨水流入口11aから抜き差し自在に設置されている。
【0038】
そして、侵入防止部材50は、エルボ30内を通過不能なサイズの固形物の集水器本体11内への侵入は防止するが、エルボ30内を通過可能なサイズの固形物の集水器本体11内への侵入は許容するように構成されている。ここで、「エルボ30内を通過不能なサイズの固形物」とは、例えば、空き缶などである。また、「エルボ30内を通過可能なサイズの固形物」とは、例えば、落ち葉やコケ、泥などである。
具体的には、侵入防止部材50は、例えば細い金属棒からなり、
図3に示すように、リング部材と当該リング部材内に放射状に配置された複数の棒状部材とからなる2つの底面部51と、対向する底面部51同士を連結する複数の棒状部材からなる側面部52と、を有する。そして、側面部52における棒状部材同士の間隔は、エルボ30内を通過不能なサイズの固形物は通過できないが、エルボ30内を通過可能なサイズの固形物は通過できる間隔に設定されている。
【0039】
このように、侵入防止部材50を、エルボ30内を通過不能なサイズの固形物の集水器本体11内への侵入は防止するが、エルボ30内を通過可能なサイズの固形物の集水器本体11内への侵入は許容するように構成することによって、侵入防止部材50の目詰まり防止と、エルボ30の詰まりが不意に発生することの防止と、を両立することができる。
すなわち、侵入防止部材が、大小様々な固形物の集水器本体11内への侵入を防止するように構成されていると、大小様々な固形物が侵入防止部材の表面で折り重なって当該侵入防止部材が目詰まりしてしまう不都合が発生しやすくなる。これに対し、そもそも侵入防止部材を備えなければ、このような不都合は発生しないが、ひとたびエルボ30内を通過不能なサイズの固形物が集水器本体11内へ侵入すると、直ちにエルボ30が詰まってしまう不都合が発生する。したがって、侵入防止部材50を、エルボ30内を通過不能なサイズの固形物の集水器本体11内への侵入は防止するが、エルボ30内を通過可能なサイズの固形物の集水器本体11内への侵入は許容するように構成し、当該侵入防止部材50によって固形物を分別することによって、侵入防止部材50の目詰まり防止と、エルボ30の詰まりが不意に発生することの防止と、を両立することができる。
なお、侵入防止部材50は、エルボ30内を通過不能なサイズの固形物の集水器本体11内への侵入は防止するが、エルボ30内を通過可能なサイズの固形物の集水器本体11内への侵入は許容するように構成されているのであれば、その形状や材料などは適宜変更可能であり、例えば、パンチング板や網板などで形成されていてもよい。
【0040】
そして、侵入防止部材50は、集水器本体11内に設置された状態で、下端部が雨水流出口11bと分岐管部12の基端との間に配置され、上端部が雨水流入口11aよりも上方に配置されている。
具体的には、侵入防止部材50は、例えば、集水器本体11の内部のうちの雨水流出口11bと分岐管部12の基端との間に設けられた複数の突起片11d上に載置されており、その載置された状態において、当該侵入防止部材50の上端の上下方向の位置が、谷樋D2の上端の上下方向の位置と略一致している。
【0041】
このように、侵入防止部材50を、集水器本体11内に雨水流入口11aから抜き差し自在に設置し、当該侵入防止部材50の下端部を、雨水流出口11bと分岐管部12の基端との間に配置することによって、侵入防止部材50に引っ掛かっている固形物(エルボ内を通過不能なサイズの固形物等)によって雨水がスムーズに流れない場合に迅速かつ安全に対応することができる。
すなわち、侵入防止部材50を、集水器本体11内に雨水流入口11aから抜き差し自在に設置し、当該侵入防止部材50の下端部を、雨水流出口11bと分岐管部12の基端との間に配置することによって、取出口12aから手を差し入れて侵入防止部材50を揺り動かすこと、つまり、屋根H2の上に登らなくても屋根H2の下から侵入防止部材50を揺り動かすことができる。そして、侵入防止部材50に固形物が引っ掛かっている場合、侵入防止部材50を揺り動かすことによって、当該固形物を退かすことが可能となる。したがって、屋根H2の下から侵入防止部材50に引っ掛かっている固形物を退かすことができるので、侵入防止部材50に引っ掛かっている固形物によって雨水がスムーズに流れない場合に迅速かつ安全に対応することができる。
【0042】
また、侵入防止部材50の上端部を、雨水流入口11aよりも上方に配置することによって、侵入防止部材50に引っ掛かっている固形物によって雨水が滞ってしまう不都合を発生しにくくすることができる。
すなわち、侵入防止部材50の上端部を、雨水流入口11aよりも上方に配置することによって、集水器10と侵入防止部材50との間に落ち葉等の固形物が溜まっても、雨水は侵入防止部材50の上端部から流入することができるため、侵入防止部材50に引っ掛かっている固形物によって雨水が滞ってしまう不都合を発生しにくくすることができる。
また、侵入防止部材50の上端部を、雨水流入口11aよりも上方に配置することによって、ビニール袋等の固形物が雨水流入口11aに被さっても当該固形物は侵入防止部材50によって持ち上げられた状態になる。当該固形物が持ち上げられている分、当該固形物と雨水流入口11aとの間に隙間ができるため、侵入防止部材50に引っ掛かっている固形物によって雨水が滞ってしまう不都合を発生しにくくすることができる。
【0043】
接続部材60は、環状部61と、当該環状部61の一端部(上端部)から径方向に突出する庇部62と、を有している。
環状部61の外径は、円形の雨水流入口11aの内径と略同一に設定されている。
そして、環状部61の外面と雨水流入口11aの内面とには、ねじが切られており、集水器10と接続部材60とは、谷樋D2を挟んだ状態で螺合することで当該谷樋D2に接続されている。
【0044】
図4は、本実施形態における樋部材1の設置方法を説明するための図である。
まず、
図4(a)に示すように、谷樋D2にホールソー等で孔をあけ、その孔に上方から接続部材60を嵌めるとともに、接続部材60に下方からパッキン70を取り付ける。
次いで、
図4(b)に示すように、接続部材60にねじ込み用棒Sを取り付ける。
次いで、
図4(c)に示すように、エルボ30やオーバーフロー管40が取り付けられた集水器10を谷樋D2の下方に配置する。
次いで、集水器10を持ち上げながら、ねじ込み用棒Sを用いて集水器10に対し接続部材60をねじ込む。
そして、侵入防止部材50を集水器10内に配設するとともに、横引き管20によって集水器10と竪樋D1とを接続する。
これにより、屋根H2に取り付けられた谷樋D2と、当該屋根H2を支持する支柱H1に取り付けられた竪樋D1と、の間に樋部材1を設置することができる。
【0045】
以上説明した本実施形態の樋部材1によれば、屋根H2に取り付けられた谷樋D2と、当該屋根H2を支持する支柱H1に取り付けられた竪樋D1と、の間に設けられる樋部材であって、谷樋D2に接続される集水器10と、集水器10と竪樋D1との間に設置される横引き管20と、集水器10と横引き管20とを接続するエルボ30と、一端が集水器10に接続され、他端が横引き管20に接続されるオーバーフロー管40と、を備え、集水器10は、上方に向けて開口する雨水流入口11aと下方に向けて開口する雨水流出口11bとが設けられた集水器本体11と、集水器本体11の側面から分岐し、内部が当該集水器本体11の内部と連通し、先端部が取出口12aとされた分岐管部12と、取出口12aを開放自在に塞ぐ蓋部13と、からなり、集水器本体11の側面には、オーバーフロー管40が取り付けられるオーバーフロー口11cが設けられており、取出口12aの下端12a1は、オーバーフロー口11cの下端11c1よりも上方に位置するように構成されている。
【0046】
したがって、取出口12aの下端12a1が、オーバーフロー口11cの下端11c1よりも上方に位置しているため、集水器本体11内に溜まった雨水は、取出口12aに達するよりも先にオーバーフロー口11cに達し、取出口12aから雨水が溢れ出ることがない。よって、取出口12aから雨水が溢れ出ることを気にすることなく、屋根の下からメンテナンスを行うことができるため、降雨時でもメンテナンスしやすい。
なお、集水器10は、谷樋D2ではなく、軒樋に接続されてもよい。また、樋部材1は、駅のホーム以外の場所にも設置可能である。
また、集水器本体11は、水平断面が略円形をなすものに限定されず、水平断面が多角形をなすものであってもよい。
【0047】
また、本実施形態の樋部材1によれば、オーバーフロー口11cの下端11c1は、集水器本体11の上下方向中央よりも上方に位置するように構成することが可能である。
【0048】
このように、オーバーフロー口11cの下端11c1を、集水器本体11の上下方向中央よりも上方に位置させることによって、オーバーフロー口11cの下端11c1が集水器本体11の上下方向中央よりも下方に位置する場合よりも、オーバーフロー管40に雨水が流入する頻度を抑えることができるため、オーバーフロー管40が詰まりにくくなる。
【0049】
また、本実施形態の樋部材1によれば、雨水流入口11aの面積は、雨水流出口11bの面積よりも大きいように構成することが可能である。
【0050】
このように、雨水流入口11aの面積を、雨水流出口11bの面積よりも大きくすることによって、雨水流入口11aの面積が雨水流出口11bの面積以下の場合よりも、雨水流出口11bから流出する雨水、すなわちエルボ30に流入する雨水の流量・流速が大きくなり、エルボ30内に溜まっている固形物を横引き管20へと押し流す力が増大するため、エルボ30が詰まりにくくなる。
【0051】
また、本実施形態の樋部材1によれば、エルボ30内を通過不能なサイズの固形物の集水器本体11内への侵入は防止するが、エルボ30内を通過可能なサイズの固形物の集水器本体11内への侵入は許容する侵入防止部材50を備えるように構成することが可能である。
【0052】
このように、侵入防止部材50を、エルボ30内を通過不能なサイズの固形物の集水器本体11内への侵入は防止するが、エルボ30内を通過可能なサイズの固形物の集水器本体11内への侵入は許容するように構成することによって、侵入防止部材50の目詰まり防止と、エルボ30の詰まりが不意に発生することの防止と、を両立することができる。
【0053】
また、本実施形態の樋部材1によれば、侵入防止部材50は、外形柱状をなし、集水器本体11内に雨水流入口11aから抜き差し自在に設置されており、集水器本体11内に設置された状態で、下端部が雨水流出口11bと分岐管部12の基端との間に配置され、上端部が雨水流入口11aよりも上方に配置されるように構成することが可能である。
【0054】
このように、侵入防止部材50を、集水器本体11内に雨水流入口11aから抜き差し自在に設置し、当該侵入防止部材50の下端部を、雨水流出口11bと分岐管部12の基端との間に配置することによって、侵入防止部材50に引っ掛かっている固形物によって雨水がスムーズに流れない場合に迅速かつ安全に対応することができる。
また、侵入防止部材50の上端部を、雨水流入口11aよりも上方に配置することによって、侵入防止部材50に引っ掛かっている固形物によって雨水が滞ってしまう不都合を発生しにくくすることができる。
なお、本実施形態では、外形円柱状の侵入防止部材50を用いたが、侵入防止部材50は、外形角柱状をなしていてもよい。
【0055】
また、本実施形態の樋部材1によれば、エルボ30は、当該エルボ30内を視認可能な材料で形成されているように構成することが可能である。
【0056】
このように、エルボ30を、当該エルボ30内を視認可能な材料で形成することによって、樋部材1の外側からエルボ30内に溜まっている固形物の量を確認することができる。したがって、取出口12aを覗き込まなくても、エルボ30内に溜まっている固形物の量を確認することができるため、当該確認を随時行うことが可能となる。
【0057】
また、本実施形態の樋部材1によれば、オーバーフロー管40は、少なくとも一部が、当該オーバーフロー管40内を視認可能な材料で形成されているように構成することが可能である。
【0058】
このように、オーバーフロー管40の少なくとも一部を、当該オーバーフロー管40内を視認可能な材料で形成することによって、樋部材1の外側からオーバーフロー管40内を流れる雨水の量を確認することができる。したがって、取出口12aを覗き込まなくても、集水器本体11内に溜まっている雨水の量を確認することができるため、当該確認を随時行うことが可能となる。
【0059】
また、本実施形態の樋部材1によれば、集水器10には、集水器本体11内に溜まった雨水を排水可能な排水口部14が設けられているように構成することが可能である。
【0060】
このように、集水器10に、集水器本体11内に溜まった雨水を排水可能な排水口部14を設けることによって、集水器本体11内に溜まっている雨水を排水口部14から排水した後に、取出口12aから固形物を取り出すことができるため、固形物が取り出しやすくなる。
【0061】
また、本実施形態の樋部材1によれば、集水器10を谷樋D2に接続するための接続部材60を備え、雨水流入口11aは、円形であり、接続部材60は、環状部61と、当該環状部61の一端部から径方向に突出する庇部62と、を有し、環状部61の外面と雨水流入口11aの内面とには、ねじが切られており、集水器10と接続部材60とは、谷樋D2を挟んだ状態で螺合することで当該谷樋D2に接続されているように構成することが可能である。
【0062】
このように、集水器10と接続部材60とを、谷樋D2を挟んだ状態で螺合することで谷樋D2に接続されるように構成することによって、集水器10と接続部材60とで谷樋D2を挟み、その状態で集水器10に対して接続部材60をねじ込むだけで、集水器10を谷樋D2に接続することができるため、樋部材1を容易に設置することができる。
【0063】
上記の実施形態において、添付図面に図示されている構成等については、あくまで一例であり、これらに限定されるものではなく、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更することが可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。