特許第6473338号(P6473338)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アキレス株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6473338-高度測定機能付きシューズ 図000002
  • 特許6473338-高度測定機能付きシューズ 図000003
  • 特許6473338-高度測定機能付きシューズ 図000004
  • 特許6473338-高度測定機能付きシューズ 図000005
  • 特許6473338-高度測定機能付きシューズ 図000006
  • 特許6473338-高度測定機能付きシューズ 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6473338
(24)【登録日】2019年2月1日
(45)【発行日】2019年2月20日
(54)【発明の名称】高度測定機能付きシューズ
(51)【国際特許分類】
   A43B 23/00 20060101AFI20190207BHJP
【FI】
   A43B23/00 Z
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-19934(P2015-19934)
(22)【出願日】2015年2月4日
(65)【公開番号】特開2016-140639(P2016-140639A)
(43)【公開日】2016年8月8日
【審査請求日】2018年1月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000077
【氏名又は名称】アキレス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100139206
【弁理士】
【氏名又は名称】戸塚 朋之
(74)【代理人】
【識別番号】100094488
【弁理士】
【氏名又は名称】平石 利子
(72)【発明者】
【氏名】石黒 正
(72)【発明者】
【氏名】馬場 日男
【審査官】 大宮 功次
(56)【参考文献】
【文献】 特表2011−524207(JP,A)
【文献】 特開平06−050768(JP,A)
【文献】 特開2010−240158(JP,A)
【文献】 特表2014−504943(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0087445(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A43B 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の靴本体それぞれに設けられた一対の気圧センサーを有するシューズであって、
一方の気圧センサーによる測定値と、もう一方の気圧センサーによる測定値の差を演算して得られる高度値から、高度測定を可能とした高度測定機能付きシューズ。
【請求項2】
一対の靴本体それぞれに設けられた一対の気圧センサーと、
靴本体それぞれに設けられた一対の着地検出センサーを有するシューズであって
一方の着地検出センサーによって着地が検出されたときの一方の気圧センサーによる測定値と、もう一方の着地検出センサーによって着地が検出されたときのもう一方の気圧センサーによる測定値の差を演算して得られる高度値から、高度測定を可能とした高度測定機能付きシューズ。
【請求項3】
さらに、前記気圧センサーによる測定値及び/又は前記演算して得られる高度値を送信するデータ通信部を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の高度測定機能付きシューズ。
【請求項4】
前記気圧センサーによる測定値を高度に変換する演算部が、シューズに取り付けられていることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の高度測定機能付きシューズ。
【請求項5】
前記気圧センサーによる測定値を高度に変換する演算部が、外部端末であることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の高度測定機能付きシューズ。
【請求項6】
前記演算部は、一方の気圧センサーによる測定値と、もう一方の気圧センサーによる測定値の差を積算することを特徴とする請求項4又は5に記載の高度測定機能付きシューズ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歩行や走行によって、どれだけの高さを登ったのかを測定する機能を有する高度測定機能付きシューズに関する。
【背景技術】
【0002】
ウォーキングやジョギングを行う際、歩数計などを使用して、歩数、歩いた距離及び時間などを測定し、日々の成果を記録することでの健康づくり、健康管理が盛んに行われている。
最近では、距離や時間だけでなく、運動時の物理的、或いは生理学的な変化を検出し数値化する各種センサーが搭載された腕時計型機器やシューズなどが開発されており、運動の成果を様々な方法で確認・解析することができるようになってきている。また、スマートフォンやウェアラブル端末などの携帯用のデジタル通信機器の普及により、データの記録管理が容易となり、日々の成果がいつでも一目でわかるようになってきている。
【0003】
例えば、特許文献1には、歩行又は走行速度及び距離、GPS情報、脈拍数、心拍数などを測定し、それらのデータを送信できるモジュール装置を搭載したシューズが記載されている。
【0004】
また、センサーのひとつとして、高度計を搭載したものがあり、これは、登山やトレッキングなどの人気も高まる中、現在地の高度を測定するために用いられている。
【0005】
例えば、特許文献2に記載の電子機器は、内蔵された気圧センサーによって、大気圧を測定し、高度に変換することで、高度変化を検知し、現在の歩行が上り、平坦、下りを判定することができる。また、歩行した上り距離、平坦距離、及び下り距離をそれぞれ記録し、ユーザーにコースを体感させることができる。
【0006】
しかし、特許文献2のように気圧センサーによる測定値を高度に変換する方法では、その測定は、高気圧、低気圧などの天候による大気圧の変化などにより大きく左右され、おおよその高度を知ることはできるものの、より正確な高度測定はできない。
【0007】
また、特許文献3には、段差によるつまずき防止のため、靴本体に加速度センサーを取り付け、足の持ち上げ量を検出し、基準値よりも低い場合にユーザーに知らせることができる歩行用靴が記載されている。
しかし、上記の特許文献3に記載の発明では、歩行した高度を正確に測定することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2012−115709号公報
【特許文献2】特開2012−168818号公報
【特許文献3】特許第5115673号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、歩行または走行した高度を、走・歩行の際の環境による影響などを受けることなく、正確に測定できる機能を有するシューズを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の高度測定機能付きシューズは、
(1)一対の靴本体それぞれに設けられた一対の気圧センサーを有し、一方の気圧センサーによる測定値と、もう一方の気圧センサーによる測定値の差を演算して得られる高度値から、高度測定を可能とすることを特徴とし、
(2)一対の靴本体それぞれに設けられた一対の気圧センサーと、靴本体それぞれに設けられた一対の着地検出センサーを有し一方の着地検出センサーによって着地が検出されたときの一方の気圧センサーによる測定値と、もう一方の着地検出センサーによって着地が検出されたときのもう一方の気圧センサーによる測定値の差を演算して得られる高度値から、高度測定を可能とすることを特徴とする。
このように構成することにより、本発明の(1)のシューズでは、天候などによる影響を相殺することができ、正確な高度測定を実現でき、(2)のシューズでは、天候等の影響を相殺することに加え、一歩一歩についての正確な高度測定を実現できる。
【0011】
本発明の上記(1),(2)のシューズは、(3)気圧センサーによる測定値及び/又は演算して得られる高度値を送信するデータ通信部を備えることを特徴とする。
このように構成することにより、本発明の(3)のシューズでは、気圧センサーによる測定値及び/又は天候等の影響を相殺した正確な高度値を、上記の通信部からのデータを受信した外部端末等において、さらに処理することが可能となる。
また、本発明の上記(1)〜(3)のシューズは、前記気圧センサーによる測定値を高度に変換する演算部が、(4)シューズに取り付けられていることを特徴とし、或いは(5)外部端末であることを特徴とする。
また、本発明の上記(1)〜(5)のシューズは、(6)演算部で、一方の気圧センサーによる測定値と、もう一方の気圧センサーによる測定値の差を積算することができることを特徴とする。
このような構成とすることにより、天候等の影響を相殺することに加え、どれだけの高度を歩行または走行したかを正確に測定することが可能となる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の高度測定機能を備えたシューズによれば、天候などに影響を受けない正確な高度測定を可能にすることができるのみならず、次のような効果を得ることができる。
一歩一歩についての正確な高度測定、どれだけの高度を歩行・走行したかの正確な測定、これらの正確な高度値をさらに外部端末等で処理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1の実施形態による高度測定機能付きシューズの概略構成図である。
図2】本発明の第1の実施形態による高度測定機能付きシューズに搭載される高度測定装置の構成を示すブロック図である。
図3図2の高度測定装置の動作を示すフローチャートである。
図4】本発明の第2の実施形態による高度測定機能付きシューズの概略構成図である。
図5】本発明の第2の実施形態による高度測定機能付きシューズに搭載される高度測定装置の構成を示すブロック図である。
図6図5の高度測定装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明の第1の実施形態による高度測定機能付きシューズの構成を説明する。図1において、靴本体1は、一対(一足)の靴本体のうちの片方(右足用あるいは左足用)であり、かかと部分、本例では底部材のかかと部に気圧センサー2が設けられている。気圧センサー2が設けられる部分は、外気と連通しており、外気の気圧変化を検知できるようになっている。演算部としてマイクロプロセッサ3、通信モジュール4、表示部5、および図示しない電池も、かかと部分など、靴本体1の機能を損ねない箇所、本例では、マイクロプロセッサ3が上記の気圧センサー2の直近で底部材と甲被部材にわたる部分に、通信モジュール4が該マイクロプロセッサ3の上方の甲被部材に設けられ、表示部5は履用者が見易い例えば甲被部材の爪先部等に設けられている。
【0015】
図2は、靴本体1に設けられる高度検出装置の構成を示すブロック図である。一組の靴本体(一方は、図1に示されており、他方は同様に構成されている)のそれぞれに気圧センサー21,22が設けられ、気圧センサー21、22によって測定された気圧値をそれぞれ入力して高度値に変換するマイクロプロセッサ31,32が接続されている。
【0016】
気圧センサー21,22として、気圧変化を精度よく検出するために、半導体圧力センサーが使用できる。これは、圧力を加えると、電気抵抗が変化する効果(ピエゾ抵抗効果)を利用したものであり、圧電素子(ピエゾ素子)、圧電素子の電気抵抗の変化を検出する検出部、検出した電気抵抗値から気圧値信号へと変換する変換部を備えたセンサーである。気圧センサー21、22が、デジタル信号の気圧値を出力するものであれば、マイクロプロセッサ31,32が直接接続されるが、アナログ信号の気圧値を出力するものであれば、ADコンバータを介してマイクロプロセッサ31,32に接続される。
また、当該半導体圧力センサーは、外気と連通しており、本発明のシューズに使用するためには、雨水やほこり、チリなどの浸入を防ぐ必要がある。例えば、当該気圧センサーを透湿防水素材などで被覆することが好ましい。
【0017】
マイクロプロセッサ31,32の出力は、それぞれ通信モジュール41、42に送られ、WiFiまたはBlue Tooth(登録商標)などの無線通信によって、2つのマイクロプロセッサ31,32の間、および外部端末7との間でデータの送受信が可能となっている。表示部51,52は、それぞれマイクロプロセッサ31,32と接続されている。
【0018】
次に、図3を参照して、本実施形態における高度検出装置の動作を説明する。マイクロプロセッサ31は、ステップ201において、気圧センサー21の出力値P1を受け取り、ステップ202において、気圧センサー出力値P1に基づいて、これに対応する高度値H1を得る。プロセッサ32は、ステップ211において、気圧センサー22の出力値P2を受け取り、ステップ212において、気圧センサー出力値P2に基づいて、これに対応する高度値H2を得る。気圧値から高度値への変換は、メモリーに記憶された気圧−高度対応表に基づいて行うことができるが、所定の関係式を用いて行うこともできる。
【0019】
ステップ203において、プロセッサ31は、高度値H1を通信モジュール41に出力し、通信モジュール41は、高度値H1を無線送信し、ステップ213において、通信モジュール42は、高度値H1を受信する。ステップ214において、マイクロプロセッサ32は、高度値H1と高度値H2との高度差(H1−H2)を算出する。
【0020】
ところで、ある時点の気圧センサー21の出力値P1は、天候によって標準大気の場合の高度に対応する気圧値からずれている可能性がある。また、屋外と室内でも、出力値P1は異なってくる。たとえば台風が近づいていて、測定場所が低気圧になっている場合、標準大気である場合よりも、その高度について気圧が低めに測定される。すなわち、換算した高度値H1は、標準大気の場合の高度値Hs1よりも高くなる。この天候などによる誤差をHeとすると、H1=Hs1+Heとなる。
【0021】
一方、気圧センサー22の出力値P2も、同じ天候などによる影響を受けており、換算した高度値H2は、標準大気の場合の高度値Hs2よりも高くなる。2つの気圧センサーは、一対の靴本体に取り付けられているという特徴のために、天候などによる誤差Heは同じであり、H2=Hs2+Heとなる。高度差(H1−H2)は、Hs1+He−Hs2−He=Hs1―Hs2となり、誤差Heが相殺される。このように、高度差(H1−H2)を算出することにより、正確な高度差を得ることができる。
【0022】
一般に、地上から1m高度を上げる毎に、気圧は約12Paずつ低下する。一般に行われている気圧測定においては、分解能(検出できる最小の気圧差)が約3Pa程度の気圧センサーが使用され、これにより高度差30cm程度を検出するものが使用されている。しかし、本実施形態において、一対の靴の高度差、すなわち一歩歩く毎にどれだけ上ったかを測定するようにするため、0.5〜20cm程度の差を検出できるもの、すなわち、約2Paよりも高分解能の気圧センサーを使用することが好ましい。なお、0.3Paの分解能を有し、約3cmの高度差を測定可能な気圧センサーが実用化され市販されているので、このようなものを使用してもよい。ここで、市販の気圧センサーを使用した場合の分解能は、一つのセンサーでの分解能であり、本発明のように一対のセンサーの差分をとる場合は、0.3Paでも0.05Pa(0.5cm)の差を十分に測定できる。
【0023】
ステップ215において、マイクロプロセッサ32は、高度差(H1−H2)を基準値と比較し、ステップ216において、マイクロプロセッサ32は、比較結果によって、表示部52に表示出力を供給する。この比較結果は、通信モジュール42から通信モジュール41に送信し、表示部51にも表示出力を供給することができる。表示部51、52は、光による表示、音による表示など、適宜利用者に情報を知らせるものを使用できる。たとえば、基準値として、1cmから5cmの範囲を使用し、高度差(H1−H2)が一定時間この範囲にある場合、足が十分に上がらずに、すり足のような歩行をしていると判定し、段差につまずく可能性のある歩行であることを警告することができる。また、基準値として、0.5cmから20cmの範囲を使用して、歩行機能のリハビリに使用するなども可能である。
【0024】
このように、本発明のシューズを使用すれば、つまずき防止やリハビリに使用するなど、特に、高齢者や要介護者の歩行や走行を補助することができる。
また、ステップ217において、高度差(H1−H2)を通信モジュール41または42から外部端末7に送信し、本発明のシューズを使用しての登山シミュレーション、ゲームなどを行う際に、使用することもできる。
【0025】
上記の例では、高度値H1を通信モジュール42で受信し、高度差(H1−H2)を、マイクロプロセッサ32で算出するようにしたが、高度値H2を通信モジュール41で受信し、高度差(H1−H2)を、マイクロプロセッサ31で算出するようにしてもよい。
【0026】
次に、本発明の第2の実施形態を説明する。図4に示す第2の実施形態によるシューズは、図1に示した第1の実施形態と比べ、一組の靴のそれぞれに、着地検出センサー8を設けた点が異なる。着地検出センサー8は、たとえば、ピエゾ素子を使用した圧力センサー、接触センサーなどであり、歩行に差し支えない箇所で、かつ着地の衝撃や圧力変動を確実に瞬時に感知できる、たとえば足指の付け根から踏まず部までの間の、中敷と底部材との間などに設けることができる。
【0027】
次に、図5を参照して、図4に示した第2の実施形態におけるシューズに搭載される高度測定装置の構成を説明する。図5において、一組の靴本体のそれぞれに気圧センサー21,22が設けられ、気圧センサー21、22によって測定された気圧値をそれぞれ入力して高度値に変換するマイクロプロセッサ31,32が接続されている。また、一組の靴本体のそれぞれに着地検出センサー81,82が設けられ、そのセンサー出力によって、靴本体が着地している状態ON、または靴本体が離れている状態OFFが判定される。着地検出センサー81,82は、マイクロプロセッサ31,32に接続されている。その他の構成は、図2の構成と同様である。
【0028】
次に、図6を参照して、第2の実施形態における高度測定装置の動作を説明する。マイクロプロセッサ31は、ステップ501において、気圧センサー21の出力値P1を受け取り、ステップ502において、気圧センサー出力値P1に基づいて、これに対応する高度値H1を得る。マイクロプロセッサ32は、ステップ511において、気圧センサー22の出力値P2を受け取り、ステップ512において、気圧センサー出力値P2に基づいて、これに対応する高度値H2を得る。
【0029】
ステップ503において、マイクロプロセッサ31は、第1の着地検出センサー出力値L1を入力し、ステップ504において、着地検出センサー出力値L1から右足用靴の着地の有無(ON、OFF)を判定する。同様に、ステップ513において、マイクロプロセッサ32は、第2の着地検出センサー出力値L2を入力し、ステップ514において、着地検出センサー出力値L2から左足用靴の着地の有無(ON、OFF)を判定する。
【0030】
ステップ505において、マイクロプロセッサ31は、ステップ502で得られた高度値H1およびステップ504で得られた着地有無判定結果(ON,OFF)から、右足用靴の着地時の高度値HL1を算出する。一方、ステップ515において、マイクロプロセッサ32は、ステップ512で得られた高度値H2およびステップ514で得られた着地有無判定結果(ON,OFF)から、左足用靴の着地時の高度値HL2を算出する。これら着地高度値HL1、HL2は、靴が着地したとき、すなわち、着地有無判定結果がOFFからONとなったときの高度値H1、H2である。
【0031】
ステップ506において、プロセッサ31は、着地高度値HL1を通信モジュール41に出力し、通信モジュール41は、着地高度値HL1を無線送信し、ステップ516において、通信モジュール42は、着地高度値HL1を受信する。
ステップ517において、マイクロプロセッサ32は、右足用靴の着地高度値HL1と左足用靴の着地高度値HL2との着地高度差(HL1−HL2)を算出する。着地高度差(HL1−HL2)を算出することにより、第1の実施形態の場合と同様の原理により、この実施形態においては、正確な着地高度差が得られる。
【0032】
ステップ518において、着地高度差(HL1−HL2)を通信モジュール42に出力する。この着地高度差(HL1−HL2)は、外部端末7により受信される。ステップ519において、着地高度差(HL1−HL2)を積算し、ステップ520において、この積算値を通信モジュール42に出力する。着地高度差(HL1−HL2)の積算値は、外部端末7により受信される。着地高度差(HL1−HL2)を積算することにより、靴の履用者が、歩いたまたは走った高低差を算出することができ、平坦面、上り坂、下り坂のいずれを歩いたかまたは走ったかの判別ができ、さらに歩行または走行の履歴を得ることもできる。
【0033】
ステップ507において、マイクロプロセッサ31は、着地判定結果ON1を通信モジュール41に出力し、ステップ521において、通信モジュール42で着地判定結果ON1を受信する。ステップ522において、マイクロプロセッサ32は、着地判定結果ON1およびON2から歩数を積算する。ステップ523において、歩数の積算値を通信モジュール42に出力する。この歩数積算値は、外部端末7により受信される。
ステップ530において、マイクロプロセッサ32は、着地高度差(HL1−HL2)を基準値と比較し、ステップ531において、その比較結果を表示部52に出力する。
【0034】
上記の例では、着地高度値HL1を通信モジュール42で受信し、着地高度差(HL1−HL2)を、マイクロプロセッサ32で算出するようにしたが、着地高度値HL2を通信モジュール41で受信し、着地高度差(HL1−HL2)を、マイクロプロセッサ31で算出するようにしてもよい。また、その他のデータを、通信モジュール41,42を介してやり取りすることができ、表示部51にも、表示部52と同様の表示を行うことができる。
外部端末7は、たとえば、スマートフォン、ウエラブル端末など、各種の携帯用電子機器端末であり、取得したデータを処理し、ユーザーに提供する。外部端末7におけるアプリケーションソフトウエアとして、どれだけ登ったかどうかがわかり仮想登山が体感できるような登山シミュレーション、その他ゲームなどを用意しておき、取得したデータを活用することができる。また、本発明のシューズを使用すれば、つまずき防止やリハビリに使用するなど、特に、高齢者や要介護者の歩行や走行を補助することができる。
【0035】
第1及び第2の実施形態では、シューズに取り付けられたマイクロプロセッサで演算した高度値を外部端末に送信する方法を示したが、本発明では、演算部もが外部端末であってもよい。すなわち、気圧センサーで測定した測定値を外部端末へ送信し、当該外部端末でデータの演算を行うことも可能である。
【0036】
また、本発明のシューズは、必要に応じて気圧センサー、着地検出センサー以外のセンサーを取り付けてもよい。例えば、GPS,加速度センサー、光センサー、磁気センサーなどが挙げられる。
【0037】
上記の例では、データを通信モジュールにより送信しているが、USB、SDカードなどのスロットを設けて、記録媒体でデータを抽出することも可能である。
気圧センサーなどは、他の電子回路などとともに基板上に集積するMEMS技術によってモジュール化が可能である。
【0038】
また、本発明では、高度検出装置をシューズに脱着自在に取り付ける態様も含まれる。例えば、前甲部分、砂除け部分、踵部分など、歩行や走行を阻害しない箇所などに取り付けることや、靴紐穴などに取り付けできるシューズ飾りやストラップタイプ、バンドのようにシューズ或いは足首に取り付けるタイプなど、様々な対応が可能となる。
なお、本発明は、一対の気圧センサーを膝から下へ取り付けられれば、高度を測定することができるため、スポーツシューズ以外にも、ブーツなどに取り付けて使用することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明の高度測定機能付きシューズは、一般的なシューズとして履用することができるばかりでなく、履用して歩行・走行することで、天候などに影響を受けることなく、正確な高度測定を行うことができるし、
一歩一歩についての正確な高度測定あるいは、どれだけの高度を歩行・走行したかの正確な測定、これらの正確な高度値をさらに処理することができるなど、日常生活において、健康上の管理はもとより、運動量の管理などを容易に実施することができる。
さらには、高齢者や要介護者の歩行や走行を補助することや、登山シミュレーション、ゲームなどを行う際に使用することにより、各種のシミュレーション用シューズ、あるいはゲーム用シューズとしても利用することができ、シューズ業界における利用可能性は大きい。
【符号の説明】
【0040】
1 靴本体
2,21,22 気圧センサー
3、31,32 マイクロプロセッサ
4,41,42 通信モジュール
7 外部端末
8,81,82 着地検出センサー
図1
図2
図3
図4
図5
図6