(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の一実施形態の電子デバイスの製造方法について説明する。
【0014】
<第1の実施形態>
第1の実施形態の電子デバイスの製造方法を
図1(a)〜(h)を用いて説明する。
【0015】
本実施形態では、基板10として光を透過する基板を用い、基板の裏面側から光を照射して第1回路パターン40を形成する。
【0016】
まず、
図1(a)のように、厚膜の第2回路パターン50が予め形成された基板10を用意する。
【0017】
つぎに、粒径1μm以下の導電性ナノサイズ粒子(以下、導電性ナノ粒子と呼ぶ)と、絶縁材料とが溶媒に分散された溶液、もしくは、絶縁材料の層で被覆された導電性ナノ粒子が溶媒に分散された溶液を、
図1(b)のように、基板10表面の領域20内に所望の形状で塗布する。塗布された溶液は、
図1(c)のように、基板10上で表面が平滑になり、塗膜(膜41)を形成する。膜41の端部は、第2回路パターン50の端部と重なるようにする。必要に応じて膜41を加熱し、乾燥させる。膜41内には、導電性ナノ粒子が分散され、導電性ナノ粒子の周囲は絶縁材料で覆われた状態である。よって、膜41は非導電性である。
【0018】
つぎに、
図1(d)のように、電子部品30を膜41の所定の位置に位置合わせして搭載し、
図1(e)のように、電子部品30の電極31を膜41に密着させる。
【0019】
つぎに、
図1(f)のように、基板10の裏面側から膜41に所望のパターンで光を照射し、光によって導電性ナノ粒子を焼結して、所望のパターンの導電性ナノ粒子層(第1回路パターン40)を形成する。光の照射パターンは、膜41の電子部品30の電極31が当接された領域を含む。搭載された電子部品30の電極31の位置を確認し、その電極位置を基準として照射パターンを決定することができるため、回路パターン40と電子部品30との位置ずれを抑制することができる。光は、第2回路パターン50と連続した第1回路パターン40を形成するため、第2回路パターン50と重なる領域にも照射する。光照射により、導電性ナノ粒子は、その粒子を構成する材料のバルクの融点よりも低い温度で溶融する。導電性ナノ粒子の周囲の絶縁材料層は、光照射により蒸発するかもしくは軟化する。そのため、溶融した導電性ナノ粒子は、隣接する粒子と直接融合するか、もしくは、軟化した絶縁材料層を突き破って隣接する粒子と融合する。これにより、導電性ナノ粒子同士を焼結することができ、光照射した領域が、電気導電性の第1回路パターン40となる。これにより、
図1(g)のように、一対の第1回路パターン40を形成する。なお、光照射後の導電性ナノ粒子は、粒子同士が結合しているが、ある程度粒子形状を保っている。
【0020】
導電性ナノ粒子は、焼結時に溶融するため、電子部品30の電極31とも結合し、第1回路パターン40と電極31とを固着することができる。つまり光照射により第1回路パターン40の形成と、第1回路パターン40と電極31との接合を同時に行うことができる。また、回路パターン形成材料と電極31のみで、別途の接合材を用いることなく、第1回路パターン40と電極31との接合を行うことができる。電極31は、導電性ナノ粒子を焼結した層と直接接合している。
【0021】
照射する光の波長は、膜41に含まれる導電性ナノ粒子に吸収される波長であって、基板10に吸収されにくい波長を選択して用いる。照射する光は、紫外、可視、赤外いずれの光であってもよい。例えば導電性ナノ粒子として、Ag、Cu、Au、Pdなどを用いた場合、400〜600nmの可視光を用いることができる。光を照射する所定のパターンは、所定のパターンの形状に開口を有するマスクを通して光を照射することにより形成することができる。また、所定のパターンよりも小さい照射径に集光した光ビームを用い、光ビームを膜41上で所定のパターンに走査させることにより、所定のパターンのみに光を照射することも可能である。
【0022】
光を照射していない膜41の領域は、焼結が生じないため、非導電性のまま残る。非導電性の膜41は、この後の工程で除去してもよい。例えば、有機溶媒等を用いて膜41を除去することが可能である。
【0023】
これにより、
図1(h)に基板10を裏面から見た図を示すように、電子部品30を搭載した状態で、電子部品30の電極31と第2回路パターン50とを接続する第1回路パターン40を形成することができる。
【0024】
なお、基板10に第2回路パターン50を形成する方法としては従来の方法を用いることができる。例えば、金属薄膜を基板10上に形成した後、エッチングにより所望の形状パターニングする方法を用いることができる。また、導電性粒子が分散された溶液を基板10上に印刷することにより、第2回路パターン50の形状の塗膜を形成した後、熱のみもしくは熱と圧力をかけて導電性粒子を焼結して第2回路パターン50を形成することも可能である。
【0025】
上記製造方法により製造することができる電子回路デバイスの構成を
図2(a)、(b)、(c)を用いて説明する。
【0026】
図2の電子回路デバイスは、回路パターンを備えた基板10と、電子部品30とを備えている。基板10には、電子部品30を搭載するための領域20が設けられ、領域20内には電子部品30と電気的に接続される第1回路パターン40が配置されている。また、基板10には、第2回路パターン50が配置され、第2回路パターン50は、領域20の周縁部で第1回路パターン40に接続されている。第2回路パターン50は、領域20の外側に配置された電源60から第1回路パターン40に電流を供給する。
【0027】
第1回路パターン40の一部または全部は、粒径が1μm未満である導電性ナノ粒子を含んだ層によって構成されている。光を照射した部分のみを焼結させて第1回路パターン40を形成することができるため、電子部品30の電極のサイズおよび配置に合わせて、第2回路パターン50よりも幅の狭い、微細な線幅の第1回路パターン40を、所望の形状に、かつ、高密度に形成することができる。膜41の光を照射されていない領域は、焼結されないため非導電性のままであり、第1回路パターン40に連続して残存する。なお、焼結されない非導電性の膜41の領域は、残存させたままでもよいし、後の工程で除去してもよい。
【0028】
具体的には、
図2(a)、(b)のように、第2回路パターン50は、電子部品30を搭載するための領域20の両脇に配置されている。第1回路パターン40は、領域20内に少なくとも一対配置され、領域20の両脇の第2回路パターン50とそれぞれ接続されている。一対の第1回路パターン40の間には、非導電性層41が配置されている。電子部品30の電極31は、一対の第1回路パターン40に直接固着されている。
【0029】
第2回路パターン50の厚さは、
図2(b)のように、第1回路パターン40の厚さよりも大きい。本実施形態では、微細な配線が必要な、電子部品30を搭載する領域20内のみを第1回路パターン40で形成し、領域20の外側は厚膜の第2回路パターン50によって構成することにより、電子部品30への大きな電流の供給を可能にしている。
【0030】
なお、
図2では、電源60を基板10上に搭載しているが、電源60は必ずしも基板10上に配置されていなくてもよい。例えば、基板10に電源60の代わりにコネクタを配置してもよい。この場合、基板10に搭載されていない電源をケーブル等を介してコネクタに接続することができる。コネクタは、第2回路パターンに接続される。また、電源60として太陽電池等の発電装置を用いることも可能である。
【0031】
基板10は、
図2(b)、(c)のように、湾曲した形状にすることも可能である。この場合、第1回路パターン40および第2回路パターン50は、湾曲した基板10の表面に沿って配置されている。本実施形態では、第1回路パターン40および第2回路パターン50を、導電性の粒子を含む膜を塗布して、それを光照射によって焼結させて形成することができるため、焼結工程よりも前に基板10を湾曲させることにより、湾曲した基板10上の回路パターンを断線や線細りさせることなく、容易に形成することができる。
【0032】
基板10の材質としては、第1回路パターン40および第2回路パターン50を支持することができ、少なくとも表面が絶縁性であり、第1回路パターン40の形成時に導電性の粒子を含む膜への光照射を可能とする透光性を備え、第1回路パターン40の形成時の光照射に耐えることができるものであればどのような材質であってもよい。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)基板、ポリエチレンナフタレート(PEN)基板、ガラスエポキシ基板、紙フェノール基板、フレキシブルプリント基板、セラミック基板、ガラス基板、表面を絶縁層で被覆した金属基板などを用いることができる。つまり、基板は、照射する光の少なくとも一部を透過する。また、本実施形態の基板10は、フィルム状のものを用いることも可能である。
【0033】
第1回路パターン40を構成する導電性ナノ粒子の材料としては、Ag、Cu、Au、Pd、ITO、Pt、Feなどの導電性金属および導電性金属酸化物のうちの1つ以上を用いることができる。第2回路パターン50を導電性粒子を焼結して形成する場合、導電性粒子の材料は、第1回路パターン40と同様に、上記の導電性金属および導電性金属酸化物のうちの1つ以上を用いることができる。
【0034】
第1回路パターン40に連続する非導電性の膜41に少なくとも含有され、導電性ナノ粒子を被覆する絶縁材料としては、スチレン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、および、アクリル樹脂などの樹脂、ならびに、SiO
2、Al
2O
3、TiO
2などの無機材料、また有機と無機のハイブリット材料のうちの1以上を用いることができる。また、膜41において導電性ナノ粒子を被覆する絶縁材料層の厚みは、1nm〜10000nm程度であることが好ましい。絶縁材料層が薄すぎると、非導電性の膜41の耐電圧性が低下する。また、絶縁材料層が厚すぎると、光照射によって焼結した後の第1回路パターン40の電気導電率が低下し、熱抵抗値が大きくなるためである。
【0035】
第1回路パターン40は、粒径0.01μm〜1μmの導電性粒子を含んでいる。第1回路パターン40(焼結された部分)の配線幅は、例えば1μm以上にすることが可能である。第1回路パターン40の厚みは、1nm〜10μm程度に形成することが可能である。また、第1回路パターン40の電気抵抗値は、10
−4Ω/cm
2以下であることが望ましく、特に、10
−6Ω/cm
2オーダー以下の低抵抗であることが望ましい。
【0036】
電子部品30としては、どのようなものを用いてもよいが、一例としては、発光素子(LED,LD)、受光素子、集積回路、表示素子(液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、ELディスプレイ等)を用いることができる。また、
図1では、基板10上に、電子部品30を一つのみ搭載しているが、2以上の領域20を設け、2以上の電子部品30を搭載することももちろん可能である。この場合、第2回路パターン50は、複数の電子部品30を直列や並列等の所望の回路パターンで接続するように形成する。
【0037】
上述してきたように、本実施形態では、電子部品30を、光を透過する基板10上の膜41に搭載した後で、光を透過する基板10の裏面側から光を照射することにより、電子部品30の電極31に接続される所望のパターンの微細な第1回路パターン40を直接形成することができる。よって、搭載後の電子部品30の位置を基準として光照射することができるため、電子部品30と第1回路パターン40との位置の誤差を防ぐことができ、位置ずれによる接続不良を低減することができる。また、光照射時に第1回路パターン40の形成とともに第1回路パターン40上への電子部品30の接合も同時に行うことができ、別途の接合材を不要とできるため従来生じていた接合材供給時の位置ずれや量のばらつきの問題も生じない。
【0038】
また、光の照射により、微細な第1回路パターンを高密度に形成することができるため、電子部品30を高密度に搭載することが可能になる。
【0039】
さらに、電子部品30の搭載ずれ、接合材供給ずれ(位置・量)を予測した回路パターンを設計する必要がないため、第1回路パターン40をより高精細に設計することができ、電子部品30をより高密度に搭載することが可能となる。
【0040】
しかも、第1回路パターンを、厚膜の第2回路パターン50と連結して形成することができる。よって、低抵抗の厚膜の第2回路パターン50から大きな電流を第1回路パターン40を介して電子部品30に供給することができる。
【0041】
なお、本実施形態においては、
図1(f)の工程の後、第1回路パターン40の周りの非導電性の膜41を有機溶剤などで溶解して除去することも可能である。これにより、
図3のように、第1回路パターン40のみを電子部品30の下に配置することができる。
【0042】
なお、上記説明では、第1回路パターン40を形成するために
図1(b)、(c)の工程で形成する膜41の形成領域を、一対の第1回路パターン40の両方を含む一つの領域としたが(
図1(h)参照)、一対の第1回路パターン40をそれぞれ含む二つの領域に分けて形成してもよい。この場合、二領域に形成する膜41はそれぞれ第2回路パターン50と連続して形成する。
【0043】
<第2の実施形態>
第2の実施形態では、第2回路パターン50を光照射により形成する。
【0044】
第2の実施形態では、第2回路パターン50の一部または全部を、導電性粒子を焼結した層によって構成する。この場合、導電性粒子としては、粒径が1μm未満の導電性ナノ粒子と、粒径1μm以上の導電性マイクロサイズ粒子(導電性マイクロ粒子と呼ぶ)とを混合して用いる。これにより、導電性粒子に光を照射した場合に、導電性ナノ粒子が先に溶融して周囲の導電性マイクロ粒子と結合する。よって、導電性ナノ粒子を起点として、導電性マイクロ粒子を光照射によってバルクよりも低温で焼結することができる。したがって、導電性マイクロ粒子と導電性ナノ粒子とを混合して用いることにより、厚さの大きい層を比較的容易に形成でき、しかも、光照射により焼結して、第2回路パターンにすることができる。
【0045】
第2回路パターン50は、粒径1μm〜100μmの導電性粒子を含んでいる。第2回路パターン50の配線幅は、10μm以上にすることができ、例えば100μm程度に形成することが可能である。第2回路パターン50の厚みは、1μm〜100μm程度、例えば20μm程度に形成することが可能である。また、第2回路パターン50の電気抵抗値は、10
−4Ω/cm
2以下であることが望ましく、特に、10
−6Ω/cm
2オーダー以下の低抵抗であることが望ましい。
【0046】
製造方法について説明する。まず、基板10を用意する。
【0047】
つぎに、導電性ナノ粒子と、導電性マイクロ粒子と、絶縁材料とが溶媒に分散された溶液、もしくは、絶縁材料の層で被覆された導電性ナノ粒子および導電性マイクロ粒子が溶媒に分散された溶液を用意する。溶媒としては、有機溶媒や水を用いることができる。
【0048】
上記溶液を、基板10表面の、第2回路パターン50を形成すべき領域に所望の形状で塗布する。塗布された溶液は、塗膜を形成する。必要に応じて塗膜を加熱し、乾燥させる。塗膜内には、導電性ナノ粒子と導電性マイクロ粒子とが分散され、各粒子の周囲は絶縁材料で覆われた状態である。よって、この状態では塗膜は非導電性である。
【0049】
つぎに、塗膜に、第2回路パターン50の形状に光を照射する。光によって導電性ナノ粒子が導電性マイクロ粒子よりも低温で溶融し、隣接する導電性ナノ粒子および導電性マイクロ粒子と融合する。このように、ナノ粒子を起点として焼結が生じるため、バルクよりも低温焼結が可能である。また、塗膜の厚み方向の所望の範囲のみに焼結を生じさせることも可能である。これにより、所望の形状の第2回路パターン50を形成することができる。
【0050】
照射する光の波長は、塗膜に含まれる導電性ナノ粒子および導電性マイクロ粒子に吸収される波長を選択して用いる。光を照射する第2回路パターン50の形状は、所定の開口を有するマスクにより形成することができる。また、第2回路パターン50の配線幅よりも小さい照射径に集光した光ビームを用い、光ビームを走査させることにより、第2回路パターン50のみに光を照射することも可能である。
【0051】
光を照射していない塗膜の領域は、焼結が生じないため、非導電性のまま残る。なお、焼結されない非導電性の膜41の領域は、残存させたままでもよいし、後の工程で除去してもよい。
【0052】
また、上述した製造方法では、第2回路パターン50となる領域よりも広い範囲に塗膜を形成し、第2回路パターン50となる領域のみに光を照射する方法を説明したが、印刷手法を用いて、第2回路パターン50の形状に、導電粒子が分散された溶液を印刷して塗膜を形成してもよい。この場合、印刷により形成した塗膜の全体に光を照射することにより、第2回路パターン50を形成することができる。
【0053】
上記工程により、第2回路パターン50を形成した後、第1の実施形態の製造工程を行って電子デバイスを製造する。
【0054】
<第3の実施形態>
第2の実施形態では、基板10上に第2回路パターン50を形成した後で、第1の実施形態の製造方法を行ったが、第3の実施形態では、第2の実施形態により第2回路パターン50となる塗膜までを形成した後、光照射を行わないまま、第1の実施形態の製造方法を行って、第1回路パターン40となる膜41までを形成する。
【0055】
そして、第2回路パターン50と第1回路パターン40の光焼結を連続して、または同時に行う。ただし、第2回路パターン50となる領域には、第2回路パターン50の塗膜の導電性粒子が吸収する波長の光を照射し、第1回路パターン40となる領域には膜41の導電性ナノ粒子が吸収する波長の光を照射する。また、照射する光の強度も、第2回路パターン50および第1回路パターン40のそれぞれに焼結を生じさせることができる強度に調整する。
【0056】
その後、第1の実施形態の製造方法を行って電子デバイスを完成させる。
【0057】
このように、第2回路パターン50と第1回路パターン40の光照射により焼結を連続または同時に行うことにより、全体の製造工程における光照射の工程を一度に行うことができるため、製造効率が向上する。
【0058】
なお、第2の実施形態の製造方法において、第2回路パターン50の形成工程と、第1回路パターン40の形成工程の順番を入れ替え、第1回路パターン40の形成後に、第2回路パターン50を形成してもよい。同様に、第3実施形態において、第2回路パターン50の塗膜形成と、第1回路パターン40の膜41の形成の順番を入れ替え、第1回路パターン40の膜41を形成した後、第2回路パターン50の塗膜を形成してもよい。その後、両回路パターンの光照射を連続または同時に行う。
【0059】
<第4の実施形態>
第4の実施形態の製造方法について
図4、
図5を用いて説明する。
第4の実施形態では、電子部品30として上面と下面の両方に電極31を備えたものを用いる。電子部品30を上下から2枚の基板10−1、10−2で挟む構成とする。
【0060】
第1の実施形態の
図1(a)〜(g)の工程により、第1回路パターン40−1を形成しつつ電子部品30の下面の電極31−1と、基板10−1の第1回路パターン40−1を固着する。
【0061】
一方、もう一枚の基板10−2に、
図1(a)〜(c)を施し、膜41−2を形成しておく。もう一枚の基板10−2を、電子部品30の上に、膜41−2が上面の電極31−2に接するように搭載する。そして、もう1枚の基板10−2の裏面(上面)側から上側の膜41−2に所定のパターンで光を照射する。これにより、電子部品30の上面の電極31−2に接続された第1回路パターン40−2を形成する。同時に、第1回路パターン40−2と電子部品30の上面の電極31−2とを固着する。
【0062】
これにより、電子部品30を2枚の基板10−1,10−2で挟み込んだ電子デバイスを製造することができる。
【0063】
なお、ここでは、下側の基板10−1の第1回路パターン40−1を上側の基板10−1よりも先に電子部品30の電極31と接続したが、本発明は、この順番に限られるものではない。位置精度が高く要求される側から先に接続することが望ましい。
【0064】
なお、
図4の構成では、基板10−1に形成した第2回路パターン50−1と、基板10−2に形成した第2回路パターン50−2を上下導通部50−3により、上下方向に連結している。上下導通部50−3は、第2回路パターン50−1、50−2となる塗膜を形成した後、基板10−1,10−2を重ね合わせて、第2回路パターン50−1と50−2が接触した状態で光を照射して焼結することにより第2回路パターン50−1,50−2の形成と同時に形成することができる。
【0065】
<第5の実施形態>
第5の実施形態として、電子部品30が集積回路である場合のように、電極が多数ある場合について説明する。基板としては、
図6(a)のように、多数の第2回路パターン50が形成されたものを用意する。そして、
図6(a)の第2回路パターン50の全体に接続するように、導電性ナノ粒子を含む溶液を塗布して、
図6(b)のように膜41を形成する。つぎに、
図6(c)のように、膜41の表面に電子部品30を搭載し、光を透過する基板10の裏面から、電子部品30の電極と、第2回路パターン50を接続するパターンに光を照射し、焼成する。これにより、第1回路パターン40の形成と、第1回路パターン40と電極との固着とを同時に行うことができる。
【0066】
<第6の実施形態>
第6の実施形態として、電子部品30の面積内にのみ、第1回路パターン40を形成する例について説明する。
【0067】
光を透過する基板10の電子部品30が搭載される領域に、
図7(a−1)、(a−2)のように導電性ナノ粒子を含む溶液を塗布して、膜41を形成する。つぎに、
図7(b−1)、(b−2)のように、膜41の表面に電子部品30を搭載する。
図7(c−1)、(c−2)のように、基板(不図示)の裏面から、電子部品30の電極と第2回路パターン(不図示)を接続するパターンに光を照射し、焼成する。これにより、第1回路パターン40の形成と、第1回路パターン40と電子部品30の電極との固着とを同時に行うことができる。
【0068】
本実施形態では、通常のはんだ付けでは実現できなかった、電子部品30の電極配置領域(端子部)よりも小さいエリアで、電気接続と固着が可能になる。また、電子部品30の電極31以外の領域と第1回路パターン40との接触を避けることができ、電気的短絡などの問題を抑制することができる。
【0069】
<第7の実施形態>
第7の実施形態として、第4の実施形態の
図5の変形例について説明する。
【0070】
図5の構造は、電子部品30の角部と、第1回路パターン40−2が接近しているため、基板10−2または電子部品30が傾いて搭載された場合、電子部品30の半導体のエッジやバリの部分と第1回路パターン40−2が接触し、電気的にショートする可能性がある。
【0071】
本実施形態では、これを防止するために、
図8のように、第1回路パターン40−2を形成するために基板10−2の裏面(上面)から光照射を行う際に、電子部品30の角部に近い領域で第1回路パターン40−2の光出力を弱め、焼結する厚さを薄くする。これにより、非導電部42を形成する。
【0072】
このような構成にすることにより、電子部品30が傾いても非導電部42に接触するため、電気的なショートを防ぐことが出来る。
【0073】
なお、基板10を湾曲させる場合には、第1の実施形態の製造方法では、第2回路パターン50の断線や線細りを防止するために、第2回路パターン50の形成前に基板10を湾曲させておくことが望ましい。また、第2〜第3の実施形態の製造方法では、最初の光照射工程の前までに基板10を湾曲させれば、第1および第2の回路パターンの断線を防ぐことができる。
【0074】
各実施形態の効果をまとめると以下のようになる。各実施形態では、グラビア印刷方法よりも細線パターンの第1回路パターン40の描画が可能になることによって、高密度な配線が実現でき、高密度実装化が可能になる。また、細い第1回路パターン40の描画が可能になることで、搭載する電子部品30の小型化が可能になる。
【0075】
電子部品30の搭載後に第1回路パターン40を配線(形成)することが可能になるため、電子部品30の搭載位置精度が向上する。さらに、第7の実施形態のように、通常のはんだ付けでは出来なかった、電子部品30の端子部よりも小さいエリアで、第1回路パターンと電極との電気接続と固着が可能になる。また、電子部品30の基板10への搭載と同時に持続的な固定が可能になるため、生産タクトアップなどが図れる。
【0076】
本実施形態によれば、種々の電子部品を高精度に、かつ、高密度に基板10に搭載することが可能であり、しかも、少ない製造工程で一括して実装して、電子デバイスを製造できる。また、光照射により、回路パターンを容易に変更できるため、設計変更にも容易に対応することができる。
【0077】
本実施形態の電子デバイスは、電子部品を基板に搭載したデバイスであればどのようなものでも適用可能である。例えば、自動車のインストルメント・パネル(計器表示盤)やゲーム機の表示部等に適用できる。また、基板を湾曲させることができるため、ウエアラブル(体に装着可能な)な電子デバイス(メガネ、時計、ディスプレイ、医療機器等)や、湾曲したディスプレイに適用可能である。