(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態を図面と共に詳細に説明する。なお、以下の実施の形態により本発明が限定されるものではない。また、以下の説明において参照する各図は、本発明の内容を理解でき得る程度に形状、大きさ、および位置関係を概略的に示してあるに過ぎない。すなわち、本発明は各図で例示された形状、大きさ、および位置関係のみに限定されるものではない。
【0017】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1にかかるプローブユニットの概略構成を示す斜視図である。
図2は、本実施の形態1にかかるプローブユニットの要部の構成を示す部分断面図である。
図1および
図2に示すプローブユニット1は、検査対象物(接触対象物)である半導体集積回路100の電気特性検査を行う際に使用する装置であって、コンタクトプローブ2(以下、単に「プローブ2」という)により半導体集積回路100と半導体集積回路100へ検査用信号を出力する回路基板200との間を電気的に接続する装置である。
【0018】
プローブユニット1は、長手方向の一方の端部側で半導体集積回路100の電極と接触するとともに、他方の端部側で回路基板200の電極とそれぞれ接触し、グランド電位を供給する複数のグランド用コンタクトプローブ2a(以下、単に「グランド用プローブ2a」という)と、長手方向の一方の端部側で半導体集積回路100の電極と接触するとともに、他方の端部側で回路基板200の電極とそれぞれ接触し、半導体集積回路100に対して所定信号の入出力を行う複数の信号用コンタクトプローブ2b(以下、単に「信号用プローブ2b」という)と、複数のグランド用プローブ2a(第1のコンタクトプローブ)および複数の信号用プローブ2b(第2のコンタクトプローブ)を所定のパターンにしたがって収容して保持するプローブホルダ3と、プローブホルダ3の周囲に設けられ、検査の際に複数の信号用プローブ2bと接触する半導体集積回路100の位置ずれが生じるのを抑制するホルダ部材4と、を有する。
【0019】
グランド用プローブ2aおよび信号用プローブ2bは、同様の形状をなす。以下、グランド用プローブ2aおよび信号用プローブ2bの構成を、グランド用プローブ2aを例に説明する。グランド用プローブ2aは、半導体集積回路100の検査を行なうときにその半導体集積回路100の接続用電極に接触する第1プランジャ21と、検査回路を備えた回路基板200の電極に接触する第2プランジャ22と、第1プランジャ21と第2プランジャ22との間に設けられて2つの第1プランジャ21および第2プランジャ22を伸縮自在に連結するコイルばね23とを備える。グランド用プローブ2aを構成する第1プランジャ21および第2プランジャ22、ならびにコイルばね23は同一の軸線を有している。グランド用プローブ2aは、半導体集積回路100をコンタクトさせた際に、コイルばね23が軸線方向に伸縮することによって半導体集積回路100の接続用電極への衝撃を和らげるとともに、半導体集積回路100および回路基板200に荷重を加える。
【0020】
第1プランジャ21は、例えば金属などの導電性材料を用いて形成される。第1プランジャ21は、先細な先端形状をなす爪部21bを複数有する先端部21aと、先端部21aの基端側から延び、先端部21aの径と比して大きい径を有するフランジ部21cと、フランジ部21cの先端部21aに連なる側と異なる端部から延び、フランジ部21cの径と比して小さい径を有するボス部21dと、を同軸上に有する。
【0021】
第2プランジャ22は、例えば金属などの導電性材料を用いて形成される。第2プランジャ22は、先細な先端形状を有する先端部22aと、先端部22aの基端側から延び、先端部22aの径と比して大きい径を有するフランジ部22bと、フランジ部22bの先端部22aに連なる側と異なる端部から延び、ボス部21dの径と略同一の径を有するボス部22cと、ボス部22cのフランジ部22bに連なる側と異なる端部から延び、ボス部21d,22cの径と比して若干小さい径を有する基端部22dとを同軸上に有する。この第2プランジャ22は、コイルばね23の伸縮作用によって軸線方向に移動が可能であり、コイルばね23の弾性力によって回路基板200方向に付勢され、回路基板200の電極と接触する。
【0022】
コイルばね23は、金属や樹脂、または金属の表面に樹脂が被覆された材料などによって形成された線材が用いられる。コイルばね23は、第1プランジャ21側がボス部21dの径と略同一の内径で巻回された密着巻き部23aである一方、第2プランジャ22側が基端部22dの径以上の内径で所定ピッチに巻回された粗巻き部23bである。密着巻き部23aの端部は、例えばボス部21dに圧入されて、フランジ部21cに当接している。一方、粗巻き部23bの端部は、ボス部22cに圧入され、フランジ部22bに当接している。
【0023】
プローブホルダ3は、金属などの導電性材料を用いて形成され、
図2の上面側に位置する第1金属ブロック30(第1の導電ブロック)と、金属などの導電性材料を用いて形成され、
図2の下面側に位置する第2金属ブロック40(第2の導電ブロック)と、樹脂、マシナブルセラミック、シリコンなどの絶縁性材料を用いて形成され、第1金属ブロック30の上面に配置される第1絶縁プレート50と、樹脂、マシナブルセラミック、シリコンなどの絶縁性材料を用いて形成され、第2金属ブロック40の下面に配置される第2絶縁プレート60と、樹脂、マシナブルセラミック、シリコンなどの絶縁性材料を用いて形成され、第1金属ブロック30および第2金属ブロック40の間に設けられる絶縁ブロック70と、を有する。
【0024】
第1金属ブロック30、第2金属ブロック40、第1絶縁プレート50、第2絶縁プレート60および絶縁ブロック70は、各々板状をなす。プローブホルダ3は、
図2の下方から第2絶縁プレート60、第2金属ブロック40、絶縁ブロック70、第1金属ブロック30、第1絶縁プレート50の順に積層されてなる。
【0025】
また、プローブホルダ3は、第1金属ブロック30と第1絶縁プレート50との間、および第2金属ブロック40と第2絶縁プレート60との間が、樹脂などの接着材により接着され、第1金属ブロック30とおよび第2金属ブロック40との間に絶縁ブロック70を挟み込んだ状態で、第1金属ブロック30とおよび第2金属ブロック40とがねじ止めなどによって固定されている。第1金属ブロック30、第2金属ブロック40、第1絶縁プレート50および第2絶縁プレート60には、上述したねじを挿通する図示しない挿通孔が形成されている。
【0026】
第1金属ブロック30および第2金属ブロック40は、例えば金属などの導電性材料を用いて形成されている。なお、第1金属ブロック30および第2金属ブロック40は、金属のほか、導電性を有する材料であれば適用可能である。プローブホルダとしての強度の観点から、金属材料(合金を含む)を用いて形成されることが好ましい。
【0027】
また、第1金属ブロック30には、グランド用プローブ2aの一部を収容するための第1孔31(第1の導電孔)と、信号用プローブ2bの一部を収容するための第2孔32(第2の導電孔)と、が形成されている。第1孔31および第2孔32は、貫通方向(軸方向)に沿って一様な径を有する孔形状をなす。第2孔32の径は、第1孔31の径よりも大きい。第1孔31および第2孔32は、絶縁ブロック70と接する側の外縁(端部開口部)が、面取りされている。
【0028】
第2金属ブロック40には、グランド用プローブ2aの一部を収容するための第1孔41(第3の導電孔)と、信号用プローブ2bの一部を収容するための第2孔42(第4の導電孔)と、が形成されている。第1孔41は、貫通方向に沿って一様な径であって、第1孔31と同等の径を有する孔形状を有する。第2孔42は、貫通方向に沿って一様な径であって、第2孔32と同等の径を有する孔形状をなす。第1孔41および第2孔42は、絶縁ブロック70と接する側の外縁(端部開口部)が、面取りされている。
【0029】
第1絶縁プレート50には、グランド用プローブ2aの第1プランジャ21を挿通可能な第1孔51と、信号用プローブ2bの第1プランジャ21を挿通可能な第2孔52と、が形成されている。
【0030】
第1孔51は、プローブホルダ3の上面側に開口を有する小径部511と、第1孔31に連通し、小径部511よりも径が大きい大径部512とからなる。小径部511は、先端部21aの径より大きく、フランジ部21cの径より小さい。また、大径部512は、第1孔31の径と同等の径である。
【0031】
他方、第2孔52は、プローブホルダ3の上面側に開口を有する小径部521と、第2孔32に連通し、小径部521よりも径が大きい大径部522とからなる。小径部521は、先端部21aの径より大きく、フランジ部21cの径より小さい。また、大径部522は、第2孔32の径と同等の径である。
【0032】
第2絶縁プレート60には、グランド用プローブ2aの先端部22aを挿通可能な第1孔61と、信号用プローブ2bの先端部22aを挿通可能な第2孔62と、が形成されている。第1孔61および第2孔62の開口の径は、先端部22aの径以上であって、フランジ部22bの径より小さければ適用可能である。
【0033】
絶縁ブロック70には、グランド用プローブ2aのコイルばね23を挿通可能な第1孔71(第1の絶縁孔)と、信号用プローブ2bのコイルばね23を挿通可能な第2孔72(第2の絶縁孔)と、が形成されている。本実施の形態1では、第1孔71および第2孔72の径が同じであり、第1孔41と同等であるものとして説明する。また、第1孔71および第2孔72は、両端の外縁(開口部)が、面取りされている。
【0034】
第1金属ブロック30および第2金属ブロック40は、絶縁ブロック70に挿通される導電ピン80により電気的に接続している。
【0035】
プローブホルダ3では、各々が接着または固定された際に、第1孔31,41,51,61,71の互いの軸線が一致する。また、第2孔32,42,52,62,72においても、互いの軸線が一致している。このとき、第1孔31,41および大径部512が形成する円柱状の中空空間の径r1は、第2孔32,42および大径部522が形成する円柱状の中空空間の径r2と比して小さい。
【0036】
グランド用プローブ2aは、第1プランジャ21の先端部21aが第1孔51から外部に突出している。フランジ部21cは、第1孔51の小径部511と大径部512との境界壁面に当接することにより、グランド用プローブ2aのプローブホルダ3からの抜止機能を有する。また、第2プランジャ22のフランジ部22bは、第1孔41と第1孔61とがなす段部(境界壁面)に当接することにより、グランド用プローブ2aのプローブホルダ3からの抜止機能を有する。
【0037】
信号用プローブ2bは、第1プランジャ21の先端部21aが第2孔52から外部に突出している。フランジ部21cは、第2孔52の小径部521と大径部522との境界壁面に当接することにより、信号用プローブ2bのプローブホルダ3からの抜止機能を有する。また、第2プランジャ22のフランジ部22bは、第2孔42と第2孔62とがなす段部(境界壁面)に当接することにより、信号用プローブ2bのプローブホルダ3からの抜止機能を有する。
【0038】
また、絶縁ブロック70の第2孔72の開口の径が第2孔32,42の径よりも小さいため、第2孔32,42,72がなす中空空間において、第2孔72が内部に向けて突出した段付き形状が形成されている。信号用プローブ2bは、小径部521などの大きさによって傾斜する場合や、コイルばね23の湾曲(撓み)によって弧状をなす場合があるが、この際、コイルばね23が上述した段付き形状の第2孔72の壁面に接触するため、信号用プローブ2bが倒れるのを防止するとともに、第1金属ブロック30や第2金属ブロック40へ信号が流れることを防止する。
【0039】
図3は、プローブユニット1を用いた半導体集積回路100の検査時の状態を示す図である。半導体集積回路100の検査時には、グランド用プローブ2aが一端で半導体集積回路100のグランド用接続電極101と接触するとともに、他端で回路基板200のグランド用接続電極201と接触する。また、信号用プローブ2bは、一端で半導体集積回路100の信号用接続電極102と接触するとともに、他端で回路基板200の信号用接続電極202と接触する。この際、半導体集積回路100からの接触荷重により、各プローブ2においてコイルばね23が長手方向に沿って圧縮された状態となる。
【0040】
グランド用プローブ2aでは、半導体集積回路100からの接触荷重によりコイルばね23が圧縮されると、第2プランジャ22の基端部22dが、密着巻き部23a内に進入する。このとき、グランド用プローブ2aは、フランジ部21cが第1孔31の壁面と接触し、フランジ部22bが第1孔41の壁面と接触している。
【0041】
信号用プローブ2bでは、半導体集積回路100からの接触荷重によりコイルばね23が圧縮されると、第2プランジャ22の基端部22dが密着巻き部23a内に進入し、密着巻き部23aの内周側と摺接する。この際には、第2プランジャ22の軸線が大きくぶれることはないため、基端部22dと密着巻き部23aの内周との摺接が安定するとともに、密着巻き部23aがわずかに蛇行するため、基端部22dとコイルばね23との接触抵抗が安定し、確実な導通が得られる。
【0042】
検査時に回路基板200から半導体集積回路100に供給されるグランド電位は、回路基板200のグランド用接続電極201からグランド用プローブ2aを経由して半導体集積回路100のグランド用接続電極101と同電位となる。具体的には、グランド用接続電極201からグランド用プローブ2aの第2プランジャ22、第2金属ブロック40、導電ピン80、第1金属ブロック30および第1プランジャ21を経由して半導体集積回路100のグランド用接続電極101が同電位となる。このように、グランド用プローブ2aでは、第2プランジャ22のフランジ部22bと第2金属ブロック40の第1孔41との接触、および第1プランジャ21のフランジ部21cと第1金属ブロッ30の第1孔31との接触により、グランド電位の経路が形成される。
【0043】
検査時に回路基板200から半導体集積回路100に供給される検査用信号は、回路基板200の信号用接続電極202から信号用プローブ2bを経由して半導体集積回路100の信号用接続電極102へ到達する。具体的には、信号用プローブ2bにおいて、第2プランジャ22、密着巻き部23a、第1プランジャ21を経由して半導体集積回路100の信号用接続電極102へ到達する。このように、信号用プローブ2bでは、第1プランジャ21と第2プランジャ22が密着巻き部23aを介して導通するため、電気信号の導通経路を最小にすることができる。したがって、検査時に粗巻き部23bに信号が流れるのを防止し、インダクタンスの低減および安定化を図ることができる。
【0044】
ここで、第1孔31,41および大径部512が形成する円柱状の中空空間の径r1について説明する。径r1は、コイルばね23の外周の径よりも若干大きい径であって、フランジ部21c,22bが第1金属ブロック30および第2金属ブロック40の第1孔31,41にそれぞれ接触可能な値に設計されている。
【0045】
続いて、第2孔32,42および大径部522が形成する円柱状の中空空間の径r2について説明する。径r2は、中空空間により信号用プローブ2bの特性インピーダンスの整合をできるような径に設計される。信号用プローブ2bにおける特性インピーダンスZ
0の値は、中空空間(空気層S)の比誘電率ε
rと、信号用プローブ2bの外径d
1と、円筒形状の外径d
2とを用いて、下式(1)で与えられる。
【数1】
【0046】
例えば、従来特性インピーダンスを整合するために用いられているポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等で作製された整合部材を用意しなくても、式1に基づき空気層の径である径r2を設計することで、信号用プローブ2bにおける特性インピーダンスの整合を行うことが可能となる。
【0047】
続いて、絶縁ブロック70の板厚(板厚D)について説明する。絶縁ブロック70は、上述したように、プローブ2(特に信号用プローブ2b)の倒れを防止し、信号用プローブ2bが金属ブロック(第1金属ブロック30または第2金属ブロック40)と接触しないように姿勢を保つ機能を有する。
【0048】
板厚Dは、信号用プローブ2bのコイルばね23の粗巻き部23bのピッチより大きいことが好ましく、信号用プローブ2bの最外径に対して、1〜5倍程度であることが特に好ましい。上述した範囲を満たす板厚Dとすることで、信号用プローブ2bの倒れ防止、高周波特性維持、およびグランド用プローブ2aの金属ブロックによるグランド電位の経路形成を好ましく実現することができる。
【0049】
上述した実施の形態1によれば、第2孔32,42および大径部522が形成する円柱状の中空空間の径r2の設計により、該中空空間(空気層)によって信号用プローブ2bにおける特性インピーダンスの整合を行うようにしたので、従来設けられるインピーダンス整合用の部材を不要とし、信号用のコンタクトプローブのインピーダンス整合を行うとともに、部品点数の増大を抑制して容易に製造することができる。
【0050】
(実施の形態2)
図4は、本実施の形態2にかかるプローブユニットの要部の構成を示す部分断面図である。なお、上述した構成要素と同じ構成要素には同じ符号を付してある。上述した実施の形態1では、信号用プローブ2bを保持する孔の径が同一であるものとして説明したが、本実施の形態2では、信号用プローブ2bの種別などに応じて孔の径が異なる。
【0051】
本実施の形態2にかかるプローブユニット1aは、複数のプローブ2(グランド用プローブ2aおよび複数の信号用プローブ2b,2c)を所定のパターンにしたがって収容して保持するプローブホルダ3aと、プローブホルダ3aの周囲に設けられ、検査の際に複数の信号用プローブ2bと接触する半導体集積回路100の位置ずれが生じるのを抑制するホルダ部材(図示せず)と、を有する。
【0052】
プローブユニット1aでは、例えば、異なる信号用接続電極に接続する信号用プローブ2b,2cに応じて、プローブホルダ3aに形成されるホルダ孔の径を変えて、異なるインピーダンス整合を行う。なお、信号用プローブ2b,2cは、構成要素(第1プランジャ21、第2プランジャ22およびコイルばね23)が同一である。
【0053】
プローブホルダ3aは、上述した第2絶縁プレート60および絶縁ブロック70と、第1金属ブロック30a、第2金属ブロック40a、第1絶縁プレート50aと、を有する。第1金属ブロック30a、第2金属ブロック40a、第1絶縁プレート50aは、各々板状をなす。プローブホルダ3aは、
図4の下方から第2絶縁プレート60、第2金属ブロック40a、絶縁ブロック70、第1金属ブロック30a、第1絶縁プレート50aの順に積層されてなる。
【0054】
第1金属ブロック30aおよび第2金属ブロック40aは、例えば金属などの導電性材料を用いて形成されている。なお、第1金属ブロック30aおよび第2金属ブロック40aは、金属のほか、導電性を有する材料であれば適用可能である。プローブホルダとしての強度の観点から、金属材料(合金を含む)を用いて形成されることが好ましい。
【0055】
また、第1金属ブロック30aには、上述した第1孔31および第2孔32と、信号用プローブ2cの一部を収容するための第3孔33(第2の導電孔)と、が形成されている。第3孔33についても、貫通方向に沿って一様な径を有する孔形状をなす。第3孔33の径(r3)は、第1孔31の径(r1)よりも大きく、第2孔32の径(r2)よりも小さい。第3孔33は、絶縁ブロック70と接する側の外縁が、面取りされている。
【0056】
第2金属ブロック40aには、上述した第1孔41および第2孔42と、信号用プローブ2cの一部を収容するための第3孔43(第4の導電孔)と、が形成されている。第3孔43についても、貫通方向に沿って一様な径を有する孔形状をなす。第3孔43の径(r3)は、第1孔41の径(r1)よりも大きく、第2孔42の径(r2)よりも小さい径であって、第3孔33の径と同等である。第3孔43は、絶縁ブロック70と接する側の外縁が、面取りされている。本実施の形態2では、信号用プローブ2bを挿通する孔として第2孔32および第2孔42が対をなし、信号用プローブ2cを挿通する孔として第3孔33および第3孔43が対をなしている。
【0057】
第1絶縁プレート50aには、上述した第1孔51および第2孔52と、信号用プローブ2cの先端部21aを挿通可能な第3孔53と、が形成されている。
【0058】
第3孔53は、プローブホルダ3aの上面側に開口を有する小径部511と、第3孔33に連通し、小径部511よりも径が大きい大径部513とからなる。大径部513は、第3孔33の径と同等の径である。
【0059】
信号用プローブ2cは、第1プランジャ21の先端部21aが第3孔53から外部に突出している。フランジ部21cは、第3孔53の小径部511と大径部513との境界壁面に当接することにより、信号用プローブ2cのプローブホルダ3aからの抜止機能を有する。
【0060】
ここで、第3孔33,43および大径部513が形成する円柱状の中空空間の径r3について説明する。径r3は、上記式(1)に基づき、中空空間により信号用プローブ2cの特性インピーダンスの整合をできるような径に設計される。
【0061】
このように、信号用プローブ2b,2cにおいて特性インピーダンスが異なる場合であっても、径r2,r3を個別に設計することにより、それぞれの特性インピーダンスの整合を行うことができる。
【0062】
上述した実施の形態2によれば、上述した実施の形態1と同様に、第2孔32,42および大径部522が形成する円柱状の中空空間の径r2の設計により、該中空空間(空気層)によって信号用プローブ2bにおける特性インピーダンスの整合を行うようにしたので、従来設けられるインピーダンス整合用の部材を不要とし、信号用のコンタクトプローブのインピーダンス整合を行うとともに、部品点数の増大を抑制して容易に製造することができる。
【0063】
上述した実施の形態2では、異なる検査信号を導通する信号用プローブ2b,2cにおいて径r2,r3(信号用プローブ2b,2cを挿通する各孔の径)を個別に設計するようにしたので、特性インピーダンス整合が異なる場合であっても、それぞれの特性インピーダンスの整合を行うことができる。
【0064】
なお、上述したプローブは、各孔において係止可能であれば、プランジャとコイルばねで構成されるものに限らず、ポゴピン、またはワイヤーを弓状に撓ませて荷重を得るワイヤープローブでもよい。また、信号用プローブ2bは、回路基板200から半導体集積回路100へ電源を供給する給電用のコンタクトプローブに代えても適用可能である。
【0065】
また、上述した実施の形態1,2では、グランド用プローブと信号用プローブとが同一の形状をなすものとして説明したが、異なる形状、例えば径が異なる形状をなすものであってもよい。グランド用プローブと信号用プローブとは、導通する信号の特性に応じて個別に設計することが可能である。この場合、プローブホルダに形成する孔の径も適宜変更され、板厚Dは、信号用プローブの最外径のうち最も大きい径以上に設計される。
【0066】
また、上述した実施の形態1,2では、グランド電位の導通経路が、グランド用プローブおよび金属ブロックを介するものとして説明したが、グランド用プローブのみで導通が確保できるものであれば、導通時にグランド用プローブを金属プローブに接触させなくてもよい。
【0067】
また、上述した実施の形態1,2では、絶縁ブロック70の第1孔71および第2孔72の径が同じであり、第1孔31,41の径と同等であるものとして説明したが、第1孔71および第2孔72の径が異なるものであってもよいし、第1孔71の径が第1孔31の径よりも大きいものであってもよい。グランド用プローブ2aは、金属ブロックとの接触によりグランド電位の経路を形成するため、第1孔71と接触しない構成であってもよい。
【0068】
また、上述した実施の形態1,2では、導電ピン80がグランド電位の経路の一部をなすものとして説明したが、グランド用プローブ2a(コイルばね23)を介してグランド電位の経路を形成できれば、導電ピン80を有しない構成であってもよい。また、導電ピンではなく絶縁性のピンとし、位置決めピンとして用いるものであってもよい。
【0069】
また、上述した実施の形態1,2において、第1絶縁プレート50,50aおよび第2絶縁プレート60は、厚みが同等(同一形状)であってもよいし、厚みが異なっていてもよい。また、第1孔同士の開口の径、または第2孔同士の開口の径は同一であってもよいし、第1孔同士の開口の径、または第2孔同士の開口の径が異なるものであってもよい。
【0070】
また、上述した実施の形態1,2において、第1絶縁プレート50,50aの孔が段付き形状をなすものとして説明したが、小径部511および521のみで構成され、第1絶縁プレート50,50aと第1金属ブロック30,30aとがなす段部にフランジ部21cが当接するものであってもよい。
【0071】
また、上述した実施の形態1,2において、回路基板200と接触する先端部22aが、一つの頭頂部を有する略錘状をなすものとして説明したが、先端部21aのように、複数の爪部を有するものであってもよい。
【0072】
また、上述した実施の形態1,2において、グランド用プローブ2aのコイルばね23が、密着巻き部23aおよび粗巻き部23bからなるものとして説明したが、金属ブロックを介したグランド電位の経路が形成されていれば、すべてが粗巻きで巻回されていてもよいし、絶縁性を有するものであってもよい。
【0073】
以上のように、本発明にかかるプローブユニットは、信号用のコンタクトプローブのインピーダンス整合を行うとともに、部品点数の増大を抑制して容易に製造することに有用である。