特許第6473376号(P6473376)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6473376
(24)【登録日】2019年2月1日
(45)【発行日】2019年2月20日
(54)【発明の名称】ガスコンロ
(51)【国際特許分類】
   F24C 3/12 20060101AFI20190207BHJP
   F24C 3/00 20060101ALI20190207BHJP
【FI】
   F24C3/12 V
   F24C3/00 J
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-91895(P2015-91895)
(22)【出願日】2015年4月28日
(65)【公開番号】特開2016-205782(P2016-205782A)
(43)【公開日】2016年12月8日
【審査請求日】2018年3月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】301071893
【氏名又は名称】株式会社ハーマン
(74)【代理人】
【識別番号】100092071
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 均
(72)【発明者】
【氏名】藤谷 真次
【審査官】 根本 徳子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−85085(JP,A)
【文献】 特開平7−324727(JP,A)
【文献】 特開2006−313045(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 3/00
F24C 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンロ本体の天面部を構成するトッププレートと、
前記トッププレートに配置されるコンロバーナと、
前記コンロ本体の前面に配置された前面パネルと、
前記前面パネルを前後方向に貫通する左右方向に長い横長のスリットと、
前記前面パネルの前記スリットを後方から前方に向かって貫通するように配設された、前記コンロバーナの火力を調節する火力調節レバーと
を備えたガスコンロであって、
前記火力調節レバーが、
前記コンロ本体の内部に配設されたガス量調節手段のガス量調節用駆動部と係合するレバー本体部と、
前記前面パネルの前面において下方に延びる垂下部と、
前記垂下部の下端部に、前方に向けて突出するように配設された把持部と
を備えていることを特徴とするガスコンロ。
【請求項2】
前記前面パネルが、下端側が上端側より前方に位置する態様で傾斜しており、前記垂下部が、前記前面パネルに沿うように傾斜して下方に延びていることを特徴とする請求項1記載のガスコンロ。
【請求項3】
前記把持部の上端が、前記トッププレートの前端より前方に位置していることを特徴とする請求項1または2記載のガスコンロ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスコンロに関し、詳しくは、火力調節を行う際に操作される火力調節レバーをコンロ本体の前面側に備えたガスコンロに関する。
【背景技術】
【0002】
ガスコンロとして、近年、ガスコンロ本体の前面に、火力調節を行う際に操作される火力調節レバーをガスコンロ本体の前面に備えたガスコンロが広く市販されるに至っている。
【0003】
このようなガスコンロの1つに、特許文献1に記載されているように、コンロ本体の天面部を構成するトッププレートを備え、バーナの火力を調節する火力調節レバー(火力調節用操作具)が、コンロ本体の前面を構成する前面パネルに配設された構造を有するガスコンロがある。
【0004】
そして、このガスコンロにおいては、使用者がガスコンロの前面側から、火力調節レバー(火力調節用操作具)を操作することにより、コンロバーナの火力の調節が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−231938号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述のガスコンロにおいては、トッププレートにコンロバーナが配置されており、コンロバーナが使用されるとトッププレートも加熱され、高温になる。
【0007】
一方、上述のような構成を備えたガスコンロにおいては、意匠上の理由などから、火力調節レバーがトッププレートの近傍に配置される場合がある。
【0008】
そして、そのような場合、使用者が手指にて火力調節レバーを把持して火力調節を行うと、使用者の手指が高温になったトッププレートに接近することになり、場合によっては、使用者の手指がトッププレートに触れて火傷するという安全上の問題点がある。
【0009】
特に、意匠上の理由などによって、前面パネルの上端に比べてトッププレートの前端が前方に位置する、いわゆる、トッププレートが前面パネルに対してオーバーハング状態になった構成のガスコンロの場合、使用者が火力調節レバーを手指にて操作する際に、手指がトッププレートに触れて、火傷を負う蓋然性が高くなる。
【0010】
本発明は、上記問題点を解決するものであり、コンロ本体の前面を構成する前面パネルに配設された火力調節レバーを操作して火力調節を行う場合に、使用者が火傷をするおそれの少ない、安全性の高いガスコンロを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために、本発明のガスコンロは、
コンロ本体の天面部を構成するトッププレートと、
前記トッププレートに配置されるコンロバーナと、
前記コンロ本体の前面に配置された前面パネルと、
前記前面パネルを前後方向に貫通する左右方向に長い横長のスリットと、
前記前面パネルの前記スリットを後方から前方に向かって貫通するように配設された、前記コンロバーナの火力を調節する火力調節レバーと
を備えたガスコンロであって、
前記火力調節レバーが、
前記コンロ本体の内部に配設されたガス量調節手段のガス量調節用駆動部と係合するレバー本体部と、
前記前面パネルの前面において下方に延びる垂下部と、
前記垂下部の下端部に、前方に向けて突出するように配設された把持部と
を備えていることを特徴としている。
【0012】
また、本発明は、前記前面パネルが、下端側が上端側より前方に位置する態様で傾斜しており、前記垂下部が、前記前面パネルに沿うように傾斜して下方に延びていることが好ましい。
【0013】
また、前記把持部の上端が、前記トッププレートの前端より前方に位置していることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明のガスコンロは、上述のように、コンロ本体の天面部を構成するトッププレートと、トッププレートに配置されるコンロバーナと、コンロ本体の前面に配置された前面パネルと、前面パネルを前後方向に貫通する左右方向に長い横長のスリットと、前面パネルのスリットを後方から前方に向かって貫通するように配設された、コンロバーナの火力を調節する火力調節レバーとを備えたガスコンロにおいて、火力調節レバーが、コンロ本体の内部に配設されたガス量調節手段のガス量調節用駆動部と係合するレバー本体部と、前面パネルの前面において下方に延びる垂下部と、垂下部の下端部に、前方に向けて突出するように配設された把持部とを備えた構成とされているので、使用者が、把持部を手指で操作して火力調節を行う際に、使用者の手指が高温になったトッププレートに触れる蓋然性が低くなる。
【0015】
すなわち、意匠上の理由などによって、上記前面パネルのスリットがトッププレートに近い位置に配設され、火力調節レバーが、該スリットを後方から前方に向かって貫通するように配設されているような場合にも、火力調節レバーが、パネルの前面において下方に延びる垂下部と、垂下部の下端部に、前方に向けて突出するように配設された把持部を備えた構成とされているので、使用者が火力を把持部を指などでつまんで操作した場合にも、使用者がトッププレートに触れることを抑制、防止することが可能になり、安全性を向上させることができる。
その結果、使用者が火傷をするおそれの少ない、安全性の高いガスコンロを提供することが可能になる。
【0016】
また、本発明のガスコンロにおいて、前面パネルが、下端側が上端側より前方に位置する態様で傾斜しており、垂下部が、前面パネルに沿うように傾斜して下方に延びるように構成されている場合には、前面パネルが上述のような態様で傾斜しているような場合にも、把持部が斜め下方で、かつ、前方に位置することになるため、使用者が手指で把持部を把持して火力調節レバーを操作する際に、誤って手指がトッププレートの前端に触れることを、より確実に抑制することが可能になり、安全性をさらに向上させることができる。
【0017】
また、把持部の上端を、トッププレートの前端より前方に位置させるようにした場合、使用者が手指で把持部を把持して火力調節レバーを操作する際に、誤って手指がトッププレートの前端に触れることをさらに確実に抑制することが可能になり、本発明をより実効あらしめることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態にかかるガスコンロの全体構成を示す斜視図である。
図2】本発明の実施形態にかかるガスコンロの要部を示す側断面図である。
図3】本発明の実施形態にかかるガスコンロの要部を示す拡大側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を示して、その特徴とするところをさらに詳しく説明する。
【0020】
[実施形態]
この実施形態1にかかるガスコンロ1は、図1〜3に示すように、2つのコンロバーナ21,22を有するコンロ部2aとグリル2bを備えたガステーブルコンロである。
【0021】
図1〜3に示すように、このガスコンロ1は、コンロ本体10の天面部を構成するトッププレート30と、トッププレート30に配置された、2つのコンロバーナ21,22を有するコンロ部2aと、グリル2bと備えている。
【0022】
また、このガスコンロ1において、コンロ本体10の前面を構成する前面パネル11には、左側のガスコンロ21用の点消火ボタン41(41a)、右側のガスコンロ22用の点消火ボタン41(41b)、グリルバーナ用の点消火ボタン41(41c)が配設されている。また、前面パネル11には電池ケース42が配設されている。
【0023】
なお、前面パネル11は、図2に示すように、下端側が上端側よりも前方に位置する態様で傾斜して配設されている。
【0024】
そして、点消火ボタン41を押し操作することにより、ガス弁ユニット61の前方に備える弁体制御ロッド63(図2)が後方に移動して、ガス弁ユニット61の内部に備える開閉弁(図示せず)が開弁して、コンロバーナ21,22やグリルバーナ(図示せず)に供給される燃料ガスが通流する開弁状態に至るように構成されている。なお、この開弁状態は、ラッチ機構(図示せず)によって維持される。
【0025】
また、弁体制御ロッド63(図2)は、スプリング(図示せず)によって前方に付勢されており、開弁状態において、再び点消火ボタン41(図1図2)を押し操作すると、弁体制御ロッド63が後方に移動してラッチ機構によるラッチが解除される。そして、その状態で点消火ボタン41の押し操作を解除すると、弁体制御ロッド63がスプリング(図示せず)の付勢力によって前方に移動して、ガス弁ユニット61の内部に備える開閉弁(図示せず)が閉弁して、各コンロバーナへの燃料ガスの通流が遮断される閉弁状態に至る。なお、この閉弁状態は、スプリング(図示せず)の付勢力によって維持される。
【0026】
また、ガスコンロ1は、コンロ本体10のコンロバーナ21,22の火力を調節する火力調節レバー51,52,およびグリル部2aを構成するグリルバーナ(図示せず)の火力を調節する火力調節レバー53を備えている。
【0027】
また、火力調節レバー51,52,53は、前面パネル11に設けられた、左右方向に長い横長の貫通口(スリット)(図3)12を、後方(奥側)から前方(手前側)に向かって貫通するように配設されている。
【0028】
次に、火力調節レバー51,52,53の構成について説明する。
なお、火力調節レバー51,52,53が、いずれも同様の構成を備えていることから、ここでは火力調節レバー51を例にとってその構成を詳しく説明する。
【0029】
火力調節レバー51は、図2,3に示すように、めっき鋼板からなるレバー本体部51aと、このレバー本体部51aと接続され、前面パネル11の前面において下方に延びる垂下部51bと、垂下部51bの下端部に、前方に向けて突出するように配設された、火力調節を行う際に使用者が手指でつまんで操作するつまみ部である把持部51cとを備えている。
【0030】
そして、レバー本体部51aは、図2に示すように、各コンロバーナに供給される燃料ガスの通流量を制御するガス弁ユニット(ガス量調節手段)61が備える、ガス量調節用駆動部であるガス量調節用駆動軸62に係合(接続)されており、火力調節レバー51を操作することにより、火力調節レバー51を構成するレバー本体部51aも動作し、火力調節が行われるように構成されている。すなわち、ガス量調節用駆動軸62を中心として、レバー本体部51aを水平面に沿って動作させることで、各コンロバーナに供給される燃料ガスの通流量が増減され、火力の調節が行われるように構成されている。
【0031】
垂下部51bは、上述のように、下端側が上端側より前方に位置する態様で傾斜して配設された前面パネル11に沿って、傾斜して下方に延びている部分であり、火力調節を行う際に使用者が手指でつまんで操作する把持部51cを、前面パネル11に設けられたスリット12の配設位置から離れた領域(下方)に位置させる機能を果たすものであり、その上端が前記レバー本体51aに接続されている。
【0032】
また、把持部51cは樹脂製で、垂下部51bの下端に、前方に向けて突出するような態様で、形成されている(図3)。この実施形態では、把持部51cの上端が、トッププレート30の前方側の端部よりも前方に位置するように構成されている。
【0033】
なお、この実施形態にかかるガスコンロ1は、火力調節レバー51が貫通する、前面パネル11に設けた横長のスリット12を目立ちにくくするという意匠上の理由で、前面パネル11の上端側に配設されている。
また、レバー本体部51aの先端がトッププレートの近傍に位置しており、その位置で垂下部51bと接続されることにより、垂下部51bによりスリット12の一部が遮られて、一層目立ちにくくなるように構成されている。
【0034】
この実施形態のガスコンロ1は、上述のように構成されており、火力調節レバー51を構成するレバー本体部51aがトッププレート30の近傍において、前面パネル11を、その後方から前方に貫通するように配置されているが、レバー本体部51aの先端と、レバー本体部51aの先端と接続され、前記前面パネル11の前面において下方に延びる垂下部51bと、垂下部51bの下端部に、前方に向けて突出するように配設された把持部51cを備えているので、使用者が火力を調節する際には、スリット12から離れるとともに、トッププレートの前端からも離れた位置にある把持部51cを指などでつまんで操作することになるため、使用者が高温になったトッププレートに触れる蓋然性が低くなる。その結果、安全性に優れたガスコンロを提供することが可能になる。
【0035】
また、この実施形態のガスコンロ1においては、トッププレート30の前方側の端部が、前面パネル11の上端よりも前方に突出した、オーバーハング状態になっているばかりでなく、前面パネル11が、上述のように、下端側が上端側より前方に位置する態様で傾斜し、かつ、前面パネル11に形成されたスリット12の位置がトッププレート30の直下に位置するように構成されているので、スリット12が目立ちにくく、意匠上は好ましいものの、そのままでは、火力調節レバーを操作した場合に使用者の手指が、高温のトッププレートに触れやすい状態にあるが、このような状況下においても、火力調節レバー51を、上述のように構成された、レバー本体51aと、垂下部51bと、垂下部51bに前方側に突出するように配設された把持部51cを備えた構成とすることにより、使用者が高温になったトッププレートに触れる蓋然性を低くして、十分な安全性を確保することができる。
【0036】
特に、この実施形態では、把持部51cの上端が、トッププレート30の前方側の端部よりも前方に位置するように構成されているので、使用者が把持部51c把持して火力を調節する際に、誤ってトッププレートの前端に触れることをより確実に抑制することが可能になり、さらに高い安全性を確保することができるようになる。
【0037】
[変形例]
上記実施形態では、レバー本体部51aの先端部が前面パネル11のスリット12を貫通して、前面パネル11の後方から前方にまで達し、コンロ本体の外側で垂下部51bと接続されている場合を例にとって説明したが、レバー本体部51aの先端部がスリット12を貫通せず、火力調節レバーの先端が前面パネルの後方(コンロ本体の内側)に位置した状態で、垂下部51bと接続されるように構成することも可能である。
【0038】
また、上記実施形態では、火力調節レバー51として、レバー本体部51a,垂下部51bおよび把持部51cを備えた構成をを有する火力調節レバーを示したが、火力調節レバーは、例えば、レバー本体部と垂下部とが一体に形成された構成や、全体が一体に形成された構成など、種々の構成とすることができる。
【0039】
また、上記実施形態では、前面パネル11が、下端側が上端側より前方に位置する態様で傾斜している場合を例にとって説明したが、前面パネル11が垂直になるように構成されたガスコンロにも本発明を適用することが可能である。
【0040】
また、上記実施形態では、把持部51cの上端が、トッププレート30の前方側の端部よりも前方に位置するように構成したが、把持部の上端が、トッププレートの前端より後方に位置するように構成した場合にも、本発明の基本的な効果を得ることができる。
【0041】
また、上記実施形態では、コンロ部2aが2つのコンロバーナ21,22を備えたガスコンロ1を例にとって説明したが、コンロ部の数に特別の制約はない。
【0042】
本発明は、さらにその他の点においても上記実施形態や変形例に限定されるものではなく、発明の範囲内において、種々の応用、変形を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0043】
1 ガスコンロ
2a コンロ部
2b グリル
21,22 コンロバーナ
10 ガスコンロ本体
11 前面パネル
12 スリット
30 トッププレート
41(41a,41b,41c) 点消火ボタン
42 電池ケース
51,52,53 火力調節レバー
51a 火力調節レバーを構成するレバー本体
51b 火力調節レバーを構成する垂下部
51c 火力調節レバーを構成する把持部
61 ガス弁ユニット
62 ガス弁ユニットに設けたガス量調節用駆動軸
63 弁体制御ロッド
図1
図2
図3