【課題を解決するための手段】
【0010】
(本発明の簡潔な概要)
本発明は、1つ以上の針を組織内に展開するための方法およびシステムの両方を提供する。針は、通常、組織に治療を送達することを意図し、もっとも通常は、無線周波、プラズマ、熱、または他のエネルギーを送達して、組織または組織内部の標的の組織を焼灼または別様に改善するように適合される。しかしながら、とりわけ最初の針の展開に関連する本発明の他の実施形態では、針は、生検を行うことを意図してもよく、または他の診断的目的を有してもよい。
【0011】
針(いったん展開される)の少なくとも一部分と、組織内部の少なくとも1つの解剖学的特徴が、好ましくは針の展開の前、後、および/または途中に、実時間で、表示画面上に可視的となるように、1つ以上の針が、組織が撮像されている組織内に展開される。本発明の第1の具体的局面において、映像は、投影される針治療情報にオーバーレイされる。「投影される」とは、針治療情報が既知のまたは確定されたシステム情報に基づいて予測または算出されることを意味する。例えば、以下でより詳細に説明されるように、針の形状および針の展開システムの機構は、針が組織の内部に進む経路を予測するために使用されてもよい。治療容積および安全境界またはマージンは、予測される組織の特性とあわせて、システムのエネルギー送達の特性に基づいて算出または予測されてもよい。映像にオーバーレイされる情報は、ユーザ、通常は、治療する医師が、治療の効果および安全性の両方と関連して、予測されるおよび/または実際の針の位置を評価することを可能にすることになる。
【0012】
例示的実施形態では、少なくとも1つの針がプローブから展開され、このプローブは、子宮または他の体腔または内腔に導入されてもよい。撮像され、続いて治療または生検される例示的解剖学的特徴は、筋腫、腫瘍、被包化された組織腫瘤、擬似被包化された組織腫瘤等を含む。本発明にとって特段の関心事であるが、プローブは、子宮内に位置決めされてもよく、針は、子宮を取り囲む子宮筋層の中にある筋腫に近接する場所または筋腫の中に展開されてもよい。そのような場合、通常は、エネルギーが介在する、または他の治療的処置によって損傷される可能性のある子宮筋層および/または他の繊細な解剖学的特徴を取り囲む漿膜を撮像することがまた望ましい。
【0013】
故に、本発明の第1の具体的局面において、投影される針情報は、針を通して提供されることができる治療容積の視覚映像を提供する、少なくとも投影される安全境界を含むことになる。そのような場合、評価することは、漿膜または他の繊細な組織または解剖学的構造が投影される安全境界外である(投影される安全境界の内側にある組織が組織損傷の危険にある)ことを確認することを含むことができる。投影される安全境界は通常、少なくとも0.5cm、しばしば、少なくとも0.7cm、および好ましくは、少なくとも1cmである、針と漿膜または他の繊細な解剖学的特徴との間の最小距離を提供することになる。
【0014】
本発明の第2の具体的局面において、投影される針治療情報は、投影される針展開経路を含むことになる。投影される針展開経路は、通常は、針の展開の前に、針が治療されるべき標的の組織に入るか、または少なくとも合理的に近接するように、表示画面上に可視的である投影される針治療の経路が合わさるように、治療している医師が針を保持するプローブを操作することができるところに、用途を見出す。投影される針治療情報は、針の周知の力学特性に基づくことになり、針が異なれば異なり得る。いくつかの例では、個々の特性が把握されるように、使用される個々の針を実際に試験することが望ましくなるが、これは通常必要でない、ということが理解されよう。実際の針が入る経路は、ある許容範囲内では予見可能である一方で、組織の特性における差異、展開機構におけるわずかな差異、針の特性における差異、または他の理由により、投影される経路と異なる可能性がある。そのような事例では、本発明の方法およびシステムは、安全性および治療境界が、予測される針の位置ではなく、実際の針の位置に基づいて予測されることができるように、実際の治療位置を入力することを可能にすることになる。例えば、医師は、視覚映像の中に出現する既知のポイントまたは針上のアーチファクトを位置特定してもよい。次に、そのポイントを「クリックする」か、または別様にその位置決め情報を撮像および制御システム内にフィードバックすることにより、システムは、実際の針の位置を再び算出することができ、また、その実際の位置に基づいて、安全性および治療境界を算出することができる。
【0015】
本発明の第3の具体的局面において、投影される針治療情報は、投影される治療範囲を含む。投影される治療範囲は、治療している医師が、治療されるべき標的範囲が有効に治療される可能性があるかどうかを、針の位置に基づいて査定することを可能にするように、画像表示上に示される境界または容積となる。上記で述べたように、通常、投影される針治療情報は、好ましくは、実際の針の位置に基づくが、投影される針の位置に基づくこともできる。故に、治療している医師が、投影される針の位置が治療されるべき標的の組織に関連して操作されている一方で、投影される治療範囲(投影される安全境界に加えて)に依存することが可能である可能性がある。実際の展開後、システムは、治療している医師が、治療が有効となりそうであることと、漿膜および/または他の繊細な組織構造が損傷されないであろうことの両方を確認することを可能にするために、投影される治療範囲と投影される安全境界の両方を再び算出することができる。
【0016】
本発明のさらなる具体的局面において、治療システムは、治療が組織に送達され得る前に、連動または実施許可ステップを提供する。例えば、システムは、治療している医師が、治療が安全および/または有効であるということを決定するために、安全境界および治療容積のどちらか一方または両方が、観察され評価されたということを承認することを要求してもよい。そのような承認がない場合、システムは、治療している医師が安全性および/または有効性の評価を認知する時まで、エネルギー送達を妨げることができる。他の例では、システムは、投影される境界を、標的とする治療生体構造および繊細な組織生体構造に関連して査定するように修正されることができるが、そのような完全に自動化されたシステムは本願においては好適でない。
【0017】
本発明の方法は、好ましくは、本明細書に参考として援用される、所有者が共通の、係属中の出願に記載されるような、子宮筋腫治療プローブを採用することになる。これらの治療プローブは、遠位端の近傍に撮像変換器および展開可能な針の両方を有するシャフトを含む。針は、変換器、通常は、超音波撮像アレイの映像のフィールド内に、概して横方向に選択的に進入させられ得るように構成される。針が組織の内部に進入させられた後、および針の位置の安全性および有効性が確認された後、無線周波組織治療または他のエネルギーまたは非エネルギー介在の治療が、針を通じて施されてもよい。例示的エネルギー治療モダリティは、無線周波、マイクロ波、高密度焦点式超音波(HIFU)、液体注入、プラズマ注入、蒸気、凍結療法等を含む。
【0018】
本発明の別の実施形態では、針は、まず、組織の表面に近接する展開可能な針を有するプローブを位置決めすることにより、組織内に展開される。組織の映像は実時間で提供され、投影される針経路は映像にオーバーレイされる。針を実際に展開する前に、実時間映像上の投影される針経路を解剖学的特徴と合わせるように、プローブは再位置決めされる。解剖学的特徴内部の投影される針経路の位置を最適化するように、プローブが再位置決めされた後、針はプローブから展開されてもよい。針が実際に展開された後、針の映像上に場所をマークすることにより、実際の針の位置が撮像システム内部にフィードバックされてもよい。マークされた場所によって提供される実際の針の位置に基づいて、システムによって投影される安全境界が算出され、映像上にオーバーレイされてもよい。投影される安全境界に基づいて、医師は、繊細な解剖構造が安全であるということを、視覚的に確認してもよい。通常、組織映像は、マークされた場所に基づいて、投影される治療境界にオーバーレイされることになる。医師はまた、治療される解剖学的特徴の少なくとも一部分が、投影される治療境界内であるということを、視覚的に確認してもよい。システムはまた、通常は、解剖学的構造が安全であるということを、治療している医師が承認することを要求することにより、繊細な解剖構造が安全境界外である場合にのみ治療装置が有効化されるようにプログラムされてもよい。
【0019】
本発明の原則に従い、針を組織内に展開するためのシステムは、プローブおよびシステム制御装置を含む。プローブは、1つ以上の展開可能な針および撮像変換器を含み、針は、撮像変換器によって生成される映像フィールド内部に進入するように構成される。システム制御装置は、変換器によって生成される映像を表示する画面を含み、システム制御装置は、投影される針治療情報を持つ画面上にオーバーレイを提供する。投影される針治療情報は、投影される針経路を含んでもよく、医師は、投影される針経路を、画面上で見ることのできる映像フィールド内の標的組織と合わせるように、プローブを操作することができる。針情報は、投影される治療境界および/または投影される安全境界をさらに含んでもよい。そのような事例では、システムは、医師が、治療を有効化する前に、投影されるまたは実際の針の位置が安全および/または有効であるということを確認することを要求してもよい。通常、システムは、実際の針の位置に基づいて、投影される針情報を更新することができるようになる。例示的システムでは、システム制御装置は、無線周波、マイクロ波、高密度焦点式超音波(HIFU)、蒸気、液体注入、および凍結療法等の、針を通じて送達される治療を生成する発生器をさらに含む。システムは、複数の針を含む針アレイを採用してもよい。
【0020】
筋腫および他の解剖学的特徴を治療するための方法は、解剖学的特徴に近接して、通常は解剖学的特徴の内部で、少なくとも1つの針を子宮内で展開することをさらに含む。方法は、針アレイの中の複数の針を展開してもよい。無線周波エネルギーは、針の露出部分を通じて特徴の中に送達され、いかなる露出した針部分も、0.5cmを超えて漿膜に近接せず、通常は0.7cmを超えて近接せず、および好ましくは、1cmを超えて近接しない。そのような方法は、漿膜を損傷することなく、多くのまたはほとんどの筋腫または他の特徴の効果的な治療を達成することができる。
例えば、本発明は、以下の項目を提供する。
(項目1)
少なくとも1つの針を組織内に展開するための方法であって、該方法は、
該針を組織内に展開することと、
該針の少なくとも一部分および少なくとも1つの解剖学的特徴を示す、該組織の映像を提供することと、
該映像に、投影される針治療情報をオーバーレイさせることと、
該解剖学的特徴の位置に関連する該投影される針治療情報を評価することと
を含む、方法。
(項目2)
映像を提供することは、超音波を介して映像を提供することを含む、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記針は、プローブから展開される、項目1に記載の方法。
(項目4)
前記解剖学的特徴は、筋腫、腫瘍、および被包化された、または擬似被包化された腫瘤から成る群から選択される、項目3に記載の方法。
(項目5)
前記解剖学的特徴は、筋腫を含む、項目3に記載の方法。
(項目6)
前記プローブは、子宮内に位置決めされ、前記針は、前記筋腫に近接する場所または該筋腫の中に展開される、項目5に記載の方法。
(項目7)
前記解剖学的特徴は、漿膜をさらに含む、項目4に記載の方法。
(項目8)
前記針情報は、投影される安全境界を含む、項目7に記載の方法。
(項目9)
前記投影される針情報は、少なくとも、前記針を通して達成される治療の、投影される治療境界を含む、項目7に記載の方法。
(項目10)
評価することは、漿膜が前記投影される安全境界外にあることを確認することを含む、項目8に記載の方法。
(項目11)
前記投影される安全境界は、前記針と前記漿膜との間の距離が0.5cm以上であることを容認する、項目10に記載の方法。
(項目12)
前記投影される針治療情報は、投影される針展開経路を含む、項目1に記載の方法。
(項目13)
前記投影される針治療情報は、投影される治療範囲を含む、項目1に記載の方法。
(項目14)
繊細な解剖学的特徴が前記安全境界外にある場合、治療装置を有効にすることをさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目15)
有効にすることは、前記繊細な解剖構造が前記安全境界外であるかどうかを尋ねる、前記治療装置からのプロンプトに応答することを含む、項目14に記載の方法。
(項目16)
映像を提供することは、前記針を運搬するプローブ上の変換器からの前記映像を走査することを含む、項目1に記載の方法。
(項目17)
前記変換器は、前記映像が、前記プローブに関連して固定される視野を持つように、該プローブ上に固定される、項目16に記載の方法。
(項目18)
前記針が展開された後に、該針を介して治療を施すことをさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目19)
前記治療は、前記組織内の標的部位に対する無線周波、マイクロ波、高密度焦点式超音波、液体注入、蒸気、および凍結療法から成る群から選択されるエネルギーを送達することを含む、項目18に記載の方法。
(項目20)
前記治療は、前記針に接続される無線周波電源を介して施される、項目18に記載の方法。
(項目21)
前記投影される針治療を評価した後に、前記電源を有効にすることをさらに含む、項目20に記載の方法。
(項目22)
前記投影される針治療情報は、投影される安全境界を含む、項目1に記載の方法。
(項目23)
前記投影される針治療情報は、投影される治療範囲、投影される安全部位、およびその間の部位を含む、項目1に記載の方法。
(項目24)
少なくとも1つの針を組織内に展開するための方法であって、該方法は、
該組織表面に近接して、展開可能な針を有するプローブを位置決めすることと、
該組織の映像を実時間で提供することと、
該映像に、投影される針経路をオーバーレイさせることと、
該実時間映像上の該投影される針経路を、解剖学的特徴と合わせるように、該プローブを再位置決めすることと、
該プローブが再位置決めされた後に、該プローブから該針を展開することと
を含む、方法。
(項目25)
前記針が展開された後に、該針の映像上に場所をマークすることと、
該マークされた場所に基づいて、前記組織の前記映像に、投影される安全境界をオーバーレイさせることと、
繊細な解剖構造が該安全境界外にあることを視覚的に確認することと
をさらに含む、項目24に記載の方法。
(項目26)
視覚的に確認することは、前記針が、前記繊細な解剖学的特徴に、0.5cmを超えて近接しないことを確認することを含む、項目25に記載の方法。
(項目27)
前記マークされた場所に基づいて、前記組織の前記映像に投影される治療境界をオーバーレイさせることと、
前記解剖学的特徴の少なくとも一部分が、該投影される治療境界内にあることを視覚的に確認することと
をさらに含む、項目25に記載の方法。
(項目28)
前記繊細な解剖構造が前記安全境界外にある場合に、治療装置を有効にすることをさらに含む、項目25に記載の方法。
(項目29)
実際の針の位置に基づいて、前記投影される針治療情報を更新することをさらに含む、項目25に記載の方法。
(項目30)
有効にすることは、前記繊細な解剖構造が前記安全境界外であるかどうかを尋ねる、前記治療装置からのプロンプトに応答することを含む、項目28に記載の方法。
(項目31)
前記プローブは、子宮内に位置決めされ、前記解剖学的特徴は、筋腫を含む、項目24に記載の方法。
(項目32)
前記解剖構造は、漿膜を含む、項目31に記載の方法。
(項目33)
前記映像は、前記プローブ上の変換器によって提供される、項目25に記載の方法。
(項目34)
針を組織内に展開するシステムであって、該システムは、
展開可能な針および撮像変換器を有するプローブであって、該針は、該撮像変換器によって生成される映像フィールドの内部へと進入するように構成される、プローブと、
該変換器によって生成される該映像を表示する画面を含むシステム制御装置であって、該システム制御装置は、投影される針治療情報を持つオーバーレイを該画面上に表示する、システム制御装置と
を含む、システム。
(項目35)
前記針治療情報は、投影される針経路を含み、ユーザは、該投影される針経路を、前記画面上で目に見える前記映像フィールド内の標的組織と合わせるように、前記プローブを操作することができる、項目34に記載のシステム。
(項目36)
前記システム制御装置は、前記針を通して送達される治療を発生させる発生器をさらに含む、項目34に記載のシステム。
(項目37)
前記治療発生器は、無線周波、マイクロ波、高密度焦点式超音波、液体注入、蒸気、または凍結療法から成る群から選択されるエネルギーを送達するように適合される電源を含む、項目36に記載のシステム。
(項目38)
前記針情報は、投影される治療境界を含む、項目36に記載のシステム。
(項目39)
前記針情報は、投影される安全境界を含む、項目36に記載のシステム。
(項目40)
前記投影される安全境界は、前記針から少なくとも0.5cmである、項目39に記載のシステム。
(項目41)
前記システムは、前記ユーザが、治療を有効にする前に、前記画面上の前記視野内の前記実際の針の位置を確認することを要求する、項目34に記載のシステム。
(項目42)
前記システムは、実際の針の位置に基づいて前記投影される針治療情報を更新する、項目34に記載のシステム。
(項目43)
子宮の解剖学的特徴を治療するための方法であって、該方法は、
該解剖学的特徴の近位に少なくとも1つの針を展開することと、
該針の露出部分を通して、該解剖学的特徴に無線周波エネルギーを送達することであって、該針のいかなる露出部分も、該子宮を取り囲む漿膜に、0.5cmを超えて近接しない、ことと
を含む、方法。
(項目44)
前記解剖学的特徴は、筋腫、腫瘍、および被包化された、または擬似被包化された腫瘤から成る群から選択される、項目43に記載の方法。
(項目45)
前記解剖学的特徴は筋腫を含む、項目44に記載の方法。
(項目46)
前記針のいかなる部分も、0.7cmを超えて近接しない、項目43に記載の方法。
(項目47)
前記針のいかなる部分も、1cmを超えて近接しない、項目43に記載の方法。