特許第6473411号(P6473411)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6473411
(24)【登録日】2019年2月1日
(45)【発行日】2019年2月20日
(54)【発明の名称】溶接トーチ保守用工具
(51)【国際特許分類】
   B23K 37/00 20060101AFI20190207BHJP
   B23K 9/29 20060101ALI20190207BHJP
   B23K 9/12 20060101ALI20190207BHJP
   B23K 9/32 20060101ALI20190207BHJP
   B23K 9/26 20060101ALI20190207BHJP
   B25B 7/22 20060101ALI20190207BHJP
   B26B 17/00 20060101ALI20190207BHJP
【FI】
   B23K37/00 A
   B23K9/29 N
   B23K9/12 310D
   B23K9/32 E
   B23K9/26 Z
   B25B7/22
   B26B17/00 A
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-254079(P2015-254079)
(22)【出願日】2015年12月25日
(65)【公開番号】特開2016-198823(P2016-198823A)
(43)【公開日】2016年12月1日
【審査請求日】2018年3月19日
(31)【優先権主張番号】特願2015-80210(P2015-80210)
(32)【優先日】2015年4月9日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】515077700
【氏名又は名称】株式会社セブンティ・エイト
(74)【代理人】
【識別番号】100084375
【弁理士】
【氏名又は名称】板谷 康夫
(74)【代理人】
【識別番号】100121692
【弁理士】
【氏名又は名称】田口 勝美
(74)【代理人】
【識別番号】100125221
【弁理士】
【氏名又は名称】水田 愼一
(74)【代理人】
【識別番号】100142077
【弁理士】
【氏名又は名称】板谷 真之
(72)【発明者】
【氏名】水谷 哲也
【審査官】 竹下 和志
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭63−151276(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0288085(US,A1)
【文献】 実開昭63−171148(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0047127(US,A1)
【文献】 実開平2−74(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 9/29
B23K 37/00
B25B 7/00
B26B 17/00
B23D 29/00
B08B 1/00
B25F 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の金属ステイがピボット軸回りにX字状に交差して回動自在に支持された溶接トーチ保守用工具であって、
前記一対の金属ステイは、
前記ピボット軸の一方側に在って、該金属ステイをユーザが回動操作するためのグリップ部と、
前記ピボット軸と前記グリップ部との間に在って、溶接トーチのノズルを着脱する際に該ノズルを挟み込む第1の挟み部と、
前記ピボット軸の一方側の先端側に在って、前記ノズルの内外周面に付着したスパッタを除去する際に該ノズル内周面と外周面に接して該ノズルを挟み込む第2の挟み部と、
前記ピボット軸の他方側に在って、前記溶接トーチの溶接ワイヤ導出用のチップを着脱する際に該チップを挟み込む第3の挟み部と、
前記ピボット軸の他方側に在って、前記溶接ワイヤを切断するためのカッター刃と、を備えていることを特徴とする溶接トーチ保守用工具。
【請求項2】
前記第2の挟み部は、前記一対の金属ステイを前記ピボット軸回りに回動して閉じたときに、互いに平行で対向した状態となる一対の平面を有し、
前記一対の金属ステイの前記グリップ部と前記第2の挟み部との間に、前記ノズル内に前記第2の挟み部を挿入したとき該ノズル先端に当接されるクランク状に形成された段差部を備えている、ことを特徴とする請求項1に記載の溶接トーチ保守用工具。
【請求項3】
前記第1の挟み部、及び前記第3の挟み部は、前記一対の金属ステイを前記ピボット軸回りに回動して閉じたときに、前記ピボット軸方向から見て偏平円筒空間を形成するように構成されている、ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の溶接トーチ保守用工具。
【請求項4】
前記一対の金属ステイは、
前記ピボット軸の他方側に在って、溶接ワイヤを引き出す際に該溶接ワイヤを挟む第4の挟み部をさらに備えている、ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の溶接トーチ保守用工具。
【請求項5】
前記第2の挟み部の外側に在って、前記ノズルを挟み込んで該ノズルの内外周面に接して該ノズルに付着したスパッタを除去するための第5の挟み部をさらに備え、
前記第2の挟み部は、前記一対の金属ステイを前記ピボット軸回りに回動して閉じたときに、前記ノズル内に挿入できるように構成されており、
前記第5の挟み部は、前記第2の挟み部から外側に延伸され、かつ、前記第2の挟み部の先端に向けて張り出される突起部を有し、前記突起部と前記第2の挟み部との互いの対向面が、前記第2の挟み部を前記ノズル内に挿入したとき該ノズルの先端部周りの内外周面に接することができるように構成されている、ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の溶接トーチ保守用工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶接装置に備えられる溶接トーチを保守するために用いる工具であって、溶接トーチの分解、組立てや溶接トーチに付着したスパッタの除去等のために用いる溶接トーチ保守用工具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、アーク溶接用の自動溶接装置に備えられる溶接トーチは、トーチボディがロボットアームに保持されており、シールドガス送出用のノズルや溶接ワイヤ送出用のチップ等の部品がトーチボディに着脱自在に取付けられている。ノズルやチップ等の部品は、点検のために、トーチボディから取外す必要がある。また、アーク溶接を行うと、スパッタ(溶接時に飛散した微粒子)がノズルに付着する。ノズルに付着したスパッタは、シールドガスの送出に悪影響を与える。このため、ノズルに付着したスパッタを除去する必要がある。スパッタの除去は、ノズルをトーチボディから取外して、ノズルからスパッタを削り落とすことにより行われる。また、アーク溶接を行うと、溶接ワイヤの先端に球滴が形成される。球滴は、チップを取外す際の障害物になる。このため、チップを取外す際には、溶接ワイヤを切断して、球滴を切除する必要がある。
【0003】
そこで、溶接トーチの分解、組立てや溶接トーチに付着したスパッタの除去等、溶接トーチを保守するために用いる工具として、非特許文献1に記載されている工具が知られている。この工具は、一対の金属ステイがピボット軸回りに回動自在に支持されており、金属ステイをユーザが回動操作するためのグリップ部がピボット軸の一方側に在る。そして、ノズルを着脱する際にノズルを挟み込む第1の挟み部がピボット軸とグリップ部との間に在り、ノズルに付着したスパッタを除去する際にノズル内周面と外周面に接してノズルを挟み込む第2の挟み部がピボット軸の他方側の先端側に在る。また、チップを着脱する際にチップを挟み込む第3の挟み部、及び溶接ワイヤを切断するためのカッター刃がピボット軸と第2の挟み部との間にある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】株式会社タイムケミカル、[online]、[平成27年3月23日検索]、インターネット<URL:http://www.timechemical.co.jp/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した非特許文献1に記載の工具は、第2の挟み部がピボット軸の他方側(第3の挟み部、及びカッター刃と同じ側)の先端側にある。このため、溶接トーチの周辺に壁や柱などの他の物体が存在する狭い場所では、第1の挟み部でノズルを挟むとき、第3の挟み部でチップを挟むとき、及びカッター刃で溶接ワイヤを切断するときに、第2の挟み部が溶接トーチの周辺の他の物体に接触する虞がある。従って、狭い場所では、ノズルの着脱、チップの着脱、及び溶接ワイヤの切断を行うときに、第2の挟み部が溶接トーチの周辺の他の物体に接触しないように工具を扱わなければならず、溶接トーチの分解、組立てを行うことが困難である。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するものであり、狭い場所でも容易に溶接トーチの分解、組立てを行うことができ、かつ、スパッタの除去を行うことができる溶接トーチ保守用工具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明の溶接トーチ保守用工具は、一対の金属ステイがピボット軸回りにX字状に交差して回動自在に支持された溶接トーチ保守用工具であって、一対の金属ステイは、ピボット軸の一方側に在って、該金属ステイをユーザが回動操作するためのグリップ部と、ピボット軸とグリップ部との間に在って、溶接トーチのノズルを着脱する際に該ノズルを挟み込む第1の挟み部と、ピボット軸の一方側の先端側に在って、ノズルの内外周面に付着したスパッタを除去する際に該ノズル内周面と外周面に接して該ノズルを挟み込む第2の挟み部と、ピボット軸の他方側に在って、溶接トーチの溶接ワイヤ導出用のチップを着脱する際に該チップを挟み込む第3の挟み部と、ピボット軸の他方側に在って、溶接ワイヤを切断するためのカッター刃と、を備えている、ものである。
【0008】
本発明の溶接トーチ保守用工具において、第2の挟み部は、一対の金属ステイをピボット軸回りに回動して閉じたときに、互いに平行で対向した状態となる一対の平面を有し、一対の金属ステイのグリップ部と第2の挟み部との間に、ノズル内に第2の挟み部を挿入したとき該ノズル先端に当接されるクランク状に形成された段差部を備えている、ことが好ましい。
【0009】
また、本発明の溶接トーチ保守用工具において、第1の挟み部、及び第3の挟み部は、一対の金属ステイをピボット軸回りに回動して閉じたときに、ピボット軸方向から見て偏平円筒空間を形成するように構成されている、ことが好ましい。
【0010】
また、本発明の溶接トーチ保守用工具において、一対の金属ステイは、ピボット軸の他方側に在って、溶接ワイヤを引き出す際に該溶接ワイヤを挟む第4の挟み部をさらに備えている、ことが好ましい。
【0011】
また、本発明の溶接トーチ保守用工具において、第2の挟み部の外側に在って、ノズルを挟み込んで該ノズルの内外周面に接して該ノズルに付着したスパッタを除去するための第5の挟み部をさらに備え、第2の挟み部は、一対の金属ステイをピボット軸回りに回動して閉じたときに、ノズル内に挿入できるように構成されており、第5の挟み部は、第2の挟み部から外側に延伸され、かつ、第2の挟み部の先端に向けて張り出される突起部を有し、突起部と第2の挟み部との互いの対向面が、第2の挟み部をノズル内に挿入したとき該ノズルの先端部周りの内外周面に接することができるように構成されている、ことが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、第2の挟み部がピボット軸の一方側、すなわち、第3の挟み部、及びカッター刃と反対側の先端側に在るので、第1の挟み部でノズルを挟むとき、第3の挟み部でチップを挟むとき、及びカッター刃で溶接ワイヤを切断するとき、第2の挟み部がユーザ側に位置する。このため、溶接トーチの周辺に壁や柱などの他の物体が存在する狭い場所でも、第1の挟み部でノズルを挟むとき、第3の挟み部でチップを挟むとき、及びカッター刃で溶接ワイヤを切断するときに、第2の挟み部が溶接トーチの周辺の他の物体に接触する虞がない。これにより、狭い場所でも容易にノズルの着脱、チップの着脱、及び溶接ワイヤの切断を行うことができる。また、ノズルに付着したスパッタを第2の挟み部を使って除去することができる。従って、狭い場所でも容易に溶接トーチの分解、組立てを行うことができ、かつ、スパッタの除去を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係る溶接トーチ保守用工具の構成を示す斜視図。
図2】同工具の金属ステイを開いた状態の平面図。
図3】同工具の金属ステイを閉じた状態の平面図。
図4】(a)は溶接トーチの斜視図、(b)は同断面図。
図5】(a)は溶接トーチの分解斜視図、(b)は同断面図。
図6】同工具を用いた溶接トーチのノズルの取外し方法を説明する図。
図7】同工具を用いた溶接トーチの溶接ワイヤの切断方法を説明する図。
図8】同工具を用いた溶接トーチのチップの取外し方法を説明する図。
図9】同工具を用いた溶接トーチのインシュレータの取外し方法を説明する図。
図10】(a)は同工具を用いた溶接トーチのノズルの内外周面に付着したスパッタの除去方法を説明する図、(b)は同ノズルの先端に付着したスパッタの除去方法を説明する図。
図11】同工具を用いた溶接トーチの溶接ワイヤの引き出し方法を説明する図。
図12】(a)は同工具の変形例を示す金属ステイを閉じた状態の平面図、(b)は同側面図。
図13】同工具の別の変形例を示す金属ステイを開いた状態の斜視図。
図14】(a)は同工具を用いた溶接トーチのノズルに付着したスパッタの除去方法を説明する図、(b)は同ノズルに付着したスパッタの別の除去方法を説明する図。
図15】同工具を用いた溶接トーチの溶接ワイヤの引き出し方法を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を具体化した実施形態による溶接トーチ保守用工具について図面を参照して説明する。図1図2図3は、溶接トーチ保守用工具1(以下、工具1と記す)の構成を示し、図4(a)(b)、図5(a)(b)は、溶接トーチ2の構成を示す。工具1は、溶接トーチ2を保守するために用いる工具であって、溶接トーチ2の分解、組立てや溶接トーチ2に付着したスパッタの除去等のために用いる工具である。
【0015】
ここで、まず、溶接トーチ2について、図4及び図5を参照して説明する。溶接トーチ2は、アーク溶接用の自動溶接装置に備えられており、自動溶接装置のロボットアーム(不図示)に保持されたトーチボディ21と、トーチボディ21に取付けられたチップボディ22と、チップボディ22に着脱自在に取付けられるチップ23及びインシュレータ(絶縁筒)24と、インシュレータ24に着脱自在に取付けられるノズル25とを備えている。
【0016】
トーチボディ21及びチップボディ22は、各々、内部が中空になっており、チップボディ22の内部がトーチボディ21の内部に連通している。チップボディ22の側面には、チップボディ22の内部に連通する孔22aが形成されている。チップ23は、内部が中空で両端が開口しており、チップ23の内部がチップボディ22の内部と連通するように、チップボディ22に取付けられている。チップ23は、チップ23の雄ねじ部23aとチップボディ22の雌ねじ部22bとによって、チップボディ22に螺合して取付けられている。インシュレータ24は、内部が中空で両端が開口した筒状をしており、インシュレータ24の内部にチップボディ22の一部を収納するように、チップボディ22に取付けられている。インシュレータ24は、インシュレータ24の雌ねじ部24aとチップボディ22の雄ねじ部22cとによって、チップボディ22に螺合して取付けられている。ノズル25は、内部が中空で両端が開口した筒状をしており、ノズル25の内部にチップボディ22の一部及びチップ23を収納するように、インシュレータ24に取付けられている。ノズル25は、ノズル25の雌ねじ部25aとインシュレータ24の雄ねじ部24bとによって、インシュレータ24に螺合して取付けられている。
【0017】
トーチボディ21は、自動溶接装置の溶接ワイヤ供給部(不図示)に繋がっており、溶接ワイヤ供給部から溶接ワイヤ26が供給される。溶接ワイヤ26は、トーチボディ21、チップボディ22、及びチップ23の内部を通って、チップ23の先端(ノズル25の先端でもある)から導出される。また、トーチボディ21は、自動溶接装置のシールドガス供給部(不図示)に繋がっており、シールドガス供給部からシールドガスが供給される。シールドガスは、トーチボディ21、及びチップボディ22の内部を通って、チップボディ22の孔22aから噴出され、ノズル25の内部を通って、ノズル25の先端から送出される。
【0018】
次に、図1乃至図3を参照して工具1を説明する。工具1は、一対の金属ステイ10と、金属ステイ10を回動自在に支持するピボット軸11とを備えている。金属ステイ10は、ピボット軸11の位置で互いに交差している。すなわち、工具1は、一対の金属ステイ10がピボット軸11の回りにX字状に交差して回動自在に支持されている。一対の金属ステイ10は、金属ステイ10をユーザが回動操作するためのグリップ部12と、溶接トーチ2のノズル25及びインシュレータ24を着脱する際に使用する第1の挟み部13と、ノズル25の内外周面に付着したスパッタを除去する際に使用する第2の挟み部14と、溶接トーチ2のチップ23を着脱する際に使用する第3の挟み部15と、溶接ワイヤ26を切断するためのカッター刃16とを備えている。また、一対の金属ステイ10は、溶接ワイヤ26を引き出す際に使用する第4の挟み部17と、ノズル25の先端に付着したスパッタを除去する際に使用する段差部18とを備えている。
【0019】
グリップ部12は、ピボット軸11の一方側に在る。第1の挟み部13は、ピボット軸11の一方側であって、ピボット軸11とグリップ部12との間に在る。第2の挟み部14は、ピボット軸11の一方側の先端側に在る。第3の挟み部15は、ピボット軸11の他方側に在る。カッター刃16は、ピボット軸11の他方側であって、ピボット軸11と第3の挟み部15との間に在る。第4の挟み部17は、ピボット軸11の他方側の先端側に在る。段差部18は、ピボット軸11の一方側であって、グリップ部12と第2の挟み部14との間に在る。すなわち、第1の挟み部13、第3の挟み部15、カッター刃16、及び第4の挟み部17は、グリップ部12の一方側に在り、第2の挟み部14、及び段差部18は、グリップ部12の他方側(第1の挟み部13、第3の挟み部15、カッター刃16、及び第4の挟み部17と反対側)に在る。
【0020】
また、工具1は、一対の金属ステイ10を開いた状態に保持するためのバネ19を備えている。バネ19は、ピボット軸11と第1の挟み部13との間において、一対の金属ステイ10間に圧縮された状態で介在されている。ユーザがハンドル部12を握っていない自然状態では、一対の金属ステイ10は、バネ19の力によって開いた状態に保持される(図2参照)。ユーザがグリップ部12を握ることにより、一対の金属ステイ10が回動操作され、一対の金属ステイ10は、バネ19の力に抗してピボット軸11回りに回動して閉じられる(図3参照)。一対の金属ステイ10が閉じられた状態では、一方の金属ステイ10のカッター刃16の先端と他方の金属ステイ10のカッター刃16の先端が互いに接触した状態となる。
【0021】
第1の挟み部13は、一対の金属ステイ10を閉じたときに、ピボット軸11方向から見て偏平円筒空間を形成するように構成されている。すなわち、第1の挟み部13は、一対の金属ステイ10を閉じたときに、ピボット軸11方向から見て偏平円筒空間を形成する一対の曲面13aを有している。第1の挟み部13は、溶接トーチ2のノズル25及びインシュレータ24を着脱する際に、曲面13aでノズル25及びインシュレータ24を挟み込むように使用される。曲面13aには、第1の挟み部13とノズル25及びインシュレータ24との間の滑りを防ぐための細かい凹凸が形成されている。
【0022】
第2の挟み部14は、一対の金属ステイ10をピボット軸11回りに回動して閉じたときに、互いに平行で対向した状態となる一対の平面14aを有している。第2の挟み部14は、ノズル25の内外周面に付着したスパッタを除去する際に、平面14aでノズル25の内周面と外周面に接してノズル25を挟み込むように使用される。第2の挟み部14は、ノズル25内に挿入できるように、真っ直ぐに細長く伸びており、また、先端側ほど細くなっている。平面14aには、ノズル25に付着したスパッタを削り落とすための細かい凹凸が形成されている。
【0023】
第3の挟み部15は、一対の金属ステイ10を閉じたときに、ピボット軸11方向から見て偏平円筒空間を形成するように構成されている。すなわち、第3の挟み部15は、一対の金属ステイ10を閉じたときに、ピボット軸11方向から見て偏平円筒空間を形成する一対の曲面15aを有している。第3の挟み部15は、チップ23を着脱する際に、曲面15aでチップ23を挟み込むように使用される。曲面15aには、第3の挟み部15とチップ23との間の滑りを防ぐための細かい凹凸が形成されている。
【0024】
第4の挟み部17は、一対の金属ステイ10を閉じたときに、互いに平行で対向した状態となる一対の平面17aを有している。第4の挟み部17は、溶接ワイヤ26を引き出す際に、平面17aで溶接ワイヤ26を挟むように使用される。平面17aには、第4の挟み部17と溶接ワイヤ26との間の滑りを防ぐための細かい凹凸が形成されている。
【0025】
段差部18は、ノズル25内に第2の挟み部14を挿入したときにノズル25の先端に当接されるクランク状に形成されている。すなわち、段差部18は、一対の金属ステイ10を閉じたときに、第2の挟み部14の伸びている方向に直交する一対の平面18aを有している。一対の平面18aは、一対の金属ステイ10を閉じたときに、互いに平行で他方の平面18aの延長面上に位置する状態となる。段差部18は、ノズル25の先端に付着したスパッタを除去する際に、ノズル25内に第2の挟み部14を挿入して、ノズル25の先端に平面18aを当接させるように使用される。
【0026】
次に、図6乃至図11を参照して、工具1の使用方法を説明する。図6は、工具1を用いた溶接トーチ2のノズル25の取外し方法を示す。溶接トーチ2からノズル25を取外すときには、ユーザは、工具1のグリップ部12を持って、第1の挟み部13でノズル25を挟み込む。続いて、ユーザは、グリップ部12を握り締め、ノズル25とインシュレータ24との螺合を解除する方向に工具1を回転させる。これにより、工具1と一緒にノズル25が回転して、ノズル25がインシュレータ24から螺合解除される。そして、ユーザは、螺合解除されたノズル25をチップボディ22、チップ23、及び溶接ワイヤ26から引き抜く。これにより、ノズル25が溶接トーチ2から取外される。ノズル25を取付けるときには、上記の工程と逆の工程が行われる。
【0027】
図7は、工具1を用いた溶接トーチ2の溶接ワイヤ26の切断方法を示す。溶接ワイヤ26の切断は、例えば、溶接ワイヤ26の先端に形成された球滴26aを切除するために行われる。このとき、ノズル25は、取付けられていてもよいし、取外されていてもよい(図示の例では、取外されている)。溶接ワイヤ26を切断するときには、ユーザは、グリップ部12を持って、工具1のカッター刃16で溶接ワイヤ26を挟み込む。そして、ユーザは、グリップ部12を握り締める。これにより、溶接ワイヤ26がカッター刃16によって切断される。
【0028】
図8は、工具1を用いた溶接トーチ2のチップ23の取外し方法を示す。チップ23の取外しは、ノズル25を取外した状態で行われる。このとき、インシュレータ24は、取付けられていてもよいし、取外されていてもよい(図示の例では、取付けられている)。溶接トーチ2からチップ23を取外すときには、ユーザは、工具1のグリップ部12を持って、第3の挟み部15でチップ23を挟み込む。続いて、ユーザは、グリップ部12を握り締め、チップ23とチップボディ22との螺合を解除する方向に工具1を回転させる。これにより、工具1と一緒にチップ23が回転して、チップ23がチップボディ22から螺合解除される。そして、ユーザは、螺合解除されたチップ23を溶接ワイヤ26から引き抜く。これにより、チップ23が溶接トーチ2から取外される。チップ23を取付けるときには、上記の工程と逆の工程が行われる。
【0029】
図9は、工具1を用いた溶接トーチ2のインシュレータ24の取外し方法を示す。インシュレータ24の取外しは、ノズル25を取外した状態で行われる。このとき、チップ23は、取付けられていてもよいし、取外されていてもよい(図示の例では、取外されている)。溶接トーチ2からインシュレータ24を取外すときには、ユーザは、工具1のグリップ部12を持って、第1の挟み部13でインシュレータ24を挟み込む。続いて、ユーザは、グリップ部12を握り締め、インシュレータ24とチップボディ22との螺合を解除する方向に工具1を回転させる。これにより、工具1と一緒にインシュレータ24が回転して、インシュレータ24がチップボディ22から螺合解除される。そして、ユーザは、螺合解除されたインシュレータ24をチップボディ22及び溶接ワイヤ26から引き抜く。これにより、インシュレータ24が溶接トーチ2から取外される。インシュレータ24を取付けるときには、上記の工程と逆の工程が行われる。
【0030】
図10(a)(b)は、工具1を用いた溶接トーチ2のノズル25に付着したスパッタの除去方法を示す。ノズル25に付着したスパッタの除去は、ノズル25を取外して行われる。ノズル25に付着したスパッタを除去するときには、ユーザは、一方の手にノズル25を持ち、他方の手に工具1のグリップ部12を持つ。そして、ノズル25の内外周面に付着したスパッタを除去するときには、ユーザは、第2の挟み部14でノズル25の内周面と外周面に接するようにノズル25を挟み込み(図10(a)参照)、第2の挟み部14でノズル25の内外周面を擦るように工具1を動かす。これにより、ノズル25の内外周面に付着したスパッタが削り落とされて除去される。また、ノズル25の先端に付着したスパッタを除去するときには、ユーザは、ノズル25内に第2の挟み部14を挿入して、ノズル25の先端に段差部18を当接させ(図10(b)参照)、段差部18でノズル25の先端を擦るように工具1を動かす。これにより、ノズル25の先端に付着したスパッタが削り落とされて除去される。
【0031】
図11は、工具1を用いた溶接トーチ2の溶接ワイヤ26の引き出し方法を示す。溶接ワイヤ26を引き出すとき、ノズル25は、取付けられていてもよいし、取外されていてもよい(図示の例では、取付けられている)。溶接トーチ2から溶接ワイヤ26を引き出すときには、ユーザは、工具1のグリップ部12を持って、第4の挟み部17で溶接ワイヤ26を挟み込む。そして、ユーザは、グリップ部12を握り締め、工具1を引っ張る。これにより、溶接ワイヤ26が溶接トーチ2から引き出される。
【0032】
本実施形態の工具1によれば、第2の挟み部14がピボット軸11の一方側(第3の挟み部15、及びカッター刃16と反対側)の先端側に在るので、第1の挟み部13でノズル25及びインシュレータ24を挟むとき、第3の挟み部15でチップ23を挟むとき、及びカッター刃16で溶接ワイヤ26を切断するとき、第2の挟み部14がユーザ側に位置する。このため、溶接トーチ2の周辺に壁や柱などの他の物体が存在する狭い場所でも、第1の挟み部13でノズル25及びインシュレータ24を挟むとき、第3の挟み部15でチップ23を挟むとき、及びカッター刃16で溶接ワイヤ26を切断するときに、第2の挟み部14が溶接トーチ2の周辺の他の物体に接触する虞がない。これにより、狭い場所でも容易にノズル25の着脱、チップ23の着脱、及び溶接ワイヤ26の切断を行うことができる。また、ノズル25に付着したスパッタを第2の挟み部14及び段差部18を使って除去することができる。従って、狭い場所でも容易に溶接トーチ2の分解、組立てを行うことができ、かつ、スパッタの除去を行うことができる。
【0033】
また、第1の挟み部13、及び第3の挟み部15は、一対の金属ステイ10を閉じたときに偏平円筒空間を形成するように構成されているので、色々な太さのノズル25、インシュレータ24、及びチップ23を挟み込むことができる。従って、ノズル25、インシュレータ24、及びチップ23の太さの異なる種々のタイプの溶接トーチ2に対応可能であり、利便性が高い。また、溶接ワイヤ26を第4の挟み部17を使って引き出すことができるので、利便性が高い。
【0034】
図12(a)(b)は、工具1の変形例を示す。この工具1は、上記実施形態における第4の挟み部17を備えておらず、また、カッター刃16がピボット軸11の他方側の先端側に在り、第3の挟み部15がピボット軸11とカッター刃16との間に在る。他の構成については、上記実施形態と同様である。なお、この工具1では、溶接ワイヤ26の引き出しには、第2の挟み部14が用いられる。このような工具1においても、上記実施形態と同様の効果が得られる。
【0035】
図13は、工具1の別の変形例を示す。この工具1は、上記実施形態の構成に加え、溶接トーチのノズルに付着したスパッタを除去するための第5の挟み部31をさらに備えている。第5の挟み部31は、一対の金属ステイ10のそれぞれに設けられ、ノズルを挟み込んでノズルの内外周面に接して、ノズルに付着したスパッタを除去するためのものである。第5の挟み部31は、ピボット軸11の一方側であって、第2の挟み部14の外側に在る。また、この工具1は、上記実施形態における第4の挟み部17(図1乃至図3)を備えておらず、それに代えて、カッター刃16を先端に備え、第3の挟み部15がピボット軸11とカッター刃16との間に在る。第2の挟み部14は、上記実施形態と同様に使用されることに加え、溶接ワイヤ26を引き出す際に、平面14aで溶接ワイヤ26を挟むように使用される。他の構成については、上記実施形態と同様である。
【0036】
第5の挟み部31は、第2の挟み部14から外側に延伸され、かつ、第2の挟み部14の先端に向けて張り出される突起部31aを有している。突起部31aは、段差部18の外端から第2の挟み部14の先端に向けて張り出されている。第5の挟み部31は、凹部空間40を形成しており、第2の挟み部14をノズル内に挿入したとき及び第5の挟み部31をノズル内に挿入したとき、凹部空間40の互いの対向面31b、14bがノズル25の先端部周りの内外周面に接することができ、段差部18の平面18aがノズルの先端に接することができるように構成されている。第5の挟み部31は、ノズルの内外周面に付着したスパッタを除去する際に、ノズルを挟み込んでノズルの外周面に接するように、又は、ノズル内に挿入してノズルの内周面に接するように使用される。
【0037】
図14(a)は、工具1の第5の挟み部31を用いた溶接トーチ2のノズル25に付着したスパッタの除去方法を示す。ノズル25の内外周面に付着したスパッタを除去するときには、ユーザは、ノズル25内に第2の挟み部14を挿入して、ノズル25の先端を凹部空間40内に入れ、第2の挟み部14でノズル25の内周面を擦るように工具1を動かし、また、第5の挟み部31でノズル25の外周面を擦るように工具1を動かす。このとき、ノズル25の先端に段差部18の平面18aを当接させ、ノズル25の先端を擦るように工具1を動かすことにより、ノズル25の先端に付着したスパッタも削り落とされて除去される。
【0038】
図14(b)は、ノズル25に付着したスパッタの別の除去方法を示す。ユーザは、ノズル25内に第5の挟み部31を挿入して、ノズル25の先端を凹部空間40内に入れ、第5の挟み部31でノズル25の内周面を擦るように工具1を動かし、また、第2の挟み部14でノズル25の外周面を擦るように工具1を動かす。これにより、ノズル25の内外周面に付着したスパッタが削り落とされて除去される。このとき、ノズル25の先端に段差部18の平面18aを当接させ、ノズル25の先端を擦るように工具1を動かすことにより、ノズル25の先端に付着したスパッタも削り落とされて除去される。なお、上記実施形態と同様に、第2の挟み部14でノズル25を挟み込んでノズル25に付着したスパッタを除去することもできる。従って、ユーザは、ノズル25の形状や厚み、スパッタの付着具合に応じて、適宜の方法でノズル25に付着したスパッタを除去する。
【0039】
図15は、工具1を用いた溶接トーチ2の溶接ワイヤ26の引き出し方法を示す。溶接トーチ2から溶接ワイヤ26を引き出すときには、ユーザは、第2の挟み部14で溶接ワイヤ26を挟み込み、工具1を引っ張る。これにより、溶接ワイヤ26が溶接トーチ2から引き出される。工具1を用いた溶接トーチ2のノズル25の取外し、取付け方法、溶接ワイヤ26の切断方法、チップ23の取外し、取付け方法、及びインシュレータ24の取外し、取付け方法は、上記実施形態と同様である。なお、工具1は、上記実施形態と同様に、第4の挟み部17を備えていて、カッター刃16がピボット軸11と第3の挟み部15との間に在ってもよい。このような工具1によれば、第2の挟み部14と第5の挟み部31との間の凹部空間40内にノズル25の先端を入れて、工具1を動かすことにより、ノズル25の内周面、外周面、及び先端に付着したスパッタを除去することができる。
【0040】
なお、本発明は、上記実施形態の構成に限られず、種々の変形が可能である。例えば、第3の挟み部15とカッター刃16の位置が逆になっていてもよい。すなわち、第3の挟み部15がピボット軸11とカッター刃16との間に在って、カッター刃16が第3の挟み部15と第4の挟み部17との間に在ってもよい。また、段差部18の一対の平面18aに、ノズル25に付着したスパッタを削り落とすための細かい凹凸が形成されていてもよい。また、凹部空間40の互いの対向面31b、14bに、ノズル25に付着したスパッタを削り落とすための細かい凹凸が形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0041】
1 溶接トーチ保守用工具
2 溶接トーチ
10 金属ステイ
11 ピボット軸
12 グリップ部
13 第1の挟み部
13a 曲面
14 第2の挟み部
14a 平面
14b 対向面
15 第3の挟み部
15a 曲面
16 カッター刃
17 第4の挟み部
17a 平面
18 段差部
18a 平面
19 バネ
21 トーチボディ
22 チップボディ
23 チップ
24 インシュレータ
25 ノズル
26 溶接ワイヤ
31 第5の挟み部
31a 突起部
31b 対向面
40 凹部空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15