(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6473414
(24)【登録日】2019年2月1日
(45)【発行日】2019年2月20日
(54)【発明の名称】向上した泡品質及びより高い粘度を有する、アミノ酸系界面活性剤、ベタイン類及びN−メチル−N−アシルグルカミンを含む組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/44 20060101AFI20190207BHJP
A61K 8/42 20060101ALI20190207BHJP
A61K 8/60 20060101ALI20190207BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20190207BHJP
A61Q 5/02 20060101ALI20190207BHJP
A61Q 19/10 20060101ALI20190207BHJP
A61Q 1/14 20060101ALI20190207BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20190207BHJP
A61Q 5/00 20060101ALI20190207BHJP
C11D 1/10 20060101ALI20190207BHJP
C11D 1/90 20060101ALI20190207BHJP
C11D 1/52 20060101ALI20190207BHJP
C11D 3/20 20060101ALI20190207BHJP
C11D 1/12 20060101ALI20190207BHJP
C11D 1/29 20060101ALI20190207BHJP
C11D 3/50 20060101ALI20190207BHJP
C11D 3/40 20060101ALI20190207BHJP
C11D 3/37 20060101ALI20190207BHJP
C11D 3/48 20060101ALI20190207BHJP
C11D 1/68 20060101ALI20190207BHJP
【FI】
A61K8/44
A61K8/42
A61K8/60
A61K8/34
A61Q5/02
A61Q19/10
A61Q1/14
A61Q19/00
A61Q5/00
C11D1/10
C11D1/90
C11D1/52
C11D3/20
C11D1/12
C11D1/29
C11D3/50
C11D3/40
C11D3/37
C11D3/48
C11D1/68
【請求項の数】15
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-514489(P2015-514489)
(86)(22)【出願日】2013年5月29日
(65)【公表番号】特表2015-523973(P2015-523973A)
(43)【公表日】2015年8月20日
(86)【国際出願番号】EP2013061076
(87)【国際公開番号】WO2013178684
(87)【国際公開日】20131205
【審査請求日】2016年5月27日
(31)【優先権主張番号】102012010657.2
(32)【優先日】2012年5月30日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】398056207
【氏名又は名称】クラリアント・ファイナンス・(ビーブイアイ)・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100139527
【弁理士】
【氏名又は名称】上西 克礼
(74)【代理人】
【識別番号】100164781
【弁理士】
【氏名又は名称】虎山 一郎
(72)【発明者】
【氏名】クルーク・ペーター
(72)【発明者】
【氏名】ミルトナー・カリナ
【審査官】
松元 麻紀子
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−183039(JP,A)
【文献】
特表平11−505839(JP,A)
【文献】
特表2008−537963(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/44
A61K 8/34
A61K 8/42
A61K 8/60
A61Q 1/14
A61Q 5/00
A61Q 5/02
A61Q 19/00
A61Q 19/10
C11D 1/10
C11D 1/12
C11D 1/29
C11D 1/52
C11D 1/68
C11D 1/90
C11D 3/20
C11D 3/37
C11D 3/40
C11D 3/48
C11D 3/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)成分Aとしての少なくとも一種のN−アシル−アミノ酸系界面活性剤5〜15重量%、
(B)成分Bとしての少なくとも一種のベタイン系界面活性剤1〜10重量%、
(C)成分Cとしての少なくとも一種のN−メチル−N−アシルグルカミン1〜10重量%、ここでN−メチル−N−アシルグルカミンは、C16〜C20アシル基を有し、
(D)成分Dとしての少なくとも一種の溶剤10〜93重量%、ここで溶剤は、水であるか、または水とプロピレングリコールとの混合物であり、及び
(E)成分Eとしての一種または二種以上の添加剤0〜10重量%、
を含み、ここで、成分A〜Eの合計は100重量%であり、
但しアルキルスルフェートは含まない、組成物。
【請求項2】
成分Aのアミノ酸基が、タンパク質構成アミノ酸、それのN−アルキル化誘導体及びそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
成分Aが、少なくとも一種のC8〜C22アシル化アミノ酸からなることを特徴とする、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
成分Aが、アシルグリシネート、アシルアスパルテート、アシルグルタメート、アシルサルコシネートまたはこれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項5】
成分Bが、少なくとも一種のアルキルベタイン及び/または少なくとも一種のアルキルアミドベタインを含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項6】
成分Cが、N−メチル−N−アシルグルカミンの混合物からなり、この際、N−メチル−N−アシルグルカミンの少なくとも80重量%は飽和または不飽和C16またはC18アシル基を有することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項7】
アルキルエーテルスルフェートを含まないことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項8】
成分A、B及びCの合計が7〜20重量%であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項9】
添加剤が、防腐剤、フレグランス、着色料、他の界面活性剤、水、油体、カチオン性ポリマー、成膜剤、増粘剤及びゲル化剤、過脂肪剤、抗菌有効物質及び生体有効物質、湿分供与剤、安定剤、酸、アルカリ、活性増強剤、及びこれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項10】
化粧料組成物または医薬組成物であることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項11】
皮膚科学的組成物であることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか一つに記載の組成物の製造方法であって、
a)成分EとDとを混合して溶液とするステップ、
b)a)からの溶液に成分Aを添加するステップ、
c)成分Dを場合により更なる成分Eと混合し、及び次いでステップb)からの溶液に添加するステップ、
d)成分B及びCを、c)からの溶液に添加するステップ、及び
e)組成物を6.8〜7.5のpH値に調節するステップ、
を含む、前記方法。
【請求項13】
シャンプー、洗顔料、リキッドクレンザーまたはシャワーバスとしての、請求項1〜11のいずれか一つに記載の組成物の使用。
【請求項14】
皮膚の処理またはケアのための、請求項1〜11のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項15】
毛髪の処理またはケアのための、請求項1〜10のいずれか一つに記載の組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、N−アシル−アミノ酸系界面活性剤、ベタイン系界面活性剤、N−メチル−N−アシルグルカミン、溶剤、場合により及び一種または二種以上の添加剤を少なくとも含む組成物、並びに該組成物の製造方法に関する。本発明は、更に、皮膚または毛髪の処理またはケアのためのあるいはシャンプー、洗顔料、リキッドクレンザーまたはシャワージェルとしての、該組成物の使用にも関する。
【0002】
化粧料及び洗剤の部門での液状製品の製造は増し続けている。特にボディー用洗浄剤の分野では、近年益々重要性を得ているのは液状ヘアシャンプー、フォームバス及びシャワージェルである。液状食器洗い洗剤及び液状軽質洗剤も同様に、市場で確たる地位を獲得している。この際、増粘剤の添加によって達成される然るべき粘度を調節することが様々な用途にとって重要である。増粘剤を少量しか必要としないか、または増粘剤を必要としないことが理想的である。
【0003】
EP0285786(特許文献1)は、液状水性界面活性剤系のための増粘剤としての、N−ポリヒドロキシアルキル脂肪酸アミドの使用を開示している。この課題は、一般式IのN−ポリヒドロキシアルキル脂肪酸アミドの、液状水性界面活性剤系のための増粘剤としての使用によって解消された。
【0004】
【化1】
式中、R
1は、炭素原子数1〜17、好ましくは7〜17の、場合によっては分枝状のアルキル基であり、
R
2は、水素、または炭素原子数1〜18、好ましくは1〜6の、場合により分枝状で、場合により不飽和のアルキル基、または次式の基であり、
【0005】
【化2】
nは0または1〜5であり、R
3は水素または−CH
3であることができ、そしてXは、炭素原子数4〜7のポリヒドロキシアルキル基を表し、これは、場合により、モノ−、ジ−もしくはオリゴサッカライド基とグリコシド結合している。しかし、この特許文献は、アミノ酸系界面活性剤の増粘は記載しておらず、ココナツオイルのアルキル鎖分布を有し、それ故、比較的長鎖のC
16−C
20グルカミドの割合が少ないN−アシル−N−メチルグルカミン系界面活性剤を増粘剤として使用している。
【0006】
WO98/56496(特許文献2)は、向上した泡安定性を有する界面活性剤組成物に関する。この界面活性剤組成物は、(a)約1〜約40重量%の糖界面活性剤;(b)約1〜約40重量%のアニオン性界面活性剤;(c)約0.11〜約10重量%のアンフォアセテート;及び(d)残部の水を含み、ここで重量の記載は、組成物の重量を基準とする。
【0007】
良好な界面活性剤処方の前提条件は、良好な貯蔵安定性である。組成物は、温度変動の際に、濁っても沈降物を形成してもならず、そして各々の用途に適合できる粘度を有するべきである。それ故、粘度は品質基準の一つである。粘度の程度は、界面活性剤系及び電解質の添加に依存する。この際、従来技術から既知の増粘剤は、パラフィンスルホネートの存在下では十分な粘度の上昇を示さないことが知られている(Fette-Seifen-Anstrichmittel 78,200,(1976)(非特許文献1)参照)。これに対し、アシルグリシネート、アシルアスパルテートまたはアシルグルタメートなどのアミノ酸系界面活性剤は、それらの良好な皮膚適合性にもかかわらず、多くの場合に十分に増粘可能ではなく、これまではその高さの故に主界面活性剤としては経済的でなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】EP0285786
【特許文献2】WO98/56496
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Fette−Seifen−Anstrichmittel 78,200,(1976)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
驚くべきことに、比較的短鎖ではなく比較的長鎖のN−アシル−N−メチルグルカミン類が、アミノ酸系界面活性剤を含む組成物に対し高い増粘能力を持った優れた共界面活性剤として適していることが見出された。
【0011】
よって、本発明の課題は、特に向上した粘度調節に関連して、向上された組成物を提供することにある。
【0012】
それ故、
(A)成分Aとしての少なくとも一種のN−アシル−アミノ酸系界面活性剤、
(B)成分Bとしての少なくとも一種のベタイン系界面活性剤、
(C)成分Cとしての少なくとも一種のN−メチル−N−アシルグルカミン、ここでN−メチル−N−アシルグルカミンは、C
16〜C
20アシル基を有し、
(D)成分Dとしての少なくとも一種の溶剤、及び
(E)場合により、成分Eとしての一種または二種以上の添加剤、
を含む組成物が提供される。
【0013】
本発明の組成物は、有利に、高められた粘度を有する。
【0014】
N−メチル−N−アシルグルカミンの他の用語は、N−メチル−N−1−デソキシソルビトール−脂肪酸アミド、N−アシル−N−メチル−グルカミン、グルカミドまたはN−メチル−N−アルキルグルカミドである。この際、N−メチル−N−アシルグルカミンは、Rが有機基である次式(X)に相当する。
【0015】
【化3】
【0016】
N−アシル−アミノ酸系界面活性剤とは、例えばアシル化アミノ酸と理解される。
【0017】
一つの好ましい実施形態の枠内において、組成物は、
(A)5〜15重量%の成分A、
(B)1〜10重量%の成分B、
(C)1〜10重量%の成分C、
(D)10〜93重量%の、成分Dとしてのプロトン性溶剤、及び
(E)0〜10重量%の成分E、
を含み、ここで、成分A〜Eの合計は100重量%である。
【0018】
好ましくは、組成物は、
(A)5〜15重量%の成分A、
(B)1〜10重量%の成分B、
(C)1〜10重量%の成分C、
(D)10〜93重量%の、成分Dとしてのプロトン性溶剤、及び
(E)0〜10重量%の成分E、
からなり、ここで、成分A〜Eの合計は100重量%である。
【0019】
一つの好ましい実施形態の枠内において、成分Aのアミノ酸残基は、タンパク
質構成アミノ酸、それのN−アルキル化誘導体またはそれらの混合物からなる群から選択される。
【0020】
成分Aとして好ましいものは、アシルグリシネート、アシルアラニネート、アシルアスパルテート、アシルグルタメート及びアシルサルコシネートであり、具体的にはココイルグリシンナトリウム、ココイルグリシンカリウム、ラウロイルグリシンナトリウム、ラウロイルグリシンカリウム、ココイルグルタミン酸ナトリウム、ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、ココイルアスパラギン酸ナトリウム、ラウロイルアスパラギン酸ナトリウム及びラウロイルサルコシン酸ナトリウムである。
【0021】
一つの好ましい態様の一つでは、成分Aは、少なくとも一種のC
8〜C
22アシル化アミノ酸、特にそのN−アルキル化誘導体からなる。好ましくは、アミノ酸の対応するラウロイルまたはココイル誘導体である。
【0022】
一つの好ましい実施形態の枠内において、成分Aは、アシルグリシネート、アシルアスパルテート、アシルグルタメート、アシルサルコシネートまたはこれらの混合物からなる群から選択される。
【0023】
一つの好ましい実施形態の枠内において、成分Bは、少なくとも一種のアルキルベタイン及び/または少なくとも一種のアルキルアミドベタインを含む。
【0024】
適当なアルキルベタインの例は、次式(III)の第二、特に第三アミンのカルボキシアルキル化生成物である。
【0025】
【化4】
式中、R
2は、炭素原子数6〜22のアルキル−及び/またはアルケニル基を表し、R
3は、水素または炭素原子数1〜4のアルキル基を表し、R
4は、水素または炭素原子数1〜4のアルキル基を表し、nは1〜6の数を表し、そしてZは、アルカリ金属及び/またはアルカリ土類金属、またはアンモニウムを表す。典型的な例は、ヘキシルメチルアミン、ヘキシルジメチルアミン、オクチルジメチルアミン、デシルジメチルアミン、ドデシルメチルアミン、ドデシルジメチルアミン、ドデシルメチル−メチルアミン、C12/C14ココスアルキルジメチルアミン、ミリスチルジメチルアミン、セチルジメチルアミン、ステアリルジメチルアミン、ステアリルエチルメチルアミン、オレイルジメチルアミン、C16/C18タローアルキルジメチルアミン、並びにこれらの工業的混合物のカルボキシ−メチル化生成物である。
【0026】
適当なアルキルアミドベタインの例は、アミドアミンのカルボキシアルキル化生成物である。特に適したものは、次式(IV)のアミノプロピルベタインである。
【0027】
【化5】
式中、R
5は、線状もしくは分枝状の飽和C
7〜C
21アルキル基、または線状もしくは分枝のモノ不飽和もしくはポリ不飽和のC
7〜C
21アルケニル基である。
【0028】
好ましいベタイン系界面活性剤は、アミドプロピルベタイン類、例えばココアミドプロピルベタイン(R
5COがココナツ油の脂肪酸残基であり、鎖長はC
8〜C
18)、及びアルキルベタイン類、例えばココベタイン(R
2がココナツ油のアルキル残基、鎖長はC
8〜C
18)、またはラウリルベタイン(R
2が、鎖長C
12及びC
14のアルキル残基である)である。
【0029】
一つの好ましい実施形態の枠内では、成分Cは、N−メチル−N−アシルグルカミンの混合物からなり、この際、N−メチル−N−アシルグルカミンの少なくとも80重量%は、飽和または不飽和C
16またはC
18アシル基を有する。例えば、該混合物中にはC
14アシル基を有するN−メチル−N−アシルグルカミンも存在することができ、この際、しかし、N−メチル−N−アシルグルカミンの少なくとも80重量%は、飽和もしくは不飽和のC
16またはC
18アシル基を有する。好ましくは、成分Cは、N−メチル−N−アシルグルカミンの混合物からなり、この際、N−メチル−N−アシルグルカミンの少なくとも90重量%は、飽和または不飽和C
16またはC
18アシル基を有する。
【0030】
本発明の枠内において、溶剤とは、好ましくは極性溶剤、例えば水、C
1〜C
8アルコール、特にC
1〜C
6アルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールまたはこれらの混合物と解され、この際、特に、水及び/またはエタノール、または水及び/またはメタノールが好ましい。C
1〜C
6アルコールのうち、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノールまたはsec−ブタノールが好ましい。
【0031】
一つの好ましい実施形態の枠内では、成分Dの溶剤は、水であるか、または水とプロピレングリコールとの混合物である。
【0032】
一つの好ましい実施形態の枠内では、組成物は、アルキルスルフェート及び/またはアルキルエーテルスルフェートを含まない。この際、「含まない」とは、組成物が、その総重量を基準として、アルキルスルフェート及び/またはアルキルエーテルスルフェートを3重量%未満、好ましくは0.5重量%未満でしか含まないか、特にアルキルスルフェート及び/またはアルキルエーテルスルフェートを含まないことを意味する。
【0033】
一つの好ましい実施形態の枠内では、成分A、B及びCの合計は、7〜20重量%、好ましくは8〜18重量%、特に10〜15重量%である。
【0034】
一つの好ましい実施形態の枠内では、添加剤は、防腐剤、フレグランス、着色料、他の界面活性剤、水、油体、カチオン性ポリマー、成膜剤、増粘剤及びゲル化剤、過脂肪剤、抗菌有効物質及び生体有効物質、湿分供与剤、安定剤、酸、アルカリ、活性増強剤及びこれらの混合物からなる群から選択され、その量は、好ましくは0.1〜10.0重量%、特に好ましくは0.5〜8.0重量%、特に1.0〜5.0重量%である。
【0035】
防腐剤としては、欧州化粧品法の関連する付属文書にリストされる防腐剤、例えばフェノキシエタノール、ベンジルアルコール、パラベン類、安息香酸及びソルビン酸が適しており、特に好適なものは、例えば1,3−ビス(ヒドロキシメチル)−5,5−ジメチルイミダゾリジン−2,4−ジオン(Nipaguard(登録商標)DMDMH)、ピロクトンオラミン、メチルイソチアゾリノンまたはこれらの混合物、好ましくはピロクトンオラミン及び/またはメチルイソチアゾリノンである。
【0036】
フレグランスまたは香料もしくは油としては、個々の匂い化合物、例えばエステル、エーテル、アルデヒド、ケトン、アルコール及び炭化水素のタイプの合成生成物を使用できる。エステルのタイプの匂い化合物は、例えばベンジルアセテート、フェノキシエチルイソブチレート、p−tert.−ブチルシクロヘキシルアセテート、リナリルアセテート、ジメチルベンジルカルビニルアセテート、フェニルエチルアセテート、リナリルベンゾエート、ベンジルホルミエート、エチル−メチルフェニルグリシネート、アリルシクロヘキシルプロピオネート、スチラリルプロピオネート及びベンジルサリチレートである。エーテルには、例えばベンジルエチルエーテルが、アルデヒドには、例えば炭素原子数8〜18の線状アルカナール、シトラール、シトロネラール、シトロネリルオキシアセトアルデヒド、シクラメンアルデヒド、ヒドロキシシトロネラール、リリアール及びブルゲオナールが、ケトンには、例えばアイオノン、アルファ−イソメチルアイオノン及びメチル−セドリルケトンが、アルコールには、アネトール、シトロネロール、オイゲノール、ゲラニオン、リナロール、フェニルエチルアルコール及びテルピネオールが、炭化水素には主にテルペン類及びバルサム類が挙げられる。好ましくは、一緒になって心地良い香気を生む様々な匂い物質の混合物が使用される。
【0037】
香油は、植物性または動物性の源から得ることができるような天然の匂い物質混合物、例えばパイン油、シトラス油、ジャスミン油、ユリ油、バラ油、またはイランイラン油も含むことができる。大概の場合に芳香成分として使用される揮発性が比較的低いエーテル油も香油として適しており、例えばセージ油、カモミール油、チョウジ油、メリッサ油、ハッカ油、シナモンリーフ油、リンデンブロッサム油、ジュニパーベリー油、ベチバー油、オリバナム油、ガルバヌム油、及びラダナム油などがある。
【0038】
組成物の所望の粘度は、増粘剤及びゲル化剤の添加によって調整(増加または減少)することができる。好ましくはセルロースエーテル及び他のセルロース誘導体(例えば、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース)、ゼラチン、デンプン及びデンプン誘導体、アルギン酸ナトリウム、脂肪酸ポリエチレングリコールエステル、寒天、トラガント、またはデキストリン誘導体、特にデキストリンエステルが挙げられる。更に、脂肪酸、特にC原子数12〜22の脂肪酸の金属塩、例えばステアリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、アラキン酸ナトリウム、ベヘン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、パルミチン酸カリウム、ミリスチン酸ナトリウム、モノステアリン酸アルミニウム、ヒドロキシ脂肪酸、例えば12−ヒドロキシステアリン酸、16−ヒドロキシヘキサデカノイル酸;脂肪酸アミド;脂肪酸アルカノールアミド;ジベンザルソルビトール及びアルコール可溶性ポリアミド及びポリアクリルアミドまたはこれらの混合物も適している。更に、架橋または未架橋のポリアクリレート、例えばカルボマー、ポリアクリル酸ナトリウムまたはスルホン酸含有ポリマー、例えばアンモニウムアクリロイルジメチルタウレート/VPコポリマーを使用することができる。
【0039】
抗菌有効物質には、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、セチルピリジニウムクロライド、ベンゼトニウムクロライド、ジイソブチルエトキシエチルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、N−ラウリルサルコシンナトリウム、N−パルメチルサルコシンナトリウム、ラウロイルサルコシン、N−ミリストイルグリシン、N−ラウリルサルコシンカリウム、トリメチルアンモニウムクロライド、ナトリウムアルミニウムクロロヒドロキシラクテート、トリエチルシトレート、トリセチルメチルアンモニウムクロライド、2,4,4’−トリクロロ−2’−ヒドロキシジフェニルエーテル(トリクロサン)、フェノキシエタノール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3,4,4’−トリクロロカルバニリド(トリクロカルバン)、ジアミノアルキルアミド、例えばL−リシンヘキサデシルアミド、シトレート重金属塩、サリチレート、ピロクトース、特に亜鉛塩、ピリチオン類及びそれの重金属塩、特に亜鉛ピリチオン、亜鉛フェノールスルフェート、ファルネソール、ケトコナゾール、オキシコナゾール、ビフォナゾール、ブトコナゾール、クロコナゾール、クロトリマゾール、エコナゾール、エニルコナゾール、フェンチコナゾール、イソコナゾール、ミコナゾール、サルコナゾール、チオコナゾール、フルコナゾール、イトラコナゾール、テルコナゾール、ナフチフィン及びテルビナフィン、セレンジスルフィド及びオクトピロックス、ヨードプロピニルブチルカルバメート、メチルクロロイソチアゾリノン、メチルイソチアゾリノン、メチルジブロモグルタロニトリル、AgCl、クロロキシレノール、ジエチルヘキシルスルホスクシネートのNa塩、安息香酸ナトリウム、並びにフェノキシエタノール、ベンジルアルコール、フェノキシイソプロパノール、パラベン類、好ましくはブチル−、エチル−、メチル−及びプロピルパラベン、並びにこれらのNa塩、ペンタンジオール、1,2−オクタンジオール、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール、エチルヘキシルグリセリン、ベンジルアルコール、ソルビン酸、安息香酸、乳酸、イミダゾリジニル尿素、ジアゾリジニル尿素、ジメチロールジメチルヒダントイン(DMDMH)、ヒドロキシメチルグリシネートのNa塩、ソルビン酸のヒドロキシエチルグリシン、及びこれらの有効物質の組み合わせが使用される。
【0040】
本発明の組成物は、更に、植物エキス、例えばアロエベラ、並びに局所麻酔薬、抗生物質、抗炎症剤、抗アレルギー剤、コルチコステロイド、皮脂分泌調整剤(Sebostatika)、Bisabolol(登録商標)、Allantoin(登録商標)、Phytantriol(登録商標)、タンパク質;ナイアシン、ビオチン、ビタミンB2、ビタミンB3、ビタミンB6、ビタミンB3誘導体(塩、酸、エステル、アミド、アルコール)、ビタミンC及びビタミンC誘導体(塩、酸、エステル、アミド、アルコール)、好ましくはアスコルビン酸のモノリン酸エステルのナトリウム塩としてまたはアスコルビン酸のリン酸エステルのマグネシウム塩として、トコフェロール及びトコフェロールアセテート、並びにビタミンE及び/またはそれの誘導体から選択されるビタミン、から選択される生体活性物質を含むことができる。
【0041】
安定剤としては、脂肪酸の金属塩、例えばステアリン酸のマグネシウム塩、アルミニウム塩及び/または亜鉛塩を使用できる。
【0042】
湿分供与物質としては、例えばパルミチン酸イソプロピル、グリセリン及び/またはソルビトールが利用される。特に好ましいものはソルビトールである。
【0043】
更に、本発明の組成物は成膜剤を含むことができ、これは、使用目的に応じて、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸の塩、水溶性ポリウレタン、例えばC
10−ポリカルバミルポリグリセリルエステル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンコポリマー、PVP/ヘキサンデセンまたはPVP/エイコセンコポリマー、例えばビニルピロリドン/ビニルアセテートコポリマー、水溶性アクリル酸ポリマー/コポリマーまたはそれらのエステルまたは塩、例えばアクリル/メタクリル酸の部分エステルコポリマー及び脂肪アルコールのポリエチレングリコールエーテル、例えばアクリレート/ステアレス−20−メタクリレートコポリマー、水溶性セルロース、例えばヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、水溶性クオタニウム類(Quaternium)、ポリクオタニウム類、カルボキシビニル−ポリマー、例えばカルボマー及びそれの塩、ポリサッカライド、例えばポリデキストロース及びグルカン、ビニルアセテート/クロトネート、例えばAristoflex(登録商標)A60(Clariant)の商品名で入手可能なもの、並びにポリマー性アミノオキサイド、例えばDiaformer Z−711、712、731、751の商品名で入手可能なものから選択される。
【0044】
過脂肪剤としては、好ましくは、ラノリン及びレシチン、非エトキシル及びポリエトキシル化もしくはアシル化ラノリン−及びレシチン誘導体、ポリオール脂肪酸エステル、モノ−、ジ−もしくはトリグリセリド、及び/または脂肪酸アルカノールアミド(この際、後者の物は同時に泡安定剤としても働く)を使用することができる。
【0045】
pH値を調節するための酸またはアルカリとしては、好ましくは鉱酸、特にHCl、無機塩基、特にNaOHまたはKOH、または有機酸、特に乳酸が使用される。
【0046】
活性増強剤としては、好ましくはソルビタンカプリレートを使用できる。
【0047】
一つの好ましい実施形態の枠内では、組成物は化粧料組成物、皮膚科学的組成物または医薬組成物である。
【0048】
本発明の更なる対象の一つは、
a)成分EとDとを混合して溶液とするステップ、
b)a)からの溶液に成分Aを添加するステップ、
c)成分Dを場合により更なる成分E、好ましくは保湿剤と混合し、及び次いでステップb)からの溶液に添加するステップ、
d)成分B及びCを、特に順番に、c)からの溶液に添加するステップ、及び
e)組成物を6.8〜7.5のpH値に調節するステップ、
を含む、本発明の組成物の製造方法である。
【0049】
他の変法の一つでは、本発明の組成物は、
(A)5〜15重量%の成分A、
(B)1〜10重量%の成分B、
(C)1〜10重量%の成分C、
(D)10〜93重量%の、成分Dとしてのプロトン性溶剤、及び
(E)0〜10重量%の成分E、
(成分A〜Eの合計は100重量%である。)
を使用することによって製造される。
【0050】
本発明の更なる対象の一つは、シャンプー、洗顔料、リキッドクレンザーまたはシャワーバスとしての、本発明の組成物の使用である。
【0051】
本発明の更なる対象の一つは、皮膚の処理またはケアのための、本発明の組成物の使用である。
【0052】
本発明の更なる対象の一つは、毛髪の処理またはケアのための、本発明の組成物の使用である。
【0053】
本発明を以下の例によってより詳しく説明する。
【実施例】
【0054】
製造例H1及びH2、例1及び比較例1及び2
以下に記載のN−アシル−N−メチル−グルカミンは、対応する脂肪酸メチルエステル及びN−メチルグルカミンから、溶剤としての1,2プロピレングリコールの存在下に、EP0550637に従い製造し、そして活性物質及び1,2プロピレングリコールからなる固形物として得られた。
【0055】
【表1】
C12/14とは、メチルエステルが、ラウリン酸メチルエステル(C
12アシル基)とミリスチン酸メチルエステル(C
14アシル基)との混合物(比率75:25)からなることを意味している。C16/18とは、メチルエステルが、パルミチン酸メチルエステル(C
16アシル基)とステアリン酸メチルエステル(C
18アシル基)との混合物(比率30:70)からなることを意味している。C16/18’とは、メチルエステルが、パルミチン酸メチルエステル、ステアリン酸メチルエステル、オレイン酸メチルエステル及びリノール酸メチルエステルの混合物(比率30:10:50:10)からなることを意味している。
【0056】
粘度は、ブルックフィールド粘度計モデルDVII、スピンドルセットRVからのスピンドルを用いて、20回転/分及び20℃で測定する。スピンドルセットRVからのスピンドル1〜7を使用する。これらの測定条件の下に、最大500mPa・sの粘度にはスピンドル1を、最大1000mPa・sの粘度にはスピンドル2を、最大5000mPa・sの粘度にはスピンドル3を、最大10000mPa・sの粘度にはスピンドル4を、最大20000mPa・sの粘度にはスピンドル5を、最大50000mPa・sの粘度にはスピンドル6を、そして最大200000mPa・sの粘度にはスピンドル7を選択する。
【0057】
以下の試験処方においては、製造例H2及びH3によるN−アシル−メチルグルカミンを、製造例H1と及びアルキルポリグルコシドと比較して試験した。
【0058】
【表2】
組成物及び製造を表2に纏めて記す。
【0059】
【表3】
【0060】
【表4】
【0061】
4.8%の糖界面活性剤の使用量は、界面活性剤の活性物質含有量を基準とする、すなわちココグルコシド(Plantacare 818/BASF SE)の使用量は、商業製品として9.23%に相当する。N−アシル−N−メチルグルカミンは、表1からの活性物質含有率に基づいて使用した。
【0062】
例1及び2から明らかな通り、C16/18N−アシル−N−メチルグルカミンは、比較的短鎖のN−アシル−N−メチルグルカミン(比較例1)と比べても、アルキルポリグルコシド(比較例2)と比べても、優れた増粘性能を示す。
【0063】
更に、これらの調合物は、低温下でも粘度が安定している。
本願は特許請求の範囲に記載の発明に係るものであるが、本願の開示は以下も包含する:
1.
(A)成分Aとしての少なくとも一種のN−アシル−アミノ酸系界面活性剤、
(B)成分Bとしての少なくとも一種のベタイン系界面活性剤、
(C)成分Cとしての少なくとも一種のN−メチル−N−アシルグルカミン、ここでN−メチル−N−アシルグルカミンは、C
16〜C
20アシル基を有し、
(D)成分Dとしての少なくとも一種の溶剤、及び
(E)場合により、成分Eとしての一種または二種以上の添加剤、
を含む組成物。
2.
(A)5〜15重量%の成分A、
(B)1〜10重量%の成分B、
(C)1〜10重量%の成分C、
(D)10〜93重量%の、成分Dとしてのプロトン性溶剤、及び
(E)0〜10重量%の成分E、
を含み、ここで、成分A〜Eの合計は100重量%である、
上記1に記載の組成物。
3.
成分Aのアミノ酸基が、タンパク質
構成アミノ酸、それのN−アルキル化誘導体及びそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする、上記1または2に記載の組成物。
4.
成分Aが、少なくとも一種のC
8〜C
22アシル化アミノ酸からなることを特徴とする、上記1〜3のいずれか一つに記載の組成物。
5.
成分Aが、アシルグリシネート、アシルアスパルテート、アシルグルタメート、アシルサルコシネートまたはこれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする、上記1〜4のいずれか一つに記載の組成物。
6.
成分Bが、少なくとも一種のアルキルベタイン及び/または少なくとも一種のアルキルアミドベタインを含むことを特徴とする、上記1〜5のいずれか一つに記載の組成物。
7.
成分Cが、N−メチル−N−アシルグルカミンの混合物からなり、この際、N−メチル−N−アシルグルカミンの少なくとも80重量%は飽和または不飽和C
16またはC
18アシル基を有することを特徴とする、上記1〜6のいずれか一つに記載の組成物。
8.
成分Dの溶剤が、水であるか、または水とプロピレングリコールとの混合物であることを特徴とする、上記1または7に記載の組成物。
9.
アルキルスルフェート及び/またはアルキルエーテルスルフェートを含まないことを特徴とする、上記1〜8のいずれか一つに記載の組成物。
10.
成分A、B及びCの合計が7〜20重量%であることを特徴とする、上記1〜9のいずれか一つに記載の組成物。
11.
添加剤が、防腐剤、フレグランス、着色料、他の界面活性剤、水、油体、カチオン性ポリマー、成膜剤、増粘剤及びゲル化剤、過脂肪剤、抗菌有効物質及び生体有効物質、湿分供与剤、安定剤、酸、アルカリ、活性増強剤、及びこれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする、上記1〜10のいずれか一つに記載の組成物。
12.
化粧料組成物、皮膚科学的組成物または医薬組成物であることを特徴とする、上記1〜11のいずれか一つに記載の組成物。
13.
上記1〜12のいずれか一つに記載の組成物の製造方法であって、
a)成分EとDとを混合して溶液とするステップ、
b)a)からの溶液に成分Aを添加するステップ、
c)成分Dを場合により更なる成分Eと混合し、及び次いでステップb)からの溶液に添加するステップ、
d)成分B及びCを、c)からの溶液に添加するステップ、及び
e)組成物を6.8〜7.5のpH値に調節するステップ、
を含む、前記方法。
14.
シャンプー、洗顔料、リキッドクレンザーまたはシャワーバスとしての、上記1〜12のいずれか一つに記載の組成物の使用。
15.
皮膚の処理またはケアのための、上記1〜12のいずれか一つに記載の組成物の使用。
16.
毛髪の処理またはケアのための、上記1〜12のいずれか一つに記載の組成物の使用。