(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記補正値取得モードへの切替えがラインごとに切替可能となっており、前記補正値取得部は、記憶していた補正値と新たに算出した系統的誤差との差が所定の許容値を超える場合にエラー報知を行うことを特徴とする請求項2に記載の重量測定装置。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係るカプセル重量選別装置の実施形態について図面を参照して説明する。
図1〜
図5は、本発明に係るカプセル重量選別装置の一実施形態を示している。
【0021】
図1、
図2において、重量測定装置としてのカプセル重量選別装置1は、カプセル型錠剤の生産ラインの下流側に設置されており、カプセル型錠剤を被計量物Wとしてこの被計量物Wの重量を測定するようになっている。カプセル型錠剤とは、薬剤が内部に封入され、両端が半球状に形成された円柱状のカプセル錠である。被計量物Wの原料としては、ゼラチンやヒドロキシプロピルメチルセルロース等を用いることができる。なお、被計量物Wは、カプセル型でない錠剤や、菓子等の食品であってもよい。
【0022】
また、カプセル重量選別装置1は、測定により得られた測定値(以下、計量データという)に応じ、計量データが基準範囲内の被計量物Wを後段に搬出し、計量データが基準範囲外の被計量物を生産ラインから排除するようになっている。
【0023】
カプセル重量選別装置1は、装置本体部2と、この装置本体部2に対して開閉自在に設けられた保護扉3、4、5とを備えている。保護扉3は装置本体部2の正面上部に設けられ、保護扉4は装置本体部2の正面下部に儲けられ、保護扉5は装置本体部2の側面に設けられている。
【0024】
保護扉3、4、5は、装置本体部2の内部に設けられた後述する検査ライン8を覆っている。保護扉3、4、5は、透明な樹脂板等から構成されており、これにより、保護扉3、4、5を通して検査ライン8の作動状態を外部から確認できるようになっている。装置本体部2には、保護扉3、4、5の開扉状態を検知する開扉センサ3A、4A、5Aがそれぞれ設けられている。
【0025】
装置本体部2の上部には、上段の生産ラインから供給された長尺状のカプセル型錠剤等を被計量物Wとして一時的に貯留する3つのホッパ6が設けられている。装置本体部2の正面には3つの傾斜板7が設けられている。
【0026】
傾斜板7の上面はOK品搬送路31を構成しており、このOK品搬送路31は、ホッパ6に貯留された被計量物Wのうち、カプセル重量選別装置1において良品と判定されたものを、保護扉4に形成された開口部4Bを通して図示しない下段の生産ライン(梱包工程等)に搬出する。
【0027】
図3において、装置本体部2には、搬送部10と計量部20とをそれぞれ有する検査ライン8が複数設けられている。本実施形態において、装置本体部2は、30個の検査ライン8を備えている。検査ライン8は、被計量物Wの搬送方向に並行になるように区切られており、この検査ライン8を搬送路として被計量物Wが搬送される。
【0028】
搬送部10は、マガジン9、供給部62、バッファ部64、搬送部材80、駆動機構部61を備えている。マガジン9は、ホッパ6の底部から自重により供給された被計量物Wを、その長辺方向が上下方向になる姿勢で整列させて収納する。そして、マガジン9は、周期的な上下移動に合わせて下端部にあるストッパー(図示略)で下端部を開閉させることにより、その下端部から1つの被計量物Wを間欠的に供給部62に搬送する。なお、本実施形態では、バッファ部64の搬送方向下流側に、選別部30が設けられている。
【0029】
供給部62は、マガジン9から供給された被計量物Wを計量部20に搬送する。計量部20は、秤量台21を備えており、搬送部10から秤量台21上に搬送された被計量物Wを計量し、被計量物Wの荷重に応じた計量データを出力する。
【0030】
供給部62には、マガジン9の直下に湾曲凹部68が設けられており、マガジン9から落下した被計量物Wは、湾曲凹部68に着地することで、その軸線を搬送方向斜め上に向けた傾斜姿勢で保持される。
また、湾曲凹部68の搬送方向上流側(図中右側)に、搬送方向に進出されるプッシャ69が設けられており、プッシャ69は、湾曲凹部68の後方(図中右側)から水平にスライドして、湾曲凹部68に位置する被計量物Wを搬送方向下流側となる計量部20へ送る。
【0031】
計量部20は、供給部62の次工程に設けられ、供給部62から送り出された被計量物Wが1個ずつ載せられて被計量物Wの1個の重量を計測する。計量部20は、秤量台21を有する計測装置からなる。
【0032】
秤量台21の載置面21Aは、搬送方向に直交する断面形状がV溝状に形成される。秤量台21は、ロバーバル機構によって計測装置に支持される。ロバーバル機構は、それぞれの辺が自由に動ける平行四辺形の枠組みを有する。
【0033】
この枠組みの一方の柱に秤量台21を取り付け、他方の柱を固定端とした計量センサとされる。これにより、秤量台21のどの位置に被計量物Wが載せられても正確な重量が計測される。
【0034】
計測装置は、計量センサとして、例えばロードセル(図示略)を有する。秤量台21に被計量物Wが載置されることで、荷重が加わるロードセルの電気信号によって被計量物Wの重量を計量する。なお、計量センサは、ロードセルに限定されず、他の種々の計量センサを用いることが可能である。
【0035】
バッファ部64は、計量部20の次工程に設けられ、計測の終了した少なくとも1個の被計量物Wを区切って保持する。このバッファ部64には、計量部20の計測タイミングと略一致で、被計量物Wが静止状態で載置される。
【0036】
バッファ部64は、載置により被計量物Wを保持する載置台65を有する。本実施形態では、複数の載置台65が階段状に形成され、各載置台65によって被計量物Wが区切られ、間欠的に搬送が行われるようになっている。
【0037】
選別部30は、バッファ部64の次工程に設けられる。選別部30は、バッファ部64から被計量物Wが搬送されるときに、計量部20からの計測の結果に基づき被計量物Wの搬送先を切り替える。
【0038】
このように、カプセル重量選別装置1では、搬送方向上流側から搬送方向下流側に向かって、供給部62、計量部20、及びバッファ部64が隣接して配設されている。本実施形態では、供給部62、計量部20、及びバッファ部64は、それぞれが水平方向に平坦となって並び、複数の被計量物Wが1つずつ間欠的に連続して搬送される。
【0039】
搬送部材80は、例えばE字状等、下向きの空間を備えた構造で形成される。本構成例では、下向きに突出する複数の爪部を有し、搬送方向上流側から後爪部81、中爪部82、前爪部83が下側に垂下して、例えば金属板の折曲加工等で一体構造で製作される。
【0040】
中爪部82と前爪部83との間には、被計量物Wがその軸線方向で収容可能となる空間となる。より具体的には、この空間は、被計量物Wがその軸線方向で十分に余裕を持って収容可能に中爪部82と前爪部83が離間し、またこの離間距離は、秤量台21の搬送方向の長さと同等またはやや長く設定される。
【0041】
搬送部材80は、これら後爪部81、中爪部82、前爪部83、及び上壁部84によって被計量物Wの逃げ、飛び出しを防止することができる。また、中爪部82と後爪部81との間は、間隙部85を有する。
【0042】
この間隙部85は、被計量物Wの搬送を1つずつに区切るための空間であり、搬送される複数の被計量物W同士が接触せず間欠的に搬送され、各工程である供給部62、計量部20、バッファ部64に確実に被計量物Wを載置し、且つこれら載置状態の被計量物Wの搬送開始の際に、各被計量物W間に各爪部81、82、83を進入可能とする空間を形成する。
【0043】
中爪部82の前面は、計量部20の被計量物Wの搬送方向後面を押圧して計量部20に載置状態の被計量物Wを計量部20から搬出する。
【0044】
前爪部83の前面は、計量部20に隣接するバッファ部64に載置状態の被計量物Wの搬送方向後面を押圧してバッファ部64の被計量物Wをバッファ部64の計量部20に隣接する載置台65から次の載置台65へと搬送する。
【0045】
後爪部81の後面は、中爪部82の前面に対し搬送方向上流側に離間している。後爪部81の後面は、湾曲凹部68に落下されて来る次の被計量物Wの湾曲凹部68から計量部20がある搬送方向側への飛び出しを規制する。
【0046】
また、後爪部81の後面は、中爪部82の前面によって計量部20上の被計量物Wを次の工程部であるバッファ部64へ押し出したときに、湾曲凹部68から来る次の被計量物Wが計量部20に留まるように計量部20から下流側への飛び出しを規制する。
【0047】
前爪部83の後面は、バッファ部64に搬送されて来る次の被計量物Wがバッファ部64の計量部20に隣接する載置台65に留まるように、計量部20に隣接する載置台65から行き過ぎて下流側の載置台65へ飛び出すのを規制する。本実施形態においては、前爪部83の搬送方向下流側が前爪部83の前面となり、前爪部83の搬送方向上流側が前爪部83の後面となっている。
【0048】
搬送部材80は、後述の駆動機構部61によって、略四角形の循環軌道86を移動する。この循環軌道86は、搬送部材80で被計量物Wを搬送させる移動軌道を水平方向とする送り軌道と、この送り軌道から離脱する離脱軌道と、搬送部材80を降下位置へ水平移動させる帰還軌道と、この帰還軌道の終端である降下位置から秤量台21上に搬送部材80を降下して送り軌道の始点に移動させる降下軌道と、からなる。
【0049】
そして、送り軌道が、被計量物Wの直線状の搬送軌道と重なる。これにより、搬送部材80は、搬送軌道上の被計量物Wを、上方から掻き出すようにして、計量部20から切り出し、バッファ部64へと搬送する。従って、搬送軌道の下側からは何ら送り手段を突出させる必要がない。その結果、秤量装置の秤量台機構と干渉が生じない。
【0050】
駆動機構部61は、駆動源であるモータ78と、このモータ78に連動連結されるリンク79で構成される。駆動機構部61は、ホッパ6より受け入れた被計量物Wを供給部62から計量部20へ搬送する。
【0051】
また、駆動機構部61は、計測された被計量物Wをバッファ部64、選別部30へ搬送する。また、選別部30にて、被計量物Wの搬送先を切り替えるように、後述するゲートを駆動する。
【0052】
さらに、駆動機構部61は、搬送部材80を循環軌道86で駆動する。搬送部材80は、駆動機構部61によって駆動されることで、被計量物Wの搬送軌道に循環軌道86の一部を重ねて移動される。
【0053】
駆動機構部61のリンク79は、供給部62のプッシャ69と、バッファ部64の階段状の載置台65とに図示しない機構で連動連結され、また図示しない連接部材等により搬送部材80が連動連結されて、これらが同期して駆動する。
【0054】
上記の構成を有する搬送部10の搬送動作を説明する。本実施形態に係るカプセル重量選別装置1では、まず、計量部20の秤量台21に載置されている被計量物Wの搬出が、搬送部材80の送り軌道によって開始される。
【0055】
同時に、プッシャ69が次の被計量物Wを供給部62から秤量台21へ向けて押し出す。また、このとき、搬送部材80はバッファ部64の被計量物Wの搬出を開始させる。搬送部材80は、秤量台21上の被計量物Wの搬送方向後面を中爪部82の前面で押し、バッファ部64上の被計量物Wの搬送方向後面を前爪部83の前面で押して、それぞれ搬出を行う。
【0056】
その後、搬送部材80によって、秤量台21の被計量物W、載置台65の被計量物Wは搬出途中となる。その後、搬送部材80と、プッシャ69とが搬送方向に移動することで、秤量台21の被計量物Wがバッファ部64に搬送途中となり、供給部62の被計量物Wが秤量台21に搬送途中となる。
【0057】
さらに搬送部材80とプッシャ69が搬送方向に移動すると、秤量台21の被計量物Wがバッファ部64に到達する。また、供給部62の次の被計量物Wが秤量台21に達する。
【0058】
その後、バッファ部64の計量部20に隣接する載置台65の被計量物Wは、次の載置台65へと搬送され、次の被計量物Wがプッシャ69によって秤量台21に載置される。秤量台21に載置されていた被計量物Wは、搬送部材80によってバッファ部64の計量部20に隣接する載置台65に載置される。
【0059】
秤量台21と、バッファ部64の計量部20に隣接する載置台65への被計量物Wの載置が完了すると、秤量台21上の被計量物Wは計測となる。この際、搬送部材80は、循環軌道86の離脱軌道となり上方向に移動され、搬送軌道から退避する。
【0060】
秤量台21での次の被計量物Wの計測中に、さらに搬送方向上流側から次の被計量物Wが供給部62に供給され、搬送部材80は帰還軌道を通り、秤量台21の被計量物Wの上方に到達する。
【0061】
供給部62へ供給された被計量物Wは、プッシャ69によって計量部20へと搬送され、以後、上記同様の動作が繰り返される。
【0062】
従って、供給部62の被計量物Wは計量部20へ向かって搬送されるとともに、計量部20の被計量物Wは搬送部材80の中爪部82の前面によって計量部20から搬出される方向へと搬送される。これらの搬送は、同期して行われる。
【0063】
このカプセル重量選別装置1では、飛び出し防止用のシャッターを設けることなく、確実に計量部20に被計量物Wを留まらせることができ、搬送速度の高速化が可能となり、被計量物Wを秤量台21に正確に停止させて安定的な計量を行うことができ、計量部20から搬出される被計量物Wの搬送方向下流側への飛び出しを規制することができる。
【0064】
図4において、選別部30は、OK品搬送路31、NG品搬送路32、+NG品搬送路33および−NG品搬送路34、OK/NGゲート23、+NG/−NGゲート24を備えている。
【0065】
NG品搬送路32、+NG品搬送路33および−NG品搬送路34は、OK品搬送路31を構成する傾斜板7の内部に形成されている。NG品搬送路32は、傾斜板7の上部の内側にOK品搬送路31と略並行になるように形成されている。
【0066】
NG品搬送路32の下端部には+NG品搬送路33および−NG品搬送路34が並列して形成されている。すなわち、NG品搬送路32は、その下方で+NG品搬送路33と−NG品搬送路34とに分岐している。
【0067】
OK品搬送路31およびNG品搬送路32の上端部の近傍には、OK/NGゲート23が設けられている。OK/NGゲート23の装置内側(
図4の右方向)には、計量部20(
図3参照)が配置されている。
【0068】
OK/NGゲート23は、その上面がOK品搬送路31に連続する姿勢となるOK位置(
図4で実線で示す)とNG品搬送路32に連続する姿勢となるNG位置(
図4で破線で示す)との間で回動するようになっている。OK/NGゲート23は、OK位置のときに被計量物WをOK品搬送路31に案内し、NG位置のときに被計量物WをNG品搬送路32に案内する。
【0069】
NG品搬送路32の下端部には、+NG/−NGゲート24が設けられている。+NG/−NGゲート24は、+NG品搬送路33を閉塞するとともにNG品搬送路32と−NG品搬送路34とを連通させる−NG位置(
図4で実線で示す)と、−NG品搬送路34を閉塞するとともにNG品搬送路32と+NG品搬送路33とを連通させる+NG位置(
図4で破線で示す)との間で回動するようになっている。
【0070】
+NG/−NGゲート24は、+NG位置のときに被計量物WをNG品搬送路32から+NG品搬送路33に案内し、−NG位置のときに被計量物WをNG品搬送路32から−NG品搬送路34に案内するようになっている。
【0071】
これらのOK品搬送路31、NG品搬送路32、+NG品搬送路33、−NG品搬送路34は、選別部30を構成している。なお、被計量物Wは、OK品搬送路31、NG品搬送路32、+NG品搬送路33、−NG品搬送路34を自重により流下することで搬送される。
【0072】
また、装置本体部2は、OK側選別確認センサ31A、+NG側選別確認センサ33A、−NG側選別確認センサ34A、OK/NGゲートセンサ23A、+NG/−NGゲートセンサ24A、制御回路40およびタッチパネル表示器50を備えている。
【0073】
OK側選別確認センサ31Aは、OK品搬送路31の上端部に設けられており、被計量物WがOK品搬送路31を通過したことを検出し、検出信号を制御回路40に出力するようになっている。
【0074】
+NG側選別確認センサ33Aは、+NG品搬送路33に設けられており、被計量物Wが+NG品搬送路33を通過したことを検出し、検出信号を制御回路40に出力するようになっている。
【0075】
−NG側選別確認センサ34Aは、−NG品搬送路34に設けられており、被計量物Wが−NG品搬送路34を通過したことを検出し、検出信号を制御回路40に出力するようになっている。
【0076】
OK/NGゲートセンサ23Aは、OK/NGゲート23の近傍に設けられており、OK/NGゲート23がOK位置とNG位置の何れにあるかを検出し、検出信号を制御回路40に出力するようになっている。
【0077】
+NG/−NGゲートセンサ24Aは、+NG/−NGゲート24の回動支点に設けられており、+NG/−NGゲート24が+NG位置と−NG位置の何れにあるかを検出し、検出信号を制御回路40に出力するようになっている。
【0078】
制御回路40は、カプセル重量選別装置1の装置全体の動作を制御するようになっている。制御回路40は、OK側選別確認センサ31A、+NG側選別確認センサ33A、−NG側選別確認センサ34A、OK/NGゲートセンサ23A、+NG/−NGゲートセンサ24Aおよび開扉センサ3A、4A、5Aと電気的に接続されている。
【0079】
また、制御回路40は、OK/NGゲート23および+NG/−NGゲート24が備える図示しないアクチュエータに電気的に接続されており、OK/NGゲート23および+NG/−NGゲート24の動作を制御するようになっている。
【0080】
図5に示すように、カプセル重量選別装置1は、制御回路40を備えている。制御回路40は判定部43を有し、この判定部43は、各検査ライン8の計量部20の計量データを所定の重量範囲と比較することで、被計量物WをOK品、+NG品、−NG品の何れかに判定を行い、判定結果をタッチパネル表示器50に表示させる。
【0081】
判定部43は、被計量物Wの計量データが所定の良品範囲内のものをOK品として判定する。制御回路40は、OK品の判定に応じてOK/NGゲート23をOK位置に切替える。これにより、計量済みの被計量物Wは、OK品搬送路31を通過する。
【0082】
一方、判定部43は、被計量物Wの計量データが所定の良品範囲の上限を超えるものを+NG品として判定する。制御回路40は、+NG品の判定に応じて、OK/NGゲート23をNG位置に切替えるとともに、+NG/−NGゲート24を+NG位置に切替える。これにより、計量済みの被計量物Wは、NG品搬送路32を経て+NG品搬送路33を通過する。
【0083】
また、判定部43は、被計量物Wの計量データが所定の良品範囲の下限未満のものを−NG品として判定する。制御回路40は、−NG品の判定に応じて、OK/NGゲート23をNG位置に切替えるとともに、+NG/−NGゲート24を−NG位置に切替える。これにより、計量済みの被計量物Wは、NG品搬送路32を経て−NG品搬送路34を通過する。
【0084】
このようなカプセル重量選別装置1においては、被計量物Wを搬送するための駆動源としてモータ78を備えているため、モータ78の駆動時に定常振動が発生する。このため、搬送系統を稼働しているときは、定常振動による定常的な誤差が、系統的誤差として計量データに重畳する。系統的誤差は、モータ78が駆動していないときはゼロであるが、モータ78が駆動しているとき(すなわち運転中)は常に一定の値で計量データに重畳する。系統的誤差の値は、各検査ライン8に固有の誤差であり、検査ライン8ごとに異なる。また、系統的誤差は搬送速度に応じて変化し、搬送速度等の検査条件
(本発明における運転条件に相当する)は検査対象の品種毎に設定される。このため、系統的誤差は、被計量物Wの品種および検査条件に固有の誤差である。
【0085】
カプセル重量選別装置1においては、被計量物Wがカプセル型錠剤等であるため、高精度に計量することが要求される。また、カプセル型錠剤等の被計量物は軽量であるため、僅かな系統的誤差であっても要求を満たせない計量精度の悪化を引き起こす場合がある。このため、食品等の被計量物Wをベルトコンベアで搬送しながら計量するタイプの重量選別装置と比較して、系統的誤差を補正することが一層要求されている。その際、装置を複雑化させたり、系統的誤差の補正の準備(算出)に長時間を要したりしないようにすることが求められる。
【0086】
本実施形態では、カプセル重量選別装置1を補正値取得モードに切替えて系統的誤差を取得し、取得した系統的誤差を用いて運転モードで計量データを補正するようにしている。
【0087】
本実施形態では、カプセル重量選別装置1は、モード切替操作部としてのタッチパネル表示器50を備えており、このタッチパネル表示器50を操作することで、被計量物Wの計量、良否判別、選別を行う通常の運転モードと、運転モードで計量データを補正するための補正値を取得する補正値取得モードとに、動作モードの切替操作を行うようになっている。また、補正値取得モードへの切替は、検査ライン8毎に行えるようになっており、全検査ライン8が運転モードで被計量物Wの計量、良否判別、選別を行っている中で、タッチパネル表示器50を操作することで、指定したラインだけを補正値取得モードへ切替えることができるようになっている。
【0088】
制御回路40はモード切替制御部42を備えており、このモード切替制御部42は、タッチパネル表示器50に対するモード切替操作に応じて、タッチパネル表示器50で選択された動作モードへのモード切替えを行う。なお、本実施形態では、タッチパネル表示器50は、エラー報知を行う報知部としても機能する。
【0089】
制御回路40は、補正値取得モードにおいて補正値を取得する補正値取得部41を備えている。補正値取得部41は、系統的誤差を算出する算出部41Aと、算出された系統的誤差を補正値として記憶する記憶部41Bと、この系統的誤差を補正値として計量データを補正する補正部41Cと、を備えている。
【0090】
算出部41Aは、運転モードでの検査条件、かつ、その検査条件に基づく搬送部10の動作で被計量物Wが計量部20に搬送されない状態で、計量部から取得した複数回分の計量データの平均値を系統的誤差として算出するようになっている。
【0091】
本実施形態では、算出部41Aは、計量部のゼロセットを実施した後に、被計量物Wが計量部20に搬送されない状態で、60回分の搬送動作と計量動作を実施させる。そして、算出部41Aは、計量動作により取得された60個の計量データの平均値を系統的誤差として算出する。
【0092】
記憶部41Bは、算出部41Aに算出された系統的誤差を、運転モードにおける計量データへの補正値として記憶するようになっている。この補正値としての系統的誤差は、算出部41Aで算出されたときの検査条件に紐付けられて記憶される。検査条件
(本発明における運転条件に相当する)には搬送速度、計量タイミング等が含まれている。
【0093】
補正部41Cは、運転モードにおいて、検査条件に対応する系統的誤差を記憶部41Bから読み出し、読み出した系統的誤差を補正値として計量データを補正するようになっている。
【0094】
また、補正値取得部41は診断部41Dを備えており、この診断部41Dは、算出部41Aが算出した系統的誤差が所定の許容値を超える場合にエラー報知を行うようになっている。診断部41Dは、タッチパネル表示器50において表示によりエラー報知を行う。なお、診断部41Dは、図示しないスピーカー等から音声によりエラー報知を行ってもよい。
【0095】
また、全検査ライン8が運転モードである状態から、指定したラインだけが補正値取得モードへ切替えられた場合には、駆動機構部61はそのまま運転モードで作動するので、補正値取得部41は、その指定されたラインに対し、マガジン9から供給部62を介して計量部20に被計量物Wが搬送されないように、マガジン9の下端部を閉じるようにストッパーを制御する。その後、その指定されたラインに対し、算出部41Aは、計量部20から取得した複数回分の計量データの平均値を系統的誤差として算出し、診断部41Dは、算出部41Aが算出した系統的誤差と記憶部41Bに記憶されている補正値との差分を取り、その差分の大きさが所定の許容値を超える場合にエラー報知を行うようになっている。
【0096】
なお、本実施形態では、重量測定装置としてのカプセル重量選別装置1に本発明を適用した場合について説明したが、本発明は、食品等の比較的質量が重いものを被計量物として搬送よび計量する重量測定装置にも適用することができる。
【0097】
すなわち、被計量物を搬送しながら計量する重量測定装置では、装置の運転中に搬送機構等から定常振動が発生し、この定常振動が系統的誤差を引き起こす可能性がある。このため、要求される検査精度等に関わらず、系統的誤差を補正することが望ましい。
【0098】
以上説明したように、本実施形態に係るカプセル重量選別装置1は、通常の運転モード、または計量データを補正するための補正値を取得する補正値取得モードへの動作モードの切替操作を行うタッチパネル表示器50と、補正値取得モードにおいて補正値を取得する補正値取得部41と、を備えている。
【0099】
そして、補正値取得部41は、運転モードでの検査条件、かつ、搬送部10の動作で被計量物Wが搬送されない状態で、計量部20から取得した複数回分の計量データの平均値を系統的誤差として算出し、この算出された系統的誤差を、運転モードにおける計量データへの補正値として記憶するようになっている。
【0100】
この構成により、オペレータが手作業で系統的誤差を算出したり装置に入力したりする必要がないため、系統的誤差を短時間で算出できる。また、振動センサ等を追加することなく系統的誤差を算出できるため、装置を複雑化させることがない。この結果、装置を複雑化させることなく、系統的誤差を短時間で算出できる。
【0101】
また、本実施形態に係るカプセル重量選別装置1は、計量部20と搬送部10を複数ライン分備えている。
【0102】
この構成により、オペレータが手作業で系統的誤差を算出したり装置に入力したりする場合は、検査ライン8の数だけ作業時間がかかってしまうが、本実施形態では、計量部20と搬送部10を複数ライン分備えている場合であっても、装置を複雑化させることなく、系統的誤差を短時間で算出できる。
【0103】
また、本実施形態に係るカプセル重量選別装置1において、補正値取得部41の診断部41Dは、系統的誤差が所定の許容値を超える場合にエラー報知を行うようになっている。
【0104】
この構成により、系統的誤差が所定の許容値を超える場合、モータ78が摩耗していたり搬送系統の異常の疑いがあり、正常に計量できないおそれがあるため、このような場合にエラー報知が行われることで、オペレータが装置の状態を判断することができる。
【0105】
また、本実施形態に係るカプセル重量選別装置1は、補正値取得モードへの切替えがラインごとに切替可能となっており、補正値取得部41は、記憶していた補正値と新たに算出した系統的誤差との差が所定の許容値を超える場合にエラー報知を行う。
【0106】
この構成により、生産中に起こる装置内外の異常に起因する系統的誤差の変動について、複数ライン全体の生産を止めずに指定したラインについて診断することができる。