(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は、以下に示す実施形態に限定されるものではない。これらの実施の例は例示に過ぎず、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した形態で実施することができる。なお、本明細書及び図面において符号が同じ構成要素は、相互に同一のものを示すものとする。
【0011】
(実施形態1)
図1に、本実施形態に係るシステム構成の一例を示す。実施形態に係る通信システムは、信号送信装置(SG)81及び信号受信装置(SA)82を備える。信号送信装置81は、ベースバンド信号を所望のキャリア周波数で変調したフィルタードマルチキャリア信号(OFDM信号も含む)を送信する。被試験媒体(EUT)83は、フィルタードマルチキャリア信号(OFDM信号も含む)を伝搬する。信号受信装置82は、フィルタードマルチキャリア信号を受信し、ベースバンド信号に復調し、ベースバンド信号のデータキャプチャーを行う。信号受信装置82は、データキャプチャーの際に、デジタル信号として取り込む。
【0012】
本実施形態において、フィルタードマルチキャリア信号を構成する任意の方式を用いることができる。そのような方式としては、例えば、FBMC(例えば非特許文献2参照。)、UF−OFDM(例えば非特許文献3参照。)、GFDM(例えば非特許文献4参照。)が例示できる。本実施形態では、一例として、UF−OFDMを用いて説明する。
【0013】
信号送信装置81は、マッピング部11、フレームフォーマット生成部12、iFFT部13、フィルタ部14及び歪補正部15を備える。マッピング部11及びフレームフォーマット生成部12は、チャネルごとに備わる。
【0014】
マッピング部11は、変調情報に従ってビット列をマッピングする。マッピング部11は、例えば、ビット列を、QPSK又は16QAMに従ってマッピングする。フレームフォーマット生成部12は、プリアンブル情報に従ってプリアンブルを付加する。iFFT部13は、各チャネルのデータをフーリエ逆変換する。フィルタ部14は、フーリエ逆変換後のデータをフィルタードマルチキャリアの方式に応じてフィルタリングする。これにより、フィルタードマルチキャリア信号が、信号送信装置81から送信される。
【0015】
なお、歪補正部15を設けて、フィルタ部14で生じる歪特性を予め記憶させておきiFFT部13の前で、フィルタ部14で生じる歪特性をデジタル的に補正してもよい。また、フィルタ部14と歪補正部15を双方同時に備えた構成でもよい。この場合はフィルタ部14での歪特性を常時フィードバックできる構成となる。
【0016】
信号受信装置82は、受信部21、相関演算部22、STO調整部23、基準信号格納部24、フィルタ部25、FFT部26、マッピング部27、周波数位相特性演算部28、リサンプル部29を備える。
【0017】
実施形態に係る通信システムは、フィルタードマルチキャリア通信方式を用いる。信号送信装置81は、1ch以上のサブキャリアを含むサブバンドごとにフィルタリングを行うため、本実施形態に係る通信システムは、チャネルを有効利用し、主に、ISI(intersymbol interference)及びICI(intercarrier interference)の特性などを改善する通信方式の試験が実施できる。
【0018】
信号受信装置82がフィルタードマルチキャリア信号を受信する際、信号送信装置81との間の周波数の違いや、データキャプチャーに用いるハードウェア間の不確定性に起因するデータ取り込みタイミングのずれが生じる。本実施形態に係るフィルタードマルチキャリア信号は、CPが含まれていない信号である。そこで、実施形態に係る信号受信装置82は、フィルタードマルチキャリア信号に含まれる信号を送受信間に共通の基準信号として用いて、同期を行う同期回路を備える。
【0019】
同期回路は、受信信号検出機能と、タイミング同期調整機能と、位相同期調整機能と、を備える。相関演算部22、STO調整部23、基準信号格納部24及びフィルタ部25は、受信信号検出機能及びタイミング同期調整機能を実現する。FFT部26、マッピング部27、周波数位相特性演算部28及びリサンプル部29は、位相同期調整機能を実現する。
【0020】
受信信号検出機能は、フィルタードマルチキャリア信号に含まれる基準信号を検出する。基準信号は、予め設定された第1の基準信号および第2の基準信号を含む。タイミング同期調整機能は、第1の基準信号に含まれるシンボルの時間系列情報を用いてシンボル同期を行い、時系列の疎調整を行う。タイミング同期調整機能は、さらに時系列の微調整を行ってもよい。位相同期調整機能は、第2の基準信号のサブキャリア周波数の位相に依存して変化する成分を調整することでサブキャリアの位相同期を行う。
【0021】
フィルタードマルチキャリア信号は、サブキャリア毎に関連した正弦波の集合である。各正弦波は信号を形成する無限次元信号空間における固有値情報とも解釈できるため、簡便なユニーク信号である。実施形態では、設定されたチャネルの正弦波の固有値情報を基準信号に用いる。
【0022】
正弦波の固有値情報は、収容するサブキャリア数の範囲で、さらに、単数から複数の範囲まで基準信号として使用できる。実施形態では、正弦波の固有値情報から得られる少なくとも1シンボルを基準信号に用いる。基準信号は、サブキャリア1chから複数チャネルのサブキャリアにまで用いることができる。
【0023】
本実施形態に係る同期回路は、基準信号に含まれる第1の基準信号であるプリアンブルパターン及び第2の基準信号である位相変調信号を使用して、CPのないフィルタードマルチキャリア方式においてSTO(Symbol Timing Offset)及びCFO(Carrier Frequency Offset)の補正を行う。
【0024】
本実施形態に係る同期回路は、以下のステップを実行する。以下のプリアンブルパターンの情報は、信号送信装置(以下、Tx)81と信号受信装置(以下、Rx)82に共通情報として共有されている。
ステップS101:Rx82で、第1の基準信号のプリアンブルパターンを検出する。これにより、第1の基準信号検出手順を実行する。
ステップS102:Rx82で、第1の基準信号のプリアンブルパターンに含まれる特定チャネルのシンボルを抽出し、抽出したシンボルを用いてSTOを調整する。これにより、タイミング同期調整手順を実行する。
ステップS103:Rx82で、第2の基準信号に含まれる位相変調信号を用いてCFOを調整する。これにより、位相同期調整手順を実行する。
【0025】
Tx81は、本実施形態に係る基準信号を含むフィルタードマルチキャリア信号を送信する。本実施形態の基準信号は、第1の基準信号である予め設定された特定の1以上のチャネルに配置されたプリアンブルパターンと第2の基準信号である位相変調信号を含む。
【0026】
図2に、本実施形態に係る基準信号の配置例を示す。本実施形態のプリアンブルパターン(第1の基準信号)は、例えば、チャネルCHS1に配置された第1のシンボルSY1である。プリアンブルパターンは、チャネルCHS1以外のチャネルCHS2に配置された第2のシンボルSY2をさらに含んでもいてもよく、またこのチャネルをサブキャリア方向に3,4、・・・と増加してもよい。ここでは、チャネルCHS1及びCHS2の場合を示すが、フレームにおけるペイロードの前のタイムスロットに配置され、共通のタイムスロットであってもよいし、異なるタイムスロットであってもよい。チャネルCHS1とその他のチャネルは、隣接していてもよいし、離れていてもよい。例えば、第1の基準信号としてプリアンブルパターンが第1のシンボルSY1のみの場合であると時系列情報は、SY1に対応した周波数の正弦波となり、第1の基準信号としてプリアンブルパターンが第1のシンボルSY1と第2のシンボルSY2の場合であると第1の基準信号は2つの周波数の正弦波の重なったものとなる。
【0027】
また、本実施形態の基準信号は、さらに第2の基準信号として位相変調信号を含む。位相変調信号は、例えば、プリアンブルパターンの後のタイムスロットに配置され、予め定められた位相変調方式で変調されている第3のシンボルである。第3のシンボルは、例えば、ペイロードに含まれるQPSK信号でもよく、チャネルCHS1又はCHS2と共通のチャネルを含む任意のチャネルであってもよい。
【0028】
ステップS101では、相関演算部22が第1のシンボル、あるいは及び第2のシンボルを検出する。このとき、受信部21は、被試験媒体(EUT)83を伝搬後のフィルタードマルチキャリア信号を受信し、チャネルごとに分離する。相関演算部22が、フィルタ部14と同様に、フィルタリングを行う。このとき、相関演算部22が第3のシンボルを検出してもよい。
【0029】
ステップS102では、相関演算部22が、第1のシンボル、あるいは第2のシンボルを抽出し、この時の時間系列情報の時間間隔をTsとする。Tx81とRx82との共有した第1の基準信号(第1のシンボルもしくは第1のシンボルと第2のシンボルを含んでもよい)は時間系列信号として予め、基準信号格納部24に格納されている。例えば第1の基準信号は通信規格や過去の実測データ等を基にTx81とRx82にて共有されているものとする。Rxのフィルタ部25は、STO調整部23に予め格納されている格納信号を相関演算部22に出力する。ここでフィルタ部25はフィルタ部14のフィルタ特性と被試験媒体83の伝播特性を反映させた情報が格納されており、Txのフィルタ部14と被試験媒体83を通過した基準信号を演算処理にて再現することができる。
【0030】
相関演算部22は、格納信号と受信信号との相関演算を行う。相関演算は、
図3に示すように、フィルタ部25が前記Ts毎に、一方の系列データをビット毎にシフトさせながら、相関演算部22が相関演算を行う。受信信号に含まれる第1の基準信号と基準信号格納部24に格納されている第1の基準信号の情報との相関演算の結果が所定の値になるようにタイミング同期を行う。相関の最大値を与える時系列データの位置が、受信信号のシンボル同期がとれた位置を、概略示す。例えば、1データごと、サブキャリア数N(例えば1024)のときは時系列のデータ数は1024Tsとなり、1Ts毎にずらす。これにより、Rx82は、STOを疎調整し、シンボル同期を行うことができる。
図3では受信信号3のように、3Tsずらした場合に相関演算の値が最大となり、STOが調整できたとする。
【0031】
ステップS103では、相関演算部22が位相変調信号である第3のシンボルを抽出し、FFT部26、マッピング部27、周波数位相特性演算部28及びリサンプル部29が第3のシンボルの周波数対位相特性を求める。シンボルの抽出は、例えば、リサンプル処理及びFFT処理を行う。
【0032】
サブキャリア周波数をf、時間推移をτとすると、連続系の周波数対位相特性Θは、次式の中で表される。時間推移τは、リサンプル処理のパラメータで、Θの変動パラメータとして内包される。実際のデータfは離散値であり、離散式として利用される。
【数1】
【0033】
τをパラメータとしてシンボルに対してリサンプル処理を施し、FFT変換を行うと、式(1)で得られる周波数対位相特性Θが求まる。このΘをfの関数とし、一次回帰直線に近似する。この直線近似による傾きがゼロあるいは、ほぼゼロになるとき、位相歪を有しないシンボルが取得できる。そこで、τを変化させ、式(1)で得られる周波数対位相特性の直線近似による直線の傾きがゼロあるいは、ほぼゼロになるτの値を探索する。これにより、STO及びCFOの補正されたタイミングのシンボルを特定することができる。τの基準点の選び方により、τの探索する範囲が−0.5≦τ≦0.5や0≦τ≦1となるが、探索範囲が1であるのならばτの基準点をどこに設定するかは任意である。
図3の受信信号3は、STO調整後に式(1)の条件を満たすτを探索する例である。なお、ここではτをT
Sで規格化している。
【0034】
FFT部26は、タイミング同期のとれた第1のシンボル情報を用いて第3のシンボルをFFT変換する。マッピング部27は、FFT変換後のシンボルをマッピングする。
図4に、マッピング後のシンボルの一例を示す。
図4(A)、
図4(B)及び
図4(C)は、サブキャリア周波数の全範囲でこのようなN点のマッピングを行ったときの周波数3点の抽出した例である。f1〜fNまでのマッピングを行い、そのうちの3点の周波数f1、f2、f3のマッピング例を抽出している。このようなマッピングをサブキャリア周波数の全範囲で行ってもよいし、周波数範囲をサブキャリア周波数範囲の一部の範囲として、マッピングを行う個数をNよりも少ない数としてもよい。
【0035】
周波数位相特性演算部28は、サブキャリア毎の周波数対位相特性Θを求め、周波数対位相特性Θを用いてfの一次回帰直線に近似し、この直線近似による傾きから、Tx81からRx82データ取得時点までの位相変動Vpを取得する。例えば、
図5に示すように、周波数対位相特性Θを用いて、位相変動Vpを算出する。
【0036】
リサンプル部29は、求められた位相変動Vpを用い、τをパラメータとしてシンボルに対してリサンプル処理を施す。FFT部26は、リサンプル後のシンボルをFFT変換する。このように、本実施形態の信号受信装置82は、FFT変換、マッピング、周波数位相特性演算及びリサンプルを繰り返し、
図6に示すようにfの一次回帰直線の傾きがゼロ又はほぼゼロになるτの値を探索してCFOを調整することで、サブキャリアの位相同期を行うことができる。
【0037】
図7及び
図8に、第3のシンボルのコンスタレーションマップの一例を示す。
図7はSTO及びCFOの調整前を示し、
図8は、STO及びCFO調整後を示す。
図7では位相誤差が存在するが、
図8では位相誤差が解消していることが分かる。すなわち位相同期がとれた状態となる。
【0038】
以上説明したように、本実施形態に係る信号受信装置82は、フィルタードマルチキャリア通信方式の信号の試験環境でのタイミングミスマッチSTOとCFOとの補正を行った後に、同期状態を取得し、正規の復調動作が可能となる。特に、同期信号として自方式内の信号を流用できるため、また、実施形態3において説明するように、外部同期信号の使用時も、CFOの補正により、同期処理が実施できて、簡便で有効である。
【0039】
(実施形態2)
図9に、本実施形態に係る信号受信装置82の一例を示す。本実施形態に係る信号受信装置82は、第1の基準信号として複数のパイロット信号をOFDM信号に含めることで、CPのないフィルタードマルチキャリア方式においてSTO及びCFOの調整を行う同期回路を備える。
【0040】
本実施形態に係る同期回路は、以下のステップを実行する。
ステップS201:Rx82で、受信信号の第1の基準信号であるパイロット信号を検出する。これにより、第1の基準信号検出手順を実行する。
ステップS202:Rx82で、格納されているパイロット信号と受信信号の相関演算を行い、相関が最大となる受信信号のタイミング値を用いて、STOを調整する。これにより、タイミング同期調整手順を実行する。
ステップS203:Rx82で、相関演算におけるステップS202よりも狭いステップで相関が最大になるタイミングを探索しCFOを調整する。これにより、ステップS202のタイミング同期調整手順をさらに高い精度で行うことができる。
ステップS204:Rx82で、ステップS202及びS203の処理後の第3のシンボルに含まれる第2の基準信号である位相変調信号を用いて、さらにCFOを調整する。
【0041】
Tx81は、本実施形態に係るパイロット信号を含むフィルタードマルチキャリア信号を送信する。本実施形態の第1の基準信号であるパイロット信号は、予め設定された特定の2以上のタイムスロットに配置されたシンボルを含む。
【0042】
図10に、本実施形態に係るパイロット信号の配置例を示す。本実施形態のOFDM信号は、少なくとも2以上のタイムスロットに、少なくとも1シンボルのパイロット信号S
pilotを含む。本実施形態では、一例として、M個の各タイムスロットにパイロット信号S
pilotを含む。ここで、パイロット信号S
pilotは1以上の任意のチャネルに配置することができる。例えば、パイロット信号S
pilotは、特定のチャネルCHS1のみに配置されていてもよい。
【0043】
ステップS201では、相関演算部22が、各タイムスロットのパイロット信号S
pilotを検出する。このとき、受信部21は、被試験媒体(EUT)83を伝搬後のフィルタードマルチキャリア信号を受信する。
【0044】
ステップS202では、相関演算部22が、基準信号格納部24に予め格納されたパイロット信号S
pilotと受信信号S
Rの相関演算を行う。相関演算に用いられるS
pilotはTx側のフィルタ部14の特性や被試験媒体83の特性を反映させたRxのフィルタ部25を通過したものとして演算処理にて生成している。
【0045】
例えば、相関演算のために時系列データの位置を変えるパラメータをkとすると、kにおける相関演算AC(k)は、次式で与えられる。
【数2】
ただし、mは1シンボル内の時系列信号の位置を示す。
【0046】
ここで、パイロット信号S
pilotには、自己相関がδ関数となるCAZAC系列を用いることができる。CAZAC系列を用いたパイロット信号S
pilotは、例えば、次式で表される。フレームフォーマット生成部12で挿入されるパイロット信号は、時系列の式
(4)の指数関数項が1の場合である。
【0047】
S
u,ZC(m)は、例えばZadoff−Chu(2次CAZAC)系列であり、次式で表される。
【数3】
【0048】
mは整数、N
ZC(N
ZC≦N)は系列長の長さであり、uは1〜N
ZC−1までの系列番号である。N
ZCを12の倍数とすると、u=1、2、・・・12でタイムスロット1、2、・・・12の系列を区別することができる。
【0049】
【数4】
exp(−i2πcfp・n/N)はCFO調整のための系列である。cfpはサブキャリアの周波数間隔の最小値(Δf0)を整数Kで割った値である(例えば整数K=100とするとcfp=Δf0/K=Δf0/100)、nはN以下の整数、Nはサブキャリア総数である。
【0050】
式(4)のパイロット信号で、指数関数項が1の場合に、式(2)に示す時間系列信号の絶対相関値が最大となる受信信号S
R(m)のタイミングがSTOの位置を与える。そこで、ステップS202では、M個のパイロット信号を用いたなかで式(5)を用いて求められる相関が最大になるkの値を求める。ただしM≦Nとする。相関演算部22は、このkの値を用いてSTOを調整する。
【0051】
周波数位相変化分であるパラメータcfpを変化させた場合に相関が最大となる値がCFOの調整値を与える。そこで、ステップS203では、周波数位相変化分であるパラメータcfpをサンプル点に乗算しながら式(5)を用いて相関を求め、その相関が最大になる点を探索する。信号受信装置82は、相関が最大になったときのcfpの値を用いてCFOを調整する。
【0052】
相関が最大となるk及びcfpの値は、例えば、次式を用いる。PdはS
pilotの
挿入間隔を示す。
【数5】
【0053】
式(5)の処理は
図9に記載のリサンプル部52にて行う。式(5)でのcfpの調整をτ’調整と記載している。
【0054】
図11及び
図12に、パイロット信号のコンスタレーションマップの一例を示す。
図11は、STO、CFO調整前を示し、
図12はSTO、CFO調整後を示す。
図11では位相誤差が存在するが、
図12では位相誤差が解消していることが分かる。
【0055】
この後、続いて送信される第3のシンボルである位相変調信号を用いて、もう一度実施形態1での周波数位相特性を求める。
【0056】
以上説明したように、本実施形態は、フィルタードマルチキャリア通信方式の信号の試験環境でのタイミングミスマッチSTOとCFOとの同期状態が取得され、特に、同期信号として自方式内の信号を流用できるため、簡便で有効である。
【0057】
(実施形態3)
図13に、本実施形態に係るシステム構成の一例を示す。実施形態に係る通信システムは、信号送信装置(SG)81、信号受信装置(SA)82及び試験装置84を備える。試験装置84は、信号送信装置81と信号受信装置82の間を接続する被試験媒体83の区間評価試験を行うための同期信号を提供する。この同期信号は信号送信装置81から提供してもよい。被試験媒体83は、有線であってもよいし、無線であってもよい。
【0058】
本実施形態に係る信号受信装置82は、以下のステップを実行する。
ステップS301:Rx82で、第1の基準信号である外部同期信号を検出する。
ステップS302:Rx82で、第1の基準信号である外部同期信号を用いてSTOを調整する。
ステップS303:Rx82で、実施形態1又は2で説明したように、CFOを調整する。
【0059】
信号送信装置81は、外部同期信号をOFDM信号とともに送信する。外部同期信号は信号送信装置のフィルタ部14の前段もしくは後段にてOFDM信号と合わさる。本実施形態の外部同期信号は、STOを調整可能な任意の信号であり、例えば、Txの送信信号が開始されると同時にシンボル間隔で発振するクロック信号であってもよい。クロック信号を基準信号として、受信信号との相関をとりSTO、CFOの調整をする。
【0060】
相関演算にて用いるクロック信号はフィルタ部14のフィルタ特性や被試験媒体83の伝播特性を反映させたRxのフィルタ部25を通過したものとして演算処理にて生成している。
【0061】
試験信号84の外部同期信号をもとに、信号受信装置82でのデータキャプチャーが開始され、この時点から不確定な時間τ’’だけ変動してデータキャプチャーが実施される。τ’’分に相当する位相変動は前記Vpに内包されている。この位相情報への変換は、例えば、
図14に示すような変換テーブルを用いることができる。縦軸は、ラジアンで表現した位相である。横軸はシンボル時間Tsを1としたときの時間τ’’である。
図14に示すように、τ’’は、シンボル時間Tsの1/100の精度で変化させることが好ましい。この変換テーブルの位相情報をVpから減算することにより、CFOの調整ができる。
図13のリサンプル部53記載のτ’’はシンボル時間Tsの1/100の精度で変化させることに相当する。このようにして高い精度でのタイミング同期調整を行うことができる。
【0062】
ステップS301では、相関演算部22が外部同期信号を受信する。このとき、信号受信装置82が第3のシンボルである位相変調信号(第2の基準信号)を検出してもよい。
【0063】
ステップS302では、相関演算部22が、外部同期信号を用いてシンボル時間Tsを求める。これにより、信号受信装置82は、STOを調整し、シンボル同期を行う。
【0064】
この後、外部同期信号と同時に送信された第2の基準信号である位相変調信号、もしくは続いて送信される第2の基準信号、すなわち第3のシンボルである位相変調信号を用いて、もう一度実施形態1での周波数位相特性を求める。
【0065】
実施形態は、LAN(Local Area Network)、LTE(Long Term Evolution)など無線通信分野で使用されるマルチキャリア信号を使用した送受信試験環境に対して、
・信号送信装置81及び又は信号受信装置82の試験
・被試験媒体83の伝搬特性などの試験
上記試験における送受信タイミングや周波数が送受間で一致しない状況における同期ハズレ現象を回避するための手段、
を提供することができる。
【0066】
前述の実施形態において説明したSTOとCFOの組み合わせは任意である。例えば、実施形態3に記載のSTOと実施形態1又は2に記載のCFOを組み合わせてもよいし、実施形態1に記載のSTOと実施形態2に記載のCFOを組み合わせてもよいし、実施形態1に記載のCFOと実施形態2に記載のSTOを組み合わせてもよい。
【0067】
各実施形態に係るシステムに備わる各装置は、コンピュータを、それぞれの装置に備わる各構成として機能させることで実現してもよい。この場合、各装置内のCPU(Central Processing Unit)が、記憶部(不図示)に記憶されたコンピュータプログラムを実行することで、当該構成を実現する。コンピュータプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されていてもよい。