特許第6473464号(P6473464)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6473464
(24)【登録日】2019年2月1日
(45)【発行日】2019年2月20日
(54)【発明の名称】扁平チューブ用フィンの取り出し装置
(51)【国際特許分類】
   B23P 19/04 20060101AFI20190207BHJP
   B23P 19/00 20060101ALI20190207BHJP
   B21D 43/22 20060101ALN20190207BHJP
【FI】
   B23P19/04 E
   B23P19/04 F
   B23P19/00 301L
   !B21D43/22 A
【請求項の数】3
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-573163(P2016-573163)
(86)(22)【出願日】2015年2月6日
(86)【国際出願番号】JP2015053428
(87)【国際公開番号】WO2016125309
(87)【国際公開日】20160811
【審査請求日】2017年12月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】390034809
【氏名又は名称】日高精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】特許業務法人綿貫国際特許・商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】柄澤 正直
【審査官】 八板 直人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−188506(JP,A)
【文献】 特開2014−73510(JP,A)
【文献】 特開2003−320433(JP,A)
【文献】 実開平2−56532(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23P 19/00−21/00
B21D 43/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
幅方向の一方側から他方側に向けて熱交換器用の扁平チューブを挿入させる切欠部が複数形成されてなる扁平チューブ用フィンを積層するために、ベース部と、該ベースの上面に立設されて前記切欠部に挿通されるスタックピンと、前記ベース部の上面から離間させた位置から前記扁平チューブ用フィンを積層させるためのスタック開始位置規制部とが設けられたスタック装置から、積層された前記扁平チューブ用フィンを取り出す扁平チューブ用フィンの取り出し装置であって、
底板と、該底板に対し、少なくとも前記スタックピンの位置を除いた前記切欠部のうちのいずれかにおいて前記切欠部の開口側位置に位置合わせされた状態で立設された起立部と、を有する第1部材と、
前記スタック装置に積層された前記扁平チューブ用フィンを介して前記第1部材に対向する位置に配置されると共に、前記第1部材と共に前記スタック装置に積層された前記扁平チューブ用フィンを挟持する第2部材と、
前記第1部材および前記第2部材を前記スタック装置に積層された前記扁平チューブ用フィンに対して接離動させ、かつ、前記第1部材と前記第2部材とにより前記スタック装置に積層された前記扁平チューブ用フィンを挟持させた状態で、前記扁平チューブ用フィンと前記スタック装置とを離反させるための移動機構と、を備えていることを特徴とする扁平チューブ用フィンの取り出し装置。
【請求項2】
前記移動機構は、前記ベースと前記スタック開始位置規制部との間の位置に前記底板を、前記切欠部の開口側位置に前記起立部を、それぞれ進入させるように前記第1部材を移動させると共に、前記第2部材を前記第1部材に向けて接近させる方向に移動させることにより、前記スタック装置に積層されている前記扁平チューブ用フィンを前記第1部材および前記第2部材により挟持させた後、前記第1部材および前記第2部材を前記スタックピンの立設方向に沿って移動させることを特徴とする請求項1記載の扁平チューブ用フィンの取り出し装置。
【請求項3】
前記扁平チューブ用フィンにおける前記切欠部の形成位置に位置合わせされていると共に前記切欠部に進入可能であって、かつ、前記起立部と干渉しない位置に配設された少なくとも2枚のガイド体を有する集積部をさらに有し、
前記移動機構は、前記第1部材および前記第2部材によって積層状態で挟持された前記扁平チューブ用フィンを前記集積部の位置まで移動させ、前記第1部材および前記第2部材によって積層状態で挟持された前記扁平チューブ用フィンの切欠部に前記ガイド体を進入させるように、前記扁平チューブ用フィンを前記切欠部の開口側が前記ガイド体に向くように回動させ、前記ガイド体を前記扁平チューブ用フィンの前記切欠部に進入させた後、前記第1部材と前記第2部材とを相対的に離反させることを特徴とする請求項1または2記載の扁平チューブ用フィンの取り出し装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スタック装置に複数積層された状態の扁平チューブ用フィンをスタック装置から積層状態を維持したまま取り出しするための扁平チューブ用フィンの取り出し装置に関する。
【背景技術】
【0002】
クーラー等の熱交換器は、冷却用媒体を供給するためのチューブと、チューブの表面積を増やすための放熱用フィンとを有している。このような熱交換器は、別々に製造されたチューブと放熱用フィンとを一体に組み立てすることにより製造されている。このような熱交換器の製造装置としては、例えば特許文献1に開示されているような構成のものが知られている。
【0003】
特許文献1に開示されている熱交換器の製造装置は、複数本のチューブが所要間隔をあけて平行となるように並べられ、チューブとチューブとの間に放熱用フィンを配設し、互いを固定することにより熱交換器を製造するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−183713号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されている熱交換器の構成の他に、扁平形状に形成された扁平チューブと放熱用フィンである扁平チューブ用フィンとを用い、これらを互いに交差させるようにして(扁平チューブ用フィンを扁平チューブで串刺しさせるようにして)組み立てる構成の熱交換器も提供されている。このように扁平チューブと扁平チューブ用フィンとを交差させた状態で熱交換器を組み立てする際においては、扁平チューブ用フィンに扁平チューブを装着するための切欠部が形成されているので、扁平チューブ用フィンは板厚方向に積層させたままの状態で扁平チューブと組み立てすることが好適である。しかしながらこのような組み立てを行う際に用いて好適な熱交換器の製造装置は提供されていないのが実情である。
【0006】
そこで本発明は上記課題を解決すべくなされたものであり、その目的とするところは、スタック装置に複数積層された扁平チューブ用フィンをスタック装置から積層状態を維持したまま取り出しすることで、扁平チューブ用フィンを扁平チューブによって貫通させるようにして組み立てる際に用いて好適な扁平チューブ用フィンの取り出し装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
出願人は、上記課題を解決するため鋭意研究をした結果、課題を解決することが可能な以下に示す構成に想到した。
すなわち、本発明は、幅方向の一方側から他方側に向けて熱交換器用の扁平チューブを挿入させる切欠部が複数形成されてなる扁平チューブ用フィンを積層するために、ベース部と、該ベースの上面に立設されて前記切欠部に挿通されるスタックピンと、前記ベース部の上面から離間させた位置から前記扁平チューブ用フィンを積層させるためのスタック開始位置規制部とが設けられたスタック装置から、積層された前記扁平チューブ用フィンを取り出す扁平チューブ用フィンの取り出し装置であって、底板と、該底板に対し、少なくとも前記スタックピンの位置を除いた前記切欠部のうちのいずれかにおいて前記切欠部の開口側位置に位置合わせされた状態で立設された起立部と、を有する第1部材と、前記スタック装置に積層された前記扁平チューブ用フィンを介して前記第1部材に対向する位置に配置されると共に、前記第1部材と共に前記スタック装置に積層された前記扁平チューブ用フィンを挟持する第2部材と、前記第1部材および前記第2部材を前記スタック装置に積層された前記扁平チューブ用フィンに対して接離動させ、かつ、前記第1部材と前記第2部材とにより前記スタック装置に積層された前記扁平チューブ用フィンを挟持させた状態で、前記扁平チューブ用フィンと前記スタック装置とを離反させるための移動機構と、を備えていることを特徴とする扁平チューブ用フィンの取り出し装置である。
【0008】
本構成を採用することによって、スタック装置のスタックピンに沿って複数積層された状態の複数の扁平チューブ用フィンを、積層状態を維持したまま効率的に扁平チューブ用フィンをスタック装置から取り出しすることができる。
【0009】
また、前記移動機構は、前記ベースと前記スタック開始位置規制部との間の位置に前記底板を、前記切欠部の開口側位置に前記起立部を、それぞれ進入させるように前記第1部材を移動させると共に、前記第2部材を前記第1部材に向けて接近させる方向に移動させることにより、前記スタック装置に積層されている前記扁平チューブ用フィンを前記第1部材および前記第2部材により挟持させた後、前記第1部材および前記第2部材を前記スタックピンの立設方向に沿って移動させることが好ましい。
【0010】
この構成によれば、スタック装置に積層された状態の扁平チューブ用フィンを、扁平チューブ用フィンの切欠部および底面から保持することができ、積層状態がさらに崩れにくくなると共に、安定した状態でスタック装置から積層状態の扁平チューブ用フィンを取り出しすることができる。
【0011】
また、前記扁平チューブ用フィンにおける前記切欠部の形成位置に位置合わせされていると共に前記切欠部に進入可能であって、かつ、前記起立部と干渉しない位置に配設された少なくとも2枚のガイド体を有する集積部をさらに有し、前記移動機構は、前記第1部材および前記第2部材によって積層状態で挟持された前記扁平チューブ用フィンを前記集積部の位置まで移動させ、前記第1部材および前記第2部材によって積層状態で挟持された前記扁平チューブ用フィンの切欠部に前記ガイド体を進入させるように、前記扁平チューブ用フィンを前記切欠部の開口側が前記ガイド体に向くように回動させ、前記ガイド体を前記扁平チューブ用フィンの前記切欠部に進入させた後、前記第1部材と前記第2部材とを相対的に離反させることが好ましい。
【0012】
この構成によれば、スタック装置から取出した積層状態の扁平チューブ用フィンを、積層状態を維持した状態で集積部に集積させることができる。これにより積層状態の扁平チューブ用フィンをスタック装置から複数回取り出しした後に、次の工程に進む際にすべての扁平チューブ用フィンを整列させた状態で保持することができるため、扁平チューブ用フィンと扁平チューブとの組み立て工程等の次工程に適した状態で送り出しすることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、スタック装置に複数積層された扁平チューブ用フィンをスタック装置から積層状態を維持したまま取り出しすることができる。このため、次の工程である扁平チューブ用フィンと扁平チューブとの組み立て工程を効率的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1Aは、本実施形態で用いる扁平チューブ用フィンの平面図である。図1Bは、扁平チューブ用フィンの要部拡大平面図である。
図2図2A図2Cは、第1実施形態における扁平チューブ用フィンの取り出し装置の動作を示す説明図である。
図3図3A図3Cは、第1実施形態における扁平チューブ用フィンの取り出し装置の動作を示す説明図である。
図4図4A図4Cは、第1実施形態における扁平チューブ用フィンの取り出し装置の動作を示す説明図である。
図5図5A図5Cは、第1実施形態における扁平チューブ用フィンの取り出し装置の動作を示す説明図である。
図6図6A図6Cは、第1実施形態における扁平チューブ用フィンの取り出し装置の動作を示す説明図である。
図7図7Aおよび図7Cは、第1実施形態における扁平チューブ用フィンの取り出し装置の動作を示す説明図である。
図8図8Aおよび図8Cは、第1実施形態における扁平チューブ用フィンの取り出し装置の動作を示す説明図である。
図9図9Aおよび図9Cは、第1実施形態における扁平チューブ用フィンの取り出し装置の動作を示す説明図である。
図10図10Aおよび図10Cは、第1実施形態における扁平チューブ用フィンの取り出し装置の動作を示す説明図である。
図11図11Aおよび図11Cは、第1実施形態における扁平チューブ用フィンの取り出し装置の動作を示す説明図である。
図12図12Aおよび図12Cは、第1実施形態における扁平チューブ用フィンの取り出し装置の動作を示す説明図である。
図13図13Aおよび図13Cは、第2実施形態における扁平チューブ用フィンの取り出し装置の集積部における寄せユニットの動作を示す説明図である。
図14】第2実施形態における扁平チューブ用フィンの取り出し装置の集積部における寄せユニットの動作を示す説明図である。
図15】第2実施形態における扁平チューブ用フィンの取り出し装置の集積部における寄せユニットの動作を示す説明図である。
図16】第2実施形態における扁平チューブ用フィンの取り出し装置の集積部における寄せユニットの動作を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本実施形態において取り扱う扁平チューブ用フィン10の概略製造工程について説明する。図1Aおよび図1Bは、本実施形態で用いる扁平チューブ用フィンの説明図である。図1Aは扁平チューブ用フィン全体を示す平面図であり、図1Bは扁平チューブ用フィンの要部拡大平面図である。
【0016】
図1Aおよび図1Bに示すような扁平チューブ用フィン10は、アルミニウム等の金属製の薄板をプレス加工することにより形成される。扁平チューブ用フィン10の原材料である金属製の薄板はコイル状に巻回された状態で提供されている。金属製の薄板はフィーダにより繰り出された後、送り装置によってプレス装置に間欠送りされる。金属製の薄板はプレス装置内に設けられた金型装置(いずれも図示せず)により所定の形状にプレス加工された後、金属製の薄板を製品幅毎に分割することにより製品幅の金属帯状体に形成される。製品幅の金属帯状体は、送り出される方向において予め設定された長さ寸法に分割され、扁平チューブ用フィン10に形成された後、後述するスタック装置に積層保持される。
【0017】
図1Aおよび図1Bに示すように扁平チューブ用フィン10は、熱交換用の冷媒を供給する扁平チューブTが挿入される切欠部12が形成されている。切欠部12は、扁平チューブ用フィン10の長手方向に沿って所要間隔をあけて複数箇所に形成されている。扁平チューブ用フィン10の切欠部12と切欠部12との間には板状部14が形成されていて、この板状部14にはルーバー15が形成されている。また、ルーバー15の幅方向の両端部側には、板状部14の一部が切り起こされて形成された切り起し部16が形成されている。図1Aおよび図1Bからも明らかなように、本実施形態における扁平チューブ用フィン10には1つのルーバー15に対して2つの切り起し部16が形成されている。
【0018】
切欠部12は、扁平チューブ用フィン10の幅方向の一方側からのみ形成されている。したがって、板状部14は、長手方向に沿って伸びる連結部18によって長手方向に連結されている。本実施形態にかかる扁平チューブ用フィン10において、1つのルーバー15に対する切り起し部16のうち、一方側の切り起し部16は、板状部14の先端部側(切欠部12の開口部12A側)に形成され、他方側の切り起し部16は、連結部18の位置に形成されている。なお、図1Aおよび図1Bにおいては、図を簡略化するために切欠部12に進入させるための扁平チューブTが2箇所のみに配設されている形態を示しているが、扁平チューブTは全ての切欠部12に対して挿入される。
このようにして形成された扁平チューブ用フィン10は、図2A図2Cに示すスタック装置100に板厚方向に所定枚数が積層保持されることになる。
【0019】
(第1実施形態)
本実施形態にかかる扁平チューブ用フィンの取り出し装置200の構成について、図2A図2Cを参照しながら説明する。図2Aは平面図であり、図2Bは正面図であり、図2Cは右側面図である。特に断りがない限り、図3A図3C以降の各図面におけるA,B,Cの意味は、図2A図2Cと同様である。
本実施形態における扁平チューブ用フィン10を積層保持するスタック装置100は、図2A図2Cに示すように、平板からなるベース102と、ベース102の上面に立設されたスタックピン104およびガイドピン108と、ベース102の上面から所要間隔をあけてスタックピン104に沿って扁平チューブ用フィン10を積層させるためのスタック開始位置規制部としてのスペーサ106とを有している。
【0020】
スタックピン104は、扁平チューブ用フィン10の切欠部12の開口部12Aから切欠部12に進入可能に形成されている。また、本実施形態におけるスペーサ106はスタック装置100を正面視した場合、2本のスタックピン104よりも外側となる位置に配設されている。なお、ベース102に対してスタックピン104を3本以上立設した場合には、両端位置に立設されたスタックピン104の外側となる位置にスペーサ106をそれぞれ配設することが好適である。
【0021】
ガイドピン108は、扁平チューブ用フィン10の連結部18の端縁に当接し、ベース102上における扁平チューブ用フィン10の平面位置をスタックピン104と共に位置決めするためのものである。スタックピン104とガイドピン108とは、扁平チューブ用フィン10の長手方向において同じ位置に配設されている。
【0022】
このような構成のスタック装置100には、図示しない熱交換器用フィンの製造装置により製造された扁平チューブ用フィン10がスペーサ106の上面位置をスタック開始位置としてスタックピン104の高さ方向に複数積層保持されることになる。このように本実施形態におけるスタック装置100は、積層保持された状態の複数枚の扁平チューブ用フィン10のうちの最下面と、ベース102の上面との間にはスペーサ106の高さ寸法と同じ高さを有する隙間Sが形成されることになる。
【0023】
このようなスタック装置100に所定枚数の扁平チューブ用フィン10が積層保持された後に、スタック装置100から扁平チューブ用フィンの取り出し装置200により積層状態が維持されたまま扁平チューブ用フィン10が取り出されることになる。
【0024】
ここで、本実施形態にかかる扁平チューブ用フィンの取り出し装置200は、図2A図2Cに示すように、第1部材210と、第2部材220と、第1部材210および第2部材220を移動させるための移動機構230とを有している。
【0025】
第1部材210は、底板212と、底板212の上面に立設された起立部214とを有する。
底板212は、スタック装置100に立設された2本のスタックピン104の内幅寸法よりも幅狭寸法となるように、また、スタック装置100のスペーサ106の高さ寸法(隙間Sの高さ寸法)よりも薄肉寸法となるように形成されている。ここでは、スタック装置100に積層保持された扁平チューブ用フィン10に形成されている切欠部12のうち、スタックピン104が挿通されていないいずれか2箇所の切欠部12の位置と、底板212の幅方向における両端位置とがそれぞれ一致するようにした。
【0026】
また、起立部214は底板212の幅方向における両端位置に立設されている。起立部214の幅寸法は、扁平チューブ用フィン10の切欠部12の幅寸法以下に形成されている。さらに起立部214は平面視形状が切欠部12の平面視形状と等しく形成されていることが好ましい。このように第1部材210は図2Bに示すように、正面視形状が倒コの字型(上面開口の溝型)をなす形状に形成されている。
【0027】
第2部材220は、第1部材210と、スタック装置100に積層保持された扁平チューブ用フィン10を介して第1部材210と対向する位置に配設され、前記第1部材210の起立部214と共に積層保持された複数枚の扁平チューブ用フィン10を挟持可能に設けられている。本実施形態にかかる第2部材220は、第1部材210の底板212と同幅寸法であって、第1部材210の起立部214の起立高さと同じ高さ寸法の平板により形成され、スタック装置100のガイドピン108と干渉しないように配設されている。第2部材220は、スタック装置100に積層保持された扁平チューブ用フィン10の連結部18に沿って扁平チューブ用フィン10の積層方向に延設され、第1部材210と共にスタック装置100に積層保持された扁平チューブ用フィン10を挟持することができればよい。したがって第2部材220の形状は特に限定されるものではない。
【0028】
第1部材210と第2部材220とは移動機構230により移動可能に設けられている。移動機構230は、第1部材210と第2部材220とを少なくともスタック装置100に積層保持された扁平チューブ用フィン10に対して接離動可能に移動させることができる構成になっている。ここでは、第1部材210と第2部材220のそれぞれに対して個別の移動機構230を配設した。
【0029】
本実施形態における移動機構230は、スタック装置100に積層保持された扁平チューブ用フィン10の幅方向に対して第1部材210および第2部材220のそれぞれを接離動可能にすると共に、扁平チューブ用フィン10の積層方向にも移動可能にしている。なお、移動機構230としては、例えば流体駆動装置またはモータ駆動装置もしくはこれらを組み合わせた駆動装置を採用することができ、流体としては空気を用い、モータとしてはサーボモータを用いることが好ましい。
【0030】
このような扁平チューブ用フィンの取り出し装置200と、先述のスタック装置100とは、図示しない制御部によりそれぞれの動作が制御されている。このような制御部の一例として、制御手段であるCPUと制御手段が参照する制御プログラムが記憶された記憶手段とを有する形態を採用することができる。このような制御部は、扁平チューブ用フィンの取り出し装置200に対して独立に配設してもよいが、図示しない扁平チューブ用フィンの製造装置の動作を制御するための動作制御部に一体に組み込んだ形態にすることもできる。
【0031】
次に、図2A図2C図3A図3C図4A図4C図5A図5C図6A図6C図7A図7C図8A図8C図9A図9C図10A図10C図11A図11Cを参照しながら本実施形態にかかる扁平チューブ用フィンの取り出し装置200の動作について説明する。なお、説明図を簡略化するため、移動機構230の構成については、図2A図2Cのみに示すものとする。図3A図3C以降の各図面においては移動機構230の図示を省略している。図2A図2Cに示すように、スタック装置100に予め設定された枚数の扁平チューブ用フィン10が積層保持されると、図示しない制御部が移動機構230を作動させ、第1部材210および第2部材220を図2A図2Cに示す待機位置からスタック装置100に積層保持させた複数枚の扁平チューブ用フィン10に接近させる。
【0032】
具体的には、図3B図3C内の矢印で示すように、制御部は、第1部材210の底板212をベース102の上面と、積層保持された複数枚の扁平チューブ用フィン10の最下面との隙間S部分に位置させると共に、起立部214の起立位置をスタックピン104が挿通されていない切欠部12のいずれか2箇所の位置に対向するように移動機構230の動作を制御する。制御部は、第1部材210の移動動作と同時又は移動動作に前後して積層保持された扁平チューブ用フィン10の連結部18に第2部材220を接近させ、第2部材220の下端位置を積層保持された複数枚の扁平チューブ用フィン10の最下面位置よりも下方となるように移動機構230の動作を制御する。
【0033】
なお、図2A図2Cに示すように、第1部材210の起立部214の幅方向(スタック装置100を正面視した際の横方向)の位置を、予め進入対象としている切欠部12位置に位置合わせして第1部材210の待機位置としてもよい。
図3A図3Cに示すように、第1部材210と第2部材220が所定の高さ方向および幅方向の位置に到達した後、制御部は移動機構230により、第2部材220を図4A図4C内の矢印に示すように扁平チューブ用フィン10の連結部18に当接させるように移動させる。
【0034】
つづいて制御部は、第1部材210を図5A図5C内の矢印に示すように、第2部材220に接近させるように移動させ、第1部材210の起立部214を扁平チューブ用フィン10の切欠部12に進入させるように移動機構230の動作を制御する。先述のように本実施形態にかかる起立部214は、切欠部12への進入側部分における平面視形状が切欠部12の平面視形状と等しく形成されているので、第1部材210と第2部材220とによりスタック装置100に積層保持された扁平チューブ用フィン10をその製品幅の方向において確実に挟持することができる。
【0035】
次に制御部は、図6A図6C内の矢印に示すように、第1部材210と第2部材220とを同期させた状態でスタックピン104の立設方向(高さ方向)に移動させるように移動機構230の動作を制御する。この時点で、扁平チューブ用フィン10は、スタック装置100に積層保持されていた状態を維持した状態でスタック装置100から取り出されることになる。
次に制御部は、図7Cに示すように、扁平チューブ用フィン10の切欠部12の開口部12Aが下側となるように、第1部材210と第2部材220とを90°回動させるように移動機構230の動作を制御する。
【0036】
ところで本実施形態にかかる扁平チューブ用フィンの取り出し装置200は、図8Aおよび図8Cに示すように、スタック装置100の配設位置とは別の位置に配設された集積部240をさらに有している。ここでは第1部材210の起立部214が進入している切欠部12を除く他の2箇所の切欠部12の位置に位置合わせして配設された2枚のガイド体242により集積部240が構成されている。図8Aおよび図8Cに示すように、2枚のガイド体242は、第1部材210の起立部214の起立位置よりも外方位置に位置する切欠部12に対応させた状態で配設されている。これらのガイド体242もまた、第1部材210の起立部214と同様に、切欠部12への進入部分の形状は、切欠部12を平面視した際における形状と同一形状に形成されていることが好ましい。
【0037】
図7Aおよび図7Cに示すように、扁平チューブ用フィン10の切欠部12の開口部12Aを下側に向けた後、制御部は、図8Aおよび図8Cに示すように第1部材210と第2部材220とをスタック装置100の位置から集積部240の位置に移動させるように移動機構230の動作を制御する。つづいて制御部は、図9Aおよび図9Cに示すように、集積部240のガイド体242に起立部214が進入していない他の切欠部12を進入させる(差し込みする)ように移動機構230の動作を制御する。図9Aおよび図9Cに示すようにガイド体242を扁平チューブ用フィン10における所定の切欠部12に進入させた後、制御部は、図10Aおよび図10C内の矢印に示すように、第1部材210を扁平チューブ用フィン10および集積部240(ガイド体242)から離反させるように移動機構230の動作を制御する。
【0038】
このように、第2部材220による扁平チューブ用フィン10の抑え込みを継続しながら第1部材210の起立部214を切欠部12から引き抜くと共に、集積部240のガイド体242を所定の切欠部12に進入させることで、積層状態を崩すことなく所定枚数の扁平チューブ用フィン10を扁平チューブ用フィンの取り出し装置200から集積部240に移し替えすることができるのである。
【0039】
この後制御部は、図11Aおよび図11C内の矢印に示すように、第2部材220を扁平チューブ用フィン10の連結部18から離反させ、さらには図12Aおよび図12C内の矢印に示すように、第1部材210と第2部材220とを図2A図2Cに示す待機位置に戻すように移動機構230の動作を制御する。このようにしてスタック装置100に積層保持されていた所定枚数の扁平チューブ用フィン10の集積部240への移し替えが完了する。
【0040】
ガイド体242の長手方向における長さ寸法は、スタック装置100のスタックピン104の高さ寸法の数倍程度の長さ寸法に形成されている。これによりスタック装置100に積層させた扁平チューブ用フィン10を複数回にわたって集積部240に移し替えすることができる。ガイド体242の長手方向における具体的な長さ寸法は、放熱器に用いる扁平チューブ用フィン10の枚数に応じて適宜設定することができる。
【0041】
集積部240のガイド体242に所定枚数の扁平チューブ用フィン10が集積されるまで、制御部は以上の動作を繰り返し実行する。このようにして、集積部240のガイド体242に予め設定された枚数の扁平チューブ用フィン10が集積された後、集積部240は扁平チューブ用フィン10と共に放熱器の組立工程に送られることになる。
【0042】
(第2実施形態)
第1実施形態においては、スタック装置100に複数積層保持された扁平チューブ用フィン10を集積部240に移し替えするまでの工程について説明した。また、集積部240のガイド体242はスタック装置100のスタックピン104の長さ寸法の数倍程度であることも説明したが、集積部240に移し替えられた扁平チューブ用フィン10をガイド体242に沿ってスライド移動させることについては説明されていない。
【0043】
そこで、本実施形態における扁平チューブ用フィンの取り出し装置200は、第1実施形態における扁平チューブ用フィンの取り出し装置200の構成を備え、集積部240に扁平チューブ用フィン10をスライド移動させるための寄せユニット244をさらに有する形態について説明を行うものとする。
なお、本実施形態においては、集積部240以外の構成については第1実施形態と同様の構成を採用することができるため、ここでの詳細な説明は省略している。また、スタック装置100に複数積層された扁平チューブ用フィン10を扁平チューブ用フィンの取り出し装置200を用いて集積部240に移し替えするまでの工程は、第1実施形態と同一の工程で行うことができるためここでの詳細な説明は省略する。
【0044】
寄せユニット244は集積部240の一部を構成し、ガイド体242に移し替えた複数の扁平チューブ用フィン10をガイド体242の長手方向にスライドさせ、2回目以降のスタック装置100からの扁平チューブ用フィン10の移し替え作業を円滑に行うためのものである。以下、図13A図13C図14図15図16に基づいて寄せユニットの具体的な動作について説明を行う。図13Aは集積部をガイド体の長手方向に臨んだ図であり、図13C図13Aの図を水平面内で直交する方向から臨んだ図である。図14図16の各図面は、図13Cに対応する図面である。
【0045】
本実施形態における集積部240は、図13Aおよび図13Cに示すように、ガイド体242に移し替えされた複数枚の扁平チューブ用フィン10をガイド体242の長手方向の端部に寄せるための寄せユニット244を有している。本実施形態における寄せユニット244は、ガイド体242を挟み込む配置の2つのブロック体により形成することができる。この寄せユニット244は、図示しない移動機構に接続されていて、寄せユニット244はガイド体242に対して任意の方向に移動可能になっている。寄せユニット244は第1部材210と第2部材220とを移動させる移動機構230に接続してもよい。
【0046】
図13Cに示すように、寄せユニット244は、ガイド体242の下方位置を待機位置としている。制御部は、扁平チューブ用フィンの取り出し装置200からガイド体242に扁平チューブ用フィン10が移し替えられると、図13C内の矢印方向に寄せユニット244を移動させるように移動機構230の動作を制御する。
【0047】
寄せユニット244が図14に示すようにガイド体242を挟み込む高さ位置に移動した後、制御部は、寄せユニット244を図14内の矢印方向に移動させ、ガイド体242に保持された複数の扁平チューブ用フィン10を寄せユニット244によりガイド体242の長手方向に沿ってスライド移動させるように移動機構230の動作を制御する。
【0048】
ガイド体242に保持されている扁平チューブ用フィン10が図15に示す所定位置(ガイド体242の一方の端部)までスライド移動すると、制御部は、図16内の矢印Aの方向に寄せユニット244を移動させた後に、図16内の矢印Bの方向に移動させ、寄せユニット244を待機位置に戻すように移動機構230の動作を制御する。このように寄せユニット244によりガイド体242に保持されている扁平チューブ用フィン10のスライド移動を完了させた後、2段階に分けて寄せユニット244を待機位置まで戻している。
【0049】
このような寄せユニット244の待機位置への移動動作(退避動作)は、特に2回目以降の扁平チューブ用フィン10のスライド移動を行う際に、扁平チューブ用フィン10の積層方向(ガイド体242の長手方向)に圧縮力を作用させた場合において特に好都合である。具体的には、寄せユニット244を退避させることにより扁平チューブ用フィン10に作用していた圧縮力が解放され扁平チューブ用フィン10が弛緩する際に、退避動作中の寄せユニット244との衝突による扁平チューブ用フィン10の変形などの破損を防ぐことを目的としている。
【0050】
寄せユニット244が待機位置に戻った後は、ガイド体242に所定枚数の扁平チューブ用フィン10が移し替えられるまで、制御部により以上の動作が繰り返し行われる。制御部は、ガイド体242に移し替えられた扁平チューブ用フィン10の枚数に応じて、寄せユニット244による扁平チューブ用フィン10のスライド移動量を徐々に少なくするように移動機構230の動作を制御している。具体的には、図15に示した寄せユニット244のスライド完了位置が徐々に左側になるように制御部が移動機構230の動作を制御しているのである。なお、図15および図16内の2点鎖線は、扁平チューブ用フィン10がガイド体242に移し替えられた直後の位置を示すものである。
【0051】
以上のようにして集積部240のガイド体242にはスタック装置100に複数枚積層された扁平チューブ用フィン10が複数回にわたって供給されることになる。集積部240に予め設定された枚数の扁平チューブ用フィン10が供給されると、制御部は図示しない通知手段を作動させ、オペレータに集積完了の通知を行う。これとは別に、制御部は扁平チューブ用フィンの取り出し装置200に保持された扁平チューブ用フィン10を他の集積部240に移し替えさせるように移動機構230の動作を制御してもよい。
【0052】
以上本発明について実施形態に基づいて説明をしたが、本発明は以上の実施形態に限定されるものではなく、発明の精神を逸脱しない範囲内で多くの改変を施し得るのはもちろんである。例えば、以上の実施形態にかかる扁平チューブ用フィンの取り出し装置200は、集積部240を有する構成例について説明しているが、集積部240は必須構成ではない。集積部240の構成を有しない場合には、扁平チューブ用フィンの取り出し装置200はスタック装置100から取り出した積層状態の扁平チューブ用フィン10を次工程に送る処理を行えばよい。
【0053】
また、以上の実施形態においては、スタック開始位置規制部としてベース102の上面に配設したスペーサ106を採用した形態例について説明しているが、この形態に限定されるものではない。スタック位置開始規制部は、スタックピン104の中間高さ位置に溶接等で板部材を配設することで形成した鍔部により構成することもできる。
【0054】
さらに、以上の実施形態においては、第1部材210は底板212と底板212の幅方向における両端位置に立設させた起立部214とにより正面視形状が倒コの字型をなした形態例に基づいて説明をしたが第1部材210はこの形態に限定されるものではない。例えば、底板212の幅方向における中途位置に起立部214を立設させた逆Π(パイ)型形状にすることもできる。このとき、起立部214の立設位置は、スタック装置100に積層保持された扁平チューブ用フィン10の切欠部12のうち、スタックピン104が挿通されていない切欠部12の位置に位置合わせしておけばよい。
【0055】
さらにまた、以上の実施形態においては、図6A図6Cに示すように、第1部材210と第2部材220とが同期した状態でスタック装置100に積層保持された扁平チューブ用フィン10を引き抜く形態例について説明しているが、図6A図6Cに示す動作に限定されるものではない。例えば、図5A図5Cに示した状態の後、制御部はスタック装置100を第1部材210と第2部材220とから離反させるように移動させるようにしてもよい。この場合、スタック装置100にも流体駆動装置やモータ駆動装置等による移動機構が配設されていることになる。要は、扁平チューブ用フィン10を第1部材210と第2部材220とで挟持した後、第1部材210および第2部材22と、スタック装置100とを離反させるようにすればよいのである。
【0056】
また、第2実施形態における寄せユニット244は2つのブロック体からなる形態に基づいて説明したが、ガイド体242との干渉を防ぐことができれば1つのブロック体で構成した形態とすることもできる。このような形態としては、いわゆる凹形状に形成したブロック体とし、ガイド体242の上側または下側位置に凹み部分を対向させた状態で待機させればよい。
【0057】
さらには、以上に説明したすべての構成を適宜組み合わせた扁平チューブ用フィンの取り出し装置200を採用することもできる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16