【実施例】
【0026】
以下、本発明を
図1〜15に示す実施例1と、
図16〜28に示す実施例2とを図面に基づいて説明する。又、本発明の他の形態例を
図29,30,31,32に示している。いずれも、遊技場のメダルの研磨装置の例である。
【0027】
(実施例1の概要)
図1〜15に示す実施例1は、本発明の請求項1,2,4,5,6,7,8,9,10,12を実施する発明で、上下回転ブラシ2,3それぞれのブラシ毛先端の円軌跡内に挿入する平面状の網体としてラス網8を使用し、同下方のラス網8を下方の回転ブラシ3のブラシ毛3
3の先端の円軌跡内に円軌跡の一部を弓とすると弦の如く水平に挿入され、同下方のラス網8は網体支持体17上に載置し、同ラス網8の上面(内面)からブラシ毛3
3の毛先端の最大挿入長さは5mm程である。同網体支持体17を研磨室18内側の研磨室壁18
1に張り出させた受梁18
3に載置することで下方のラス網(網体)8を取り外し自在としている。上方回転ブラシ2には同じラス網8を複数の列設した回転ブラシ2の上端に載せている。そして、放出された剥離・分離したゴミ類の収集装置7として空気負圧による空気吸引流で集め、途中でフィルター袋7
6で捕捉する構造のものを採用している。更に、実施例1はメダル類の1次研磨装置として回転盤式1次清掃装置10を本発明の回転ブラシ2,3による研磨の前段のメダルの清掃装置として設けている。
【0028】
(実施例2の概要)
図16〜28に示す実施例2は、実施例1において上方の列設した回転ブラシ2の上端に載置するものをラス網8に代えて砥石板9を上方に載置したものであり、他は実施例1と同様な構造・動作を有している。砥石板9でブラシ毛に付着したゴミ類の剥離を行うとともに、上方回転ブラシ2のブラシ毛先端を研磨して、ブラシ毛先端のエッジを確保して、回転ブラシによる清掃力を高めるようにしている例である。
【0029】
(その他の本発明の態様例)
図29に示す例は、網体の大部分が下方の回転ブラシ3のブラシ毛の先端の回転軌跡内にあって、回転ブラシの回転軸又はその近くに曲率中心があるように略円弧状に湾曲した形状の実施例3のG
3の例である。この網体では網目空間への深い挿入回数を多く繰り返すことで、擦ぎ剥離を強くできる。他の構造・作用効果は実施例1のものと同様である。
更に、
図30には下方の回転ブラシの研磨室下部に収集装置として放出された剥離・分離したゴミ類を受けとる受皿を取り外し自在に取り付け、実施例1,2の収集装置7の他例を示している。収集装置が空気吸引方式から落下物受の受皿30に代わるだけである。しかし、収集能力は受皿方式のものは空気吸引方式の収集装置7の能力に比べかなり弱い例である。他の構造・作用効果は実施例1と同じである。
更に、本発明の網体の形状・挿入状態の他の例として、
図31,32の例を示している。
図31の網体の例は、平面的な網体8を下方の回転ブラシ3のブラシ毛先端の円軌跡に対し、斜め直線的に深くなるように差し込んだ例である。又、この網体8は下方の取り外し可能な網体支持体17に熔着されている。又、上方の網体8はスプリングで弾支している。他は実施例1と同様な構造とした例である。
図32の網体の例は、下方の回転ブラシ3のブラシ毛の最下端において最も深くなるように下方に曲率中心があるように湾曲した網体8を下方の取り外し可能な網体支持体17に熔着させた例であり、他は実施例1と同様な構造・作用効果とした例である。
上記の
図31,32に示す網体でも、回転ブラシに付着したゴミ類をブラシ毛から剥離・分離することもできる。
【0030】
(本実施例における図面の符号及び構造の説明)
実施例1,2,その他の態様例で共通の構造・部材に対して共通の用語と符号を用いている。
図中G
1は実施例1のメダル類の研磨装置、G
2は実施例2のメダル類の研磨装置、G
3はその他の本発明のメダル類の研磨装置である。図中、mは遊技場のスロットル機で使用するメダル、1はメダルmの研磨室18における搬送路、2,3は同搬送路の上下に配置した回転ブラシ、2
1,3
1は同回転ブラシのブラシ毛を植毛した円筒ロール、2
2,3
2は各回転ブラシの回転軸、2
3,3
3は円筒ロール2
1,3
1の外周面に植毛されたブラシ毛、2
31,3
31はブラシ毛2
3,3
3の先端のエッジ、2
32,3
32はブラシ毛2
3,3
3の先端部に付着したゴミ汚れ、2
33,3
33はブラシ毛2
3,3
3の先端の研磨によって磨耗した丸味、2
4,3
4は回転軸2
2,3
2に軸着した平ギア、2
5はモータ5の出力軸に軸着したベルト車、2
6は回転ブラシ2,3の先端の円軌跡、3
5は同平ギア2
4に軸着したベルト車、4はモータ5の回転力をベルト車3
5に伝達する伝達ベルト、5はモータである。
【0031】
6は研磨室18から研磨後のメダルを吐出する排出シュート部、7はゴミ類の収集装置、7
1はその空気吸引口、7
2は収集装置本体、7
3は排気口、7
4は空気路、7
5はファン、7
6は空気路7
4の途中に設けたゴミ類を捕捉するフィルター袋、8は網体である金属製のラス網、8
1はラス網8の6mmピッチの間隔で平行に多数本配置された第1の1mm程の厚みの網部材、8
2はラス網8の6mmピッチの間隔で平行に多数本重ねて配置された第2の網部材であり、第1と第2の網部材8
1,8
2の交差点は溶着されている。8
3はラス網8の第1と第2の網部材8
1,8
2で囲まれている網目空間で、一辺が7mm程の菱型形状であり、ラス網8の第1と第2の網部材8
1,8
2の交差角度は55°,125°程である。
【0032】
9は実施例2における列設された上方回転ブラシ2のブラシ上端に載置される砥石板、9
1はその砥石層、9
2は砥石板9の開口、10は本発明の要部の回転ブラシ2,3による研磨の前に行う回転盤11の上面のブラシ毛12と環状ケーシング部13
3のブラシ毛14でメダルmを清掃研磨する回転盤式1次清掃装置である。11は回転盤、11
1は同回転盤11の中央部のメダル受面、11
2は回転盤11の回転軸、12は回転盤11の外周側上面に植毛したブラシ毛、13は回転盤式1次清掃装置10の装置ケーシング、13
1はメダルmの投入口、13
2は固定フレーム、13
3は環状ケーシング部、14は同環状ケーシング部の下面に植毛したブラシ毛、15は回転盤11を回転させるモータ、15
1は同モータの回転力を回転軸11
2に伝達する伝達ベルト、16は回転盤式1次清掃装置10のメダルmを吐出するメダル送出口、17は網体支持体、17
1,17
2は網体支持体17を構成する縦横の板材、18は本発明の要部の回転ブラシ2,3による研磨を行う研磨室、18
1は同研磨室を形成する研磨室壁である。
【0033】
18
3は網体支持体17を支持する研磨室壁18
1の内側に張り出した受梁、18
4は研磨室18の天井面の空気吸引口、18
5は実施例2の砥石板9と研磨室壁18
1との緩衝ゴムである。20は搬送路1の途中のメダルガイド、21は同メダルガイド20の噛状の突出部22がある先端部、22は同突出部である。
【0034】
(実施例1の動作)
図1〜15に示される実施例1では、使用されたメダルmは回転盤式1次清掃装置10の投入口13
1からランダムに投入する。投入されたメダルmは回転盤11の中央領域のメダル受面11
1で受けられる。回転盤11はモータ15で高速回転していて回転盤11のメダル受面11
1及びその外周領域に置かれたメダルmは回転による遠心力が作用し、メダルmは半径方向に(螺旋的軌跡でもって)加速されて、回転盤11の下側ブラシ毛12と固定フレーム13
2の上側ブラシ毛14との間を通過して又環状ケーシング部13
3の内面に拘束されて、ブラシ毛12,14によってブラッシングを受けて一次的に清掃され、適当なタイミングでメダル送出口16からメダルを搬送路1へ送り出される。
この回転盤式1次清掃装置10によってメダルmは1次的にかなり清掃される。
【0035】
搬送路1に送り出されたメダルmは、本発明の要部の上下対の回転ブラシ2,3による研磨室18へ送られる。ここでは、上下対の回転ブラシ2,3が回動されている。
回転ブラシ2,3の回動は
図3に示している。モータ5の出力軸に取付けたベルト車2
5と回転ブラシ2,3の回転軸3
2に取付けたベルト車3
5とを伝達ベルト4で伝動し、上下の回転ブラシ2,3はその円筒ロール2
1,3
1の回転軸2
2,3
2に軸着した平ギア2
4,3
4の噛合で、上下一対の回転ブラシ2,3は互に反対方向に回転させている。
【0036】
搬送路1に送り込まれたメダルmは上下対向の回転ブラシ2,3のブラシ毛2
3,3
3間の搬送路1を通過する過程で、上下のブラシ毛2
3,3
3によってメダルmの表面・裏面の凹凸の隅までブラシ毛の先端が刺し込まれてこの隅にある1次清掃で除去されないで残っているゴミ・汚れ・粒子をブラシ毛2
3,3
3の毛先で掻き出してこれら付着物をメダルmから剥離し、又そのブラシ毛2
3,3
3の変形による弾性力で剥離物を外周へ飛散・放出させる。この状態を
図8に示している。
この上下の回転ブラシ2,3は搬送路1に沿って2組設けることで充分に回転ブラシ2,3によるメダルmの2次清掃を行う。
【0037】
回転ブラシ2,3によるメダルmの清掃と研磨により、メダルmに付着したゴミ類は剥離・分離物として外周に放出される。一方、回転ブラシ2,3の先端部にも剥離・分離物のゴミ類が付着する。
回転ブラシ2,3のブラシ毛2
3,3
3は、使用開始時は
図9(a)の如くブラシ毛2
3,3
3の毛先はブラシ毛を直角の切断面を有し、エッジ2
31,3
31を有しているが、使用していると
図9(b)の如くエッジ2
31,3
31にゴミ汚れ2
32(3
32)が付着したり、又丸味2
33,3
33を帯びてきてブラシ毛2
3,3
3の剥離力が低下する。
【0038】
本実施例1では、回転ブラシ2,3のブラシ毛2
3,3
3がラス網8と接触して網部材8
1,8
2を擦って付着したゴミ類を剥離・分離する。そのラス網8の網目空間は菱型で、その一辺は7mm程で、交差角度は55°,125°である。これによって、
図9(c)の如くブラシ毛2
3,3
3の毛先の付着物のゴミ類の剥離と分離と除去によってブラシ毛の剥離力を高く維持できる。
【0039】
詳しく説明すると、実施例1では、上下の回転ブラシ2,3のいずれにもラス網8がブラシ毛先端の円軌跡2
6に対し弦のように差し込まれている。ラス網8の網面から最大寸法6mm程挿入されるようにある。回転しているブラシ毛2
3,3
3の先端部はラス網8に接触すると、変形してラス網8の網面に沿って移動する。この際に、ブラシ毛2
3,3
3は網部材8
1,8
2の突出部と擦ってブラシ毛2
3,3
3に付着したゴミ類を剥離・分離させる。又、ブラシ毛2
3,3
3が網目空間8
3に挿入されて移動し、55°又は125°の交差点にブラシ毛2
3,3
3は集まって、同ブラシ毛に付着したゴミ類は二つの網部材8
1,8
2の交差点に挟まれるように擦りながら、網目空間8
3から離脱するが、この交差点で強く擦られることからゴミ類の剥離・分離力は強力になされる。そして、ブラシ毛2
3,3
3は網面と網目空間8
3の交差点で繰り返し擦られることで、付着したゴミ類を充分に剥離・分離できる。そして、剥離・分離したゴミ類はブラシ毛外周空間に放出され、負圧吸引式の収集装置7の負圧によって空気吸引口7
1へ誘導され、空気路7
4に流入し、途中のフィルター袋7
6によって捕捉される。更に、回転ブラシのブラシ毛が網体の網部材8
1,8
2との接触時の衝撃によってブラシ毛が振動してブラシ毛に付着したゴミ類を分離・放出する。
【0040】
下方の2個の回転ブラシ3に水平に挿入されるラス網8は、その下方の網体支持体17に載置されている。同網体支持体17は縦横の縦の板材17
1,17
2を直角に組み合せられて連結されていて、研磨室18の研磨室壁18
1の受梁18
3上に載置され、下方の回転ブラシ3の回転しているブラシ毛3
3によってラス網8が打撃されても、充分にその振動荷重に耐えている。
又、上方の2個列設の回転ブラシ2のブラシ毛2
3の上にラス網8が載置され、ブラシ毛2
3の毛先端の円軌跡の上端から重さで少し沈むように載置され、ラス網8を弾支している。
【0041】
本実施例2では上方の2組の回転ブラシ2の上には実施例1のラス網8に代えてブラシ砥石板9がのっていて、回転ブラシ2のブラシ毛2
3が回転してブラシ砥石板9の下面の砥石層9
1に接触して、ブラシ毛2
3の毛先端を研磨してエッジを回復させる。ブラシ毛2
3が何回か回転すれば砥石層9
1と確実に接触して、ブラシ毛の毛先端を研磨させてエッジを回復させる。
【0042】
2組の回転ブラシ2,3でメダルmの表面から剥離して空気中に放出したゴミ・汚れ・粒子及び上記砥石板9又はラス網8から放出されるゴミ類は、この回転ブラシ2,3の下方位置にある収集装置7の空気吸引口7
1があり、ファン7
5によって負圧にされているので、回転ブラシ2,3等によって空気中に浮遊・飛散している剥離物、又はブラシ毛等に軽く再付着した剥離物は空気吸引口7
1の負圧によって吸引され、収集装置本体7
2の内部にあるフィルター袋7
6によって収容され、空気のみ排気口7
3から大気へ戻される。フィルター袋7
6の収集された剥離物が満杯となればフィルター袋7
6は外されて捨てられ、新しい空のフィルター袋7
6と交換される。又、収集装置7の負圧吸引が円滑にいくように、研磨室18の天井壁には空気吸引口18
4が、実施例2では砥石板9には開口9
2が設けられて吸引を容易にしている。
【0043】
図29に示す実施例3は、実施例1の下方回転ブラシ3に挿入する平面状のラス網8に代えて回転ブラシ3の回転軸3
2と略同じ回転中心の曲率中心を有する湾曲した円軌跡3
6の内側6mm深くに配置された湾曲面状のラス網8を配置した例で、他は実施例1の構造と動作と同じである。この実施例3では、円軌跡3
6の広い角度範囲で回転ブラシ3のブラシ毛3
3をラス網8に接触させて長く擦り剥離をさせる例であり、本発明ではラス網8は平面ばかりでなく湾曲面状のものでも使用可能であることを示す。
【0044】
図30に示す実施例は他の収集装置の例であり、実施例1,2におけるゴミ類の収集手段が吸引式の収集装置7に代えてゴミ類を自然落下させ、下方のゴミ回収用受皿30に貯える方法である。ゴミ類の回収方法がシンプルにした例であり、ゴミ類の収集以外の構成及び受皿30によるゴミ類の収集力が負圧吸引式に比べ低い点を除いて、その他構造・作用効果は実施例1と同様である。
図31,32の例は網体の他の形態例を示すもので、これも本願発明に含まれるものである。