特許第6473515号(P6473515)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6473515
(24)【登録日】2019年2月1日
(45)【発行日】2019年2月20日
(54)【発明の名称】ヘアピン状の熱交換チューブ整列装置
(51)【国際特許分類】
   B21D 53/08 20060101AFI20190207BHJP
   B21D 43/00 20060101ALI20190207BHJP
   F28F 1/32 20060101ALN20190207BHJP
【FI】
   B21D53/08 H
   B21D43/00 V
   B21D43/00 M
   !F28F1/32 A
【請求項の数】6
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2017-548591(P2017-548591)
(86)(22)【出願日】2015年11月6日
(86)【国際出願番号】JP2015081295
(87)【国際公開番号】WO2017077635
(87)【国際公開日】20170511
【審査請求日】2018年2月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】390034809
【氏名又は名称】日高精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】特許業務法人綿貫国際特許・商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】森下 圭一
(72)【発明者】
【氏名】西沢 準一
【審査官】 石川 健一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−132163(JP,A)
【文献】 特許第3315151(JP,B2)
【文献】 特開平11−028626(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 53/08
B21D 43/00
F28F 1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱交換器用の積層フィンに挿入するヘアピン状の熱交換チューブを整列させる整列装置であって、
ヘアピン状の熱交換チューブを製造するヘアピン状の熱交換チューブベンダーから、水平方向に送り込まれる複数本のヘアピン状の熱交換チューブを、各ヘアピン状の熱交換チューブの2本の脚部が互いに上下方向に向くようにした状態で収納する溝部を有する複数のヘアピン状の熱交換チューブ受け部と、
各前記溝部に収納された各ヘアピン状の熱交換チューブの2本の脚部のうち、下方に位置する脚部を中心にヘアピン状の熱交換チューブを回転させ、各ヘアピン状の熱交換チューブの2本の脚部がそれぞれ水平面内に位置した状態にさせる複数の位置決め部と、
該位置決め部によって位置決めされたヘアピン状の熱交換チューブの2本の脚部の幅が、挿入すべき積層フィンの透孔の間隔と一致するように2本の脚部の両側を挟み込む複数のガイド部と、を具備することを特徴とするヘアピン状の熱交換チューブ整列装置。
【請求項2】
隣接するヘアピン状の熱交換チューブ間の幅を、挿入する透孔の幅と一致させるように、各前記ヘアピン状の熱交換チューブの配列方向に各前記ガイド部を移動させるガイド部移動装置を具備することを特徴とする請求項1記載のヘアピン状の熱交換チューブ整列装置。
【請求項3】
隣接するヘアピン状の熱交換チューブの間の幅を、挿入する透孔の幅と一致させるように、各前記ヘアピン状の熱交換チューブの配列方向に各前記位置決め部を移動させる位置決め部移動装置を具備することを特徴とする請求項1記載のヘアピン状の熱交換チューブ整列装置。
【請求項4】
前記ガイド部移動装置は、
各前記ガイド部の各々を連結して、各前記ヘアピン状の熱交換チューブの間隔を同時に同じ幅となるように移動させるリンク機構を有することを特徴とする請求項2記載のヘアピン状の熱交換チューブ整列装置。
【請求項5】
前記位置決め部移動装置は、
各前記位置決め部の各々を連結して、各前記ヘアピン状の熱交換チューブの間隔を同時に同じ幅となるように移動させるリンク機構を有することを特徴とする請求項3記載のヘアピン状の熱交換チューブ整列装置。
【請求項6】
前記ヘアピン状の熱交換チューブ受け部の各前記溝部を構成する2枚の側壁のうち一方の側壁は、収納されるヘアピン状の熱交換チューブの上端よりも上方に突出しており、且つヘアピン状の熱交換チューブの上端よりも上方に突出した部位は、収納されるヘアピン状の熱交換チューブの上端を覆う方向に傾斜して形成されており、
前記位置決め部と前記ヘアピン状の熱交換チューブ受け部とは相対的に接離動可能となるように、前記位置決め部と前記ヘアピン状の熱交換チューブ受け部の少なくともいずれか一方には、上下動装置が設けられ、
前記位置決め部は、前記溝部に収納されているヘアピン状の熱交換チューブの2本の脚部のうち下方に位置する一方の脚部を収納する位置決め溝が設けられ、
前記上下動装置の動作によって、前記位置決め溝が前記溝部に収納されている前記一方の脚部を上方に押圧し、他方の脚部が前記一方の側壁の傾斜した部位に当接することによって前記一方の脚部を中心に各ヘアピン状の熱交換チューブの2本の脚部が水平方向に向くようにヘアピン状の熱交換チューブが回転することを特徴とする請求項1〜請求項5のうちのいずれか1項記載のヘアピン状の熱交換チューブ整列装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層されたフィンに挿入されるヘアピン状の熱交換チューブを、挿入装置へ送る前に整列させる整列装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図24に示すように、クーラー等の熱交換器は、透孔11が形成されたフィン9を複数枚積層してなる積層フィン10の透孔11に、熱媒体を流通させる熱交換用パイプが挿入されて構成される。熱交換用パイプとしては、銅管を中央部においてU字状に曲げて形成したヘアピン状の熱交換チューブ20が用いられる。
【0003】
ヘアピン状の熱交換チューブ20はパイプ曲げ装置であるベンダーから排出され、中央で曲げられた箇所である曲げ部21をロッドに掛け、ヘアピン状の熱交換チューブ挿入装置へ移送される。
図25には、ヘアピン状の熱交換チューブ挿入装置5の背面側に挿入前のヘアピン状の熱交換チューブ20をロッド6にかけて貯留させているところを示す(特許文献1の図5参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3315151号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来は、成形されたヘアピン状の熱交換チューブは、曲げ部においてロッドに掛けてヘアピン状の熱交換チューブ挿入装置へ移送されていた。しかし、単に曲げ部で掛けられた状態では、そのまま積層フィンへ送り込もうとしても、透孔への位置合わせが困難である。
すなわち、ヘアピン状の熱交換チューブは、それぞれの脚部が広がっていたり、捻じれている場合があり、透孔のピッチと同じ幅になっていないことが多い。そして、ヘアピン状の熱交換チューブの曲げ部を透孔のピッチと同じとなるように揃えたとしても、脚部が広がっていれば隣接する脚部と重なってしまう。
【0006】
特に、ヘアピン状の熱交換チューブを水平面上に配置し、ヘアピン状の熱交換チューブを水平方向に移動させるか又は積層フィンを水平方向に移動させて積層フィンにヘアピン状の熱交換チューブを挿入するヘアピン状の熱交換チューブ挿入装置の場合においては、曲げ部をロッドに掛けた状態からヘアピン状の熱交換チューブ挿入装置に搬送するまでに、ヘアピン状の熱交換チューブの向きを変更し、且つ透孔に対する位置決めなどを行って整列させる必要がある。
【0007】
そこで、本発明は上記課題を解決すべくなされ、その目的とするところは、ベンダーからヘアピン状の熱交換チューブ挿入装置に至る間でヘアピン状の熱交換チューブを整列させることができる整列装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明にかかるヘアピン状の熱交換チューブ整列装置によれば、熱交換器用の積層フィンに挿入するヘアピン状の熱交換チューブを整列させる整列装置であって、ヘアピン状の熱交換チューブを製造するヘアピン状の熱交換チューブベンダーから、水平方向に送り込まれる複数本のヘアピン状の熱交換チューブを、各ヘアピン状の熱交換チューブの2本の脚部が互いに上下方向に向くようにした状態で収納する溝部を有する複数のヘアピン状の熱交換チューブ受け部と、各前記溝部に収納された各ヘアピン状の熱交換チューブの2本の脚部のうち、下方に位置する脚部を中心にヘアピン状の熱交換チューブを回転させ、各ヘアピン状の熱交換チューブの2本の脚部がそれぞれ水平面内に位置した状態にさせる複数の位置決め部と、該位置決め部によって位置決めされたヘアピン状の熱交換チューブの2本の脚部の幅が、挿入すべき積層フィンの透孔の間隔と一致するように2本の脚部の両側を挟み込む複数のガイド部と、を具備することを特徴としている。
この構成を採用することによって、各ヘアピン状の熱交換チューブは下方に位置する脚部を中心に回転して位置決めされ、各脚部を水平方向に向けた状態で整列させることができる。
【0009】
また、隣接するヘアピン状の熱交換チューブ間の幅を、挿入する透孔の幅と一致させるように、各前記ヘアピン状の熱交換チューブの配列方向に各前記ガイド部を移動させるガイド部移動装置を具備することを特徴としてもよい。
この構成によれば、各ヘアピン状の熱交換チューブ間の間隔を透孔の間隔と一致させるので、この状態で積層フィンへ挿入ができるように整列可能である。
【0010】
また、隣接するヘアピン状の熱交換チューブの間の幅を、挿入する透孔の幅と一致させるように、各前記ヘアピン状の熱交換チューブの配列方向に各前記位置決め部を移動させる位置決め部移動装置を具備することを特徴としてもよい。
この構成によれば、各ヘアピン状の熱交換チューブ間の間隔を透孔の間隔と一致させるので、この状態で積層フィンへ挿入ができるように整列可能である。
【0011】
また、前記ガイド部移動装置は、各前記ガイド部の各々を連結して、各前記ヘアピン状の熱交換チューブの間隔を同時に同じ幅となるように移動させるリンク機構を有することを特徴としてもよい。
【0012】
また、前記位置決め部移動装置は、各前記位置決め部の各々を連結して、各前記ヘアピン状の熱交換チューブの間隔を同時に同じ幅となるように移動させるリンク機構を有することを特徴としてもよい。
【0013】
また、前記ヘアピン状の熱交換チューブ受け部の前記溝部を構成する2枚の側壁のうち一方の側壁は、収納されるヘアピン状の熱交換チューブの上端よりも上方に突出しており、且つヘアピン状の熱交換チューブの上端よりも上方に突出した部位は、収納されるヘアピン状の熱交換チューブの上端を覆う方向に傾斜して形成されており、前記位置決め部と前記ヘアピン状の熱交換チューブ受け部とは相対的に接離動可能となるように、前記位置決め部と前記ヘアピン状の熱交換チューブ受け部の少なくともいずれか一方には、上下動装置が設けられ、前記位置決め部は、前記溝部に収納されているヘアピン状の熱交換チューブの2本の脚部のうち下方に位置する一方の脚部を収納する位置決め溝が設けられ、前記上下動装置の動作によって、前記位置決め溝が前記溝部に収納されている前記一方の脚部を上方に押圧し、他方の脚部が前記一方の側壁の傾斜した部位に当接することによって前記一方の脚部を中心に各ヘアピン状の熱交換チューブの2本の脚部が水平方向に向くようにヘアピン状の熱交換チューブが回転することを特徴としてもよい。
この構成によれば、ヘアピン状の熱交換チューブの下方に位置する脚部を中心に位置決めする動作を容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明のヘアピン状の熱交換チューブ整列装置によれば、ベンダーからヘアピン状の熱交換チューブ挿入装置に至る間でヘアピン状の熱交換チューブを整列させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】ヘアピン状の熱交換チューブの平面図である。
図2】第1の実施形態のヘアピン状の熱交換チューブ整列装置を構成する第1整列装置の位置決め動作前の側面図である。
図3図2に示す第1整列装置の正面図である。
図4図2に示す第1整列装置の平面図である。
図5】ヘアピン状の熱交換チューブの位置決め動作の開始後の説明図である。
図6】ヘアピン状の熱交換チューブの位置決め動作中の説明図である。
図7】ヘアピン状の熱交換チューブの位置決め動作終了後の説明図である。
図8】第1整列装置のヘアピン状の熱交換チューブの位置決め動作終了後の側面図である。
図9図8に示す第1整列装置の正面図である。
図10図8に示す第1整列装置の平面図である。
図11】移送装置動作前の状態を示す説明図である。
図12】移送装置による移送動作中を示す説明図である。
図13】ヘアピン状の熱交換チューブ整列装置を構成する第2整列装置のピッチ調整前の平面図である。
図14図13に示す第2整列装置の背面図である。
図15】第2整列装置のピッチ調整後の平面図である。
図16図15に示す第2整列装置の背面図である。
図17】第2の実施形態のヘアピン状の熱交換チューブ整列装置を構成する第1整列装置の平面図である。
図18図17のヘアピン状の熱交換チューブ整列装置の正面図である。
図19】ヘアピン状の熱交換チューブ受け部と位置決め部の正面図である。
図20】第2の実施形態のヘアピン状の熱交換チューブ整列装置の側面図である。
図21図20に示すヘアピン状の熱交換チューブ整列装置の位置決め動作終了後の側面図である。
図22】第2整列装置の平面図である。
図23図22に示す第2整列装置の背面図である。
図24】ヘアピン状の熱交換チューブの積層フィンへの挿入を示す説明図である。
図25】従来のヘアピン状の熱交換チューブを挿入装置で挿入する前の状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本実施形態に係るヘアピン状の熱交換チューブ整列装置(以下、単に整列装置と称する)を図面に基づいて説明する。
まず、図1にヘアピン状の熱交換チューブの平面図を示す。
ヘアピン状の熱交換チューブ20は銅管等の熱伝導性の高い材質の金属管であり、中央の曲げ部21においてU字状に曲げたものである。
ヘアピン状の熱交換チューブ20は、ベンダー(図示せず)によって、U字状に曲げたものであるため、その弾性力によって脚部22が広がっていることが多く、また曲がりや捻じれも発生していることがある。そこで、ベンダーから積層フィンへの挿入装置に移送される前に、本実施形態のような整列装置によって整列することが必要となる。
【0017】
(第1の実施形態)
本実施形態の整列装置は、第1整列装置40と、第2整列装置50によって構成されている。
第1整列装置の側面図を図2に示し、正面図を図3に示す。
第1整列装置40は、ベンダー(図示せず)によって製造されて放出されるヘアピン状の熱交換チューブ20を受け取る位置に配置されており、ヘアピン状の熱交換チューブ20を受け取るヘアピン状の熱交換チューブ受け部42を有している。ヘアピン状の熱交換チューブ受け部42は、ヘアピン状の熱交換チューブ20の2つの脚部22が上下方向に向いた形で収納する溝部44が形成されている。ベンダーは、ヘアピン状の熱交換チューブ20の2つの脚部を上下方向に向いた形になるように管を折り曲げるので、ヘアピン状の熱交換チューブ受け部42は、2つの脚部22が上下方向に向いた形で収納するのである。
【0018】
溝部44は、ヘアピン状の熱交換チューブ20の左右両側を挟む2枚の側壁を有しており、一方の側壁44aは収納されるヘアピン状の熱交換チューブ20の上端よりも上方に突出している。そして、一方の側壁44aのヘアピン状の熱交換チューブ20の上端よりも上方に突出している部位45は、収納されるヘアピン状の熱交換チューブ20の上端を覆う方向に傾斜して形成されている。
他方の側壁44bの上端部は、収納されるヘアピン状の熱交換チューブ20の高さ方向に対して中央よりも高い位置に形成されており、ヘアピン状の熱交換チューブ20が倒れないようにしている。
【0019】
溝部44に収納されたヘアピン状の熱交換チューブ20の先端である曲げ部21が当接する位置にストッパー41が設けられている。ベンダーから放出されたヘアピン状の熱交換チューブ20は、放出方向の先端の曲げ部21がストッパー41に当接し、移動が停止する。そして、ストッパー41によって、ヘアピン状の熱交換チューブ20の曲げ部21の位置を揃えることができる。
【0020】
溝部44は、正面から見て(ベンダーから見て)水平方向に沿って複数配置されている。溝部44の配置数は、ベンダーから払い出されるヘアピン状の熱交換チューブ20の数に合わせるとよい。
また、溝部44を有するヘアピン状の熱交換チューブ受け部42は、側面から見てヘアピン状の熱交換チューブ20の軸線方向に沿って2か所に設けられている。ただし、ヘアピン状の熱交換チューブ受け部42の数は2か所に限定するものではない。
【0021】
上述した ヘアピン状の熱交換チューブ受け部42及びストッパー41は、基板53上に配置されている。基板53の下方には後述する位置決め部48が設けられている。
【0022】
第1整列装置40には、各溝部44に収納された各ヘアピン状の熱交換チューブ20の2本の脚部22のうち、下方に位置する脚部22を中心に回転させて位置決めする位置決め部48が、 基板53の下方に配置されている。
【0023】
位置決め部48全体は、正面から見て板状のプレートであり、このプレートの上端部にはヘアピン状の熱交換チューブ20の下方の脚部22を収納可能な位置決め溝47が形成されている。
また、プレートの上端部において、隣り合う位置決め溝47と位置決め溝47との間は、回転させたヘアピン状の熱交換チューブ20の回転中心ではない側の脚部22(溝部44に収納されていたときに上方に位置していた脚部)を載置するための水平面である配置面56が形成されている。
【0024】
そして、この位置決め部48と、ヘアピン状の熱交換チューブ受け部42とを相対的に接離動させる接離動機構が設けられている。本実施形態における接離動機構としては、ヘアピン状の熱交換チューブ受け部42を上下動させる上下動機構52を採用している。上下動機構52は、電動アクチュエータ、エアシリンダー、油圧シリンダー等を採用することができる。
基板53に対して上下動機構52のロッド54は、上下方向に沿って取り付けられている。上下動機構52が駆動することによって、基板53が上下動し、位置決め部48に対してヘアピン状の熱交換チューブ受け部42が接離動する。
【0025】
位置決め部48は、側面から見てヘアピン状の熱交換チューブ20の軸線方向に沿って3か所に設けられている。ただし、位置決め部48の数は3か所に限定するものではない。
また、基板53には、位置決め部48が配置されている位置に、位置決め部48を通過できるように貫通穴59が形成されている。このため基板53が下降していくと、貫通穴59から位置決め部48が突出できる。
【0026】
次に、図5図7に示したヘアピン状の熱交換チューブの位置決め動作の説明図、及び図8〜10に示したヘアピン状の熱交換チューブを位置決めした後の第1整列装置の側面図、正面図、平面図に基づいて、位置決め動作を説明する。
【0027】
上下動機構52を駆動して基板53を下降させると、基板53の貫通穴59から位置決め部48が突出する。そして、位置決め部48の位置決め溝47に、ヘアピン状の熱交換チューブ20の下側に位置する脚部22が進入する。
さらに基板53の下降を続けると、位置決め溝47によってヘアピン状の熱交換チューブ20の下側の脚部22が上方に押圧され、ヘアピン状の熱交換チューブ20の上側に位置する脚部22が、一方の側壁44aの傾斜している部位45に当接する。ヘアピン状の熱交換チューブ20の上側に位置する脚部22は、傾斜している部位45の傾斜面に沿って傾斜方向に移動する。すなわち、ヘアピン状の熱交換チューブ20は位置決め溝47内に位置する下側の脚部22を中心にして、正面視すると反時計回りに回転する。
【0028】
下側の脚部22を中心にして回転するヘアピン状の熱交換チューブ20は、上側の脚部22が、側壁44aの傾斜している部位45を離れ、そのまま自重で回転して、最終的に水平面となっている配置面56に配置される。ヘアピン状の熱交換チューブ20が水平に配置された後も、位置決め部48の位置決め溝47は、下方に配置されていた脚部22をそのまま収納しており、この位置決め溝47に収納された脚部22を中心にヘアピン状の熱交換チューブ20が位置決めされる。
【0029】
次に、第1整列装置40から、位置決めされた複数のヘアピン状の熱交換チューブを第2整列装置50に移送する移送方法について、図11図12に基づいて説明する。
また本実施形態では、第2整列装置50は、第1整列装置40において位置決めされたヘアピン状の熱交換チューブ20の曲げ部21側に配置されているものとする。
【0030】
第1整列装置40において位置決めされた複数のヘアピン状の熱交換チューブ20は、移送装置60によって、第2整列装置50に移送される。
移送装置60は、各ヘアピン状の熱交換チューブ20の曲げ部21近傍内に上方から進入する複数の送りピン62と、複数の送りピン62を連結するように水平方向に延びる連結部64とを有している。この移送装置60は、図示しない直動装置によって水平方向に移動可能である。直動装置としては、電動アクチュエータ、エアシリンダー、油圧シリンダー等を採用することができる。
【0031】
また、移送装置60を上下動させる上下動機構も設けられているが、図示していない。上下動機構としては、直動装置と同様に電動アクチュエータ、エアシリンダー、油圧シリンダー等を採用することができる。
【0032】
続いて、移送動作について説明する。
各ヘアピン状の熱交換チューブ20の位置決め動作が終了すると、移送装置60の上下動機構が動作して、移送装置60が下降し、送りピン62がヘアピン状の熱交換チューブ20の脚部22と脚部22との間に進入する。
次に、直動装置が動作して、移送装置60を第2整列装置50方向に水平面内で移動させる。このとき、各送りピン62は、各ヘアピン状の熱交換チューブ20の曲げ部21の内側に当接して各ヘアピン状の熱交換チューブ20を牽引する。
【0033】
また、第1整列装置40の、第2整列装置50側の端部、すなわちストッパー41の上部には、移送される各ヘアピン状の熱交換チューブ20の上下両面をガイドする押さえ部66が設けられている。押さえ部66は、ヘアピン状の熱交換チューブ20の配置面56と同一平面に形成された下面部67と、ヘアピン状の熱交換チューブ20の上面に当接する上面部68とを有している。また、送りピン62が上面部68を通過できるように、上面部68には切り欠き部69が形成されている。
【0034】
移送装置60によって牽引された各ヘアピン状の熱交換チューブ20は、押さえ部66の下面部67と上面部68の間に進入し、上下方向を押さえられながら第2整列装置50へ移送される。これにより、ヘアピン状の熱交換チューブ20は上下方向へのねじれを押さえ込まれて移送される。
【0035】
次に、図13図14に基づいて第2整列装置50について説明する。
第2整列装置50は、ヘアピン状の熱交換チューブ20の2本の脚部22の幅を、挿入対象の透孔の幅と一致させるように2本の脚部の両側を挟み込む、ガイド部70が1つのヘアピン状の熱交換チューブ20に対して複数設けられている。本実施形態では、1つのヘアピン状の熱交換チューブ20に対して、軸線方向に沿って4つのガイド部70が設けられている。ガイド部70は、進入してくるヘアピン状の熱交換チューブ20の脚部22の両側を挟み込み、挿入対象となる積層フィンの透孔の幅とヘアピン状の熱交換チューブ20の脚部22どうしの間隔をそろえている。
また、図13では、横方向に7本のヘアピン状の熱交換チューブが整列する例を示しているので、横方向に7列のガイド部70が配置される。
【0036】
各ガイド部70は、上方が開口したC字状に形成されており、移送装置60の送りピン62が、ガイド部70の開口部分を通過してヘアピン状の熱交換チューブ20をガイド部70内に進入させる。
なお、隣り合うヘアピン状の熱交換チューブ20を保持するガイド部70どうしの間隔を、挿入対象の透孔の幅と一致するよう、横方向に7列配置されている各ガイド部70を、列間の距離を縮めるように、列単位で横方向に移動させる機構が設けられている。
【0037】
各ガイド部70を列単位で横方向に移動させる機構について説明する。
図13及び図14に示すように、平面視及び背面視(背面とは、移送装置60による移送方向先頭面)したときに、列ごとのガイド部70のうちいずれかの列は、固定ブロック71によって、基台79に固定されている。なお、本実施形態では、図13及び図14における右端のガイド部70の列を、固定ブロック71により基台79に固定している。つまり、ガイド部70の下端部とガイド部70の下方に位置する基台79との間を固定ブロック71で連結している。また、1つの列に複数設けられているガイド部70は、ヘアピン状の熱交換チューブ20の軸線方向に延びる1つの固定ブロック71に固定されている。
【0038】
列ごとのガイド部70における、右端以外のガイド部70の下端部には、可動ブロック72が取り付けられている。可動ブロック72は、各列に1つずつ設けられ、各列の複数のガイド部70を1つの可動ブロックに固定している。
【0039】
基台79の上面右端には、上方に突出する右側壁78aが設けられており、基台79の上面左端には、上方に突出する左側壁78bが設けられている。
右側壁78aと左側壁78bの間には、横方向に沿って延びるガイドシャフト88が複数本配置されている。
【0040】
固定ブロック71及び複数の可動ブロック72には、それぞれにガイドシャフト88を貫通する貫通穴が形成されている(図示せず)。貫通穴の径は、可動ブロック72が横方向に自在に移動できるよう、ガイドシャフト88の径に対して若干大きく形成されている。
このガイドシャフト88によって可動ブロック72が基台79の上面から離れた位置で保持されるとともに、横方向に移動できる。
【0041】
可動ブロック72は、リンク機構74及び直動装置76によって横方向に移動可能である。
本実施形態のリンク機構74は、横方向に伸縮する伸縮リンク機構であり、右端の固定ブロック71にリンク機構74の右端部74aが取り付けられ、左端の可動ブロック72にリンク機構74の左端部74bが取り付けられている。
リンク機構74は、菱型のリンク75が横方向に複数連結した形状を有しており、リンク75の枢軸部77が互いに伸縮するような構成となっている。このリンク機構74の枢軸部77が各可動ブロック72に取り付けられている。
【0042】
また、基台79の下方には直動装置76が配置されている。本実施形態の直動装置76としては、ボールネジ80とサーボモータ82を採用しているが、電動アクチュエータ、エアシリンダー、油圧シリンダー等を採用してもよい。
ボールネジ80にはピッチ調整ブロック83が固定されている。そして、このピッチ調整ブロック83は、左端の可動ブロック72に固定されている。サーボモータ82が駆動してボールネジ80を横方向に移動させることで、ピッチ調整ブロック83を介して左端の可動ブロック72が横方向に移動することができる。
【0043】
なお基台79には、ピッチ調整ブロック83が基台79の下方から上方に突出し、横方向に移動できるような開口部86が形成されている。開口部86から突出したピッチ調整ブロック83は、左端列の可動ブロック72の中央部に取り付けられている。
【0044】
図15及び図16に、ヘアピン状の熱交換チューブ20どうしの間隔を縮めてフィンに形成された透孔のピッチに合わせたところを示している。
サーボモータ82を駆動してボールネジ80を介し、ピッチ調整ブロック83はリンク機構74を縮める方向に移動する。すると、ピッチ調整ブロック83に取り付けられている左端の可動ブロック72が固定ブロック71方向に移動する。すなわち、リンク機構74の複数の枢軸部77に取り付けられている各可動ブロック72は、互いの距離を縮めながら固定ブロック71方向に移動する。そして、固定ブロック71の位置、すなわち右端のヘアピン状の熱交換チューブ20の位置を基準として、各ヘアピン状の熱交換チューブ20を透孔のピッチに合わせた間隔に複数のヘアピン状の熱交換チューブ20を整列させることができる。
【0045】
(第2の実施形態)
第2の実施形態では、第1整列装置40内で、複数の位置決め部48を移動させて隣り合うヘアピン状の熱交換チューブ20どうしの間隔を挿入する積層フィンの透孔の間隔と一致させる、位置決め部移動装置を設けている点で、第1の実施形態と異なっている。
【0046】
図17は、第1整列装置の平面図、図18は、第1整列装置の正面図である。図19は、ヘアピン状の熱交換チューブ受け部及び位置決め部の正面図である。図20は、第1整列装置及び第2整列装置を含めた側面図であってヘアピン状の熱交換チューブの位置決め前の状態であり、図21は、第1整列装置及び第2整列装置を含めた側面図であってヘアピン状の熱交換チューブの位置決め後の状態である。
【0047】
第1整列装置40は、ベンダー(図示せず)によって製造されて放出される複数のヘアピン状の熱交換チューブ20を受け取る位置に配置されており、ヘアピン状の熱交換チューブ20を受け取る複数のヘアピン状の熱交換チューブ受け部42を有している。各ヘアピン状の熱交換チューブ受け部42は、ヘアピン状の熱交換チューブ20の2つの脚部22が上下方向に向いた形で収納する溝部44が形成されている。ベンダーは、ヘアピン状の熱交換チューブ20の2つの脚部を上下方向に向いた形になるように管を折り曲げるので、ヘアピン状の熱交換チューブ受け部42は、2つの脚部22が上下方向に向いた形で収納するのである。
【0048】
溝部44に収納されたヘアピン状の熱交換チューブ20の先端である曲げ部21が当接する位置には、ストッパー41が設けられている。ベンダーから放出されたヘアピン状の熱交換チューブ20は、放出方向の先端の曲げ部21がストッパー41に当接し、移動が停止する。そして、ストッパー41によって、ヘアピン状の熱交換チューブ20の曲げ部21の位置を揃えることができる。
【0049】
なお、ストッパー41の上下方向の長さはできるだけ短くすることが好ましい。本実施形態では、第1整列装置40内で位置決めしたヘアピン状の熱交換チューブ20を水平方向に移動させて各ヘアピン状の熱交換チューブ20間のピッチをそろえるので、ヘアピン状の熱交換チューブ20の曲げ部21がストッパー41に当接したままヘアピン状の熱交換チューブ20を水平方向に移動させるとは曲げ部21に大きな負担がかかる。
そこで、ストッパー41の上下方向の長さを短くすることで、後述する上下動台92が下降したときにヘアピン状の熱交換チューブ20の曲げ部21が、ストッパー41が存在しない位置に配置することができ、ヘアピン状の熱交換チューブ20の曲げ部21がストッパー41に当接したままヘアピン状の熱交換チューブ20を水平方向に移動してしまうことを防止できる。
【0050】
また、溝部44は、ヘアピン状の熱交換チューブ20の左右両側を挟む2枚の側壁を有しており、一方の側壁44aは収納されるヘアピン状の熱交換チューブ20の上端よりも上方に突出している。そして、一方の側壁44aのヘアピン状の熱交換チューブ20の上端よりも上方に突出している部位45は、収納されるヘアピン状の熱交換チューブ20の上端を覆う方向に傾斜して形成されている。
他方の側壁44bの上端部は、収納されるヘアピン状の熱交換チューブ20の高さ方向に対して中央よりも高い位置に形成されており、ヘアピン状の熱交換チューブ20が倒れないようにしている。
【0051】
本実施形態の各ヘアピン状の熱交換チューブ受け部42は、ヘアピン状の熱交換チューブ20の軸線方向に沿って延びる板状部材90に一方の側壁44aを取り付けて構成されている。したがって、板状部材90と一方の側壁と44aとの間が、溝部44として機能している。
なお、本実施形態では、1つの板状部材90に対して、2か所に一方の側壁44aを取り付けているが、1つのヘアピン状の熱交換チューブ20に対する溝部44の数は、これに限定するものではない。
【0052】
ヘアピン状の熱交換チューブ受け部42を構成する板状部材90は、第1整列装置40内で上下動する上下動台92に組み込まれている。
上下動台92は、複数のヘアピン状の熱交換チューブ20の整列方向に沿って延びる下部バー94と、下部バー94の上面から上方に延びる支持部95と、支持部95の上端に配置されヘアピン状の熱交換チューブ20の整列方向に沿って延びる中間プレート97と、中間プレート97の上面であってヘアピン状の熱交換チューブ20の整列方向の両端部において上方に向けて突出する固定ガイド99とを有している。
【0053】
固定ガイド99の間には、ヘアピン状の熱交換チューブの整列方向に沿って延びるガイドシャフト100が複数本設けられている。
各ヘアピン状の熱交換チューブ受け部42の板状部材90には、ガイドシャフト100を貫通する貫通穴(図示せず)が形成されており、板状部材90はガイドシャフト100によって支持される。
【0054】
また、下部バー94の幅方向両端部は、それぞれ上下方向に延びる、複数のボールネジ96に接続されている。ボールネジ96は、図示しないモータが接続されて駆動する。
【0055】
上下動台92には、各溝部44に収納された各ヘアピン状の熱交換チューブ20の2本の脚部22のうち、下方に位置する脚部22を中心に回転させて位置決めする位置決め部48が、複数設けられている。
【0056】
位置決め部48は、溝部44内のヘアピン状の熱交換チューブ20の下方の脚部22を収納可能な位置決め溝47及び回転させたヘアピン状の熱交換チューブ20の回転中心ではない側の脚部22(溝部44に収納されていたときに上方に位置していた脚部)を載置するための水平面である配置面56と、が形成されたプレート部104を有している。
【0057】
また、プレート部104には、位置決め部48が位置決め部移動装置(後述する)によって移動したときに、移動方向上流側の隣の位置決め部48に配置されているヘアピン状の熱交換チューブ20の側面及び上面を保持してヘアピン状の熱交換チューブ20の広がりを防止するヘアピン状の熱交換チューブ保持部130が形成されている。ヘアピン状の熱交換チューブ保持部130は、位置決め部移動装置による移動方向上流側に向けて突出する突起状に形成されている。
【0058】
なお、本実施形態ではヘアピン状の熱交換チューブ受け部42は、整列方向に7つ設けられているが、図18の左端のヘアピン状の熱交換チューブ受け部42にはヘアピン状の熱交換チューブ20を配置しないようにしている。理由は、位置決め部移動装置(後述する)によってヘアピン状の熱交換チューブ20間のピッチを調整する際に、図18の左端のヘアピン状の熱交換チューブ受け部42にヘアピン状の熱交換チューブ20が配置されても、このヘアピン状の熱交換チューブ20の側面及び上面を保持してヘアピン状の熱交換チューブ20の広がりやねじれを押さえ込むヘアピン状の熱交換チューブ保持部130が隣に設けられていないためである。
【0059】
プレート部104の下面には、下方に向けて延びるローラ支持シャフト106が設けられている。ローラ支持シャフト106は、中間プレート97に形成された貫通穴107を通して中間プレート97と下部バー94の中間位置にまで延びている。
ローラ支持シャフト106の下端部には、ローラ108と、ローラ108をローラ支持シャフト106に取り付けているローラ取付部109とが設けられている。
【0060】
ローラ取付部109は、ローラ支持シャフト106よりも大径である。ローラ取付部109の上面と、ヘアピン状の熱交換チューブ受け部42の板状部材90の下端面との間にはスプリング110が配置されている。スプリング110は、ローラ支持シャフト106の軸として、ローラ支持シャフト106の周囲に配置される。
【0061】
第1整列装置40の底板111には、底板111から所定の高さにおいて位置決め部48のローラ108を受ける、ローラ受け部112が設けられている。ローラ受け部112は、ヘアピン状の熱交換チューブ20の整列方向に延びる板状の部材であり、その上面は水平方向にフラットな形状となっている。
【0062】
続いて、隣接するヘアピン状の熱交換チューブ20どうしの間隔を挿入対象の積層フィンの透孔の間隔に合わせるため、位置決め部48を移動させる位置決め部移動装置について説明する。
ヘアピン状の熱交換チューブ受け部42の各板状部材90における、ヘアピン状の熱交換チューブ20の軸線方向に沿った両端部のそれぞれにはリンク機構74が設けられている。
【0063】
本実施形態のリンク機構74は、横方向に伸縮する伸縮リンク機構である。図18における左端の板状部材90は、中間プレート97の上面に固定されている。図18における左端以外の他の板状部材90は、ガイドシャフト100に支持されてガイドシャフト100に沿ってヘアピン状の熱交換チューブの整列方向に移動可能である。
【0064】
中間プレート97に固定された左端の板状部材90にリンク機構74の左端部74bが取り付けられ、ガイドシャフト100に沿って移動可能な右端の板状部材90にリンク機構74の右端部74aが取り付けられている。
リンク機構74は、菱型のリンク75が横方向に複数連結した形状を有しており、リンク75の枢軸部77が互いに伸縮するような構成となっている。このリンク機構74の枢軸部77が各板状部材90に取り付けられている。
【0065】
また、中間プレート97の下方には直動装置76が配置されている。本実施形態の直動装置76としては、ボールネジとサーボモータ、電動アクチュエータ、エアシリンダー、油圧シリンダー等を採用することができる。
直動装置76のロッド113の先端部には、ピッチ調整ブロック83が固定されている。ピッチ調整ブロック83は、右端の板状部材90に固定されている。直動装置76が駆動してロッド113を横方向に移動させることで、ピッチ調整ブロック83を介して右端の板状部材90が横方向に移動することができる。
【0066】
次に、第2整列装置50の構成について説明する。図22は第2整列装置の平面図、図23は第2整列装置の背面図である。
第2整列装置50は、第1整列装置40の背面側(ヘアピン状の熱交換チューブ20の曲げ部21側)に設けられている。
第2整列装置50は、第1整列装置40で整列してヘアピン状の熱交換チューブ間のピッチ調整がされた複数のヘアピン状の熱交換チューブ20を第2整列装置50へ移送する移送装置60と、移送装置60によって移送された各ヘアピン状の熱交換チューブ20の2本の脚部22の幅を、挿入対象の透孔の幅と一致させるように2本の脚部の両側を挟み込むガイド部70とが設けられている。
【0067】
移送装置60は、各ヘアピン状の熱交換チューブ20の曲げ部21近傍内に下方から進入する複数の送りピン62と、複数の送りピン62を連結するように水平方向に延びる連結部64とを有している。この移送装置60は、直動装置によって水平方向に移動可能である。本実施形態では、ボールネジ125及びモータ133を採用しているが、直動装置としては、電動アクチュエータ、エアシリンダー、油圧シリンダー等を採用することができる。
【0068】
また、移送装置60を上下動させる上下動装置126も設けられている。上下動装置126としては、直動装置と同様に電動アクチュエータ、エアシリンダー、油圧シリンダー等を採用することができる。上下動装置126は、連結部64の幅方向両端部付近の2か所に設けられている。
上下動装置126は、基台部128の上面に配置されている。また基台部128の下面にはガイドレール129が設けられている。
直動装置が駆動することによって、ガイドレール129に沿って上下動装置126を含めた移送装置60が、ヘアピン状の熱交換チューブ20の軸線方向に沿って移動することができる。
【0069】
ガイド部70は、ヘアピン状の熱交換チューブ20の整列方向に沿って延びる基部120と、ヘアピン状の熱交換チューブ20の形状に基部120を穿設して形成した収納部122とを有している。収納部122は、正面視すると長円形状であり、下方に向けて開口してが切りかかれている切り欠き部127が形成されている。切り欠き部127は送りピン62が進入可能な大きさであって、移送装置60による移送動作において、送りピン62がガイド部70を通過できるようにするために設けられている。
本実施形態では、このようなガイド部70がヘアピン状の熱交換チューブ20の軸線方向に沿って4か所に設けられている。
【0070】
次に、本実施形態における第1整列装置40及び第2整列装置50における整列動作を説明する。
ベンダーからヘアピン状の熱交換チューブ20が払い出され、ヘアピン状の熱交換チューブ受け部42の溝部44にヘアピン状の熱交換チューブ20が収納された後、図示しないモータを駆動させてボールネジ96を回転させ、上下動台92を下降させる。
【0071】
上下動台92が下降して、位置決め部48の下端に設けたローラ108がローラ受け部112に当接すると、位置決め部48の下降はここで停止するが、上下動台92全体はさらに下へ下降する。上下動台92がさらに下降することで、スプリング110が圧縮され、下降するヘアピン状の熱交換チューブ受け部42に対して相対的に位置決め部48が上方に突出することになる。
すなわち、位置決め部48のプレート部104に形成された位置決め溝47に、溝部44に収納されているヘアピン状の熱交換チューブ20の下側に位置する脚部22が進入する。
【0072】
さらに、ヘアピン状の熱交換チューブ受け部42が下降することで、位置決め溝47によってヘアピン状の熱交換チューブ20の下側の脚部22が上方に押圧され、ヘアピン状の熱交換チューブ20の上側に位置する脚部22が、一方の側壁44aの傾斜している部位45に当接する。ヘアピン状の熱交換チューブ20の上側に位置する脚部22は、傾斜している部位45の傾斜面に沿って傾斜方向に移動する。すなわち、ヘアピン状の熱交換チューブ20は位置決め溝47内に位置する下側の脚部22を中心にして、正面視すると反時計回りに回転する。
【0073】
下側の脚部22を中心にして回転するヘアピン状の熱交換チューブ20は、上側の脚部22が、側壁44aの傾斜している部位45を離れ、そのまま自重で回転して、最終的に水平面となっている配置面56に配置される。ヘアピン状の熱交換チューブ20が水平に配置された後も、位置決め部48の位置決め溝47は、下方に配置されていた脚部22をそのまま収納しており、この位置決め溝47に収納された脚部22を中心にヘアピン状の熱交換チューブ20が位置決めされる。
【0074】
上下動台92の下降が終了し、ヘアピン状の熱交換チューブ20の脚部22が配置面56上で水平面に位置した後、直動装置76を駆動させて各位置決め部48を整列方向に移動させる。このとき、各位置決め部48の下端に設けられているローラ108がローラ受け部112の上を回転することで、各位置決め部48のスムーズな移動が可能である。
【0075】
直動装置76の駆動により、ピッチ調整ブロック83はリンク機構74を縮める方向に移動する。すなわち、リンク機構74の複数の枢軸部77に取り付けられている各位置決め部48は、互いの距離を縮めながら左端(図18)の固定された位置決め部48方向に移動する。そして、固定された位置決め部48の位置、すなわち左端のヘアピン状の熱交換チューブ20の位置を基準として、各ヘアピン状の熱交換チューブ20を透孔のピッチに合わせた間隔に複数のヘアピン状の熱交換チューブ20を整列させることができる。
【0076】
位置決め部48どうしの距離が縮まることによって、ヘアピン状の熱交換チューブ保持部130が、移動方向上流側のヘアピン状の熱交換チューブ20の脚部22のうち、位置決め溝47に収納されていない脚部22に当接する。具体的には、プレート部104の移動方向上流側側面が、隣のプレート部104に配置されたヘアピン状の熱交換チューブ20の脚部22の側面に当接し、移動方向上流側に突出している突起状の部分の下面が、隣のプレート部104に配置されたヘアピン状の熱交換チューブ20の脚部22の上面に当接する。これにより、透孔のピッチに合わせてヘアピン状の熱交換チューブ20を整列させると同時にヘアピン状の熱交換チューブ20の脚部22の広がりや、捻じれを押さえ込むことができる。
【0077】
第1整列装置40における整列動作の終了とともに、第2整列装置50の上下動装置126が移送装置60を上昇させる。上下動装置126の動作によって複数の送りピン62が、各ヘアピン状の熱交換チューブ20の脚部22と脚部22との間に進入する。
【0078】
続いて、直動装置を構成するモータ133が駆動してボールネジ125を動作させ、移送装置60を第2整列装置50内部に水平面内で移動させる。このとき、各送りピン62は、各ヘアピン状の熱交換チューブ20の曲げ部21の内側に当接して各ヘアピン状の熱交換チューブ20を牽引する。
【0079】
移送装置60によって牽引された複数のヘアピン状の熱交換チューブ20は、それぞれガイド部70の収納部122内に収納され、広がりや捻じれを押さえ込み、各ヘアピン状の熱交換チューブ20を透孔のピッチに合わせた間隔に整列する。
【0080】
以上本発明につき好適な実施形態を挙げて種々説明したが、本発明はこの実施形態に限定されるものではなく、発明の精神を逸脱しない範囲内で多くの改変を施し得るのはもちろんである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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