(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、気液接触体及び気液接触装置における一実施形態について、
図1〜
図9を参照しながら説明する。なお、各図(
図10〜
図12も同様)において、図面の寸法比と実際の寸法比とは、必ずしも一致しておらず、また、各図面の間での寸法比も、必ずしも一致していない。
【0013】
図1に示すように、本実施形態に係る気液接触体1及び気液接触装置11は、気体X2を処理する気体処理装置10に備えられている。そこで、気液接触体1及び気液接触装置11の各構成を説明するのに先立って、気体処理装置10について説明する。
【0014】
気体処理装置10は、筐体10aと、筐体10aの内部に気体X2を流通させる送風装置10bとを備えている。また、気体処理装置10は、筐体10aの内部に、上流側から順に、気体X2から塵埃を除去する第1除塵部10cと、気体X2の温度及び湿度の少なくとも一方を調整する第1調整部10dと、気体X2に液体X1を接触させる気液接触装置11と、気体X2の温度及び湿度の少なくとも一方を調整する第2調整部10eと、気体X2から塵埃を除去する第2除塵部10fとを備えている。
【0015】
第1除塵部10cは、例えば、プレフィルタ及び中性能フィルタを備えており、第1調整部10dは、例えば、冷却コイル及び加熱コイルを備えている。また、第2調整部10eは、例えば、加熱コイル(又は冷却コイル)を備えており、第2除塵部10fは、例えば、HEPA(High Efficiency Particulate Air)フィルタ及びULPA(Ultra Low Penetration Air)フィルタの少なくとも一方を備えている。なお、第2除塵部10fは、例えば、高い清浄性が要求される際に、HEPAフィルタやULPAフィルタの上流側に、ケミカルフィルタを備えていてもよい。
【0016】
送風装置10bは、筐体10aの内部であって、第2調整部10eと第2除塵部10fとの間に配置されている。なお、送風装置10bは、気体X2が筐体10aの内部で各構成10c〜10fを通過するように、構成されていればよく、例えば、筐体10aの外部に配置されていてもよい。本実施形態においては、送風装置10bは、ファンとしている。
【0017】
気液接触装置11は、気体(例えば、NH
4+、SO
42−などの物質を含有する空気)X2と液体(例えば、純水)X1とを接触させる複数の気液接触体1を備えている。なお、複数の気液接触体1は、互いに上下方向D1で接続し合うことによって、上下方向D1に並列される。
【0018】
また、気液接触装置11は、気液接触体1の上方から液体X1を供給する液体供給部12と、液体X1を貯留する液体受け部13とを備えている。なお、液体供給部12は、最上段に配置される気液接触体1よりも、上方に配置されており、液体受け部13は、最下段に配置される気液接触体1よりも、下方に配置されている。
【0019】
液体供給部12は、散布することで水滴状の液体X1を、最上段に配置される気液接触体1の上面部1aの全体に亘って滴下している。なお、例えば、気液接触装置11は、図示していない循環ポンプにより、液体受け部13の液体X1を、液体供給部12に向けて送液していてもよい。
【0020】
気液接触体1は、液体X1が上面部1aから給入され、下面部1bから液体X1を排出している。即ち、液体X1は、気液接触体1の内部を上下方向D1(具体的には、下方向)に流れている。そして、気液接触体1は、気体X2が前面部1cから給入され、後面部1dから気体X2を排出している。即ち、気体X2は、気液接触体1の内部を前後方向D2(具体的には、後方向)に流れている。
【0021】
これにより、気体X2が気液接触体1で処理される。例えば、気体X2に含有する物質が液体X1で除去されたり、気体X2が加湿(又は除湿)されたりする。なお、
図1(
図8も同様)においては、実線矢印は、気体X2の流れを示しており、破線矢印は、液体X1の流れを示している。
【0022】
図2に示すように、気液接触装置11は、気液接触体1を保持する保持装置14を備えている。保持装置14は、気液接触体1を前後方向D2で保持する第1保持部15と、気液接触体1を横方向D3で保持する第2保持部16とを備えている。本実施形態においては、気液接触体1は、上下方向D1に四段で、前後方向D2に二列で、横方向D3に三列で、それぞれ並列されているが、斯かる配列に限られない。
【0023】
第1保持部15は、気液接触体1の前面部1cの側端部に接する前方保持部15aと、前方保持部15aと前後方向D2で離れており、気液接触体1の後面部1dの側端部に接する後方保持部15bとを備えている。前方保持部15a及び後方保持部15bは、それぞれ上下方向D1に沿って長尺に延びており、平板状に形成されている。
【0024】
例えば、前方保持部15a及び後方保持部15bは、第2保持部16の端部から横方向D3の一方側に平板状に突出すると共に、第2保持部16の端部から横方向D3の他方側に平板状に突出する、という構成としてもよい。また、例えば、前方保持部15a及び後方保持部15bは、平板状に形成され、横方向D3の中心で第2保持部16の端部に固定されている、という構成としてもよい。
【0025】
第2保持部16は、気液接触体1の側面部1eに接するように、前後方向D2に沿って延びている。そして、第2保持部16は、前方保持部15aと後方保持部15bとを連結するように配置されている。具体的には、第2保持部16は、気液接触体1の側面部1eの全域を覆うように、平板状に形成されている。
【0026】
図2〜
図4に示すように、前方保持部15aは、本体部15cと、本体部15cに対して着脱される着脱部15dとを備えている。なお、本体部15cは、着脱部15dの上端部と下端部とがそれぞれ差し入れられることで、着脱部15dの上端部と下端部とをそれぞれ保持する保持孔部15e,15eを備えている。
【0027】
そして、着脱部15dが本体部15cから取り外された状態においては、本体部15cは、開放部15fを備えている。これにより、気液接触体1は、交換される際に、開放部15fを経由して、保持装置14の内部に入れられたり、保持装置14の外部へ出されたりする。なお、開放部15fは、上から2段目の気液接触体1に対応する高さに設けられている。
【0028】
したがって、最上段と上から2段目との気液接触体1を保持装置14の内部に入れる際には、
図3に示すように、最上段の気液接触体1を保持装置14の内部に入れた状態で、上から2段目の気液接触体1を保持装置14の内部に入れる。このとき、上から2段目の気液接触体1は、横方向D3を軸に回動して、保持装置14の内部に入れられる。
【0029】
これにより、開放部15fが最上段の気液接触体1に対応する高さに設けられている構成と比較して、液体供給部12は、最上段の気液接触体1に接近させて、配置させることができる。なお、その後、
図4に示すように、着脱部15dの端部が保持孔部15eに保持されることで、開放部15fが着脱部15dによって閉鎖され、それにより、複数の気液接触体1は、保持装置14に保持される。
【0030】
図5及び
図6に示すように、気液接触体1は、上下方向D1及び前後方向D2の両方に直交する横方向(以下、「積層方向」ともいう)D3に積層される複数のシート体2と、複数のシート体2を収容する収容体3とを備えている。なお、収容体3は、複数のシート体2を積層した状態で保持している。具体的には、収容体3は、シート体2に積層方向D3の力を付与するようにして、シート体2を保持している。
【0031】
収容体3は、液体X1が上面部1aから給入されるための上開口4aを有する上枠部4と、液体X1を下面部1bから排出するための下開口5aを有する下枠部5とを備えている。そして、収容体3は、気体X2が前面部1cから給入されるための前開口6aを有する前枠部6と、気体X2を後面部1dから排出するための後開口7aを有する後枠部7とを備えている。また、収容体3は、シート体2の側面の全体を覆うように配置されている側面部8,8を備えている。
【0032】
各枠部4〜7は、矩形状に形成されており、各開口4a〜7aは、矩形状に形成されている。そして、シート体2は、各開口4a〜7aによって、露出されている。これにより、液体X1は、上面部1aの上開口4aから給入された後、上面部1aから下面部1bに向けて流れ、そして、下面部1bの下開口5aから排出される。また、気体X2は、前面部1cの前開口6aから給入された後、前面部1cから後面部1dに向けて流れ、そして、後面部1dの後開口7aから排出される。
【0033】
気液接触体1の寸法は、特に限定されないが、例えば、気液接触体1の前後方向D2の寸法W2は、気液接触体1の上下方向D1の寸法W1よりも、小さいことが好ましい。これにより、気体X2が気液接触体1を通過する際の、気体X2の圧力損失を抑制することができる。また、気液接触体1の前後方向D2の寸法W2は、気液接触体1の横方向D3の寸法W3よりも、小さくてもよい。
【0034】
上枠部4は、上開口4aの開口縁から上下方向D1に沿って突出する一対の上突出部4b,4bを備えている。具体的には、上突出部4bは、上開口4aの開口縁から上方に向けて板状に突出している。なお、上突出部4bは、上開口4aの開口縁の一部を構成している。
【0035】
上突出部4bは、横方向D3に沿って延びている。したがって、上突出部4bは、上開口4aの開口縁のうち、短手方向の前後方向D2ではなく、長手方向の横方向D3に沿って延びている。これにより、上突出部4bは、前後方向D2に対して交差するように、配置されている。具体的には、上突出部4bは、前後方向D2に対して直交するように、配置されている。そして、一対の上突出部4b,4bは、前後方向D2に離れて配置されていると共に、互いに平行となるように、配置されている。
【0036】
下枠部5は、下開口5aの開口縁から上下方向D1に沿って突出する一対の下突出部5b,5bを備えている。具体的には、下突出部5bは、下開口5aの開口縁から下方に向けて板状に突出している。なお、下突出部5bは、下開口5aの開口縁の一部を構成している。
【0037】
下突出部5bは、横方向D3に沿って延びている。したがって、下突出部5bは、上開口5aの開口縁のうち、短手方向の前後方向D2ではなく、長手方向の横方向D3に沿って延びている。これにより、下突出部5bは、前後方向D2に対して交差するように、配置されている。具体的には、下突出部5bは、前後方向D2に対して直交するように、配置されている。そして、一対の下突出部5b,5bは、前後方向D2に離れて配置されていると共に、互いに平行となるように、配置されている。
【0038】
このように、上突出部4bと下突出部5bとは、それぞれ同じ方向(具体的には、横方向D3)に沿って延びている。そして、
図5〜
図7に示すように、一対の下突出部5b,5b間の離間距離W5は、一対の上突出部4b,4b間の離間距離W4よりも、小さくなっている。また、下突出部5bが上下方向D1に突出する長さW7は、上突出部4bが上下方向D1に突出する長さW6よりも、長くなっている。
【0039】
収容体3は、横方向D3に沿って長尺に延びる上長尺体3a及び下長尺体3bと、上下方向D1及び前後方向D2に沿って配置される平板体3cと、各長尺体3a,3bと平板体3cとを固定する固定体3dとを備えている。本実施形態においては、上長尺体3a、下長尺体3b及び平板体3cは、それぞれ二つずつ備えられている。
【0040】
長尺体3a,3b及び平板体3cの材質は、剛性を有していれば、特に限定されないが、例えば、金属としてもよい。固定体3dは、長尺体3a,3b及び平板体3cを固定する構成であれば、特に限定されないが、本実施形態においては、固定体3dは、リベットとしている。固定体3dの厚み(上下方向D1の寸法)は、各長尺体3a,3a及び平板体3cの厚みよりも、厚くなっている。
【0041】
平板体3cは、側面部8と、前枠部6の縦枠を構成する前縦枠部6bと、後枠部7の縦枠を構成する後縦枠部7bと、各長尺体3a,3bに固定される被固定部3eとを備えている。なお、
図7において、手前側の平板体3cの側面部8は、一部のみ図示されている。
【0042】
上長尺体3aは、上突出部4bと、前枠部6又は後枠部7に対して上突出部4bを位置決めする上位置決め部4cとを備えている。なお、上位置決め部4cは、上枠部4の一部を構成している。また、上長尺体3aは、前枠部6(又は後枠部7)の上横枠を構成する第1前横枠部6c(又は第1後横枠部7c)を備えている。
【0043】
そして、上位置決め部4cの一端部は、上突出部4bに連結され、上位置決め部4cの他端部は、第1前横枠部6c(又は第1後横枠部7c)に連結されている。なお、上位置決め部4cは、固定体3dによって、平板体3cの被固定部3eと固定されている。
【0044】
下長尺体3bは、下突出部5bと、前枠部6又は後枠部7に対して下突出部5bを位置決めする下位置決め部5cとを備えている。なお、下位置決め部5cは、下枠部5の一部を構成している。また、下長尺体3bは、前枠部6(又は後枠部7)の下横枠を構成する第2前横枠部6d(又は第2後横枠部7d)を備えている。
【0045】
そして、下位置決め部5cの一端部は、下突出部5bに連結され、下位置決め部5cの他端部は、第2前横枠部6d(又は第2後横枠部7d)に連結されている。なお、下位置決め部5cは、固定体3dによって、平板体3cの被固定部3eと固定されている。
【0046】
ところで、前縦枠部6bと後縦枠部7bとは、平行に配置されている。そして、上位置決め部4cの他端部と下位置決め部5cの他端部とは、前枠部6(又は後枠部7)の共通の平面に接している。具体的には、上位置決め部4cの他端部と下位置決め部5cの他端部とは、前縦枠部6b(又は後縦枠部7b)に接している。そして、上位置決め部4cの前後方向D2の寸法W8は、下位置決め部5cの前後方向D2の寸法W9よりも、小さくなっている。
【0047】
これにより、一対の下突出部5b,5b間の離間距離W5は、一対の上突出部4b,4b間の離間距離W4よりも、小さくなっている。このように、上長尺体3aと下長尺体3bとを共通の平面に接するように位置決めするだけで、一対の下突出部5b,5b間の離間距離W5が、一対の上突出部4b,4b間の離間距離W4よりも、小さくなる。したがって、上突出部4bと下突出部5bとの位置決めを容易に行うことができる。
【0048】
そして、一対の下突出部5b,5b間の離間距離W5が、一対の上突出部4b,4b間の離間距離W4よりも、小さいため、下突出部5bは、上下方向D1視において、上開口4aの開口縁よりも前後方向D2における内側に配置されている。即ち、下突出部5bは、上下方向D1視において、上開口4aの内部に配置されている。
【0049】
これにより、
図8に示すように、気液接触体1,1が互いに上下方向D1に接続された際に、下突出部5b,5bは、下方に配置される別の気液接触体1の上突出部4b,4bよりも、内側に位置することになる。したがって、下突出部5b,5bは、下方に配置される別の気液接触体1の上開口4aの開口縁よりも、内側に位置することになる。
【0050】
しかも、上突出部4bと下突出部5bとが、前後方向D2において重なっているため、液体X1が下突出部5b及び上突出部4bを通過することは、非常に難しくなる。したがって、液体X1は、複数の気液接触体1,1を流れ移る際に、下突出部5bよりも前後方向D2の外側に流れることを抑制される。
【0051】
その結果、液体X1が気液接触体1の外部に漏れることを抑制することができる。なお、気液接触体1が別の気液接触体1の上に載せられることで、気液接触体1,1が互いに上下方向D1に接続されている。このとき、厚みの厚い固定体3d,3d同士が接触している。
【0052】
また、下突出部5bの下端部は、下方に配置される別の気液接触体1の上突出部4bの下端部(具体的には、上開口4aの開口縁の下端部)よりも、下方に位置している。しかも、下突出部5bの下端部は、下方に配置される別の気液接触体1のシート体2に接している。これにより、液体X1は、下突出部5bよりも外側に流れることを抑制された後に、下方に配置される別の気液接触体1のシート体2に確実に給入される。
【0053】
また、上下方向D1視において、上突出部4bは、下突出部5bの前後方向D2における外側に沿って配置されている。なお、一対の上突出部4b,4bの離間距離W4と、一対の下突出部5b,5b間の離間距離W5との差(W4−W5)は、特に限定されないが、例えば、各突出部4b,5bの厚み以上であることが好ましい。
【0054】
これにより、気液接触体1,1を上下方向D1で接続する際(例えば、
図3参照)に、下突出部5b,5bを上突出部4b,4bよりも内側に位置させる作業を容易にすることができる。なお、一対の上突出部4b,4bの離間距離W4は、上開口4aの開口縁同士の離間距離でもある。
【0055】
また、当該差(W4−W5)は、特に限定されないが、例えば、各突出部4b,5bの厚みの5倍以下であることが好ましく、3倍以下であることが好ましく、そして、2倍以下であることが非常に好ましい。これにより、上突出部4bは、上方に配置される別の気液接触体1の下突出部5bの外側に沿って、即ち、下突出部5bの近傍に位置することになる。
【0056】
したがって、上突出部4bと下突出部5bとが当たることによって、気液接触体1,1同士が相対的に前後方向D2に位置ずれすることを抑制することができる。しかも、上突出部4bと下突出部5bとが板状に形成されているため、上突出部4bと下突出部5bとは、面接触することになる。したがって、上突出部4bと下突出部5bとが当たることで、大きな抗力を発生させることができる。
【0057】
しかも、気液接触体1が、上下方向D1や横方向D3に比べて、気体X2によって前後方向D2に(具体的には、前方から後方に向けて)大きな圧力を受けることに対して、上突出部4b及び下突出部5bは、前後方向D2に対して直交している。これにより、上突出部4bと下突出部5bとが当たることによって、気液接触体1,1同士が相対的に前後方向D2に位置ずれすることを確実に抑制することができる。
【0058】
図9に示すように、シート体2は、複数の凸部2aを備えている。そして、凸部2aは、直線状に延びており、複数の凸部2aは、延びる方向と直交する方向に並列されている。なお、凸部2aの突出する方向は、隣接される凸部2aの突出する方向と反対方向である。これにより、シート体2は、波形状に形成されている。また、隣り合うシート体2,2は、積層方向D3視において、凸部2aが延びる方向(即ち、凸部2aの稜線)が交差するように、それぞれ配置されている。
【0059】
本実施形態においては、全てのシート体2において、凸部2aの稜線は、前後方向D2に対して傾斜している。そして、前後方向D2に対する凸部2aの稜線の傾斜方向(
図9において、右上がり方向と左上がり方向)は、隣り合うシート体2,2において、反対になっている。即ち、前後方向D2に対する凸部2aの稜線の傾斜方向は、一層おきのシート体2で、同じになっている。
【0060】
また、前後方向D2に対する凸部2aの稜線の傾斜角度θ1は、特に限定されないが、例えば、15°〜45°、好ましくは、25°〜35°である。斯かる構成によれば、液体X1がシート体2の内部(特に、表面)を流れる速度を適正な速度とすることができるため、気液接触効率を向上させることができる。なお、本実施形態においては、当該傾斜角度θ1は、全てのシート体2において、同じ(例えば、30°)としている。
【0061】
また、シート体2は、吸収性を有している。そして、シート体2を構成する材料は、特に限定されないが、例えば、シート体2は、表面に凹凸があり且つ内部が多孔質である構成が好ましい。斯かる構成によれば、シート体2の表面積が大きくなり、シート体2に吸収(浸透)されて流下する液体X1と気体X2との接触面積が大きくなる。
【0062】
斯かるシート体2を構成するものとして、例えば、アルミナ、シリカ、及びチタニアからなる群より選択される1又は2以上の充填材又は結合材と、ガラス繊維、セラミック繊維、又はアルミナ繊維等の繊維基材とからなるものが挙げられる。このうち、チタニアを配合したものは、酸性の化学汚染物質の除去効率を向上することができる。
【0063】
以上より、本実施形態に係る気液接触装置11は、複数の気液接触体1を備え、前記複数の気液接触体1は、互いに上下方向D1で接続し合うことによって、上下方向D1に並列される。
【0064】
また、本実施形態に係る気液接触体1は、上面部1aから給入された液体X1を下面部1bから排出し且つ前面部1cから給入された気体X2を後面部1dから排出する気液接触体1において、積層される複数のシート体2と、前記複数のシート体2を収容する収容体3と、を備え、前記収容体3は、液体X1が上面部1aから給入されるための上開口4aを有する上枠部4と、液体X1を前記下面部1bから排出するための下開口5aを有する下枠部5と、を備え、前記下枠部5は、前記下開口5aの開口縁から下方に向けて突出する下突出部5bを備え、前記下突出部5bは、上下方向D1視において、前記上開口4aの開口縁よりも内側に配置される。
【0065】
斯かる構成によれば、下突出部5bは、下開口5aの開口縁から下方に向けて突出している。そして、下突出部5bが、上下方向D1視において、上開口4aの開口縁よりも内側に配置されているため、気液接触体1,1が上下方向D1で互いに接続された際に、下突出部5bは、下方に配置される別の気液接触体1の上開口4aの開口縁よりも内側に位置することになる。
【0066】
これにより、下突出部5bは、液体X1が外側に流れることを抑制する。したがって、液体X1が複数の気液接触体1,1を流れ移る際に、液体X1が気液接触体1の外部に漏れることを抑制することができる。
【0067】
また、本実施形態に係る気液接触体1においては、前記上枠部4は、前記上開口4aの開口縁から上方及び下方の少なくとも一方に向けて突出する上突出部4bを備え、前記下突出部5bは、所定の方向D3に沿って延び、前記上突出部4bは、前記下突出部5bと同じ方向D3に沿って延び、上下方向D1視において、前記下突出部5bの外側に沿って配置される、という構成である。
【0068】
斯かる構成によれば、上突出部4bは、上開口4aの開口縁から上方及び下方の少なくとも一方に向けて突出しており、上突出部4bと下突出部5bとは、同じ方向に延びている。しかも、上突出部4bが、上下方向D1視において、前記下突出部5bの外側に沿って配置されている。
【0069】
これにより、気液接触体1,1が上下方向D1で互いに接続された際に、上突出部4bは、上方に配置される別の気液接触体1の下突出部5bの外側に沿って位置することになる。したがって、上突出部4bと下突出部5bとが当たることによって、気液接触体1,1同士が相対的に位置ずれすることを抑制することができる。
【0070】
また、本実施形態に係る気液接触体1においては、前記上突出部4b及び前記下突出部5bは、前後方向D2に対して交差するように、それぞれ配置される、という構成である。
【0071】
斯かる構成によれば、気液接触体1が前方から後方に向けて気体X2から圧力を受けることに対して、上突出部4b及び下突出部5bがそれぞれ前後方向D2に対して交差している。これにより、上突出部4bと下突出部5bとが当たることによって、気液接触体1,1同士が相対的に前後方向D2に位置ずれすることを抑制することができる。
【0072】
また、本実施形態に係る気液接触体1においては、前記下突出部5bは、下方に配置される前記別の気液接触体1の前記シート体2に接するように、延びる、という構成である。
【0073】
斯かる構成によれば、下突出部5bは、下方に配置される別の気液接触体1のシート体2に接している。これにより、液体X1は、下突出部5bよりも外側に流れることを抑制された後に、下方に配置される別の気液接触体1のシート体2に確実に給入される。
【0074】
なお、気液接触体1及び気液接触装置11は、上記した実施形態の構成に限定されるものではなく、また、上記した作用効果に限定されるものではない。また、気液接触体1及び気液接触装置11は、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、下記する各種の変更例に係る構成や方法等を任意に一つ又は複数選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
【0075】
(1)上記実施形態に係る気液接触体1においては、上枠部4は、上開口4aの開口縁から突出する上突出部4bを備えている、という構成である。しかしながら、気液接触体1は、斯かる構成に限られない。例えば、
図10に示すように、上枠部4は、上突出部4bを備えておらず、下突出部5bは、下方に配置される別の気液接触体1の上開口4aの開口縁よりも内側に位置するように、配置されている、という構成でもよい。
【0076】
(2)また、上記実施形態に係る気液接触体1においては、上突出部4bは、上開口4aの開口縁から上方に向けて突出している、という構成である。しかしながら、気液接触体1は、斯かる構成に限られない。例えば、上突出部4bは、
図11に示すように、上開口4aの開口縁から下方に向けて突出している、という構成でもよい。また、例えば、上突出部4bは、
図12示すように、上開口4aの開口縁から上方及び下方の両方に向けて突出している、という構成でもよい。
【0077】
(3)また、上記実施形態に係る気液接触体1においては、上突出部4b及び下突出部5bは、それぞれ横方向D3に沿って延びている、という構成である。しかしながら、気液接触体1は、斯かる構成に限られない。例えば、上突出部4b及び下突出部5bは、それぞれ前後方向D2に沿って延びている、という構成でもよい。
【0078】
また、例えば、上枠部4は、上開口4aの開口縁から突出し且つ横方向D3に沿って延びている上突出部4bと、上開口4aの開口縁から突出し且つ前後方向D2に沿って延びている上突出部4bとを備え、下枠部5は、下開口5aの開口縁から突出し且つ横方向D3に沿って延びている下突出部5bと、下開口5aの開口縁から突出し且つ前後方向D2に沿って延びている下突出部5bとを備えている、という構成でもよい。即ち、上突出部4b及び下突出部5bは、上下方向D1視において、それぞれ矩形状に形成されている、という構成でもよい。
【0079】
(4)また、上記実施形態に係る気液接触体1においては、上突出部4bと下突出部5bとは、同じ方向D3に沿って延びている、という構成である。しかしながら、気液接触体1は、斯かる構成に限られない。例えば、上突出部4bと下突出部5bとは、異なる方向D2,D3に沿って延びている、という構成でもよい。
【0080】
斯かる構成の一例として、上突出部4bは、前後方向D2に沿って延びており、下突出部5bは、横方向D3に沿って延びている、という構成でもよい。そして、下突出部5bは、下方に配置される別の気液接触体1の上開口4aの開口縁よりも内側に位置するように、配置されて、上突出部4bは、上方に配置される別の気液接触体1の下開口5aの開口縁よりも内側に位置するように、配置されている、という構成でもよい。
【0081】
(5)また、上記実施形態に係る気液接触体1においては、上突出部4b及び下突出部5bは、それぞれ直線状に延びている、という構成である。しかしながら、気液接触体1は、斯かる構成に限られない。例えば、上突出部4b及び下突出部5bの少なくとも一方は、曲線状(例えば、湾曲状)に延びている、という構成でもよく、また、例えば、波形状又はジグザグ状に延びている、という構成でもよい。
【0082】
(6)また、上記実施形態に係る気液接触体1においては、上突出部4b及び下突出部5bは、前後方向D2に対して交差するように、それぞれ配置されている、という構成である。しかしながら、気液接触体1は、斯かる構成に限られない。例えば、上突出部4b及び下突出部5bの少なくとも一方は、前後方向D2に対して平行となるように、配置されている、という構成でもよい。
【0083】
(7)また、上記実施形態に係る気液接触体1においては、下突出部5bは、下方に配置される別の気液接触体1のシート体2に接するように、延びている、という構成である。しかしながら、気液接触体1は、斯かる構成に限られない。例えば、下突出部5bは、下方に配置される別の気液接触体1のシート体2から離れるように、延びている、という構成でもよい。
【0084】
(8)また、上記実施形態に係る気液接触体1においては、上突出部4b及び下突出部5bは、それぞれ枠部4,5に二つ備えられている、という構成である。しかしながら、気液接触体1は、斯かる構成に限られない。例えば、上突出部4b及び下突出部5bの少なくとも一方は、枠部4,5に一つ又は三つ以上備えられている、という構成でもよい。
【解決手段】 気液接触体においては、収容体は、液体が上面部から給入されるための上開口を有する上枠部と、液体を下面部から排出するための下開口を有する下枠部と、を備え、下枠部は、下開口の開口縁から下方に向けて突出する下突出部を備え、下突出部は、上下方向視において、上開口の開口縁よりも内側に配置される。