(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記X軸用電磁石又は前記Y軸用電磁石の少なくともいずれかに対し、第1方向に向かう磁束を前記中心軸上に発生させる電流を前記第1コイルに流し、且つ、前記第1方向とは逆の第2方向に向かう磁束を前記中心軸上に発生させる電流を前記第2コイルに流すことにより、前記中心軸上にZ軸成分を有する磁束を発現可能であり、
各コイルに流す電流を変化させることで、前記中心軸上に前記Z軸を含む任意方向の磁場を印加可能に構成されている、請求項1に記載の電磁石。
前記第1ヨーク及び前記第2ヨークは、各々の棒状部位の基端部からZ軸一方側に延びる第1延在部と、前記第1延在部のZ軸一方側の端部同士を接続する第2延在部と、を有する、請求項1〜3のいずれかに記載の電磁石。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許4761483号公報には、磁場印加領域を装置の一方側のみとして、機械的動作の制約及び装置大型化を回避した電磁石が開示されている。しかし、中心の第1ヨークから周囲の第2ヨークに放射状に磁場が形成されるため、x軸、y軸及びz軸などの印加したい方向に応じて対象物の位置を変更しなければならない。電磁石自体又は計測対象物などの重量物を移動させるためには、時間が必要となり、複数条件の磁場を順次印加するためには、時間ロスが問題となる。
【0006】
本開示は、このような課題に着目してなされたものであって、その目的は、電磁石又は対象物を移動させずに任意方向の磁場を印加可能な電磁石及び磁場印加システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、上記目的を達成するために、次のような手段を講じている。
【0008】
すなわち、本開示の電磁石は、
先端の磁極がギャップを挟んでX軸に沿って離間する一対の第1棒状部位を有し、前記ギャップと共に閉磁路を形成可能な第1ヨークと、前記第1ヨークに巻き付けられる第1コイル及び第2コイルと、を有するX軸用電磁石と、
先端の磁極がギャップを挟んでY軸に沿って離間する一対の第2棒状部位を有し、前記ギャップと共に閉磁路を形成可能な第2ヨークと、前記第2ヨークに巻き付けられる第1コイル及び第2コイルと、を有するY軸用電磁石と、
前記第1ヨーク及び前記第2ヨークに接続され、前記中心軸と同軸の柱状に形成された第3ヨークと、を備えており、
前記一対の第1棒状部位及び前記一対の第2棒状部位は、Z軸に平行な中心軸を中心として互いに軸対称となる位置に配置されている。
【0009】
このように電流を供給し、互いに向きが反対となる磁束をギャップに発現させようとすれば、反発しあって中心軸上にZ軸成分を有する磁束を発現させることができる。よって、Z軸用電磁石がなくても、X軸、Y軸及びZ軸を含む任意方向の磁場が印加可能となる。
第1棒状部位及び第2棒状部位が、Z軸に平行な中心軸を中心として互いに軸対称となる位置に配置されているので、中心軸上にX軸、Y軸及びZ軸を含む任意方向の磁場を印加でき、磁場の方向を切り替えたときに対象物と電磁石の相対的な位置関係を変更する必要がない。
さらに、第3ヨークは、第1ヨーク及び第2ヨークに接続されており、中心軸と同軸であるので、互いに向きが反対となる磁束を発生させる電流を供給することによってZ軸の磁束の発生を強めることができる。
よって、電磁石又は対象物を移動させずに任意方向の磁場を印加可能となる。複数条件の磁場を順次印加するにあたり、時間ロスを低減することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[第1実施形態]
以下、本開示の第1実施形態について、図面を参照して説明する。
【0012】
<磁場印加システム>
図1は、磁場印加システムを構成する電磁石1を示す模式的な平面図である。磁場印加システムは、X軸、Y軸及びZ軸を含む任意方向の磁界を発生させ、印加対象物に印加可能に構成されている。磁場印加システムは、
図1に示すように、電磁石1と、電磁石1に電流を供給する電流供給部2と、を有する。X軸、Y軸及びZ軸は、互いに直交する方向である。
【0013】
<電磁石>
図1及び
図2に示すように、電磁石1は、X軸用電磁石3と、Y軸用電磁石4と、を有する。
【0014】
X軸用電磁石3は、第1ヨーク30と、第1ヨーク30に巻き付けられる第1コイル35及び第2コイル36と、を有する。第1ヨーク30は、軟質強磁性体で形成されており、先端の磁極31aがギャップGpを挟んでX軸に沿って離間する一対の第1棒状部位31を有し、ギャップGpと共に閉磁路mp_Xを形成可能である。本実施形態では、第1ヨーク30は側面視でC字状であるが、これに限定されない。また、第1棒状部位31は、直線状に延びる形状であるが、長尺状であれば、これに限定されない。例えば、屈曲しつつ延びる形状や、曲線状に延びている形状でもよい。本実施形態において、第1ヨーク30は、
図2に示すように、第1棒状部位31と、第1棒状部位31の基端部からZ軸一方側(−Z)に延びる第1延在部32と、第1延在部32のZ軸一方側(−Z)の端部同士を接続する第2延在部33と、を有する。この構造により、第1コイル35及び第2コイル36に電流を流せば、第1ヨーク30は、ギャップGpと共に閉磁路mp_Xを形成する。また、この構造により、第1棒状部位31よりもZ軸他方側(+Z)にヨーク及びコイルが配置されていない領域Ar1が形成されるので、この領域を磁場印加領域Ar1として利用可能となる。
【0015】
図1及び
図3に示すように、Y軸用電磁石4は、第2ヨーク40と、第2ヨーク40に巻き付けられる第1コイル45及び第2コイル46と、を有する。第2ヨーク40は、軟質強磁性体で形成されており、先端の磁極41aがギャップGpを挟んでY軸に沿って離間する一対の第2棒状部位41を有し、ギャップGpと共に閉磁路mp_Yを形成可能である。本実施形態では、第2ヨーク40は側面視でC字状であるが、これに限定されない。また、第2棒状部位41は、第1棒状部位31と同様に、直線状に延びる形状であるが、長尺状であれば、これに限定されない。本実施形態において、第2ヨーク40は、
図3に示すように、第2棒状部位41と、第2棒状部位41の基端部からZ軸一方側(−Z)に延びる第1延在部42と、第1延在部42のZ軸一方側(−Z)の端部同士を接続する第2延在部43と、を有する。この構造により、第1コイル45及び第2コイル46に電流を流せば、第2ヨーク40は、ギャップGpと共に閉磁路mp_Yを形成する。また、この構造により、第2棒状部位41よりもZ軸他方側(+Z)にヨーク及びコイルが配置されていない領域Ar1が形成されるので、この領域を磁場印加領域Ar1として利用可能となる。
【0016】
図4は、電磁石1の底面図である。
図4に示すように、X軸用電磁石3の第1ヨーク30を構成する第2延在部33と、Y軸用電磁石4の第2ヨーク40を構成する第2延在部43とは、接続されている。本実施形態では、第2延在部33、43は、底面視でクロス状の一部材で構成されている。勿論、第1ヨーク30を構成する第2延在部33と、第2ヨーク40を構成する第2延在部43とを別部材で構成し、両部材を接触させた状態で固定してもよい。
【0017】
図1に示すように、一対の第1棒状部位31は、Z軸に平行な中心軸CLを中心として互いに軸対称となる位置に配置されている。これにより、中心軸CL上にXY平面に平行な磁束を発生させることができる。同様に、一対の第2棒状部位41は、Z軸に平行な中心軸CLを中心として互いに軸対称となる位置に配置されている。これにより、中心軸CL上にXY平面に平行な磁束を発生させることができる。本実施形態では、2つの第1棒状部位31と2つの第2棒状部位41とが中心軸CLを中心として互いに90度回転させた位置関係となるように配置されている。このように配置することで、X軸用電磁石3により中心軸CL上に生じる磁束と、Y軸用電磁石4により中心軸CL上に生じる磁束とがXY平面上において直交することになり、所望の向きの磁場を印加するための電流制御が容易となる。
【0018】
図2及び
図3に示すように、本実施形態において、第1コイル35、45及び第2コイル36、46は、エナメル導線などの非磁性体の導線で形成され、第2延在部33、43に巻き付けられている。この構成によれば、電磁石1のX軸寸法及びY軸寸法を抑えることができ、電磁石1をXY方向に小型化することができる。勿論、第1コイル35、45及び第2コイル36、46の巻き付け位置はこれに限定されない。例えば、第1コイル35、45及び第2コイル36、46を第1延在部32、42に巻き付けてもよい。この構成によれば、電磁石1のZ軸寸法を抑えることができ、電磁石1をZ方向に小型化することができる。
【0019】
図1、
図2及び
図3に示すように、下記の電流制御により発生するZ軸の磁束を強めるために、第3ヨーク50が設けられている。第3ヨーク50は、中心軸CLと同軸の柱状に形成され、第1ヨーク30及び第2ヨーク40に接続されている。第3ヨーク50は、第1ヨーク30及び第2ヨーク40を構成する第2延在部33、43からギャップGpに向けて突出する。本実施形態では、平坦な頂面を有する円錐柱形状であるが、これに限定されない。第3ヨーク50は、第1ヨーク30の磁極31aと第2ヨーク40の磁極41aとの間に形成されるギャップGpまで延びており、第1ヨーク30及び第2ヨーク40の上端と第3ヨーク50の先端が面一となっている。勿論、第3ヨーク50が設けられていれば、第3ヨーク50の突出量は任意に設定可能である。また、Z軸に直交する方向(X軸又はY軸)に沿って見た場合に、第1棒状部位31同士の最も狭い部位と第3ヨーク50が重なっていればよい。
【0020】
<電流制御>
図1に示すように、電流供給部2は、4つの電源4aと、電源4aを制御する電流制御部(図示しない)と、を有する。電源4aは、X軸用電磁石3を構成する第1コイル35及び第2コイル36と、Y軸用電磁石4を構成する第1コイル45及び第2コイル46とにそれぞれ1つずつ接続されている。この構成により、4つのコイル35、36、45、46は、別々の電源4aから電流が供給されるので、電流供給部2は、各々のコイル35、36、45、46に供給される電流の向きを個別に変更可能に構成されている。
【0021】
図2に示すように、Y軸用電磁石4に電流を流さずに、X軸用電磁石3を構成する第1コイル35及び第2コイル36にX励磁用電流Xi+を流せば、第1方向(+X)に向かう磁束mf1が中心軸CL上に発現する。この磁束mf1は、
図6Aに示すように、中心軸CL上の所定領域Pにおいて、X軸成分のみを有する。図示しないが、X軸用電磁石3を構成する第1コイル35及び第2コイル36に、X励磁用電流Xi+とは逆方向のX励磁用電流Xi−を流せば、第1方向(+X)とは逆の第2方向(−X)に向かう磁束mf2が中心軸CL上に発現する。この磁束mf2は、
図6Bに示すように、中心軸CL上の所定領域Pにおいて、X軸成分のみを有する。
【0022】
図3に示すように、X軸用電磁石3に電流を流さずに、Y軸用電磁石4を構成する第1コイル45及び第2コイル46にY励磁用電流Yi+を流せば、第1方向(+Y)に向かう磁束mf3が中心軸CL上に発現する。この磁束mf3は、
図6Cに示すように、中心軸CL上の所定領域Pにおいて、Y軸成分のみを有する。図示しないが、Y軸用電磁石4を構成する第1コイル45及び第2コイル46に、Y励磁用電流Yi+とは逆方向のY励磁用電流Yi−を流せば、第1方向(+Y)とは逆の第2方向(−Y)に向かう磁束mf4が中心軸CL上に発現する。この磁束mf4は、
図6Dに示すように、中心軸CL上の所定領域Pにおいて、Y軸成分のみを有する。
【0023】
図5Aに示すように、電流供給部2が逆電流モードによる電流供給を実行すれば、X軸用電磁石3だけで中心軸CL上にZ軸に沿った磁束mf5を発生させることができる。逆電流モードは、X軸用電磁石3について、第1方向(+X)に向かう磁束mf1を中心軸CL上に発生させるX励磁用電流Xi+を第1コイル35に流し、第1方向(+X)とは逆の第2方向(−X)に向かう磁束mf2を中心軸CL上に発生させるX励磁用電流Xi−を第2コイル36に流すモードである。このように電流を流せば、Z軸に沿った磁束mf5が発生する。磁束mf5は、
図6Fに示すように、中心軸CL上の所定領域Pにおいて、Z軸成分のみを有する。
【0024】
同様に、
図5Bに示すように、電流供給部2が逆電流モードによる電流供給を実行すれば、Y軸用電磁石4だけで中心軸CL上にZ軸に沿った磁束mf5を発生させることができる。逆電流モードは、Y軸用電磁石4について、第1方向(+Y)に向かう磁束mf3を中心軸CL上に発生させるY励磁用電流Yi+を第1コイル45に流し、第1方向(+Y)とは逆の第2方向(−Y)に向かう磁束mf4を中心軸CL上に発生させるY励磁用電流Yi−を第2コイル46に流すモードである。このように電流を流せば、Z軸に沿った磁束mf5が発生する。磁束mf5は、
図6Fに示すように、中心軸CL上の所定領域Pにおいて、Z軸成分のみを有する。
【0025】
Z軸に沿った磁束を発生させるためには、逆電流モードによる電流を、X軸用電磁石3又はY軸用電磁石4の少なくともいずれか一方に実行すればよい。X軸用電磁石3及びY軸用電磁石4の両方で実行すれば、発生する磁束が強くなる。
【0026】
Y軸及びZ軸の両方の成分を有する磁束mf6を発生させるためには、X軸用電磁石3を構成する第1コイル35及び第2コイル36に対してそれぞれX励磁用電流Xi+、X励磁用電流Xi−を流し、Y軸用電磁石4を構成する第1コイル45及び第2コイル46に対してY励磁用電流Yi+を流せばよい。このようにすれば、
図6Gに示すように、磁束mf6は、Y軸成分及びZ軸成分が合成された方向を向き、X軸成分がない。X軸及びZ軸の両方の成分を有する磁束についても同様である。
【0027】
X軸及びY軸の両方の成分を有する磁束mf7を発生させるためには、X軸用電磁石3を構成する第1コイル35及び第2コイル36に対してX励磁用電流Xi+を流し、Y軸用電磁石4を構成する第1コイル45及び第2コイル46に対してY励磁用電流Yi+を流せばよい。このようにすれば、
図6Hに示すように、磁束mf7は、X軸成分及びY軸成分が合成された方向を向き、Z軸成分がない。
【0028】
XYZ軸の3軸の成分を有する磁束mf8を発生させるためには、X軸用電磁石3及びY軸用電磁石4の双方を逆電流モードとし、各コイルの電流値を異ならせればよい。すなわち、X軸用電磁石3を構成する第1コイル35及び第2コイル36に対してそれぞれX励磁用電流Xi+、X励磁用電流Xi−を流し、Y軸用電磁石4を構成する第1コイル45及び第2コイル46に対してそれぞれY励磁用電流Yi+、Y励磁用電流Yi−を流す。X励磁用電流Xi+はX励磁用電流Xi−よりも大きく、Y励磁用電流Yi+はY励磁用電流Yi−よりも大きい。このようにすれば、
図6Iに示すように、磁束mf8は、X軸成分、Y軸成分及びZ軸成分が合成された方向を向く。
【0029】
上記の通り、中心軸CLの任意の場所を磁場印加領域Pに設定することが可能であり、各コイル35、36、45、46に流す電流を変化させることで、電磁石を相対的に移動させなくても、中心軸CL上の所定領域Pに任意方向の磁場を印加可能となる。
【0030】
[第2実施形態]
第2実施形態は、
図7に示すように、第3ヨーク50を設けない構造である。この構造でも、X軸用電磁石3又はY軸用電磁石4の少なくともいずれかに対する逆電流モードを実行することで、Z軸成分を有する磁束mf5を発生させることができる。勿論、第3ヨーク50を設けた方がZ軸成分の磁束は強くなる。
【0031】
[第3実施形態]
第3実施形態は、
図8に示すように、第3ヨーク50に第3コイル51を巻き付けた構成である。このようにすれば、X軸用電磁石3又はY軸用電磁石4に対する逆電流モードを用いなくても、Z軸成分の磁束を発生させることができる。また、X軸用電磁石3又はY軸用電磁石4に対する逆電流モードで生じる磁場の強さを補強することができる。
【0032】
以上のように、本実施形態の電磁石は、先端の磁極31aがギャップGpを挟んでX軸に沿って離間する一対の第1棒状部位31を有し、ギャップGpと共に閉磁路mp_Xを形成可能な第1ヨーク30と、第1ヨーク30に巻き付けられる第1コイル35及び第2コイル36と、を有するX軸用電磁石3と、
先端の磁極41aがギャップGpを挟んでY軸に沿って離間する一対の第2棒状部位41を有し、ギャップGpと共に閉磁路mp_Yを形成可能な第2ヨーク40と、第2ヨーク40に巻き付けられる第1コイル45及び第2コイル46と、を有するY軸用電磁石4と、
第1ヨーク30及び第2ヨーク40に接続され、中心軸CLと同軸の柱状に形成された第3ヨーク50と、を備える。
一対の第1棒状部位31及び一対の第2棒状部位41は、Z軸に平行な中心軸CLを中心として互いに軸対称となる位置に配置されている。
【0033】
このように、電流を供給し、互いに向きが反対となる磁束をギャップGpに発現させようとすれば、反発しあって中心軸CL上にZ軸成分を有する磁束を発現させることができる。よって、Z軸用電磁石がなくても、X軸、Y軸及びZ軸を含む任意方向の磁場が印加可能となる。
第1棒状部位31及び第2棒状部位41が、Z軸に平行な中心軸CLを中心として互いに軸対称となる位置に配置されているので、中心軸CL上にX軸、Y軸及びZ軸を含む任意方向の磁場を印加でき、磁場の方向を切り替えたときに対象物と電磁石の相対的な位置関係を変更する必要がない。
さらに、第3ヨーク50は、第1ヨーク30及び第2ヨーク40に接続されており、中心軸CLと同軸であるので、互いに向きが反対となる磁束を発生させる電流を供給することによってZ軸の磁束の発生を強めることができる。
よって、電磁石又は対象物を移動させずに任意方向の磁場を印加可能となる。複数条件の磁場を順次印加するにあたり、時間ロスを低減することができる。
【0034】
本実施形態では、X軸用電磁石3又はY軸用電磁石4の少なくともいずれかに対し、第1方向(+X;+Y)に向かう磁束を中心軸CL上に発生させる電流(Xi+;Yi+)を第1コイル(35;36)に流し、且つ、第1方向(+X;+Y)とは逆の第2方向(−X;−Y)に向かう磁束を中心軸CL上に発生させる電流(Xi−;Yi−)を第2コイル(36;46)に流すことにより、中心軸CL上にZ軸成分を有する磁束を発現可能であり、各コイル35、36、45、46に流す電流を変化させることで、中心軸CL上にZ軸を含む任意方向の磁場を印加可能に構成されている。
【0035】
本実施形態では、第3ヨーク50に巻き付けられる第3コイル51を備える。
【0036】
この構成によれば、第3コイル51への通電により、Z軸の磁束を更に強くすることができる。
【0037】
本実施形態では、第1ヨーク30及び第2ヨーク40は、各々の棒状部位31、41の基端部からZ軸一方側(−Z)に延びる第1延在部32、42と、第1延在部32、42のZ軸一方側(−Z)の端部同士を接続する第2延在部33、43と、を有する。
【0038】
この構成によれば、各々の棒状部位31、41よりもZ軸他方側(+Z)に、ヨーク及びコイルが配置されていない領域Ar1が形成されているので、この領域を磁場印加領域Ar1として利用でき、磁場印加領域Ar1に配置する対象物が大きくなっても、電磁石自体を大きくする必要がなく、システムを小型化することができる。
【0039】
本実施形態では、X軸用電磁石3及びY軸用電磁石4における第1コイル35、45及び第2コイル36、46は、第2延在部33、43に巻き付けられている。
【0040】
この構成によれば、電磁石のX軸及びY軸寸法を抑えることができ、システムを小型化することができる。
【0041】
本実施形態の磁場印加システムは、上記電磁石1と、電磁石1の各コイル35、36、45、46に電流を供給する電流供給部2と、を含む。電流供給部2は、X軸用電磁石3又はY軸用電磁石4の少なくともいずれかに対し、第1方向(+X;+Y)に向かう磁束を中心軸CL上に発生させる電流(Xi+;Yi+)を第1コイル(35;45)に流し、且つ、第1方向(+X;+Y)とは逆の第2方向(−X;−Y)に向かう磁束を中心軸CL上に発生させる電流を第2コイル(36;46)に流す、逆電流モードによる電流供給が実行可能に構成されている。各コイル35、36、45、46に流す電流を変化させることで、中心軸CL上に前記Z軸を含む任意方向の磁場を印加可能に構成されている。
【0042】
なお、上記では説明の便宜のため、参照符号を実施形態や制御のパターンに応じて、セミコロン(;)で区切って記載しているが、権利解釈に影響を与えるものではない。
【0043】
以上、本開示の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明だけではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0044】
上記の各実施形態で採用している構造を他の任意の実施形態に採用することは可能である。各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【解決手段】電磁石は、X軸に沿って離間する一対の第1棒状部位31を有する第1ヨーク30と、第1ヨーク30に巻き付けられる第1コイル35及び第2コイル36と、Y軸に沿って離間する一対の第2棒状部位41を有する第2ヨーク40と、第2ヨーク40に巻き付けられる第1コイル45及び第2コイル46と、第1ヨーク30及び第2ヨーク40に接続され、中心軸CLと同軸の柱状に形成された第3ヨーク50と、を有する。第1棒状部位31及び第2棒状部位41は、Z軸に平行な中心軸CLを中心として互いに軸対称となる位置に配置される。