【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、
3〜6価のアルコールとモノカルボン酸とのエステルの混合物であり、
モノエステル/ジエステル=50/50〜75/25(質量比)であり、
前記モノカルボン酸は、炭素数8〜22のモノカルボン酸から選ばれる2つ以上
を82〜93質量%と、12−ヒドロキシステアリン酸
を7〜18質量%(合計100質量%)である
ポリオレフィン系樹脂フィルム用改質剤
という態様をとることができる。
【0006】
エステルの混合物とは、3〜6価のアルコールと炭素数8〜22のモノカルボン酸との適宜の組み合わせから得られるものであり、モノエステル、ジエステル、トリエステル等の混合物である。モノエステル/ジエステル=50/50〜75/25(質量比)とは、トリエステルが含まれているか否かに関わらず、モノエステル/ジエステルの合計を100とする場合の質量比を表している。
【0007】
3〜6価のアルコールとしては、
[1]グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、グルコース等の多価アルコール、
[2]ソルビタン、ソルバイド等の、ソルビトールの脱水によって得られる環状エーテル多価アルコール、
[3]ジグリセリン、エチレングリコールジグリセリルエーテル等の(ポリ)エーテルテトラオール、
[4]トリグリセリン、トリメチロールプロパンジグリセリルエーテル等の(ポリ)エーテルペンタオール、
[5]テトラグリセリン、ジペンタエリスリトール等の(ポリ)エーテルヘキサオール、等が挙げられる。
【0008】
また、炭素数8〜22のモノカルボン酸としては、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ウンデシレン酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、アラキジン酸、ヘンイコシル酸、ベヘン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エルカ酸、リシノレイン酸等が挙げられ、
これらのうち、カプリル酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸
が好ましい。
また、これらのモノカルボン酸から選ばれる2つ以上
を82〜93質量%と、12−ヒドロキシステアリン酸を
7〜18質量%(合計100質量%)とすることが好ましい。
【0009】
本発明のポリオレフィン系樹脂フィルム及びポリオレフィン系樹脂組成物に供するポリオレフィン系樹脂としては、
<1>エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチルペンテン−1、1−オクテン等の、炭素数2〜8のα−オレフィンから選ばれる一つから得られる、ポリエチレン、ポリプロピレン等のα−オレフィン単独重合体、
<2>前記のような炭素数2〜8のα−オレフィンから選ばれる二つ以上から得られる、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・1−ヘキセン共重合体等のα−オレフィン共重合体、
<3>エチレンと酢酸ビニルとから得られる共重合体、
<4>エチレンと酢酸ビニルから得られる共重合体をけん化して得られるエチレン・ビニルアルコール共重合体、
<5>エチレンと、アクリル酸、アクリル酸メチル及びアクリル酸エチルから選ばれる一つ又は二つ以上とから得られるエチレン・アクリル酸共重合体、
<6>エチレンと、メタクリル酸及びメタクリル酸メチルから選ばれる一つ又は二つ以上のエチレン・メタクリル酸共重合体等が挙げられる。
【0010】
中でも、エチレンと酢酸ビニルとから得られる共重合体(上記<3>に挙げたもの)、または、炭素数2〜8のα−オレフィン(上記<2>に挙げたもの)から選ばれる二つ以上から得られる、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・1−ヘキセン共重合体等のα−オレフィン共重合体が好ましい。
また、上記<2>に挙げたものは、いずれも公知の高活性チーグラー触媒、メタロセン触媒等の均一系触媒を用い、気相法、溶液重合法等によって得られるものがより好ましい。
さらに、<2>、<3>に挙げたものは、共に密度が0.86〜0.94g/cm3、MFRが0.01〜30g/10分であるものが特に好ましい。
以上例示したオレフィン系樹脂は、二つ以上のオレフィン系樹脂を混合して用いてもよい。
【0011】
本発明のポリオレフィン系樹脂フィルム用改質剤において、
モノエステル/ジエステル=55/45〜70/30(質量比)の割合としてもよい。
【0012】
本発明のポリオレフィン系樹脂フィルム用改質剤において、
3〜6価のアルコールは、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、ソルビタン、ソルビトール、イソソルビトール、ペンタエリスリトールから選ばれる一つ以上とすることが好ましい。
【0013】
本発明のポリオレフィン系樹脂フィルム用改質剤において、
3〜6価のアルコールがグリセリン及びソルビタンを合計で60
質量%以上含むものであり、グリセリン/ソルビタン=10/90〜40/60(質量比)であるものとしてもよい。
【0014】
本発明は、ポリオレフィン系樹脂フィルム用改質剤に限らず、種々の態様をとることができる。
例えば、
本発明は、上述したいずれかのポリオレフィン系樹脂フィルム用改質剤を0.5〜30質量%含有するポリオレフィン系樹脂組成物としても良い。
また、別の態様として、
上述したいずれかのポリオレフィン系樹脂フィルム用改質剤を0.5〜5質量%含有することを特徴とするポリオレフィン系樹脂フィルムとしてもよい。
さらに、
一方または双方の表層が、上述のポリオレフィン系樹脂フィルムである積層フィルムとしてもよい。積層フィルムの層は、2層としても良いし、中間層を設けて3層以上としてもよい。
積層フィルムにおいて、本発明のポリオレフィン系樹脂フィルムを用いない側の層は、従来技術におけるポリオレフィン系樹脂を用いてもよい。かかるポリオレフィン系樹脂には、合目的的に添加剤を含有させることもできる。かかる添加剤としては、保温剤、熱安定剤、酸化防止剤、中和剤、滑剤、耐候剤、紫外線吸収剤、アンチブロッキング剤、帯電防止剤、防曇剤、流滴剤、防霧剤、が挙げられる。
【0015】
さらに本発明は、以下に示す生成方法としての態様をとってもよい。
第1の生成方法は、上述のポリオレフィン系樹脂フィルム用改質剤の生成方法である。より具体的には、以下に示す方法1、方法2、またはこれらの組合せとすることができる。
【0016】
方法1としては、
1A) 攪拌機、加熱用のジャケット、邪魔板などを備えた通常の反応容器に3〜6価のアルコールと炭素数8〜22のモノカルボン酸から選ばれる2つ以上のモノカルボン酸と12−ヒドロキシステアリン酸を仕込み、必要に応じ酸またはアルカリを触媒として添加し、窒素または二酸化炭素などの任意の不活性ガス雰囲気下で、例えば約180〜260℃の範囲、好ましくは約200〜250℃で約0.5〜5時間、好ましくは約1〜3時間加熱してエステル化反応を行う工程と、
1B) 工程1)の反応終了後、反応液中に残存する触媒を中和する工程と、
1C) 次に工程1B)により得られた反応液を、好ましくは、減圧下で蒸留して、残存する3〜6価のアルコールを留去してエステル混合物を得る生成方法である。
さらに、必要であれば脱塩、脱色、ろ過などの処理を行ってもよい。また、エステル混合物の各エステル化度の割合は、ゲル濾過クロマトグラフィー(GPC)にて確認を行うことができる。
【0017】
方法2としては、
2A) 特定の3〜6価のアルコール1種類以上と炭素数8〜22のモノカルボン酸または、12−ヒドロキシステアリン酸のうち1種類以上を仕込み、必要に応じ酸またはアルカリを触媒として添加し、窒素または二酸化炭素などの任意の不活性ガス雰囲気下で、例えば約180〜260℃の範囲、好ましくは約200〜250℃で約0.5〜5時間、好ましくは約1〜3時間加熱してエステル化反応を行う工程と、
2B) 工程2A)の反応終了後、反応液中に残存する触媒を中和する工程と、
2C) 例えば流下薄膜式分子蒸留装置または遠心式分子蒸留装置などを用いて真空蒸留することにより、エステル化度の異なるエステルを得る工程と、
2D) 工程2C)で得られたエステルを配合する工程とを備える生成方法である。
必要であれば工程2B)において脱塩、脱色、ろ過などの処理を行ってもよい。エステル混合物の各エステル化度の割合は、ゲル濾過クロマトグラフィー(GPC)にて確認を行うことができる。
【0018】
第2の生成方法は、上述のポリオレフィン系樹脂組成物の生成方法である。より具体的には、以下に示す方法1、方法2、またはこれらの組合せとすることができる。
方法1としては、予めポリオレフィン系樹脂と、本発明のポリオレフィン系樹脂フィルム用改質剤であるエステル混合物を高濃度に含有するマスターバッチを作製しておき、このマスターバッチを更にポリオレフィン系樹脂と混合して所定のポリオレフィン系樹脂組成物とする方法である。
方法2としては、予めポリオレフィン系樹脂と、本発明のポリオレフィン系樹脂フィルム用改質剤であるエステル混合物をタンブラーブレンダー、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー等の混合機に投入して混合し、その混合物を単軸押出し機や多軸押出し機等の押出し機により溶融混練しつつ造粒して所定のポリオレフィン系樹脂組成物とする方法である。
方法3としては、ポリオレフィン系樹脂を単軸押出し機や多軸押出し機等の押出し機により溶融状態としたところへ、本発明のポリオレフィン系樹脂フィルム用改質剤であるエステル混合物をサイドフィード又は液状注入により混合し、溶融混練しつつ造粒して所定のポリオレフィン系樹脂組成物とする方法である。
方法4としては、4)2)及び3)を組み合わせて行う方法等である。
なお、方法1におけるマスターバッチの製造は、上述の方法2〜4と同様に行うことができる。ポリオレフィン系樹脂と、本発明のポリオレフィン系樹脂フィルム用改質剤であるエステル混合物を混合する手段として、タンブラーブレンダー、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー等の混合機による混合、サイドフィード、液状注入のどの方法を採用するかは、ポリオレフィン系樹脂、エステル混合物の形状によって決めることができ、固体の場合はタンブラーブレンダー、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー等の混合機による混合又はサイドフィードを採用し、また液体の場合は液状注入又はスーパーミキサー、ヘンシェルミキサー等の混合機を採用する。固体のものについては、液状のものに溶解又は分散させた後、液体又は液状体として混合することもできる。
【0019】
第3の生成方法は、ポリオレフィン系樹脂フィルムの生成方法である。
当該生成方法は、上述した本発明のポリオレフィン系樹脂組成物を生成する工程と、当該ポリオレフィン系樹脂組成物を用いてフィルム状に成形する工程とを備えることができる。ここで、成形方法には公知の方法を用いることができ、例えば、空冷インフレーション成形、空冷2段インフレーション成形、水冷インフレーション成形等のインフレーション成形、Tダイとしてストレート・マニホールド型、コート・ハンガー型、これらを組み合わせたもの等を用いたTダイ成形などとすることができる。
【0020】
第4の生成方法は、積層フィルムの生成方法である。
当該生成方法は、上述した本発明のポリオレフィン系樹脂組成物を生成する工程と、当該ポリオレフィン系樹脂組成物を用いて積層フィルムを成形する工程とを備えることができる。積層フィルムは2層以上からなり、一方又は双方の表層に前記ポリオレフィン系樹脂組成物を用いることができる。更に、積層フィルムが3層以上の場合には、表層に隣接する層にも前記ポリオレフィン系樹脂組成物を用いてもよい。ここで、積層フィルムの成形方法には公知の方法を用いることができ、かかる成形方法としては、共押し出し法が挙げられる。共押し出し法による製造では、例えば、インフレーション成形及びTダイ成形を用いることができ、また未延伸及び延伸のどちらの成形方法を用いることもできる。