特許第6473559号(P6473559)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6473559
(24)【登録日】2019年2月1日
(45)【発行日】2019年2月20日
(54)【発明の名称】支柱固定方法
(51)【国際特許分類】
   E04H 17/22 20060101AFI20190207BHJP
   E04H 12/22 20060101ALI20190207BHJP
   E04F 11/18 20060101ALI20190207BHJP
   E04B 1/00 20060101ALI20190207BHJP
【FI】
   E04H17/22
   E04H12/22
   E04F11/18
   E04B1/00 501L
【請求項の数】2
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-178523(P2018-178523)
(22)【出願日】2018年9月25日
【審査請求日】2018年9月25日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】591244007
【氏名又は名称】仙建工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100186451
【弁理士】
【氏名又は名称】梅森 嘉匡
(74)【代理人】
【識別番号】100134533
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 夏香
(72)【発明者】
【氏名】吉田 訓
【審査官】 西村 隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−025544(JP,A)
【文献】 特開平10−082215(JP,A)
【文献】 実開昭49−081635(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 17/22
E04H 12/22
E04B 1/00
E04F 11/18
E01F 9/00−9/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支柱立設箇所を掘削して、筒状の支柱本体の外径よりも大径のコアを鉛直方向に空けるコア抜き工程と、
前記支柱本体の内径よりも小径の単管と、尖頭を下向きにして当該単管の下端に溶接される円錐状又は角錐状の打込用金物と、により構成され、当該単管の内部に通じる空隙が形成されるように当該単管に対して当該打込用金物が溶接された支柱基材の下端側を、前記コア内に挿入し、前記コアの底面からの突出量が前記支柱本体の全長よりも短くなるまで地中に打ち込んで自立させる支柱基材打込工程と、
前記単管の外周面と前記コアの内周面との間の隙間にグラウト材を注入するとともに、当該グラウト材が前記コア内で硬化する前に、前記単管に対して前記支柱本体を挿入して前記支柱本体の下端側を前記コア内に配置する支柱本体据付工程と、
前記支柱本体の外周面と前記コアの内周面との間の隙間にグラウト材を充填して硬化させる第1充填工程と、
前記支柱本体の内部に収容された前記単管の天端を超える高さまで、前記支柱本体の上端開口部内にグラウト材を充填して硬化させる第2充填工程と
を含むことを特徴とする支柱固定方法。
【請求項2】
尖頭を下向きにして前記単管の下端に溶接される前記打込用金物の上面が前記単管の下端面よりも大きく、
前記支柱本体及び前記支柱基材がステンレス製であることを特徴とする請求項1記載の支柱固定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋外用の手すりや外構フェンス等に用いられる支柱を立設する際に適用することができる支柱固定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
屋外用の手すり、外構フェンス、標識や看板、カーポート等の設置に伴い、地面上には支柱が立設される。
【0003】
支柱を立設するための一手段として、例えば、地面を掘削し、掘削穴内にコンクリートを打設して下地とし、上面に支柱挿入用孔が設けられた基礎ブロックを下地の上に据え付けた後、支柱挿入用孔に支柱の下端部を差し込み、次いで、掘削穴内にモルタルを打設して硬化させることにより支柱や基礎ブロック等を一体化させて地盤に対して支柱を固定する工法(以下「基礎ブロック型工法」と称する。)が知られている。支柱を設置する箇所が縁石近傍のアスファルト舗装面である場合には、掘削穴を埋め戻した後、縁石を敷設し直し、アスファルト舗装を再施工して外観を整える工程が加わる。
【0004】
図10は従来の基礎ブロック型工法による施工例を示す説明図であり、盛土91を掘削した後、掘削穴94に砂利92を敷き、次いで、コンクリートを打設して下地93を設け、上面に支柱挿入用孔951が設けられた基礎ブロック95を下地93の上に据え付けた後、支柱挿入用孔951に支柱96の下端部を差し込んだ段階を示している。同図に示されるように、基礎ブロック型工法による場合には、基礎ブロック95を所定の深さ位置で水平に据え付ける作業が求められることから、相当程度の大きさの掘削穴94を設ける必要がある。また、モルタルが硬化するまで支柱96が安定せず、作業が滞る。
【0005】
基礎ブロックを用いた技術としては特許文献1等が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−111724号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
外構工事において、アスファルト路面等の舗装工程を終えた後に、施主や建物検査機関等の依頼ないし指示により、屋外用手すりの設置等の計画外の追加工事が、急きょ発生する場合がある。例えば、建物入口に至る段差解消スロープを当初計画通りに舗装した後に、急きょ、スロープに沿って手すりを設置することになり、スロープの縁石部に沿って手すり用の支柱を複数立設する追加工事が発生する場合がある。
【0008】
ここで、支柱を立設するための手段として前述の基礎ブロック型工法によると、敷設した縁石を撤去し、支柱立設箇所を中心に相当程度の大きさの掘削穴を設ける必要があるが(図10参照)、舗装面や縁石を広範囲にわたって掘り返すことになると施工済みの工事の一部が無駄になり、穴掘り、埋戻し、再舗装等の各工程に時間を費やし、コストが嵩んでしまう。
【0009】
上述のような支柱の立設を伴う追加工事が急きょ発生した場合でも、当初計画した工期内に工事を完了させるためには、仕上がっている外構を可及的に壊さずに、短期間で、支柱を立設することが求められる。また、屋外用の手すり等に用いられる支柱は、堅固であり、長期にわたって耐久性を保持し得るものであることが求められる。
【0010】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、屋外用の手すりや外構フェンス等に用いられる支柱を、施工済みの外構工事を可及的に無駄にすることなく、短期間で、堅固に立設することが可能な支柱固定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の支柱固定方法は、
支柱立設箇所を掘削して、筒状の支柱本体の外径よりも大径のコアを鉛直方向に空けるコア抜き工程と、
前記支柱本体の内径よりも小径の単管と、尖頭を下向きにして当該単管の下端に溶接される円錐状又は角錐状の打込用金物と、により構成され、当該単管の内部に通じる空隙が形成されるように当該単管に対して当該打込用金物が溶接された支柱基材の下端側を、前記コア内に挿入し、前記コアの底面からの突出量が前記支柱本体の全長よりも短くなるまで地中に打ち込んで自立させる支柱基材打込工程と、
前記単管の外周面と前記コアの内周面との間の隙間にグラウト材を注入するとともに、当該グラウト材が前記コア内で硬化する前に、前記単管に対して前記支柱本体を挿入して前記支柱本体の下端側を前記コア内に配置する支柱本体据付工程と、
前記支柱本体の外周面と前記コアの内周面との間の隙間にグラウト材を充填して硬化させる第1充填工程と、
前記支柱本体の内部に収容された前記単管の天端を超える高さまで、前記支柱本体の上端開口部内にグラウト材を充填して硬化させる第2充填工程と
を含むことを特徴とする。
【0012】
本発明の支柱固定方法は、
尖頭を下向きにして前記単管の下端に溶接される前記打込用金物の上面が前記単管の下端面よりも大きく、
前記支柱本体及び前記支柱基材がステンレス製であることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、屋外用の手すりや外構フェンス等に用いられる支柱を、施工済みの外構工事を可及的に無駄にすることなく、短期間で堅固に立設することが可能である。すなわち、すでに施工を終えた縁石や舗装路等の工作物を可及的に壊すことなく、工事範囲を最小限にとどめて、短期間で、堅固な支柱を必要数立設することができ、屋外用の手すりや外構フェンス等を構築することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係る支柱固定方法のコア抜き工程の説明図である。
図2】本発明に係る支柱固定方法の支柱基材打込工程の第1段階の説明図である。
図3】本発明に係る支柱固定方法の支柱基材打込工程の第2段階の説明図である。
図4】本発明に係る支柱固定方法の支柱本体据付工程の説明図である。
図5】本発明に係る支柱固定方法の第1充填工程の説明図である。
図6】本発明に係る支柱固定方法の第2充填工程の説明図であり、特に、支柱本体の上端開口部からグラウト材を注入している段階を示したものである。
図7】本発明に係る支柱固定方法の第2充填工程の説明図であり、特に、単管の天端を超える高さまでグラウト材を充填した状態を示したものである。
図8】一実施例である支柱基材の先端部側を拡大して示す側面図である。
図9図8に示す支柱基材のX−X断面図である。
図10】従来の基礎ブロック型工法による施工例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、実施例を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0016】
図1から図7は、スロープの縁石74に屋外用の手すり用の支柱1を立設するための各工程を時系列順に示したものである。各図に示すとおり、盛土71の上には砕石72が敷き詰められ、砕石72の上にコンクリート下地73が設けられ、この下地73上に縁石74が載置されており、外構工事が一応仕上がっている状態である。このように外構工事を終えた後に、屋外用手すりの設置等の追加工事が発生する場合があるが、本発明は、かかる場合においても適用することが可能である。本発明を適用することにより立設される支柱1は、筒状の支柱本体2と、先端部が地中に打ち込まれて支柱本体2を支持する支柱基材3とを有しており、支柱基材3は、単管31と、単管31の下端に溶接される(溶接部33を介して接続される)打込用金物としての円錐状金物32と、により構成される。なお、後述のとおり、打込用金物は、角錐状のものであっても良い。
【0017】
本発明の支柱固定方法は、(1)支柱立設箇所を掘削して、筒状の支柱本体の外径よりも大径のコアを鉛直方向に空けるコア抜き工程と、(2)前記支柱本体の内径よりも小径の単管と、尖頭を下向きにして当該単管の下端に溶接される円錐状又は角錐状の打込用金物と、により構成され、当該単管の内部に通じる空隙が形成されるように当該単管に対して当該打込用金物が溶接された支柱基材の下端側を、前記コア内に挿入し、前記コアの底面からの突出量が前記支柱本体の全長よりも短くなるまで地中に打ち込んで自立させる支柱基材打込工程と、(3)前記単管の外周面と前記コアの内周面との間の隙間にグラウト材を注入するとともに、当該グラウト材が前記コア内で硬化する前に、前記単管に対して前記支柱本体を挿入して前記支柱本体の下端側を前記コア内に配置する支柱本体据付工程と、(4) 前記支柱本体の外周面と前記コアの内周面との間の隙間にグラウト材を充填して硬化させる第1充填工程と、(5)前記支柱本体の内部に収容された前記単管の天端を超える高さまで、前記支柱本体の上端開口部内にグラウト材を充填して硬化させる第2充填工程とを含む。以下、各工程について詳細に説明する。
【0018】
<コア抜き工程> 図1は、本発明に係る支柱固定方法のコア抜き工程の説明図である。本工程においては、支柱立設箇所を掘削して、筒状の支柱本体2の外径よりも大径のコア6を鉛直方向に空ける。本実施例においては、縁石74上に支柱立設箇所があり、縁石74から鉛直下方に向けて盛土71に達するまで掘削することにより、コア6を鉛直方向に空けている。コア6は、支柱本体2や単管31よりも大径であり、支柱本体2や支柱基材3をコア6内に配置したとき、後述のとおり、隙間75、76が設けられる。本実施例においては、コア抜き用ドリル81を用いて、支柱1の立設箇所である縁石74に直径100mm程度のコア6を穿設しているが一例に過ぎず、後述の各工程の実施に支障の無い限度で小さく穿設することが望ましい。この点、従来の基礎ブロック型工法によると、基礎ブロック95を埋設するために縁石を撤去したり舗装面を掘り返したりするため、広範囲にわたって施工済みの工事が無駄になるが、本発明に係るコア6は支柱1を挿入固定するのに必要な限度で鉛直方向に円筒状に空けられるものであり、すでに施工を終えた縁石や舗装路等の工作物を可及的に壊すことなく、工事範囲を最小限にとどめることができる。
【0019】
<支柱基材打込工程> 図2は、本発明に係る支柱固定方法の支柱基材打込工程の第1段階の説明図であり、特に、ハンマー82を用いて支柱基材3を打ち込む際の状況を示した図である。図3は、本発明に係る支柱固定方法の支柱基材打込工程の第2段階の説明図であり、特に、支柱基材3を打ち込んで自立させた後の状況を示した図である。本工程においては、支柱基材3の下端側をコア6に挿入し、支柱基材3の下端側をコア6の底面61からの突出量が支柱本体2の全長よりも短くなるまで地中に打ち込んで自立させる。本実施例においては、支柱本体2の全長は1m弱であり、支柱基材3の全長は約1.5mであり、支柱基材3は縁石天端より500mm程度突出する位置(根入れ深さ1000mm程度)まで打ち込まれる。コア6の底面61からの突出量が支柱本体2の全長よりも短くなるまで支柱基材3を地中に打ち込んで自立させることにより、後述の支柱本体据付工程において、支柱基材3に対して支柱本体2を挿入したとき、支柱本体2の内部に支柱基材3の突出部分が収容される(図5図7参照)。なお、人力(ハンマー82)で打撃力を加えて打込む方法に代えて、仮設単管油圧打込み機等の油圧力で打込むようにしても良い。打ち込み時に支柱基材3の天端が潰れた場合には、その上端部を切断する。
【0020】
支柱基材3は、支柱本体2を鉛直に支持するための下地杭であり、単管31と打込用金物としての円錐状金物32とにより構成される。支柱基材3は支柱1を立設する所定の箇所に打ち込まれ、その先端部が地中に圧入されている。ここで、支柱基材3の構成について詳細に説明する。図8は、一実施例である支柱基材3の先端部側を拡大して示す側面図であり、図9は、図8に示す支柱基材3のX−X断面図である。
【0021】
単管31は、ステンレス製の中空鋼管であり、パイプ自体の体積分を周囲に押し付ける(土圧を受ける面が大きくなる)ため、外周に作用する摩擦力が増え、固定力が増加する。本実施例では、単管31として直径42.7mm、全長1.5mの鋼管を用いている。単管31の先端には、尖頭を下向きにして打込用金物が溶接されており、地面に対して打込み易くなっている。
【0022】
打込用金物は、単管を杭代わりにして打込む際の先端用突起として従来一般に使用される金物であり、尖った先頭(尖頭)を有し、溶接により単管の端部に取り付けられ、支柱基材打込工程において地中に圧入される。本実施例においては、打込用金物として、内部が中空のロードコーン状に形成された円錐状金物32を用いているが、中実のものであっても良く、また、内部が中空又は中実の三角錐や四角錐等の角錐状のものを用いても良い。打込用金物を設けることにより、打ち込み時に支柱基材3周りの土を押し固めるため、支柱基材3に作用する摩擦力が増加し、鉛直支持力と支柱基材周囲の固定力が増加して支柱基材の転倒が抑制される。また、打込用金物を設けることにより、打込み時に単管31内に土が入り込みにくくなり、第2充填工程において単管31に注入されたグラウト材が空隙5から土中へ浸透し易くなる。打込用金物としては、好ましくは、尖頭を下向きにして単管31の下端に溶接される打込用金物の上面321(尖頭を下向きにして配置されることにより上側に配置される打込用金物の底面)が単管31の下端面311よりも大きく、別言すれば、単管31に溶接したときに側面視で単管31の直径よりも幅寸法の大きな打込用金物を選ぶ。これにより、図8及び図9に示すように、単管31との間に段差部34(カサ部)を設けることができ、この段差部34が地中打込み後の引抜き力に対して抵抗となり、固定力が増加する。本実施例においては、円錐形金物32の上面321(円縁部)の直径が48.6mmである単管打込用キャップを用いることにより、単管31との間に段差部34(カサ部)を設けている。
【0023】
円錐状金物32は、尖頭を下向きにして単管31の下端に溶接されるが、図8及び図9に示すように、単管31の内部に通じる空隙5が形成されるように単管31に対して溶接される。すなわち、単管31と円錐状金物32とを連結する溶接部33は単管31の下端面311の円縁に沿って連続的に周回するようには形成されておらず、円錐状金物32により単管31の下側開口部が密閉されないように下端面311の円縁に沿って円弧状にある程度の長さで断続的に複数箇所溶接され、溶接部33相互の間には単管31の内部に通じる空隙5が形成されている。なお、円錐状金物32に代えて、打込用金物として角錐状の金物を用いる場合においても、単管31の内部に通じる空隙5と同様の空隙が形成されるように単管31に対して角錐状の打込用金物が溶接される。
【0024】
<支柱本体据付工程> 図4は、本発明に係る支柱固定方法の支柱本体据付工程の説明図である。本工程においては、支柱基材打込工程を経てコア6の底面61から突出する単管31の外周面とコア6の内周面との間の隙間75にグラウト材4を注入するとともに、注入されたグラウト材4がコア6内で硬化する前に、支柱基材3に対して支柱本体2を挿入して支柱本体2の下端側をコア6内に配置する。このように、注入されたグラウト材4が硬化する前に、単管31を収容するように、支柱基材3の天端(より具体的には、支柱基材打込工程を経て地中に打ち込まれた支柱基材3の単管31の天端)から支柱本体2を挿入して、支柱本体2の下端側をコア6内に配置することにより、支柱基材3の外周面と支柱本体2の内周面の下端側の隙間にもグラウト材4を入り込ませることができる。
【0025】
<第1充填工程> 図5は、本発明に係る支柱固定方法の第1充填工程の説明図である。本工程においては、支柱本体2の外周面とコア6の内周面との間の隙間76にグラウト材4を充填して硬化させる。これにより地面に対して支柱基材3が固定されるとともに(図6参照)、グラウト材4が砕石72等に浸透して硬化することで支柱基材3の周辺が固定化されて頑強となる。支柱基材3が内鞘として支柱本体2で覆われ、コア6がグラウト材で充填されることにより、見栄えも良い。
【0026】
<第2充填工程> 図6は、本発明に係る支柱固定方法の第2充填工程の説明図であり、特に、支柱本体2の上端開口部からグラウト材4を注入している途中段階を示したものであり、図7は、本発明に係る支柱固定方法の第2充填工程の説明図であり、特に、単管31の天端を超える高さまでグラウト材を充填した状態を示したものである。本工程においては、支柱本体2の内部に収容された単管31の天端を超える高さまで、支柱本体2の上端開口部内にグラウト材4を充填して硬化させる。支柱本体2の上端開口部からその筒内の空洞部にグラウト材4を注入し(図6参照)、支柱本体2の内部に収容された単管31の天端を超える高さまでグラウト材4を充填して(図7参照)硬化させることにより、支柱基材3と支柱本体2とを一体化させる。なお、支柱本体据付工程において、支柱基材3の外周面と支柱本体2の内周面の下端側の隙間にもグラウト材4が入り込んでおり、支柱本体2の内周面と支柱基材3の外周面との間の隙間全体にわたってグラウト材を行き渡らせることができる。
【0027】
第2充填工程により単管31の内部を通ったグラウト材4は、図9中の破線矢印で示すように、空隙5を通って先端周辺の盛土71に浸透し、硬化して根固めされ、先端の固定度が向上する。このように、単管31の内部に通じる空隙5が形成されるように単管31に対して円錐状金物32を溶接しておくことにより、支柱1先端の根固めを行うことができ、支柱1を強固に立設できる。なお、打込用金物として角錐状のものを用いる場合にも、前述のとおり、単管31の内部に通じる空隙5と同様の空隙が形成されるように溶接しておくことにより、支柱1先端の根固めを行うことができる。
【0028】
近年、鋼管の内部にコンクリートを充填したコンクリート充填鋼管造(以下「CFT造」と略す)の柱が注目されているが、本発明により立設された支柱1においても、支柱本体2の筒内にグラウト材を充填して硬化させることにより、このCFT造の柱と同様の相互拘束(コンファインド)効果を創出し、あらゆる方向の力に対してバランスよく耐力を発揮する堅固な支柱とすることができる。歩行者が手すりを掴むと支柱1には振動ないし荷重が作用するが、この相互拘束効果により、座屈を防ぐ等、あらゆる方向の力に対してバランスよく耐力を発揮し、長期にわたって耐久性を保持することができる。また、支柱1の内部をアルカリ性であるグラウト材4で充填することにより、防錆効果を発揮させ、ステンレス材の腐食による経年劣化を大幅に遅らせることができる。支柱1の強度及び防錆性を高めるため、支柱本体2の内部に収容された単管31の天端を超える高さまでグラウト材4を充填して硬化させることが好ましい。
【0029】
上記第2充填工程を経て、所定の位置に堅固に立設された支柱本体2に対して、手すりを組み付ける。本発明によれば、支柱1の寸法に応じたコア6を空ければ施工することが可能であり、すでに施工を終えた縁石74や舗装路等の工作物を可及的に壊すことなく(工事範囲を最小限にとどめて)、支柱1を堅固に立設することができる。
【0030】
また、本発明によると、支柱基材3を打込み式で設置することができるため、簡単で素早い施工が可能である。この点、従来の基礎ブロック型工法(図10参照)によると、掘削から仕上がりまでの基礎ブロック95のレベル管理や、基礎ブロック95の天端仕上げを要し、モルタル等のセメント系材料が硬化するまで支柱が安定せずモルタル硬化まで作業が滞る、勾配があるときれいに仕上げづらいといった問題がある。これに対し、本発明によれば、基礎ブロックを用いることなく、打込み式で素早く設置された支柱基材3に対して支柱本体2を安定的に挿入することができ、グラウト材の硬化と並行して作業をすすめることができ、短期間で、支柱を立設することが可能である。
【0031】
本発明は、縁石などのコンクリート二次製品以外に、アスファルト舗装、コンクリート土間などの表層が比較的固いもので、路盤がしっかりとしている箇所に特に有効である。地盤が緩い場合には、添加剤撹拌による地盤改良、砕石置き換えなどによる改良を行うことで施工可能となる。なお、仮に支柱基材が斜めに打ち込まれた場合(建て入れ不良の場合)には、縁石天端付近で、支柱基材の側面にディスクグラインダー等による切れ目を入れ、垂直になるように曲げることで建て入れ調整することができる。調整後の切れ目は溶接により補修するが、支柱基材の内部にはグラウト材が充填されるため、水密性を要しない(切れ目から漏れ出たグラウト材は硬化して、強度の増加や防錆効果を発揮する。)。
【0032】
本発明は、上記実施の形態ないし実施例に限定されず、その発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形実施が可能である。上記実施の形態ないし実施例においては、専ら、屋外用の手すりを構築する際の適用例に基づいて本発明の特徴を説明したが、本発明は、外構フェンス、看板や標識、門扉、外灯、カーポート等を構築する現場において、支柱を立設する場面において、一般的ないし汎用的に適用することができる。本発明は、外構工事において、アスファルト舗装等の舗装工程を終えた後に、急きょ、屋外用手すりや外構フェンス等を構築することが求められた場合に特に有用な技術であるが、これに限られず、計画当初から本発明を適用して手すり等を構築するようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明は、屋外用の手すりや外構フェンス等に用いられる支柱を立設する際に適用することができる。
【符号の説明】
【0034】
1 支柱
2 支柱本体
3 支柱基材
31 単管
311 下端面
32 円錐状金物(打込用金物)
321 上面
33 溶接部
34 段差部
4 グラウト材
5 空隙
6 コア
61 底面
71 盛土
72 砕石
73 下地
74 縁石
75 (単管とコアとの間の)隙間
76 (支柱本体とコアとの間の)隙間
81 ドリル
82 ハンマー
91 盛土
92 砕石
93 下地
94 掘削穴
95 基礎ブロック
951 支柱挿入用孔
96 支柱
【要約】
【課題】屋外用手すりや外構フェンス等に用いられる支柱を、施工済みの外構工事を可及的に無駄にすることなく、短期間で、堅固に立設することが可能な支柱固定方法を提供する。
【解決手段】コア6を鉛直方向に空けて、単管31及び打込用金物としての円錐状金物32により構成される支柱基材3の下端側をコア6内に挿入した後、支柱基材3の先端部を地中に打ち込んで自立させる。次に、隙間75に注入したグラウト材がコア6内で硬化する前に支柱基材3に対して支柱本体2を挿入して支柱本体2の下端側をコア6内に配置し、隙間76にグラウト材を充填して硬化させる。その後、図7に示すように、支柱本体2の内部に収容された単管31の天端を超える高さまで、支柱本体2の上端開口部内にグラウト材4を充填して硬化させるが、この際、単管31の内部を通ったグラウト材4が空隙5を通って先端周辺の土中に浸透し、硬化して根固めする。
【選択図】図7
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図10