【文献】
財団法人 日本規格協会,JIS Z 8825−1 粒子径解析−レーザー回折法− 第1部 測定原理,2001年 6月30日,pp. 1-34
【文献】
鈴木孝司ほか,簡易粒径計測システムの開発,微粒化,2007年 7月31日,Vol. 16, No. 54,pp. 34-46
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来技術に係る計測装置等は、工業向けや、研究機関向けのものが多く、大型でコストも嵩むという難点があった。
【0008】
一方、粒子にレーザ光を照射した時の各粒径に特徴的な散乱がされる散乱光量とパターンを用いた粒子測定装置も開発されている。
【0009】
ここで、レーザ光を粒子に照射した場合、粒径が比較的大きな場合は全周方向に散乱強度が強い傾向にある。特に前方の散乱光強度がより強く、粒径が小さくなるに従って、全体的に散乱光強度が弱くなり、前方散乱光強度も弱まる。そのため、粒径が比較的大きな粒子の場合には、粒子によって散乱された光のうち、前方散乱光を凸レンズで集光するとその焦点上に回折像を生じる。この回折光の明るさと大きさは、粒子の粒径によって決まるので、これらの散乱光情報を利用することにより比較的容易に粒径を得ることができる。
【0010】
しかし、粒径が小さくなると、前方散乱光の強度が減少し、前方に設置した検出器では検出が困難となる。そのため、測定対象の微粒子を暗室に導き、側方散乱や後方散乱の微弱散乱光のパターンを高感度の光センサで測定する必要があり、測定装置が大型化し、コストも嵩むという問題があった。
【0011】
本発明は上記の事情に鑑み、簡易且つ低コストで微粒子の粒径を測定することのできる粒径測定装置および粒径測定方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決するため、請求項1の発明に係る粒径測定装置は、被検体の微粒子の粒径を測定する粒径測定装置であって、コヒーレント光を出射する光源と、微粒子を自然導入する前の前記コヒーレント光および自然導入された微粒子により前記コヒーレント光に生じた回折・散乱光を直接的に撮影する撮影手段と、前記撮影手段で撮影された前記コヒーレント光および回折・散乱光パターンの画像データを画像処理する画像処理手段と、前記画像処理手段による画像処理結果に基いて前記回折・散乱光パターンのピークを判定して前記微粒子の粒径を算出する粒径算出手段とを備え
、前記画像処理手段は、前記撮影手段により前記回折・散乱光パターンが形成される前に撮影される前記コヒーレント光から成る基準画像についてRGB変換した後、グレースケール化する第1の変換手段と、前記第1の変換手段でグレースケール化されたデータの量子化を行う第1の量子化手段と、前記回折・散乱光パターンの画像についてRGB変換した後、グレースケール化する第2の変換手段と、前記第2の変換手段でグレースケール化されたデータの量子化を行う第2の量子化手段と、前記第1の量子化手段で量子化されたデータを基準データ、前記第2の量子化手段で量子化されたデータを回折・散乱光パターンデータとして格納する格納手段と、前記回折・散乱光パターンデータと前記基準データの同じ成分について、前記回折・散乱光パターンデータから前記基準データの減算処理を行う減算手段と、前記光源の原点から前記減算処理の結果得られる同心円状の各回折・散乱光パターンまでの角度を算出する角度算出手段と、前記光源の原点から明るさのピークを有する前記同心円状の回折・散乱光パターンまでの角度を測定する角度測定手段とを備え、前記粒径算出手段は、前記角度と、波長と、粒径との関係を示す関係式に、前記画像処理手段によって得られたパラメータを代入して、粒径を算出することを特徴とする。
【0013】
請求項2の発明に係る粒径測定装置は、被検体の微粒子の粒径を測定する粒径測定装置であって、コヒーレント光を出射する光源と、前記光源から出射されたコヒーレント光のビーム内に、前記被検体を微粒子として導入する導入手段と、前記導入手段により微粒子を導入する前の前記コヒーレント光および前記導入手段により導入された前記微粒子により前記コヒーレント光に生じた回折・散乱光を直接的に撮影する撮影手段と、前記撮影手段で撮影された前記コヒーレント光および回折・散乱光パターンの画像データを画像処理する画像処理手段と、前記画像処理手段による画像処理結果に基いて前記回折・散乱光パターンのピークを判定して前記微粒子の粒径を算出する粒径算出手段とを備え
、前記画像処理手段は、前記撮影手段により前記回折・散乱光パターンが形成される前に撮影される前記コヒーレント光から成る基準画像についてRGB変換した後、グレースケール化する第1の変換手段と、前記第1の変換手段でグレースケール化されたデータの量子化を行う第1の量子化手段と、前記回折・散乱光パターンの画像についてRGB変換した後、グレースケール化する第2の変換手段と、前記第2の変換手段でグレースケール化されたデータの量子化を行う第2の量子化手段と、前記第1の量子化手段で量子化されたデータを基準データ、前記第2の量子化手段で量子化されたデータを回折・散乱光パターンデータとして格納する格納手段と、前記回折・散乱光パターンデータと前記基準データの同じ成分について、前記回折・散乱光パターンデータから前記基準データの減算処理を行う減算手段と、前記光源の原点から前記減算処理の結果得られる同心円状の各回折・散乱光パターンまでの角度を算出する角度算出手段と、前記光源の原点から明るさのピークを有する前記同心円状の回折・散乱光パターンまでの角度を測定する角度測定手段とを備え、前記粒径算出手段は、前記角度と、波長と、粒径との関係を示す関係式に、前記画像処理手段によって得られたパラメータを代入して、粒径を算出することを特徴とする。
【0014】
請求項3の発明に係る粒径測定装置は、被検体の微粒子の粒径を測定する粒径測定装置であって、コヒーレント光を出射する光源と、微粒子を自然導入する前の前記コヒーレント光および自然導入された前記微粒子により前記コヒーレント光に生じた回折・散乱光を投影するスクリーンと、前記スクリーンに投影された前記コヒーレント光および回折・散乱光パターンを撮影する撮影手段と、前記撮影手段で撮影された前記コヒーレント光および前記回折・散乱光パターンの画像データを画像処理する画像処理手段と、前記画像処理手段による画像処理結果に基いて前記回折・散乱光パターンのピークを判定して前記微粒子の粒径を算出する粒径算出手段とを備え
、前記画像処理手段は、前記撮影手段により前記回折・散乱光パターンが形成される前に撮影される前記コヒーレント光から成る基準画像についてRGB変換した後、グレースケール化する第1の変換手段と、前記第1の変換手段でグレースケール化されたデータの量子化を行う第1の量子化手段と、前記回折・散乱光パターンの画像についてRGB変換した後、グレースケール化する第2の変換手段と、前記第2の変換手段でグレースケール化されたデータの量子化を行う第2の量子化手段と、前記第1の量子化手段で量子化されたデータを基準データ、前記第2の量子化手段で量子化されたデータを回折・散乱光パターンデータとして格納する格納手段と、前記回折・散乱光パターンデータと前記基準データの同じ成分について、前記回折・散乱光パターンデータから前記基準データの減算処理を行う減算手段と、前記光源の原点から前記減算処理の結果得られる同心円状の各回折・散乱光パターンまでの角度を算出する角度算出手段と、前記光源の原点から明るさのピークを有する前記同心円状の回折・散乱光パターンまでの角度を測定する角度測定手段とを備え、前記粒径算出手段は、前記角度と、波長と、粒径との関係を示す関係式に、前記画像処理手段によって得られたパラメータを代入して、粒径を算出することを特徴とする。
【0015】
請求項4の発明に係る粒径測定装置は、被検体の微粒子の粒径を測定する粒径測定装置であって、コヒーレント光を出射する光源と、前記光源から出射されたコヒーレント光のビーム内に、前記被検体を微粒子として導入する導入手段と、前記導入手段により微粒子を導入する前の前記コヒーレント光および前記導入手段により導入された前記微粒子により前記コヒーレント光に生じた回折・散乱光を投影するスクリーンと、前記スクリーンに投影された前記コヒーレント光および回折・散乱光パターンを撮影する撮影手段と、前記撮影手段で撮影された前記コヒーレント光および前記回折・散乱光パターンの画像データを画像処理する画像処理手段と、前記画像処理手段による画像処理結果に基いて前記回折・散乱光パターンのピークを判定して前記微粒子の粒径を算出する粒径算出手段とを備えることを特徴とする。
【0016】
請求項5の発明に係る粒径測定装置は、請求項1から請求項4の何れか1項に記載の粒径測定装置について、前記光源は半導体レーザで構成され、前記撮影手段はデジタルカメラで構成されることを特徴とする。
【0018】
請求項6の発明に係る粒径測定装置は、
請求項1から請求項5の何れか1項に記載の粒径測定装置について、前記関係式は、(S(θ))
2 = (x(1+Cos(θ))/2 J
1(xSin(θ))/Sin(θ))
2であり、J
1は一次ベッセル関数、x=2πr/λ、rは半径、λは波長、xは粒子のサイズ因子であることを特徴とする。
【0019】
請求項7の発明に係る粒径測定方法は、被検体の微粒子の粒径を測定する粒径測定方法であって、微粒子を自然導入する前のコヒーレント光および自然導入された前記微粒子により前記コヒーレント光に生じた回折・散乱光を撮影手段を用いて直接的に撮影する撮影過程と、撮影された前記コヒーレント光および回折・散乱光パターンの画像データを画像処理する画像処理過程と、画像処理結果に基いて前記回折・散乱光パターンのピークを判定して前記微粒子の粒径を算出する粒径算出過程とを有し、前記画像処理過程は、前記撮影手段により前記回折・散乱光パターンが形成される前に撮影される前記コヒーレント光から成る基準画像についてRGB変換した後、グレースケール化する第1の変換過程と、前記第1の変換
過程でグレースケール化されたデータの量子化を行う第1の量子化過程と、前記回折・散乱光パターンの画像についてRGB変換した後、グレースケール化する第2の変換過程と、前記第2の変換
過程でグレースケール化されたデータの量子化を行う第2の量子化過程と、前記第1の量子化過程で量子化されたデータを基準データ、前記第2の量子化過程で量子化されたデータを回折・散乱光パターンデータとして格納する格納過程と、前記回折・散乱光パターンデータと前記基準データの同じ成分について、前記回折・散乱光パターンデータから前記基準データの減算処理を行う減算過程と、
前記コヒーレント光を出射する光源の原点から前記減算処理の結果得られる同心円状の各回折・散乱光パターンまでの角度を算出する角度算出過程と、前記光源の原点から明るさのピークを有する前記同心円状の回折・散乱光パターンまでの角度を測定する角度測定過程と、前記角度と、波長と、粒径との関係を示す関係式に、前記各過程で得られた各パラメータを代入して、粒径を算出する粒径算出過程とを有することを特徴とする。
【0020】
請求項8の発明に係る粒径測定方法は、被検体の微粒子の粒径を測定する粒径測定方法であって、光源から出射されたコヒーレント光のビーム内に、前記被検体を微粒子として導入する導入過程と、前記導入過程により微粒子を導入する前の前記コヒーレント光および前記導入過程で導入された前記微粒子により前記コヒーレント光に生じた回折・散乱光を撮影手段を用いて直接的に撮影する撮影過程と、撮影された前記コヒーレント光および回折・散乱光パターンの画像データを画像処理する画像処理過程と、画像処理結果に基いて前記回折・散乱光パターンのピークを判定して前記微粒子の粒径を算出する粒径算出過程とを有し、前記画像処理過程は、前記撮影手段により前記回折・散乱光パターンが形成される前に撮影される前記コヒーレント光から成る基準画像についてRGB変換した後、グレースケール化する第1の変換過程と、前記第1の変換
過程でグレースケール化されたデータの量子化を行う第1の量子化過程と、前記回折・散乱光パターンの画像についてRGB変換した後、グレースケール化する第2の変換過程と、前記第2の変換
過程でグレースケール化されたデータの量子化を行う第2の量子化過程と、前記第1の量子化過程で量子化されたデータを基準データ、前記第2の量子化過程で量子化されたデータを回折・散乱光パターンデータとして格納する格納過程と、前記回折・散乱光パターンデータと前記基準データの同じ成分について、前記回折・散乱光パターンデータから前記基準データの減算処理を行う減算過程と、
前記コヒーレント光を出射する光源の原点から前記減算処理の結果得られる同心円状の各回折・散乱光パターンまでの角度を算出する角度算出過程と、前記光源の原点から明るさのピークを有する前記同心円状の回折・散乱光パターンまでの角度を測定する角度測定過程と、前記角度と、波長と、粒径との関係を示す関係式に、前記各過程で得られた各パラメータを代入して、粒径を算出する粒径算出過程とを有することを特徴とする。
【0021】
請求項9の発明に係る粒径測定方法は、被検体の微粒子の粒径を測定する粒径測定方法であって、微粒子を自然導入する前のコヒーレント光および自然導入された前記微粒子により前記コヒーレント光に生じた回折・散乱光をスクリーンに投影する過程と、前記スクリーンに投影された前記コヒーレント光および回折・散乱光パターンを撮影手段を用いて撮影する撮影過程と、前記撮影手段で撮影された前記コヒーレント光および前記回折・散乱光パターンの画像データを画像処理する画像処理過程と、画像処理結果に基いて前記回折・散乱光パターンのピークを判定して前記微粒子の粒径を算出する粒径算出過程とを有し、前記画像処理過程は、前記撮影手段により前記回折・散乱光パターンが形成される前に撮影される前記コヒーレント光から成る基準画像についてRGB変換した後、グレースケール化する第1の変換過程と、前記第1の変換
過程でグレースケール化されたデータの量子化を行う第1の量子化過程と、前記回折・散乱光パターンの画像についてRGB変換した後、グレースケール化する第2の変換過程と、前記第2の変換
過程でグレースケール化されたデータの量子化を行う第2の量子化過程と、前記第1の量子化過程で量子化されたデータを基準データ、前記第2の量子化過程で量子化されたデータを回折・散乱光パターンデータとして格納する格納過程と、前記回折・散乱光パターンデータと前記基準データの同じ成分について、前記回折・散乱光パターンデータから前記基準データの減算処理を行う減算過程と、
前記コヒーレント光を出射する光源の原点から前記減算処理の結果得られる同心円状の各回折・散乱光パターンまでの角度を算出する角度算出過程と、前記光源の原点から明るさのピークを有する前記同心円状の回折・散乱光パターンまでの角度を測定する角度測定過程と、前記角度と、波長と、粒径との関係を示す関係式に、前記各過程で得られた各パラメータを代入して、粒径を算出する粒径算出過程とを有することを特徴とする。
【0022】
請求項10の発明に係る粒径測定方法は、被検体の微粒子の粒径を測定する粒径測定方法であって、光源から出射されたコヒーレント光のビーム内に、前記被検体を微粒子として導入する導入過程と、前記導入過程により微粒子を導入する前の前記コヒーレント光および前記導入過程で導入された前記微粒子により前記コヒーレント光に生じた回折・散乱光をスクリーンに投影する過程と、前記スクリーンに投影された前記コヒーレント光および回折・散乱光パターンを撮影手段を用いて撮影する撮影過程と、前記撮影手段で撮影された前記コヒーレント光および前記回折・散乱光パターンの画像データを画像処理する画像処理過程と、画像処理結果に基いて前記回折・散乱光パターンのピークを判定して前記微粒子の粒径を算出する粒径算出過程とを有し、前記画像処理過程は、前記撮影手段により前記回折・散乱光パターンが形成される前に撮影される前記コヒーレント光から成る基準画像についてRGB変換した後、グレースケール化する第1の変換過程と、前記第1の変換
過程でグレースケール化されたデータの量子化を行う第1の量子化過程と、前記回折・散乱光パターンの画像についてRGB変換した後、グレースケール化する第2の変換過程と、前記第2の変換
過程でグレースケール化されたデータの量子化を行う第2の量子化過程と、前記第1の量子化過程で量子化されたデータを基準データ、前記第2の量子化過程で量子化されたデータを回折・散乱光パターンデータとして格納する格納過程と、前記回折・散乱光パターンデータと前記基準データの同じ成分について、前記回折・散乱光パターンデータから前記基準データの減算処理を行う減算過程と、
前記コヒーレント光を出射する光源の原点から前記減算処理の結果得られる同心円状の各回折・散乱光パターンまでの角度を算出する角度算出過程と、前記光源の原点から明るさのピークを有する前記同心円状の回折・散乱光パターンまでの角度を測定する角度測定過程と、前記角度と、波長と、粒径との関係を示す関係式に、前記各過程で得られた各パラメータを代入して、粒径を算出する粒径算出過程とを有することを特徴とする。
【0024】
請求項11の発明に係る粒径測定方法は、
請求項7から請求項10の何れか1項に記載の粒径測定方法において、前記関係式は、(S(θ))
2 = (x(1+Cos(θ))/2 J
1(xSin(θ))/Sin(θ))
2であり、J
1は一次ベッセル関数、x=2πr/λ、rは半径、λは波長、xは粒子のサイズ因子であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、簡易且つ低コストで微粒子の粒径を測定することのできる粒径測定装置および粒径測定方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の一例としての実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。ここで、添付図面において同一の部材には同一の符号を付しており、また、重複した説明は省略されている。なお、ここでの説明は本発明が実施される最良の形態であることから、本発明は当該形態に限定されるものではない。
【0028】
(第1の実施の形態)
図1のブロック図を参照して、第1の実施形態に係る粒径測定装置1aの概略構成について説明する。
【0029】
第1の実施の形態に係る粒径測定装置1aは、被検体(本実施の形態では、水またはアルコールを用いた)の微粒子の粒径を測定する粒径測定装置であって、コヒーレント光(レーザ光)L1を出射する光源(例えば、半導体レーザ)2と、光源2から出射されたコヒーレント光L1のビーム内に、被検体を導入する導入手段の一種として、微粒子A1を噴霧する噴霧手段(例えば、スプレー等)3と、噴霧手段3により微粒子A1を噴霧する前のコヒーレント光L1および噴霧手段3により噴霧された微粒子A1によりコヒーレント光に生じた回折・散乱光L2を直接的に撮影する撮影手段の一種としてのリアルタイムカメラ(例えば、ウェブカメラやデジタルカメラ等で構成される)4と、リアルタイムカメラ4で撮影されたコヒーレント光L1および回折・散乱光パターンの画像データを画像処理する画像処理手段5と、画像処理手段5による画像処理結果に基いて回折・散乱光パターンのピークを判定して微粒子A1の粒径を算出する粒径算出手段6とを備える。
【0030】
なお、画像処理手段5および粒径算出手段6は、モニタ11などを備えたパーソナルコンピュータ10等で構成される。また、画像処理手段5および粒径算出手段6自体は、パーソナルコンピュータ10等にインストールされるソフトウェアで構成することができる。
【0031】
また、被検体を導入する導入手段の一種として、微粒子A1を噴霧する噴霧手段(例えば、スプレー等)3を省略し、自然的に被検体が導入されるようにしてもよい。
【0032】
図2は、第1の実施形態に係る粒径測定装置1aの構成例を示す説明図である。
【0033】
図2に示す構成例では、光源2として半導体レーザを用いたレーザ光源を用いる。レーザ光源としては、例えば、波長635nm、出力3mWの赤色半導体レーザ素子を用いることができる。
【0034】
噴霧手段3としては、スプレー缶に被検体(水やアルコール等)を封入したものや、霧吹き器等を用いることができる。また、大気中に含まれる粒子の粒径を測定する場合には、噴霧手段に代えて、大気を導入する機構等を設けるようにしてもよい。
【0035】
リアルタイムカメラ4としては、ウェブカメラ(Webカメラ)やデジタルカメラなどを用いることができる。
【0036】
ウェブカメラは、パーソナルコンピュータ等に接続して使用する小型のビデオカメラであり、USBやIEEE1394などのインターフェースを備え、撮影された画像はリアルタイムでパーソナルコンピュータ等に伝送されるようになっている。近年は、普及が進み、比較的安価に入手可能である。
【0037】
また、一般的なデジタルカメラの中には、ウェブカメラと同様に、撮影された画像はリアルタイムでパーソナルコンピュータ等に伝送することができるものもあり、そのようなデジタルカメラをウェブカメラに代えて用いることもできる。これにより、身近なデジタルカメラを活用して、より安価に粒径測定装置1aを構成することができる。
【0038】
図1に示す画像処理手段5および粒径算出手段6を構成するパーソナルコンピュータ10としては、デスクトップ型やノートブック型等を用いることができる。
【0039】
図3は、画像処理手段5の機能構成を示す機能ブロック図である。
【0040】
図3に示すように、画像処理手段5は、リアルタイムカメラ4等により回折・散乱光パターンが形成される前に撮影されるコヒーレント光L1から成る基準画像(例えば、
図4(a))についてRGB変換した後、グレースケール化する第1の変換手段51と、第1の変換手段51でグレースケール化されたデータの量子化を行う第1の量子化手段52と、回折・散乱光パターンの画像(例えば、
図4(b))についてRGB変換した後、グレースケール化する第2の変換手段53と、第2の変換手段53でグレースケール化されたデータの量子化を行う第2の量子化手段54と、第1の量子化手段52で量子化されたデータを基準データ、第2の量子化手段54で量子化されたデータを回折・散乱光パターンデータとして格納する不揮発性メモリ等で構成される格納手段55と、回折・散乱光パターンデータと基準データの同じ成分について、回折・散乱光パターンデータから基準データの減算処理を行う減算手段56と、光源2の原点から減算処理の結果得られる同心円状の各回折・散乱光パターンまでの角度を算出する角度算出手段57と、光源2の原点から明るさのピークを有する同心円状の回折・散乱光パターンまでの角度を測定する角度測定手段58とを備える。
【0041】
また、粒径算出手段6は、角度と、波長と、粒径との関係を示す関係式に、画像処理手段5によって得られた各パラメータを代入して、粒径を算出する。
【0042】
粒径算出手段6において用いられる関係式は、例えば、
(S(θ))
2 = (x(1+Cos(θ))/2 J
1(xSin(θ))/Sin(θ))
2であり、J
1は一次ベッセル関数、x=2πr/λ、rは半径、λは波長、xは粒子のサイズ因子である。
【0043】
ここで、
図9は、入射光と光強度分布(S(θ))
2との関係を示す説明図である。
図9に示すように、λは入射光(コヒーレント光L1)の波長であり、例えば半径rの水の微粒子によって入射光は回折される。そして、直進する回折光はθ=0であり、直進方向からずれるに従って所定の角度θの回折光となって散乱される。これにより、照射面において
図9に示すような光強度分布(S(θ))
2が現れ、リアルタイムカメラ4等により例えば
図4(b)のような撮影画像となる。
【0044】
本実施形態に係る粒径測定装置1aを用いて、アルコール微粒子の粒径測定を試行したところ、粒径を約7.4μmと判定することができた。
【0045】
また、水の微粒子については、約13μmと判定することができた。
【0046】
(第2の実施の形態)
図5のブロック図および
図6の説明図を参照して、第2の実施形態に係る粒径測定装置1bの概略構成について説明する。
【0047】
なお、第1の実施形態に係る粒径測定装置1aと同様の構成については、同一符号を付して重複した説明は省略する。
【0048】
第2の実施形態に係る粒径測定装置1bと、第1の実施形態に係る粒径測定装置1aとの相違点は、噴霧手段3により微粒子A1を噴霧する前のコヒーレント光L1および被検体を導入する導入手段の一種としての噴霧手段3により噴霧された微粒子A1によりコヒーレント光L1に生じた回折・散乱光L2を投影する拡散板等で構成されるスクリーン20を備える点である。
【0049】
即ち、第2の実施の形態に係る粒径測定装置1bは、コヒーレント光L1を出射する光源2と、光源2から出射されたコヒーレント光L1のビーム内に、被検体を微粒子A1として噴霧する噴霧手段3と、前述のスクリーン20と、スクリーン20に投影されたコヒーレント光L1および回折・散乱光パターンL3を撮影する撮影手段の一種としてのリアルタイムカメラ(例えば、ウェブカメラやデジタルカメラ等で構成される)4と、リアルタイムカメラ4等で撮影されたコヒーレント光(例えば、
図4(a))および回折・散乱光パターンの画像データを画像処理する画像処理手段5と、画像処理手段5による画像処理結果に基いて回折・散乱光パターンのピークを判定して微粒子の粒径を算出する粒径算出手段6とを備える。
【0050】
画像処理手段5の構成および粒径算出手段6で適用される関係式は、第1の実施形態に係る粒径測定装置1aと同様である。
【0051】
なお、被検体を導入する導入手段の一種として、微粒子A1を噴霧する噴霧手段(例えば、スプレー等)3を省略し、自然的に被検体が導入されるようにしてもよい。
【0052】
(粒径測定処理)
図7のフローチャートを参照して、第1の実施形態に係る粒径測定装置1aで実行される粒径測定処理の処理手順について説明する。
【0053】
この処理が開始されると、まずステップS10でウェブカメラ4等およびパーソナルコンピュータ(PC)10の電源がオンされる。これにより、ウェブカメラ4等は撮影可能な状態となり、パーソナルコンピュータ10は、各種処理を実行可能な状態となる。
【0054】
次いで、ステップS11でレーザ光源2の電源をオンする。これにより、コヒーレント光としてのレーザ光L1が出射される。なお、レーザ光源2から出射されたレーザ光L1が、ウェブカメラ4等の撮影レンズに入射するように、レーザ光源2およびウェブカメラ4等の原点調整および光軸調整が行われる。
【0055】
次に、ステップS12では、パーソナルコンピュータ10の操作に基づき、ウェブカメラ4によって基準画像が撮影される。基準画像とは、レーザ光源2から出射されたレーザ光L1をウェブカメラ4等で直接撮影した画像であり、例えば
図4(a)に示すような画像として取得される。ステップS13では、この基準画像を所定のファイル形式で不揮発性メモリやハードディスク装置等の記憶装置に格納する。
【0056】
次いで、ステップS14では、噴霧手段3を操作して被検体を微粒子A1として噴霧する。なお、被検体としては、水やアルコールを用いたが、これに限定されず、種々の液体または液体に溶解させた物質を被検体とすることが可能である。また、大気中の微粒子の粒径を測定する場合には、噴霧手段による噴霧に代えて、大気を導入するようにしてもよい。なお、大気等を導入する具体的な構成等については、第3の実施の形態で述べる。
【0057】
次いで、ステップS15では、パーソナルコンピュータ10の操作に基づき、被検体の微粒子A1によって回折、散乱された回折・散乱光L2をウェブカメラ4等によって撮影する。撮影された画像は、例えば
図4(b)に示すような画像として取得される。ステップS16では、この回折・散乱光の画像を所定のファイル形式で不揮発性メモリやハードディスク装置等の記憶装置に格納する。
【0058】
ステップS17では、基準画像について、RGB変換した後、グレースケール化する画像変換が実行される。次いで、ステップS18では、画像変換された基準画像のデータについて量子化を行なってステップS19に移行する。
【0059】
ステップS19では、回折・散乱光のパターン画像について、RGB変換した後、グレースケール化する画像変換が実行される。次いで、ステップS20では、画像変換された回折・散乱光のパターン画像のデータについて量子化を行なってステップS21に移行する。
【0060】
ステップS21では、量子化した基準データおよび回折・散乱光パターンデータを格納してステップS22に移行する。
【0061】
ステップS22では、回折・散乱光パターンデータと基準データの同じ成分について、回折・散乱光パターンデータから基準データの減算処理を行う。これにより、明るい部分の打ち消しを行うことができ、回折・散乱光パターンをより明確に把握することができるようになる。
【0062】
次いで、ステップS23では、光源2の原点から減算処理(ステップS22)の結果得られる同心円状の各回折・散乱光パターンまでの角度を算出する角度算出処理が実行される。
【0063】
ステップS24では、光源の原点から明るさのピークを有する同心円状の回折・散乱光パターンまでの角度を測定する角度測定が行われる。
【0064】
次いで、ステップS25では、角度と、波長と、粒径との関係を示す前出の関係式に、前述の処理によって得られた各パラメータを代入して、粒径を算出する粒径算出処理が実行され、処理を終了する。
【0065】
粒径の算出結果は、例えば
図8に示すような粒径の測定結果に係る回折・散乱光パターンと共にモニタ11に表示するようにしてもよい。
【0066】
これにより、先にも述べたように、アルコール微粒子については、粒径を約7.4μmと判定することができた。また、水の微粒子については、約13μmと判定することができた。
【0067】
また、第2の実施形態に係る粒径測定装置1bで実行される粒径測定処理の処理手順は、
図7のフローチャートと略同様である。
【0068】
相違点は、ステップS15において、回折・散乱光を直接撮影するのに代えて、スクリーン20に投影された回折・散乱光パターンを撮影する点である。他の処理は、
図7のフローチャートに示す通りである。
【0069】
(第3の実施の形態)
図10のブロック図および
図11、
図12の説明図を参照して、第3の実施形態に係る粒径測定装置1cの概略構成について説明する。
【0070】
第3の実施の形態に係る粒径測定装置1cは、大気中や雰囲気中に漂う微粒子から成る被検体の粒径を測定する粒径測定装置である。
【0071】
なお、第1の実施の形態に係る粒径測定装置1aと同様の構成については、同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0072】
粒径測定装置1cは、コヒーレント光(レーザ光)L1を出射する光源(例えば、半導体レーザ)2と、光源2から出射されたコヒーレント光L1のビーム内に、被検体としての微粒子A2を導入する導入手段の一種としての微粒子導入部30と、微粒子導入部30により微粒子A2を導入する前のコヒーレント光L1および微粒子導入部30により導入された微粒子A2によりコヒーレント光に生じた回折・散乱光L2を直接的に撮影する撮影手段40と、撮影手段40で撮影されたコヒーレント光L1および回折・散乱光パターンの画像データを画像処理する画像処理手段5と、画像処理手段5による画像処理結果に基いて回折・散乱光パターンのピークを判定して微粒子A2の粒径を算出する粒径算出手段6とを備える。
【0073】
撮影手段40としては、第1の実施形態に係る粒径測定装置1aおよび第2の実施形態に係る粒径測定装置1bで用いたウェブカメラ(Webカメラ)等のリアルタイムカメラや、静止画や動画をデジタルデータとしてSDメモリカードなどのメモリカード50等に保存するデジタルカメラなどを用いることができる。
【0074】
即ち、第1の実施形態に係る粒径測定装置1aや第2の実施形態に係る粒径測定装置1bでは、主に、ウェブカメラ等でリアルタイムに撮影した動画をパーソナルコンピュータ(PC)10に送信して画像処理を行なっていたが、これに代えて、撮影した動画等を格納したメモリカード50等をパーソナルコンピュータ(PC)10に接続して読取り、その読み取ったデジタルデータに基いて画像処理を行って微粒子A2の粒径を測定するようになっている。
【0075】
ここで、
図11を参照して、微粒子導入部30の具体的な構成例について説明する。
【0076】
図11に示す構成例に係る微粒子導入部30Aは、デジタルカメラ40の前面側40aに取り付けられている。
【0077】
なお、微粒子導入部30Aは、強制的に大気等を導入する構成以外に、自然的に大気等を導入する構成も含む。また、微粒子導入部30A自体を省略し、微粒子が自然導入されるようにしてもよい。
【0078】
微粒子導入部30Aは、
図11(a)、(b)に示すように、デジタルカメラ40の前面側40aのレンズ部40cを覆う筒状体31を備えている。筒状体31は、例えば金属や樹脂で成形され、
図11(b)に示すように、上部側壁と下部側壁に大気を自然的に導入する貫通孔32a、31bが形成されている。なお、貫通穴は左右の側壁に形成するようにしてもよい。また、貫通孔は2つ以上設けるようにしてもよい。
【0079】
また、筒状体31の前面側を覆う壁部31aには、光源としてのレーザ発光装置33が設けられている。レーザ発光装置33としては、例えば赤色半導体レーザを搭載したレーザポインタ等を用いることができる。
【0080】
レーザ発光装置33は、筒状体31をデジタルカメラ40の前面側40aに取り付けた際に、デジタルカメラ40のレンズ部40cの中央にレーザ光Lを入射させることができるように位置決め(光軸合わせ)して固定されている。
【0081】
なお、筒状体31をデジタルカメラ40の前面側40aに取り付ける構造は、特には限定されないが、例えばデジタルカメラ40の前面側に設けられたネジ込み式の固定具に螺合する取付部を筒状体31の端部に設けるようにしてもよい。また、筒状体31の端部またはデジタルカメラ40の前面側にマグネットを設け、筒状体31を磁力で固定するようにしてもよい。
【0082】
次に、
図12を参照して、微粒子導入部の他の構成例について説明する。
【0083】
なお、
図12に示す微粒子導入部30Bにおいて、
図11に示す微粒子導入部30Aと同様の構成については同一符号を付して重複した説明は省略する。
【0084】
微粒子導入部30Bは、貫通孔32aの上方に、大気を強制的に筒状体31内に導入するファン装置60を備えている。
【0085】
より具体的には、
図12(a)、(b)に示すように、ファン装置60は、支持部61によって支持されるモータ62にファン63が取り付けられた構成となっている。これにより、微粒子導入部30Aのように貫通孔32aだけを設けた構成に比して、より効率的に大気を筒状体31内に導入することができる。
【0086】
なお、ファン装置60は、大気を筒状体31内に導入した後にオフするとよい。これにより、筒状体31内に大気中に含まれる微粒子A2が滞留した状態とすることができる。
【0087】
また、モータ62の電源としては、乾電池や充電池等のほかに、太陽電池を用いるようにしてもよい。
【0088】
また、電源を確保し難い場所での測定に備えて、ファンを手動で回転させる機構を備えるようにしてもよい。
【0089】
(粒径測定処理)
図13のフローチャートを参照して、第3の実施形態に係る粒径測定装置1cで実行される粒径測定処理の処理手順について説明する。
【0090】
粒径測定装置1cに適用される微粒子導入部30A、30Bを用いて大気中の微粒子の粒径を測定するには、まず、微粒子導入部30Aまたは30Bをデジタルカメラ40の前面側40aに取り付ける(ステップS30)。
【0091】
次いで、デジタルカメラ40の電源をオンして、撮影可能な状態とし(ステップS31)、次に、レーザ発光装置33をオンしてレーザ光Lを発光させる(ステップS32)。
【0092】
そして、デジタルカメラ40のシャッターボタン40bを押して、基準画像(
図14(a)参照)を撮影する(ステップS33)。
【0093】
なお、基準画像の撮影は、大気中の微粒子の影響を受けないように、清浄空間(例えば、クリーンルーム等)で行うことが望ましい。
【0094】
また、基準画像の撮影を行う際のシャッター速度、絞り、画質等は、デジタルカメラ40の設定項目から適宜設定するとよい。
【0095】
例えば、デジタルカメラ40により動画を撮影する場合には、絞りは最大で固定し、焦点距離は無限大、感度は例えばISO100とすることができる。また、動画記録形式はMPEG−4とし、パーソナルコンピュータ等による画像処理でMotionJPEG等に変換するようにしてもよい。
【0096】
次いで、基準画像をメモリカード50(
図10参照)に格納(ステップS34)してからステップS35に移行する。
【0097】
ステップS35では、貫通孔32a、32bを介して大気を筒状体31内に導入する。微粒子導入部30Bを用いる場合には、ファン装置60を所定時間にわたって駆動させる。これにより、筒状体31内に筒状体31内に大気中に含まれる微粒子A2が滞留した状態となる。
【0098】
そして、この状態でデジタルカメラ40のシャッターボタン40bを押して、回折・散乱光(
図14(b)参照)の撮影を行う(ステップS36)。
【0099】
なお、回折・散乱光の撮影を行う際のシャッター速度、絞り、画質等は、デジタルカメラ40の設定項目から適宜設定するとよい。
【0100】
次いで、回折・散乱光の画像をメモリカード50(
図10参照)に格納(ステップS37)する。
【0101】
そして、基準画像および回折・散乱光の画像が記録されたメモリカード50(
図10参照)をデジタルカメラ40から取り出して、パーソナルコンピュータ(PC)10(
図10参照)のカードリーダ(図示せず)に装着(ステップS38)して、パーソナルコンピュータ(PC)10による画像処理を行う。
【0102】
なお、メモリカードとして無線送信機能(Wifi機能)を備えたものを用い、パーソナルコンピュータ(PC)10に設けた無線受信装置によって画像データをワイヤレスで受信するようにしてもよい。また、粒径測定装置1自体に無線送受信機能を搭載し、通常のメモリカード50に記録された画像データをパーソナルコンピュータ(PC)10に設けた無線受信装置によって画像データをワイヤレスで受信するようにしてもよい。
【0103】
ステップS39からステップS47までの画像処理は、
図7に示すフローチャートのステップS17からステップS25までと同じであるので重複した説明は省略する。
【0104】
これにより、大気中に含まれる微粒子A2の粒径を測定することができる。
【0105】
このように、第3の実施形態に係る粒径測定装置1cによれば、大気中に含まれる微粒子に関する基準画像および回折・散乱光の画像の撮影と、それらの画像に関する画像処理とを場所や日時を変えて行うことができるので、より機動的に測定作業を行うことができる。
【0106】
また、微粒子導入部30Aまたは30Bを用いることにより、一般的なデジタルカメラ40で基準画像および回折・散乱光の画像を撮影することができるので、より低コストで測定作業を行うことができる。
【0107】
なお、第3の実施形態に係る粒径測定装置1cは、大気中の微粒子の粒径を測定する用途のみに限定されず、例えば工場内などの雰囲気中に含まれる微粒子の粒径や、煙突から排出される煙に含まれる微粒子の粒径などを測定する用途等に適用することもできる。
【0108】
(第4の実施の形態)
図15のフローチャート等を参照して第4の実施形態に係る粒径測定装置について説明する。
【0109】
なお、第4の実施形態に係る粒径測定装置の構成は、第3の実施形態に係る粒径測定装置1cと同様である(
図10のブロック図および
図11、
図12の説明図を参照)。
【0110】
図15のフローチャートを参照して、第4の実施形態に係る粒径測定装置で実行される粒径測定処理の処理手順について説明する。
【0111】
なお、第3の実施形態に係る粒径測定装置1cと同様の構成については、同一符号を付して重複した説明は割愛する。
【0112】
粒径測定装置に適用される微粒子導入部30A、30Bを用いて大気中の微粒子の粒径を測定するには、まず、微粒子導入部30Aまたは30Bをデジタルカメラ40の前面側40aに取り付ける(ステップS50)。
【0113】
なお、微粒子導入部30A、30Bを用いない場合には、ステップS50は省略される。
【0114】
次いで、デジタルカメラ40の電源をオンして、撮影可能な状態とし(ステップS51)、次に、レーザ発光装置33をオンしてレーザ光Lを発光させる(ステップS52)。
【0115】
そして、デジタルカメラ40のシャッターボタン40b等を操作して、動画の撮影を開始(ステップS53)し、まず、基準画像を撮影する(ステップS54)。なお、基準画像の撮影は、大気中の微粒子の影響を受けないように、清浄空間(例えば、クリーンルーム等)で行うことが望ましい。
【0116】
また、撮影された画像は、メモリカード50に逐次格納される。
【0117】
また、基準画像の撮影の撮影条件は、例えば、絞りは最大で固定し、焦点距離は無限大、感度は例えばISO100とすることができる。また、動画記録形式はMPEG−4とすることができる。
【0118】
次いで、ステップS55で、貫通孔32a、32bを介して大気を筒状体31内に導入する。微粒子導入部30Bを用いる場合には、ファン装置60を所定時間にわたって駆動させる。これにより、筒状体31内に筒状体31内に大気中に含まれる微粒子A2が滞留した状態となる。
【0119】
そして、回折・散乱光(
図14(b)参照)の動画撮影を行う(ステップS56)。
【0120】
次いで、記録画像データを無線送信(ステップS57)し、パーソナルコンピュータ(PC)10で受信する(ステップS58)。
【0121】
無線送受信の仕方としては、メモリカードとして無線送信機能(Wifi機能)を備えたものを用い、パーソナルコンピュータ(PC)10に設けた無線受信装置によって画像データをワイヤレスで受信するように構成するか、あるいは、粒径測定装置自体に無線送受信機能を搭載し、通常のメモリカード50に記録された画像データをパーソナルコンピュータ(PC)10に設けた無線受信装置によって画像データをワイヤレスで受信するようにしてもよい。
【0122】
次いで、ステップS59では、パーソナルコンピュータ(PC)10にインストールされた所定の画像処理ソフトウェアにより、MPEG−4で記録された画像データをMotionJPEGに変換する。これにより、動画からフレームの写真の集合体への変換が行われる。
【0123】
ステップS60では、変換されたフレームの写真の集合体から基準画像および回折・散乱光の画像を抽出してステップS61以降の処理に移行する。
【0124】
なお、ステップS61からステップS69までの画像処理は、
図7に示すフローチャートのステップS17からステップS25までと同じであるので重複した説明は省略する。
【0125】
これにより、大気中に含まれる微粒子A2の粒径を測定することができる。
【0126】
このように、第4の実施形態に係る粒径測定装置によれば、大気中に含まれる微粒子に関する基準画像および回折・散乱光の画像の撮影と、それらの画像に関する画像処理とを場所や日時を変えて行うことができるので、より機動的に測定作業を行うことができる。
【0127】
また、微粒子導入部30Aまたは30Bを用いることにより、一般的な動画撮影機能を有するデジタルカメラ40で基準画像および回折・散乱光の画像の動画を撮影することができるので、より低コストで測定作業を行うことができる。
【0128】
なお、第4の実施形態に係る粒径測定装置は、大気中の微粒子の粒径を測定する用途のみに限定されず、例えば工場内などの雰囲気中に含まれる微粒子の粒径や、煙突から排出される煙に含まれる微粒子の粒径などを測定する用途等に適用することもできる。
【0129】
以上述べたように、第1から第4の本実施の形態に係る粒径測定装置1a〜1cによれば、簡易且つ低コストで微粒子の粒径を測定すること可能となる。これにより、例えば、大気中などに含まれる微粒子の粒径を日常的に簡便に測定することができ、予防対策等に活用することができる。
【0130】
以上本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本明細書で開示された実施の形態はすべての点で例示であって開示された技術に限定されるものではないと考えるべきである。すなわち、本発明の技術的な範囲は、前記の実施の形態における説明に基づいて制限的に解釈されるものでなく、あくまでも特許請求の範囲の記載に従って解釈すべきであり、特許請求の範囲の記載技術と均等な技術および特許請求の範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0131】
例えば、通常暗所で行うパーティクル・カウンタなどに代えて、明るい所にレーザ光源とカメラを設置し、フロントスキャッタリングで微粒子を測定することができる。
【0132】
また、クリーンルームや火災時などを想定した実験空間に、光源とカメラを設置し、ルーム内の微粒子径を測定するようにしてもよい。
【0133】
また、半導体クリーンルーム等で特定箇所にレーザ光源とカメラを設置し、室内で発生したゴミなどの微粒子を検知、測定または微粒子分布を把握する用途等に利用することもできる。