特許第6473584号(P6473584)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6473584パイプ材の連結構造、およびこの連結構造を用いた清掃具
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6473584
(24)【登録日】2019年2月1日
(45)【発行日】2019年2月20日
(54)【発明の名称】パイプ材の連結構造、およびこの連結構造を用いた清掃具
(51)【国際特許分類】
   F16B 7/20 20060101AFI20190207BHJP
   F16B 7/04 20060101ALI20190207BHJP
   A47L 13/20 20060101ALI20190207BHJP
【FI】
   F16B7/20 C
   F16B7/04 302A
   A47L13/20 Z
【請求項の数】10
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-160386(P2014-160386)
(22)【出願日】2014年8月6日
(65)【公開番号】特開2016-37996(P2016-37996A)
(43)【公開日】2016年3月22日
【審査請求日】2017年7月19日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000133928
【氏名又は名称】株式会社テラモト
(74)【代理人】
【識別番号】100086380
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 稔
(74)【代理人】
【識別番号】100103078
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 達也
(72)【発明者】
【氏名】岩井 孝夫
【審査官】 杉山 豊博
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−081420(JP,A)
【文献】 特開平08−205649(JP,A)
【文献】 実開昭53−082433(JP,U)
【文献】 特開2013−170672(JP,A)
【文献】 実開昭59−024508(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 7/20
A47L 13/20
F16B 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続端部を有するパイプ材と、上記接続端部に外嵌される受け部を有する継手体と、を備えるパイプ材の連結構造であって、
上記接続端部の外面および上記受け部の内面は、互いに対応する断面多角形状とされており、かつ嵌合可能であり、
上記受け部の内面には、径方向内方に突出する凸部が形成されており、
上記継手体における上記受け部の軸方向奥端には、径方向内向きに突出し、かつ上記接続端部の先端が当接し得る突起が形成されていることを特徴とする、パイプ材の連結構造。
【請求項2】
上記接続端部の外面および上記受け部の内面は、断面正多角形状である、請求項1に記載のパイプ材の連結構造。
【請求項3】
上記パイプ材は、断面が一様とされ、一定方向に延びる芯管と、この芯管の外表面を被覆する樹脂材料によって構成され、少なくとも上記接続端部に相当する部分の外面が断面多角形状に形成された樹脂被覆部と、を備える、請求項1または2に記載のパイプ材の連結構造。
【請求項4】
上記芯管は、円筒形状である、請求項3に記載のパイプ材の連結構造。
【請求項5】
接続端部を有する追加のパイプ材をさらに備え、
上記継手体は、上記突起を挟んで軸方向の両側に設けられた2つの上記受け部を有し、
当該2つの上記受け部のうち、一方に上記パイプ材の上記接続端部が内挿され、他方に上記追加のパイプ材の上記接続端部が内挿される、請求項に記載のパイプ材の連結構造。
【請求項6】
上記受け部の軸方向奥端付近には、径方向に貫通する貫通孔が形成されている、請求項5に記載のパイプ材の連結構造。
【請求項7】
上記接続端部に内挿され、かつ上記パイプ材に固定された接続部材と、上記接続部材に外嵌接続される端部を有する追加のパイプ材と、をさらに備え、
上記接続部材は、上記接続端部の先端から上記パイプ材の軸方向に沿って延び、かつ上記接続端部の内径と略同径の外径を有する円筒状部分をもち、
上記円筒状部分には、断面が非円弧状とされ、上記追加のパイプ材の上記端部と圧接しうる圧接部が設けられている、請求項1ないしのいずれかに記載のパイプ材の連結構造。
【請求項8】
上記接続端部に内挿され、かつ上記パイプ材に固定された接続部材をさらに備え、
上記接続部材は、上記パイプ材の上記接続端部の先端から当該パイプ材の軸方向に沿って延び、かつ当該接続端部の内径と略同径の外径を有する円筒状部分をもち、
上記円筒状部分には、断面が非円弧状とされ、上記追加のパイプ材の上記接続端部と圧接しうる圧接部が設けられている、請求項またはに記載のパイプ材の連結構造。
【請求項9】
上記圧接部は、つぶし加工により形成される、請求項またはに記載のパイプ材の連結構造。
【請求項10】
請求項1ないしのいずれかに記載のパイプ材の連結構造を用いて構成される柄と、この柄の端部に連結される清掃ヘッドと、を備えることを特徴とする、清掃具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パイプ材を相互に連結するための連結構造、およびこの連結構造を用いた清掃具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、床面清掃等を行うための清掃具は、比較的長尺な柄を有している。このような清掃具の柄は、たとえば、収納保管等の便宜を考慮して、相互に連結可能な複数のパイプ材によって構成される場合がある(たとえば、特許文献1を参照)。かかる構成によれば、不使用時にパイプ材を分解しておくと、コンパクトな収納が可能となる。
【0003】
特許文献1に開示された清掃具においては、同文献の図1図5に示されるように、柄を構成する複数のパイプ材の連結は、連結具(1)を用いて行う。この連結具は、筒状部材(3)と中軸部材(4)とを備えている。筒状部材(継手体)は、パイプ材の連結部分を覆う。中軸部材(接続部材)は、パイプ材の内径と略同径の外径を有する。筒状部材には、周方向に間隔を隔てて並ぶように複数の持着片(10)が設けられている。持着片は、一端(固定端)が筒状部材(3)一体化されるとともに筒状部材の長手方向に沿って延出している。持着片の他端(開放端)には、係止爪(14)が設けられている。この係止爪は、筒状部材に形成された孔を通じて筒状部材の径方向内方に突出している。持着片は、その開放端側が筒状部材の軸心に近接ないし離間するように屈曲可能であり、係止爪は、持着片の屈曲動作に伴って筒状部材の軸心に近接ないし離間しうる。そして、筒状部材の周方向に隣接する持着片(10)は、その固定端から開放端に向かって延びる延出方向が、交互に異なるようにして設けられている。したがって、持着片の開放端に設けられた係止片(14)については、筒状部材の一端側にあるものと、筒状部材の他端側にあるものとがある。
【0004】
パイプ材(2)の連結部分の適所には、上記係止片が挿通しうる係合孔(16)が形成されている。また、中軸部材(4)においても、上記係止片が挿通しうる挿通孔(5)が形成されている。上記構成の連結具を用いてパイプ材同士を連結する場合、中軸部材(4)の一端をパイプ材(2)に挿入し、パイプ材の係合孔と中軸部材の挿通孔とを一致させる。次いで、筒状部材を中軸部材およびパイプ材に覆い被せるように外嵌させる。そして、筒状部材の一端側にある係止片(14)をパイプ材の係合孔および中軸部材の挿通孔に嵌め込む。次に、他のパイプ材(2)を、中軸部材と筒状部材との間に形成された空間に挿入する。そして、パイプ材の係合孔を中軸部材の挿通孔に一致させる。これにより、筒状部材の他端側にある係止爪(14)が、パイプ材の係合孔および中軸部材の挿通孔に嵌まり込む。このようにして、複数本のパイプ材(2)が中軸部材および筒状部材により連結される。
【0005】
上記構成によれば、連結されたパイプ相互の回転および抜け出しが防止される。連結状態にあるパイプ材を分解する場合、持着片の開放端側をドライバ等の工具によりめくり上げる。そして、係止爪(14)を中軸部材(4)の挿通孔(5)およびパイプ材(2)の係合孔(16)から退避させると、当該パイプ材(2)を引き抜くことができる。
【0006】
しかしながら、上記従来のパイプの連結構造においては、連結具(筒状部材)の構造が比較的に複雑であり、製造コストの上昇を招いていた。また、パイプ材を分解する際、工具等を用いる必要があり、使い勝手の面で改善の余地があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第4054508号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、このような事情のもとで考え出されたものであって、構造を比較的に簡単にしつつ、使い勝手の改善を図るのに適したパイプ材の連結構造、およびこの連結構造を用いた清掃具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0010】
本発明の第1の側面によって提供されるパイプ材の連結構造は、接続端部を有するパイプ材と、上記接続端部に外嵌される受け部を有する継手体と、を備えるパイプ材の連結構造であって、上記接続端部の外面および上記受け部の内面は、互いに対応する断面多角形状とされており、かつ嵌合可能であることを特徴としている。
【0011】
好ましい実施の形態においては、上記接続端部の外面および上記受け部の内面は、断面正多角形状である。
【0012】
好ましい実施の形態においては、上記パイプ材は、断面が一様とされ、一定方向に延びる芯管と、この芯管の外表面を被覆する樹脂材料によって構成され、少なくとも上記接続端部に相当する部分の外面が断面多角形状に形成された樹脂被覆部と、を備える。
【0013】
好ましい実施の形態においては、上記芯管は、円筒形状である。
【0014】
好ましい実施の形態においては、上記継手体における上記受け部の軸方向奥端には、径方向内向きに突出する突起が形成されている。
【0015】
好ましい実施の形態においては、接続端部を有する追加のパイプ材をさらに備え、上記継手体は、上記突起を挟んで軸方向の両側に設けられた2つの上記受け部を有し、当該2つの上記受け部のうち、一方に上記パイプ材の上記接続端部が内挿され、他方に上記追加のパイプ材の上記接続端部が内挿される。
【0016】
好ましい実施の形態においては、上記受け部の軸方向奥端付近には、径方向に貫通する貫通孔が形成されている。
【0017】
好ましい実施の形態においては、上記接続端部に内挿され、かつ上記パイプ材に固定された接続部材と、上記接続部材に外嵌接続される端部を有する追加のパイプ材と、をさらに備え、上記接続部材は、上記接続端部の先端から上記パイプ材の軸方向に沿って延び、かつ上記接続端部の内径と略同径の外径を有する円筒状部分をもち、上記円筒状部分には、断面が非円弧状とされ、上記追加のパイプ材の上記端部と圧接しうる圧接部が設けられている。
【0018】
好ましい実施の形態においては、上記接続端部に内挿され、かつ上記パイプ材に固定された接続部材をさらに備え、上記接続部材は、上記パイプ材の上記接続端部の先端から当該パイプ材の軸方向に沿って延び、かつ当該接続端部の内径と略同径の外径を有する円筒状部分をもち、上記円筒状部分には、断面が非円弧状とされ、上記追加のパイプ材の上記接続端部と圧接しうる圧接部が設けられている。
【0019】
好ましい実施の形態においては、上記圧接部は、つぶし加工により形成される。
【0020】
本発明の第2の側面によって提供される清掃具は、本発明の第1の側面によって提供されるパイプ材の連結構造を用いて構成される柄と、この柄の端部に連結される清掃ヘッドとを備えることを特徴としている。
【0021】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明に係るパイプ材の連結構造の一例を示す分解斜視図である。
図2図1に示すパイプ材の連結構造の縦断面である。
図3図2のIII−III線に沿う拡大断面図である。
図4図2のIV−IV線に沿う拡大端面図である。
図5図2のV−V線に沿う拡大端面図である。
図6図1に示すパイプ材の連結構造の継手体をパイプ材に装着した状態の縦断面図である。
図7図1に示すパイプ材の連結構造の連結状態を表す縦断面図である。
図8】本発明に係るパイプ材の連結構造の他の例を示す図7と同様の断面図である。
図9】本発明に係るパイプ材の連結構造を用いた清掃具の一例を示す斜視図である。
図10】本発明の参考例に係るパイプ材の連結構造の分解斜視図である。
図11図10に示すパイプ材の連結構造の縦断面図である。
図12図10に示すパイプ材の連結構造の連結状態を表す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照して具体的に説明する。
【0024】
図1図7は、本発明の実施形態に係るパイプ材の連結構造を示している。図1図3に表れているように、本実施形態のパイプ材の連結構造A1は、2本のパイプ材1A,1B、と、継手体3と、接続部材4とを備えて構成されている。
【0025】
パイプ材1Aは、長手方向の少なくとも一方端に接続端部10Aを有する。接続端部10Aは、継手体3が外嵌される部分である。本実施形態においては、図2図3に表れているように、パイプ材1Aは、芯管21と、芯管21を覆う樹脂被覆部22とを備えている。
【0026】
芯管21は、断面が一様で一定方向に延びる円筒パイプであり、たとえばスチール等の金属からなる。樹脂被覆部22は、たとえばポリエチレンなどの合成樹脂材料からなり、芯管21の外表面全体を覆っている。樹脂被覆部22のうち少なくとも接続端部10Aに相当する部分の外面が、断面多角形状に形成されている。好ましくは、接続端部10Aの当該外面は断面正多角形状である。また、当該断面正多角形状の角数は、6以上であることが好ましい。本実施形態においては、樹脂被覆部22は、接続端部10Aに相当する部分およびこれに繋がる部分全体の外面が実質的に一様であり、パイプ材1Aの外面(接続端部10Aおよびこれに繋がる部分の外面)は、断面正十四角形状である。パイプ材1Aの各部の寸法の一例を挙げると、芯管21の外径が、21mm程度であり、芯管21の内径が、20mm程度である。また、樹脂被覆部22において芯管21(パイプ材1A)の軸心を挟んで反対側に位置する面どうしの間の寸法L1(図3参照)が、22mm程度である。
【0027】
本実施形態においては、一方のパイプ材1Aに接続部材4が取り付けられている。接続部材4は、たとえばスチール製の円筒パイプからなる。接続部材4の外径は、パイプ材1Aの内径(本実施形態では芯管21の内径)と略同径とされている。図1図2に表れているように、接続部材4は、少なくともパイプ材1Aの接続端部10Aに内挿されており、たとえばカシメ等の適宜手段によってパイプ材1Aに固定される。本実施形態では、接続部材4は、パイプ材1Aの接続端部10Aおよびこれに繋がる部分に跨って内挿される。
【0028】
接続部材4がパイプ材1Aに固定された状態において、接続部材4は、接続端部10Aの先端から突出する円筒状部分40を有する。この円筒状部分40は、パイプ材1Aの軸方向に沿って延びており、後述のパイプ材1Bが外嵌される部分である。円筒状部分40の外径は、パイプ材1Aの内径と略同径とされている。
【0029】
円筒状部分40には、圧接部41が設けられている。図4に示すように、圧接部41は、断面が非円弧形とされており、円筒状部分40の軸心からの距離が円筒状部分40の半径よりも大きい部位を含む。圧接部41は、たとえば、つぶし加工により形成される。圧接部41の形状や寸法は、所定範囲に収まるように管理される。なお、図4において、円筒状部分40の圧接部41以外の部位の断面外形(円形状)を破線で表す。円筒状部分40にパイプ材1Bが外嵌されるとき、圧接部41がパイプ材1B(芯管21)の内面と圧接する。接続部材4の寸法の一例を挙げると、外径が20mm程度、内径が19mm程度、軸方向の長さが100mm程度である。また、接続部材4のうちパイプ材1Aへの内挿部分(径方向においてパイプ材1Aと重なる部分)の軸方向長さは50mm程度であり、円筒状部分40の軸方向長さは50mm程度である。
【0030】
他方のパイプ材1Bは、芯管21と、樹脂被覆部22とを備えて構成されている。パイプ材1B(芯管21および樹脂被覆部22)の具体的構成や寸法は、パイプ材1Aと実質的に同一である。その一方、パイプ材1Bは、接続部材4が取り付けられていない点において上記のパイプ材1Aと異なる。パイプ材1Bの端部(接続端部10B)は、継手体3が外嵌される部分である。
【0031】
図1図2に表れているように、継手体3は、全体として筒状を呈しており、2つの受け部31A,31Bを備えて構成される。受け部31A,31Bは、軸方向の両端に開口を有しており、パイプ材1A,1Bの接続端部10A,10Bに外嵌される部分である。
【0032】
受け部31A,31Bの軸方向奥端には、突起32が形成されている。突起32は、径方向内方に突出している。2つの受け部31A,31Bは、突起32を挟んで左右対称に配されている。
【0033】
受け部31A(31B)の内面310A(310B)は、接続端部10A(10B)の外面に対応する断面多角形状を有する。図5に表れているように、本実施形態では、受け部31A(31B)の内面310A(310B)は、断面正十四角形状である。なお、受け部31A(31B)の内面310A(310B)の寸法は、接続端部10A(10B)の外面の寸法に比べて、僅かに大きいあるいは略同一である。
【0034】
受け部31A,31Bには、貫通孔33A,33Bが設けられている。貫通孔33A,33Bは、受け部31A,31Bの軸方向奥端付近に位置しており、径方向に貫通している。本実施形態では、貫通孔33A,33Bは突起32に隣接している。
【0035】
また、本実施形態においては、受け部31A,31Bの内面310A,310Bには、径方向内方に突出する凸部34A,34Bが形成されている。凸部34A,34Bは、継手体3の周方向において間隔を隔てて複数ずつ設けられている。
【0036】
上記構成の継手体3は、たとえばポリアセタールなどの所定の強度を有する合成樹脂材料からなる。
【0037】
次に、パイプ材1A,1Bの連結手順、およびパイプ材の連結構造A1の作用について説明する。
【0038】
まず、図6に示すように、パイプ材1Aの接続端部10Aに継手体3の受け部31Aを外嵌させる。ここで、パイプ材1Aの先端が継手体3の突起32に当接するまで継手体3をパイプ材1A側に押し込む。受け部31Aの軸方向奥端付近に貫通孔33Aが設けられている。このため、受け部31Aがパイプ材1A(接続端部10A)に適切に外嵌されたことは、貫通孔33Aを通じてパイプ材1A(接続端部10A)の外面を目視することにより確認することができる。このとき、接続部材4(円筒状部分40)は、受け部31Bの開口から突出している。
【0039】
次に、パイプ材1Bを取り付ける。ここで、図7に示すように、受け部31Bと接続部材4との間に形成された空間にパイプ材1B(接続端部10B)を挿入し、パイプ材1B(接続端部10B)の先端が継手体3の突起32に当接するまで当該パイプ材1Bを継手体3側に押し込む。受け部31Bの軸方向奥端付近に貫通孔33Bが設けられている。このため、パイプ材1B(接続端部10B)が受け部31Bに適切に挿入されたことは、貫通孔33Bを通じてパイプ材1B(接続端部10B)の外面を目視することにより確認することができる。また、このとき、パイプ材1B(接続端部10B)は、接続部材4の円筒状部分40に外嵌されている。本実施形態においては、このようにして、継手体3を介してパイプ材1A,1Bを連結することができる。
【0040】
パイプ材1A,1Bの接続端部10A,10Bの外面および受け部31A,31Bの内面310A,310Bは、それぞれが断面多角形状とされており、互いに嵌合可能とされている。これにより、接続端部10A,10Bおよび受け部31A,31Bを連結した状態において、接続端部10A,10Bと受け部31A,31Bとの周方向における相対回転が防止される。
【0041】
本実施形態において、接続端部10A,10Bの外面および受け部31A,31Bの内面310A,310Bは、断面正多角形状であり、軸心周りの回転対称形状とされている。このような構成によれば、接続端部10A,10Bと受け部31A,31Bとの周方向の位置合わせを厳密に行わなくても、これら接続端部10A,10Bおよび受け部31A,31Bを容易に嵌合することができる。
【0042】
パイプ材1A(1B)は、円筒パイプからなる芯管21と、この芯管21の外表面を覆う樹脂被覆部22によって構成される。このような構成によれば、外面が断面多角形状のパイプ材1A(1B)を容易に形成することができる。
【0043】
接続端部10A,10Bの外面および受け部31A,31Bの内面がなす断面正多角形状の角数は、本実施形態では14とされており、比較的に大きい。このような構成によれば、当該断面正多角形状の角数が比較的に小さい場合と比べて、接続端部10A,10B(樹脂被覆部22)の厚みのばらつきを抑制することができる。当該厚みのばらつきが抑制されると、円筒パイプ(芯管21)の外表面を樹脂被覆部22により被覆する本実施形態の構成においては、樹脂被覆部22を形成するための樹脂材料の使用量を削減することができる。
【0044】
なお、正多角形の角数が大きくなるにつれて、当該正多角形の形状自体は円形に近づく。このため、本実施形態の場合、接続端部10A,10Bの外面および受け部31A,31Bの内面310A,310Bがなす断面正多角形状の角数が大きくなり過ぎると、接続端部10A,10Bと受け部31A,31Bとの周方向における相対回転が許容されるおそれがある。このような事情を考慮すると、接続端部10A,10Bおよび受け部31A,31Bの径方向寸法にもよるが、接続端部10A,10Bの外面および受け部31A,31Bの内面310A,310Bがなす断面正多角形状の角数は、6以上で20以下程度であることが好ましい。
【0045】
パイプ材1Aには接続部材4が内挿固定されており、この接続部材4は、パイプ材1A(接続端部10A)の先端から突出する円筒状部分40を有する。そして、この円筒状部分40には圧接部41が設けられており、パイプ材1B(接続端部10B)が円筒状部分40に外嵌されると、圧接部41がパイプ材1B(接続端部10B)に圧接する。これにより、パイプ材1A,1Bの連結時においては、これらパイプ材1A,1B相互の抜け出しが防止される。その結果、パイプ材1A,1Bの継手体3(受け部31A,31B)からの抜け出しも防止される。
【0046】
受け部31A,31Bの内面310A,310Bには、径方向内方に突出する凸部34A,34Bが形成されている。受け部31A,31Bと接続端部10A,10Bとの嵌合時には、凸部34A,34Bが接続端部10A,10B(樹脂被覆部22)の外面に食い込み、接続端部10A,10B(パイプ材1A,1B)の受け部31A,31B(継手体3)からの抜け出しを防止する効果を奏する。
【0047】
なお、連結状態にあるパイプ材1A,1Bを分解する際には、パイプ材1A,1Bを相互に離反する方向に所定以上の力で引っ張る。これにより、パイプ材1Bをパイプ材1A(接続部材4)から取り外すことができる。次いで、継手体3をパイプ材1Aから引き離すことができる。
【0048】
図8は、上述のパイプ材の連結構造A1の変形例を示している。同図に示したパイプ材の連結構造A1’において、接続部材4の円筒状部分40には圧接部41が2箇所設けられている。これら圧接部41は、円筒状部分40の軸心を挟んで反対側に位置し、かつ当該軸心に沿う方向における位置が一致している。このように複数の圧接部41が設けられた構成によれば、パイプ材1A,1B相互の抜け出し防止効果の向上が期待できる。なお、円筒状部分40に複数の圧接部41を設ける場合、圧接部41の数および配置は種々選択することができる。たとえば、複数の圧接部41は、円筒状部分40の軸心に沿う方向において互いに異なる位置に配置してもよい。
【0049】
図9は、上記したパイプ材の連結構造A1を用いて構成された清掃具を表す斜視図である。図9に表された清掃具Bは、複数のパイプ材1A(1B)を相互に連結して組み立てた状態を示している。清掃具Bにおいては、3本のパイプ材1A(1B)を連結することにより、比較的に長尺な柄Sが構成される。柄Sの端部には、清掃ヘッドHが相対回動自在に連結されている。清掃具Bは、たとえば払拭シートを清掃ヘッドHに取り付けて床面清掃を行うために使用するものであり、清掃ヘッドHの適所には、払拭シートを保持するための保持部が設けられている。
【0050】
図10図12は、本発明の参考例に係るパイプ材の連結構造を示している。なお、これらの図においては、上記実施形態と同一または類似の要素には、上記実施形態と同一の符号を付しており、適宜説明を省略する。
【0051】
図10および図11に表れているように、本参考例のパイプ材の連結構造A2は、2本のパイプ材1A,1Bと、接続部材4とを備えて構成されている。これらパイプ材1A,1Bおよび接続部材4の具体的な構成は、上記実施形態のパイプ材の連結構造A1におけるパイプ材1A,1Bおよび接続部材4と同一である。その一方、本参考例においては、上記実施形態の継手体3を具備していない。
【0052】
本参考例において、パイプ材1A,1Bの連結時には、図12に示すように、パイプ材1Aの先端の接続部材4(円筒状部分40)にパイプ材1Bを外嵌する。これにより、パイプ材1A,1Bを連結することができる。
【0053】
パイプ材1Aには接続部材4が内挿固定されており、この接続部材4は、パイプ材1A(接続端部10A)の先端から突出する円筒状部分40を有する。そして、この円筒状部分40には圧接部41が設けられており、パイプ材1B(接続端部10B)が円筒状部分40に外嵌されると、圧接部41がパイプ材1B(接続端部10B)に圧接する。これにより、パイプ材1A,1Bの連結時においては、これらパイプ材1A,1B相互の抜け出しが防止される。
【0054】
以上、本発明の具体的な実施形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、発明の思想から逸脱しない範囲内で種々な変更が可能である。本発明に係るパイプ材の連結構造、およびこの連結構造を用いた清掃具の各部の具体的な形状や材質なども、上記実施形態に限定されるものではない。
【0055】
上記実施形態においては、接続端部10A(10B)の外面および受け部31A,31Bの内面が断面正十四角形状である場合を例に挙げて説明したが、接続端部10A(10B)の外面および受け部31A,31Bの内面の断面形状はこれに限定されない。
【符号の説明】
【0056】
A1,A1’ パイプ材の連結構造
B 清掃具
1A パイプ材
1B パイプ材(追加のパイプ材)
10A 接続端部
10B 接続端部(端部)
21 芯管
22 樹脂被覆部
3 継手体
31A,31B 受け部
310A,310B 内面(受け部の内面)
32 突起
33A,33B 貫通孔
34A,34B 凸部
4 接続部材
40 円筒状部分
41 圧接部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12